JP2009235050A - 医薬 - Google Patents

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哲男 林
Kenji Masuda
賢二 増田
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慎一 守本
Yoshioki Suehiro
義興 末廣
Tadahiro Nishimura
忠洋 西村
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Abstract

【課題】深部体温を低下させることのできる化合物を見出し、これを利用した熱中症治療剤や、睡眠導入効果増強剤等の医薬を提供すること。
【解決手段】ニコチン酸およびその塩ならびにその誘導体を有効成分として含有する深部体温低下剤、睡眠導入効果増強剤、ニコチン酸およびその塩ならびにその誘導体と睡眠剤または睡眠導入剤とを含有する睡眠導入組成物。
【選択図】図5

Description

本発明は、医薬に関し、更に詳細には、深部体温(体幹部温)を低下させることのできる深部体温低下剤およびこの薬剤を利用する医薬に関する。
通常、人間の体は、外界の温度が上昇しても発汗作用等の体温調節機能により、体温が上昇しないよう調節される。しかしながら、真夏日等の暑熱環境下に長時間さらされると、この発汗作用の働きが追いつかず、体内に熱がこもってしまい、深部体温が異常に高くなることがある。
熱中症は、このような体温を調節する機能がうまく働かず、体温が上昇してしまう機能障害であり、時には死に至ることもある極めて危険な病態であるから、これを防ぐために深部体温を低下させるための手段が要求されている。
また、深部体温は、睡眠状態とも密接な関係があり、入眠状態での深部体温は、覚醒状態での深部体温より低いことが知られている。また、深部体温を低下させることにより、睡眠状態に導くことができることも知られている(非特許文献1)。
従来、このような深部体温を低下させるための医薬としては、γ−アミノ酪酸(GABA)が知られるのみであり(特許文献1)、それ以外のものは報告されていないのが現状である。
特開2007−204406号公報 Gilebert,S.S.,Heuvel,C.J.,Ferguson,S.A. & Dawson,D .2004, Thermoregulationas a sleep signaling system, Sleep Medicine Reviews, 8: 81-93
従って本発明は、深部体温を低下させることのできる化合物を見出し、これを利用した熱中症治療剤や、睡眠導入効果増強剤等の医薬を提供することをその課題とするものである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意探索を行っていたところ、安全性の高いビタミンとして既に使用されてニコチン酸が意外にも、深部体温の低下に有効なものであることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、ニコチン酸およびその塩ならびにその誘導体を有効成分として含有する深部体温低下剤である。
また本発明は、ニコチン酸およびその塩ならびにその誘導体を有効成分として含有する睡眠導入効果増強剤である。
更に本発明はニコチン酸およびその塩ならびにその誘導体と睡眠剤または睡眠導入剤とを含有する睡眠導入組成物である。
本発明の深部体温低下剤は、有効に深部体温を低下させることができ、熱中症の治療や予防の他、深部体温の上昇に伴う疲労、夏バテ等を軽減することができる。また、深部体温を低下させる性質を利用して、公知の睡眠剤または睡眠導入剤等の睡眠導入効果を増強させる睡眠導入効果増強剤として、更には、睡眠剤または睡眠導入剤等の睡眠導入成分、特に抗H1ヒスタミン剤と組み合わせた睡眠導入組成物として、自然な眠りへと導くこともできるものである。
本発明において用いられるニコチン酸およびその塩ならびにその誘導体(以下、「ニコチン酸等」という)は、ニコチン酸またはニコチン酸アミド、ニコチン酸ナトリウム、ニコチン酸カルシウム等ニコチン酸の塩、ヘプロニカート(下記式(I))、イノシトールヘキサニコチネート下記式(II)、ニコモール(下記式(III))、ニセリトール(下記式(IV))等のニコチン酸誘導体(投与後に生体内で代謝されてニコチン酸となるもの)の全てを含む。投与後に生体内で代謝されてニコチン酸となるものの具体例としては、以下の式で示されるヘプロニカート、イノシトールヘキサニコチネート、ニコモール、ニセリトロール等が挙げられる。本発明においてこれらニコチン酸等は単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 2009235050
なお、上記したヘプロニカートやイノシトールヘキサニコチネートについては、ニコチン酸のプロドラッグで、経口投与後生体内において活性代謝物ニコチン酸に代謝されて効果を示すことが現実に知られている(栗山経渡ほか、メグリン文献集基礎編:Seckfort,H., Med.Klin,54, 416 (1959))。
しかしながら、これらを含めたニコチン酸等が深部体温低下作用を有することについては、報告されていない。なお、ここでいう深部体温とは、ヒトにおいて直腸等で測定した体内の温度であり、一般に腋窩で測定した体温(皮膚体温)とは相違するものである。そして、眠りにつくとき、深部体温は低下するが、皮膚体温は上昇するという相反する挙動を示す。
本発明の深部体温低下剤は、ニコチン酸等を有効成分とし、後記する通常の医薬品に使用される成分を適宜配合し、製剤化することができる。製剤化に当たってニコチン酸等の含有量は、製剤化する剤型によっても異なるが、例えば、ニコチン酸であれば全組成に対し、概ね0.1〜99質量%(以下、単に「%」という)含有させることが望ましく、さらに1〜95%含有させることが望ましい。また、ニコチン酸以外のニコチン酸等についても概ねニコチン酸と同様の量でよい。
上記深部体温低下剤は、それ自体で熱中症の治療や予防の他、深部体温の上昇に伴う疲労、夏バテ等を軽減する目的で使用することができるが、特に深部体温の低下と睡眠との密接な関係に着目し、睡眠導入効果増強剤として利用することもできる。
すなわち、ニコチン酸等を含有する製剤を、睡眠導入効果増強剤として他の睡眠剤または睡眠導入剤等と並行して投与したり、あるいはニコチン酸等と睡眠剤または睡眠導入剤等の有効成分を1個の製剤とした睡眠導入組成物として投与することができる。
ニコチン酸等を含有する製剤と並行して投与される、また、上記睡眠導入組成物の有効成分となる睡眠剤または睡眠導入剤等としては、例えば、睡眠剤であれば、トリアゾラム、エチゾラム、ニトラゼパム等のベンゾジアゼピン系化合物、アモバルビタール、ペントバルビタール、セコバルビタール等のバルビツール酸誘導体、ブロムワレリル尿素等の有機ブロム化合物、カノコソウ、酸棗仁等の睡眠性生薬成分等が挙げられ、睡眠導入剤であればジフェンヒドラミン、ドキシラミン等のエタノールアミン系化合物等の抗H1ヒスタミン剤等が挙げられる。
本発明の睡眠導入効果増強剤は、上記睡眠剤または睡眠導入剤のうち、抗H1ヒスタミン剤、好ましくはエタノールアミン系化合物、より好ましくはジフェンヒドラミンもしくはドキシラミンまたはそれらの酸付加塩、特に好ましくはジフェンヒドラミンまたはその酸付加塩の睡眠導入効果を増強することができる。
上記抗H1ヒスタミン剤のうち、例えば、ジフェンヒドラミンまたはその酸付加塩(以下、「ジフェンヒドラミン等」という)を使用する場合には、ジフェンヒドラミン自体が常温で液状であり、固形剤として使用するには、例えば、軽質無水ケイ酸等の粉体に塩基を保持させ粉粒体化して用いる必要があるため、酸付加塩を用いることが好ましい。このようなジフェンヒドラミンの酸付加塩としては、塩酸ジフェンヒドラミン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、クエン酸ジフェンヒドラミン、ラウリル硫酸ジフェンヒドラミン、硫酸ジフェンヒドラミン等が例示される。これらジフェンヒドラミンの酸付加塩の中でも、塩酸ジフェンヒドラミン、サリチル酸ジフェンヒドラミン又はクエン酸ジフェンヒドラミンが好ましい。
ニコチン酸等と睡眠剤または睡眠導入剤等とを組み合わせて睡眠導入組成物とする場合には、それぞれの含有量は、薬剤の種類や剤型によって相違するために一概には言えないが、例えば、ニコチン酸等とジフェンヒドラミン等とを組み合わせて睡眠導入組成物とする場合には、それぞれの含有量は、一般には、ニコチン酸等を0.1〜98%、好ましくは2〜80%であり、ジフェンヒドラミンを0.1〜95%、好ましくは2〜75%である。
具体的に、ニコチン酸等としてヘプロニカートを用いた場合には、ヘプロニカートとジフェンヒドラミン等の配合比率は、モル比で1:0.07〜30であることが望ましい。また、ニコチン酸等としてイノシトールヘキサニコチネートを用いた場合には、モル比で1:0.01〜50であることが望ましい。更に、ニコモールでは、モル比で1:0.01〜20であることが望ましい。また更に、ニセリトロールでは、モル比で、1:0.01〜15であることが望ましい。更にまた、ニコチン酸およびニコチン酸アミドでは、モル比で、1:0.01〜40であることが望ましい。
上記睡眠導入組成物は、ニコチン酸等と睡眠剤または睡眠導入剤等を使用する以外は、常法に従い、通常の医薬品に使用される成分を適宜その目的に応じて配合して製剤化することにより調製される。
前記深部体温低下剤、上記睡眠導入組成物に配合することのできる、通常に医薬品に使用される成分としては、各種担体、安定(化)剤、海面活性剤、可塑剤、滑沢(化)剤、可溶(化)剤、還元剤、緩衝剤、甘味剤、基剤、吸着剤、矯味剤、結合剤、懸濁(化)剤、抗酸化剤、光沢化剤、コーティング剤、剤皮、湿潤剤、湿潤調整剤、充填剤、消泡剤、清涼化剤、着色剤、着香剤、香料、糖衣剤、等張化剤、軟化剤、乳化剤、粘稠(化)剤、発泡剤、pH調整剤、稀釈剤および賦形剤、分散剤、崩壊剤、崩壊補助剤、崩壊延長剤、芳香剤、防湿剤、保存剤、溶解剤、溶解補助剤、溶剤、流動化剤、帯電防止剤、増量剤、保湿剤、付湿剤等の製剤添加物を挙げることができる。
また、本発明の深部体温低下剤や、睡眠導入組成物は、通常行われている製剤化方法(津田恭介・上野寿著、「医薬品開発基礎講座XI 薬剤製造法(上)(下)」、地人書館、1971年発行;仲井由宜著、「製剤工学ハンドブック」地人書館、1983年発行;仲井由宜著、「医薬品の開発11 製剤の単位操作と機械」、廣川書店、1989年発行;橋田充著、「経口投与製剤の設計と評価」、薬業時報社、1995年発行;橋田充著、「経口投与製剤の処方設計」、薬業時報社、1995年発行)により、種々の形態の製剤とすることができる。この製剤の剤型としては、内服固形製剤であれば特に制限されないが、例えば、素錠、多層錠、有核錠、口腔内速崩壊型錠、チュアブル錠等の錠剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤等のカプセル剤、カプレット、顆粒剤、細粒剤、散剤、粉末剤、丸剤、液剤等が挙げられる。また、これらの製剤はフィルム、糖衣等でコーティングしてもよい。更に、これらの製剤は分包されてもよい。
上記した製剤のうち、錠剤は、本発明組成物の成分であるニコチン酸等あるいは睡眠剤または睡眠導入剤等および必要により添加される他の医薬成分の混合物(以下。「原末」という)、またはこの原末から調製された粉末剤、細粒剤、顆粒剤等と製剤添加物を混合し、圧縮成型することにより製造される。カプセル剤は、本発明組成物の原末、またはこの原末から調製された粉末剤、造粒末、小型の錠剤等を、カプセル充填機を用いてカプセルに充填することにより製造される。カプレットは、上記錠剤と同様にして圧縮成型することにより製造される。顆粒剤および細粒剤は、原末と製剤添加剤を混合後、湿式または乾式で造粒することにより製造される。また、顆粒剤は造粒後に丸め処理をしてもよい。散剤および粉末剤は、原末と製剤添加剤を混合後、そのままで、あるいは必要に応じて粉砕、または造粒することにより製造される。丸剤は原末と製剤添加剤を混合し、練合、分割、成型の後、でんぷん等で丸衣することにより製造される。なお、これら製剤を製造するに際して造粒末を調製する必要がある場合には、一般に利用される造粒法、例えば、水や有機溶媒を含む溶液または分散液を用いる噴霧造粒法、攪拌造粒法、流動造流法、転動造粒法、転動流動造粒法等の湿式造粒法、粉粒状の結合剤を用いる圧密造粒法等の乾式造流法等を用いることができる。
また、これらの製剤のフィルム、糖衣等によるコーティングには、パンコーティング法、流動層コーティング法、転動コーティング法、ドライコーティング法およびこれらの組み合わせ等を用いることができる。
かくして得られる本発明の深部体温低下剤は、対象となる患者の年齢や、目的とする効果により投与量を調整すればよく、例えば、深部体温低下剤の有効成分としてニコチン酸またはニコチン酸アミドを用いる場合には大人1日当たり1〜200mg程度となる量、ヘプロニカートを用いる場合には大人1日当たり6.7〜1200mg程度となる量、イノシトールヘキサニコチネートを用いる場合には大人1日当たり5〜1800mg程度となる量、ニコモールを用いる場合には大人1日当たり10〜400mg程度となる量またはニセリトロールを用いる場合には大人1日当たり20〜750mg程度となる量をそれぞれ1〜数回に分けて投与すればよい。
また、本発明の睡眠導入効果増強剤と並行して投与する睡眠剤または睡眠導入剤等として、ベンゾジアゼピン系睡眠鎮静剤のトリアゾラムを用いる場合は、上記のジフェンヒドラミン等に代え大人1日当たりの投与量を0.125〜0.25mg程度となる量とすれば良く、またエチゾラムを用いる場合は、大人1日当たりの投与量を1〜3mg程度となる量、ニトラゼパムを用いる場合は、大人1日当たりの投与量を5〜15mg程度となる量とすれば良い。
更に、睡眠剤または睡眠導入剤等として、有機ブロム化合物のブロムワレリル尿素を用いる場合は、大人1日当たりの投与量を0.5〜0.8g程度となる量とすれば良く、生薬成分であるカノコソウを用いる場合は、大人1日当たりの投与量を130〜1600mg程度となる量、酸棗仁を用いる場合は、大人1日当たりの投与量を180〜2500mg程度となる量とすれば良い。
また更に、本発明の睡眠導入組成物も、対象となる患者の年齢や、目的とする効果により投与量を調整すればよく、例えば、睡眠導入組成物の有効成分としてニコチン酸またはニコチン酸アミドを用いる場合には大人1日当たり0.5〜200mg程度となる量、ヘプロニカートを用いる場合には大人1日当たり3.2〜1200mg程度となる量、イノシトールヘキサニコチネートを用いる場合には大人1日当たり2.5〜1800mg程度となる量、ニコモールを用いる場合には大人1日当たり5〜400mg程度となる量またはニセリトロールを用いる場合には大人1日当たり10〜750mg程度となる量とし、これらと共にジフェンヒドラミン等を塩酸ジフェンヒドラミン換算で大人1日当たり5〜100mg程度となる量をそれぞれ1〜数回に分けて投与すればよい。
次に実施例、製剤例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら制約されるものではない。
実 施 例 1
ラットの尾動脈血流量に対するニコチン酸の影響:
方 法:
6週齢のウイスター(Wistar)系雄性ラットに、ウレタンを800mg/kgおよびα−クロラロースを80mg/kgで腹腔内投与して麻酔し、薬物投与のために頸静脈にカニューレを装着した。また、血圧および心拍数の測定のために頸動脈にカニューレを装着した。
このラットに、ニコチン酸を生理食塩液に溶解して種々の濃度にしたものを1mL/kgの容量で静脈内投与した。ニコチン酸投与後のラットの尾動脈血流量を、レーザー・ドップラー血流計(LASERFLO BPM403A:TSI製)を用い、尾の基部から3cmの尾動脈で測定した。その結果を図1に示した。
結 果:
図1より、ニコチン酸(0.1〜50mg/kg)は、用量依存的な血流量の増加を示した。血圧および心拍数に対しては、ほとんど影響は見られなかったが、高用量でわずかに上昇する傾向を示した。ラットの体温調節においては、尾部の血流調節による熱放射が重要な役割を担っていることが知られているので(”Am.J.Physiol.”, 245, R426-R432 (1983))、この実験結果は、ニコチン酸が体温低下作用を有することを示すものである。
実 施 例 2
ラットの深部体温に対するニコチン酸の影響:
方 法:
6週齢のウイスター(Wistar)系雄性ラットに、4質量%イソフルラン麻酔下で腹腔内にボタン電池型温度計(サーモクロンSL.DS1922L型:KNラボラトリーズ製)を挿入した。次いで、このラットを23±3℃の環境下で個別飼育し、約1週間後に試験に使用した。
深部体温は、腹腔内において連続的に測定した。薬物は、ニコチン酸(10mg/kg)を生理食塩液に溶解した溶液を用い、1mL/kgの割合で静脈内投与し、その直後より動物を低温環境下(約17℃)に放置した。対照としては、生理食塩液を1mL/kgの割合で静脈内投与した。試験終了後に温度計を摘出し、記録されたデータを回収して評価を行った。この結果を図2に示す。
結 果:
図2より、生理食塩液を投与した群(対照群)は、投与後の低温環境下において深部体温への影響は見られなかった。これに対し、ニコチン酸を10mg/kg投与した群(薬物群)は、投与後70分前後をピークとする体温の低下が観察され、約0.8℃の低下を示した。このことから、ニコチン酸の深部体温低下作用が確認された。
実 施 例 3
マウスのペントバルビタールナトリウム誘発睡眠に対するニコチン酸の影響;
方法:
5週齢のddY系雄性マウスを1群5〜6匹で試験に使用した。動物の腹腔内にペントバルビタールナトリウム(PB)35mg/kgを注入し、正向反射の消失発現までの時間(睡眠導入時間)および正向反射の消失から回復までの時間(睡眠持続時間)を測定した。また、ニコチン酸による睡眠への影響を評価するために、ニコチン酸の10mg/kgをPB投与の60分前に静脈内投与した場合の睡眠導入時間および睡眠持続時間を測定した。それらの結果を図3および図4に示す。更に、塩酸ジフェンヒドラミン単独またはニコチン酸と塩酸ジフェンヒドラミンの併用投与による睡眠への影響を評価するために、ニコチン酸10mg/kgはPB投与の60分前に静脈内投与し、塩酸ジフェンヒドラミンは3mg/kgをPB投与の30分前に経口投与した。塩酸ジフェンヒドラミン単独またはニコチン酸と塩酸ジフェンヒドラミンの併用投与による睡眠持続時間を測定し、更にこれから睡眠持続時間延長時間を算出した。この結果を図5に示す。
ニコチン酸の単独投与はペントバルビタールナトリウム誘発による睡眠導入時間の短縮と睡眠持続時間を延長した。また、ニコチン酸と塩酸ジフェンヒドラミンの併用投与は塩酸ジフェンヒドラミン単独投与よりペントバルビタールナトリウム誘発睡眠を延長した。
実 施 例 4
官能試験;
被験者9名を用いて官能試験を行った。各被験者には塩酸ジフェンヒドラミン50mgとヘプロニカート300mgを床につく30分前に同時に服用してもらい翌朝に睡眠潜時・中途覚醒・覚醒度・四肢冷え・気分・身体的疲労・就寝環境などを下記評価基準に基づいてそれぞれ評価してもらった。また、比較としては、塩酸ジフェンヒドラミン50mgを用い、上と同様にして官能評価を行った。被験者の官能評価の結果を平均したものを表1に示した。
<睡眠潜時評価基準>
(評価) (内容)
1 : 寝付くまでにかかった時間がおよそ15分未満
2 : 寝付くまでにかかった時間がおよそ15分以上〜30分未満
3 : 寝付くまでにかかった時間がおよそ30分以上〜1時間未満
4 : 寝付くまでにかかった時間がおよそ1時間以上〜1時間30分未満
5 : 寝付くまでにかかった時間がおよそ1時間30分以上
<中途覚醒評価基準>
(評価) (内容)
1 : 朝まで全く目が覚めなかった
2 : 朝までに1回目が覚めた
3 : 朝までに2回目が覚めた
4 : 朝までに3回以上目が覚めた
<覚醒度評価基準>
(評価) (内容)
1 : 目覚めた直後の感じがとてもすっきりしていた
2 : 目覚めた直後の感じがすっきりしていた
3 : 目覚めた直後の感じが普段と同じであった
4 : 目覚めた直後の感じがややボーッとしていた
5 : 目覚めた直後の感じがボーッとしてなかなか起きられなかった
<四肢冷え評価基準>
(評価) (内容)
1 : 布団に入ってから寝付くまでの間、手足の冷えを全く感じた
2 : 布団に入ってから寝付くまでの間、手足の冷えを僅かに感じた
3 : 布団に入ってから寝付くまでの間、手足の冷えを少し感じた
4 : 布団に入ってから寝付くまでの間、手足の冷えを感じた
5 : 布団に入ってから寝付くまでの間、手足の冷えをかなり感じた
<気分評価基準>
(評価) (内容)
1 : 今朝は普段と比べて爽やかな気分であった
2 : 今朝は普段と比べて少し爽やかな気分であった
3 : 今朝は普段と同じ気分であった
4 : 今朝は普段と比べて少し不快な気分であった
5 : 今朝は普段と比べてとても不快な気分であった
<身体的疲労評価基準>
(評価) (内容)
1 : 今朝は普段と比べて全く疲れは感じなかった
2 : 今朝は普段と比べてあまり疲れは感じなかった
3 : 今朝は普段と同じ疲れであった
4 : 今朝は普段と比べて少し疲れが残っていた
5 : 今朝は普段と比べてかなり疲れが残っていた
<就寝環境(温度、湿度等)評価基準>
(評価) (内容)
1 : 昨夜の就寝環境は普段と比べてとても快適だった
2 : 昨夜の就寝環境は普段と比べて少し快適だった
3 : 昨夜の就寝環境は普段と同じであった
4 : 昨夜の就寝環境は普段と比べて少し不快だった
5 : 昨夜の就寝環境は普段と比べてとても不快だった
Figure 2009235050
表1より、塩酸ジフェンヒドラミンとヘプロニカートを組み合わせることで、塩酸ジフェンヒドラミン単独の場合よりも官能評価項目の全ての項目が改善されることが示された。従って、ヘプロニカートは、塩酸ジフェンヒドラミンの睡眠導入作用を増強し、就寝時及び翌日のQOL改善にも寄与していることが分かった。
製 剤 例 1
深部体温低下剤(1):
ヘプロニカート100g及びコーンスターチ100gを均一に混合した後、それを1カプセルにつき200mgとなるように充填して硬カプセル剤を得た。
製 剤 例 2
睡眠導入組成物(1):
ヘプロニカート100g、塩酸ジフェンヒドラミン50g、結晶セルロース100g、乳糖48g、タルク1g及びステアリン酸マグネシウム1gを均一に混合した後、それを1錠あたり150mgとなるように圧縮成型し、錠剤を得た。
製 剤 例 3
深部体温低下剤(2):
イノシトールヘキサニコチネート500g及び植物油1500gを攪拌混合して得られた組成物を、楕円形カプセル型を取りつけたソフトカプセル連続自動製造機に供給し、内容物200mgのソフトカプセルを得た。なお、ソフトカプセルの製造に用いたゼラチン皮膜は、ゼラチン2.5kg、濃グリセリン0.75kg及び精製水2.3kgを混合して得られた物である。
製 剤 例 4
睡眠導入組成物(2):
イノシトールヘキサニコチネート500g、塩酸ジフェンヒドラミン500g及び植物油1500gを攪拌混合して得られた組成物を、楕円形カプセル型を取りつけたソフトカプセル連続自動製造機に供給し、内容物250mgのソフトカプセルを得た。なお、ソフトカプセルの製造に用いたゼラチン皮膜は、ゼラチン2.5kg、濃グリセリン0.75kg及び精製水2.3kgを混合して得られた物である。
製 剤 例 5
深部体温低下剤(3):
ニコモール200g、乳糖50g、結晶セルロース42g、カルメロースナトリウム6g及びステアリン酸マグネシウム2gを均一に混合した後、それを1錠あたり300mgとなるように圧縮成型し、錠剤を得た。
製 剤 例 6
睡眠導入組成物(3):
ニコモール200g、塩酸ジフェンヒドラミン50g、乳糖48g及びタルク2gを均一に混合した後、それを1カプセルにつき150mgとなるように充填して硬カプセル剤を得た。
製 剤 例 7
深部体温低下剤(4):
ニセリトロール250g、乳糖50g、結晶セルロース40g、カルメロースカルシウム7g及びステアリン酸マグネシウム3gを均一に混合した後、それを1錠あたり350mgとなるように圧縮成型し、錠剤を得た。
製 剤 例 8
睡眠導入組成物(4):
ニセリトロール125g、塩酸ジフェンヒドラミン25g、乳糖10g、結晶セルロース32g、カルメロースカルシウム6g及びステアリン酸マグネシウム2gを均一に混合した後、それを1錠あたり200mgとなるように圧縮成型し、錠剤を得た。
製 剤 例 9
深部体温低下剤(5):
ニコチン酸アミド2g、ハチミツ550g、70%D−ソルビトール液50g、安息香酸ナトリウム1.8、カラメル1g、クエン酸ナトリウム2g及び香料2.5gをクエン酸でpH4.8に調整しながら精製水に溶解し、全量を3Lとして、液剤を得た。
製 剤 例 10
睡眠導入組成物(5):
ニコチン酸アミド2.5g、塩酸ジフェンヒドラミン5g、ハチミツ550g、70%D−ソルビトール液50g、安息香酸ナトリウム1.8g、カラメル1g、クエン酸ナトリウム2g及び香料2.5gをクエン酸でpH4.3に調整しながら精製水に溶解し、全量を3Lとして、液剤を得た。
以上説明した本発明の深部体温低下剤は、ニコチン酸等の作用により、深部体温を低下させることができるものであり、熱中症の治療や予防、深部体温の上昇に伴う疲労、夏バテ等を軽減させることができるものである。
また、上記深部体温低下剤は、睡眠剤または睡眠導入剤等の睡眠導入成分による睡眠状態への移行を高めることができるため、睡眠導入効果増強剤としても利用できるものである。
更に、前記ニコチン酸等を睡眠剤または睡眠導入剤等の睡眠導入成分、特に抗H1ヒスタミン剤と組み合わせた睡眠導入組成物は、ニコチン酸等の深部体温低下作用により入眠させ易くすることができるものであるため、より好ましい睡眠導入効果を得ることができるものである。
ラットに異なる濃度のニコチン酸を投与した場合の尾部血流量の変化を示す図面である(n=6)。 ラットにニコチン酸を投与した場合の深部体温の変化を示す図面である(n=3)。 マウスにニコチン酸を投与した場合のペントバルビタールナトリウム誘発睡眠導入時間に対する影響を示す図面である(n=5〜6)。 マウスにニコチン酸を投与した場合のペントバルビタールナトリウム誘発睡眠時間に対する影響を示す図面である(n=5〜6)。 マウスに塩酸ジフェンヒドラミンを単独投与した場合またはニコチン酸と塩酸ジフェンヒドラミンを併用投与した場合のペントバルビタールナトリウム誘発睡眠時間に対する影響を示す図面である(n=5〜6)。 以 上

Claims (4)

  1. ニコチン酸およびその塩ならびにその誘導体を有効成分として含有する深部体温低下剤。
  2. ニコチン酸およびその塩ならびにその誘導体を有効成分として含有する睡眠導入効果増強剤。
  3. ニコチン酸およびその塩ならびにその誘導体と睡眠剤または睡眠導入剤とを含有する睡眠導入組成物。
  4. 睡眠剤または睡眠導入剤が、抗H1ヒスタミン剤である請求項3記載の睡眠導入組成物。
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