JP6152688B2 - ポリアミック酸溶液組成物、及びそれを用いたポリイミド膜の製造方法 - Google Patents

ポリアミック酸溶液組成物、及びそれを用いたポリイミド膜の製造方法 Download PDF

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本発明は、ポリアミック酸を特定の溶媒に溶解したポリアミック酸溶液組成物、及びそれを用いたポリイミド膜の製造方法に関する。
芳香族テトラカルボン酸化合物と芳香族ジアミンとを反応させて得られる芳香族ポリイミドは、耐熱性、機械的強度、電気特性、耐溶剤性などの特性に優れており、電気・電子分野をはじめとした様々な分野で広く用いられている。しかし、芳香族ポリイミドは溶剤への溶解性に劣るため、通常は、ポリアミック酸のようなポリイミド前駆体を有機溶媒に溶解した溶液組成物を、例えば、基材上に塗布し、高温で加熱するなどしてイミド化することでポリイミドを得ている。ポリアミック酸を溶解させる有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドンのような含窒素有機溶媒が一般的に用いられている(例えば、特許文献1)。
また、上記の他にもポリアミック酸を溶解させる有機溶剤が提案されており、例えば、特許文献2にはγ−ブチロラクトンを用いた実施例が、また、特許文献3にはリン酸トリエチルを用いた実施例が記載されている。
特開2009−91470号公報 特開2010−235641号公報 特開2011−202097号公報
本発明は、高温領域における線膨張係数の増加が抑制され、耐熱性に優れたポリイミド膜が得られるポリアミック酸溶液組成物を提供することを目的とする。
本発明は、以下のようなものである。
1. 下記化学式(1)で表される繰り返し単位からなるポリアミック酸を溶媒に溶解してなるポリアミック酸溶液組成物であって、溶媒としてリン酸トリエチルを用いることを特徴とするポリアミック酸溶液組成物。

化学式(1)において、Aは下記化学式(2)〜(5)で表される構造から選ばれる少なくとも1種の構造であり、Bは下記化学式(6)〜(7)で表される構造から選ばれる少なくとも1種の構造である。






2. 前記項1に記載のポリアミック酸溶液組成物を基材に塗布し、加熱処理することによりイミド化する工程を含むことを特徴とするポリイミド膜の製造方法。
本発明のポリアミック酸を用いて製造したポリイミドは、高温領域における線膨張係数の増加が抑制され、また、貯蔵弾性率の低下も抑制されているため変形を起こしにくい。そのため、高温領域における機械的特性に優れており、従来のポリイミドの使用用途における高温領域での品質の確保、さらに使用温度領域を拡大する事が可能である。
実施例1及び比較例1で作製したポリイミドフィルムの動的粘弾性測定結果(貯蔵弾性率)である。 実施例3及び比較例2で作製したポリイミドフィルムの動的粘弾性測定結果(貯蔵弾性率)である。
本発明のポリアミック酸溶液組成物は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸と、溶媒としてのリン酸トリエチルとを含む溶液組成物である。
本発明で用いることができるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、環式テトラカルボン酸二無水物として、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物)、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸−1,2:4,5−二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、4,8−エタノ−1H,3H−ベンゾ[1,2−c:4,5−c’]ジフラン1,3,5,7−テトロンなどが挙げられる。また、芳香族テトラカルボン酸として、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,4’−オキシジフタル酸二無水物ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物などが挙げられる。特に限定するものではないが、得られるポリイミドの特性から芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましい。これらのテトラカルボン酸二無水物は一種である必要はなく、複数種の混合物であっても構わない。
本発明で用いることができるジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどの芳香族ジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、1,4−ジアミノシクロヘキサンなどの脂環式構造を含むジアミン、へキサメチレンジアミン、へプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルへプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカンなどの脂肪族ジアミン等を挙げることができる。特に限定するものではないが、得られるポリイミドの特性から芳香族ジアミンが好ましい。これらのジアミンは一種である必要はなく、複数種の混合物であっても構わない。
本発明で用いるポリアミック酸は、下記化学式(1)で示される繰返し単位からなるポリアミック酸であることが特に好ましい。
化学式(1)において、Aは、化学式(2)〜(5)で表される構造から選択される4価の基を表し、Bは化学式(6)〜(7)で表される構造から選択される2価の基を表す。





本発明で用いるポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを略等モル用い、イミド化反応を抑制するために100℃以下好ましくは80℃以下の比較的低温で反応させることにより製造できる。限定するものではないが、ジアミン成分を溶剤に溶解した溶液にテトラカルボン酸成分を一度に、又は多段階で添加し、攪拌して反応させることが好ましい。通常の反応温度は25℃〜100℃、好ましくは40℃〜80℃、より好ましくは50℃〜80℃であり、反応時間は0.1〜24時間、好ましくは2〜12時間である。反応温度及び反応時間を前記範囲内とすることによって、生産効率よく高分子量のポリアミック酸を製造することができる。なお、反応は、空気雰囲気下でも構わないが、通常は不活性ガス、好ましくは窒素ガス雰囲気下で好適に行われる。テトラカルボン二無水物とジアミンとを略等モルとは、具体的にはこれらのモル比[テトラカルボン酸二無水物/ジアミン]で0.90〜1.10、好ましくは0.95〜1.05である。
ポリアミック酸の調製には、本願発明で用いる溶媒であるリン酸トリエチルの他、従来ポリアミック酸を調製する際に用いられる公知の有機溶媒を使用することもできる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホロトリアミド、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、テトラヒドロフラン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジフェニルエーテル、スルホラン、ジフェニルスルホン、テトラメチル尿素、リン酸トリメチル、アニソール、m−クレゾール、フェノール、γ−ブチロラクトンが挙げられる。これらの溶媒は、単独または2種以上混合して使用しても差し支えない。
本発明で用いるポリアミック酸は、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを溶媒中で反応させて得られたポリアミック酸溶液を、例えば貧溶媒に投入して析出させる方法などにより単離することができる。単離したポリアミック酸をリン酸トリエチルに溶解させることによって本発明のポリアミック酸溶液組成物が得られる。また、前記ポリアミック酸溶液をそのままで、或いは単に希釈するなどして、本発明のポリアミック酸溶液組成物とすることもできる。生産性、コストの点から、得られたポリアミック酸溶液からポリアミック酸を単離することなく、得られた溶液をそのまま使用することが好ましい。そのため、ポリアミック酸の調製は、リン酸トリエチルを溶媒として行うのが好ましい。
本発明で用いるポリアミック酸は、温度30℃、濃度0.5g/100mLで測定した対数粘度が0.2以上、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.8以上、特に好ましくは1.0以上または超の高分子量であることが好適である。対数粘度が前記範囲よりも低い場合には、分子量が低いことから、高い特性のポリイミドを得ることが難しくなることがある。
本発明のポリアミック酸溶液組成物は、ポリアミック酸に起因する固形分濃度が、ポリアミック酸と溶媒との合計量に対して、好ましくは5質量%〜45質量%、より好ましくは5質量%〜40質量%、さらに好ましくは5質量%超〜30質量%であることが好適である。固形分濃度が5質量%より低いと使用時の取り扱いが悪くなることがあり、45質量%より高いと溶液の流動性がなくなることがある。また本発明のポリアミック酸溶液組成物の30℃における溶液粘度は、限定されないが、好ましくは1000Pa・sec以下、より好ましくは0.5〜500Pa・sec、さらに好ましくは1〜300Pa・sec、特に好ましくは2〜200Pa・secであることが取り扱い上好適である。
本発明のポリアミック酸溶液組成物は、ポリアミック酸と、溶媒としてのリン酸トリエチルとを含む溶液組成物であるが、特性を損なわない範囲において、他の溶媒を少量、好ましくは10質量%以下、特に5質量%以下の割合で含んでいてもよい。他の溶媒としては上記のポリアミック酸の調製に用いることができる溶媒を挙げることができる。
本発明のポリアミック酸溶液組成物は、必要に応じて各種添加剤を含んでいてもよい。例えば、微粉状シリカ、窒化ホウ素、アルミナ、カーボンブラックなどの微細な無機又は有機充填材を配合してもよく、また必要に応じて更に他の配合成分を配合しても構わない。他の配合成分としては、用途や要求性能に応じて決定されるが、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、染料や顔料などの着色剤、金属粉などの導電剤、離型剤、表面処理剤、粘度調節剤、カップリング剤、界面活性剤などを好適に配合することができる。これらの配合成分は、予め溶液組成物に配合してもよいし、使用に際して添加配合して用いても差し支えない。
本発明のポリアミック酸溶液組成物を加熱処理することによって、ポリイミドが生成する。具体的には、基材にポリアミック酸溶液組成物を塗布して加熱処理することにより、溶媒が除去されると共にイミド化反応が進行してポリイミド膜が形成される。
本発明で用いる基材とは、表面にポリアミック酸溶液組成物を塗布して塗膜が形成できるものであり、液体及び気体を実質的に透過させることがない緻密構造を有したものであれば、形状や材質で特に限定されるものではない。通常のフィルムを製造する際に用いられる、それ自体公知のベルト、ロール或いは金型などのフィルム形成用基材、その表面にポリイミド膜を保護膜として形成する回路基板や電子部品、摺動部品などの表面に皮膜が形成される部品や製品、ポリイミド膜を形成して多層化フィルムを形成する際の一方のフィルムなどを好適に挙げることができる。また、基材として円筒状の金型の内周面或いは外周面を用い、金型を回転させながら製膜(成形)を行う遠心成形によって、シームレスベルトを製造することもできる。
基材上に塗膜を形成する塗布の方法としては、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法、バー塗布法、インクジェット法、スクリーン印刷法、スリットコート法などのそれ自体公知の方法を適宜採用することができる。
この基材上に塗布されて形成された塗膜は、例えば減圧下に比較的低温で加熱する方法で脱泡しても構わない。
基材上に塗布されて形成されたポリアミック酸溶液組成物からなる塗膜は、加熱処理することによって溶媒を除去し且つイミド化されてポリイミド膜が形成される。加熱処理は、最初に140℃以下の比較的低温で溶媒を除去し、次いで最高加熱処理温度まで温度を上げてイミド化する段階的な加熱処理が好適である。また、140℃以上で0.01〜30時間好ましくは0.01〜10時間より好ましくは0.01〜6時間の加熱処理を行って実質的にアミド酸基が残らないようにイミド化することが好適である。最高加熱処理温度は250〜600℃、好ましくは300〜550℃、より好ましくは350〜450℃の温度範囲とし、この温度範囲で0.01〜20時間、好ましくは0.01〜6時間より好ましくは0.01〜5時間加熱処理することが好適である。このように段階的に温度を上げる加熱処理条件としては、例えば120℃で30分間、150℃で30分間、200℃で10分間、250℃で10分間、400℃で10分間加熱処理する加熱処理条件を例示することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の例で使用した化合物の略号は次の通りである。
s−BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸無水物
ODA:4,4’−オキシジアニリン
PPD:p−フェニレンジアミン
TEP:リン酸トリエチル
TMP:リン酸トリメチル
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
以下の例における特性の測定方法は次の通りである。
〔固形分濃度〕
ポリアミック酸溶液組成物の固形分濃度は、ポリアミック酸溶液組成物を350℃で30分間乾燥し、乾燥前の重量W1と乾燥後の重量W2とから次式によって求めた値である。
固形分濃度(重量%)=(W2/W1)×100
〔対数粘度〕
試料溶液を、固形分濃度に基づいて濃度が0.5g/dl(溶媒はTEP)になるように希釈した。この希釈液を、30℃にて、キャノンフェンスケNo.100を用いて流下時間(T1)を測定した。対数粘度は、ブランクのTEPの流下時間(T0)を用いて、次式から算出した。
対数粘度={ln(T1/T0)}/0.5
〔溶液粘度(回転粘度)〕
トキメック社製E型粘度計を用いて30℃で測定した。
〔熱膨張係数(CTE)〕
膜厚約20μmのポリイミド膜を幅3mmの短冊状に切り取って試験片とし、セイコーインスツルメンツ製SS6100を用い、チャック間長15mm、荷重2g、昇温速度20℃/minで580℃迄昇温した。得られたTMA曲線から各温度範囲の平均熱膨張係数を求めた。
〔動的粘弾性(DMA)〕
膜厚約20μmのポリイミド膜を幅5mmの短冊状に切り取って試験片とし、ティ・エイ・インスツルメンツ社製RSAG2を用い、30℃から400℃まで、昇温速度10℃/min、周波数1Hzの条件で測定を行った。得られた貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”の比G”/G’(tanδ)の極大値温度が確認できるものについてはその温度をガラス転移温度(Tg)とした。
〔実施例1〕
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてTEP426gを加え、芳香族ジアミンとしてPPDを20.23g加え、続いて芳香族テトラカルボン酸二無水物としてs−BPDAを55.02g加えて、70℃で撹拌して固形分濃度14.6%のポリアミック酸溶液組成物を得た。結果を表1に示した。
このポリアミック酸溶液組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を加熱炉で120℃にて30分間加熱した後に、ガラス基板上より剥離しポリイミド自己支持フィルムを得た。この自己支持性フィルムを加熱炉で120℃にて30分間、150℃にて30分間、200℃にて10分間、250℃にて10分間、400℃にて10分間加熱処理し、厚さが20μmのポリイミドフィルムを作製した。結果を表1及び図1に示した。
〔比較例1〕
溶媒としてリン酸トリエチル107g及びNMP320gを用いた以外は実施例1と同様にして、固形分濃度14.2%のポリアミック酸溶液組成物を得た。得られたポリアミック酸溶液組成物を用い、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを作製した。結果を表1に示した。
〔比較例2〕
溶媒としてNMP426gを用いた以外は実施例1と同様にして、固形分濃度13.7%のポリアミック酸溶液組成物を得た。得られたポリアミック酸溶液組成物を用い、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを作製した。結果を表1及び図1に示した。
〔実施例2〕
溶媒としてリン酸トリエチルを420g、芳香族ジアミンとしてODAを30.04g、芳香族テトラカルボン酸二無水物としてs−BPDAを44.13g用いた以外は実施例1と同様にして、固形分濃度14.7%のポリアミック酸溶液組成物を得た。得られたポリアミック酸溶液組成物を用い、実施例1と同様にして、ポリイミドフィルムを作製した。結果を表1及び図1に示した。
〔比較例3〕
溶媒としてNMPを405g、芳香族ジアミンとしてODAを36.05g、芳香族テトラカルボン酸二無水物としてs−BPDAを52.96g用いた以外は実施例1と同様にして、固形分濃度13.9%のポリアミック酸溶液組成物を得た。得られたポリアミック酸溶液組成物を用い、実施例1と同様にして、ポリイミドフィルムを作製した。結果を表1及び図1に示した。
〔実施例3〕
溶媒としてリン酸トリエチルを426g、芳香族ジアミンとしてODAを36.05g、芳香族テトラカルボン酸二無水物としてPMDAを39.26g用いた以外は実施例1と同様にして、固形分濃度14.6%のポリアミック酸溶液組成物を得た。得られたポリアミック酸溶液組成物を用い、実施例1と同様にして、ポリイミドフィルムを作製した。結果を表1に示した。
〔比較例4〕
溶媒としてNMPを426g、芳香族ジアミンとしてODAを36.05g、芳香族テトラカルボン酸二無水物としてPMDAを39.26g用いた以外は実施例1と同様にして、固形分濃度13.7%のポリアミック酸溶液組成物を得た。得られたポリアミック酸溶液組成物を用い、実施例1と同様にして、ポリイミドフィルムを作製した。結果を表1に示した。
〔比較例5〕
溶媒としてTMPを403g、芳香族ジアミンとしてPPDを23.80g、芳香族テトラカルボン酸二無水物としてs−BPDAを64.73g用いた以外は実施例1と同様にして、ポリアミック酸溶液組成物を得た。得られたポリアミック酸溶液組成物は保存安定性が悪く、数日でゲル化した。結果を表1に示した。
〔比較例6〕
溶媒としてリン酸トリブチルを18.1g、芳香族ジアミンとしてPPDを0.54g、芳香族テトラカルボン酸二無水物としてs−BPDA1.47g用いた以外は実施例1と同様にして反応を行ったが、得られたポリアミック酸溶液組成物は白濁しており、また、短時間でゲル化してしまったためにポリイミドフィルムを作製することができなかった。結果を表1に示した。
以上の結果から、溶媒としてリン酸トリエチルを用いることにより、高温領域における線膨張係数の増加が抑制され、また、貯蔵弾性率の低下も抑制されていることがわかる。

Claims (2)

  1. 下記化学式(1)で表される繰り返し単位からなるポリアミック酸を溶媒に溶解してなるポリアミック酸溶液組成物であって、溶媒としてリン酸トリエチルの割合が90質量%以上の溶媒を用いることを特徴とするポリアミック酸溶液組成物。

    化学式(1)において、Aは下記化学式(2)〜(5)で表される構造から選ばれる少なくとも1種の構造であり、Bは下記化学式(6)〜(7)で表される構造から選ばれる少なくとも1種の構造である。





  2. 請求項1に記載のポリアミック酸溶液組成物を基材に塗布し、加熱処理することによりイミド化する工程を含むことを特徴とするポリイミド膜の製造方法。
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