JP6152596B2 - 塗布物の製造方法および塗布物 - Google Patents

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Description

本発明は塗布物の製造方法および塗布物に関する。詳しくは、例えば、光触媒活性を有する塗布物の製造方法および光触媒活性を有する塗布物に係るものである。
光触媒は、光を照射されることにより触媒作用を発揮する物質である。
また、代表的な光触媒活性物質として、酸化チタン(TiO)が知られている。
また、酸化チタン光触媒は有機物を分解するので、セルフクリーニング作用、消臭作用、抗菌作用などを発揮する。
しかし、酸化チタンが触媒作用を発揮するためには光を照射される必要があるため、対象物の表面に酸化チタンを配置していなければならない。
そのため、一般的に考えられるのは、酸化チタンを塗料として対象物の表面に塗布することである。
そして、酸化チタンを対象物の表面に塗布する場合、一般的に酸化チタンを表面に固着するためにバインダーが用いられている。
例えば特許文献1には、シリカ被覆酸化チタンゾルと、バインダーとして重合体エマルジョン粒子水分散体を含む光触媒塗料を、基材である黒色ガラス板上にスプレーコーティングし、加熱して乾燥することで光触媒塗膜を得た旨記載されている。
特開2011−110442号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、加熱によって、基材である黒色ガラス板のガラス成分中のナトリウムが光触媒の酸化チタンと結合し、触媒活性度を低下させてしまうという問題があった。
また、基材がステンレス鋼板である場合には、触媒活性度の低下は抑制できるものの、加熱によって基材の色調が変化してしまい、意匠性を損ねてしまうという問題もあった。
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、意匠性が維持された、かつ、活性度に優れた光触媒を固着した塗布物を製造できる塗布物の製造方法、および意匠性が維持された、かつ、活性度に優れた光触媒が固着した塗布物を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の塗布物の製造方法は、基材にペルオキソ酸化チタンを塗布する塗布工程と、基材に塗布されたペルオキソ酸化チタンに紫外線を照射する紫外線照射工程とを備える。
ここで、基材にペルオキソ酸化チタンを塗布する塗布工程によって、基材にペルオキソ酸化チタンを接着させることができる。
また、基材に塗布されたペルオキソ酸化チタンに紫外線を照射する紫外線照射工程によって、ペルオキソ酸化チタンを結晶化して光触媒活性を発現させることができる。
なお、本明細書で言う「ペルオキソ酸化チタン」は、ペルオキソチタン酸と同一である。
また、本発明の塗布物の製造方法において、塗布工程は、ペルオキソ酸化チタンと、銅含有物と、アルコール物質と、非イオン性界面活性剤とを含み、残部が水である塗布液を塗布するものとすることができる。
この場合、ペルオキソ酸化チタンを含む塗布液を塗布することによって、ペルオキソ酸化チタンの塗布が容易になる。
また、塗布液が銅含有物を含むことによって、得られる塗布物の抗菌性と、アルカリ性の臭いを分解する能力とを高めることができる。
また、塗布液がアルコール物質と、非イオン性界面活性剤とを含むことによって、塗布液の塗れ性を向上させて超撥水性の基材にもペルオキソ酸化チタンを塗布できる。
また、銅含有物とアルコール物質を含む塗布液を塗布する場合、銅含有物は酸化銅であり、アルコール物質はイソプロパノールであるものとすることができる。
この場合、より一層、得られる塗布物の抗菌性と、アルカリ性の臭いを分解する能力とを高めることができる。
また、本発明の塗布物の製造方法において、塗布液の粘度は、3.0〜5.0mPa・sであるものとすることができる。
この場合、塗布液の粘度が3.0mPa・s以上であることによって、塗布膜の膜切れを抑制しやすくなる。また、塗布液の粘度が5.0mPa・s以下であることによって、塗りムラを抑制しやすくなる。
また、本発明の塗布物の製造方法において、塗布工程は、ペルオキソ酸化チタンと酸化チタン微粒子との混合物を塗布するものとすることができる。
この場合、得られる塗布物の酸化チタン光触媒の表面積を増やすことができ、光触媒活性をより大きくすることができる。
また、本発明の塗布物の製造方法において、基材はステンレス鋼であるものとすることができる。
この場合、基材の色調変化が特に起きにくく、得られる塗布物の意匠性を特に損ねにくい。
また、上記の目的を達成するために、本発明の塗布物の製造方法は、基材に、同基材との接着性を有するアモルファス酸化チタンを塗布する塗布工程と、基材に塗布されたアモルファス酸化チタンに紫外線を照射する紫外線照射工程とを備える。
ここで、基材に、基材との接着性を有するアモルファス酸化チタンを塗布する塗布工程によって、基材にアモルファス酸化チタンを接着させることができる。
また、基材に塗布されたアモルファス酸化チタンに紫外線を照射する紫外線照射工程によって、アモルファス酸化チタンを結晶化して光触媒活性を発現させることができる。
また、上記の目的を達成するために、本発明の塗布物は、基材と、該基材に塗布されたペルオキソ酸化チタンに紫外線が照射されて得られた塗布層とを備える。
ここで、基材に塗布されたペルオキソ酸化チタンに紫外線が照射されて得られた塗布層によって、基材に接着され結晶化して光触媒活性を発現した酸化チタン膜を備えることができる。
本発明に係る塗布物の製造方法は、意匠性が維持された、かつ、活性度に優れた光触媒を固着した塗布物を製造できる。
本発明に係る塗布物は、意匠性が維持された、かつ、活性度に優れた光触媒が固着したものである。
本発明を適用した第1の実施態様の塗布物の製造方法の塗布工程の一例を示す概略図(a)と、紫外線照射工程の一例を示す概略図(b)である。 本発明を適用した第2の実施態様の塗布物の製造方法の塗布工程の一例を示す概略図(a)と、紫外線照射工程の一例を示す概略図(b)と、製造された塗布物を示す概略図(c)である。 図2に示すA−A線に沿った、塗布物の概略断面図である。
本発明の塗布物の製造方法は、基材に、基材との接着性を有するアモルファス酸化チタンを塗布する塗布工程と、基材に塗布されたアモルファス酸化チタンに紫外線を照射する紫外線照射工程とを備える。
ここで、基材との接着性を有するアモルファス酸化チタンとして、ペルオキソ酸化チタンが好ましい。
すなわち、本発明の塗布物の製造方法は、基材にペルオキソ酸化チタンを塗布する塗布工程と、基材に塗布されたペルオキソ酸化チタンに紫外線を照射する紫外線照射工程とを備える。
また、塗布工程は、ペルオキソ酸化チタンなど、基材との接着性を有するアモルファス酸化チタンを基材に塗布できればどのような方法でもよい。
例えば、ペルオキソ酸化チタンなど、基材との接着性を有するアモルファス酸化チタンを含有する液体すなわち塗布液に基材を浸漬する方法が挙げられる。
または、ペルオキソ酸化チタンなど、基材との接着性を有するアモルファス酸化チタンを含有する塗布液をスプレーなどで基材に噴射する方法が挙げられる。
また、ペルオキソ酸化チタンを含有する塗布液としては、例えば、ペルオキソ酸化チタンと、無機粒子と、銅含有物と、アルコール物質と、非イオン性界面活性剤とを含み、残部が水である液体が挙げられる。
また、無機粒子の具体例としては、アルミナ粒子、シリカ粒子、ガラス粒子が挙げられる。
このような無機粒子は、得られる塗布物が超親水性に成りやすくするために塗布液に入れられる。
また、銅含有物の具体例としては、酸化銅が挙げられる。
このような銅含有物は、得られる塗布物の抗菌性と、アルカリ性の臭いを分解する能力とを高めるために塗布液に入れられる。
また、アルコール物質の具体例としては、イソプロパノールが挙げられる。
このようなアルコール物質や非イオン性界面活性剤は、撥水性の基材に塗布できるように、塗布液の塗れ性を高めるために塗布液に入れられる。
また、塗布液の粘度は、例えば3.0〜5.0mPa・sであるものとすることができる。
ここで、塗布液の粘度が3.0mPa・s以上であれば、塗布膜の膜切れを抑制しやすくなる。また、塗布液の粘度が5.0mPa・s以下であれば、塗りムラを抑制しやすくなる。
また、ペルオキソ酸化チタンに酸化チタン微粒子を混合した混合物を塗布することもできる。
このような混合物を塗布すれば、得られる塗布物の酸化チタン光触媒の表面積を増やすことができ、光触媒活性をより大きくすることができる。
ペルオキソ酸化チタンなどのアモルファス酸化チタンは、基材との接着性を有するので、このような塗布工程により、基材にペルオキソ酸化チタンなどのアモルファス酸化チタンを接着させることができる。
また、基材の材質は特に限定されないが、例えば、ステンレス、プラスチック、ガラスが挙げられる。
また、紫外線照射工程は、基材に塗布されたペルオキソ酸化チタンなどのアモルファス酸化チタンに紫外線を照射することができればどのような方法でもよい。
例えば、紫外線の波長が253.7nmである殺菌ランプを用いて、基材に塗布されたペルオキソ酸化チタンなどのアモルファス酸化チタンに紫外線を照射する方法が挙げられる。
または、紫外線の波長が365nmであるブラックライトを用いて、基材に塗布されたペルオキソ酸化チタンなどのアモルファス酸化チタンに紫外線を照射する方法が挙げられる。
なお、殺菌ランプの方がブラックライトよりも紫外線の波長が短いのでエネルギーが大きく、短時間で光触媒活性を発現させることができるので、好ましい。
ペルオキソ酸化チタンなどのアモルファス酸化チタンは紫外線を照射されると結晶化し、光触媒活性が発現するので、このような紫外線照射工程により、基材に接着したペルオキソ酸化チタンなどのアモルファス酸化チタンに光触媒活性を発現させることができる。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明を適用した第1の実施態様の塗布物の製造方法の塗布工程の一例を示す概略図(a)と、紫外線照射工程の一例を示す概略図(b)である。
図1(a)に示すように、本発明の第1の実施態様の塗布物の製造方法の塗布工程は、ステンレス製のパイプ形基材3を、容器2に入れられた塗布液1に約1分間漬ける。
また、ステンレス製のパイプ形基材3は、すなわちステンレス製のパイプであり、本発明でいう基材の一例である。
ここで、塗布液1は、塗布液全量基準で、ペルオキソ酸化チタン0.05質量%と、イソプロパノール50質量%と、ポリオキシアルキレン基を有するシリコーン系界面活性剤0.05質量%と、酸化銅0.0005質量%とを含み、残部が精製水である。
また、ポリオキシアルキレン基を有するシリコーン系界面活性剤は、非イオン性界面活性剤の一例である。
また、塗布液1の粘度は4.0mPa・sである。
そして、ステンレス製のパイプ形基材3を塗布液1に約1〜2分間漬けた後、ステンレス製のパイプ形基材3を塗布液1から取り出して、約5〜10分間、常温で放置して乾燥させる。
その後、余分な液を布などで拭き取る。
なお、図1(b)では、塗布液が基材の表面に塗布されたことを明示するために塗布液を示している。
次に、図1(b)に示すように、本発明の第1の実施態様の塗布物の製造方法の紫外線照射工程は、ステンレス製のパイプ形基材3に塗布されたペルオキソ酸化チタンに、殺菌ランプ4を用いて紫外線を3日間すなわち72時間照射する。
このとき、紫外線出力は130W/m、紫外線波長は253.7nm、紫外線強度は1000uW/cmである。
また、本発明の第1の実施態様の塗布物の製造方法は、塗布液に基材全体を漬けるので、基材全面にペルオキソ酸化チタンを万遍なく、しかも短い時間で塗布することができる。
また、図2は、本発明を適用した第2の実施態様の塗布物の製造方法の塗布工程の一例を示す概略図(a)と、紫外線照射工程の一例を示す概略図(b)と、製造された塗布物を示す概略図(c)である。
また、図3は、図2に示すA−A線に沿った、塗布物の概略断面図である。
図2(a)に示すように、本発明の第2の実施態様の塗布物の製造方法の塗布工程は、電気シェーバー刃形基材6に、スプレー5を用いて、塗布液11を噴射する。
また、電気シェーバー刃形基材6は、すなわち電気シェーバーに使用される刃であり、本発明でいう基材の一例である。
ここで、塗布液11は、ペルオキソ酸化チタン0.25質量%と、イソプロパノール30質量%と、ポリオキシアルキレン基を有するシリコーン系界面活性剤0.05質量%と、酸化銅0.0005質量%とを含み、残部が精製水である。
また、塗布液11の粘度は4.0mPa・sである。
そして、電気シェーバー刃形基材6に塗布液11を噴射した後、約5〜10分間、常温で放置して乾燥させる。
なお、図2(b)では、塗布液が基材の表面に塗布されたことを明示するために塗布液を示している。
次に、図2(b)に示すように、本発明の第2の実施態様の塗布物の製造方法の紫外線照射工程は、電気シェーバー刃形基材6に塗布されたペルオキソ酸化チタンに、殺菌ランプ4を用いて紫外線を3日間すなわち72時間照射する。
このとき、紫外線出力は130W/m、紫外線波長は253.7nm、紫外線強度は1000uW/cmである。
このようにして製造された電気シェーバー刃形塗布物7を図2(c)に示す。
また、図3に示すように、電気シェーバー刃形塗布物7は、電気シェーバー刃形基材6の全表面に形成された塗布層8を備える。
ここで、塗布層8は、電気シェーバー刃形基材6に塗布されたペルオキソ酸化チタンに紫外線が照射されて得られたものである。
また、本発明の第2の実施態様の塗布物の製造方法は、スプレーを用いて塗布液を基材に噴射するので、基材の細かい箇所に部分的にペルオキソ酸化チタンを塗布できる。
また、第1の実施態様および第2の実施態様において、ペルオキソ酸化チタンを含む塗布液を基材に塗布しているが、必ずしも塗布液の形態でペルオキソ酸化チタンを基材に塗布しなくてもよい。
しかし、ペルオキソ酸化チタンを含む塗布液を塗布することによって、ペルオキソ酸化チタンの塗布が容易になるので好ましい。
また、必ずしも塗布液は、イソプロパノールや、ポリオキシアルキレン基を有するシリコーン系界面活性剤を含んでいなくてもよい。
しかし、塗布液が、イソプロパノールや、ポリオキシアルキレン基を有するシリコーン系界面活性剤を含んでいれば、塗布液の塗れ性を向上させて超撥水性の基材にもペルオキソ酸化チタンを塗布できるので好ましい。
また、必ずしも塗布液は、酸化銅を含んでいなくてもよい。
しかし、塗布液が酸化銅を含んでいれば、得られる塗布物の抗菌性と、アルカリ性の臭いを分解する能力とを高めることができるので好ましい。
また、必ずしも塗布液の粘度は、4.0mPa・sすなわち3.0〜5.0mPa・sの範囲内の値でなくてもよい。
しかし、塗布液の粘度が3.0〜5.0mPa・sであれば、塗布膜の膜切れを抑制しやすくなり、かつ、塗りムラを抑制しやすくなるので好ましい。
また、必ずしもペルオキソ酸化チタンを基材に塗布しなくてもよく、例えば、基材との接着性を有し、かつ、紫外線を照射されたときに結晶化して光触媒活性を発現するアモルファス酸化チタンを基材に塗布することもできる。
また、必ずしもステンレス製のパイプ形基材や電気シェーバー刃形基材に、ペルオキソ酸化チタンなど、基材との接着性を有し、かつ、紫外線を照射されたときに結晶化して光触媒活性を発現するアモルファス酸化チタンを塗布しなくてもよい。
例えば、基材として、つけまつ毛にペルオキソ酸化チタンなど、基材との接着性を有し、かつ、紫外線を照射されたときに結晶化して光触媒活性を発現するアモルファス酸化チタンを塗布することができる。
次に、実施例と比較例について説明する。
[実施例]
全量基準で、ペルオキソ酸化チタン0.25質量%と、イソプロパノール30質量%と、ポリオキシアルキレン基を有するシリコーン系界面活性剤0.05質量%と、酸化銅0.0025質量%とを含み、残部が精製水である塗布液を調製した。
また、塗布液の粘度は4.0mPa・sであった。
次に、調製した塗布液をスプレーに入れて、14枚のステンレス鋼板にそれぞれ塗布液を噴射した。噴射後、約5分間、常温で放置してステンレス鋼板を乾燥させた。
また、塗布量は30g/mであった。
このようにして、ペルオキソ酸化チタンをステンレス鋼板に塗布して接着させた14枚のステンレス鋼板を得た。
そして、得られた14枚のステンレス鋼板の中で7枚のステンレス鋼板に塗布されたペルオキソ酸化チタンに、紫外線の波長が365nmであるブラックライトを用いて、照射時間を変えて紫外線をそれぞれ照射した。
ここで、紫外線照射時間は、30分間、1時間、2時間、5時間、12時間、24時間および48時間とした。
また、その他の7枚のステンレス鋼板に塗布されたペルオキソ酸化チタンに、紫外線の波長が253.7nmである殺菌ランプを用いて、照射時間を変えて紫外線をそれぞれ照射した。
ここで、紫外線照射時間は、30分間、1時間、2時間、5時間、12時間、24時間および48時間とした。
また、紫外線が照射されてステンレス鋼板の表面上に形成された塗布膜の膜厚は0.02umであった。
[比較例]
実施例と同じように調製した塗布液をスプレーに入れて、3枚のステンレス鋼板にそれぞれ塗布液を噴射した。噴射後、約5分間、常温で放置してステンレス鋼板を乾燥させた。
また、塗布量は30g/mであった。
このようにして、ペルオキソ酸化チタンをステンレス鋼板に塗布して接着させた3枚のステンレス鋼板を得た。
そして、得られた3枚のステンレス鋼板の中で2枚のステンレス鋼板を電気炉内に入れて、加熱温度を変えてそれぞれ30分間加熱した。
ここで、加熱温度は、250℃と300℃とした。
また、加熱されてステンレス鋼板の表面上に形成された塗布膜の膜厚は0.02umであった。
また、紫外線照射も加熱もされず、常温で乾燥してステンレス鋼板の表面上に形成された塗布膜の膜厚は0.02umであった。
[塗布膜強度測定]
それぞれのステンレス鋼板の表面上に形成された塗布膜の強度を評価するために、鉛筆硬度測定試験を行なった。
すなわち、JIS K 5400に従い、鉛筆引っ掻き試験機を用いて、それぞれのステンレス鋼板の表面上に形成された塗布膜の鉛筆硬度を測定した。
ここで、各種硬度の鉛筆を塗布膜に対して45°の角度に保ちつつ、鉛筆の上から1kgの荷重をかけて、塗布膜を1cm引っ掻き、傷の有無を目視にて観察した。これを5回繰返し、5回とも傷が付かなかった鉛筆硬度のうち最も高い硬度を、その塗布膜の硬度とした。
結果を表1に示す。
[親水性測定]
それぞれのステンレス鋼板の表面上に形成された塗布膜の親水性を測定した。
すなわち、純水の液滴1uLを塗布膜に滴下し、協和界面科学株式会社製の固液界面解析装置(製品名:Drop Master 500)を用いて、1000m秒経過した後の塗布膜上の液滴の接触角を測定した。
ここで、接触角の計算は、θ/2法により算出した。親水性が高いと接触角は小さくなり、親水性が低いすなわち撥水性が高いと接触角は大きくなる。
結果を表1に示す。
[光触媒活性度測定]
それぞれのステンレス鋼板の表面上に形成された塗布膜の光触媒活性度を測定した。
すなわち、JIS R 1703−2に従い、塗布膜に、有機色素であるメチレンブルーを溶かした溶液を接触させ、分光光度計で初期の吸光度を測った。そして、一定時間、塗布膜に紫外線を照射し、吸光度の測定を繰り返した。
また、紫外線の照射は、ピーク波長が352nmである東芝株式会社製の紫外線蛍光ランプ(製品名:FL20SBLB―A)を用いて行なった。
ここで、光触媒により塗布膜に接触した溶液の色素が分解されるので、溶液の濃度は徐々に下がって溶液は透明になり、吸光度は下がる。この濃度の経時変化から色素の分解速度を算出して得られた分解活性指数を、光触媒活性度とした。
結果を表1に示す。
[意匠性評価]
それぞれのステンレス鋼板の表面の状態を目視で観察した。
結果を表1に示す。
Figure 0006152596
表1から明らかなように、電気炉でペルオキソ酸化チタンを加熱して得られた塗布膜を備えるステンレス鋼板は、高い光触媒活性度を有するものの、色調の変化が生じ、意匠性を損ねていた。
これに対して、本発明の方法のように加熱せずにペルオキソ酸化チタンに紫外線を照射して得られた塗布膜を備えるステンレス鋼板は、高い光触媒活性度を有し、かつ、色調の変化もなく意匠性が維持された。
さらに、電気炉でペルオキソ酸化チタンを加熱して得られた塗布膜を備えるステンレス鋼板よりも、本発明の方法のように加熱せずにペルオキソ酸化チタンに波長253.7nmの紫外線を照射して得られた塗布膜を備えるステンレス鋼板の方が、親水性が高かった。
以上のように、本発明の塗布物の製造方法は、基材にペルオキソ酸化チタンを塗布する塗布工程を備えているので、基材にペルオキソ酸化チタンを接着させることができる。
また、本発明の塗布物の製造方法は、基材に塗布されたペルオキソ酸化チタンに紫外線を照射する紫外線照射工程を備えているので、ペルオキソ酸化チタンを結晶化して光触媒活性を発現させることができる。
従って、結晶化したペルオキソ酸化チタンは、しっかりと基材に固着し、加熱もしないので、本発明の塗布物の製造方法は、意匠性が維持された、かつ、活性度に優れた光触媒を固着した塗布物を製造できる。
また、このような本発明の塗布物の製造方法で製造される本発明の塗布物は、意匠性が維持された、かつ、活性度に優れた光触媒が固着したものである。
1 塗布液
2 容器
3 ステンレス製のパイプ形基材
4 殺菌ランプ
5 スプレー
6 電気シェーバー刃形基材
7 電気シェーバー刃形塗布物
8 塗布層
11 塗布液

Claims (3)

  1. 基材に、ペルオキソ酸化チタンと、酸化銅と、イソプロパノールと、ポリオキシアルキレン基を有するシリコーン系界面活性剤とを含み、残部が水である塗布液を塗布する塗布工程と、
    基材に塗布されたペルオキソ酸化チタンに、波長が253.7nmである紫外線を照射する紫外線照射工程とを備える
    塗布物の製造方法。
  2. 前記塗布液は、塗布液全量基準で、ペルオキソ酸化チタン0.25質量%と、イソプロパノール30質量%と、ポリオキシアルキレン基を有するシリコーン系界面活性剤0.05質量%と、酸化銅0.0025質量%とを含み、残部が精製水である
    請求項1に記載の塗布物の製造方法。
  3. 前記紫外線照射工程は、前記紫外線を12時間照射する
    請求項1または請求項2に記載の塗布物の製造方法。
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