JP6152699B2 - トナー収容容器、及び画像形成装置 - Google Patents

トナー収容容器、及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、トナー収容容器、及び画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置は、粉体である現像剤を収納した粉体収納容器であるトナー容器から現像剤であるトナーを粉体搬送装置で現像装置に供給(補給)している。
例えば、回転自在な筒状の粉体収納部材と、紛体収納部材に固定された搬送管受入部材と、搬送管受入部材に設けられた開口部と、トナーを容器本体が回転することで容器内において上方に持ち上げる汲み上げ部と、を有するトナー収容容器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この提案の技術では、容器本体の回転に伴って汲み上げ部によりトナーが持ち上げられ、当該回転中に汲み上げ部よりトナーが落下して搬送管の内部にトナーが供給される。
しかし、汲み上げ部によってトナーを汲み上げて、搬送管の内部に供給する構成を採用する方式の場合、トナーボトル内のトナー残量が少なくなってくると、トナーの種類によっては、現像装置へのトナー補給が困難で、特に低温定着性を有するトナーでは、凝集体が発生するという問題がある。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、低温定着性を有するトナーを用いても、トナーの凝集体の発生を防止するトナー収容容器を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
本願発明のトナー収容容器は、
トナー搬送装置に装着可能であり、前記トナー搬送装置に供給するトナーが収容された容器本体と、
前記容器本体の内部に配置され、前記トナーを前記容器本体における長手方向の一端側から容器開口部が設けられた他端側に搬送する搬送部と、
前記容器開口部に配置され、前記トナー搬送装置に固定された搬送管を受け入れ可能な管受入口と、
前記搬送部によって搬送された前記トナーを前記容器本体の下方から上方に持ち上げ、前記搬送管のトナー受入口に向けて移動させる汲み上げ部と、を備えるトナー収容容器において、
前記トナーは、結晶性ポリエステル樹脂(A)と、非結晶性樹脂(B)と、を含み、
トナーのTHF可溶分により求められたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布が1000〜10000の間にメインピークを有し、
該トナーを45℃の恒温槽内で12時間保存した後にフーリエ変換赤外分光分析測定装置を用いて全反射法により測定したとき、前記結晶性ポリエステル樹脂(A)に由来する特徴的なスペクトルのピーク高さをCとし、前記非結晶性樹脂(B)に由来する特徴的なスペクトルのピーク高さをRとして、ピーク高さ比(C/R)が0.03〜0.55であり、
前記容器本体が、前記容器開口部の容器本体内部側から、前記一端側に向かって突出している突出部を有し、
前記汲み上げ部が、前記容器本体内壁面から前記突出部に向かって伸び、且つ前記容器本体の長手方向軸線に沿って前記容器開口部に向かって傾斜した汲み上げ壁面と、前記突出部に沿うように湾曲する湾曲部と、を有し、
前記突出部が、前記トナー収容容器が前記トナー搬送装置に装着された際、前記湾曲部と挿入された前記搬送管のトナー受入口との間に存在するように設けられている、
ことを特徴とする。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決することができ、低温定着性を有するトナーを用いても、トナーの凝集体の発生を防止するトナー収容容器を提供することができる。
図1は、本発明の一例のトナー収容容器を装着する前のトナー搬送装置とトナー収容容器の断面説明図である。 図2は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 図3は、図2に示す画像形成装置の作像部の一構成を示す模式図である。 図4は、図2に示す画像形成装置におけるトナー補給装置にトナー収容容器が設置された状態を示す模式図である。 図5は、トナー補給装置にトナー収容容器が設置された状態を示す一例の概略斜視図である。 図6は、本発明のトナー収容容器の構成の一例を示す斜視説明図である。 図7は、トナー収容容器を装着する前のトナー搬送装置とトナー収容容器の一例の斜視説明図である。 図8は、トナー収容容器を装着した状態のトナー搬送装置とトナー収容容器の一例の斜視説明図である。 図9は、トナー収容容器を装着した状態のトナー搬送装置とトナー収容容器の一例の断面説明図である。 図10は、先端側のカバーを取り外した状態のトナー収容容器の一例の斜視説明図である。 図11は、容器本体からノズル受入部材を取り外した状態のトナー収容容器の一例の斜視説明図である。 図12は、容器本体からノズル受入部材を取り外した状態のトナー収容容器の一例の断面説明図である。 図13は、図12の状態からノズル受入部材を容器本体に取り付けた状態のトナー収容容器の一例の断面説明図である。 図14は、容器先端側から見たノズル受入部材の一例の斜視説明図である。 図15は、容器後端側から見たノズル受入部材の一例の斜視説明図である。 図16は、図13に示す状態のノズル受入部材の一例の断面図である。 図17は、図13に示す状態のノズル受入部材の一例の断面図である。 図18は、ノズル受入部材の一例の分解斜視図である。 図19(a)は、開閉部材と搬送管の装着動作時の状態を説明する一例の上方から見た平面視図である。図19(b)は、開閉部材と搬送管の装着動作時の状態を説明する一例の上方から見た平面視図である。図19(c)は、開閉部材と搬送管の装着動作時の状態を説明する一例の上方から見た平面視図である。図19(d)は、開閉部材と搬送管の装着動作時の状態を説明する一例の上方から見た平面視図である。 図20(a)は、一の実施形態における容器後端側から見た後端開口部とシャッタ抜け防止爪及び平面ガイド部との関係を示す拡大図である。図20(b)は、一の実施形態における容器後端側から見た後端開口部とシャッタ抜け防止爪及び平面ガイド部との関係を示す拡大図である。 図21は、他の実施形態における開閉部材と搬送管の当接状態を示す拡大断面図である。 図22は、他の実施形態における凝集抑制手段の突出量と画像中の黒ポチの発生の関係を示す予想図である。 図23は、他の実施形態における凝集抑制手段の別な構成を示す拡大図である。 図24は、搬送管の端面の変形例を示す拡大図である。 図25は、他の実施形態における主要部の構成を示す拡大斜視図である。 図26は、他の実施形態における開閉部材と搬送管の当接状態を示す拡大断面図である。 図27は、他の実施形態における開閉部材の端面に設けたシール部材と凝集抑制手段の構成を説明する拡大断面図である。 図28は、他の実施形態におけるシール部材の構成を示す拡大断面図である。 図29は、他の実施形態におけるシール部材の潰れ量を説明する拡大断面図である。 図30は、図9のE−E断面図である。 図31は、本発明のトナー収容容器の構成を示す斜視説明図である。 図32は、本発明のトナー収容容器の構成を示す断面斜視図である。 図33は、本発明のトナー収容容器の構成を示す側面図である。 図34は、本発明のトナー収容容器の構成を示す断面斜視図である。 図35は、本発明のトナー収容容器の構成を示す断面図である。 図36は、本発明のトナー収容容器の他の態様を示す斜視図である。 図37は、本発明のトナー収容容器の他の態様を示す断面図である。 図38(a)は、トナー収容容器にトナーを充填するときの製造工程の一例を説明するための図である。図38(b)は、トナー収容容器にトナーを充填するときの製造工程の一例を説明するための図である。 図39は、トナー収容容器内のトナー残量とトナー補給量との関係を示すグラフである。 結晶性ポリエステル樹脂(A)の結晶状態での特徴的なスペクトルのピーク高さC(1183cm−1、ベースライン:1158〜1201cm−1)を示すグラフである。 非結晶性樹脂(B)が非結晶性ポリエステルである場合の特徴的なスペクトルのピーク高さR(829cm−1、ベースライン:784〜889cm−1)を示すグラフである。 非結晶性樹脂(B)が非結晶性スチレン−アクリル系樹脂である場合の特徴的なスペクトルのピーク高さR(699cm−1、ベースライン:714〜670cm−1)を示すグラフである。 実施例で用いた結晶性ポリエステル樹脂a6のX線回折結果を表すグラフである。 実施例30のトナーのX線回折結果を表すグラフである。
本発明の第1のトナー収容容器は、トナーと、容器本体と、搬送部と、管受入口と、汲み上げ部と、を少なくとも備え、更に必要に応じて、その他の部材を備える。
前記トナーは、画像形成に用いられる。前記トナーは、結晶性ポリエステル樹脂(A)と、非結晶性樹脂(B)と、を含み、トナーのTHF可溶分により求められたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布が1000〜10000の間にメインピークを有し、該トナーを45℃の恒温槽内で12時間保存した後にフーリエ変換赤外分光分析測定装置を用いて全反射法により測定したとき、前記結晶性ポリエステル樹脂(A)に由来する特徴的なスペクトルのピーク高さをCとし、前記非結晶性樹脂(B)に由来する特徴的なスペクトルのピーク高さをRとして、ピーク高さ比(C/R)が0.03〜0.55である。
前記容器本体は、トナー搬送装置に装着可能であり、前記トナー搬送装置に供給する前記トナーを収容する。
前記搬送部は、前記容器本体の内部に配置され、前記トナーを前記容器本体における長手方向の一端側から容器開口部が設けられた他端側に搬送する。
前記管受入口は、前記容器開口部に配置され、前記トナー搬送装置に固定された搬送管を受け入れ可能である。
前記汲み上げ部(トナー移送部ともいう)は、前記搬送部によって搬送された前記トナーを前記容器本体の下方から上方に持ち上げ、前記搬送管のトナー受入口に向けて移動させる。
前記容器本体は、前記容器開口部の容器本体内部側から、前記一端側に向かって突出している突出部を有する。
前記汲み上げ部は、前記容器本体内壁面から前記突出部に向かって伸びる汲み上げ壁面と前記突出部に沿うように湾曲する湾曲部とを有する。
前記突出部は、前記トナー収容容器が前記トナー搬送装置に装着された際、前記湾曲部と挿入された前記搬送管のトナー受入口との間に存在するように設けられている。
前記突出部は、板状の部材であって、前記板状の部材の平らな側面が、前記湾曲部と、挿入された前記トナー搬送管のトナー受入口との間に存在するように設けられていることが好ましい。そうすることにより、板状の部材の平らな側面は、トナーを受け易く、前記汲み上げ部から前記トナー搬送管へのトナーの受け渡しが円滑に進む。
なお、前記平らな側面は、前記汲み上げ部に対向する前記板状の部材の面と略直交する側面である。
また、前記汲み上げ部は、前記容器本体内壁面から前記突出部に向かって隆起した隆起部を有する。前記隆起部には前記突出部に沿うように湾曲する湾曲部が設けられている。
前記突出部は、前記トナー収容容器が前記トナー搬送装置に装着された際、前記湾曲部と挿入された前記搬送管のトナー受入口との間に存在するように設けられている。
前記トナー収容容器は、前記汲み上げ部を2つ有し、前記トナー収容容器が前記トナー搬送装置に装着された際、前記2つの汲み上げ部がそれぞれに有する湾曲部と、挿入された前記搬送管のトナー受入口との間のそれぞれに、前記突出部が存在することが好ましい。そうすることにより、効率よくトナーの汲み上げが行われ、前記汲み上げ部から前記トナー搬送管へのトナーの受け渡しが円滑に進む。
2つの前記突出部は、前記トナー収容容器における長手方向の中心軸を挟んで対向して配置されていてもよいし、対向して配置されていなくてもよい。
(画像形成装置)
本発明の画像形成装置においては、前記トナー収容容器が画像形成装置本体に着脱可能に設置されている。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図2は、画像形成装置としての複写機(以下、複写機500という)に適用した、本発明の一実施形態について説明する。
図2は、本実施形態の複写機500の概略構成図である。複写機500は、複写機装置本体(以下、プリンタ部100という)、給紙テーブル(以下、給紙部200という)及びプリンタ部100上に取り付けるスキャナ(以下、スキャナ部400という)から構成されている。
プリンタ部100の上部に設けられたトナー収容容器収納部70には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した四つのトナー収容容器32(Y,M,C,K)が着脱自在(交換自在)に設置されている。トナー収容容器収納部70の下方には中間転写ユニット85が配設されている。
中間転写ユニット85は、中間転写体としての中間転写ベルト48、四つの一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)、二次転写バックアップローラ82、複数のテンションローラ、及び、不図示の中間転写クリーニング装置等で構成されている。中間転写ベルト48は、複数のローラ部材によって張架、支持されるとともに、この複数のローラ部材の一つである二次転写バックアップローラ82の回転駆動によって図2中の矢印方向に無端移動する。
プリンタ部100には、中間転写ベルト48に対向するように、各色に対応した四つの作像部46(Y,M,C,K)が並設されている。四つのトナー収容容器32(Y,M,C,K)の下方には、それぞれの色のトナー容器に対応した四つのトナー搬送装置としてのトナー補給装置60(Y,M,C,K)が配設されている。そして、トナー収容容器32(Y,M,C,K)に収容された粉体の現像剤であるトナーは、それぞれに対応するトナー補給装置60(Y,M,C,K)によって、各色に対応した作像部46(Y,M,C,K)の現像装置内に供給(補給)される。
図2に示すように、プリンタ部100は、四つの作像部46の下方に潜像形成手段である露光装置47を備えている。露光装置47は、スキャナ部400で読み込んだ原稿画像の画像情報に基づいて、感光体41(Y,M,C,K)の表面を露光走査し、各感光体の表面に静電潜像を形成する。画像情報はスキャナ部400からの読み込みではなく、複写機500に接続されたパーソナルコンピュータ等の外部装置から入力される画像情報であってもよい。
本形態において、露光装置47には、レーザーダイオードを用いたレーザービームスキャナ方式を用いているが、露光手段としてはLEDアレイを用いるものなど他の構成でもよい。
図3は、イエローに対応した作像部46Yの一構成を示す模式図である。
作像部46Yは、像担持体であるドラム状の感光体41Yを備える。作像部46Yは、帯電手段である帯電ローラ44Y、現像手段である現像装置50Y、感光体クリーニング装置42Y、不図示の除電装置等を感光体41Yの周囲に配設した構成である。そして、感光体41Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われることで、感光体41Y上にイエローのトナー画像が形成される。
なお、他の三つの作像部46(M,C,K)も、使用されるトナーの色が異なる点以外は、イエローに対応した作像部46Yとほぼ同様の構成となっていて、各感光体41(M,C,K)上にそれぞれの色のトナーに対応したトナー画像が形成される。以下、他の三つの作像部46(M,C,K)の説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部46Yのみの説明を行うことにする。
感光体41Yは、不図示の駆動モータによって図3中の時計回り方向に回転駆動される。感光体41Yは、帯電ローラ44Yと対向する位置で、感光体41Yの表面が一様に帯電される(帯電工程)。その後、感光体41Yの表面は、露光装置47から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程)。その後、感光体41Yの表面は、現像装置50Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像がイエローのトナーで現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程)。
中間転写ユニット85の四つの一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)は、それぞれ、中間転写ベルト48を感光体41(Y,M,C,K)との間に挟み込んで一次転写ニップを形成している。一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)には、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
現像工程でトナー像が形成された感光体41Yの表面は、中間転写ベルト48を挟んで一次転写バイアスローラ49Yと対向する一次転写ニップに達して、この一次転写ニップで感光体41Y上のトナー像が中間転写ベルト48上に転写される(一次転写工程)。このとき、感光体41Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。一次転写ニップでトナー像を中間転写ベルト48に転写した感光体41Yの表面は、感光体クリーニング装置42Yとの対向位置に達する。感光体41Y上に残存した未転写トナーは、この対向位置で感光体クリーニング装置42Yが備えるクリーニングブレード42aによって機械的に回収される(クリーニング工程)。最後に、感光体41Yの表面は、不図示の除電装置との対向位置に達して、この位置で感光体41Y上の残留電位が除去される。こうして、感光体41Y上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
このような作像プロセスは、他の作像部46(M,C,K)でも、イエローの作像部46Yと同様に行われる。即ち、作像部46(M,C,K)の下方に配設された露光装置47から、画像情報に基づいたレーザ光Lが、各作像部46(M,C,K)の感光体41(M,C,K)上に向けて照射される。詳しくは、露光装置47は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して各感光体41(M,C,K)上に照射する。その後、現像工程を経て各感光体41(M,C,K)上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト48上に転写する。
このとき、中間転写ベルト48は、図2中の矢印方向に走行して、各一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)の一次転写ニップを順次通過する。これにより、各感光体41(Y,M,C,K)上の各色のトナー像が、中間転写ベルト48上に重ねて一次転写され、中間転写ベルト48上にカラートナー像が形成される。
各色のトナー像が重ねて転写され、カラートナー像が形成された中間転写ベルト48は、二次転写ローラ89との対向位置に達する。この位置では、二次転写バックアップローラ82が、二次転写ローラ89との間に中間転写ベルト48を挟み込んで二次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト48上に形成されたカラートナー像は、二次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の記録媒体P上に、例えば二次転写バックアップローラ82に印加される転写バイアスの作用によって転写される。このとき、中間転写ベルト48には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。二次転写ニップを通過した中間転写ベルト48は、不図示の中間転写クリーニング装置の位置に達し、その表面上の未転写トナーが回収され、中間転写ベルト48上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
次に、記録媒体Pの動きについて説明する。
上述した二次転写ニップに搬送される記録媒体Pは、プリンタ部100の下方に配設された給紙部200に設けられた給紙トレイ26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されるものである。詳しくは、給紙トレイ26には記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図2中、反時計回り方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対28の二つのローラによって形成されるローラニップに向けて搬送される。
レジストローラ対28に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト48上のカラートナー像が二次転写ニップに到達するタイミングに合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されることで、記録媒体Pが二次転写ニップに向けて搬送される。これにより、記録媒体P上に、所望のカラートナー像が転写される。
二次転写ニップでカラートナー像が転写された記録媒体Pは、定着装置86の位置に搬送される。定着装置86では、定着ベルト及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラートナー像が記録媒体P上に定着される。定着装置86を通過した記録媒体Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。こうして、複写機500における一連の画像形成プロセスが完了する。
次に、作像部46における現像装置50の構成及び動作について、更に詳しく説明する。なお、ここではイエローに対応した作像部46Yを例に挙げて説明を行うが、他色の作像部46(M,C,K)においても同様の構成及び動作を行う。
現像装置50Yは、図3に示すように、現像剤担持体としての現像ローラ51Y、現像剤規制板としてのドクタブレード52Y、二つの現像剤搬送スクリュ55Y、及び、トナー濃度検知センサ56Y等で構成されている。現像ローラ51Yは、感光体41Yに対向し、ドクタブレード52Yは、現像ローラ51Yに対向する。二つの現像剤搬送スクリュ55Yは、二つの現像剤収容部(53Y,54Y)内に配設されている。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットローラ、及び、マグネットローラの周囲を回転するスリーブ等で構成されている。第一現像剤収容部53Y及び第二現像剤収容部54Y内には、キャリアとトナーとからなる二成分の現像剤Gが収容されている。第二現像剤収容部54Yは、その上方に形成された開口を介してトナー落下搬送経路64Yに連通している。トナー濃度検知センサ56Yは、第二現像剤収容部54Y内の現像剤G中のトナー濃度を検知する。
現像装置50Y内の現像剤Gは、二つの現像剤搬送スクリュ55Yによって、攪拌されながら、第一現像剤収容部53Yと第二現像剤収容部54Yとの間を循環する。第一現像剤収容部53Y内の現像剤Gは、現像剤搬送スクリュ55Yの一方に搬送されながら現像ローラ51Y内のマグネットローラにより形成される磁界によって現像ローラ51Yのスリーブ表面上に供給されて担持される。現像ローラ51Yのスリーブは、図3に矢印で示すように反時計回り方向に回転駆動し、現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。このとき、現像剤G中のトナーは、現像剤G中のキャリアとの摩擦帯電によりキャリアとは逆極性の電位に帯電して静電的にキャリアに吸着し、現像ローラ51Y上に形成された磁界によって引き寄せられるキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、図3中の矢印方向に搬送されて、ドクタブレード52Yと現像ローラ51Yとが対向するドクタ部に達する。現像ローラ51Y上の現像剤Gは、ドクタ部を通過する際にその量が規制されて適量化され、その後、感光体41Yとの対向位置である現像領域まで搬送される。現像領域では、現像ローラ51Yと感光体41Yとの間に形成された現像電界によって感光体41Y上に形成された潜像に現像剤G中のトナーが吸着される。現像領域を通過した現像ローラ51Yの表面上に残った現像剤Gは、スリーブの回転に伴い第1現像剤収容部53Yの上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
現像装置50Y内の現像剤Gは、トナー濃度が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置50Y内の現像剤Gに含まれるトナーの現像による消費量に応じて、トナー容器32Yに収容されているトナーが、トナー補給装置60Yを介して第二現像剤収容部54Y内に補給される。第二現像剤収容部54Y内に補給されたトナーは、二つの現像剤搬送スクリュ55Yによって、現像剤Gとともに混合、攪拌されながら、第一現像剤収容部53Yと第二現像剤収容部54Yとの間を循環する。
次に、トナー補給装置60(Y,M,C,K)について説明する。
図4は、トナー補給装置60Yにトナー収容容器32Yが装着された状態を示す模式図であり、図5は、トナー収容容器収容部70に四つのトナー収容容器32(Y,M,C,K)が装着された状態を示す概略斜視図である。
プリンタ部100のトナー収容容器収容部70に装着されたトナー収容容器32(Y,M,C,K)内のトナーは、図4に示すように各色の現像装置50(Y,M,C,K)内のトナー消費に応じて、適宜に各現像装置50(Y,M,C,K)内に補給される。このとき、トナー収容容器32(Y,M,C,K)内のトナーは、トナー色ごとに設けられたトナー補給装置60(Y,M,C,K)によって補給される。なお、四つのトナー補給装置60(Y,M,C,K)やトナー収容容器32(Y,M,C,K)は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造である。このため、以下、イエローに対応したトナー補給装置60Y及びトナー収容容器32Yのみの説明を行い、他の三つの色に対応したトナー補給装置60(M,C,K)及びトナー収容容器32(M,C,K)の説明を適宜に省略する。
トナー補給装置60Y(Y,M,C,K)は、トナー収容容器収容部70、搬送管としての搬送ノズル611(Y,M,C,K)、搬送部材としての搬送スクリュ614(Y,M,C,K)、トナー落下搬送経路64(Y,M,C,K)、容器回転駆動部91(Y,M,C,K)等で構成されている。
説明の便宜のため、トナー収容容器32Yのトナー補給装置60Yへの装着方向を基準にして、後述する容器本体33の容器開口部33a側を容器先端側とし、容器開口部33aの反対側(後述する把手部303側)を容器後端側とする。トナー収容容器32Yが図4中矢印Qの方向へ移動してプリンタ部100のトナー収容容器収容部70に装着されると、その装着動作に連動して、トナー収容容器32Yの容器先端側からトナー補給装置60Yの搬送ノズル611Yが挿入される。これにより、トナー収容容器32Y内と搬送ノズル611Y内とが連通する。この装着動作に連動して連通する構成についての詳細は後述する。
トナー収容容器の形態として、トナー収容容器32Yは、略円筒状のトナーボトルである。そして、トナー収容容器32Yは、主として、トナー収容容器収容部70に非回転で保持される容器先端側カバー34Yと、容器ギア301Yが一体的に形成されたトナー収納部材としての容器本体33Yとから主に構成される。容器本体33Yは、容器先端側カバー34Yに対して回転可能に保持されている。
トナー収容容器収容部70は、図5に示すように、主として、容器カバー受入部73と、容器受部72と、挿入口形成部71とで構成されている。容器カバー受入部73は、トナー収容容器32Yの容器先端側カバー34Yを保持するための部分である。容器受部72は、トナー収容容器32Yの容器本体33Yを支持するための部分である。挿入口形成部71は、容器受部72と、トナー収容容器32Yの装着動作時における挿入口を形成する部分である。複写機500の手前側(図2の紙面垂直方向手前側)に設置された不図示の本体カバーを開放すると、トナー収容容器収容部70の挿入口形成部71が露呈される。そして、各トナー収容容器32(Y,M,C,K)の長手方向を水平方向とした状態で、複写機500の手前側から各トナー収容容器32(Y,M,C,K)の着脱操作(トナー収容容器32の長手方向を着脱方向とする着脱操作)を行う。なお、図4中のセットカバー608Yは、トナー収容容器収容部70の容器カバー受入部73の一部である。
容器受部72は、その長手方向の長さが、容器本体33Yの長手方向の長さとほぼ同等になるように形成されている。容器カバー受入部73は、容器受部72における長手方向(着脱方向)の容器先端側に設けられ、挿入口形成部71は容器受部72における長手方向の一端側に設けられている。図5では四つのトナー収容容器32の直下に容器本体33の軸方向を長手として、挿入口形成部71から容器カバー受入部73まで続く溝がそれぞれ形成されている。この溝に嵌ってすべり移動を可能にするよう、容器先端側カバー34の下部の両側面には一対のスライドガイド361(図7)がある。容器受部72の溝にはその両側面から突き出る一対のスライドレールがある。この一対のスライドレールに上下から挟むように、スライドガイド361は容器本体33の回転軸と平行にスライド溝361aが形成されている。更に容器先端側カバー34は、トナー補給装置60に装着するときに、セットカバー608に設けられた補給装置側ロック部材と係合する容器ロック部339を備える。
そのため、トナー収容容器32Yの装着動作にともない、容器先端側カバー34Yは、挿入口形成部71を通過した後に、しばらく容器受部72上を滑動して、その後に容器カバー受入部73に装着される。
また、容器先端側カバー34には、図6に示すように、トナー収容容器32の使用状況等のデータを記録したIDタグ(IDチップ)700が設けられている。更に、容器先端側カバー34には、収納するトナーの色が異なるトナー収容容器32が他の色のセットカバー608に装着されることを防止する色非互換リブ34bを設けている。スライドガイド361が装着時に容器受部72のスライドレールと係合することで容器先端側カバー34の補給装置60上での姿勢が決まる。そして、容器ロック部339と補給装置側ロック部材609の位置合わせ、及びIDタグ700と本体側のコネクタの位置合わせをスムースに行うことができる。IDタグはトナー容器の情報(収容されているトナーの色、使用された回数等)を記憶する記憶素子が設けられている電子基板であり。本実施例の形態に限定されるものではない。また、IDタグが存在しない構成にしてもよい。
容器先端側カバー34Yが容器カバー受入部73に装着された状態で、図8に示すように駆動モータや駆動ギア等で構成されている容器回転駆動部91Yから容器駆動ギア601Yを介して、容器本体33Yに具備された容器ギア301Y(図10)に回転駆動が入力される。これにより、容器本体33Yが図4中の矢印A方向に回転駆動される。容器本体33Y自体が回転することで、容器本体33Yの内周面に螺旋状に形成された螺旋状突起302Y(回転搬送部)も回転し、容器本体33Yの内部に収容されたトナーが容器本体長手方向に沿って図4中の左側に位置する一端(把手部303側)から右側に位置する他端(容器開口部33a側)へ搬送される。これにより、他端33に設けられた容器先端側カバー34Y側から搬送ノズル611Y内にトナーが供給される。言い換えるなら螺旋状突起302Yが回転することでノズル受入口331Yに挿入された搬送ノズル611Yにトナーが供給される。
搬送ノズル611Y内には、搬送スクリュ614Yが配置されている。搬送スクリュ614Yは、容器回転駆動部91Yから搬送スクリュギア605Yに回転駆動が入力されることで回転し、搬送ノズル611Y内に供給されたトナーを搬送する。搬送ノズル611Yの搬送方向下流端は、トナー落下搬送経路64Yに接続されている。搬送スクリュ614Yによって搬送されたトナーは、トナー落下搬送経路64Yを自重落下して現像装置50Y(第二現像剤収容部54Y)内に補給される。
トナー収容容器32(Y,M,C,K)は、それぞれ、寿命に達したとき(収容するトナーがほとんどすべて消費されて空になったとき)に新品のものに交換される。トナー収容容器32の長手方向における容器先端側カバー34とは反対側の一端には把手部303が設けられており、交換の際には、作業者が把手部303を握って引き出すことで、装着されたトナー収容容器32を取り外すことが出来る。
トナー補給装置60Yでは、搬送スクリュ614Yの回転数によって現像装置50Yへのトナーの供給量を制御している。このため、搬送ノズル611Y内を通過したトナーは、現像装置50Yへの供給量を制御されることなく、トナー落下搬送経路64Yを介して、直接に現像装置50Yへと搬送される。本実施形態のように、搬送ノズル611Yをトナー収容容器32Yに挿入するトナー補給装置60Yであっても、トナーホッパ等のトナー1次貯留部を設けてもよい。
また、本実施形態のトナー補給装置60Yでは、搬送ノズル611Y内に供給されたトナーを搬送スクリュ614Yによって搬送する構成としているが、搬送ノズル611Y内に供給されたトナーを搬送する搬送部材の構成としては、スクリュ部材に限るものではない。例えば周知の粉体ポンプを用いて搬送ノズル611Yの開口部に負圧を発生させる構成など、スクリュ部材以外によって搬送力を付与する構成であってもよい。
次に、本実施形態のトナー収容容器32(Y,M,C,K)及びトナー補給装置60(Y,M,C,K)についてより詳細に説明する。なお、上述したように、トナー収容容器32(Y,M,C,K)及びトナー補給装置60(Y,M,C,K)は、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっている。よって、以下、トナーの色を示す添字Y,M,C,Kは省略して説明する。
図6は、トナー収容容器32の斜視説明図である。図7は、トナー収容容器32を装着する前のトナー補給装置60と、トナー収容容器32の先端側端部との斜視説明図であり、図8は、トナー収容容器32を装着した状態のトナー補給装置60と、容器先端側のトナー収容容器32の端部との斜視説明図である。
図1は、トナー収容容器32を装着する前のトナー補給装置60と、容器先端側のトナー収容容器32の端部との断面説明図であり、図9は、トナー収容容器32を装着した状態のトナー補給装置60と、容器先端側のトナー収容容器32の端部との断面説明図である。
トナー補給装置60は、内部に搬送スクリュ614を備える搬送ノズル611と、ノズルシャッタ612を備える。ノズルシャッタ612は、トナー収容容器32が装着される前の非装着時(図1及び図7の状態)では、搬送ノズル611に形成されたノズル開口610を閉鎖し、トナー収容容器32が装着された装着時(図8及び図9の状態)にはノズル開口610を開放する。一方、トナー収容容器32の先端面の中央には、装着時に搬送ノズル611が挿入される管挿入口としてのノズル受入口331が形成されており、非装着時にノズル受入口331を閉鎖する開閉部材としての容器シャッタ332を備える。
まず、トナー収容容器32について説明する。
上述したようにトナー収容容器32は、容器本体33と、容器先端側カバー34とから主に構成されている。図10は、図6の状態から容器先端側カバー34を取り外した状態のトナー収容容器32の斜視説明図である。なお、本発明におけるトナー収容容器32は、容器本体33と、容器先端側カバー34とから主に構成されているものに限られない。たとえば、容器先端側カバー34が有するスライドガイド361やIDタグ700などの機能を設けない場合には、図10の容器先端側カバー34がない状態でトナー収容容器として用いてもよい。また、スライドガイド361やIDタグ700などの機能をトナー収容容器に設けることで、容器先端側カバーがないトナー収容容器とすることができる。
図11は、図10の状態から容器本体33から管挿入部材としてのノズル受入部材330を取り外した状態のトナー収容容器32の斜視説明図であり、図12は、容器本体33からノズル受入部材330を取り外した状態のトナー収容容器32の断面説明図である。図13は、図12の状態からノズル受入部材330を容器本体33に取り付けた状態のトナー収容容器32(図10と同様に容器先端側カバー34を取り外した状態のトナー収容容器32)の断面説明図である。
図10、図11に示すように、容器本体33は、略円筒状であり、円筒の中心軸を回転軸として回転する構成となっている。以下、この回転軸に平行な方向を「回転軸方向」と呼び、回転軸方向において、トナー収容容器32におけるノズル受入口331が形成されている側(容器先端側カバー34が配置されている側)を「容器先端側」と呼ぶことにする。また、トナー収容容器32における把手部303が配置されている側(容器先端側とは逆側)を「容器後端側」と呼ぶことにする。なお、上述したトナー収容容器32の長手方向は回転軸方向であり、トナー補給装置60にトナー収容容器32を装着した状態では、回転軸方向は水平方向となる。容器本体33の容器ギア301よりも容器後端側は、容器先端側よりもその外径が大きくなっており、その内周面には螺旋状突起302が形成されている。そして、容器本体33が図中の矢印A方向に回転すると、容器本体33内のトナーは螺旋状突起302の作用によって回転軸方向における一端側(容器後端側)から他端側(容器先端側)に向かう搬送力が付与される。即ち、容器本体の内部に搬送部としての螺旋状突起が配置されている。
容器本体33の容器先端側の内壁には、容器本体33が図10、及び図11中矢印A方向に回転することで螺旋状突起302によって容器先端側に搬送されてきたトナーを、容器本体33の回転によって上方に汲み上げる汲み上げ部304が形成されている。汲み上げ部304は、図13、図32に示すように凸部304hと、汲み上げ壁面304fとからなる。
凸部304hは、螺旋を形成しながら容器本体33の回転中心に向かって山の稜線を成すように容器本体33の内側に隆起した部分(隆起部)である。汲み上げ壁面304fは、凸部304hから容器本体33の周面の内壁にまで繋がる壁面のうち凸部304hを挟んで容器回転方向から見て下流側となる壁面である。
そして、汲み上げ壁面304fが下方にあるときに、螺旋状突起302の搬送力によって汲み上げ部304に対向する内部空間に進入したトナーを、容器本体33の回転に応じて汲み上げ壁面304fが上方に汲み上げる。これにより、挿入された搬送ノズル611よりも上方にトナーを汲み上げることができる。すなわち下方から上方にトナーを持ち上げる。
更に回転が進むと汲み上げ壁面611によって汲み上げられているトナーが重力に従い、汲み上げ壁面上から滑り落ちる、また、そのまま崩れて落下してゆく。
滑り落ちる先には後述する本体側の搬送管である搬送ノズル611が存在するため、搬送管のノズル開口に向けてトナーを移動させることになる。
図30は、図9のE−E断面図である。図30にあるように凸部304hは、容器本体33がブロー成型で形成されることに影響され、なだらかな山状になっている。
図9等では汲み上げ部304を区別する必要上、便宜的に曲線で凸部304hを表している。汲み上げ壁面304fは、図9にあるように格子で表された領域であり、図30にあるように、容器本体33の回転軸を点対象の基準として凸部304hと容器本体33の内周面とをつなぐ一対の斜面から成る。凸部304hは、隆起し始める容器内壁面から当該内壁面に対向する反対側の内壁面に向かって、且つ、開口部方向に伸びるように連続して設けられている。なお、図9などのE−E断面の箇所では、凸部304hで分けられた内壁面のうち容器回転方向上流側の壁面は、図9などのE−E断面の切断方向と壁面の延在方向が概ね一致しているため、図30のような肉厚の状態で表れている。凸部304hもその一見肉厚に見える箇所にある。
汲み上げ壁面304fは、容器開口部33a方向にトナーを搬送させる必要もあるため、図33に示すように、凸部304hから容器開口部33aに向かうにしたがって、容器本体33の長手方向軸線(図33に示す一点鎖線)から離れるように傾斜している。このようにすることによって、汲み上げ壁面がトナーを汲み上げて回転したときに、汲み上げ壁面が、開口部に向かって傾斜する(凸部から開口部への方向が、水平方向よりも下側に傾斜した方向になる。さらに言えば、長手方向軸線に対して容器の径方向外側に向かって傾斜する。)構成となりトナーを容器開口部方向に搬送しやすくなっている。
容器本体33の汲み上げ部304よりも更に容器先端側には、容器ギア301が形成されている。容器先端側カバー34には、容器本体33に取り付けた状態で、この容器ギア301の一部(図6中の奥側)が露出するように、ギア露出開口34aが設けられている。そして、トナー収容容器32をトナー補給装置60に装着することで、ギア露出開口34aから露出した容器ギア301が、トナー補給装置60側の容器駆動ギア601に噛み合う構成となっている。
容器本体33の容器ギア301よりもさらに容器先端側には、円筒状の容器開口部33aが形成されている。そして、この容器開口部33aにノズル受入部材330の受入部材固定部337を圧入することにより、容器本体33に対してノズル受入部材330を固定することが出来る。ノズル受入部材330を固定する方法としては圧入に限らず、接着剤による固定やネジ止めによる固定であっても良い。
トナー収容容器32は、容器本体33に対して容器開口部33aの開口からトナーを充填後、ノズル受入部材330を容器本体33の容器開口部33aに固定する構成となっている。
また、容器本体33の容器開口部33aの容器ギア301側の端部には、カバー爪引掛け部306が形成されている。図10に示す状態のトナー収容容器32(容器本体33)に対して、容器先端側(図10中の左下側)から容器先端側カバー34を取り付ける。これにより、容器本体33が回転軸方向で容器先端側カバー34を貫き、容器先端側カバー34の上部に設けられたカバー爪部341がカバー爪引掛け部306に引っ掛かる。カバー爪引掛け部306は容器開口部33aの外周面を一周するように形成されており、カバー爪部341が引っ掛かることで、容器本体33と容器先端側カバー34とは、相対的に回転可能な取り付けとなる。
また、容器本体33は、二軸延伸ブロー成形法によって成形される。この二軸延伸ブロー成形法は、一般的にはプリフォーム成形工程と延伸ブロー成形工程との二段工程からなる。プリフォーム成形工程では、樹脂を用いて射出成形により試験管状のプリフォームを成形する。このときの射出成形により、試験管状の口部に、容器開口部33a、カバー爪引掛け部306及び容器ギア301を形成する。延伸ブロー成形工程は、プリフォーム成形工程後に冷却され、型から外されたプリフォームを加熱して軟化した後、ブロー成形すると共に延伸する。
容器本体33では、容器ギア301よりも容器後端側が延伸ブロー成形工程によって成形される。すなわち、汲み上げ部304、螺旋状突起302が形成されている部分、及び、把手部303は、延伸ブロー成形工程によって成形される。
容器本体33において、容器ギア301、容器開口部33a及びカバー爪引掛け部306等の容器ギア301から容器先端側の各部は、射出成形されたプリフォームのままの形状であるため、精度良く成形できる。一方、汲み上げ部304、螺旋状突起302が形成されている部分、及び、把手部303は、射出成形された後、延伸ブロー成形工程で延伸して成形されているため、成型の精度はプリフォーム成型部よりは劣る。
次に、容器本体33に固定されるノズル受入部材330について説明する。
図14は、容器先端側から見たノズル受入部材330の斜視説明図であり、図15は、容器後端側から見たノズル受入部材330の斜視説明図である。また、図16は、図13に示す状態のノズル受入部材330を上から見た上断面図であり、図17は、図13に示す状態のノズル受入部材330を横(図13中の奥側)から見た横断面図である。さらに、図18は、ノズル受入部材330の分解斜視図である。
ノズル受入部材330は、支持部材としての容器シャッタ支持部材340と、容器シャッタ332と、封止部材としての容器シール333と、付勢部材としての容器シャッタバネ336と、受入部材固定部337とから構成されている。容器シャッタ支持部材340は、後端部としてのシャッタ後端支持部335、側面部として平板状のシャッタ側面支持部335a(突出部)、側面開口部としてのシャッタ支持開口部335b及び受入部材固定部337からなり、容器シャッタバネ336はコイルスプリングからなる。
容器シャッタ支持部材340に設けられた突出部としてのシャッタ側面支持部335a(突出部)とシャッタ支持開口部335bとは、トナー収容容器回転方向において互いに隣り合って配置され、二つの互いに対向するシャッタ側面支持部335a(突出部)が円筒形状の一部を形成し、シャッタ支持開口部335bの部分(二箇所)で円筒形状を大きく切り取った形状となっている。このような形状により、円筒形状の内側に形成される円柱状の空間S1内(図16)を容器シャッタ332が搬送ノズル611の挿入方向に沿っての移動、言い換えればノズル受入口331を開放する開位置への移動とノズル受入口331を閉じる閉止位置への移動を案内することができる。
すなわち容器本体が、容器開口部の容器本体内部側から、容器後端側に向かって突出している突出部を有している。
容器本体33に固定されるノズル受入部材330は、容器本体33の回転時に容器本体33とともに回転するが、このとき、ノズル受入部材330のシャッタ側面支持部335a(突出部)は、トナー補給装置60側の搬送ノズル611の周りを回転する。このため、回転しているシャッタ側面支持部335a(突出部)とシャッタ支持開口部335bとが搬送ノズル611の上部に形成されたノズル開口610のすぐ上方の空間を交互に通過する。これにより、仮にノズル開口610の上方でトナーが瞬間的に堆積してもその堆積トナーをシャッタ側面支持部335a(突出部)が横切って崩すので、放置時に堆積トナーが凝集してしまい、再起動時にトナーの搬送不良を起こすことを抑制することができる。一方、シャッタ側面支持部335a(突出部)が搬送ノズル611の側方に位置し、ノズル開口610とシャッタ支持開口部335bとが対向するタイミングでは、図9中の矢印βで示すように、トナーはシャッタ支持開口部335bを通過して容器本体33内のトナーが搬送ノズル611内へと供給される。
容器シャッタ332は、閉止部としての先端円筒部332c、滑動部332d、ガイドロッド332e及びシャッタ抜け防止爪332aからなる。先端円筒部332cは、容器シール333の円筒開口(ノズル受入口331)と密着する容器先端側の部分である。滑動部332dは、先端円筒部332cよりも容器後端側に形成され、先端円筒部332cよりは外径が少し大きく、一対のシャッタ側面支持部335a(突出部)の内周面を滑動する円筒状の部分である。
ガイドロッド332eは、先端円筒部332cの円筒内部から容器後端側に向けて起立した棒材であり、容器シャッタバネ336のコイル内部に挿入されることで容器シャッタバネ336が座屈しないように規制するロッド部分である。
ガイドロッド摺動部332gは、円柱状のガイドロッド332eの途中からガイドロッド332eの中心軸を挟んで両側に一対の平面が形成されている。また、ガイドロッド摺動部332bの容器後端側は二股に割れて一対の片持ち梁332fを形成している。
シャッタ抜け防止爪332aは、ガイドロッド332eの起立した根元とは反対側の端部であって片持ち梁332fの端部に備えられ、容器シャッタ支持部材340から容器シャッタ332の脱落を防止する一対の爪部分である。
図16及び図17に示すように、容器シャッタバネ336の先端側端部は先端円筒部332cの内壁面に突き当たり、容器シャッタバネ336の後端側端部はシャッタ後端支持部335の壁面に突き当たる。このとき、容器シャッタバネ336は圧縮した状態であるため、容器シャッタ332はシャッタ後端支持部335から離れる方向(図16及び図17中の右方向、容器先端方向)の付勢力を受ける。しかし、容器シャッタ332の容器後端側の端部に形成されたシャッタ抜け防止爪332aがシャッタ後端支持部335の外壁面に引っ掛かる。これにより、図16及び図17で示す状態よりも容器シャッタ332はシャッタ後端支持部335から離れる方向に移動することを防止している。
このようなシャッタ抜け防止爪332aのシャッタ後端支持部335に対する引っ掛かりと、容器シャッタバネ336の付勢力と、によって位置決めがなされる。詳しくは、容器シャッタ332のトナー漏れ防止機能を発揮する先端円筒部332cと容器シール333との軸方向の容器シャッタ支持部材340に対する位置決めがなされる。両者が密着する関係で位置決めがされ、トナーの漏出を防止することが出来る。
受入部材固定部337は容器後端側ほど外周面及び内周面の直径が段階的に小さくなる筒状である。容器先端側から容器後端側に見て順に直径が小さくなる。その外周面には図17に示すように、二箇所の外径部(容器先端から順に外周面AA,BB)、内周面には五箇所の内径部(容器先端から順に外周面CC,DD,EE,FF,GG)がある。外周面の外周面AAと外周面BBの境界はテーパ面でつながっている。内周面の四番目の内径部FFと五番目の内径部GGの境界も同様にテーパ面で繋がっている。この内周面の内径部FF及びそれに繋がるテーパ面は、後述するシール部材巻き込み防止空間337bに対応し、それらの面の稜線は後述する五角形断面の辺に相当する。
図16〜図18に示すように、受入部材固定部337から容器後端側には互いに対向し、円筒を軸方向に切断した片状の形態である一対のシャッタ側面支持部335a(突出部)が突出している。二つのシャッタ側面支持部335a(突出部)の容器後端側の端部は、底の中央に丸穴が開いたカップ形状のシャッタ後端支持部335に繋がっている。二つのシャッタ側面支持部335a(突出部)には、互いに対向することで、それらの内壁円筒面とその延長の仮想円筒面によって認識できる円柱状の空間S1が形成されている。受入部材固定部337は、円柱状空間S1の直径と同じ大きさの内径になる円筒状の内周面として先端から五番目の内径部GGを有する。この円柱状空間S1および円筒状の内周面GGを容器シャッタ332の滑動部332dは滑動する。受入部材固定部337の3番目の内周面EEは、45[°]分配の等間隔で配置されたノズルシャッタ突き当てリブ337aの長手頂部を通る仮想円周面である。この内周面EEに対応して断面(図16及び図17の断面図における断面)が四角形の円筒状(円管状)の容器シール333が配置される。容器シール333は、三番目の内周面EEから五番目の内周面FFに繋がる垂直面に接着剤または両面テープ等により固定されている。この容器シール333の貼り付けとは反対側(図16及び図17中の右側)の露出した面が円筒状の受入部材固定部337(容器開口部)の円筒状開口の内底をなす。
また、図16及び図17に示すように、受入部材固定部337の内周面FFとそれに繋がるテーパ面に対応して、シール部材巻き込み防止空間337b(挟み込み防止空間)が形成されている。シール部材巻き込み防止空間337bは三つの異なる部材で囲まれたリング状の密閉空間である。すなわち、受入部材固定部337の内周面(四番目の内周面FFとそれに繋がるテーパ面)と、容器シール333の貼付側の垂直面と、容器シャッタ332の先端円筒部332cから滑動部332dまでの外周面とで囲まれたリング状の空間である。そして、このリング状の空間の断面(図16及び図17の断面図における断面)は五角形をしている。受入部材固定部337の内周面と容器シール333の端面とが成す角度、及び容器シャッタ332の外周面と容器シール333の端面とが成す角度は共に90[°]である。
シール部材巻き込み防止空間337bの機能を述べる。容器シャッタ332がノズル受入口331を遮蔽している状態から容器後端方向に移動した場合、容器シール333の内周面は容器シャッタ332の先端円筒部332cと摺動する。このため、容器シール333の内周面は容器シャッタ332に引っ張られ容器後端方向に移動するように弾性変形する。
このとき、シール部材巻き込み防止空間337bが無く、三番目の内周面から繋がる垂直面(容器シール333の貼付面)と五番目の内周面GGとが直交するように繋がっていた場合、次のような状態となるおそれがある。すなわち、容器シール333の弾性変形した部分が、容器シャッタ332と摺動する受入部材固定部337の内周面と容器シャッタ332の外周面との間に挟まれて、巻き込まれた状態となるおそれがある。受入部材固定部337と容器シャッタ332とが摺動する部分、即ち、先端円筒部332cと内周面GGとの間に容器シール333が巻き込まれると、受入部材固定部337に対して容器シャッタ332がロックされ、ノズル受入口331の開閉が行えなくなる。
これに対して、本実施形態のノズル受入部材330は、その内周部にシール部材巻き込み防止空間337bが形成されている。シール部材巻き込み防止空間337bの内径(内周面EEとそれに繋がるテーパ面それぞれの内径)は、容器シール333の外径よりも小さいため、容器シール333全体がシール部材巻き込み防止空間337bに進入してくることはない。また、容器シール333の容器シャッタ332に引っ張られて弾性変形する領域には限度があり、内周面GGに至って巻き込まれる前に容器シール自身の弾性で復元する。この作用により、受入部材固定部337に対して容器シャッタ332がロックされることに起因してノズル受入口331の開閉が行えなくなることを防止できる。
図16〜図18に示すように、受入部材固定部337の内周面であって容器シール333の外周に隣接する箇所には、複数本のノズルシャッタ突き当てリブ337aが放射状に延在するように形成されている。図16及び図17に示すように、受入部材固定部337に容器シール333を固定した状態では、容器シール333の容器先端側の垂直面は、ノズルシャッタ突き当てリブ337aの容器先端側の端部よりも回転軸方向に少しだけ突き出している。
図9に示すように、トナー収容容器32をトナー補給装置60に装着したときには、トナー補給装置60側のノズルシャッタ612のノズルシャッタ鍔部612aが、ノズルシャッタバネ613に付勢されて容器シール333の突き出た分を押し潰す。ノズルシャッタ鍔部612aが更に進入してノズルシャッタ突き当てリブ337aの容器先端側端部に突き当たり、容器シール333の先端側端面を覆って容器外部から遮断する。これにより、装着時のノズル受入口331における搬送ノズル611周りの密閉性を確保し、トナー漏れを防止することができる。
ノズルシャッタバネ613に付勢されるノズルシャッタ鍔部612aのノズルシャッタバネ受け面612fの裏側がノズルシャッタ突き当てリブ337aに突き当たることで、ノズルシャッタ612のトナー収容容器32に対する回転軸方向の位置が決まる。これにより、容器シール333の容器先端側の端面及び先端開口305(後述する容器開口部33aの中に配置されている円筒状の受入部材固定部337の内部空間)の容器先端側の端面と、ノズルシャッタ612との回転軸方向の位置関係が決まる。
次に、容器シャッタ332と搬送ノズル611の動作について図1、図9、図19(a)〜図19(d)を用いて説明する。トナー収容容器32をトナー補給装置60に装着する前においては、図1に示すように、容器シャッタ332はノズル受入口331を閉じる閉止位置に向けて容器シャッタバネ336で付勢されている。このときの容器シャッタ332と搬送ノズル611の外観を図19(a)に示す。そして、トナー収容容器32をトナー補給装置60に装着すると、図19(b)に示すように、搬送ノズル611がノズル受入口331に挿入される。トナー収容容器32をトナー補給装置60にさらに押し込むと、容器シャッタ332の端面となる先端円筒部332cの端面332h(以下、「容器シャッタの端面332h」と称する)と搬送ノズル611の挿入方向に位置する端面611a(以下、「搬送ノズルの端面611a」と称する)とが接触する。この状態からトナー収容容器32をさらに押し込むと、図19(c)に示すように、容器シャッタ332が押し込まれて、図19(d)に示すように、搬送ノズル611がノズル受入口331からシャッタ後端支持部335内に挿入される。このため、図9に示すように、容器本体33内に搬送ノズル611が挿入されてセット位置となる。このとき、図19(d)に示すように、ノズル開口610はシャッタ支持開口部335bに重なる位置にある。
その後、容器本体33が回転すると、汲み上げ部304によって搬送ノズル611よりも上方に汲み上げられたトナーが、ノズル開口610から搬送ノズル611内に落下して導入される。搬送ノズル611内に導入されたトナーは、搬送スクリュ614が回転することで搬送ノズル611内をトナー落下搬送経路64に向かって搬送され、トナー落下搬送経路64から現像装置50へと落下して供給される。
図9などのE−E断面の箇所(搬送ノズル611の先端側であって搬送スクリュ614の軸受の端面の箇所)では、凸部304hとシャッタ側面支持部335a(突出部)とは対向する位置にある。また、汲み上げ壁面304fは、図30のXの方向(及び図34において矢印Xで示す方向)、すなわちシャッタ側面支持部335aに向かって伸びるように容器の内壁面から立ち上がっている。また、凸部304hは、図34において矢印Yで示す方向、すなわちシャッタ側面支持部335aに向かって隆起している。
さらに、シャッタ側面支持部335aと凸部が対向する部分では、凸部304hがシャッタ側面支持部335aの外形に沿うように容器径方向外方に向かって湾曲している(湾曲部304i)。言い換えると、内側から径方向外方に向かってへこんでいる。
この凸部のへこんでいる部分を湾曲部304iとしている。
当該湾曲部304iは凸部304hの他の部分よりもなだらかになっており、シャッタ側面支持部材335aに長手方向でも沿うようになっている。
図32においては、符号Zで示した囲み部の箇所が、図面奥に向かって湾曲しており、この箇所に湾曲部304iが形成されている。
また、同様に、汲み上げ壁面304fもシャッタ側面支持部335aと対向する。そして、容器回転方向下流側から見て、汲み上げ壁面304f、シャッタ側面支持部335a(突出部)の回転方向下流側端面335c(平らな側面)、ノズル開口610の回転方向上流側の横縁部611sがある。突出部としてのシャッタ側面支持部335aは搬送ノズル611が挿入されたときには、搬送ノズル611に沿って伸びている。
先に説明した汲み上げ作用と同様に、図30の容器本体33の汲み上げ壁面304fによって形成された汲み上げ部304によっても、搬送管である搬送ノズル611の開口部であるノズル開口610に向かってトナーが矢印T1のように移動する。
このとき、上記シャッタ側面支持部335a(突出部)の外周面及び回転方向下流側端面335c(平らな側面)は、汲み上げ部304からノズル開口610へのトナーの橋渡しをするトナー橋渡し部として機能する。
図30は、橋渡し手段として機能するシャッタ側面支持部335a(突出部)を備える容器本体33内部のトナーの流れも示している。
容器本体33の図中矢印A方向の回転によって、汲み上げ壁面304fで容器本体の周方向に沿って汲み上げられたトナーは、重力によってノズル開口610の方向に流れていく(図中矢印T1)。図30に示す構成では、搬送ノズル611と凸部304h(汲み上げ壁面304fの回転中心側に突出した凸部)との間にある隙間を塞ぐようにシャッタ側面支持部335a(突出部)が配置されている。そうなるように容器本体33の回転方向下流側からみて、シャッタ側面支持部335a(突出部)の回転方向下流側端面335c(平らな側面)、汲み上げ部304の凸部304hの順に配置されている。
凸部304hの湾曲部304iが存在することにより、凸部304h及び汲み上げ壁面304fをよりシャッタ側面支持部材335aに沿わせるようにすることが可能になっており、シャッタ側面支持部材335aがトナーの汲み上げ壁面からノズル開口への橋渡しに有効に機能するようになる。
このような配置により、汲み上げられたトナーはノズル開口610に効率良く入る。
さらにトナーは、結晶性ポリエステル樹脂(A)と、非結晶性樹脂(B)と、を含み、
トナーのTHF可溶分により求められたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布が1000〜10000の間にメインピークを有し、該トナーを45℃の恒温槽内で12時間保存した後にフーリエ変換赤外分光分析測定装置を用いて全反射法により測定したとき、前記結晶性ポリエステル樹脂(A)に由来する特徴的なスペクトルのピーク高さをCとし、前記非結晶性樹脂(B)に由来する特徴的なスペクトルのピーク高さをRとして、ピーク高さ比(C/R)が0.03〜0.55であると、トナーの凝集体の発生を防止することができる。
なお、上記のシャッタ側面支持部335a(突出部)と凸部304hとを密着させるに越したことはない。しかし、凸部304h、汲み上げ壁面304f及び湾曲部304iは製造コスト抑制のため寸法精度が射出成型ほどには出せないブロー成型で形成されることが多い。ブロー成型を採用するとシャッタ側面支持部に完全に密着させることは困難であり、量産性の観点からは少し隙間を開けて構成するのが好ましい。なお、湾曲部と湾曲部に対向するシャッタ側面支持部材との距離は本実施例においては0.3mm〜1mm程度である。
すなわち本実施形態においては、
・本体側ノズルを容器に挿入する構成とすることで、トナー飛散等を抑える構成にする。
・シャッタ側面支持部を、汲み上げ壁面からノズルへのトナー橋渡しとして利用することで、トナーの補給性を向上させる。
という有用な構成を備えている。
しかし、上述したとおり、凸部304h及び汲み上げ壁面304fは、寸法精度が射出成型ほどには出せないブロー成型で形成されることが多いので、シャッタ側面支持部335aに完全に密着させることは困難であり、上記のように構成しても、トナーを十分に搬送ノズルに向けて搬送できないことがある。さらに、トナー搬送の機能を向上させるべく汲み上げ壁面の形状を構成した場合にもトナーを十分に搬送ノズルに向けて搬送できないことがあった。
なお、当該課題はブロー成型で顕著ということであり、ブロー成型ではなくとも、凸部とシャッタ側面支持部材との高度な寸法精度をだすことは困難であることから、本発明の容器本体はブロー成型品に限るものではない。
上記のようにトナーを十分に搬送ノズルに向けて搬送できないのは、以下の要因によるものと発明者らは考えている。
第1の要因としてトナーの流動性が高いとシャッタ側面支持部335aと、隆起部(凸部304h)との間(図35のAで示す部分)からトナーが流れ落ちてしまうことが考えられる。これにより、搬送ノズル611へのトナー供給量が低下すると考えられる。これは、流動性が高いトナーでは顕著であると考えられる。
第2の要因として長手方向で見れば、汲み上げ壁面304fは開口部に向かって傾斜する(容器本体の軸線方向に対して外側に傾斜する)ように設けられており、搬送ノズル611に最も接近している凸部304hから徐々に離れていくように構成されている(図35のBで示す部分)。これは、トナーを汲み上げて、ノズル開口近傍まで搬送するのに有効な構成である。しかし、当該構成を採ると、容器先端側に向かうにつれ、搬送ノズル611と、凸部304hとの間にある隙間は広くなっていく。このため、シャッタ側面支持部335aと汲み上げ壁面304fとの間からトナーが流れ落ちてしまう。これにより、搬送ノズル611へのトナー供給量が低下すると考えられる。これは、流動性が高いトナーでは顕著であると考えられる。
第3の要因として同じく長手方向で見れば、トナーは汲み上げ壁面304fの容器後端側から、先端側(図35のCで示す部分)へ向かってシャッタ側面支持部335a近傍まで移動してゆくが、その間で汲み上げ壁面304fから落下してしまうトナーが存在すると考えられる。汲み上げ壁面304fから落下すると当然、搬送ノズル611まではトナーは搬送されないため、落下したトナー分だけ、搬送ノズル611へのトナー供給量は低下すると考えられる。これも、流動性が高いトナーで顕著な要因のひとつであると考えられる。
第4の要因としてトナーの流動性が低いとそもそも排出が不可能であると考えられる。
そのため、現像装置へのトナー補給が困難で、トナーが過度に攪拌をさせるため、特に低温定着性を有するトナーでは、凝集体が発生するという問題がある。
上記のような要因が考えられ、それぞれが関連しあうことで容器内から容器外へ排出されるトナー排出性の差異が生じるものと考えられる。
また、トナー排出性能はトナー残量が少なくなってきたときに顕著な課題となる。
トナー残量が多い状態だと、トナー収容容器本体の螺旋状の搬送部の搬送力によって勢いでトナーが排出されるが、トナー残量が少ない状態だと汲み上げ部及び橋渡し手段の構成によってはノズル開口610へトナーを注ぎ込むことができなくなる場合がある。
そこで、前記した条件を満たすトナーを使用すると、
第1の要因、第2の要因に対しては、適度な粒子間の凝集力があるため、隙間にはまりにくく多少の隙間があっても乗り越えていくという作用が生じさせると考えられる。これにより、隙間が存在してもトナー剤がノズルに供給される。また、凝集度によっては隙間にはまった場合にも、脱落して通り抜けてしまうことがなく、はまったトナーがその場で凝集体となり隙間を埋める役割を担う作用を生じさせることも考えられる。
第3の要因に対しては、適度な粒子間の凝集力によりトナーがこぼれにくく、汲み上げの効率を向上させるものと考えられる。
第4の要因に関しては、流動性が向上することによりトナーの搬送をスムーズにさせるものと考えられる。
さて、トナー収容容器32が図19(d)に示すセット位置にある場合、容器シャッタの端面332hは、ノズル開口610の領域内で搬送ノズルの端面611aに押圧された状態である。このとき、ノズル開口610だけでなく、搬送ノズルの端面611aと容器シャッタの端面332hが汲み上げ部304の下方に位置している。したがって、搬送ノズル611よりも上方に汲み上げられたトナーは、ノズル開口610だけでなく、容器シャッタの端面332hと搬送ノズルの端面611aとの間にも落下してくる。また、落下したトナーは舞い上がって、容器シャッタ332と容器シャッタ支持部材340との間に付着する可能性がある。
ここで、容器シャッタの端面332hと搬送ノズルの端面611aとが平坦面であったと仮定すると、容器シャッタの端面332hと搬送ノズルの端面611aとの接触が面摺動となり、高負荷になる。また、組み付け誤差や部品のバラツキなどにより理想的に完全な面同士の摺動になることは難しく、微小な隙間が発生する。このため、当該隙間にトナーが入り込み、面摺動にともないトナーを擦るという動作が行われてしまうことがある。
また、トナー容器内を舞ったトナーが、容器シャッタ332と容器シャッタ支持部材340との間に付着した場合を考える。トナー収容容器32がトナー補給装置60に装着された状態では、容器シャッタ332の先端円筒部332cは容器シャッタバネ336によって搬送ノズルの端面611aに押し付けられるため、容器シャッタに制動力が加わっている。その結果、容器本体33に固定され、螺旋状突起302と一体で回転している容器シャッタ支持部材340に対して容器シャッタ332がつれまわりしなくなると考えられる。その場合、容器シャッタ332と容器シャッタ支持部材340の間のトナーが容器シャッタ332によって擦られることが予想される。
そうすると、擦られて負荷がかかったトナーは負荷がかかっていない状態のトナー粒径より大きい凝集体となる可能性がある。この凝集体が、トナー補給装置60を経由して現像装置50に搬送されてしまうと、意図しない黒ポチなどの異常画像が発生する虞がある。この凝集体を形成してしまう現象は、トナーの中でも、特に低い定着温度で画像形成できる低融点トナーの場合に、より発生しやすい。
そこで、本発明は、以下で説明するように、容器本体33の回転に伴うトナーの凝集を抑制する凝集抑制手段を有していることが好ましい。
凝集抑制手段として、容器シャッタ332の先端円筒部332cがその長手方向で容器シャッタバネ336の押圧によって搬送ノズル611に押し付けられ、その押し付けで制動力が生じても容器シャッタ332が容器シャッタ支持部材340とつれまわるようにしてある。この防止作用により、容器シャッタ332と容器シャッタ支持部材340との間でトナーに作用する摺動負荷は低減される。つれまわり(相対的な回転)とは、ガイドロッド332eの軸を中心とした容器シャッタ332の回転を想定している。容器シャッタ332が容器シャッタ支持部材340とつれまわる状態とは、両者が一緒に回転する状態、言い換えれば容器シャッタ332が容器シャッタ支持部材340に対して相対的には回転しない状態を意味する。また、容器シャッタ332と容器シャッタ支持部材340との間とは、滑動部332dの外周面とシャッタ支持開口部335bの内周面との間、及びガイドロッド摺動部332gと後端開口部335dとの間を想定している。
トナーへの摺動負荷は、容器シャッタ332の軸方向の開閉動作よりも軸を中心とした回転動作の方がはるかに大きい。というのも開閉動作はトナー収容容器32の装脱時のみに生じるが、回転動作は補給動作の度に生じるからである。
図20(a)は図17における左側から(容器後端側から)見たときの開閉部材後端支持部中央の貫通孔としての後端開口部335dとシャッタ抜け防止爪332aとの関係を示す平面図である。図20(b)は、図19(c)における後端開口部335dとガイドロッド摺動部332gとの嵌め合い関係を示すガイドロッド摺動部332gの断面図である。
ガイドロッド332eは、円筒部332iとガイドロッド摺動部332gと片持ち梁332fとシャッタ抜け防止爪332aとで構成されている。容器シャッタ332のガイドロッド332eは、図17に示すように、容器後端側が二股に割れて一対の片持ち梁332fを形成している。その各梁の外周面にシャッタ抜け防止爪332aが設けられている。シャッタ抜け防止爪332aは、図17及び図20(a)に示すように、後端開口部335dの長手方向の長さWにおける外縁よりも外側に突出している。後端開口部335dは、片持ち梁332fとガイドロッド摺動部332gが後端開口部335dと摺動しながら容器シャッタ332の移動をガイドする機能を有する。ガイドロッド摺動部332gは、図20(b)に示すように、後端開口部335dの上下辺と対向する平面をなし、左右辺が後端開口部335dにならった曲面を有している。円筒部332iは、図20(a)及び図20(b)における左右方向の幅がガイドロッド摺動部332gと同じである円筒形状をなす。また、図19(a)から図19(d)に示す容器シャッタ332の移動の際に、後端開口部335dが片持ち梁332fとガイドロッド摺動部332gとの移動を妨げない程度の嵌め合い関係を有している。このように、後端開口部335dは、片持ち梁332fとガイドロッド摺動部332gを挿通して容器シャッタ332の移動を案内するとともに容器シャッタ332の回転軸を中心とする回転を規制する。
容器シャッタ支持部材340に容器シャッタ332を組み付けるときは、ガイドロッド332eを容器シャッタバネ336に通し、ガイドロッド332eの一対の片持ち梁332fをガイドロッド332eの軸中心に向かって撓ませて、後端開口部335dに対してシャッタ抜け防止爪332aを通過させる。これにより、図15乃至17に示すようなノズル受入部材330に対するガイドロッド332eの組み付けがなされる。このとき、容器シャッタ332は、容器シャッタバネ336によってノズル受入口331を閉じる方向に加圧されるとともに、シャッタ抜け防止爪332aにより容器シャッタの抜けが防止される。なお、片持ち梁332fが撓める弾性を有すよう、ガイドロッド332eはポリスチレン等の樹脂で成型されていることが好ましい。
そして、トナー収容容器32がセット位置にセットされると、ガイドロッド摺動部332gは後端開口部335dを通過し、図19(d)及び図20(b)に示すように、被駆動伝達部としてのガイドロッド摺動部332gの平面部と、駆動伝達部としての後端開口部335dの開口辺とが対向し、接触する位置となる。このとき、シャッタ側面支持部335a(突出部)の内周面が先端円筒部332cおよび滑動部332dの外周面と対向する。
したがって、容器シャッタの端面332hが容器シャッタバネ336の押圧によって搬送ノズルの端面611aに押し付けられた状態であっても、ガイドロッド摺動部332gの平面部と後端開口部335dの開口辺との面接触により、容器シャッタ332の長手軸(ガイドロッド332eの中心軸であり、容器本体33の回転中心軸でもある)を中心とする回転方向には固定される。結果、回転する容器シャッタ支持部材340から容器シャッタ332のガイドロッド332eへ回転力が伝達される。その回転力は前述の制動力よりも大きいので、容器シャッタ332は容器シャッタ支持部材340の回転に伴って回転する。言い換えれば容器シャッタ332は容器シャッタ支持部材340の回転につれまわる(このとき両者の相対的な回転は規制されている)。すなわち、ガイドロッド摺動部332gと後端開口部335dは、容器シャッタ支持部材340から容器シャッタ332へ回転力が伝達される駆動伝達手段となっている。同時に、前記凝集抑制手段と言える。この凝集抑制手段により、容器シャッタ332と容器シャッタ支持部材340との間におけるガイドロッド332eの軸を中心とした回転方向でのトナーへの摺擦が抑制されるので、容器本体33の回転に伴う容器シャッタ332と容器シャッタ支持部材340との間でのトナー凝集を抑制できる。
なお、上記凝集抑制手段は、ガイドロッド摺動部332gに限られず、片持ち梁332fとしてもよい。この場合、トナー収容容器32がセット位置にあるときに片持ち梁332fが後端開口部335dに位置するように長さ、位置を決定すればよい。
別の凝集抑制手段についてその解決すべき課題から説明する。容器シャッタ332がトナー収容容器32(容器本体33)と一体的に回転する場合、容器シャッタの端面332hは搬送ノズルの端面661aに対して相対的に回転することになる。容器シャッタ332の先端円筒部332cは、その長手方向で容器シャッタバネ336の押圧によって搬送ノズル611に押し付けられている。そのような状態で上記相対的回転をさせると、容器シャッタの端面332hの搬送ノズルの端面661aに対する摺動負荷はすこぶる大きくなり、トナー凝集体発生の原因となる。
そこで、開閉部材であるところの容器シャッタ332の回転によって発生するトナー凝集を抑制する凝集抑制手段であって、上記実施形態とは別の箇所でのトナー凝集体発生の抑制を目的とする第2の凝集抑制手段を提案するものである。以下の凝集抑制手段は、搬送ノズルの端面611aと対向する先端円筒部332cの当接領域でのトナーへの摺動負荷を低減するものである。
容器シャッタの端面332hは、図9、図14に示すように、画像形成装置に前記トナー収容容器が装着された際には、該端面332hから対向する搬送ノズル611の端面611aに向かって(または容器先端から外に向けて)突出し、搬送ノズル611の端面611aに当接する当接部342を有する。当接部342はこの実施形態における凝集抑制手段(第2の凝集抑制手段)となる突出部である。当接部342の外周面は、トナー収容容器32の回転軸と同心の円周面を有し、搬送ノズルの端面611aに向けてその直径が小さくなるような形状(たとえば半球状)であり、図9に示すように、その半球状の頂部と搬送ノズルの端面611aとで点接触するように設けられている。これにより、当接部342が搬送ノズルの端面611aと当接した際の摺動負荷が低い状態で回転することができる。したがって、容器シャッタの端面332hと搬送ノズルの端面611aとが平坦面の場合に比べて接触面積を大幅に削減できるので、容器本体33の回転に伴う容器シャッタの端面332hと搬送ノズルの端面611aとの間でトナーに加えられる摺動負荷を低減でき、トナーの凝集を抑制することができる。
当接部342の材質として、容器シャッタ332と一体成形する場合は容器シャッタ332と同一の材質、例えばポリスチレン樹脂などが挙げられる。容器シャッタ332はトナー収容容器32側に装着された部品であるので、トナー収容容器32と一緒に交換される。このため、搬送ノズルの端面611aに接触して回転する当接部342の材質は、交換を前提にした場合、プリンタ部100に設置して、基本的に交換しない搬送ノズル611(端面611a)の材質よりも柔らかい材質とするのが耐久性の点で好ましい。
また、当接部342は、図9、図14に示すように、トナー収容容器32の回転中心軸上、言い換えれば容器シャッタ332の回転中心軸上になるよう、容器シャッタの端面332hのおおむね中心に配置されている。このような構成により、容器シャッタの端面332hは搬送ノズルの端面661aに対して相対的に回転するときの当接部342先端の回転軌跡は理想的には1点になる。トナー収容容器と画像形成装置という別部品同士の装着ゆえ許容交差内の位置ズレは不可避であり、かつ大量生産によるばらつきも生じるが、それらを考慮しても上記回転軌跡を極小にすることはできる。そうすると、上記同様に容器シャッタの端面332hと搬送ノズルの端面611aとの接触面積の増大を抑制でき、摺動負荷に起因するトナーの凝集を抑制することができる。
次に、当接部342によって形成される容器シャッタの端面332hと搬送ノズルの端面611aの面間の隙間について説明する。図21に示すように、この隙間は当接部342の、容器シャッタの端面332hから先端までの突出量Xによって設定される。
本発明者らは、突出量Xと画像中の黒ポチの発生の関係、すなわち、当接領域の摺動面積と画像中の黒ポチの発生の関係を調べたところ、図22に示す傾向となった。すなわち、本形態において、突出量X(面間の隙間)は1mmに設定している。このため、面間の隙間に入り込んだトナーは摺動による負荷が軽減され、また面外に落下しやすく滞留し難くなるため、凝集体が発生しなくなる。このように、容器シャッタの端面332hと搬送ノズルの端面611aの間の隙間にトナーが入り込んだ場合でも摺動負荷が軽減されるので、トナーへの負荷が軽減される。このため、トナーへの負荷を最小限に抑えて凝集体の生成や異常画像を抑制することができる。
また、図22に示すように、突出量X(面間の隙間)は0.5mm以上あれば問題はなく、概ね0.2mm以下になると出力画像上でも確認し得るレベルの凝集体が発生しやすくなることが予想される。そこで、突出量X(面間の隙間)は、0.5mm〜1mm程度に設定するのが好ましい。
なお、凝集抑制手段は、図21に示すように、当接部342と容器シャッタ332とが一体成形されるものに限られない。例えば、図23に示すように、凝集抑制手段を容器シャッタ332と別体にしてもよい。この場合にも、上記突出量Xを充足するようにすれば、上記と同様の効果が得られる。図23に示す凝集抑制手段は、容器シャッタの端面332hのおおむね中心に樹脂製の球体を転動自在に設けて当接部342Bとした。
このような構成としても、容器シャッタの端面332hと搬送ノズルの端面611aの面間の隙間に入り込んだトナーは摺動による負荷が軽減される。このため、凝集体が発生しなくなる。このように、トナーが容器シャッタの端面332hと搬送ノズルの端面611aの面間の隙間に入り込んだ場合でも摺動負荷が軽減されるので、トナーへの負荷が軽減される。このため、トナーへの負荷を最小限に抑えて凝集体の生成や異常画像を抑制することができる。
また、搬送ノズルの端面611aはフラットな平端面としているが、例えば、図24に示すように、当接部342と対向する搬送ノズルの端面611aの部位611bだけを当接部342側に突出するように端面611aを形成してもよい。
別の凝集抑制手段について説明する。
上記の凝集抑制手段では、凝集抑制手段を容器シャッタの端面332hと搬送ノズルの端面611aの間に配置しているので、トナーの凝集体の生成を抑制することに対しては特に有効であるが、トナー収容容器32をトナー補給装置60から取り外したとき、面間に付着したトナーが画像形成装置内または床に落下して汚すことが想定される。
そこで、本凝集抑制手段では、容器シャッタの端面332hにおける搬送ノズルの端面611aとの非当接領域Rにシール部材350を配置した。このため、容器シャッタの端面332hと搬送ノズルの端面611aとの面間にトナーが滞留することを防止することができる。
シール部材350は発泡ポリウレタン等の弾性部材で構成されている。図25及び図26に示すように、シール部材350は当接部342の外側に位置するように環状に形成されている。シール部材350は、トナー収容容器32内への搬送ノズル611の挿入に伴い容器シャッタ332がノズル受入口331を開放する開位置を占めたときに、シール部材350の厚み方向に0.1mm〜0.5mm圧縮されるように構成されている。具体的には、図27に示すように当接部342の突出量Xを1mmとしたとき、シール部材350の厚みtを1.1mm〜1.5mmとする。そして、シール部材350の対向面350aと搬送ノズルの端面611aとが接触したときに、シール部材350がつぶれることで搬送ノズルの端面611aと当接部342とが当接するように設定する。
このように、シール部材350を配置すると、搬送ノズルの端面611aと当接部342とが当接する前に、図26に示すように、搬送ノズルの端面611aにシール部材350の対向面350aが接触するので、面間にトナーが入りにくくなる。このため、トナー収容容器32をトナー補給装置60から取り外したとき、画像形成装置内または床にトナーが落下して汚すことを抑制することができる。
なお、図29に示すように、シール部材350の潰れ量t1は、0.1mm〜0.5mm程度に設定している。例えば潰れ量を1mm以上にすると、摺動負荷が上昇するため、シール部材350の対向面350aと搬送ノズルの端面611aとの間でトナーの凝集体が発生しや易くなることが観察された。そのため潰れ量t1としては0.5mm以下とするのが望ましい。本形態では潰れ量t1を0.2mmの設定している。このように、シール部材350の圧縮量を最小限にすることにより、トナー収容容器32(容器本体33)の回転負荷を低減することができる。またシール部材350の表面に付着してしまったトナーには僅かながら圧縮作用を受けてしまうが、容器シャッタの端面332hと搬送ノズル611の端面611aという剛体同士に挟まれるわけではなく、柔軟なシール部材350によって搬送ノズル611の端面611aに押し付けられるのでシールの柔軟性が押し付け力を吸収し、トナーへの摺動負荷が小さくなることも見込める。
シール部材350を設けたことによりトナーが面間に入り込むことを抑制することができるので、容器本体33の回転に伴う凝集体の発生もより確実に抑制することができる。
また、図26に示すように、シール部材350の対向面350aは、搬送ノズルの端面611aに圧接された状態で容器シャッタ332と一体で回転する。このため、シール部材350の対向面350aに、図28に示すように、例えば高分子ポリエチレンシート或いはポリエチレンテレフタレート(PET)材で形成されたシート材351を接着することで、搬送ノズルの端面611aに対向する側を低摩擦面として形成してもよい。このように搬送ノズルの端面611aとの対向面350aを低摩擦面とすると、搬送ノズルの端面611aとの摺動でトナーへ与える負荷を軽減することができる。
本発明においては、図31に示すように、突出部を容器シャッタバネによって付勢されているシャッタを支持するシャッタ側面支持部335aとする構成以外でも対応できる。
具体的には、容器開口部を閉鎖する容器シャッタ332を弾性変形する薄膜部材を複数枚(本実施形態では2枚)ずらして重ねることで形成し、重なっている部分が弾性変形によって容器開口部を開放可能に構成する。
当該薄膜部材の重ね合わさっている部分を押し広げて搬送ノズルが容器開口部内に挿入される。
この場合には前述の実施形態における付勢部材によって付勢されるシャッタが存在しない。
しかし、容器開口部から容器後端側に向けて一対の平板状の部材を前述の実施形態のシャッタ側面支持部335aと同様に突出させ、汲み上げ部からノズル開口へのトナーの橋渡しをするトナー橋渡し部として機能させる。
上記以外の構成は他の実施形態と同様である。
このように突出部の形状、構成に関しては、本願の効果が奏することが可能であればいかなる対応もとることが可能である。
さらに、図36及び図37に示すものは、汲み上げ部304にいたる容器本体部分が太くなっている態様のトナー収容容器あって、湾曲部304iが図30ものより大きく形成されているものである。このような構成のものであってもよい。なお、図37においては、紙面奥側に容器開口部33aがある。
次に、図38(a)及び図38(b)にて、トナー収容容器32にトナーを充填するときの製造工程の一例について説明する。
まず、空のトナー収容容器32に対して、把手部303に容器本体33内に通じる穴部33d2(貫通穴)を形成する(加工工程である。)。
その後、穴部33d2から清掃用ノズルを差し込んで、容器本体33内の清掃を行う。
その後、図38(a)を参照して、穴部33d2が形成されたトナー収容容器32を充填機200にセットする。
詳しくは、充填機200の支持部210に把持部303の引掛部としてのくびれ部33d1を係合させて、把持部33dが上方になるようにトナー収容容器32を吊着する。
さらに、トナー収容容器32の穴部33d2に、充填機200のノズル220を差し込んで、充填機200からトナー収容容器32内にトナーを充填する(充填工程である。)。
そして、図38(b)を参照して、トナーの充填が完了した後に、穴部32d2を封止部材としての封止キャップ等で封止する。
これにより、トナーを充填した後のトナー容器32におけるシール性が担保される。
なお、本実施の形態では、把手部303に覆設されるキャップ90を封止部材として用いたが、穴部33d2に差し込まれる栓を封止部材として用いることもできるし、穴部33d2に覆設される発泡ポリウレタン等のシール部材を封止部材として用いることもできる。すなわち、上記実施形態におけるトナー収容容器において、容器本体に開口が設けられ、当該開口を封止部材によって封止されているトナー収容容器ができ上がる。
上述したように、本実施形態では、トナー収容容器32のトナー充填時において、容器本体33からノズル受入部材330を分解することなく、トナー収容容器32へのトナー充填を行うことができることになる。
これにより、製造時の作業性が向上する。
<トナー>
次に、本発明のトナー収容容器に収容されているトナーについて説明する。
前記トナーは、結晶性ポリエステル樹脂(A)と、非結晶性樹脂(B)と、を含み、トナーのTHF可溶分により求められたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布が1000〜10000の間にメインピークを有し、該トナーを45℃の恒温槽内で12時間保存した後にフーリエ変換赤外分光分析測定装置を用いて全反射法により測定したとき、前記結晶性ポリエステル樹脂(A)に由来する特徴的なスペクトルのピーク高さをCとし、前記非結晶性樹脂(B)に由来する特徴的なスペクトルのピーク高さをRとして、ピーク高さ比(C/R)が0.03〜0.55である。
前記トナーが、前記要件を満たすことにより、トナーの凝集体の発生を防止することができる。
近年、電子写真において電子写真画像形成用トナー(以下、単にトナーとも称する場合もある。)の低温定着化が求められている。これは、定着に要するエネルギーを少なくすることによる省エネルギー化はもとより、電子写真画像形成装置の高速化、高画質化の要求にも起因しており、電子写真画像形成装置の使用目的が多様化していることも相まって、要求が高まってきている。
単にトナーを低温定着化させるためには、トナーの軟化温度(T1/2)を低いものにすればよい。しかし、軟化温度を低くするとガラス転移温度も低下し、耐熱保存性が悪化する。また、画像品質に問題の発生しない定着可能な温度の下限(定着下限温度)の低下と共に定着可能な温度の上限(定着上限温度)も低下してしまうため、耐ホットオフセット性も損ねてしまう。加えて、軟化温度の低い樹脂は、分子量が低いため、必然的に比較的柔らかいものとなる。そのため、軟化温度を低くする手段として、単純に軟化温度の低い樹脂の配合割合を高くするだけでは、トナーが圧力等によるストレスを受けた際に、変形や癒着により、凝集体を形成し易くなる。特に、前記構成のトナー収容容器でのトナー搬送を行なう場合、粉体受入口にトナーを移動させるにあたり、汲み上げ部にてトナーの滞留が発生し、収容容器内にて後続から搬送されてくるトナーに押される形で圧力がかかり、結果としてトナーの凝集体が発生することが多い。トナーに凝集体が発生すると、現像装置内での詰まりによるスジ状の異常画像や、凝集体が落ちることによる点状の異常画像が発生する。そのため、低温定着性と耐ホットオフセット性、及び凝集体の抑制を両立させることは、前記トナー収容容器を用いる上で大きな課題となっていた。
本発明者らは、上記命題に対し、鋭意検討を行なった。その結果、以下の技術構想を見出し、上記課題を解決するに至った。
電子写真画像形成用トナーに用いる結着樹脂に結晶性ポリエステル樹脂(A)を用いると、そのシャープメルト性により、分子量の低い樹脂の配合割合を抑えながら、トナーに充分な低温定着性を付与することができる。そのため、前記構成のトナー収容容器を用いたトナー搬送を行なう場合に、トナーに圧力が掛かっても、凝集体の発生を抑えることができる。
しかし、結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂(A)を単に使用しただけでは、耐ホットオフセット性が非常に悪くなるため、定着温度幅が非常に狭くなり実用に耐えられない。
そこで、本発明者らは、鋭意検討を行ない、結晶性ポリエステル樹脂(A)と共に、非結晶性樹脂(B)を用いることで、耐ホットオフセット性が向上し、定着可能な温度に幅を持たせることができると考えた。
しかし、結晶性ポリエステル樹脂(A)と非結晶性樹脂(B)だけを処方した場合、非結晶性樹脂(B)が多すぎると低温定着性が薄れてしまう。結晶性ポリエステル樹脂(A)が多いと、製造工程において溶融混練を施した際に非結晶性樹脂(B)、特に非結晶性樹脂(B)のクロロホルム不溶分以外の成分と相溶してしまい、非結晶性樹脂(B)のガラス転移温度を著しく低下させてしまうため、耐熱保存性が極端に悪化する。
本発明者が更に検討を重ねた結果、トナーのTHF可溶分により求められたGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー;Gel Permeation Chromatography)によるトナーの分子量分布が1000〜10000の間にメインピークを有し、結晶性ポリエステル樹脂(A)の配分を少なくして相溶を抑制させることで、結晶性ポリエステル樹脂(A)の低温定着性を補助しつつ、耐ホットオフセット性も阻害しないことを見出した。
本発明は結晶性ポリエステル樹脂(A)と非結晶性樹脂(B)に加えて、必要に応じて複合樹脂(C)を用いることができる。
ところが、上記の結晶性ポリエステル樹脂(A)、非結晶性樹脂(B)、複合樹脂(C)を併用しても、粉砕トナー製造工程においては溶融混練を行なうと、原材料樹脂の熱特性に起因する各長所が発揮されない場合がある。これは、溶融混練工程においては、樹脂の分子の繋がりが切断され、分子量が変化してしまうことが主要因である。特に、非結晶樹脂に含有されるクロロホルム不溶分の分子の繋がりが切断されると、トナー全体の分子量分布がブロードになり、低温定着性が損ねられてしまう。
本発明者が鋭意検討を重ねた結果、例えば、後述するように、適度に温度を掛けて溶融混練を行なうことで原材料樹脂にかかるシェアを最適なものにしつつ、結晶性ポリエステル樹脂(A)を冷却工程にて再結晶させるような手法をとることで、THF可溶分により求められたGPCによるトナーの分子量分布が1000〜10000の間にメインピークを有することで、低分子量分の絶対量が多く、かつ、シャープな分子量分布となり、上記結晶性ポリエステル樹脂(A)、非結晶性樹脂(B)のそれぞれの特徴を活かした、低温定着かつ耐熱保存性、耐ホットオフセット性の優れたトナーを提供することができるという知見を見出した。
特に、結晶性ポリエステル樹脂(A)の効果及び副作用はトナー表面の結晶性ポリエステル樹脂(A)の存在量が大きく寄与するため、結晶性ポリエステル樹脂(A)の処方量に起因する結晶性ポリエステル樹脂(A)の分散度、また、混練工程での工法等にてバランスを取り、トナー表面の結晶性ポリエステル樹脂(A)の存在割合を最適化することで、低温定着性を確保しつつ耐熱保存性を非常に良好に保つことができ、加えて、作像時のOPC(Organic Photo Conductor:有機電子写真感光体)へのフィルミングも抑制することができる。
トナー表面の結晶性ポリエステル樹脂(A)の存在割合は、フーリエ変換赤外分光分析測定装置(FT−IR)を用いた全反射法(ATR法)によるスペクトルのピーク高さ比で示すことができる。耐熱保存性を考慮し、本発明者らが検討を行なった結果、45℃の環境で12時間保管した後のスペクトルのピーク高さが、船舶輸送を想定した高温保管(高温保存)後の状態と相関があり、45℃で12時間保管した後の結晶性ポリエステル樹脂(A)由来の特徴的なスペクトルのピーク高さCと、非結晶性樹脂(B)由来の特徴的なスペクトルのピーク高さRの比(C/R)が0.03〜0.55の範囲となるようにすることで、低温定着性を確保しつつ、耐熱保存性を非常に良好に保つことができることを本発明者らは見出した。
前記ピーク高さ比(C/R)が0.55より高いと、トナー表面の結晶性ポリエステル樹脂(A)が過剰になり、耐熱保存性が悪くなる。また、0.03未満であると、トナー表面の結晶性ポリエステル樹脂(A)の存在量が少なすぎるため、低温定着に対する効率が悪くなってしまう。
前述のように、トナー表面の結晶性ポリエステル樹脂(A)の存在割合:ピーク高さ比(C/R)は、結晶性ポリエステル樹脂(A)の処方量や、分散度、また、混練工程での工法等によって制御することができる。例えば、結晶性ポリエステル樹脂(A)の処方量を増やすとC/Rは高くなる。複合樹脂(C)を増量して分散性を向上させるとC/Rは低くなる。また、混練工程にて冷却時間を長くすると再結晶が促されるためC/Rは高くなる。C/Rの制御方法はこれらに限定されるものではなく、C/Rを0.03〜0.55の範囲とするならば、いかなる方法を用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の特徴的なスペクトルのピーク高さCと、非結晶性ポリエステル樹脂の特徴的なスペクトルのピーク高さRとのピーク高さ比(C/R)は、FT−IR(フーリエ変換赤外分光分析測定装置「Avatar370(Thermo Electron社製)」)を用いてATR法(全反射法)でのATRスペクトルから求めた。また、ATR法では平滑面での測定が必要となるため、トナーを加圧成型し、ペレット化して測定を行なった。加圧成型は、トナー0.6gに対して1000kgを30秒間荷重し、直径20mmのペレットを作製した。
図40は、結晶性ポリエステル樹脂の赤外吸収スペクトルの一例を示したものである。
結晶性ポリエステル樹脂の赤外吸収スペクトルは、図40に示すように、波数1130cm−1〜1220cm−1の間に、吸光度が1番目に小さくなる立ち下がりピーク点(以下「第1立ち下がりピーク点Fp1」という。)と、吸光度が2番目に小さくなる立ち下がりピーク点(以下「第2立ち下がりピーク点Fp2」という。)との間に、吸光度が最大となる最大立ち上がりピーク点Mpがある。第1立ち下がりピーク点Fp1と第2立ち下がりピーク点Fp2とを結ぶ線分をベースラインとする。そして、最大立ち上がりピーク点Mpから横軸に向けて垂線を引き、ベースラインとの交点における吸光度と、最大立ち上がりピーク点Mpにおける吸光度との差分の絶対値を、最大立ち上がりピーク点Mpの高さCとする。
なお、図40に示す例では、Fp1は1158cm−1、Fp2は1201cm−1(即ち、ベースラインは1158cm−1〜1201cm−1)であり、Mpは1183cm−1である。
図41は、非結晶性ポリエステル樹脂の赤外吸収スペクトルの一例を示したものである。
非結晶性ポリエステル樹脂の赤外吸収スペクトルは、図41に示すように、波数780cm−1〜900cm−1の間に、最大立ち上がりピーク点Mpと、吸光度が最小となる第1立ち下がりピーク点Fp1と、吸光度が2番目に小さくなる第2立ち下がりピーク点Fp2があり、最大立ち上がりピーク点Mpが第1立ち下がりピーク点Fp1と第2立ち下がりピーク点Fp2との間に位置している。第1立ち下がりピーク点Fp1と第2立ち下がりピーク点Fp2とを結ぶ線分をベースラインとする。そして、最大立ち上がりピーク点Mpから横軸に向けて垂線を引き、このベースラインとの交点における吸光度と、最大立ち上がりピーク点Mpにおける吸光度との差分の絶対値を、最大立ち上がりピーク点Mpの高さRとする。また、C/Rをピーク比(C/R値)とする。
なお、図41に示す例では、Fp1は784cm−1、Fp2は889cm−1(即ち、ベースラインは784cm−1〜889cm−1)であり、Mpは829cm−1である。
図42は、非結晶性スチレン−アクリル系樹脂の赤外吸収スペクトルの一例を示したものである。
非結晶性スチレン−アクリル系樹脂の赤外吸収スペクトルは、図42に示すように、波数660cm−1〜720cm−1の間に、最大立ち上がりピーク点Mpと、吸光度が最小となる第1立ち下がりピーク点Fp1と、吸光度が2番目に小さくなる第2立ち下がりピーク点Fp2があり、最大立ち上がりピーク点Mpが第1立ち下がりピーク点Fp1と第2立ち下がりピーク点Fp2との間に位置している。第1立ち下がりピーク点Fp1と第2立ち下がりピーク点Fp2とを結ぶ線分をベースラインとする。そして、最大立ち上がりピーク点Mpから横軸に向けて垂線を引き、このベースラインとの交点における吸光度と、最大立ち上がりピーク点Mpにおける吸光度との差分の絶対値を、最大立ち上がりピーク点Mpの高さRとする。また、C/Rをピーク比(C/R値)とする。
なお、図42に示す例では、Fp1は670cm−1、Fp2は714cm−1(即ち、ベースラインは670m−1〜714cm−1)であり、Mpは699cm−1である。
非結晶性樹脂として、非結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性スチレン−アクリル系樹脂の両方を用いている場合は、波数780cm−1〜900cm−1の間の最大立ち上がりピーク点Mpから求めたR値と、波数660cm−1〜720cm−1の間の最大立ち上がりピーク点Mpから求めたR値を比較して、強度の強い方を採用して、ピーク比(C/R値)とする。
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)は次のようにして測定される。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6重量%に調製した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。
試料の分子量測定に当たっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により、作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。
検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.あるいは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
非結晶性樹脂(B)として、非結晶性樹脂(B−1)と、非結晶性樹脂(B−1)よりも軟化温度(T1/2)が25℃以上低い非結晶性樹脂(B−2)と、を使用することが好ましい。前記非結晶性樹脂(B−1)および前記非結晶性樹脂(B−2)の2種を使用することで、結晶性ポリエステル樹脂(A)の配分を少なくして相溶を抑制させ、かつ、結晶性ポリエステル樹脂(A)の低温定着性を非結晶性樹脂(B−2)が補助しつつ、非結晶性樹脂(B−1)の持つクロロホルム不溶分に起因する耐ホットオフセット性も阻害しないため好ましい。
トナーにおける前記結晶性ポリエステル樹脂(A)の含有量は、1〜15重量%が好ましく、より好ましくは1〜10重量%である。前記非結晶性樹脂(B−1)の含有量は10〜40重量%が好ましく、前記非結晶性樹脂(B−2)の含有量は50〜90重量%が好ましく、前記複合樹脂(C)の含有量は3〜20重量%が好ましい。
結着樹脂の軟化温度(T1/2)は、高架式フローテスターCFT−500(島津製作所製)を用い、ダイス穴径1mm、加圧20kg/cm、昇温速度6℃/minの条件下で1cmの試料を溶融流出させたときの流出開始点から流出終了点までの1/2に相当する温度により測定される。
本発明における結晶性ポリエステル樹脂(A)は従来公知のものを使用することが可能ではあるが、より好ましくはその分子主鎖中に下記一般式(1)で表わされるエステル結合を含有することが好ましい。
[−OCO−R−COO−(CHn−] 一般式(1)
(式中、Rは炭素数2〜20の直鎖状不飽和脂肪族2価カルボン酸残基を示し、nは2〜20の整数を示す。)
一般式(1)の構造の存在は固体C13NMRにより確認することができる。
前記直鎖状不飽和脂肪族基の具体例としては、マレイン酸、フマル酸、1,3−n−プロペンジカルボン酸、1,4−n−ブテンジカルボン酸等の直鎖状不飽和2価カルボン酸由来の直鎖状不飽和脂肪族基が挙げられる。
前記一般式(1)において、(CHnは直鎖状脂肪族2価アルコール残基を示す。この場合の直鎖状脂肪族2価アルコール残基の具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の直鎖状脂肪族2価アルコールから誘導されたものが挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂(A)は、その酸成分として、直鎖状不飽和脂肪族ジカルボン酸を用いることで、芳香族ジカルボン酸を用いた場合よりも結晶構造を形成し易いという利点があり、結晶性ポリエステル樹脂の機能をより効果的に発揮させることができる。
結晶性ポリエステル樹脂(A)は、例えば、(i)直鎖状不飽和脂肪族2価カルボン酸またはその反応性誘導体(酸無水物、炭素数1〜4の低級アルキルエステル、酸ハライド等)からなる多価カルボン酸成分と、(ii)直鎖状脂肪族ジオールからなる多価アルコール成分とを、重縮合反応をさせることによって製造することができる。この場合、多価カルボン酸成分には、必要に応じ、少量の他の多価カルボン酸を添加してもよい。
その場合、多価カルボン酸には、(i)分岐鎖を有する不飽和脂肪族2価カルボン酸、(ii)飽和脂肪族2価カルボン酸や、飽和脂肪族3価カルボン酸等の飽和脂肪族多価カルボン酸、(iii)芳香族2価カルボン酸や芳香族3価カルボン酸等の芳香族多価カルボン酸等が包含される。
これらの多価カルボン酸の添加量は、全カルボン酸に対して、通常、30モル%以下、好ましくは10モル%以下であり、得られるポリエステルが結晶性を有する範囲内で適宜添加される。
必要に応じて添加することのできる多価カルボン酸の具体例としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シトラコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の2価カルボン酸;無水トリメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸等の3価以上の多価カルボン酸等が挙げられる。
前記多価アルコール成分には、必要に応じ、少量の脂肪族系の分岐鎖2価アルコールや環状2価アルコールの他、3価以上の多価アルコールを添加してもよい。
その添加量は、全アルコールに対して、30モル%以下、好ましくは10モル%以下であり、得られるポリエステルが結晶性を有する範囲内で適宜添加される。
必要に応じて添加される多価アルコールを例示すると、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ポリエチレングリコール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、グリセリン等が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂(A)において、その分子量分布は、低温定着性の観点からシャープであることが好ましく、また、その分子量は、比較的低分子量であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂(A)の分子量は、o−ジクロルベンゼン可溶分のGPCによる分子量分布において、重量平均分子量(Mw)が5500〜6500、数平均分子量(Mn)が1300〜1500およびMw/Mn比が2〜5であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂(A)についての前記分子量分布は、横軸をlog(M:分子量)とし、縦軸を重量%とする分子量分布図に基づくものである。本発明で用いる結晶性ポリエステル樹脂(A)の場合、この分子量分布図において、3.5〜4.0(重量%)の範囲に分子量ピークを有することが好ましく、また、そのピークの半値幅が1.5以下であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂(A)において、そのガラス転移温度(Tg)および軟化温度(T1/2)は、トナーの耐熱保存性が悪化しない範囲で低いことが望ましいが、一般的には、そのTgは80〜130℃、好ましくは80〜125℃であり、そのT1/2は80〜130℃、好ましくは80〜125℃である。TgおよびT1/2が前記範囲より高くなると、トナーの定着下限温度が高くなり、低温定着性が悪化する。TgおよびT1/2が前記範囲より低くなるとトナーの耐熱保存性が悪化する。
本発明における結晶性ポリエステル樹脂(A)が結晶性を有するか否かは、粉末X線回折装置によるX線回折パターンにピークが存在するかどうかで確認できる。
本発明で用いる結晶性ポリエステル樹脂(A)は、その回折パターンにおいて、2θが19°〜25°の位置に少なくとも1つの回折ピークが存在すること、より好ましくは2θが(i)19°〜20°、(ii)21°〜22°、(iii)23°〜25°および(iv)29°〜31°の位置に回折ピークが存在することが好ましい。トナー化後にも、2θ=19°〜25°の位置に回折ピークが存在すると、即ちそれは、結晶性ポリエステル樹脂(A)が結晶性を維持していることを示しており、結晶性ポリエステル樹脂(A)の機能を確実に発揮させることができるため好ましい。
粉末X線回折測定は、理学電機RINT1100を用い、管球をCu、管電圧−電流を50kV〜30mAの条件で広角ゴニオメーターを用いて測定した。
図43に、実施例で用いた結晶性ポリエステル樹脂a6(詳細は後述する)のX線回折結果を、図44に実施例30のトナーのX線回折結果を示す。
図43および図44によれば、結晶性ポリエステル樹脂a6および実施例30のトナーは結晶性を有することが確認された。
本発明に用いる非結晶性樹脂(B)はクロロホルム不溶分を含有していることが好ましく、前記非結晶性樹脂(B)が非結晶性樹脂(B−1)および非結晶性樹脂(B−2)を含有してなり、該非結晶性樹脂(B−1)がクロロホルム不溶分を含有していることがより好ましい。特に、前記非結晶性樹脂(B−1)がクロロホルム不溶分を5〜40重量%含有していると耐ホットオフセット性が発現しやすくなるため好ましい。また、トナー化後に、トナー中のクロロホルム不溶分が1〜30重量%となるようにすると、耐ホットオフセット性を維持しつつ、非結晶性樹脂(B−1)以外の樹脂の配分も確保できるため好ましい。トナー中のクロロホルム不溶分が1重量%より少なくなると、クロロホルム不溶分に起因する耐ホットオフセット性が希薄になり、30重量%よりも多くなると、低温定着性に寄与する分の結着樹脂の配分が相対的に少なくなるため、低温定着性が悪化する。
クロロホルム不溶分は以下のように測定される。
トナー(もしくは結着樹脂)約1.0gを秤量し、これにクロロホルムを約50g加える。充分に溶解させた溶液を遠心分離で分け、JIS規格(P3801)5種Cの定性濾紙を用いて常温で濾過する。濾紙残渣が不溶分であり、用いたトナー重量と濾紙残渣重量の比(重量%)でクロロホルム不溶分の含有量を表わす。
なお、トナーとしたときのクロロホルム不溶分を測定する場合には、トナー約1.0gを秤量して結着樹脂と同様の方法で行なうが、濾紙残渣の中には顔料などの固形物が存在するので、熱分析により別途求める。
本発明に用いる非結晶性樹脂(B−2)は非結晶性樹脂(B−1)よりも軟化温度(T1/2)が25℃以上低いことが好ましい。これは、非結晶性樹脂(B−2)には結晶性ポリエステル樹脂(A)の低温定着性を補助させるべく定着下限に寄与する機能、非結晶性樹脂(B−1)にはクロロホルム不溶分に起因する耐ホットオフセット性、つまり定着上限に寄与する機能というように、非結晶性樹脂(B−1)と非結晶性樹脂(B−2)で役割を分け、機能分離をさせているためである。
非結晶性樹脂(B−2)は、THF可溶分により求められたGPCによる分子量分布が1000〜10000の間にメインピークを有し、該メインピークの半値幅が15000以下であることが好ましい。このような非結晶性樹脂(B−2)は非常に良好な低温定着性を示すため、トナーに処方した際に結晶性ポリエステル樹脂(A)を減量しても充分に低温定着性を補助することができる。また、逆説的ではあるが、上記の分子量分布を持つ非結晶性樹脂(B−2)を用いても、トナーの分子量分布が1000〜10000の間にメインピークを有し、半値幅が15000以下となるのであれば、トナーを構成する結着樹脂のうち非結晶性樹脂(B−2)の占める割合は高くなる。本発明者らが検討を重ねた結果、結晶性ポリエステル樹脂(A)、非結晶性樹脂(B−1)、非結晶性樹脂(B−2)、複合樹脂(C)を組み合わせた処方でトナーを製造すると、非結晶性樹脂(B−2)の割合を高めた場合が最もバランスがよく、過剰な結晶性ポリエステル樹脂や過剰なTHF不溶分による副作用や、複合樹脂(C)による定着下限への悪影響が顕在化せず、それぞれの樹脂の機能が有効に発揮され、低温定着性、耐熱保存性、耐ホットオフセット性が良好になるということを見出した。
したがって、本発明に係る電子写真画像形成用トナーは、THF可溶分により求められたGPCによる分子量分布が1000〜10000の間にメインピークを有し、該メインピークの半値幅が15000以下であることが好ましい。
本発明において、非結晶性樹脂(B−1)、非結晶性樹脂(B−2)としては、前述のように、非結晶性樹脂(B−1)のクロロホルム不溶分の含有、非結晶性樹脂(B−2)の適切な分子量分布、非結晶性樹脂(B−1)と非結晶性樹脂(B−2)の軟化温度の大小関係が満たされていることが好ましく、それら樹脂には従来公知の材料を用いることができる。例えば、以下に示すような樹脂を用いることが可能である。これらの樹脂は単独使用に限らず、二種以上併用することも可能である。
ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、スチレン/クロロスチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/塩化ビニル共重合体、スチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体(スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重合体、スチレン/アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン/メタクリル酸エステル共重合体(スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン/メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン/α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル/アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単独重合体又は共重合体)、塩化ビニル樹脂、スチレン/酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン/エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等、石油系樹脂、水素添加された石油系樹脂等が例として挙げられる。
これらの樹脂の製造法は、特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合のいずれも利用できる。
本発明に用いられる非結晶性樹脂(B)は、より好ましくはポリエステル樹脂であると低温定着性の観点から好ましい。例えば、アルコールとカルボン酸との縮重合によって通常得られるものも使用可能である。
該アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、及びビスフェノールA等のエチル化ビスフェノール類、その他二価のアルコール単量体、三価以上の多価アルコール単量体を挙げることができる。
また、カルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、マロン酸等の二価の有機酸単量体、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸等の三価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。
特に、ポリエステル樹脂としては、熱保存性の関係から、ガラス転位温度Tgが55℃以上のものが好ましく、さらに60℃以上のものがより好ましい。
前記複合樹脂(C)は、縮重合系モノマーと付加重合系モノマーとが化学的に結合した樹脂(ハイブリッド樹脂と称することもある)である。
即ち、前記複合樹脂(C)は、縮重合系樹脂ユニットと、付加重合系樹脂ユニットとを有している。
前記複合樹脂(C)は、原料となる縮重合系モノマーと付加重合系モノマーを含む混合物を、同一反応容器中で縮重合反応と付加重合反応を同時に並行反応して行うか、縮重合反応と付加重合反応、又は付加重合反応と縮重合反応を順次行うことによって得ることができる。即ち、複合樹脂(C)は、縮重合系ユニットと付加重合系ユニットとを含む樹脂である。
前記複合樹脂(C)における縮重合系モノマーとしては、ポリエステル樹脂ユニットを形成する多価アルコールと多価カルボン酸、ポリアミド樹脂ユニットもしくはポリエステル−ポリアミド樹脂ユニットを形成する多価カルボン酸とアミン、又はアミノ酸が挙げられる。
2価のアルコール成分としては、例えば1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素添加ビスフェノールA、又は、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオールなどが挙げられる。
3価以上の多価アルコールとしては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、などが挙げられる。
これらの中でも、水素添加ビスフェノールA、又はビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオール等のビスフェノールA骨格を有するアルコール成分は、樹脂に耐熱保存性や機械的強度を付与するので好適に用いることができる。
カルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物;マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物、などが挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えばトリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステル、などが挙げられる。
これらの中でも、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の芳香族多価カルボン酸化合物が、樹脂の耐熱保存性、機械的強度の観点から好適に用いられる。
アミン成分もしくはアミノ酸成分としては、例えば、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
前記ジアミン(B1)としては、例えば芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等)、脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン等)、脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)などが挙げられる。
前記3価以上のポリアミン(B2)としては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
前記アミノアルコール(B3)としては、例えばエタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
前記アミノメルカプタン(B4)としては、例えばアミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
前記アミノ酸(B5)としては、例えばアミノプロピオン酸、アミノカプロン酸、ε−カプロラクタムなどが挙げられる。
前記(B1)〜(B5)のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記(B1)〜(B5)のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。
前記複合樹脂(C)中における縮重合系モノマー成分のモル比率は、5モル%〜40モル%であることが好ましく、10モル%〜25モル%がより好ましい。
前記モル比率が、5モル%未満であると、ポリエステル系樹脂との分散性が悪化し、40モル%を超えると、離型剤の分散が悪化する傾向が現れる。
また、縮重合反応を行う際にはエステル化触媒等を使用してもよく、周知慣用の触媒を全て用いることが可能である。
前記複合樹脂(C)における付加重合系モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ビニル系モノマーが代表的である。
該ビニル系モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−アミルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−4−ジクロロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン系ビニルモノマー;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸等のアクリル系モノマー;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸系ビニルモノマー;その他のビニルモノマー又は共重合体を形成する他のモノマー、などが挙げられる。
前記その他のビニルモノマー又は共重合体を形成する他のモノマーとしては、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフイン類;ブタジエン、イソプレン等のポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体;マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステル、シトラコン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、アルケニルコハク酸モノメチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、メサコン酸モノメチルエステル等の不飽和二塩基酸のモノエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸等の不飽和二塩基酸エステル;クロトン酸、ケイヒ酸等のα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物等のα,β−不飽和酸無水物;該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物、アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物又はこれらのモノエステル等のカルボキシル基を有するモノマー;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルへキシル)スチレン等のヒドロキシ基を有するモノマー、などが挙げられる。
これらの中でも、スチレン、アクリル酸、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等が好適に用いられ、少なくともスチレンとアクリル酸を含む組み合せで用いると、離型剤の分散性が極めて良好であるので特に好ましい。
更に必要に応じて付加重合系モノマーの架橋剤を添加することができる。
該架橋剤としては、例えば、芳香族ジビニル化合物として、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、などが挙げられる。
アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として、例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの、などが挙げられる。
エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの、などが挙げられる。
その他、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物、ジメタクリレート化合物も挙げられる。
ポリエステル型ジアクリレート類として、例えば、商品名MANDA(日本化薬株式会社製)が挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの、トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
前記架橋剤の添加量は、使用される付加重合系モノマー100重量部に対して、0.01重量部〜10重量部が好ましく、0.03重量部〜5重量部がより好ましい。
付加重合系モノマーを重合させる際に用いられる重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系重合開始剤;メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、n−ブチル−4,4−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)バレレート等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
これらは、樹脂の分子量及び分子量分布を調節する目的で二種類以上を混合して用いることが可能である。
前記重合開始剤の添加量は、使用される付加重合系モノマー100重量部に対して、0.01重量部〜15重量部が好ましく、0.1重量部〜10重量部がより好ましい。
縮重合系樹脂ユニットと、付加重合系樹脂ユニットとを化学的に結合するには、例えば、縮重合と付加重合のいずれでも反応可能なモノマー(両反応性モノマー)を用いる。
このような両反応性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物;ヒドロキシ基を有するビニル系モノマーなどが挙げられる。
前記両反応性モノマーの添加量は、使用される付加重合系モノマー100重量部に対して、1重量部〜25重量部が好ましく、2重量部〜20重量部がより好ましい。
前記複合樹脂(C)は、同一反応容器内であれば、縮重合反応と付加重合反応の両反応の進行及び/又は完了を同時に行う他、それぞれの反応温度、時間を選択して、独立に反応の進行を完了することができる。
例えば、反応容器中に縮重合系モノマーの混合物中に、付加重合系モノマー及び重合開始剤からなる混合物を滴下してあらかじめ混合し、最初にラジカル重合反応により付加重合を完了させ、次いで反応温度を上昇させることにより縮重合を行う方法がある。
このように、反応容器中で独立した二つの反応を進行させることにより、二種の樹脂ユニットを効果的に分散、結合させることが可能である。
複合樹脂(C)が、ポリエステルの縮重合系樹脂ユニットとビニル系樹脂の付加重合系ユニットを有する複合樹脂であることが好ましく、複合樹脂(C)の機能をより効果的に発揮させることができる。
前記複合樹脂(C)の軟化温度(T1/2)としては、90℃〜130℃が好ましく、100℃〜120℃がより好ましい。
前記軟化温度(T1/2)が、90℃より低い場合は、耐熱保存性、耐オフセット性が悪化することがあり、130℃より高い場合は、低温定着性を悪化させることがある。
また、前記複合樹脂(C)のガラス転移温度は、定着性、保存性及び耐久性の観点から、45℃〜80℃が好ましく、50℃〜70℃がより好ましく、53℃〜65℃が更に好ましい。
前記複合樹脂(C)の酸価は、帯電性と環境安定性の観点から、5mgKOH/g〜80mgKOH/gが好ましく、15mgKOH/g〜40mgKOH/gがより好ましい。
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤を配合することも可能である。
帯電制御剤としては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、ホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類、有機金属錯体、キレート化合物、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体、第四級アンモニウム塩、サリチル酸金属化合物等がある。他にも、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類等があり、これら従来公知のいかなる帯電制御剤(極性制御剤)も、単独あるいは混合して使用できる。
これらの帯電制御剤の使用量は、トナー樹脂成分100重量部に対し、0.1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。
これら帯電制御剤の中でも、サリチル酸金属化合物を含有させると、同時に耐ホットオフセット性を改良できるため好ましい。特に、6配位の構成を取りうる3価以上の金属を有する錯体は、結着樹脂とワックスの反応性が高い部分と反応し、軽度の架橋構造を作るため、耐ホットオフセットへの効果が大きい。また、複合樹脂(C)と併用することで分散性が向上し、帯電極性制御の機能をより有効に発揮させることができる。
ここで、3価以上の金属の例としては、Al,Fe,Cr,Zr等が挙げられる。
また、サリチル酸金属化合物としては、下式で表される化合物を用いることができ、Mが亜鉛である金属錯体としてボントロンE−84 オリエント化学工業(株)製を挙げることができる。
(式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、直鎖又は分枝鎖状の炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基、Mはクロム、亜鉛、カルシウム、ジルコニウム又はアルミニウム、mは2以上の整数、nは1以上の整数を示す)
本発明における電子写真画像形成用トナーは、DSC(Differential scanning calorimetry;示差走査熱量測定)によるトナーの吸熱ピーク測定にて、90〜130℃の範囲に結晶性ポリエステル樹脂(A)に起因する吸熱ピークを有することが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂(A)に起因する吸熱ピークが90〜130℃の範囲に存在すると、結晶性ポリエステル樹脂が常温では溶融せず、かつ、比較的低温な定着温度領域でトナーが溶融し、記録媒体に定着できるため、耐熱保存性と低温定着性をより効果的に発現させることができる。
また、吸熱ピークの吸熱量が1J/g以上、15J/g以下であることが好ましい。
吸熱量が1J/g未満であると、トナー中で有効にはたらく結晶性ポリエステル樹脂の量が少なすぎるため、結晶性ポリエステル樹脂の機能が充分に発揮されない。吸熱量が15J/gより多いと、トナー中で有効な結晶性ポリエステル樹脂の量が過剰であるため、非結晶性ポリエステル樹脂と相溶する絶対量が多くなり、トナーのガラス転移温度が低下し、耐熱保存性の低下を招く。
本発明におけるDSC測定(吸熱ピーク、ガラス転移温度Tg)は、示差走査熱量計(「DSC−60」;島津製作所製)を用い、10℃/分で20〜150℃まで昇温して測定する。
本発明では結晶性ポリエステル由来の吸熱ピークは、結晶性ポリエステルの融点である80〜130℃付近に存在するものであり、吸熱量はベースラインと吸熱曲線で囲まれた範囲の面積から求められる。一般的に、DSC測定における吸熱量は温度上昇を二度行って測定を行なうことが多いが、本発明における吸熱ピーク及びガラス転移温度の測定は一度目の昇温の際の吸熱曲線を用いて導き出す。
結晶性ポリエステル樹脂(A)由来の吸熱ピークがワックスの吸熱ピークと重なる場合には、重なったピークの吸熱量からワックス分の吸熱量を減算する。ワックス分の吸熱量は、ワックス単独の吸熱量とトナー中のワックス含有量から計算される。
本発明のトナーは、脂肪酸アミド化合物を含有することが好ましい。
トナー製造時に溶融混練工程を含む粉砕トナーに対し、結晶性ポリエステル樹脂(A)と共に脂肪酸アミド化合物を配合すると、混練時に溶融していた結晶性ポリエステル樹脂(A)が冷却される際の混練物中での再結晶が促進されるため、樹脂との相溶が少なくなり、トナーのガラス転移温度の低下を抑えることができるため、耐熱保存性を改善することができる。また、離型剤と併用した場合には、離型剤を定着画像表面に留めることが可能となるため、擦れに強く(耐スミア性の向上)なる。
トナーにおける脂肪酸アミド化合物の含有量は、0.5〜10重量%が好ましい。
脂肪酸アミド化合物としては、R10−CO−NR1213で表される化合物が好ましく用いられる。
10は炭素数10〜30の脂肪族炭化水素基であり、R12、R13は各々独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数7〜10のアラルキル基である。ここで、R12、R13のアルキル基、アリール基、アラルキル基は、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基等の通常不活性な置換基で置換されていても良い。より好ましくは無置換のものである。
好ましい化合物としては、ステアリン酸アミド、ステアリン酸メチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミド、ステアリン酸ベンジルアミド、ステアリン酸フェニルアミド、ベヘン酸アミド、ベヘン酸ジメチルアミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド等が挙げられる。
本発明では、上記脂肪酸アミド化合物としては、中でも、アルキレンビス脂肪酸アミドが特に好適に用いられる。
アルキレンビス脂肪酸アミドは、下記の一般式(II)で示される化合物である。
14−CO−NH−R15−NH−CO−R16 一般式(II)
(一般式(II)中、R14、R16は炭素数5〜21のアルキル基またはアルケニル基、R15は炭素数1〜20のアルキレン基を示す。)
上記一般式(II)で示されるアルキレンビス飽和脂肪酸アミドとしては、例えば、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスパルミチン酸アミド、エチレンビスパルミチン酸アミド、メチレンビスベヘン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサエチレンビスパルミチン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド等を挙げることができる。これらのうちでは、エチレンビスステアリン酸アミドが最も好ましい。
これら脂肪酸アミド化合物は、軟化温度(T1/2)が、定着時の定着部材表面の温度より低いと、定着部材表面で離型剤としての効果も果たすことができる。
上記の他に使用できるアルキレンビス脂肪酸アミド系の化合物として、具体的には、プロピレンビスステアリン酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、プロピレンビスオレイン酸アミド、ブチレンビスオレイン酸アミド、メチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、プロピレンビスラウリン酸アミド、ブチレンビスラウリン酸アミド、メチレンビスミリスチン酸アミド、エチレンビスミリスチン酸アミド、プロピレンビスミリスチン酸アミド、ブチレンビスミリスチン酸アミド、プロピレンビスパルミチン酸アミド、ブチレンビスパルミチン酸アミド、メチレンビスパルミトレイン酸アミド、エチレンビスパルミトレイン酸アミド、プロピレンビスパルミトレイン酸アミド、ブチレンビスパルミトレイン酸アミド、メチレンビスアラキジン酸アミド、エチレンビスアラキジン酸アミド、プロピレンビスアラキジン酸アミド、ブチレンビスアラキジン酸アミド、メチレンビスエイコセン酸アミド、エチレンビスエイコセン酸アミド、プロピレンビスエイコセン酸アミド、ブチレンビスエイコセン酸アミド、メチレンビスベヘニン酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミド、プロピレンビスベヘニン酸アミド、ブチレンビスベヘニン酸アミド、メチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、プロピレンビスエルカ酸アミド、ブチレンビスエルカ酸アミド等の、飽和または1〜2価の不飽和の脂肪酸のアルキレンビス脂肪酸アミド系の化合物を挙げることができる。
本発明のトナーに用いる着色剤としては、例えばカーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6Cレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料等の染顔料など、従来公知のいかなる染顔料をも単独あるいは混合して使用することが可能であり、ブラックトナーとしてもフルカラートナーとしても使用できる。
特に、カーボンブラックは良好な黒色着色力を持つ。しかし、同時に、良好な導電性材料でもあるため、使用量が多かったり、トナー中で凝集状態で存在したりすると電気抵抗が低下し、転写工程において転写不良を招く原因になる。特に、結晶性ポリエステル樹脂(A)と併用した場合、カーボンブラック粒子は結晶性ポリエステル樹脂(A)のドメイン中に入り込めないため、結晶性ポリエステル樹脂(A)が大きな分散径をもってトナー中に存在した場合、結晶性ポリエステル樹脂(A)以外の樹脂中に比較的濃度の高い状態で存在することになる。そのため、凝集体のままトナー中に閉じ込められやすくなり、抵抗が過剰に低下しやすくなる。
本発明の場合、複合樹脂(C)と併用するため、カーボンの分散も良好となり、上記のリスクは軽減することができる。また、カーボンブラックを含有すると、記録媒体へトナーを定着する際に、溶融したトナーの粘性を高いものにすることができるため、非結晶性樹脂(B−1)を多く処方した場合に、粘性低下に起因して発生するホットオフセットを抑制できるという効果も付与することができる。
これらの着色剤の使用量はトナー樹脂成分に対して、通常1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%である。
本発明のトナーの離型剤には従来公知のものが使用できる。例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等の低分子量ポリオレフィンワックスやフィッシャー・トロプシュワックス等の合成炭化水素系ワックスや蜜ロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックス等の天然ワックス類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸及び高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸アミド、合成エステルワックス等及びこれらの各種変性ワックスが挙げられる。
これら離型剤の中でも、カルナウバワックス及びその変性ワックスやポリエチレンワックス、合成エステル系ワックスが好適に用いられる。特にカルナウバワックスは、ポリエステル樹脂やポリオール樹脂に対して適度に微分散し、耐ホットオフセット性と転写性・耐久性ともに優れたトナーとすることが容易なため非常に好適である。また、脂肪酸アミド化合物と併用した場合、定着画像表面に留まる効果が非常に強くなり、耐スミア性が更に向上する。
これら離型剤は、1種又は2種以上を併用して用いることができる。また、これらの離型剤の使用量は、トナーに対して2〜15重量%が好適である。2重量%未満ではホットオフセット防止効果が不充分であり、15重量%を超えると転写性、耐久性が低下する。
離型剤の融点は70〜150℃であることが好ましい。70℃より低いとトナーの耐熱保存性が低下する。150℃より高いと離型性が充分に果たせない。
本発明のトナーの粒径については、細線再現性等に優れた高画質を得るためには、体積平均粒径が4〜10μmであることが好ましい。
4μmより小さいと現像工程におけるクリーニング性、転写工程における転写効率に支障をきたし、画像品質が低下する。10μmより大きいと、画像の細線再現性が低下する。
ここで、トナー体積平均粒径の測定は、種々の方法によって測定可能であるが、本発明では米国コールター・エレクトロニクス社製のコールターカウンターTAIIが用いられる。
本発明のトナーは、製造工程に少なくとも溶融混練工程を含む、所謂粉砕法を用いて製造された粉砕トナーであると、ピーク比C/Rを制御できるため好ましい。
粉砕法は、結晶性ポリエステル樹脂(A)、非結晶性樹脂(B)を少なくとも含有し、必要に応じて複合樹脂(C)、着色剤及び離型剤、並びに帯電制御剤等のその他の材料を含むトナー材料を乾式混合し、混練機にて溶融混練し、粉砕して粉砕トナーを得る方法である。
まず溶融混練工程では、トナー材料を混合し、該混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。該溶融混練機としては、例えば、一軸の連続混練機、二軸の連続混練機、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。具体的な例としては、神戸製鋼所社製KTK型二軸押出機、東芝機械社製TEM型押出機、ケイシーケイ社製二軸押出機、池貝鉄工所社製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダー等が好適に用いられる。
溶融混練は、結着樹脂(バインダー樹脂)の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は結着樹脂の軟化点を参考にして行われ、該軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
粉砕工程では、前記混練で得られた混練物を粉砕する。この粉砕においては、まず、混練物を粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
分級工程では、前記粉砕工程にて得られた粉砕物を分級し、所定粒径の粒子に調整する。分級は、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができる。
前記粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中にて分級し、所定の粒径のトナー(トナー母体粒子)を製造する。
本発明のトナーは、製造工程において溶融混練工程を経る粉砕トナーであることが好ましいが、原材料を溶融混練させた後の冷却工程にて、混練物の厚さを2.5mm以上にすると、混練物の冷却速度が遅くなり、混練物中で溶融している結晶性ポリエステル樹脂(A)の再結晶が行なわれる時間が長くなるため、再結晶が促進され、結晶性ポリエステル樹脂(A)の機能をより効果的に発揮させることができる。再結晶を促進させるには前述のように脂肪酸アミドを配合するのも有効な手段ではあるが、このように製造工程を調整することでも効果が得られる。混練物の厚さに上限はないが、8mmより厚くすると、粉砕工程において効率が著しく低下すること、また、ピーク比C/Rが高くなるため、8mm以下の厚さに留めることが好ましい。
なお、溶融混練工程後の混練物はそのままでは塊状として排出され、冷却に著しく過剰な時間を要し、また粉砕工程においても効率が著しく低くなるため、一般的には圧延工程により混練物を薄い板状とする。そして本発明では、(圧延工程によって得られた薄い板状となったものなどの)混練物の厚さを2.5mm以上とすることで、急冷とならず徐冷を可能とし、結晶性ポリエステル樹脂(A)の再結晶化を促進することができるため好ましい。
トナーの流動性や保存性、現像性、転写性を高めるために、上記のようにして製造されたトナー母体粒子に更に疎水性シリカ微粉末等の無機微粒子を添加混合してもよい。
このような添加剤の混合は、一般の粉体の混合機が用いられるが、ジャケット等装備して内部の温度を調節できることが好ましい。添加剤に与える負荷の履歴を変えるには、例えば、途中又は漸次に添加剤を加えていけばよい。
混合機の回転数、転動速度、時間、温度などを適宜変化させてもよい。また、初めに強い負荷を与え、次いで、比較的弱い負荷を与えてもよいし、その逆でもよい。
外添剤混合工程に使用できる混合設備としては、例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられる。
混合工程を施した後に、250メッシュ以上の篩を通過させ、粗大粒子や凝集粒子を除去してもよい。
本発明のトナーを現像剤として使用する際は、トナーのみにて構成される一成分現像剤として用いても、キャリアと混合して二成分現像剤として用いてもよく、特に限定はされないが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命向上等の観点から、二成分現像剤として用いることが好ましい。
以下、本発明を実施例および比較例を挙げて説明する。なお、本発明はここに例示される実施例に限定されるものではない。また、以下において「部」は重量部を表す。
(実施例1)
[粉砕トナーの作製]
<粉砕トナー1処方>
結晶性ポリエステル樹脂:a−1 4重量部
非結晶性樹脂:b1−1 35重量部
非結晶性樹脂:b2−1 55重量部
複合樹脂:c−1 10重量部
着色剤:p−1 14重量部
離型剤:カルナウバワックス(融点:81℃) 6重量部
帯電制御剤:モノアゾ金属錯体 2重量部
(クロム系錯塩染料(ボントロンS−34 オリエント化学工業(株)製)
下記表1〜5に記載の原材料と、上記離型剤、帯電制御剤によるトナー原材料を、上記の処方に従いへンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製、FM20B)を用いて予備混合した後、二軸混練機(株式会社池貝製、PCM−30)で100〜130℃の温度で溶融、混練した。得られた混練物はローラにて2.7mmの厚さに圧延した後にベルトクーラーにて室温まで冷却し、ハンマーミルにて200〜300μmに粗粉砕した。次いで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業株式会社製、MDS−I)で重量平均粒径が6.9±0.2μmとなるようにルーバー開度を適宜調整しながら分級し、トナー母体粒子を得た。次いで、トナー母体粒子100重量部に対し、添加剤(HDK−2000、クラリアント株式会社製)1.0重量部をヘンシェルミキサーで撹拌混合し、粉砕トナー1を作製した。
作製した粉砕トナー1を5重量%と、コーティングフェライトキャリア95重量%を、ターブラーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製)を用いて48rpmで5分間均一混合し、粉砕トナー現像剤1を作製した。
(実施例2〜30、比較例1〜8)
以下、下記表1〜5に記載の原材料と表6に記載の離型剤、帯電制御剤、圧延厚さ、また、製造例によっては脂肪酸アミドを表6に記載の重量部にて実施例1と同様に混合、混練、粉砕、添加剤混合を施し、トナー2〜38を作成し、粉砕トナー現像剤2〜38を作製した。
ただし、トナー33においては、樹脂中での顔料の分散が悪いため、他の原材料と混合する前に、非結晶性樹脂b2−3と純水を用いて予備混練を行い、マスターバッチ化を行って着色剤p−2を用いたトナーを作製した。トナー化にあたっては、マスターバッチ中に含有されている非結晶性樹脂b2−3の量から逆算し、最終的に配合される原材料比率が表6の分量となるように調整した。
<粉砕トナー33のマスターバッチ作製>
非結晶性樹脂:b2−3 100重量部
着色剤:p−2 50重量部
純水 50重量部
無論、本発明において、マスターバッチの作製方法は上記に限定されるものではない。
なお、実施例28〜30で用いた帯電制御剤のサリチル酸金属化合物は、サリチル酸亜鉛化合物である金属錯体(ボントロンE−84 オリエント化学工業(株)製)を使用した。
上記結晶性ポリエステルa−1〜a−6は、アルコール成分として1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールから選択される化合物を、カルボン酸成分としてフマル酸、マレイン酸、テレフタル酸から選択される化合物を用いて得られた樹脂である。
具体的には、表1に示すアルコール成分及びカルボン酸成分の単量体を、常圧下、170〜260℃、無触媒の条件でエステル化反応せしめた後、反応系に全カルボン酸成分に対し400ppmの3酸化アンチモンを加え3Torrの真空下でグリコールを系外へ除去しながら250℃で重縮合を行い、結晶性の樹脂を得た。尚、架橋反応は撹拌トルクが10kg・cm(100ppm)となるまで実施し、反応は反応系の減圧状態を解除して停止させた。
また、上記結晶性ポリエステルa−1〜a−6は、粉末X線回折装置によるX線回折パターンにおいて、2θ=19°〜25°の位置に少なくとも1つの回折ピークが存在し、結晶性ポリエステルであることを確認した。結晶性ポリエステル樹脂a−6のX線回折結果を図43に示す。
上記非結晶性樹脂b1−1〜b1−5、b2−1、b2−3は以下のようにして得られた樹脂である。
上記表2および3に記載の単量体を、常圧下、170〜260℃、無触媒の条件でエステル化反応せしめた後、反応系に全カルボン酸成分に対し400ppmの3酸化アンチモンを加え3Torrの真空下でグリコールを系外へ除去しながら250℃で重縮合を行い樹脂を得た。尚、架橋反応は撹拌トルクが10kg・cm(100ppm)となるまで実施し、反応は反応系の減圧状態を解除して停止させた。
上記非結晶性樹脂b1−1〜b1−6、b2−1〜b2−3はX線回折パターンにより、回折ピークが存在せず、非結晶性であることを確認した。
また、上記非結晶性樹脂b2−1〜b2−3はクロロホルムに完全に溶解し、クロロホルム不溶分を含有しないものであることを確認した。
(複合樹脂cの合成)
縮重合系モノマーである、テレフタル酸0.8mol、フマル酸0.6mol、無水トリメリット酸0.8mol、ビスフェノールA(2,2)プロピレンオキサイド1.1mol、ビスフェノールA(2,2)エチレンオキサイド0.5mol、及びエステル化触媒としてジブチル錫オキシド9.5molを、窒素導入管、脱水管、攪拌器、滴下ロート、及び熱電対を装備した5リットル容器の四つ口フラスコ内に入れ、窒素雰囲気下、135℃まで加熱した。
撹拌を行いながら、さらに付加重合系モノマーである、スチレン10.5mol、アクリル酸3mol、2−エチルヘキシルアクリレート1.5mol、重合開始剤としてt−ブチルハイドロパーオキサイド0.24molを滴下ロートに入れ、混合物を5時間かけて滴下し、6時間反応を行った。
続けて、210℃まで3時間かけて昇温を行い、210℃、10kPaにて所望の軟化点まで反応を行い、複合樹脂c−1を合成した。
得られた複合樹脂c1の軟化温度は115℃、ガラス転移温度は58℃、酸価は25mgKOH/gであった。
また、縮重合系モノマーとしてヘキサメチレンジアミン、ε−カプロラクタム、付加重合系モノマーとしてスチレン、アクリル酸、2−エチルヘキシルアクリレートを用いること以外は複合樹脂c−1と同様にして複合樹脂c−2を合成した。
作製した粉砕トナーの分子量メインピーク、分子量分布のメインピークの半値幅、前述のフーリエ変換赤外分光分析測定装置(FT−IR)を用いたATR法による45℃の環境で12時間保管した後のスペクトルのピーク高さの比(C/R)、結晶性ポリエステル樹脂(A)に起因する90〜130℃の範囲におけるDSCピーク温度・吸熱量、体積平均粒径を表7に示す。
(実施例1〜30、及び比較例1〜8)
<トナー収容容器>
図10に示すトナー収容容器(容器開口部の断面は、図30に示す断面)を用いた。容器本体内には、製造例6で製造したトナーを充填した。
図10に示すトナー収容容器は、容器本体が、容器開口部の容器本体内部側から、一端側に向かって突出している突出部を有している。
また、汲み上げ部は、容器本体内壁面から突出部に向かって伸びる汲み上げ壁面と突出部に沿うように湾曲する湾曲部とを有している。
また、汲み上げ部は、容器本体内壁面から突出部に向かって隆起した隆起部を有している。隆起部には突出部に沿うように湾曲する湾曲部が設けられている。
突出部は、トナー収容容器がトナー搬送装置に装着された際、湾曲部と挿入された搬送管のトナー受入口との間に存在するように設けられている。
更に、図10に示すトナー収容容器は、突出部が、板状の部材であって、板状の部材の平らな側面(厚さ方向の側面)が、湾曲部と、挿入されたトナー搬送管のトナー受入口との間に存在するように設けられている。
更に、図10に示すトナー収容容器は、汲み上げ壁面を有する汲み上げ部を2つ有する。2つの汲み上げ部それぞれにおいて、トナー収容容器がトナー搬送装置に装着された際、前記汲み上げ部が有する湾曲部と、挿入された搬送管のトナー受入口との間に、突出部が存在する。
図10に示すトナー収容容器は、汲み上げ部が容器本体と一体的に形成されており、突出部が容器本体に固定されており、容器本体が回転することで、前記汲み上げ部が、トナーを下方から上方に持ち上げる。
前記トナー収容容器に充填した各トナーの試験結果、及び、各トナーを前記容器に充填し、スジ状/点状の以上画像の発生について試験した結果を表8に示す。
<低温定着性、耐ホットオフセット性、細線再現性(初期)>
上記画像形成装置を用いて粉砕トナー現像剤1〜38の画像出力を行なった。付着量0.4mg/cmのベタ画像を、露光、現像、転写工程を経ることで紙(リコー製 Type6200)上に出力した。定着の線速は180mm/秒とした。定着温度を5℃刻みで順次出力し、コールドオフセットが発生しない下限温度(定着下限温度:低温定着性)と、ホットオフセットが発生しない上限温度(定着上限温度:耐ホットオフセット性)を測定した。定着装置のNIP幅は11mmであった。また、別途、定着下限温度+20℃の定着温度にて粉砕トナーによる画像面積率5%の文字チャート(1文字の大きさが2mm×2mm程度)を出力し、目視による判定を行なうことで細線再現性評価とした。
◆低温定着性評価基準
◎:130℃未満
○:130℃以上140℃未満
□:140℃以上150℃未満
△:150℃以上160℃未満
×:160℃以上
◆耐ホットオフセット性評価基準
◎:200℃以上
○:190℃以上200℃未満
□:180℃以上190℃未満
△:170℃以上180℃未満
×:170℃未満
◆細線再現性評価基準
◎:非常に良好
○:良好
□:一般的な水準
△:実用上は問題ない
×:許容できない
<耐スミア性>
定着下限温度にて、紙(リコー製 Type6200紙)上に0.40±0.1mg/cmのトナー付着量で画像面積率が60%であるハーフトーン画像を出力し、定着画像部をクロックメータを用いて白綿布(JIS L0803 綿3号)で10回摺擦し、布に付着した汚れのID(以後スミアIDと呼ぶ)を測定した。スミアIDは、測色計(X−Rite938)で測定した。粉砕トナー33はシアンで測色し、それ以外のトナーはブラックで測色した。
◆耐スミア性評価基準
◎:スミアIDが0.20以下
○:スミアIDが0.21以上0.35以下
△:スミアIDが0.36以上0.55以下
×:スミアIDが0.56以上
<細線再現性(経時)>
初期の細線再現性を評価した後、トナーを補給しながら画像面積率5%のチャートを100k枚連続で出力し、その後、再度、定着下限温度+20℃の定着温度にて粉砕トナーによる画像面積率5%の文字チャート(1文字の大きさが2mm×2mm程度)を出力し、目視による判定を行なうことで、経時での細線再現性評価とした。判定基準は初期の細線再現性評価と同じとした。
<耐熱保存性>
それぞれのトナー10gを30mlのスクリューバイアル瓶に入れ、タッピングマシンで100回タッピングした後、50℃環境の恒温槽で24時間保管し、室温に戻した後、針入度試験機で針入度を測定し、耐熱保存評価とした。
◆耐熱保存性評価基準
◎:貫通
○:20mm以上
□:15mm以上20mm未満
△:10mm以上15mm未満
×:10mm未満
<スジ状・点状の異常画像>
経時の細線再現性評価を実施した後に、A3用紙を用いて、1dotずつの画像面積率が25%のハーフトーン画像を100枚、ベタ画像を50枚出力し、スジ状、点状の異常画像の数を目視にてカウントした。
◆スジ状・点状の異常画像評価基準
スジ状異常画像:ハーフトーン画像出力において、発生枚数15枚以上
点状異常画像:ベタ画像出力において、
(A)0.25mm以上〜0.5mm未満の点状異常画像:1枚中6個以上が1枚以上
(B)0.5mm以上の点状異常画像:50枚中3個以上
上記条件(A)及び(B)のいずれかを満たした場合:×(許容できない)
上記条件(A)及び(B)のいずれも発生しなかった場合:○(許容できる)
以上の各実施例および比較例より、本発明によれば、低温定着性を有するトナーを用いてもトナー凝集体発生を防止することができるトナー収容容器を提供することができることがわかった。
32(Y,M,C,K) トナー収容容器
33 容器本体
33a 容器開口部
50 現像装置
60(Y,M,C,K) トナー補給装置
70 トナー収容容器収納部
302 螺旋状突起
303 把手部
304 汲み上げ部
304f 汲み上げ壁面
304h 凸部
304i 湾曲部
330 ノズル受入部材
331 ノズル受入口
332 容器シャッタ
332a シャッタ抜け防止爪
332c 先端円筒部
332d 滑動部
332e ガイドロッド
332f 片持ち梁
332g ガイドロッド摺動部
332h 容器シャッタの端面
332i 円筒部
333 容器シール
333a 管挿入口の内面
335 シャッタ後端支持部
335a シャッタ側面支持部
335b シャッタ支持開口部
335d 後端開口部
336 容器シャッタバネ
340 容器シャッタ支持部材
342 当接部
350 シール部材
610 ノズル開口
611 搬送ノズル
611a 搬送ノズルの端面
614 搬送スクリュ
特開2012−133349号公報

Claims (7)

  1. トナー搬送装置に装着可能であり、前記トナー搬送装置に供給するトナーが収容された容器本体と、
    前記容器本体の内部に配置され、前記トナーを前記容器本体における長手方向の一端側から容器開口部が設けられた他端側に搬送する搬送部と、
    前記容器開口部に配置され、前記トナー搬送装置に固定された搬送管を受け入れ可能な管受入口と、
    前記搬送部によって搬送された前記トナーを前記容器本体の下方から上方に持ち上げ、前記搬送管のトナー受入口に向けて移動させる汲み上げ部と、を備えるトナー収容容器において、
    前記トナーは、結晶性ポリエステル樹脂(A)と、非結晶性樹脂(B)と、を含み、
    トナーのTHF可溶分により求められたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布が1000〜10000の間にメインピークを有し、
    該トナーを45℃の恒温槽内で12時間保存した後にフーリエ変換赤外分光分析測定装置を用いて全反射法により測定したとき、前記結晶性ポリエステル樹脂(A)に由来する特徴的なスペクトルのピーク高さをCとし、前記非結晶性樹脂(B)に由来する特徴的なスペクトルのピーク高さをRとして、ピーク高さ比(C/R)が0.03〜0.55であり、
    前記容器本体が、前記容器開口部の容器本体内部側から、前記一端側に向かって突出している突出部を有し、
    前記汲み上げ部が、前記容器本体内壁面から前記突出部に向かって伸び、且つ前記容器本体の長手方向軸線に沿って前記容器開口部に向かって傾斜した汲み上げ壁面と、前記突出部に沿うように湾曲する湾曲部と、を有し、
    前記突出部が、前記トナー収容容器が前記トナー搬送装置に装着された際、前記湾曲部と挿入された前記搬送管のトナー受入口との間に存在するように設けられている、
    ことを特徴とするトナー収容容器。
  2. トナー搬送装置に装着可能であり、前記トナー搬送装置に供給するトナーが収容された容器本体と、
    前記容器本体の内部に配置され、前記トナーを前記容器本体における長手方向の一端側から容器開口部が設けられた他端側に搬送する搬送部と、
    前記容器開口部に配置され、前記トナー搬送装置に固定された搬送管を受け入れ可能な管受入口と、
    前記搬送部によって搬送された前記トナーを前記容器本体の下方から上方に持ち上げ、前記搬送管のトナー受入口に向けて移動させる汲み上げ部と、を備えるトナー収容容器において、
    前記トナーは、結晶性ポリエステル樹脂(A)と、非結晶性樹脂(B)と、を含み、
    トナーのTHF可溶分により求められたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布が1000〜10000の間にメインピークを有し、
    該トナーを45℃の恒温槽内で12時間保存した後にフーリエ変換赤外分光分析測定装置を用いて全反射法により測定したとき、前記結晶性ポリエステル樹脂(A)に由来する特徴的なスペクトルのピーク高さをCとし、前記非結晶性樹脂(B)に由来する特徴的なスペクトルのピーク高さをRとして、ピーク高さ比(C/R)が0.03〜0.55であり、
    前記容器本体が、前記容器開口部の容器本体内部側から、前記一端側に向かって突出している突出部を有し、
    前記汲み上げ部が、前記容器本体内壁面から前記突出部に向かって隆起した隆起部であって、隆起し始める前記容器本体内壁面から当該内壁面に対向する反対側の内壁面に向かって、且つ前記容器開口部方向に伸びるように連続して設けられた前記隆起部を有し、
    前記隆起部には前記突出部に沿うように湾曲する湾曲部が設けられており、
    前記突出部が、前記トナー収容容器が前記トナー搬送装置に装着された際、前記湾曲部と挿入された前記搬送管のトナー受入口との間に存在するように設けられている、
    ことを特徴とするトナー収容容器。
  3. 前記突出部が、平らな側面を有する板状の部材であって、
    前記板状の部材の平らな側面が、前記湾曲部と、挿入されたトナー搬送管のトナー受入口との間に存在するように設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー収容容器。
  4. 前記汲み上げ部を2つ有し、
    前記トナー収容容器が前記トナー搬送装置に装着された際、前記2つの汲み上げ部がそれぞれに有する湾曲部と、挿入された前記搬送管のトナー受入口との間のそれぞれに、前記突出部が存在することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー収容容器。
  5. 前記汲み上げ部と、前記突出部とが、前記容器本体に固定されている又は一体的に形成されており、
    前記容器本体が回転することで、前記汲み上げ部が、前記トナーを下方から上方に持ち上げることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー収容容器。
  6. 前記容器開口部を閉鎖する閉鎖位置と、開放する開放位置との間で移動可能なシャッタ部材を有し、
    前記シャッタ部材が、前記トナー搬送装置に固定された搬送管に押圧されることで前記閉鎖位置から前記開放位置へと移動するとともに、
    前記突出部が、前記シャッタ部材の移動領域に沿って設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー収容容器。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー収容容器が画像形成装置本体に着脱可能に設置されていることを特徴とする画像形成装置。
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