JP2005199155A - 光触媒構造 - Google Patents

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Takashi Masako
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Abstract

【課題】 疎水性基材上に水溶性の光触媒活性を有する酸化チタンの塗膜を確実に形成出来ると共に、光触媒活性が大きくかつ親水性に優れた光触媒構造を提供する。
【解決手段】疎水性フイルム基材1の表面を基礎層2により親水性化し、この親水性の基礎層2上に水溶性の光触媒不活性の酸化チタンからなる中間層3を共有結合により形成し、この中間層3上に水溶性の光触媒活性の酸化チタンからなる光触媒層4を共有結合により形成する構造としているので、水溶性の光触媒活性の酸化チタンからなる光触媒層4を疎水性フイルム基材に均一且つ確実な塗膜として簡易に形成できることになり、光触媒活性及び親水性に優れた光触媒フイルムが得られる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、疎水性基材上に水溶性の光触媒活性を有する酸化チタンの塗膜を確実に形成出来ると共に、光触媒活性が大きくかつ親水性に優れた光触媒構造に関するものである。
一般に、光触媒酸化チタンのコート膜は太陽光や蛍光灯に含まれる紫外線が当ると、空気中の酸素や水分と反応して、その表面でスーパーオキサイドアニオンやヒドロキシラジカルの活性酸素種を発生させる。
現在、光触媒酸化チタンは、その強い酸化分解作用で、有機物分解、抗菌・防カビ、脱臭、大気浄化、水質浄化等の環境浄化材として期待されている。この光触媒酸化チタンには、ルチル型、ブルッカイト型、アナターゼ型の3種類の結晶系がある。これら結晶系の酸化チタンの中でも、アナターゼ型酸化チタンは、最も優れた光触媒活性を起こすことから、ほとんどすべての光触媒酸化チタンコート剤に用いられている。また、このアナターゼ型の光触媒酸化チタン自体は、もともと水の接触角が0度と優れた親水性を有することから、光触媒活性による有機物分解力と親水性で、セルフクリーニング機能による防汚効果も屋外では期待されている。
しかし、この光触媒は、注目度・期待度が高い割には、まだまだ市場への浸透度は低いと云わざるを得ない。その理由としては、実用化技術・塗布技術の未熟等から、現実には期待する効果が得られていないことに起因していると考えられる。
さらに、屋外におけるガラス面や外壁等への光触媒化の現場コーティングは、セルフクリーニング機能による防汚効果を目的とするものであるが、風や気温等の気象環境の影響を受けやすく、施工品質が確保しにくい現状もあった。特に、現場での光触媒コーティング作業が高層階の施工場所となると、風の影響を大きく受け、仮にエアカーテン式のスプレーガンを使用したとしても均一な塗膜は得られにくく、現実光触媒コーティングは難しいと云わざるを得ない。
この光触媒コーティング作業を光触媒機能性フイルムをガラス等の披着体に貼り付ける方式とすれば、作業場所や気温に影響されにくく、ガラス面への施工でも均一な光触媒性能が得られ、また作業効率にも優れることから施工コストの低コストも図ることができる。
また、光触媒機能を付与したフィルムとしては、特開2003−41034号公報に開示されている。
この光触媒機能性フィルムは、基材のプラスチックフィルム上に有機高分子化合物と金属系化合物の化学結合物を含有する有機無機複合材料による有機無機複合傾斜膜を介して、その上に無機系バインダーを介した光触媒活性材料層を形成させたものである。
特開2003−41034号公報
従来の光触媒機能性フィルムは以上のように構成されていたことからも解るように、有機物基材のフイルム上に光触媒層を形成する場合には、光触媒が活性時に基材となるフイルムの有機物を侵し、また基材フイルムから剥離してしまうため、有機物基材と光触媒層の間に無機層を形成しなければならないという課題を有する。
この有機物基材と光触媒層の間に無機層を形成するコート剤としては、常温下では光触媒活性を起こさず、かつ光触媒酸化チタンとの相性がよい水溶性で不活性酸化チタンのアモルファス型過酸化チタン液を用いることも考えることができる。
しかし、この水溶性で不活性酸化チタンのアモルファス型過酸化チタン液では、水溶性であるが故に、疎水性基材上では液が弾かれ撥水現象を生じせることから、共有結合に至らず、結果として定着しない技術的な課題を有していた。
このように、有機物の疎水性基材と光触媒層との間に形成される無機層の不活性酸化チタン層が確実に定着しないことから、この不活性酸化チタン層上に形成される光触媒層も確実な定着が不可能であった。
また、優れた光触媒機能を発揮させるためには、無機層上に光触媒層を緻密に成膜化する必要がある。
この光触媒としてのアナターゼ型酸化チタンを含有するコート剤としては、従来より様々なものが提供されている。
その形態としては、粉体の酸化チタンを水溶性化させたものに有機のエマルジョン樹脂等を定着剤として配合し塗膜の定着性を高めたもの、また粉体の酸化チタンを無機系バインダーに混合したもの、さらに酸化チタンの共有結合のみで定着する有機分を含まない中性で水溶性の酸化チタンゾルタイプのもの等がある。
しかし、コート剤に有機定着剤を配合したものは、紫外線の影響で有機分が劣化し、また光触媒活性時に酸化チタンが塗膜内の有機分を分解することから、塗膜が経時的に劣化してしまい屋外での使用には耐えれなかった。
また、フィルムに限らず透明部材の光触媒化においては、酸化チタンによる白濁化を押え透明性を確保するために、光触媒コート剤中のアナターゼ型酸化チタンの含有量が低く押えることから、光触媒活性の低下は免れず、また酸化チタンのみでは十分な親水性確保には至らないことから、バインダーによる親水性付与の光触媒構造を取らざるを得ないという課題をゆうしていた。
しかし、粉体アナターゼ型酸化チタンとバインダーの混合タイプでは、バインダー内に酸化チタン粒子が埋没することは避けられず、この点でも光触媒活性の高活性化が望めないという課題を有する。
そのことから、セルフクリーニング機能の重要な要素の一つである光触媒活性による有機物分解力が低く、親水性機能だけでは、結果として十分な防汚効果も得られていないのが現状であった。
また、従来の製造技術では、フィルムの光触媒化にコストがかかり過ぎ、高コスト化も市場への普及を疎外していた。
また、特開2003−41034号公報に開示された光触媒フィルムは、基材上に有機無機複合材料による有機無機複合傾斜膜を介して、その上に無機系バインダーを介した光触媒層の二層で形成させたものであるが、有機無機複合傾斜膜の定着に80℃で15時間、さらにその上の光触媒層形成においても80℃で1時間程要することから製造工程に長時間を要し、結果として製造コストの高コスト化を招いている。
従って、m2当りの製品単価も市場には受け入れにくい高単価となっている。また、光触媒層は粉体アナターゼ型酸化チタンが無機系バインダーに混合されたものであることから、光触媒活性による有機物分解力の点で問題が残る。
本発明は、従来の光触媒フィルムが有する高コスト化の問題を解決し、高い光触媒活性と親水性を有し、さらに透明性、耐候性及び屈曲性等に優れた光触媒機能性フィルムを、低コストで製造可能とする方法を提供するものである。
本発明に係る光触媒構造は、疎水性フイルム基材の表面に形成される親水性の基礎層と、当該基礎層の上に水溶性の光触媒不活性の酸化チタンが共有結合して形成される中間層と、当該中間層上に水溶性の光触媒活性を有する酸化チタンが共有結合して形成される光触媒層とから構成されるものである。
このように本発明においては、疎水性フイルム基材の表面を基礎層により親水性化し、この親水性の基礎層上に水溶性の光触媒不活性の酸化チタンからなる中間層を共有結合により形成し、この中間層上に水溶性の光触媒活性の酸化チタンからなる光触媒層を共有結合により形成する構造としているので、水溶性の光触媒活性の酸化チタンからなる光触媒層を疎水性フイルム基材に均一且つ確実な塗膜として簡易に形成できることになり、光触媒活性及び親水性に優れた光触媒フイルムが得られる。
また、本発明に係る光触媒構造は必要に応じて、疎水性フイルム基材、基礎層、中間層及び光触媒層が透明体で形成されるものである。
このように本発明においては、疎水性フイルム基材、基礎層、中間層及び光触媒層がいずれも透明体で形成する構成としているので、有機成分を含有することなく光触媒層が共有結合により形成されて、より少ない光触媒活性の酸化チタンでより大きな光触媒活性を発揮できることと相俟って、光触媒活性と透明性との双方を高くすることができる。
また、本発明に係る光触媒構造は必要に応じて、フイルム材が、帯電防止機能を有する透明ポリエチレンテレフタレートフイルムで構成されるものである。
このように本発明においては、疎水性フイルム基材を帯電防止機能を有する透明ポリエチレンテレフタレートフイルムで形成しているので、疎水性フイルム基材上に形成される光触媒層も帯電が抑制されることから、光触媒層に塵埃等の付着を極力減少させて防汚効果を向上できる。
また、本発明に係る光触媒構造は必要に応じて、疎水性フイルム基材を板ガラス面に貼着するものである。
このように本発明においては、疎水性フイルム基材を板ガラスに貼着するようにしているので、板ガラスの側面を光触媒層とすることにより、光触媒機能が全面に亘って均一な板ガラスの施工が可能となる。
また、本発明に係る光触媒構造は必要に応じて、基礎層が、疎水性フイルム基材の表面自体を加工して親水性化されて形成されるものである。
このように本発明においては、疎水性フイルム基材の表面自体を加工処理して親水性化して基礎層を形成するようにしているので、疎水性フイルム基材の表面上に各々水溶性の中間層及び光触媒層を簡単且つ確実に塗膜化できる。
また、本発明に係る光触媒構造は必要に応じて、中間層がアモルファス型過酸化チタンのペルオキソチタン酸水溶液を主成分とするものである。
このように本発明においては、中間層をアモルファス型過酸化チタンのペルオキソチタン酸水溶液を主成分としているので、共有結合により塗膜を形成した場合に、強い結合力により強固な塗膜とすることができる。
また、本発明にかかわる光触媒構造は必要に応じて、光触媒層がアモルファス型過酸化チタンのペルオキソチタン酸水溶液とアナターゼ型酸化チタン分散液のペルオキソ改質アナターゼゾルとの混合液を主成分とするものである。
このように本発明においては、光触媒層をアモルファス型過酸化チタンのペルオキソチタン酸水溶液とアナターゼ型酸化チタン分散液のペルオキソ改質アナターゼゾルとの混合液を主成分としていることから、共有結合の結合力が弱いアナターゼ型酸化チタンを共有結合力が強いアモルファス型過酸化チタンで補強して強固な塗膜を形成すると共に、アナターゼ型酸化チタンで光触媒活性を向上させる。
また、本発明に係る光触媒構造は必要に応じて、中間層及び/又は光触媒層の少なくとも一層が、共有結合促進剤として珪酸リチウムを添加して構成されるものである。
このように本発明においては、中間層及び/又は光触媒層の少なくとも一層が、珪酸リチウムを添加して構成されることから、各層の共有結合に要する時間を短縮できるこことなり、各塗膜の定着を促進して低温下でも短時間で塗膜を硬化させることができる。
また、本発明に係る光触媒構造は必要に応じて、基礎層、中間層、光触媒層のうち少なくとも一層が、グラビアコート方式のマイクログラビアコート装置で形成されるものである。
このように本発明においては、基礎層、中間層、光触媒層のうち少なくとも一層が、グラビアコート方式のマイクログラビアコート装置で形成されることから、均一で緻密な塗膜を短時間で大量に且つ低コストで製造できる。
また、本発明に係る光触媒構造は必要に応じて、前記基礎層が100℃〜150℃の温度で1分間の加熱処理、前記中間層が30℃〜60℃の温度で1分間の加熱処理、前記光触媒層が110℃〜150℃の温度で1分間の加熱処理を各々実施され、当該各加熱処理を塗膜形成処理と同時進行で行うものである。
このように本発明においては、基礎層が100℃〜150℃の温度で1分間の加熱処理、中間層が30℃〜60℃の温度で1分間の加熱処理、光触媒層が110℃〜150℃の温度で1分間の加熱処理を各々実施され、当該各加熱処理を塗膜形成処理と同時進行で行うことから、より短時間で共有結合できることとなり、製造工程を迅速化できる。
また、本発明に係る光触媒構造は必要に応じて、基礎層の平均膜厚が60〜120nm、前記中間層の膜厚が60〜90nm、前記光触媒層の平均膜厚が40〜60nmで形成されるものである。
このように本発明においては、基礎層、中間層及び光触媒層の各平均膜厚を各々特定の厚みとすることにより、確定な親水性を確保しつつ白濁化(ヘイズ)を抑制できると共に、干渉色の発生を防止できる。
本発明の一実施形態に係る光触媒構造を図1に基づいて説明する。この図は本実施形態に係る光触媒構造の断面構造説明図である。
同図において本実施形態に係る光触媒構造は、疎水性フイルム基材1の表面に表面処理剤を塗布して形成される親水性の基礎層2と、この基礎層2の上に水溶性の光触媒不活性の酸化チタンが共有結合して形成される中間層3と、この中間層3上に水溶性の光触媒活性を有する酸化チタンが共有結合して形成される光触媒層4とから構成される。
前記疎水性フイルム基材1は、帯電防止機能を有するポリエチレンテレフタレートが用いられ、耐熱性が確保され且つグラビアコート装置に装着可能なフイルムの厚さを必要とし、加熱温度及びグラビアコート装置の条件により厚さ50μmとすることもできる。
この疎水性フイルム基材1に対する前記基礎層2、中間層3、光触媒層4積層コート方法としては、薄膜化でも塗膜形成が可能なグラビアコート方式がふさわしく、さらに加熱装置を備えるものが望ましい。
このグラビアコート装置は、他のコート方法の装置に較べても、より均一に塗布することができ、精度の高い薄膜形成を可能とするマイクログラビアコーターが最も望ましい。
まず、疎水性フイルム基材上1への一層目コートとして前記マイクログラビアコーター(図示を省略する)で、表面処理剤を毎分10mの速度でフィルム上にコートして基礎層2を形成する。この基礎層2の形成過程は、100℃の加熱状態を1分間継続する加熱処理を行いながら、未定着(半乾燥)の状態でフィルムを巻き取る。この場合の最適塗布量は、m2当り5ccで、その時の平均膜厚は60nmとなる。表面処理剤は、エチレングリコール、水、メタノール等を調製した混合液である。
前記基礎層2上への二層目コートとして、前記マイクログラビアコーターで、無機層形成のための不活性酸化チタンコート剤を毎分10mの速度でフィルム上にコートして中間層3を形成する。この中間層3の形成過程は、45℃の加熱状態を1分間継続する加熱処理を行いながら、完全定着の状態(共有結合が完了した状態)で前記基礎層2が積層された疎水性フィルム基材1を巻き取る。この場合の中間層3を形成するための最適塗布量は、m2当り10ccで、その時の平均膜厚は60nmとなる。
この中間層3を形成する水溶性で不活性酸化チタンコート剤は、アモルファス型過酸化チタンのペルオキソチタン酸水溶液を主成分としたものである。
具体的には、四塩化チタンにアンモニア水を滴下し水酸化チタンを沈殿させた後、過酸化水素水を添加して得られ、さらに加熱による塗膜の速硬化とレべリング性向上を目的として珪酸リチウムや分散媒等を配合し、チタン含有量が0.85重量%となるよう調製したものである。
前記中間層3上への三層目コートとして前記マイクログラビアコーターで、水溶性の光触媒酸化チタンコート剤を毎分10mの速度でフィルム上にコートして光触媒層4を形成する。
この光触媒層4の形成過程は、130℃の加熱状態を1分間継続する加熱処理を行いながら、完全定着の状態(共有結合が完了した状態)で前記基礎層2、中間層3が積層された疎水性フイルム基材1を巻きとる。
この場合の光触媒層4を形成するための最適塗布量は、m2当り10ccで、その時の平均膜厚は40nmとなる。
この光触媒層4を形成する水溶性の光触媒酸化チタンコート剤は、アモルファス型過酸化チタンのぺルオキソチタン酸水溶液とアナターゼ型酸化チタン分散液のペルオキソ改質アナターゼゾルとの混合液を主成分としたものである。
具体的には、四塩化チタンにアンモニア水を滴下し水酸化チタンを沈殿させた後、過酸化水素水を添加して得られるアモルファス型過酸化チタンのペルオキソチタン酸水溶液と、同ペルオキソチタン酸水溶液を過熱することによって得られるアナターゼ型酸化チタン分散液のペルオキソ改質アナターゼゾルを混合させたものに、さらに加熱による塗膜の速硬化とレべリング性向上を目的として珪酸リチウムや分散媒等を配合し、チタン含有量が0.85重量%となるよう調製したものである。
このペルオキソチタン酸水溶液とペルオキソ改質アナターゼゾルとの混合液で形成された光触媒層4は、酸化チタンの結晶形が扁平状のため膜密度を高く出来ることと、またバインダーを介さないことから、触媒反応効率が高く、薄膜下でも優れた光触媒活性と親水性を発揮できる。
疎水性フイルム基材1上に表面処理剤で形成される基礎層2の平均膜厚は、60〜120nmがふさわしく、60nmがより望ましい。この基礎層2の平均膜厚が60nmを下回ると、疎水性フイルム基材1の親水性化が十分でなくなる恐れがあり、また120nmを上回るとヘイズがより顕著に見られるようになる。
また、前記基礎層2上に不活性酸化チタンコート剤で形成される中間層3の平均膜厚は、60〜90nmの範囲がふさわしく、60nmがより望ましい。この中間層3の平均膜厚が60nmを下回ると、光触媒層4下の中間層としての機能が十分発揮されない恐れがあり、また90nmを上回ると、塗膜上に酸化チタンの光彩現象による干渉色がより顕著に認められるようになる。
また、中間層3上に光触媒酸化チタンコート剤で形成される光触媒層4の平均膜厚は、40〜60nmがふさわしく、40nmがより望ましい。この光触媒層4の平均膜厚が40nmを下回ると、光触媒性能が低下する恐れがあり、また60nmを上回ると、塗膜上に酸化チタンの光彩現象による干渉色がより顕著に認められるようになる。
そして、上記コート方法により得られる本実施形態に係る光触媒の光触媒機能性フィルムは、光触媒層4が有機分を含まない完全無機塗膜となることから塗膜の耐候性にも優れ、かつ高活性で高透明の塗膜を形成することができ、屋外で使用されるガラスの他にも種々の建材や既存の構造物に光触媒機能を付与することができる汎用性を有している。
また使用する水溶性の不活性酸化チタンコート剤の中間層3と光触媒酸化チタンコート剤の光触媒層4は、共に加熱により共有結合が進み塗膜が速硬化することから、短時間で大量のフィルムコートを可能にし、従来に較べ大幅な製造コストの低下を実現している。
さらに、マイクログラビアコーターの機種選定とコート技術の熟練により、毎分100m程度までのフィルムコートが可能と判断され、さらなる低コスト化も考えられる。
また、本実施形態に係る光触媒構造の光触媒機能性フィルムを披着体、例えば板ガラスに貼ることで簡単に光触媒機能を付与できることから、施工場所を選ばず容易に施工できて作業の高効率化を図ることができる。
さらにまた、光触媒施工費用の低コスト化及び高品質化も図ることができる。
以下、本発明の具体的なことを実施例1〜実施例10に基づいて詳細に説明する。
[実施例1]
基礎層2の表面処理剤、中間層3の不活性酸化チタンコート剤、光触媒層4の光触媒酸化チタンコート剤について、それぞれのコート剤のPETフィルム上への成膜性を見た。
尚、コート方式はバーコート方式とし、使用するバーコーター装置は簡易タイプを使用し、コートフィルムのサイズは210mm×297mmのA4サイズとした。
疎水性フイルム基材1上への一層目のコート剤である表面処理剤は、エチレングリコール、水、メタノール等を調製することによって得られる。
二層目のコート剤である中間層2を形成するための不活性酸化チタンコート剤は、アモルファス型過酸化チタンのペルオキソチタン酸水溶液を主成分とし、加熱による塗膜の速硬化とレべリング性向上とを目的として珪酸リチウムや分散媒等を配合し、チタン含有量が0.85重量%となるよう調製することによって得られる。
三層目のコート剤である光触媒層4を形成するための光触媒酸化チタンコート剤は、アモルファス型過酸化チタンのペルオキソチタン酸水溶液とアナターゼ型酸化チタン分散液のペルオキソ改質アナターゼゾルとの混合液を主成分とし、加熱による塗膜の速硬化とレべリング性向上を目的として珪酸リチウムや分散媒等を配合し、チタン含有量が0.85重量%となるよう調製することによって得られる。
尚、コート剤の塗布量は、それぞれのコート剤の固形分から機能上必要な膜厚を推定し、当初の設定として、表面処理剤はm2当り5cc、その上に塗布する不活性酸化チタンコート剤をm2当り20cc、光触媒酸化チタンコート剤をそれぞれm2当り20ccとした。
また、バーコーターのコート速度は、コート剤の粘度等から計算して、毎分10mの速度となるようフィルム上にコートすることとした。
一層目コートとして基礎層2の表面処理剤がm2当り5cc、二層目コートとして中間層3の不活性酸化チタンコート剤がm2当り20cc、三層目コートとして光触媒層4の光触媒酸化チタンコート剤がm2当り20ccとなるようバーコートし、それぞれの工程でコート剤が収縮現象を見せずレべリングし塗膜形成するかを、自然乾燥下で目視により確認した。
基礎層2の表面処理剤の成膜性については、フィルム上で収縮現象を見せずレべリングし塗膜形成することが認められた。
塗膜乾燥後、基礎層2上での不活性酸化チタンコート剤も、収縮現象を見せずレべリングし塗膜形成することが認められた。
さらに塗膜乾燥後、不活性酸化チタンからなる中間層3上での光触媒酸化チタンコート剤も、収縮現象を見せずレべリングし塗膜形成することが認められた。
これは、一層目コートの表面処理剤が疎水性フイルム基材1の疎水性に負けないレべリング性を持つここと、また疎水性フイルム基材1上を親水性化させることから、その上にコートする水溶性である、中間層3の不活性酸化チタンコート剤や光触媒層4の光触媒酸化チタンコート剤も収縮現象を見せず塗膜形成できたと考える。
以上のことから、これまでは、疎水性フイルム基材上に光触媒層と基材との間の無機層形成のために、水溶性コート剤を直接基材に塗布した場合に液の収縮現象で塗膜形成できなかったものが、無機層形成の前段階として、一層目に基礎層2を形成して親水性化させることが有効であると認められた。
但し、上記方法により自然乾燥下で形成した塗膜では、定着性に問題を残し、24時間経過後においても、指で擦ると簡単に塗膜に傷が付くことで、実用上問題であることが認められた。
また、コート液の乾燥にも時間を要することから塗膜の乾燥・定着には、やはり一定の加熱処理を行う必要が認められた。
さらに、コート面には干渉色が多く認められ、フィルムの質感を損なうものであった。さらにまた、この塗膜の干渉色は二層目コート以後に発生するもので、酸化チタンの光彩現象によってもたらされる現象であり、塗布量の問題と簡易タイプのバーコート方式では均一に塗れなかったためと判断できた。
[実施例2]
次に、疎水性フイルム基材1であるPETフィルム上への表面処理コートにおいて、表面処理剤の塗布量を変えて最適塗布量を探った。
表面処理剤の塗布量を、m2当り5ccと10ccの2種類とし、その上に塗布する不活性酸化チタンコート剤をm2当り20ccと設定した。
尚、m2当りの塗布量が5cc以下では、表面処理としての必要な性能が得れないと判断して除外した。
尚、コート方法は、簡易タイプよりもより成膜性に優れたバーコート方式のコントロールコーターを選択し、コートフィルムのサイズは、実施例1と同じとした。
前記方法により製造したコートフィルムに対し、表面処理剤の成膜性、塗膜のヘイズ、その上に中間層3を形成する不活性酸化チタンコート剤の成膜性を、自然乾燥下で目視により確認した。
即ち、以下2種類(比較例1及び比較例2)について比較した。
(比較例1)
一層目コートとして基礎層2を形成する表面処理剤がm2当り5cc、二層目コートとして中間層3を形成する不活性酸化チタンコート剤がm2当り20ccとなるようバーコートし、それぞれの工程で自然乾燥させコートフィルムの試料を得た。
(比較例2)
一層目コートとして基礎層2を形成する表面処理剤がm2当り10cc、二層目コートとして中間層3を形成する不活性酸化チタンコート剤がm2当り20ccとなるようバーコートし、それぞれの工程で自然乾燥させコートフィルムの試料を得た。
上記2種類のコートフイルムについて比較したところ、基礎層2を形成する表面処理剤の成膜性については、比較例1と比較例2のいずれもフィルム上で収縮現象も見せずレべリングし塗膜形成することが認められた。
また、塗膜のヘイズについては、比較例1に問題は見られなかったが、比較例2ではややヘイズが見られ、若干ではあるが透明性を損なうものと認められた。
また、基礎層2上への不活性酸化チタンコート剤の成膜性については、比較例1と比較例2のいずれも収縮現象を見せずレべリングし塗膜形成することが認められた。
以上のことから、上記2種類のコート方法を比較すると、基礎層2を形成する表面処理剤の最適塗布量は、フイルムの透明性が確保され、また不活性酸化チタンコート剤の成膜性も両立する、比較例1のm2当り5ccがより好ましいと認められた。
尚、その場合の基礎層2の平均膜厚は60nmとなる。
[実施例3]
次に、疎水性フイルム基材1の表面に積層された基礎層2上への中間層3の形成において、中間層3を形成する不活性酸化チタンコート剤の塗布量を変えて最適塗布量を探った。
尚、基礎層を2を形成する表面処理剤の塗布量をm2当り5ccと設定し、その上にコートする中間層3を形成する不活性酸化チタンコート剤の塗布量をm2当り5cc、10cc、15cc、20ccの4種類とし、さらにその上にコートする光触媒層4を形成する光触媒酸化チタンコート剤はm2当り20ccと設定した。
尚、m2当りの塗布量が5cc以下では、無機層形成としての必要な性能が得れないと 判断して除外した。
尚、コート方法は実施例2と同じとした。
前記方法により製造した光触媒機能性フィルムに対し、中間層3を形成するための不活性酸化チタンコート剤の成膜性、塗膜の親水性とヘイズ、その上にコートする光触媒層4を形成するための光触媒酸化チタンコート剤の成膜性を、自然乾燥下で目視により確認した。
尚、親水性については、塗膜乾燥後にコート面上に水を流して、水が親水し且つ保水性も有しているかで評価した。
即ち、以下の4種類(比較例3、比較例4、比較例5、比較例6)について比較した。
(比較例3)
一層目コートとして基礎層2の表面処理剤がm2当り5cc、二層目コートとして中間層3の不活性酸化チタンコート剤がm2当り5cc、三層目コートとして光触媒層4の光触媒酸化チタンコート剤がm2当り20ccとなるようバーコートし、それぞれの工程で自然乾燥させコートフィルムの試料を得た。
(比較例4)
一層目コートとして基礎層2の表面処理剤がm2当り5cc、二層目コートとして中間層3の不活性酸化チタンコート剤がm2当り10cc、三層目コートとして光触媒層4の光触媒酸化チタンコート剤がm2当り20ccとなるようバーコートし、それぞれの工程で自然乾燥させコートフィルムの試料を得た。
(比較例5)
一層目コートとして基礎層2の表面処理剤がm2当り5cc、二層目コートとして中間層3の不活性酸化チタンコート剤がm2当り15cc、三層目コートとして光触媒層4の光触媒酸化チタンコート剤がm2当り20ccとなるようバーコートし、それぞれの工程で自然乾燥させコートフィルムの試料を得た。
(比較例6)
一層目コートとして基礎層2の表面処理剤がm2当り5cc、二層目コートとして中間層3の不活性酸化チタンコート剤がm2当り20cc、三層目コートとして光触媒層4の光触媒酸化チタンコート剤がm2当り20ccとなるようバーコートし、それぞれの工程で自然乾燥させコートフィルムの試料を得た。
上記4種類のコートフィルムについて比較したところ、中間層3を形成する不活性酸化チタンコート剤の成膜性については、比較例3〜比較例6のいずれも収縮現象を見せずレべリングし塗膜形成することが認められた。
また、塗膜の親水性については、比較例3では塗膜が水で流れ落ちる現象が見られた。
これは、中間層3の膜厚不足により、水が基礎層2まで滲みこみ、自然乾燥下ではまだ定着不十分な表面処理剤ごと流し落したためと判断された。
比較例4〜比較例6は塗膜が水で流れ落ちることもなく、中間層2形成の段階でも親水性が認められた。
また、塗膜のヘイズについては、比較例3〜比較例6に問題は見られず、優れた透明性であることが認められた。
また、塗膜の干渉色については、比較例3と比較例4については目視では認められなかったが、実施例5では塗膜に干渉色がやや認められ、実施例6については干渉色がより増す傾向が見られた。
これは、バーコート方式では、コート剤が均一に塗れずコートムラによるものと判断された。
但し、比較例5の干渉色程度までは、さらに均一に塗れる装置を選択することで問題ないレベルまで解消できると判断されるものであった。
また、不活性酸化チタン層からなる中間層3上への光触媒酸化チタンコート剤の成膜性については、比較例3を除く、比較例4〜比較例6のいずれも収縮現象を見せずレべリングし塗膜形成することが認められた。
以上のことから、上記4種類のコート方法を比較すると、中間層3を形成する不活性酸化チタンコート剤の最適塗布量は、m2当り10〜15ccの範囲が好ましく、さらに比較例4のm2当り10ccが、光触媒層下の必要機能を十分確保し、また塗膜の干渉色も認められず、親水性、透明性も両立していることからより最適であると認められた。
尚、その場合の不活性型酸化チタンにより形成される中間層3の平均膜厚は60nmとなる。
[実施例4]
次に、中間層3上への光触媒層4の形成において、光触媒酸化チタンコート剤の塗布量を変えて最適塗布量を探った。
基礎層2を形成する表面処理剤の塗布量をm2当り5cc、中間層3を形成する不活性酸化チタンコート剤の塗布量をm2当り10ccと設定し、その上にコートする光触媒層4を形成する光触媒酸化チタンコート剤の塗布量を、m2当り5cc、10cc、15cc、20ccの4種類とした。
尚、m2当りの塗布量が、5cc以下では光触媒としての必要な性能が得れないと判断して除外した。
尚、コート方法は実施例2と同じとした。
前記方法により製造した光触媒フィルムに対し、光触媒層4を形成する光触媒酸化チタンコート剤の成膜性、塗膜の触媒活性度、親水性、ヘイズ、干渉色を自然乾燥下で目視により確認した。
尚、触媒活性度は、紫外線照射装置を用いて予めコーティング面に紫外線を照射(1mW/cm2)しておき、その上に蒸留水で10mg/l(無水重量基準)に希釈した試験液メチレンブルーを塗布し、乾燥後に紫外線を再び照射(1mW/cm2)し、その際の褪色反応で評価しており、光触媒製品技術協議会の基準に従い、1時間後に目視でメチレンブルーの着色が認められないことで評価した。
尚、親水性については、塗膜乾燥後にコート面上に水を流して、水が親水しかつ保水性も有しているかで評価した。
即ち、以下4種類(比較例7、比較例8、比較例9、比較例10)について比較した。
(比較例7)
一層目コートとして基礎層2の表面処理剤がm2当り5cc、二層目コートとして中間層3の不活性酸化チタンコート剤がm2当り10cc、三層目コートとして光触媒層4の光触媒酸化チタンコート剤がm2当り5ccとなるようバーコートし、それぞれの工程で自然乾燥させコートフィルムの試料を得た。
(比較例8)
一層目コートとして基礎層2の表面処理剤がm2当り5cc、二層目コートとして中間層3の不活性酸化チタンコート剤がm2当り10cc、三層目コートとして光触媒層4の光触媒酸化チタンコート剤がm2当り10ccとなるようバーコートし、それぞれの工程で自然乾燥させコートフィルムの試料を得た。
(比較例9)
一層目コートとして基礎層2の表面処理剤がm2当り5cc、二層目コートとして中間層3の不活性酸化チタンコート剤がm2当り10cc、三層目コートとして光触媒層4の光触媒酸化チタンコート剤がm2当り15ccとなるようバーコートし、それぞれの工程で自然乾燥させコートフィルムの試料を得た。
(比較例10)
一層目コートとして基礎層2の表面処理剤がm2当り5cc、二層目コートとして中間層3の不活性酸化チタンコート剤がm2当り10cc、三層目コートとして光触媒層4の光触媒酸化チタンコート剤がm2当り20ccとなるようバーコートし、それぞれの工程で自然乾燥させコートフィルムの試料を得た。
上記4種類の光触媒機能性フィルムについて比較したところ、光触媒層4を形成する光触媒酸化チタンコート剤の成膜性については、比較例7〜比較例10のいずれも収縮現象を見せずレべリングし塗膜形成することが認められた。
また、触媒活性度については、比較例7では1時間経過してもメチレンブルーの着色が見られたが、比較例8〜比較例10においては1時間以内でメチレンブルーの着色が見られず、光触媒の活性化が良好に行われていることが認めらた。
また、親水性については、比較例7〜比較例10のいずれも親水性は認められた。 また、塗膜のヘイズについては、比較例7〜比較例10に問題は見られず、高い透明性を持つものと認められた。
また、塗膜の干渉色については、比較例7では干渉色は認められなかった。 比較例8は塗膜にわずかに干渉色が認められ、比較例9より比較例10と、光触媒酸化チタンコート剤の塗布量が多くなる程、より干渉色が増す傾向が見られた。これは、中間層3の酸化チタンと重合するため、より干渉色が出やすくなったことと、バーコート方式ではコート剤が均一に塗れなかったためと判断された。但し、比較例9の干渉色程度までは、さらに均一に塗れる装置を選択することで問題ないレベルまで解消できると判断されるものであった。
以上のことから、上記4種類のコート方法を比較すると、光触媒層4を形成する光触媒酸化チタンコート剤の最適塗布量は、m2当り10〜15ccの範囲が好ましく、さらに比較例8のm2当り10ccが光触媒活性と親水性を両立し、さらに高透明性で塗膜の干渉色も目視でわずかに認めらる範囲であることから、より最適であることが認められた。
尚、その場合の光触媒酸化チタンによる光触媒層4形成の平均膜厚は、40nmとなる。
[実施例5]
PETフィルム上へのコートに際し、乾燥・定着化のための加熱最適温度を、基材の疎水性フィルム基材1が耐えれる範囲内で探った。
尚、コート方法は、コート剤の塗布ムラによる干渉色を解消する必要から、バーコーターよりもより成膜性に優れ、また加熱装置を備えたグラビアコート方式のマイクログラビアコーターによるコートを選択した。
また、疎水性フイルム基材1は、実機コートにおける実際の流れを確認する必要から、1050mm幅のロールフィルムを用いた。
尚、コート剤塗布量は、前記実施例より最適塗布量と判断された塗布量とした。
即ち、基礎層2を形成する表面処理剤をm2当り5cc、中間層3を形成する不活性酸化チタンコート剤をm2当り10cc、光触媒層4を形成する光触媒酸化チタンコート剤をm2当り10ccとした。
コート速度も、実施例1と同じ毎分10mの速度で疎水性フィルム基材1上にコートすることとした。
加熱温度は各工程同一とし、使用するフィルムの耐熱温度が150℃であることから、設定温度を自然乾燥、90℃、110℃、130℃、150℃の5種類とし、加熱時間はコート速度に連動して1分間とした。
尚、自然乾燥を対象例1とし、加熱処理を比較例とした。
前記方法により製造した光触媒機能性フィルムに対し、塗膜の定着性、触媒活性度、親水性、耐水性、屈曲性、ヘイズ値を確認した。
即ち、以下5種類(対象例1、比較例11、比較例12、比較例13、比較例14)について比較した。
(対象例1)
マイクログラビアコーターにより、一層目コートとして基礎層2の表面処理剤がm2当り5cc、二層目コートとして中間層3の不活性酸化チタンコート剤がm2当り10cc、三層目コートとして光触媒層4の光触媒酸化チタンコート剤がm2当り10ccとなるようコートし、それぞれの工程で自然乾燥させコートフィルムの試料を得た。
(比較例11)
マイクログラビアコーターにより、一層目コートとして基礎層2の表面処理剤をm2当り5cc、二層目コートとして中間層3の不活性酸化チタンコート剤をm2当り10cc、三層目コートとして光触媒層4の光触媒酸化チタンコート剤をm2当り10ccの割合でコートし、それぞれの工程で90℃の加熱温度で1分間の加熱処理を行いコートフィルムの試料を得た。
(比較例12)
マイクログラビアコーターにより、比較例11と同じ塗布量とコート方法にてコートし、それぞれの工程で110℃の加熱温度で1分間の加熱処理を行いコートフィルムの試料を得た。
(比較例13)
マイクログラビアコーターにより、比較例11と同じ塗布量とコート方法にてコートし、それぞれの工程で130℃の加熱温度で1分間の加熱処理を行いコートフィルムの試料を得た。
(比較例14)
マイクログラビアコーターにより、比較例11と同じ塗布量とコート方法にてコートし、それぞれの工程で150℃の加熱温度で1分間の加熱処理を行いコートフィルムの試料を 得た。
上記5種類のコート方法により製造した光触媒機能性フィルムの試験結果を表1に示す。
ここで、定着性は、コート後塗膜を指触した際の傷の有無で評価しており、温度低下後すぐに塗膜を指触した際に傷が付かなかったものを○、24時間以内で傷が付かなくなったものを△、24時間経過後でも傷が付くものを×で表している。
また、触媒活性度は、紫外線照射装置を用いて予めコーティング面に紫外線を照射(1mW/cm2)しておき、その上に蒸留水で10mg/l(無水重量基準)に希釈した試験液メチレンブルーを塗布し、乾燥後に紫外線を再び照射(1mW/cm2)し、その際の褪色反応で評価しており、光触媒製品技術協議会の基準に従い、1時間後に目視でメチレンブルーの着色が認められないものを○、1時間以上経過しても着色が認められるものを×で表している。
また、親水性は、暗所に放置し24時間経過した後に、コート面上に水を流して、水が親水し且つ保水性も有しているものを○、そうでないものを×で表している。
さらに、親水性の度合いを示す水の接触角測定も、接触角測定器を用い、予め1mWの紫外線を1時間照射の後、温度25℃湿度50%下で同時に測定した。
また、耐水性は、24時間経過後のフイルムを1週間水に浸漬させることで評価しており、顕微鏡2500倍で塗膜を観察し、塗膜に変化が見られないものに○、少しでも膜落剥が生じているものを×で表している。
また、屈曲性は、2mmステンレス棒に5cm幅のフィルムを、コート面を外側にして2R曲げ試験を行い、膜の屈曲部を顕微鏡2500倍で観察し、塗膜に変化が見られないものを○、クラックや膜剥離等が見られるものを×で表している。
また、ヘイズ値の測定は、濁度計にてJIS基準(JISK7361)に準拠して実施した。
上記5種類の光触媒機能性フィルムについて比較したところ、定着性については、対象例1では指で軽く触れても塗膜に傷が付き、24時間経過しても指触で傷が付くことが認められた。
比較例11においても、対象例1より勝るものの、24時間経過後も指触で塗膜に傷が付くことが認められた。
比較例12においては、やや塗膜に傷が付きまだ十分な定着に達していないことが認められたが、24時間後には傷が付かなくなっていた。
比較例13と比較例14の定着性は、塗膜に全く傷が付かず、さらに24時間後は乾いたウエスによる強い摩擦にも傷は見られず、スクィジーによるメンテ等実用化に耐え得る優れた塗膜強度を有していることが認められた。
また、触媒活性度については、対象例1では1時間以内でメチレンブルーの着色が見られず、光触媒の活性化が良好に行われていることが認められ、また、比較例11〜比較例14でも1時間以内でメチレンブルーの着色が見られず、対象例1と同じく良好な光触媒活性化が認められた。
また、親水性については、対象例1と比較例11〜比較例14のいずれも親水性が確保されていることが認められた。ちなみに、対象例1と比較例11〜比較例14の水の接触角は3°以下であった。
また、耐水性については、対象例1は膜落剥が見られた。これは、塗膜の定着が不十分であったことに起因するものと考えられる。
比較例11〜比較例14においては、何ら問題は認めらなかった。
また、屈曲性は、いずれの例もクラックや膜剥離の異常は見られなかった。また、ヘイズ値は対象例1と比較例13〜比較例16のいずれも0.4%であった。さらに、コートフィルムと基材フィルムの光の透過率の差を照度計により測定したが、コート膜における光の遮蔽はほとんど見られず99.5%以上の透過率を確保していると認められた。
また、塗膜の干渉色については、対象例1については、バーコーターよりも、より精度の高い薄膜化と均一な塗膜形成を可能とするマイクログラビアコーターによるコートのため、目視で識別出来ず実用上問題のないものであった。
比較例11〜14については、目視でわずかに干渉色が認めらた。
この干渉色は、中間層3形成段階までは全く認められなかったものが、光触媒層4形成段階で認められるようになり、加熱温度が高い程干渉色が増す傾向が認められた。
これは、中間層3を形成する不活性酸化チタンコート剤の乾燥性が高いことから、塗膜が加熱で乾燥し過ぎたことで撥水傾向を見せはじめ、光触媒層4を形成する光触媒酸化チタンコート剤のレべリング性がコート速度に追いつかなかったことによるコートムラと判断された。
以上のことから、コート方法はマイクログラビアコーターによるコートがより最適と認められた。
また、上記5種類のコート方法を比較すると、定着促進のための加熱処理は比較例12でも実用上問題ないと思われるが、比較例13と比較例14が塗膜の定着により優れていると認められた。
但し、コート速度を毎分10mとする場合は、定着性とフイルムの熱変性の可能性のバランス上、比較例13の130℃の加熱状態を1分間継続することがより最適と判断される。
また、塗膜の干渉色を解消するためには、加熱処理は同一温度での加熱処理ではなく、それぞれのコート剤の乾燥性に合わせて、各工程で加熱温度は変える必要があると判断された。
[実施例6]
PETフィルム上へのコートに際し、中間層3形成時の加熱温度を下げることで、光触媒層4を形成する光触媒酸化チタンコート剤の成膜性が確保され、かつ塗膜が定着するかの可能性を探った。
コート方法は、実施例5と同じマイクログラビアコーターによるコートを選択し、基材フイルムも実施例5と同じとした。
尚、コート剤塗布量は、実施例4同じ表面処理剤をm2当り5cc、不活性酸化チタンコート剤をm2当り10cc、光触媒酸化チタンコート剤をm2当り10ccとした。
コート速度も、実施例5と同じ毎分10mの速度でフィルム上にコートすることとした。
加熱温度は、基礎層2と光触媒層4の加熱温度を130℃と設定し、中間層3の加熱温度を75℃、60℃、45℃、30℃、15℃の5種類とし、加熱時間は コート速度に連動して1分間とした。
前記方法により製造した光触媒機能性フィルムに対し、光触媒層4形成における成膜性、塗膜の定着性、耐水性を確認した。
尚、成膜性の評価方法は、光触媒酸化チタンコート剤が中間層3上で収縮現象を見せずレべリングし塗膜形成するか否かを目視により○×で判断し、他の評価方法は実施例5と同じとした。
即ち、以下5種類(比較例15、比較例16、比較例17、比較例18、比較例19)について比較した。
(比較例15)
マイクログラビアコーターにより、一層目コートとして基礎層2の表面処理剤をm2当り5cc、二層目コートとして中間層3の不活性酸化チタンコート剤をm2当り10cc、三層目コートとして光触媒層4の光触媒酸化チタンコート剤をm2当り10ccの割合でコートし、基礎層2形成工程で130℃の加熱温度で1分間の加熱処理、中間層3形成工程で75℃の加熱温度で1分間の加熱処理、光触媒層4形成工程で130℃の加熱温度で1分間の加熱処理を行い、コートフィルムの試料を得た。
(比較例16)
マイクログラビアコーターにより、塗布量及び基礎層2と光触媒層4の形成工程の加熱処理を比較例15と同じとして、中間層3形成工程の加熱処理を60℃の加熱温度で1分間としてコートフィルムの試料を得た。
(比較例17)
マイクログラビアコーターにより、塗布量及び基礎層2と光触媒層4の形成工程の加熱処理を比較例15と同じとして、中間層3形成工程の加熱処理を45℃の加熱温度で1分間のとしてコートフィルムの試料を得た。
(比較例18)
マイクログラビアコーターにより、塗布量及び基礎層2と光触媒層4の形成工程の加熱処理を比較例15と同じとして、中間層3形成工程の加熱処理を30℃の加熱温度で1分間としてコートフィルムの試料を得た。
(比較例19)
マイクログラビアコーターにより、塗布量及び基礎層2と光触媒層4の形成工程の加熱処理を比較例15と同じとして、中間層3形成工程の加熱処理を15℃の加熱温度で1分間としてコートフィルムの試料を得た。
上記5種類のコート方法により製造したフィルムの試験結果を表2に示す。
上記5種類の比較例15〜比較例19のコートフィルムについて比較したところ、成膜性については、比較例15ではコート剤の収縮現象がやや見られレべリング(均一厚みに塗膜する状態)も不十分なため、塗膜にコートムラによる干渉色が認められた。
比較例16では、コート剤の収縮現象がほとんど見られなくなり、スムーズにレべリングし塗膜形成することから、塗膜の干渉色も実用上問題ないレベルまで下がった。
さらに、比較例17〜比較例19と加熱温度が低い程成膜性が高くなり、塗膜の干渉色もさらに認められなくなる傾向を示した。
また、加熱温度が低くなる程、レべリング速度が早まり塗膜形成すること判別できた。
定着性については、比較例15〜比較例17の定着性は、塗膜に全く傷が付かず、さらに24時間後は乾いたウエスによる強い摩擦にも傷は見られず、優れた塗膜強度を有していることが認められた。
これは、中間層3を形成する不活性酸化チタンコート剤が低温下でも十分定着することと、最終光触媒層4形成工程で130℃の加熱温度で1分間の加熱処理を行うことによるものと判断された。
比較例18は、やや塗膜に傷が付きまだ十分な定着に達していないことが認められたが、24時間後には傷が付かなくなっていた。
実施例19は、24時間経過後も指触で塗膜に傷が付くことが認められた。
また、耐水性については、比較例15〜比較例19のいずれも、何ら問題は認めらなかった。
以上のことから、上記5種類のコート方法を比較すると、比較例18でも問題はないと判断されるが、比較例16と17が光触媒層4形成過程でコート剤の成膜性を損なわずかつ塗膜の定着性も両立されていることから最適と認められた。
さらに、光触媒酸化チタンコート剤の成膜性と塗膜の定着性のバランス上、中間層3形成における加熱処理は、比較例17の45℃の加熱状態を1分間継続することがより最適と判断される。
[実施例7]
PETフィルム上へのコートに際し、基礎層2形成の加熱温度を130℃以下に下げることで、光触媒層4形成後の塗膜が定着するかの可能性を探った。
尚、コート方法は、実施例5と同じマイクログラビアコーターによるコートを選択し、基材フイルムも実施例5と同じとした。
尚、コート剤塗布量は、実施例4同じ表面処理剤をm2当り5cc、不活性酸化チタンコート剤をm2当り10cc、光触媒酸化チタンコート剤をm2当り10ccとした。
コート速度も、実施例5と同じ毎分10mの速度でフィルム上にコートすることとした。
加熱温度は、中間層3を45℃、光触媒層4を130℃と設定し、基礎層2の加熱温度を120℃、110℃、100℃、90℃の4種類とし、加熱時間はコート速度に連動して1分とした。
尚、90℃の加熱温度以下は、実施例5の結果から判断して、光触媒層4の形成過程で130℃の加熱状態を1分間継続する加熱処理を実行しても十分な塗膜の定着が得れないと判断して除外した。
前記方法により製造した光触媒機能性フィルムに対し、塗膜の定着性と耐水性を確認した。
尚、評価方法は、実施例5と同じとした。
即ち、以下4種類(比較例20、比較例21、比較例23、比較例24)について比較した。
(比較例20)
マイクログラビアコーターにより、一層目コートとして表面処理剤をm2当り5cc、二層目コートとして不活性酸化チタンコート剤をm2当り10cc、三層目コートとして光触媒酸化チタンコート剤をm2当り10ccの割合でコートし、基礎層2形成 工程で120℃の加熱状態で1分間の加熱処理、中間層3形成工程で45℃の加熱状態で1分間の加熱処理、光触媒層4形成工程で130℃の加熱状態で1分間の加熱処理を行い、コートフィルムの試料を得た。
(比較例21)
マイクログラビアコーターにより、塗布量及び中間層3と光触媒層4形成工程の 加熱処理を比較例15と同じとして、基礎層2形成工程の加熱処理を110℃の加熱状態で1分間継続してコートフィルムの試料を得た。
(比較例22)
マイクログラビアコーターにより、塗布量及び中間層3と光触媒層4形成工程の加熱処理を比較例15と同じとして、基礎層2形成工程の加熱処理を100℃の加熱状態で1分間継続してコートフィルムの試料を得た。
(比較例23)
マイクログラビアコーターにより、塗布量及び基礎層2と光触媒層4形成工程の加熱処理を比較例15と同じとして、基礎層2形成工程の加熱処理を90℃の加熱状態で1分間継続してコートフィルムの試料を得た。
上記4種類のコート方法により製造したフィルムの試験結果を表3に示す。
上記4種類のコートフィルムについて比較したところ、定着性については、比較例20〜22の定着性は、塗膜に全く傷が付かず、さらに24時間後は乾いたウエスによる強い摩擦にも傷は見られず、優れた塗膜強度を有していることが認められた。
比較例23は、やや塗膜に傷が付きまだ十分な定着に達していないことが認められたが、24時間後には傷が付かなくなっていた。
また、耐水性については、比較例20〜23のいずれも、何ら問題は認めらなかった。
以上のことから、上記4種類のコート方法を比較すると、基礎層2形成のための加熱処理は、比較例22の100℃の加熱状態で1分間以上であれば塗膜形成に何ら問題ないものと判断された。
それにより、コート速度と温度の相関関係から、より短時間で大量の光触媒機能性フイルム製造が可能と判断出来る。
従って、光触媒機能性フイルム形成において、コート速度を毎分10mとした場合、基礎層2形成においてコート剤塗布量がm2当り5ccで100℃の加熱状態で1分間の加熱処理、中間層3形成においてコート剤塗布量がm2当り10ccで45℃の加熱状態で1分間の加熱処理、光触媒層4形成においてコート剤塗布量がm2当り10ccで130℃の加熱状態で1分間の加熱処理が最も最適であると認められた。
[実施例8]
次に、疎水性フィルム基材1とコート処理後の光触媒機能性フィルムとの光の透過率の差を正確に確認した。
尚、試験フィルムはマイクログラビアコーターにより、一層目コートとして基礎層の表面処理剤がm2当り5cc、二層目コートとして中間層の3の不活性酸化チタンコート剤がm2当り10cc、三層目コートとして光触媒層4の光触媒酸化チタンコート剤がm2当り10ccとなるようコートし、コート速度を毎分10mとし、基礎層2形成工程で100℃の加熱状態で1分間、中間層3形成工程で45℃の加熱状態で1分間、光触媒層4形成工程で130℃の加熱状態で1分間の加熱処理を行ったものを使用した。
前記方法により製造した光触媒機能性フィルムに対し、正確さを期すため、基材フイルムとの光の透過率の差を、分光光度計を用いて測定した。
尚、分光光度計の測定波長域は、紫外線領域〜可視光域(700nm)とした。
上記コート方法により製造した光触媒機能性フィルムの測定結果を、図2の疎水性フイルム基材1の透過率特性図と、図3の光触媒機能性フイルムの透過率特性図に示す。
光透過率の差については、疎水性フイルム基材1とコート後の光触媒機能性フイルムとの光の透過率の差はほとんど認められず、コート膜はほぼ100%に近い光透過率を確保していることが認められた。
但し、紫外線領域では、酸化チタンがUVカット効果を発揮することから、当然差は見られた。
以上のことから、本発明によるマイクログラビアコーターにより三層コートで製造された光触媒機能性フィルムは、コート膜における光の遮蔽は皆無に近く、優れた透明性を有するものであることが認められた。
[実施例9]
次に、本実施形態に係る光触媒構造に基づいて製造した光触媒機能性フィルムの塗膜の耐久性を確認した。
この試験フィルムは実施例7と同じく、マイクログラビアコーターにより、一層目コートとして基礎層2の表面処理剤がm2当り5cc、二層目コートとして中間層3の不活性酸化チタンコート剤がm2当り10cc、三層目コートとして光触媒層4の光触媒酸化チタンコート剤がm2当り10ccとなるようコートし、コート速度を毎分10mとし、基礎層2形成工程で100℃の加熱状態で1分間、中間層3形成工程で45℃の加熱状態で1分間、光触媒層4形成工程で130℃の加熱状態で1分間の加熱処理を行ったものを使用した。
ここでは、塗膜の耐久性は、サンシャインウェザーメーター(紫外線強度44mW/cm2光の波長300〜700nm)により、促進耐候性試験を延べ900時間行うことで評価しており、全光透化率とヘイズ値の初期値と試験後の値及び水の接触角の変化を見た。
尚、試験時間を900時間としたのは、300時間が屋外暴露では約1年であることから、3年以上の塗膜耐久性を確認するためである。
尚、全光透過率とヘイズ値の測定は、濁度計にてJIS基準(JISK7361)に準拠して実施した。
塗膜の耐久性については、促進耐候性試験の結果、全光透過率は初期値86.7%に対し、85.2%とほとんど変化が見られなかった。
また、ヘイズ値は初期0.4に対し1.5%とわずかに低下を見せた。
また、水接触角は初期値と同じ3度以下であった。
以上のことから、本実施形態に係る光触媒構造に基づくグラビアコート方式のマイクログラビアコーターにより三層コートで製造された光触媒機能性フィルムは、透明性維持と親水性維持の点からも耐久性に優れ、3年以上の耐久性を有していることが認められた。
よって本発明の光触媒構造が適用された光触媒機能性フイルムは、PETフイルム等の疎水性フイルム材料上に、基礎層を介し、この基礎層上に無機の中間層を介して高活性の光触媒層が設けられたものであって、屋外の防汚作用に必要な高い有機物分解力と親水性を合わせ持つ優れたセルフクリーニング機能を有することが解る。
また、本発明の光触媒構造が形成された塗膜はマイクログラビアコーターにより、均一で薄膜化を実現していることから、高い透明性も保持し、さらに耐候性、屈曲性などにも優れ、フィルムに要求される品質を高いレベルで有していることが解る。
また、マイクログラビアコーターにより、三層コートの各工程で、コート後の加熱処理そして巻き取りと一連の連続製造工程を可能としたことで、光触媒機能性フィルムの製造コストの低コスト化と高品質化を両立させたことが解る。
それにより、施工の低コスト化にもつながり、またフィルムを披着体に貼ることで容易に光触媒機能を付与できることから、施工場所を選ばず光触媒施工の施工品質を高め作業の高効率化が図れ、環境浄化にも寄与することができるものである。
本発明の一実施形態に係る光触媒構造の断面構造説明図である。 本発明の一実施形態に係る光触媒構造における疎水性フィルム基材の光透過率特性図である。 本発明の一実施形態に係る光触媒構造における光触媒機能性フィルムの光透過特性図である。
符号の説明
1 疎水性フィルム基材
2 基礎層
3 中間層
4 光触媒層

Claims (11)

  1. 疎水性フイルム基材の表面に形成される親水性の基礎層と、当該基礎層の上に水溶性の光触媒不活性の酸化チタンが共有結合して形成される中間層と、当該中間層上に水溶性の光触媒活性を有する酸化チタンが共有結合して形成される光触媒層から構成されることを
    特徴とする光触媒構造。
  2. 前記請求項1に記載の光触媒構造において、
    前記疎水性フイルム基材、基礎層、中間層及び光触媒層が透明体で形成されることを
    特徴とする光触媒構造。
  3. 前記請求項1又は2に記載の光触媒構造において、
    前記疎水性フィルム基材が、帯電性を有する透明ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを
    特徴とする光触媒構造。
  4. 前記請求項1ないし3のいずれかに記載の光触媒構造において、
    前記疎水性フィルム基材をガラス面に貼着することを
    特徴とする光触媒構造。
  5. 前記請求項1ないし4のいずれかに記載の光触媒構造において、
    前記基礎層が、疎水性基材の表面自体を加工して親水性化されて形成されることを
    特徴とする光触媒構造。
  6. 前記請求項1ないし5のいずれかに記載の光触媒構造において、
    前記中間層がアモルファス型過酸化チタンのペルオキソチタン水溶液を主成分とすることを
    特徴とする光触媒構造。
  7. 前記請求項1ないし6のいずれかに記載の光触媒構造において、
    前記光触媒層がアモルファス型過酸化チタンのペルオキソチタン酸水溶液とアナターゼ型酸化チタン分散液のペルオキソ改質アナターゼゾルとの混合液を主成分とすることを
    特徴とする光触媒構造。
  8. 前記請求項1ないし7のいずれかに記載の光触媒構造において、
    前記中間層及び/又は光触媒層の少なくとも一層が、珪酸リチウムを添加して構成されることを
    特徴とする光触媒構造。
  9. 前記請求項1ないし8のいずれかに記載の光触媒構造において、
    前記基礎層、中間層、光触媒層のうち少なくとも一層が、グラビアコート方式のマイクログラビアコート装置で形成されることを
    特徴とする光触媒構造。
  10. 前記請求項1ないし9のいずれかに記載の光触媒構造において、
    前記基礎層が100℃〜150℃の温度で1分間の加熱処理、前記中間層が30℃〜60℃の温度で1分間の加熱処理、前記光触媒層が110℃〜150℃の温度で1分間の加熱処理を各々実施され、当該各加熱処理を塗膜形成処理と同時進行で行うことを
    特徴とする光触媒構造。
  11. 前記請求項1ないし10のいずれかに記載の光触媒構造において、
    前記基礎層の平均膜厚が60〜120nm、前記中間層の膜厚が60〜90nm、前記光触媒層の平均膜厚が40〜60nmであることを
    特徴とする光触媒構造。
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