JP6226962B2 - ノンレム睡眠促進剤、深睡眠促進剤、自然睡眠誘発剤、および睡眠初期デルタパワー向上剤 - Google Patents

ノンレム睡眠促進剤、深睡眠促進剤、自然睡眠誘発剤、および睡眠初期デルタパワー向上剤 Download PDF

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Description

本発明は、ノンレム睡眠促進剤、深睡眠促進剤および自然睡眠誘発剤に関する。
睡眠は、脳波パターンによりレム睡眠とノンレム睡眠との2種類に分類される。レム睡眠は、全身は脱力状態にあるが脳の一部は活発に活動しており、急速眼球運動を伴う睡眠状態である。ノンレム睡眠は、大脳がほとんど活動せず、急速眼球運動を伴わない睡眠状態である。ノンレム睡眠は、さらに睡眠の深さによって、睡眠の浅い順に、I層、II層、III層、およびIV層の4段階に分けられる。睡眠の深さが、I層からIV層のうち、III層およびIV層にある睡眠を、特に「深睡眠」(または徐波睡眠)という(図1)。
一般的に、ヒトは、レム睡眠およびノンレム睡眠を一晩中に約4〜5回周期的に繰り返したのち、睡眠の深さが浅くなり覚醒すると、快適な睡眠であると感じる。一方、就寝からノンレム睡眠出現までの時間(入眠潜時)が長かったり、ノンレム睡眠の時間が短かったり、深いノンレム睡眠が得られていなかったり、中途覚醒が起こったりした場合などは、ヒトは不満足な睡眠であると感じる傾向がある。
近年、24時間社会化が進むにつれ、日本人の平均睡眠時間は大きく減少し、それと共に、睡眠への不満を訴える患者数が増加している。平成8年における健康づくりに関する意識調査によれば、21.4%の人が何らかの睡眠への不満を訴えていることが報告されている。また、高齢者では低年齢者と比較してノンレム睡眠時間が大きく減少しており、加齢により睡眠の質が低下していることが報告されている。このような状況は、今日でも改善されておらず、むしろ悪化しているおそれさえある。
睡眠に対する不満として、例えば、寝つきが悪い、悪夢を見る、朝起きたとき眠気がする、ぐっすり眠った感じがしない、朝起きても疲労が残っている、昼間に眠気を感じる、等が挙げられる。これらにより仕事の効率が低下したり、思わぬ事故につながったりする。これらの原因として、睡眠時間が短いことだけではなく、良質の睡眠が得られていないことが挙げられる。すなわち、就寝からノンレム睡眠出現までの時間(入眠潜時)が長かったり、ノンレム睡眠の時間が短かったり、深いノンレム睡眠が得られていないためである。
これらの症状に対し医薬品の睡眠薬の利用が考えられる。しかし、睡眠薬を利用する際には医師の診断が必要である。また、睡眠薬には目覚めの悪さ、記憶障害、依存性などの副作用があり得る。このように、医薬品としての睡眠薬は、手軽に安全に利用することが困難な場合が多い。医薬品の中には、ベンゾジアゼピン系睡眠薬、バルビツール酸系鎮静麻酔薬のように、ノンレム睡眠を減少させる医薬品もあり、正しく使用しなければかえって睡眠の質が低下することもある。医薬品による睡眠誘導では、自然で快適な睡眠は得にくいのが現状である。
医薬品に限らず、天然成分や飲食品からの睡眠改善成分の研究開発も盛んに行われており、種々の睡眠改善剤が提案されている。しかしながら、天然成分や飲食品として利用可能な成分については、必ずしも十分な効果が得られておらず、さらに新たな成分の探索が求められている。
特許文献1には、バルビツール系鎮静麻酔薬であるペントバルビタールに、5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンを組み合わせて使用したことが記載されている。特許文献1によれば、マウスにおける、ペントバルビタールによって誘発された睡眠の期間が、5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンを筋肉内に投与することによって87%増加したと記載されている。
特開平01−301692号公報
本発明は、自然睡眠を促す新たな剤を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するための下記の手段を提供する。
〔1〕メチルチオアデノシンまたはその塩を含有する、ノンレム睡眠促進剤。
〔2〕メチルチオアデノシンまたはその塩を含有する、深睡眠促進剤。
〔3〕メチルチオアデノシンまたはその塩を含有する、自然睡眠誘発剤。
〔4〕上記〔1〕のノンレム睡眠促進剤、上記〔2〕の深睡眠促進剤または上記〔3〕の自然睡眠誘発剤を含有する、内服組成物。
本発明によれば、自然睡眠において、深睡眠を促進することができ、良好な自然睡眠を誘発できる。
図1は、レム睡眠とノンレム睡眠の一般的なパターンを示す睡眠経過図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の深睡眠促進剤は、メチルチオアデノシンまたはその塩を有効成分として含有する。本明細書において、メチルチオアデノシンは、5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンを意味する。5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシンは、アンチ(anti)型またはシン(syn)型のいずれの形態であってもよい。なお、以下本明細書においては、メチルチオアデノシンまたはその塩を、MTAと略称する場合がある。
本発明の深睡眠促進剤の有効成分であるMTAは、自然睡眠においてノンレム睡眠、特に深睡眠を促進することができる。
睡眠は、脳波パターンによりレム睡眠とノンレム睡眠との2種類に分類される。レム睡眠は、全身は脱力状態にあるが脳の一部は活発に活動しており、急速眼球運動を伴う睡眠状態である。ノンレム睡眠は、大脳がほとんど活動せず、急速眼球運動を伴わない睡眠状態である。一般的に、ヒトは、レム睡眠およびノンレム睡眠を一晩中に約4〜5回周期的に繰り返す。ノンレム睡眠はポリソムノグラフ解析(脳波、眼電図、筋電図)により判定できる。脳波としては、アルファ波(ヒトでは8-13Hz)の減少、およびデルタ波(ヒトでは0.5-4.5Hz)の増加によりノンレム睡眠を判定することができる。測定した脳波を、SleepSignなどの自動解析ソフトを用いても判定することができる。
「深睡眠」とは、ヒトの場合、睡眠の深さが一定以上の睡眠のことを言い、ノンレム睡眠をI〜IV層の4段階に分類した際のIII層およびIV層の深さにある睡眠状態のことをいう。III層およびIV層の睡眠中は、脳波全体(0.5〜20Hz)に対するデルタ波(0.5〜4.5Hz)の占有率が一定以上であることを示すが、占有率が高いほどデルタパワー値が高いことが知られている。したがって、深睡眠とはデルタパワー値が高い睡眠とも定義することもできる。デルタパワー値は、例えば、ポリソムノグラフィー検査装置などを用いて測定することができる。睡眠の深さと時間の積算である「深睡眠の大きさ」は、デルタパワー値に時間を乗じた値と定義される。
マウスやモルモットの睡眠には、ヒトのIII層およびIV層の睡眠に対応した一般的な判定基準は現在ないため、マウスやモルモットの睡眠にはデルタパワー値そのものを用い、さらにデルタパワー値に時間を乗じた値を、深睡眠の大きさとし得る。
ノンレム睡眠はポリソムノグラフ解析(脳波、眼電図、筋電図)により判定できる。脳波としては、アルファ波の減少、およびデルタ波の増加によりノンレム睡眠を判定することができる。測定した脳波を、SleepSign(登録商標)などの自動解析ソフトを用いても判定することができる。
「ノンレム睡眠を促進する」とは、対比される状態(例えば、本発明の内服組成物の摂取前の状態)と比べて、1)ノンレム睡眠の状態がより長時間観察されること、2)ノンレム睡眠の深さがより深まること、または、3)ノンレム睡眠への移行がより円滑に進むこと、のいずれかの効果が観察されることをいう。
「深睡眠を促進する」とは、対比される状態(例えば、深睡眠促進剤投与前の状態)と比べて、1)深睡眠の状態がより長時間観察されること、2)深睡眠の深さがより深まること、または、3)深睡眠への移行がより円滑に進むこと、のいずれかの効果が観察されることをいう。マウスやモルモットを用いた実験系の場合には、上記のデルタパワー値に時間を乗じた値が大きくなることをいう。
「自然睡眠」とは、正向反射消失を生じない睡眠のことをいう。「正向反射」とは、頭部を重力の方向に対して正常の位置を回復するようにする反射運動であり、立ち直り反射ともいわれる。
マウスまたはラットにおける正向反射消失は、例えば、仰臥位または背位に置かれたマウスまたはラットが、30秒以内に腹位に戻らない状態として確認し得る。睡眠状態にあるマウスまたはラットを仰臥位または背位に置いたときに、即座に睡眠から覚めたり、または速やかに腹位に戻ったりするような場合、その睡眠は、正向反射を消失してない睡眠である。ヒトでは、動物で定義されている「正向反射」に相当する言葉はない。しかしながら、ヒトにおいて「正向反射を消失しない」状態は、肩を叩かれた際にすぐに目が覚める等、容易に覚醒可能な睡眠がこれに該当し、自然睡眠と定義することができる。
自然睡眠に対し、麻酔は正向反射消失を引き起こす。マウスまたはラットにおける正向反射消失は、麻酔効果の評価指標として知られている。ペントバルビタールなどの麻酔薬またはその他の薬剤による麻酔効果は、上記の正向反射消失動物数の増加により評価され得る。また、麻酔または従来の医薬品としての睡眠薬を使用した際の睡眠時、麻酔または従来の睡眠薬を使用しない際の睡眠時の脳波について、フーリエ変換解析による周波数の分布解析を行うと、麻酔または従来の睡眠薬を使用した際の睡眠(催眠とも呼ばれる)と、麻酔または従来の睡眠薬を使用しない際の睡眠とでは、共にデルタ波(0.5〜4.5Hz)の脳波が増加するが、麻酔または従来の睡眠薬を使用した際の睡眠(催眠とも呼ばれる)においては、15〜20Hzに、麻酔または従来の睡眠薬を使用しない睡眠時には見られない周波数帯の脳波の増加が観察される。麻酔または従来の睡眠薬を使用しない睡眠時には見られない周波数帯の脳波が何に由来しているかについては、現在明らかになっていないが、麻酔または従来の睡眠薬による目覚めの悪さなどとの関連性が推定されている。
なお、上記特許文献1では、5’−デオキシ−5’−メチルチオアデノシン自体の活性については、抗炎症活性、鎮痛活性、解熱活性、血漿抗凝集活性の他、催眠活性について記載がなされているものの、催眠活性については、上記のように正向反射消失を惹起する麻酔薬であるペントバルビタールの効果を補助するものとして扱われているに過ぎない。
本発明の深睡眠促進剤においては、MTA(メチルチオアデノシンまたはその塩)は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。「組み合わせて用いる」ことには、混合して混合剤として用いること、個別の成分を個別形態で併用(例えば、個別の丸剤、錠剤またはカプセル剤等の併用)することが含まれ得る。
メチルチオアデノシンの塩としては、薬理学的に許容される塩であれば特に限定はなく、例えば、投与形態、投与量に応じて選択することができる。好適なメチルチオアデノシンの塩としては、例えば、酸付加塩が挙げられる。酸付加塩としては、無機酸付加塩および有機酸付加塩のいずれであってもよく、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、メタンスルホン酸塩、1,4−ブタンジスルホン酸塩、1,5−ペンタンスルホン酸塩及びp−トルエンスルホン酸塩が挙げられる。
MTAは、公知の方法で得ることができ、また市販品を利用することができる。
本発明の深睡眠促進剤中のMTAの含有量は、特に制限はなく、効果を発揮し得る有効量などの諸条件に応じて適宜調整し得る。
本発明の深睡眠促進剤は、MTAに加えて、睡眠において深睡眠を促進し得る成分と混合または併用してもよい。また、本発明の深睡眠促進剤は、本発明の効果を本質的に損なわない限り、MTA以外の他の睡眠薬と混合してもよい。ここで他の睡眠薬としては、例えば、睡眠改善剤、睡眠誘発剤などと称されるものが含まれ得る。但し、正向反射消失を生じるような種類または量の麻酔薬との混合または併用形態は除かれる。
本発明の深睡眠促進剤は、実質的にMTAのみからなる製剤、または、MTAとMTA以外の1種または2種以上の成分とを含有する製剤とし得る。
本発明の深睡眠促進剤に含まれるMTA以外の成分は、本発明の効果を本質的に損なわない限り、特に限定されない。本発明の深睡眠促進剤に配合し得るMTA以外の任意成分としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、着色剤、発色剤、矯味剤、着香剤、酸化防止剤、防腐剤、呈味剤、酸味剤、甘味剤、強化剤、ビタミン剤、膨張剤、増粘剤、界面活性剤などの薬理学的に許容可能な添加剤が挙げられる。これらの中から、自然睡眠において深睡眠を促進する効果、製剤に必要な諸特性(例えば、製剤安定性)を損なわず、かつ、最終製品(例えば、飲食品、医薬品、医薬部外品、栄養補助製品(サプリメント)など)の剤形に応じた添加剤を1種または2種以上選択し得る。本発明の深睡眠促進剤に含まれるMTA以外の成分は、1種でも2種以上の組み合わせであってもよい。
本発明の深睡眠促進剤の剤形は、MTAを有効成分とし得る形態であれば特に制限はない。経口投与される際の剤形の例としては、液状(液剤)、シロップ状(シロップ剤)、固形状(錠剤)、カプセル状(カプセル剤)、粉末状(顆粒、細粒)、ソフトカプセル状(ソフトカプセル剤)、半液体状、クリーム状、ペースト状が挙げられる。非経口投与する場合の剤形の例としては、液剤(注射剤、点鼻剤)、霧状(噴霧剤、吸入剤)などが挙げられる。これらの製剤は、MTAを薬理的に許容される媒体と混合して調製し得る。
本発明の深睡眠促進剤の投与量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限は無く、適応される被投与生体の年齢、状態などの要因により適宜調整し得る。目的の効果を得る好ましい投与量は、1日あたりのMTAの投与量(mg/日)として、その下限は、好ましくは0.01mg以上、より好ましくは0.1mg以上、さらに好ましくは1mgであり、その上限は、好ましくは1000mg以下であり、より好ましくは500mg以下であり、さらに好ましくは100mg以下である。
本発明の深睡眠促進剤の投与形態は特に限定されない。例えば、経口投与(例えば、口腔内投与、舌下投与など)、非経口投与(静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、経皮投与、経鼻投与、経肺投与など)などが挙げられる。これらの中でも侵襲性の少ない投与形態が好ましく、経口投与であることがより好ましい。
本発明の深睡眠促進剤の投与時期は特に限定されないが、通常は就寝前に投与され、就寝3時間前から就寝までの間に投与されることが好ましく、就寝2時間前から就寝の間に投与されることがより好ましく、就寝1時間前から就寝の間に投与されることがさらに好ましく、就寝1時間前に投与されることが特に好ましい。
本発明の深睡眠促進剤の摂取対象者は特に限定されない。摂取対象者としては、例えば、眠りが浅い、起床時にまだ眠い、寝つきが悪い、熟眠感が足りない(深く眠れない)、夢見が悪い、睡眠後にも疲れが取れないなど、主観的睡眠感に不満がある対象者、疲労感を感じており主観的睡眠感を向上させたい対象者などが挙げられる。また、特段の問題のない対象者も、良好な睡眠の維持、睡眠障害の予防、自然睡眠において深睡眠をより促進することなどを目的として日常的に摂取し得る。
本発明の深睡眠促進剤は、飲食品用の添加剤、医薬用の添加剤、医薬部外品用の添加剤として用いてもよい。これにより、飲食品、医薬、および、医薬部外品に、自然睡眠において深睡眠を促進する効果を付与することができる。
本発明の深睡眠促進剤は、飲食品関連、例えば、健康食品、機能性食品、栄養補助食品(サプリメント)、特定保健用食品、医療用食品、病者用食品、乳児用食品、介護用食品、高齢者用食品等に配合して用い得る。
本発明の深睡眠促進剤を配合し得る飲食品に特に制限はなく、例えば、飲料(清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、粉末飲料、果実飲料、乳飲料、ゼリー飲料など)、菓子類(クッキー、ケーキ、ガム、キャンディー、タブレット、グミ、饅頭、羊羹、プリン、ゼリー、アイスクリーム、シャーベットなど)、水産加工品(かまぼこ、ちくわ、はんぺんなど)、畜産加工品(ハンバーグ、ハム、ソーセージ、ウィンナー、チーズ、バター、ヨーグルト、生クリーム、マーガリン、発酵乳など)、スープ(粉末状スープ、液状スープなど)、主食類(ご飯類、麺(乾麺、生麺)、パン、シリアルなど)、調味料(マヨネーズ、ショートニング、ドレッシング、ソース、たれ、しょうゆなど)が挙げられる。
本発明の深睡眠促進剤は、下記の実施例に示すように、睡眠中のノンレム睡眠時間を本発明の深睡眠促進剤が投与されていない場合よりも増加させることができる。したがって、深睡眠時間の短縮もしくは深睡眠の深さの減少、またはその両方による睡眠の質低下が関連する疾病の予防および治療への応用も期待される。
本発明は、さらに自然睡眠誘発剤を提供する。上記深睡眠促進剤は、自然睡眠下で深睡眠を促進することができるため、自然睡眠誘発剤としても使用し得る。「自然睡眠を誘発する」とは、正向反射消失の起こらない睡眠を誘発することをいう。本発明の自然睡眠誘発剤は、自然睡眠下で深睡眠が促進できるため、良好な睡眠パターンを維持すること、または乱れてしまった睡眠パターンを良好な睡眠パターンに回復することなどに寄与し得る。本発明の自然睡眠誘発剤の投与量は、自然睡眠を誘発し得る有効量の範囲で適宜調整し得る。その他、本発明の深睡眠促進剤の実施形態は、上記本発明の深睡眠促進剤の実施形態を適用してよい。
本発明の深睡眠促進剤または自然睡眠誘発剤は、これら以外に内服に適した1種または2種以上の成分と組み合わせて、内服組成物とし得る。本発明の内服組成物は、自然睡眠において深睡眠を促進する効果を有する成分を、経口摂取により簡易に得ることができる。内服組成物とする場合、内服に適した形態であれば特にその形態に制限はなく、薬理学的に許容される内服可能な媒体と混合して得ることができる。深睡眠促進剤または自然睡眠誘発剤の有効成分であるMTAの他の任意成分は、上記にて深睡眠促進剤に関して説明した任意成分を同様に適用し得る。
また、本発明は、他の側面において、下記の実施形態を提供し得る。
(1)メチルチオアデノシンまたはその塩を投与する、深睡眠促進方法または自然睡眠誘発方法。
(2)メチルチオアデノシンまたはその塩を経口投与する、上記(1)の方法。
(3)メチルチオアデノシンまたはその塩の、深睡眠促進剤または自然睡眠誘発剤を製造するための使用。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
<実験例1>(マウスにおける評価)
日本SLCより購入した8週齢雄性C57BL/6マウスに、脳波および筋電用の電極を装着した。電極装着後、回復チャンバーにて10日間回復させた。その後、記録用チャンバーに移し、ケーブルを接続した。脳波解析ソフトであるSleepSign(登録商標)Ver 3.0(キッセイコムテック株式会社)にて脳波判別が可能であったマウスを、3日間馴化させた。さらに、脳波を24時間測定し、睡眠覚醒リズムが維持されているマウスに対して、投与群分けを実施した。投与群は、体重当たりのMTA投与量を、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、または30mg/kgとする4つの群と、コントロール溶液を投与する群に分けた。各投与群のマウスは8匹とした(n=8)。MTAは、シグマ−アルドリッチ社から市販されている製品(商品名:5'−Deoxy−5'−(methylthio)adenosine)を用いた。コントロール溶液は、0.5質量%メチルセルロース水溶液を用いた。なお、メチルセルロースは、シグマ−アルドリッチ社市販品(商品名:Methyl cellulose、2%水溶液、20℃での、粘度が25cPのもの)を用いた。
暗期開始直前に、0.5質量%メチルセルロース水溶液10mLに5mg、10mg、15mg、30mgのMTAを懸濁してMTA溶液を調製した。各群のマウスにMTA溶液もしくはコントロール溶液を、10mL/kgとなるように強制経口投与し、24時間脳波を記録した。記録後、脳波をSleepSign(登録商標)Ver 3.0により自動解析を行い、評価実施者がその自動解析の結果を確認して、覚醒、レム睡眠およびノンレム睡眠の各睡眠ステージに分類した。
脳波測定開始から4時間後までのノンレム睡眠時間の総積算量(単位:sec)を算出し、同じ個体の非投与時(baseline)のノンレム睡眠量に対する百分率を求めた(表1:睡眠量(4時間のノンレム睡眠量)の欄に平均値を示した)。
深睡眠においては、脳波としてデルタ波が検出される。そこで、マウスにおける深睡眠の大きさを求めるため、ノンレム睡眠状態における10秒あたりのデルタパワー値(単位:μV/10sec)を、SleepSign(登録商標)Ver3.0を用いて測定し、脳波測定時間4時間中のデルタパワー値の総積算量(μV)を算出し、同じ個体の非投与時(baseline)の場合に対する百分率を求めた(表1:深睡眠の大きさ(深さ×時間)の欄に平均値を示した)。
Figure 0006226962
なお、脳波測定を行った日とは別の日に、各懸濁液を10mL/kg投与した実施例および比較例の全てのマウスにおいて、仰臥位にさせるために触れた際、覚醒を示した。このことから、これらの睡眠は、「正向反射を消失していない」状態であることを確認した。
<実験例2>(ヒトにおける評価)
MTA含有酵母培養物は、以下のようにして調製した。市販のS−アデノシルメチオニン含有酵母培養物粉末(メーカー名:三菱ガス化学株式会社、商品名:SAMe含有乾燥酵母)を120℃で20分加熱処理した。得られた酵母培養物中のメチルチオアデノシン含有量は320mg、酵母培養物(MTAを含む)の乾燥重量は5000mg、MTA以外の酵母培養物の乾燥重量は4680mgであった。すなわち、酵母培養物に対するメチルチオアデノシン含有量の質量比は6.4質量%であった。
実施例5のサンプルとして、上記のMTA含有酵母を配合した錠剤(4錠中のメチルチオアデノシン含有量:21mg)を用意した。また、比較例2のサンプルとして、MTA含有酵母を含まないプラセボの錠剤を用意した。各組成の詳細は、表2に示すとおりである。
Figure 0006226962
6名の被験者に上記実施例5のサンプル錠剤4錠を就寝1時間前に経口摂取させ、2電極方式の携帯型脳波測定器(スリープウェル(株)社製「脳波計スリープスコープ」)を装着し、被験者の睡眠中における脳波を測定した。また、同様にして、同じ被験者6名に上記比較例サンプルの錠剤4錠を就寝1時間前に経口摂取させ、2電極方式の携帯型脳波測定器(スリープウェル(株)社製「脳波計スリープスコープ」)を装着し、被験者の睡眠中における脳波を測定した。各被験者に対して、実施例5のサンプルおよび比較例2のサンプルそれぞれについて、投与および脳波測定を4回行った。
また、上記投与および脳波測定とは別の機会に、各サンプルを同じ被験者6名に経口摂取させ、被験者が就寝後、被験者の肩を叩いた。その結果、被験者が容易に目を覚ますこと、すなわち各サンプルを各被験者に経口摂取させた後の睡眠は、自然睡眠であることを各被験者について確認した。
(脳波解析)
脳波は、スリープウェル(株)に依頼して解析した。睡眠の深さは睡眠中脳波のデルタパワー値によって知ることができ、デルタパワー値が大きいほど睡眠の深さは深い。一般に、就寝直後にノンレム睡眠が出現し、その後レム睡眠が出現する。本実験では、就寝直後に出現したノンレム睡眠中のデルタパワー値(すなわち、就寝後一旦ノンレム睡眠に入ったその後にレム睡眠が出現するまでのデルタパワー値)を、睡眠初期のデルタパワー値とした。
デルタパワー値は、個々人により異なる。そこで、実施例サンプルまたは比較例サンプルを経口摂取させた後の、睡眠初期におけるデルタパワー値を被験者ごとに4回測定し、4回の測定値の平均値を算出した。被験者ごとに、プラセボ(比較例サンプル)摂取後のデルタパワー値に対する、MTA含有酵母培養物(実施例サンプル)摂取後におけるデルタパワー値の変化率(%)を下式(1)により算出した。
式(1):
デルタパワー値の変化率(%)=
{(MTA含有酵母摂取後のデルタパワー値の平均値)
/(プラセボ摂取後のデルタパワー値の平均値)}×100
表3にデルタパワー値の変化率を示す。デルタパワー値の変化率は、被験者6人の平均値である。
Figure 0006226962
表3から、以下のことが分かる。サンプルとしてMTA含有酵母培養物の錠剤を経口摂取させた実施例5では、プラセボ錠を経口摂取させた比較例2に比べ、睡眠初期のデルタパワー値が大きい。このことは、本発明のMTAが睡眠初期のノンレム睡眠を十分深めることができること、これにより、睡眠を促進することができ、良好な自然睡眠を誘発することができることを示している。

Claims (8)

  1. メチルチオアデノシンまたはその塩を含有する、ノンレム睡眠促進剤。
  2. メチルチオアデノシンまたはその塩を含有する、深睡眠促進剤。
  3. メチルチオアデノシンまたはその塩を含有する、自然睡眠誘発剤。
  4. メチルチオアデノシンまたはその塩を含有する、睡眠初期デルタパワー向上剤。
  5. 1日あたりのメチルチオアデノシンまたはその塩の投与量が0.01〜1000mgである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の剤。
  6. メチルチオアデノシンまたはその塩を含有する、ノンレム睡眠促進用、深睡眠促進用、自然睡眠誘発用、又は睡眠初期デルタパワー向上用内服組成物。
  7. メチルチオアデノシンまたはその塩を含有する、ノンレム睡眠促進用、深睡眠促進用、自然睡眠誘発用、又は睡眠初期デルタパワー向上用食品組成物。
  8. 1日あたりのメチルチオアデノシンまたはその塩の投与量が0.01〜1000mgである、請求項6又は7に記載の組成物。
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