JP6151618B2 - 熱電変換層形成用組成物、熱電変換層素子および熱電発電物品 - Google Patents

熱電変換層形成用組成物、熱電変換層素子および熱電発電物品 Download PDF

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Description

本発明は、熱電変換層形成用組成物ならびにそれを熱電変換層の形成に用いた熱電変換層素子および熱電発電物品に関する。
熱エネルギーと電気エネルギーを相互に変換することができる熱電変換材料は、熱電発電素子やペルチェ素子のような熱電変換素子に用いられている。
このような熱電変換材料や熱電変換素子を応用した熱電発電は、熱エネルギーを直接電力に変換することができ、可動部を必要とせず、体温で作動する腕時計や僻地用電源、宇宙用電源等に用いられている。
また、熱電変換材料の性能指数Zは下記式(A)で示され、性能向上には熱起電力Sおよび導電率σの向上が重要である。
<性能指数>
性能指数ZT=S・σ・T/κ (A)
S(V/K):熱起電力(ゼーベック係数)
σ(S/m):導電率
κ(W/mK):熱伝導率
T(K):絶対温度
このような熱電変換材料や熱電変換素子に用いる材料として、特許文献1には、「(A)カーボンナノチューブ、(B)導電性高分子、及び(C)オニウム塩化合物を含有する導電性組成物。」が記載されている。
また、特許文献2には、「(A)カーボンナノチューブ、(B)導電性高分子、(C)オニウム塩化合物、及び(D)重合性化合物を含有する導電性組成物。」が記載されている。
また、特許文献3には、「(A)カーボンナノチューブ、(B)導電性高分子、及び(C)活性エネルギー線照射又は熱の付与によりラジカルを発生する化合物を含有する導電性組成物。」が記載されている。
また、特許文献4には、「導電性高分子、カーボンナノチューブ、及びオニウム塩化合物を含有し、導電率異方性が1.5〜10である熱電変換材料。」が記載されている。
国際公開第2012/133314号 特開2013−095820号公報 特開2013−095821号公報 特開2013−098299号公報
しかしながら、本発明者が、特許文献1〜4に記載された熱電変換材料等の改良を検討したところ、熱起電力S(以下、「熱電特性」ともいう。)の更なる改善に余地があることを明らかとした。
そこで、本発明は、熱電特性に優れた熱電変換層形成用組成物ならびにそれを熱電変換層の形成に用いた熱電変換層素子および熱電発電物品を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、平均粒径が1.0μm以下の無機粒子を含有し、無機粒子のバンドギャップの値に応じて、移動度が0.001cm2/Vs以上、および、キャリア密度が1×E10〜1×E21cm-3の少なくとも一方を満たすキャリア輸送用材料、または、バンドギャップが1.5eV以下を満たす熱励起源用材料を含有することにより、熱電特性に優れた熱電変換層素子および熱電発電物品を作製できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) 平均粒径が1.0μm以下の無機粒子を含有する熱電変換層形成用組成物であって、無機粒子のバンドギャップが1.5eV以下の場合、移動度が0.001cm2/Vs以上、および、キャリア密度が1E10〜1E21cm-3の少なくとも一方を満たすキャリア輸送用材料を含有し、無機粒子のバンドギャップが1.5eV超の場合、バンドギャップが1.5eV以下を満たす有機材料である熱励起源用材料を含有する、熱電変換層形成用組成物。
(2) 無機粒子のバンドギャップが1.5eV以下であり、キャリア輸送用材料が、導電性ナノ材料および導電性高分子材料の少なくとも一方を含む(1)に記載の熱電変換層形成用組成物。
(3) キャリア輸送用材料が、導電性ナノ材料および導電性高分子材料をいずれも含む(2)に記載の熱電変換層形成用組成物。
(4) 導電性ナノ材料が、ナノ炭素材料またはナノ金属材料である、(2)または(3)に記載の熱電変換層形成用組成物。
(5) 導電性ナノ材料が、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラファイト、グラフェン、カーボンナノ粒子および金属ナノワイヤーからなる群より選択される少なくとも1つである、(2)〜(4)のいずれかに記載の熱電変換層形成用組成物。
(6) 導電性ナノ材料が、カーボンナノチューブである、(2)〜(5)のいずれかに記載の熱電変換層形成用組成物。
(7) キャリア輸送用材料が、有機材料である(2)〜(6)のいずれかに記載の熱電変換層形成用組成物。
(8) 無機粒子のバンドギャップが1.5eV超であり、熱励起源用材料が、ナノ炭素材料、赤外吸収色素、導電性高分子からなる群から選択される少なくとも1つを含む(1)に記載の熱電変換層形成用組成物。
(9) 導電性高分子が、ポリチオフェンまたはポリアセチレンである(8)に記載の熱電変換層形成用組成物。
(10) 無機粒子の、粒径1.0μm以下の粒子数と粒径1.0μm超の粒子数との比(粒径1.0μm以下の粒子数/粒径1.0μm超の粒子数)が5以上となる、(1)〜(9)のいずれかに記載の熱電変換層形成用組成物。
(11) さらに、ドーパントを含有する、(1)〜(10)のいずれかに記載の熱電変換層形成用組成物。
(12) さらに、非共役高分子を含有する、(1)〜(11)のいずれかに記載の熱電変換層形成用組成物。
(13) 基材と、一対の電極と、熱電変換層とを有する熱電変換素子であって、熱電変換層が、(1)〜(12)のいずれかに記載の熱電変換層形成用組成物により形成された熱電変換素子。
(14) (13)に記載の熱電変換素子を用いた熱電発電物品。
以下に示すように、本発明によれば、熱電特性に優れた熱電変換層形成用組成物ならびにそれを熱電変換層の形成に用いた熱電変換層素子および熱電発電物品を提供することができる。
本発明の熱電変換素子の一例を模式的に示す断面図である。図1中の矢印は素子の使用時に付与される温度差の方向を示す。 本発明の熱電変換素子の一例を模式的に示す断面図である。図2中の矢印は素子の使用時に付与される温度差の方向を示す。 本発明の熱電変換素子の一例(モジュール)を模式的に示す断面図である。
〔熱電変換層形成用組成物〕
以下に、本発明の熱電変換層形成用組成物(以下、「本発明の組成物」ともいう。)について詳述する。
まず、本発明の従来技術と比較した特徴点について詳述する。
本発明の第1の態様の熱電変換層形成用の組成物は、平均粒径が1.0μm以下の無機粒子を有し、この無機粒子のバンドギャップが1.5eV以下であり、かつ、移動度が0.001cm2/Vs以上、および、キャリア密度が1E10〜1E21cm-3の少なくとも一方を満たすキャリア輸送用材料を含有することを特徴とする。
本発明者は、第1の態様において、本発明の効果が得られる理由を以下のように推測する。なお、この推測によって本発明の範囲が限定的に解釈されるものではない。
すなわち、平均粒径が1.0μm以下の無機粒子を配合することにより、熱電変換層において、無機粒子からも熱励起キャリアが形成され、その結果、熱電変換効率が向上し、熱電特性が改善されたと考えられる。
このとき、無機粒子のバンドギャップが1.5eV以下であるため、無機粒子は、主に、熱励起源としてより好適に機能すると考えられる。そのため、発生したキャリアを輸送するための材料として、移動度が0.001cm2/Vs以上、および、キャリア密度が1E10〜1E21cm-3の少なくとも一方を満たす材料と組み合わせることにより、発生したキャリアをより好適に輸送することができ、熱電特性が改善されたと考えられる。
次に、本発明の第2の態様の熱電変換層形成用の組成物は、平均粒径が1.0μm以下の無機粒子を有し、この無機粒子のバンドギャップが1.5eV超であり、かつ、バンドギャップが1.5eV以下を満たす熱励起源用材料を含有することを特徴とする。
本発明者は、第2の態様において、本発明の効果が得られる理由を以下のように推測する。なお、この推測によって本発明の範囲が限定的に解釈されるものではない。
すなわち、無機粒子は、高い導電性を有するため、無機粒子のバンドギャップが1.5eV超の場合には、バンドギャップが1.5eV以下を満たす材料と組み合わせることにより、無機粒子は、主に、キャリアを輸送するものとして機能すると考えられる。そのため、キャリアを励起する材料として好適な、バンドギャップが1.5eV以下を満たす材料と組み合わせることにより、キャリアをより好適に励起し、輸送することができ、熱電特性が改善されたと考えられる。
また、本発明の効果は、平均粒径が1.1μmの無機粒子を配合した後述する比較例1においては発現しない効果であるため、極めて意外な効果であることが分かる。この結果から、無機粒子の平均粒径が1.0μm以下であることにより、熱電性能に寄与する特性の1つである熱伝導率、すなわち、上述した式(A)におけるκ(W/mK)が大きく低下したと考えられる。
次に、本発明の第1の態様および第2の態様の組成物(以下、まとめて『本発明の組成物』ともいう)の各種成分について詳述し、その後、本発明の組成物を用いて形成した熱電変換層を有する熱電変換素子および熱電発電物品について詳述する。
<無機粒子>
本発明の組成物が含有する無機粒子は、平均粒径が1.0μm以下の無機粒子である。
ここで、平均粒径は、動的光散乱法によって求めた平均粒径をいう。
本発明においては、上述した通り、平均粒径が1.0μm以下の無機粒子を用いることにより、熱電特性が良好となる。なお、後述する実施例で示すように、平均粒径や後述する粒子数の測定には、動的光散乱式 粒子径・粒度分布測定装置(Nanotrac UPA−EX150、日機装社製)を用いた。
また、熱電特性がより良好となる理由から、無機粒子の平均粒径は1nm〜0.9μmであるのが好ましく、5nm〜0.8μmであるのがより好ましく、10nm〜0.7μmであるのが特に好ましい。
本発明においては、無機粒子について、粒径1.0μm以下の粒子数と粒径1.0μm超の粒子数との比(粒径1.0μm以下の粒子数/粒径1.0μm超の粒子数)〔以下、「粒子数比」とも略す。〕が5以上となるのが好ましく、7〜100となるのがより好ましい。
上記粒子数比が5以上となることにより、熱電特性がより良好となる。これは、粒径の大きい粒子が相対的に少なくなり、熱伝導率が低下したためであると考えられる。
ここで、粒径1.0μm以下の粒子数および粒径1.0μm超の粒子数は、動的光散乱法によって求めた頻度分布から算出した値をいう。
このような無機粒子としては、平均粒子径が1.0μm以下の熱電変換材料であれば、その材質は特に限定されない。
ここで、第1の態様に用いられる、バンドギャップが1.5eV以下の無機粒子としては、例えば、Bi−Te系材料、Bi−Se系材料、Sb−Te系材料、Pb−Te系材料、Ge−Te系材料、Bi−Sb系材料、Zn−Sb系材料、Sn−Te系材料、Co−Sb系材料、Ag−Sb−Te系材料、Si−Ge系材料、Fe−Si系材料、Mg−Si系材料、Mn−Si系材料、Na−Co−O系材料、Ti−Sr−O系材料、Bi−Sr−Co−O系材料、Si、Ge、In−P系材料、In−N系材料、Ga−As系材料等から適宜選択して用いることができる。
また、第2の態様に用いられる、バンドギャップが1.5eV超の無機材料としては、例えば、Ga−P系材料、Al−Sb系材料、Al−N系材料、Ga−N系材料、Si−C系材料、Zn−O系材料、In−Ga−Zn−O系材料、Ti−O系材料等から適宜選択して用いることができる。
ここで、本発明において、バンドギャップは、紫外可視分光光度計を用いて測定した吸収端より、以下の計算式(1)で算出したものである。
E(Bg)=hc/eλ (eV) ・・・・式(1)
ここで、h=6.6E−34(Js):プランク定数、e=1.6E−19(C):電子の電荷、c=3.0E8(m/s):光速、λ(nm):光の波長である。
本発明においては、上記無機粒子の含有量は、組成物の全固形分中、1〜90wt%であることが好ましく、10〜80wt%であることがより好ましい。
<キャリア輸送用材料>
本発明の第1の態様の組成物が含有するキャリア輸送用材料は、移動度が0.001cm2/Vs以上、および、キャリア密度が1E10〜1E21cm-3の少なくとも一方を満たす材料である。
キャリア輸送用材料としては、上記条件を満たすものであれば特に限定はないが、例えば、導電性ナノ材料、導電性高分子材料、低分子型の有機半導体等が挙げられ、これらを併用してもよい。
ここで、キャリア輸送用材料としては、有機材料を用いることが好ましい。これにより、熱電特性をより向上することができる。
無機粒子は高い導電性を有するものの、無機粒子単独では、無機粒子間の接触面積が少なく高い導電性を発現することが困難である。これに対して、キャリア輸送用材料を有機材料として、高い導電性を有する無機粒子間を有機材料で充填することで、高い導電性を発現することができる共に、バンドギャップの低い無機材料を用いることで、高い起電力も両立できると推定される。
また、キャリア輸送用材料として、導電性ナノ材料と導電性高分子材料とを併用することが好ましい。
導電性ナノ材料と導電性高分子を含有することにより、導電性ナノ材料(特に、CNT)が組成物中で凝集せず均一に分散され、組成物の塗布性が向上する。また、高い導電性の組成物が得られる。これは、導電性高分子が長く伸びた共役系構造を有するため、導電性高分子と導電性ナノ材料と間の電荷移動がスムーズとなり、その結果、導電性ナノ材料の高い導電性や半導体特性を効果的に利用できるためと考えられる。
(導電性ナノ材料)
上記キャリア輸送用材料として用いられる導電性ナノ材料は上記条件を満たすものであれば、特に限定されず、従来公知のナノ炭素材料(炭素含有導電性ナノ材料)や、ナノ金属材料(金属含有導電性ナノ材料)を用いることができる。なお、本発明においては、導電性ナノ材料は、後述する導電性高分子は含まない材料である。
ここで、導電性ナノ材料の導電性は、比抵抗が8×10-3Ω・cm以下であることが好ましい。
また、導電性ナノ材料のサイズは、ナノサイズ(1μm未満)であれば特に限定されないが、例えば、後述するカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、金属ナノワイヤーなどについては、平均短径がナノサイズ(例えば、平均短径が500nm以下)であればよい。
上記導電性ナノ材料としては、具体的には、例えば、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」ともいう。)、カーボンナノファイバー、グラファイト、グラフェン、カーボンナノ粒子、金属ナノワイヤー等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、熱電特性がより良好となる理由から、CNTであるのが好ましい。
また、CNTとしては、例えば、国際公開第2012/133314号(特許文献1)の[0017]〜[0021]段落や、特開2013−095820号公報(特許文献2)の[0018]〜[0022]段落に記載されたものを適宜採用することができる。
本発明の組成物における導電性ナノ材料の含有量は、組成物の全固形分中、2〜60質量%であることが好ましく、5〜55質量%であることがより好ましく、10〜50質量%であることが特に好ましい。
(導電性高分子)
上記キャリア輸送用材料として用いられる導電性高分子は上記条件を満たすものであれば、特に限定はされず、従来公知の導電性高分子を用いることができる。
導電性高分子は、共役系の分子構造を有する高分子化合物をいい、具体的には、高分子の主鎖上の炭素−炭素結合において、一重結合と二重結合とが交互に連なる構造を有している高分子をいう。また、本発明で用いる導電性高分子は、必ずしも高分子量化合物である必要はなく、オリゴマー化合物であってもよい。
上記導電性高分子としては、例えば、チオフェン系化合物、ピロール系化合物、アニリン系化合物、アセチレン系化合物、p−フェニレン系化合物、p−フェニレンビニレン系化合物、p−フェニレンエチニレン系化合物、p−フルオレニレンビニレン系化合物、ポリアセン系化合物、ポリフェナントレン系化合物、金属フタロシアニン系化合物、p−キシリレン系化合物、ビニレンスルフィド系化合物、m−フェニレン系化合物、ナフタレンビニレン系化合物、p−フェニレンオキシド系化合物、フェニレンスルフィド系化合物、フラン系化合物、セレノフェン系化合物、アゾ系化合物、金属錯体系化合物、及びこれらの化合物に置換基を導入した誘導体などをモノマーとし、当該モノマーから導かれる繰り返し単位を有する共役系高分子が挙げられる。
このような導電性高分子としては、例えば、国際公開第2012/133314号(特許文献1)の[0022]〜[0052]段落や特開2013−095820号公報(特許文献2)の[0023]〜[0053]段落に記載されたものを適宜採用することができる。
(低分子型有機半導体)
上記キャリア輸送用材料として用いられる低分子型の有機半導体は上記条件を満たすものであれば、特に限定はされず、従来公知の低分子型の有機半導体を用いることができる。
上記キャリア輸送用材料として用いられる低分子型の有機半導体としては、例えば、テトラセンやペンタセン、TIPSペンタセンなどのアセン類、フタロシアニン類、ペリレン誘導体、ルブレン、ベンゾチエノベンゾチオフェンやジナフトチエノチオフェンなどのチエノアセン類が使用できる。
<熱励起源用材料>
本発明の第2の態様の組成物が含有する熱励起源用材料は、バンドギャップが1.5eV以下を満たす有機材料である。
熱励起源用材料としては、上記条件を満たすものであれば特に限定はないが、例えば、ナノ炭素材料、赤外吸収色素、導電性高分子等が挙げられ、これらを併用してもよい。
本発明の第2の態様の組成物における熱励起源用材料の含有量は、組成物の全固形分中、1〜90質量部であることが好ましく、10〜80質量部であることがより好ましい。
(ナノ炭素材料)
上記熱励起源用材料として用いられるナノ炭素材料は上記条件を満たすものであれば、特に限定はされず、従来公知のナノ炭素材料を用いることができる。具体的には、第1の態様の組成物のキャリア輸送用材料の例として記載した、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等の上記ナノ炭素材料を用いることができる。
(赤外吸収色素)
上記熱励起源用材料として用いられる赤外吸収色素は上記条件を満たすものであれば、特に限定はされず、従来公知の赤外吸収色素を用いることができる。
赤外吸収色素としては、金属錯体、電荷移動錯体、アリールアミン化合物等が挙げられる。
(金属錯体)
金属錯体の中心金属は、Ni、Fe、Cu、Snからなる群より選択される金属原子又はその金属イオンが好ましい。
中心金属に配位する原子は、ヘテロ原子が好ましく、硫黄原子、酸素原子又は窒素原子がより好ましい。また、中心金属に配位する原子のうち、少なくとも1つが硫黄原子又は酸素原子であることが好ましい。
本発明で用いる金属錯体として、好ましくは下記一般式(3)で表される金属錯体である。
一般式(3)中、Mは、Ni、Fe、Cu、及びSnからなる群より選択される金属原子又はその金属イオンを表す。Mが金属イオンの場合、任意の対イオンを有していてもよい。X11、X12、X13、及びX14はそれぞれ独立にヘテロ原子を表し、X11〜X14の少なくとも1つは硫黄原子又は酸素原子である。R11、R12、R13、及びR14はそれぞれ独立に、置換基を表す。R11とR12、R13とR14は互いに結合してもよい。
11〜X14のヘテロ原子は、硫黄原子、酸素原子、又は窒素原子が好ましい。
11〜R14の置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素環基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族へテロ環基(5又は6員環の芳香族へテロ環基が好ましく、また環構成ヘテロ原子は、硫黄原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、ホウ素、セレン原子が好ましく、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基、ボロール基、アザボリン基等)、ヘテロ環基(芳香族でないヘテロ環基で、飽和環であっても不飽和環であってもよく、5又は6員環が好ましく、また環構成ヘテロ原子は、硫黄原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、セレン原子が好ましく、例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、
アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられる。
なかでも、好ましくは、芳香族炭化水素環基、芳香族へテロ環基、へテロ環基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基である。
一般式(3)で表される金属錯体は、下記一般式(3A)〜(3D)のいずれかで表される金属錯体が好ましい。
一般式(3A)〜(3D)中、Mは一般式(3)におけるMと同義であり、好ましい範囲も同じである。Mが金属イオンの場合、任意の対イオンを有していてもよい。Xa11〜Xa14はそれぞれ独立に−S−または−O−を表す。Ra11〜Ra14、Rb11、Rb12はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Rc11〜Rc14はそれぞれ独立に置換基を表す。ここで、Ra11〜Ra14、Rb11、Rb12、Rc11〜Rc14において、隣接する2つの基が互いに結合して環を形成してもよい。nxは0以上の整数を表す。
Ra11〜Ra14、Rb11、Rb12、Rc11〜Rc14の置換基としては、前述したR11〜R14の置換基が挙げられる。Rb11、Rb12は水素原子、アルキル基またはアリール基が好ましい。
金属錯体の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明で用いる金属錯体は、市販品を用いることもでき、また、化学合成してもよい。
(電荷移動錯体)
本発明において、電荷移動錯体とは、電子供与性分子(電子供与体)と電子受容性分子(電子受容体)からなる分子間化合物であって、電荷移動相互作用を有するものをいう。
分子軌道論による電荷移動理論は、R.S.Mullikenにより定義されており、電子供与体D(electron donor)と電子受容体A(electronacceptor)より成る錯体D・・Aの電荷移動量をδで示すと、下式が成り立ち、電子供与体又は電子受容体単独では現れない新しい吸収帯(電荷移動吸収帯)が長波長側に出現する。また、電子受容体の電子親和力が大きくなるにつれ、吸収極大の波長は長波長側にシフトする。
本発明に用いる電荷移動錯体は、有機電子供与体と有機電子受容体とからなる有機電荷移動錯体である。当該有機電子供与体及び有機電子受容体はいずれも、錯体を形成する前においてはイオン化もしくは部分イオン化されておらず中性の化合物であり、これらが混合されて分子接近して初めて、電荷移動が生じて錯体が形成される。
また、本発明における電荷移動錯体は、活性エネルギー線(例えば、光、熱)を照射しても分子内共有結合(電子供与体D内のいずれかの共有結合、又は電子受容体A内のいずれかの共有結合)が切断されない、すなわち分解されないものが好ましい。ここで、分子内共有結合が切断されないとは、0.5J/cm2以上且つ3.0J/cm2以下の活性エネルギー線を照射した場合に、吸収スペクトルの吸収極大値(電荷移動吸収帯の吸収極大)が変化しない、又は変化したとしても他の外部刺激により可逆的に元に戻る(例えば、cis−transの立体異性化、相転移、対塩交換などの共有結合の切断を伴わない変化)ことをいう。
電荷移動錯体に対し、後述するドーパントの1つであるオニウム塩化合物は、塩を形成する前の状態では電子供与体及び電子受容体のいずれもイオン化され、帯電している点で相違する。また、当該オニウム塩は、活性エネルギー線照射により、分子内の共有結合が非可逆的に切断され、化学的な分解を伴う。例えば、スルホニウム塩は、光照射によりスルホニウムカチオンを構成する硫黄原子と炭素原子との間の共有結合が切断され、ラジカルが発生する。分子内の共有結合が非可逆的に切断されるとは、0.5J/cm2以上且つ3.0J/cm2以下の活性エネルギー線を照射した場合に、吸収スペクトルの吸収極大値が非可逆的に変化して、元に戻らないことをいう。
熱励起源用材料として電荷移動錯体を用いると、経時安定性に優れた熱電変換素子を得ることができる。
熱電変換素子は、上述のように、腕時計や僻地用電源、宇宙用電源等に用いられるため、高温高湿といった環境下での長期にわたる使用が想定される。そのため、熱電変換素子は、初期の熱電変換性能に優れることに加え、高温高湿下においても初期の熱電変換性能を長期にわたり維持できることが望ましい。電荷移動錯体を用いることで、高い熱電変換性能に加え、高温高湿化での経時安定性に優れた素子を得ることができる。
本発明で用いる電荷移動錯体、並びに錯体を構成する電子供与体及び電子受容体は、低分子化合物、高分子化合物のいずれであってもよく、好ましくは低分子化合物である。電荷移動錯体の重量平均分子量は、250〜10万が好ましく、450〜5万がより好ましい。また、電子供与体の重量平均分子量は、150〜10万が好ましく、250〜5万がより好ましい。電子受容体の重量平均分子量は、100〜1200が好ましく、120〜800がより好ましい。
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定できる。例えば、装置:「Alliance GPC2000(Waters社製)」、カラム:TSKgel GMH6−HT×2+TSKgel GMH6−HTL×2(いずれも7.5mmI.D.×30cm、東ソー社製)、カラム温度:140℃、検出器:示差屈折率計、移動相:溶媒(例えばo−ジクロロベンゼンなど)の構成・条件にて行い、分子量の構成は標準ポリスチレンを用いて平均分子量を求めることができる。
本発明の電荷移動錯体を構成する電子供与体は、電子供与性の有機化合物であり、金属原子を含まない。
有機電子供与体は、芳香族環構造を含む化合物であることが好ましい。当該芳香族環構造は、芳香族炭化水素環であっても芳香族ヘテロ環であってもよく、芳香族へテロ環が好ましい。
ここで、芳香族炭化水素環としては、芳香族性を有する単環の炭化水素環であればよいが、その基本となる環としてベンゼン環が挙げられる。
芳香族ヘテロ環としては、芳香族性を有する単環のヘテロ環であれば特に限定されないが、5員環の芳香族ヘテロ環又は6員環の芳香族ヘテロ環が好適に挙げられる。ヘテロ環を構成するヘテロ原子としては、硫黄原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、セレン原子等が挙げられ、硫黄原子、窒素原子が好ましく、硫黄原子がより好ましい。5員環の芳香族ヘテロ環としては、例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、セレノフェン環、シロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、トリアゾール環が挙げられる。6員環の芳香族ヘテロ環としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環が挙げられる。中でも、熱電変換性能の点で、5員環の芳香族ヘテロ環がより好ましく、チオフェン環、フラン環、ピロール環がさらに好ましく、チオフェン環が特に好ましい。
有機電子供与体は、縮合環構造を含むことが好ましい。当該縮合環を形成する環は、脂肪族環であっても芳香族環であってもよく、炭化水素環であってもヘテロ環であってもよい。なかでも、芳香族環構造を含む縮合環が好ましく、芳香族へテロ環構造を含む縮合環がより好ましく、芳香族へテロ環の縮合環又は芳香族炭化水素環と芳香族へテロ環との縮合環であることがさらに好ましい。縮合環を構成する芳香族炭化水素環、芳香族へテロ環としては、上述の芳香族環、芳香族へテロ環が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
上記の縮合環は、3つ以上の環が縮合した縮合多環構造であることがより好ましく、芳香族環を含む3つ以上の環が縮合した構造であることがより好ましく、芳香族炭化水素環又は芳香族へテロ環から選択される3つ以上の環が縮合した構造であることがさらに好ましい。
上記縮合環構造としてより好ましくは、カルバゾール構造又はフルオレン構造である。
上述した電子供与体に含まれる環構造は、置換基を有してもよい。置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含む)が挙げられ、アルキル基又はアルコキシ基が好ましい。
当該アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖アルキル基が好ましい。
アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。
当該アルコキシ基のアルキル部は、上記アルキル基と同義で、好ましい範囲も同様である。
当該アルキルチオ基のアルキル部は、上記アルキル基と同義で、好ましい範囲も同様である。
当該アミノ基は、モノ−又はジ−アルキルアミノ基が好ましい。当該アルキルアミノ基のアルキル部は、上記アルキル基と同義で、好ましい範囲も同様である。
本発明に用いられる有機電子供与体は、下記一般式(1A)又は(1B)で表される構造を有する化合物が好ましい。
一般式(1A)及び(1B)中、A環は芳香族環を表し、B環は芳香族環、非芳香族のヘテロ環または非芳香族の炭化水素環を表す。C環およびD環は非芳香族のヘテロ環または非芳香族の炭化水素環を表す。Ryは置換基を表し、nは0以上の整数を表す。
A〜D環は、さらに芳香族環、非芳香族のヘテロ環、非芳香族の炭化水素環で縮環していてもよい。
A環、B環における芳香族環は、先に述べた芳香族環(芳香族炭化水素環および芳香族ヘテロ環)と同義であり、好ましい範囲も同じである。
B〜D環における非芳香族のヘテロ環は、5〜7員環が好ましく、また環構成ヘテロ原子は、硫黄原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、セレン原子が好ましく、飽和環であっても不飽和環(ただし、芳香族環であることはない)であっても構わない。
B〜D環における非芳香族の炭化水素環は、5〜7員環が好ましく、飽和環であっても不飽和環(ただし、芳香族環であることはない)であっても構わない。
A〜D環はヘテロ環もしくはヘテロ環が縮環した環が好ましい。
Ryが複数存在する場合、複数のRyは同一でも異なってもよい。
Ryは、芳香族基(芳香族炭化水素環基、芳香族ヘテロ環基)、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含む)が好ましい。Ryの芳香族基は、さらにアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含む)で置換されていてもよい。
一般式(1B)で表される構造は、下記一般式(1B−1)または一般式(1B−2)で表される構造が、さらに好ましい。
一般式(1B−1)及び(1B−2)中、G1〜G4はそれぞれ独立に、−S−または−Se−を表し、G5およびG6はそれぞれ独立に−S−、−N(Rx)−または−CH=CH−を表す。ここでRxは水素原子または置換基を表す。置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基が挙げられる。Rxは好ましくは水素原子である。
一般式(1B−1)及び(1B−2)中、Ryおよびnは前記一般式(1A)または(1B)におけるRy、nと同義であり、好ましい範囲も同じである。
本発明に用いられる有機電子供与体の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記具体例において、*は繰り返し構造の連結部位を表す。

本発明の電荷移動錯体を構成する電子受容体は、電子受容性の有機化合物であり、金属原子を含まない。
有機電子受容体は、少なくとも1つの電子求引性基を有する化合物であることが好ましい。
本発明において電子求引性基とは、ハメットの置換基定数σp値が0より大きい置換基を意味する。
ここで、ハメットの置換基定数σp値について説明する。ハメット則はベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために、1935年にL.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編,「Lange’s and book of Chemistry」,第12版,1979年(McGraw−Hill)や「化学の領域」増刊,122号,96〜103頁,1979年(南光堂)に詳しい。なお、本発明において置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むものである。また、本発明における有機電子受容体の中には、ベンゼン誘導体ではないものも含まれるが、置換基の電子効果を示す尺度として置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明においてはσp値をこのような意味で使用する。
ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子求引性基としては、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル基)を例として挙げることができる。
ハメットσp値が0.45以上の電子求引性基としては、上記に加え、アシル基(例えばアセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えばドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えばm−クロロフェノキシカルボニル基)、アルキルスルフィニル基(例えばn−プロピルスルフィニル基)、アリールスルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル基)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基)、ハロゲン化アルキル基(例えばトリフルオロメチル基)、エステル基、カルボニル基、アミド基を挙げることができる。ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子求引性基としては、上記に加え、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基)、ハロゲン化アルコキシ基(例えばトリフロロメチルオキシ基)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えばペンタフロロフェニルオキシ基)、スルホニルオキシ基(例えばメチルスルホニルオキシ基)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えばジフロロメチルチオ基)、2つ以上のσp値が0.15以上の電子求引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル基、ペンタクロロフェニル基)、および複素環基(例えば、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−フェニル−2−ベンズイミダゾリル基)を挙げることができる。
σp値が0.20以上の電子求引性基の具体例としては、上記に加え、ハロゲン原子などが挙げられる。
本発明における電子求引性基は、ハメット置換基定数σp値が0.20以上の電子求引性基がこのましい。中でも、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ハロゲン原子、アミド基が好ましく、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、アミド基がより好ましい。
有機電子受容体は下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。なお、電子受容体が高分子化合物の場合は、下記一般式(2)で表される化合物に対応する構成成分を繰り返し構造として含む高分子が好ましい。
一般式(2)中、Xはna価の有機基を表す。EWGは電子求引性基を表す。naは1以上の整数を表す。
一般式(2)において、EWGの電子求引性基とは、上述の電子求引性基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(2)において、Xは、炭素数2以上の共役脂肪族基、芳香族基又はこれらを組み合わせた基、に対応するna価の基が好ましい。
当該共役脂肪族基は、不飽和結合からなる共役構造を有する脂肪族基であり、直鎖、分枝、環状のいずれでもよい。また、ヘテロ原子を含んでいてもよい。当該脂肪族基として具体的には、エチレン、ブタジエン、ベンゾキノン、シクロヘキサジエン、キノジメタン、シクロヘキセン等に対応する脂肪族基が挙げられ、ベンゾキノン、シクロヘキサジエン、キノジメタンに対応する脂肪族基が好ましい。
当該芳香族基は、芳香族炭化水素環基、芳香族ヘテロ環基のいずれでもよい。
当該芳香族炭化水素環としては、芳香族性を有する単環の炭化水素環であればよいが、その基本となる環としてベンゼン環が挙げられる。
当該芳香族ヘテロ環としては、芳香族性を有する単環のヘテロ環であれば特に限定されないが、5員環の芳香族ヘテロ環又は6員環の芳香族ヘテロ環が好適に挙げられる。ヘテロ環を構成するヘテロ原子としては、硫黄原子、窒素原子、酸素原子等が挙げられ、硫黄原子、窒素原子が好ましい。5員環の芳香族ヘテロ環としては、例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環が挙げられる。6員環の芳香族ヘテロ環としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環が挙げられる。中でも、5員環の芳香族ヘテロ環がより好ましく、チオフェン環、ピロール環、チアゾール環、チアジアゾール環がさらに好ましい。
これらの脂肪族基又は芳香族基は、上述の電子求引性基EWG以外の置換基を有してもよいが、有しないことが好ましい。
naは1以上の整数を表し、4以上の整数であることが好ましい。
本発明に用いられる有機電子受容体は、下記一般式(2A)〜(2C)のいずれかで表される構造を有する化合物が好ましい。
一般式(2A)〜(2C)中、Rzは置換基を表す。複数のRzは同一でも異なってもよい。Yは酸素原子または2個の電子求引性基が置換した炭素原子を表す。nは0以上の整数を表す。ここで、隣接する2つのRzが互いに結合して環を形成してもよい。
Rzにおける置換基はポリマーに組み込むペンダントとしての基以外は電子求引性基が好ましい。なお、電子求引性基は前述の電子求引性基が挙げられ、好ましい範囲も同じである。
Rzは、一般式(2A)では、Rzはシアノ基が好ましく、一般式(2B)では、Rzはハロゲン原子、シアノ基が好ましく、ハロゲン原子がより好ましく、一般式(2C)においてはハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、パーフルオロアルキル基、シアノ基、ニトロ基が好ましい。
Yが2個の電子求引性基が置換した炭素原子における電子求引性基はシアノ基、アシル基が好ましい。
E環は、5または6員環が好ましく、6員環がより好ましい。また、飽和炭化水素環または不飽和炭化水素環が好ましく、これらの環に芳香族環、非芳香族のヘテロ環や非芳香族の炭化水素環が縮環していてもよい。芳香族環や非芳香族のヘテロ環または非芳香族の炭化水素環は、前記一般式(1A)、(1B)で挙げたものが好ましい。
E環は、キノイド構造の6員環(2,5−シクロペンタジエニル−1,4−ジイデン)が好ましい。
F環およびG環は5または6員環の環が好ましく、芳香族環であっても非芳香族のヘテロ環または非芳香族の炭化水素環でもかまわない。芳香族環や非芳香族のヘテロ環または非芳香族の炭化水素環は、前記一般式(1A)、(1B)で挙げたものが好ましい。また、さらに芳香族環、非芳香族のヘテロ環や非芳香族の炭化水素環が縮環していてもよい。
F環、G環は、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、チオフェン環、チアジアゾール環、イミダゾリジノン環、チアゾール環、2H−イミダゾール環、ピラゾロン環、ピロリジンジオン環、シクロペンタジエノン環から選択される環が好ましい。
本発明に用いられる有機電子受容体の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記具体例において、*は繰り返し構造の連結部位を表す。
本発明で用いる電荷移動錯体は、市販品を用いることもでき、また、後述する実施例のようにして適宜合成してもよい。
(アリールアミン化合物)
本発明で用いるアリールアミン化合物は、特定の光学バンドギャップを有するため、上述のようにナノ導電性材料とともに用いることで、熱電変換素子の性能を向上させることができる。
熱電変換材料中のアリールアミン化合物の含有率は、熱電変換性能の点から、ナノ導電性材料100質量部に対して、5〜500質量部が好ましく、20〜200質量部がより好ましい。
本発明の熱電変換材料には、アリールアミン化合物を1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明で用いるアリールアミン化合物として、好ましくは下記一般式(4A)で表されるアリールアミン化合物の1電子酸化体、又は下記一般式(4B)で表されるアリールアミン化合物の2電子酸化体である。
一般式(4A)中、Laはアリーレン基、ヘテロアリーレン基またはこれらを組み合わせた基を表す。Ar41は芳香族炭化水素環基または芳香族ヘテロ環基を表す。R41〜R43はそれぞれ独立に、芳香族炭化水素環基、芳香族ヘテロ環基、アルキル基、アリール基またはシクロアルキル基を表す。Yは任意の対アニオンを表す。n−のnは1以上の整数を表す。
ここで、nが2以上である場合、Ar41、R41〜R43のいずれかにカチオンの置換基もしくは部分構造(好ましくは別の窒素原子のラジカルカチオン)を有するが、上記1電子酸化された窒素原子とπ共役する位置に1電子酸化された窒素原子を有することはない。アルキレン基等で共役が分断されている必要がある。仮に、共役された位置に存在すると、キノイド構造を取ることになる。
2電子酸化体以上の酸化状態は不安定であり、nは好ましくは2である。
Laにおけるアリーレン基は、フェニレン基が好ましい。Laにおけるヘテロアリーレン基におけるヘテロ環は、5または6員環が好ましく、ベンゼン環、ヘテロ環が縮環していてもよく、例えば、チオフェン環、チアゾール環、ピリジン環などが挙げられ、具体的には、チオフェン−2,5−ジイル、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−2,6−ジイルが挙げられる。またこれらを組み合わせた基としては、ビフェニレン基が挙げられる。
一般式(4A)で表されるアリールアミン化合物の1電子酸化体は好ましくは下記一般式(4A−1)で表される1電子酸化体である。
一般式(4A−1)中、Ar41、R41〜R43、Y、n−は前記一般式(4A)におけるAr41、R41〜R43、Y、n−と同義であり、好ましい範囲も同じである。Raは置換基を表す。n4aは0〜4の整数を表す。
4aにおける置換基はアルキル基、ハロゲン原子が好ましい。
一方、2電子酸化体は、キノイド構造(キノンジイミン構造)となったものである。
一般式(4B)中、Lbは、芳香族炭化水素環のキノイド型の構造の基、芳香族ヘテロ環のキノイド型の構造の基またはこれらを組み合わせた基を表す。Ar41、R41〜R43、Y、n−は前記一般式(4A)におけるAr41、R41〜R43、Yと同義であり、好ましい範囲も同じである。n−のnは2以上の整数を表す。
ここで、nが3以上である場合、Ar41、R41〜R43のいずれかにカチオンの置換基もしくは部分構造を有する場合であるが、2電子酸化体以上の酸化状態は不安定であり、nは好ましくは2である。
Lbにおける芳香族炭化水素環のキノイド型の構造の基は、ベンゼン環のキノイド構造の基(2,5−シクロヘキサジエニル−1,4−ジイデン)が好ましい。Lbにおける芳香族ヘテロ環のキノイド構造の基における芳香族ヘテロ環は、5または6員環が好ましく、ベンゼン環、ヘテロ環が縮環していてもよく、例えば、チオフェン環、チアゾール環、ピリジン環などが挙げられ、具体的には、チオフェニル−2,5−ジイデン、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェニル−2,6−ジイデンが挙げられる。またこれらを組み合わせた基としては、ビフェニレン基のキノイド構造の基が挙げられる。
一般式(4B)で表されるアリールアミン化合物の2電子酸化体は好ましくは下記一般式(4B−1)で表される2電子酸化体である。
一般式(4B−1)中、Ar41、R41〜R43、Y、n−は前記一般式(4B)におけるAr41、R41〜R43、Y、n−と同義であり、好ましい範囲も同じである。R4bは置換基を表す。n4bは0〜4の整数を表す。
4bにおける置換基はアルキル基、ハロゲン原子が好ましい。
本発明で用いるアリールアミン化合物として、好ましくは下記一般式(5)で表されるアリールアミン化合物または該化合物の1電子もしくは2電子酸化体である。一般式(5)で表されるアリールアミン化合物の1電子もしくは2電子酸化体は、任意の対アニオンを有していてもよい。
一般式(5)中、Ar51〜Ar55はそれぞれ独立に芳香族炭化水素環、芳香族ヘテロ環、単結合、又はアルキレン基を表す。ただし、Ar51又はAr52の少なくとも一方、及びAr53又はAr54の少なくとも一方は芳香族炭化水素環である。R51〜R55はそれぞれ独立に置換基を表す。n51〜n55はそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。m1は0又は1を表す。
Ar51〜Ar55の芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環が挙げられ、ベンゼン環が好ましい。
Ar51〜Ar55の芳香族ヘテロ環としては、ピロール環、チオフェン環、フラン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、シロール環、セレノフェン環、テルロフェン環、ベンゾキノン環、シクロペンタジエン環、ピリジン環、ピリドン−2−オン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環が挙げられ、チオフェン環、フラン環、ピリジン環が好ましい。
Ar51〜Ar55のアルキレン基としては、炭素数2〜14のアルキレン基が挙げられ、好ましくは炭素数2〜8のアルキレン基である。
51〜R55の置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子が挙げられる。これらの基はさらに置換されていてもよい。例えば、ジアリールアミノ基のアリール部は、さらにジアルキルアミノ基やジアリールアミノ基で置換されていてもよい。
また、これらの基のアルキル部の水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。R51〜R55として好ましくは、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、又はアルコキシ基であり、より好ましくは、アルキルアミノ基である。
一般式(5)で表される化合物の1電子酸化体は、上記一般式(5)に含まれる少なくとも1個の芳香環が置換した窒素原子(>N−)がラジカルカチオン(>N・+−)となったものである。
なお、本願明細書において、1電子酸化体とは、一つの窒素原子上の酸化状態を意味するものであり、キノイド構造を取りえない位置に存在する別の窒素原子が1電子酸化され、合計2個以上のラジカルカチオンの窒素原子を有しているものをも包含する。
本発明で用いるアリールアミン化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、これらの化合物は、任意の対アニオンを有していてもよい。
本発明で用いるアリールアミン化合物は、市販品を用いることもでき、また、化学合成してもよい。
(導電性高分子)
上記熱励起源用材料として用いられる導電性高分子は上記条件を満たすものであれば、特に限定はされず、従来公知の導電性高分子を用いることができる。具体的には、ポリアセチレン、ポリチオフェン等を用いることができる。
(ポリチオフェン)
上記熱励起源用材料として用いられるポリチオフェンは上記条件を満たすものであれば、特に限定はされない。
本発明で使用できるポリチオフェンは、チオフェン系化合物群より選択される少なくとも1種の化合物に由来する構成成分を繰り返し構造であり、酸によりドーピングしていることが好ましく、導入される置換基としては特に制限はないが、他の成分との相溶性、用いうる分散媒の種類等を考慮して、分散媒への共役高分子の分散性を高めうるものを適宜選択して導入することが好ましい。
置換基の一例として、分散媒として有機溶媒を用いる場合、直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、チオアルキル基のほか、アルコキシアルキレンオキシ基、アルコキシアルキレンオキシアルキル基、クラウンエーテル基、アリール基等を好ましく用いることができる。これらの基は、さらに置換基を有してもよい。また、置換基の炭素数に特に制限はないが、好ましくは1〜12、より好ましくは4〜12であり、特に炭素数6〜12の長鎖のアルキル基、アルコキシ基、チオアルキル基、アルコキシアルキレンオキシ基、アルコキシアルキレンオキシアルキル基が好ましい。
また、ポリチオフェンに用いられるドーピング材料としては、スルホン酸、カルボン酸、リン酸などの有機酸、無機酸を使用することができる。
<非共役高分子>
本発明の第1の態様の組成物ならびに第2の態様の組成物は、非共役高分子を含有してもよい。
非共役高分子は、共役系の分子構造を有しない高分子化合物をいい、具体的には、高分子の主鎖方向において、それぞれの繰り返し単位が非共役性の結合(例えば、通常の単結合)で結合している高分子化合物をいう。
また、非共役高分子は、単独重合体(ホモポリマー)であってもよく、また共重合体(コポリマー)であってもよい。
非共役系高分子を含有することにより、熱電特性がより向上する。これは、非共役高分子が導電性ナノ材料の分散性に影響を与えることにより、導電性ナノ材料が好ましい分散形態となり、その結果、熱伝導性または電導性が向上したためと考えられる。
本発明においては、非共役高分子の種類は特に限定されず、従来公知の非共役高分子を用いることができる。具体的には、ビニル化合物、(メタ)アクリレート化合物、カーボネート化合物、エステル化合物、アミド化合物、イミド化合物およびシロキサン化合物からなる群より選ばれる化合物を重合してなる高分子化合物を好適に用いることができる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または両方を表す。
ビニル化合物としては、具体的には、例えば、スチレン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、ビニルピリジン、ビニルナフタレン、ビニルフェノール、酢酸ビニル、スチレンスルホン酸、ビニルアルコール、ビニルアリールアミン類(例えば、ビニルトリフェニルアミンなど)、ビニルトリアルキルアミン類(例えば、ビニルトリブチルアミンなど)等が挙げられる。
(メタ)アクリレート化合物としては、具体的には、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート等のアルキル基含有疎水性アクリレート;2−ヒドロキシエチルアクリレート、1−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、1−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、1−ヒドロキシブチルアクリレート等の水酸基含有アクリレート;これらのモノマーのアクリロイル基をメタクリロイル基に換えたメタクリレート系モノマー;等が挙げられる。
カーボネート化合物を重合してなるポリマーの具体例としては、ビスフェノールAとホスゲンからなる汎用ポリカーボネート、ユピゼータ(三菱ガス化学社製)、パンライト(帝人化成社製)等が挙げられる。
エステル化合物としては、具体的には、例えば、乳酸が挙げられる。また、エステル化合物を重合してなるポリマーの具体例としては、バイロン(東洋紡績社製)等が挙げられる。
アミド化合物を重合してなるポリマーの具体例としては、PA−100(T&K TOKA社製)等が挙げられる。
イミド化合物を重合してなるポリマーの具体例としては、ソルピー6,6−PI(ソルピー工業社製)等が挙げられる。
シロキサン化合物としては、具体的には、例えば、ジフェニルシロキサン、フェニルメチルシロキサン等が挙げられる。
非共役高分子は単独重合体であってもよく、また共重合体であってもよい。
これらのうち、非共役高分子として、ビニル化合物を重合してなる高分子化合物を用いることがより好ましい。
本発明においては、非共役高分子は、疎水性であることが好ましく、スルホン酸や水酸基などの親水性基を分子内に有しないことがより好ましい。
また、溶解度パラメータ(SP値)が11以下の非共役高分子が好ましい。
非共役高分子を、導電性高分子と併用する場合、非共役系高分子の含有量は、導電性高分子100質量部に対して、10〜1500質量部であることが好ましく、30〜1200質量部であることがより好ましく、80〜1000質量部で有ることが特に好ましい。
<ドーパント>
本発明の組成物は、キャリア濃度が増加し、導電率が向上する理由から、ドーパントを含有することが好ましい。
ドーパントとしては、例えば、オニウム塩化合物(特に、活性エネルギー線の照射又は熱の付与によって酸を発生する化合物)、酸化剤、酸性化合物、電子受容体化合物、遷移金属化合物等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このようなドーパントとしては、例えば、特開2013−089798号公報の[0043]〜[0083]段落に記載されたものを適宜採用することができる。
本発明においては、任意のドーパントを含有する場合、その含有量は、キャリア輸送用材料の0.1〜20wt%であるのが好ましく、1〜10wt%であることが特に好ましい。
<熱励起アシスト剤>
本発明の組成物は、熱電特性がより良好となる理由から、熱励起アシスト剤を含有することが好ましい。
熱励起アシスト剤としては、例えば、特開2013−098299号公報(特許文献4)の[0079]〜[0089]段落に記載されたものを適宜採用することができる。
本発明においては、このような熱励起アシスト剤を1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、任意の熱励起アシスト剤の含有量は、組成物の全固形分中、0〜35質量%であることが好ましく、3〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることが特に好ましい。
同様に、任意の熱励起アシスト剤の含有量は、バンドギャップが1.5eV以下の材料の0.1〜50wt%であるのが好ましく、1〜50wt%であることがさらに好ましい。
<溶媒>
本発明の組成物は、溶媒を含有することが好ましい。
溶媒は、各成分を良好に分散又は溶解できればよく、水、有機溶媒、及びこれらの混合溶媒を用いることができ、有機溶媒を用いるのが好ましい。
有機溶媒としては、例えば、アルコール、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒;DMF、NMP、DMSOなどの非プロトン性の極性溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、テトラメチルベンゼン、ピリジンなどの芳香族系溶媒;シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケントンなどのケトン系溶媒;ジエチルエーテル、THF、t−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライムなどのエーテル系溶媒;等が挙げられる。
また、溶媒は、あらかじめ脱気しておくことが好ましい。溶媒中における溶存酸素濃度を、10ppm以下とすることが好ましい。脱気の方法としては、減圧下超音波を照射する方法、アルゴン等の不活性ガスをバブリングする方法などが挙げられる。
同様に、溶媒は、あらかじめ脱水しておくことが好ましい。溶媒中における水分量を、1000ppm以下とすることが好ましく、100ppm以下とすることがより好ましい。脱水の方法としては、モレキュラーシーブを用いる方法、蒸留など、公知の方法を用いることができる。
本発明においては、任意の溶媒を用いる場合、その含有量は、組成物の全質量に対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.01〜10質量%であることがより好ましく、0.01〜5質量%であることがさらに好ましい。
<他の成分>
本発明の組成物は、上述した各成分の他に、酸化防止剤、対光安定剤、耐熱安定剤、可塑剤等を適宜含有してもよい。
これらの成分の含有量は、組成物の全固形分中、5質量%以下であることが好ましく、0〜2質量%であることがより好ましい。
酸化防止剤としては、イルガノックス1010(日本チガバイギー社製)、スミライザーGA−80(住友化学工業社製)、スミライザーGS(住友化学工業社製)、スミライザーGM(住友化学工業社製)等が挙げられる。
耐光安定剤としては、TINUVIN 234(BASF社製)、CHIMASSORB 81(BASF社製)、サイアソーブUV−3853(サンケミカル社製)等が挙げられる。
耐熱安定剤としては、IRGANOX 1726(BASF社製)が挙げられる。
可塑剤としては、アデカサイザーRS(アデカ社製)等が挙げられる。
<含水率>
本発明の組成物は、導電率が向上し、形成される熱電変換層の物理強度に優れ、外部からの物理衝撃や摩擦に対する安定性も向上する理由から、組成物における含水率が、0.01質量%以上15質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。
ここで、含水率は、一定温湿度における平衡含水率を測定することにより評価することができる。平衡含水率は、25℃、60%RHにおいて6時間放置して平衡に達した後、水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定し、水分量(g)を試料重量(g)で除して算出することができる。
<調製方法>
本発明の組成物は、上記の各成分を混合して調製することができる。
具体的には、第1の態様の場合には、溶媒にキャリア輸送用材料を添加して混合した後に、無機粒子や任意の他の成分を溶解又は分散させて調製することができる。
また、第2の態様の場合には、溶媒に熱励起源用材料を添加して混合した後に、無機粒子や任意の他の成分を溶解又は分散させて調製することができる。
このとき、材料として導電性ナノ材料を用いている場合には、材料中の各成分は、導電性ナノ材料が分散状態で、高分子材料などの他の成分が分散又は溶解状態であることが好ましく、導電性ナノ材料以外の成分が溶解状態であることがより好ましい。導電性ナノ材料以外の成分が溶解状態であると、粒界による導電率の低下抑制効果が得られるため好ましい。
なお、上記分散状態とは、長時間(目安としては1ヶ月以上)保存しても溶媒中で沈降しない程度の粒径を有する分子の集合状態であり、また、溶解状態とは溶媒中にて1個の分子状態で溶媒和している状態を言う。
熱電変換材料の調製方法に特に制限はなく、通常の混合装置等を用いて常温常圧下で行うことができる。例えば、各成分を溶媒中で撹拌、振とう、混練して溶解又は分散させて調製すればよい。溶解や分散を促進するため超音波処理を行ってもよい。
また、上記分散工程において溶媒を室温以上沸点以下の温度まで加熱する、分散時間を延ばす、又は撹拌、浸とう、混練、超音波などの印加強度を上げる等によって、導電性ナノ材料の分散性を高めるためことができる。
〔熱電変換素子〕
以下に、本発明の熱電変換素子について詳述する。
本発明の熱電変換素子は、基材と、一対の電極と、上述した本発明の組成物により形成された熱電変換層とを有する熱電変換素子である。
まず、本発明の熱電変換素子の全体の構成について、本発明の熱電変換素子の一例を模式的に示す断面図である図1〜図3を用いて説明する。
図1に示す熱電変換素子10は、第1の基材11と、第1の電極12と、本発明の組成物により形成された熱電変換層14と、第2の電極13と、第2の基材15とをこの順に有する素子である。
ここで、図1に示す熱電変換素子10は、矢印で示される方向の温度差を利用して起電力(電圧)を得る態様である。
また、図2に示す熱電変換素子20は、第1の基材21上の一部に第1の電極22および第2の電極23を有し、第1の基材21、第1の電極22および第2の電極23の上に、熱電変換層24と第2の基材25とをこの順に有する素子である。
ここで、図2に示す熱電変換素子20は、矢印で示される方向の温度差を利用して起電力(電圧)を得る態様である。
本発明においては、図3に示すように、互いに隣接する熱電変換素子30と共通の基材31を用い、一の熱電変換素子30における第2の電極33と、それと隣接する他の熱電変換素子30の第1の電極32とを電気的に接続することにより、各熱電変換素子30を直列で接続させたモジュール300としてもよい。
次に、本発明熱電変換素子が有する基材、電極および熱電変換層について詳述する。
<基材>
本発明の熱電変換素子が有する基材は特に限定されないが、電極の形成や熱電変換層の形成時に影響を受けにくい基材を選択することが好ましい。
このような基材としては、例えば、ガラス、透明セラミックス、金属、プラスチックフィルム等が挙げられ、中でも、コストや柔軟性の観点から、プラスチックフィルムが好ましい。
プラスチックフィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−フタレンジカルボキシレート、ビスフェノールAとイソ及びテレフタル酸とのポリエステルフィルム等のポリエステルフィルム;ゼオノアフィルム(日本ゼオン社製)、アートンフィルム(JSR社製)、スミライトFS1700(住友ベークライト社製)等のポリシクロオレフィンフィルム;カプトン(東レ・デュポン社製)、アピカル(カネカ社製)、ユービレックス(宇部興産社製)、ポミラン(荒川化学社製)等のポリイミドフィルム;ピュアエース(帝人化成社製)、エルメック(カネカ社製)等のポリカーボネートフィルム;スミライトFS1100(住友ベークライト社製)等のポリエーテルエーテルケトンフィルム;トレリナ(東レ社製)等のポリフェニルスルフィドフィルム;等が挙げられる。
これらのうち、入手の容易性、100℃以上の耐熱性、経済性及び効果の観点から、市販のポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、各種ポリイミドやポリカーボネートフィルム等が好ましい。
本発明においては、基材の厚さは使用目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、プラスチックフィルムを用いた場合には、一般的には、5〜500μmのものを用いることが好ましい。
<電極>
本発明の熱電変換素子が有する電極は特に限定されないが、その材料としては、具体的には、例えば、ITO、ZnO等の透明電極;銀、銅、金、アルミニウムなどの金属電極;CNT、グラフェンなどの炭素材料;PEDOT/PSS等の有機材料;銀、カーボンブラックなどの導電性微粒子を分散した導電性ペースト;銀、銅、アルミニウムなどの金属ナノワイヤーを含有する導電性ペースト等が挙げられる。
<熱電変換層>
本発明の熱電変換素子が有する熱電変換層は、上述した本発明の組成物により形成されたものであれば特に限定されない。
熱電変換層の形成方法は特に限定されないが、上記基材上に本発明の組成物を塗布し、成膜することにより、熱電変換層を形成することができる。
成膜方法は特に限定されず、例えば、スピンコート、エクストルージョンダイコート、ブレードコート、バーコート、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ロールコート、カーテンコート、スプレーコート、ディップコート、インクジェット法など、公知の塗布方法を用いることができる。
また、塗布後は、必要に応じて乾燥工程を行う。例えば、熱風を吹き付けることにより溶媒を揮発、乾燥させることができる。
本発明においては、熱電変換層の膜厚は、温度差を付与する観点等から、0.1μm〜1000μmであることが好ましく、1μm〜100μmであることがより好ましい。
〔熱電発電用物品〕
本発明の熱電発電物品は、本発明の熱電変換素子を用いた熱電発電物品である。
ここで、熱電発電物品としては、具体的には、例えば、温泉熱発電機、太陽熱発電機、廃熱発電機等の発電機や、腕時計用電源、半導体駆動電源、小型センサー用電源等の発電用途のほか、感熱センサーや熱電対などのセンサー素子用途などが挙げられる。
すなわち、上述した本発明の熱電変換素子は、これらの用途に好適に用いることができる。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
第1の態様の組成物を調製し、熱電変換素子を作製した。
<熱電変換素子の作製>
キャリア輸送用材料としての、導電性高分子〔ポリ−3−ヘキシルチオフェン(分子量:Mw20000、アルドリッチ社製〕8mg、および、単層CNT〔ASP−100F、Hanwha Nanotech社製、分散物(CNT濃度60質量%)、CNTの平均長さ:約5〜20μm、平均直径:約1.0〜1.2nm〕3mgを、オルトジクロロベンゼン10ml中に添加し、超音波水浴にて50分間分散させ分散液(A)を調製した。
キャリア輸送用材料の移動度(cm2/Vs)およびキャリア密度(cm-3)を下記第1表に示す。
一方、Bi、Te,およびSbの粉末原料を混合して溶融し、Bi0.5Sb1.5Te3の組成のP型熱電材料を得た。得られた材料をボールミルで粉砕し、粉末(無機粒子)を得た。なお、得られた無機粒子の平均粒子径、および、粒径1.0μm以下の粒子数と粒径1.0μm超の粒子数との比(粒径1.0μm以下の粒子数/粒径1.0μm超の粒子数)については、動的光散乱式 粒子径・粒度分布測定装置(Nanotrac UPA−EX150、日機装社製)を用いて測定した。これらの結果を下記第1表に示す。また、無機粒子のバンドギャップを下記第1表に示す。
次いで、調製した分散液(A)と得られた無機粒子とを混合し、自転公転ミキサー(AR−100、シンキー社製)により混合し分散液(B)を調製した。
この分散液(B)を、予め第一の電極12として金(厚み20nm、幅:5mm)を片側表面に有するポリエチレンテレフタレートフィルム11(厚み:125μm)の電極12表面にステンシル印刷法で塗布し(塗布工程)、80℃にて30分間加熱して溶媒を除去した(乾燥工程)。
この塗布工程および乾燥工程を繰り返した後、室温真空下にて10時間乾燥させることにより膜厚1μm、大きさ8mm×8mmの熱電変換層14を形成した。
その後、熱電変換層14の上部に、予め第2の電極13として金を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム基材15(電極13の厚み:20nm、電極13の幅:5mm、ポリエチレンテレフタレートフィルム基材15の厚み:125μm)を、第2の電極13が熱電変換層14に対向するように、80℃にて貼り合わせて、図1に示される熱電変換素子である本発明の熱電変換素子を作製した。
〔実施例2〜17、比較例1〜4〕
キャリア輸送用材料(導電性ナノ材料、導電性高分子材料)の種類、非共役系高分子(バインダー)の有無、下記式で表されるドーパント1の有無、無機粒子の平均粒子径および粒子数比〔(粒径1.0μm以下の粒子数)/(粒径1.0μm超の粒子数)〕、ならびに、下記式で表される熱励起アシスト剤1の有無を下記第1表に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法により、熱電変換素子を作製した。
なお、熱励起アシスト剤1を使用した実施例10においては、分散液(A)の調製時に熱励起アシスト剤1を2mg添加した以外は実施例1と同様の方法により調製し、ドーパント1を使用した実施例17においては、分散液(A)の調製時にドーパント1を5mg添加した以外は実施例1と同様の方法により調製した。
〔実施例18〕
キャリア輸送用材料として、TIPSペンタセン7mgと、バインダーとしての非共役高分子ポリ(p−ヒドロキシスチレン)3mgを、オルトジクロロベンゼン10ml中に添加し、20分間撹拌して溶液を調製し、実施例1と同様にして得られた無機粒子を、実施例1と同様の方法で混合して分散液(C)を調整した。
この分散液(C)を用いて、実施例1と同様に熱電変換素子を作製した。
〔実施例19〕
キャリア輸送用材料として、ベンゾチエノベンゾチオフェン7mgを用いた以外は、実施例18と同様にして熱電変換素子を作製した。
〔実施例20〕
キャリア輸送用材料として、単層CNT〔ASP−100F、Hanwha Nanotech社製、分散物(CNT濃度60質量%)、CNTの平均長さ:約5〜20μm、平均直径:約1.0〜1.2nm〕20mgを、オルトジクロロベンゼン10ml中に添加し、超音波水浴にて50分間分散させ分散液(D)を調製した以外は実施例1と同様にして熱電変換素子を作製した。
〔実施例21〕
第2の態様の組成物を調製し、熱電変換素子を作製した。
熱励起源用材料として、下記に示す金属錯体1(10mg)を、オルトジクロロベンゼン10ml中に添加し、20分間撹拌して溶液を調製し、無機粒子として炭化ケイ素粒子を混合して、分散液(E)を調整した。
この分散液(E)を用いて、実施例1と同様に熱電変換素子を作製した。
〔実施例22〕
熱励起源用材料として、下記に示す金属錯体2を用いて、無機粒子として窒化ガリウム粒子を用いた以外は、実施例21と同様にして熱電変換素子を作製した。
〔比較例5〕
キャリア輸送用材料および熱励起源用材料として、ポリアセチレン(バンドギャップ1.4eV)10mgを、オルトジクロロベンゼン10ml中に添加し、超音波水浴にて20分間分散させ分散液(F)を調製し、この分散液(F)を用いて実施例1と同様に熱電変換素子を作製した。
〔比較例6〕
キャリア輸送用材料および熱励起源用材料として、実施例1と同様の方法で作製した無機粒子(Bi0.5Sb1.5Te3)を用い、バインダーとして非共役高分子のポリスチレンに混合して分散液(G)を調製し、この分散液(G)を用いて実施例1と同様に熱電変換素子を作製した。
作製した各熱電変換素子について、下記の方法により熱起電力を評価した。
〔熱電特性値(熱起電力S)の測定〕
各熱電変換素子の第1の電極12を一定温度に保ったホットプレート上に設置し、第2の電極13上に温度制御用のペルチェ素子を設置した。
ホットプレートの温度を一定(100℃)に保ちつつ、ペルチェ素子の温度を低下させることにより両電極間に温度差(0Kを超え4K以下の範囲)を付与した。
この時、両電極間に発生した熱起電力(μV)を両電極間に生じた特定の温度差(K)で除することにより、単位温度差当たりの熱起電力S(μV/K)を算出し、この値を熱電変換素子の熱電特性値とした。
算出した熱電特性値を、実施例7の熱電変換素子の算出値に対する相対値として、下記第1表および第2表に示す。
第1表および第2表に示す結果から、平均粒径が1.0μm以下の無機粒子を含有し、無機粒子のバンドギャッフ゜に応じた材料と組み合わせた組成物を用いて作製した熱電変換素子は、平均粒径が1.0μm超の無機粒子を含有する組成物を用いて作製した熱電変換素子と比較して、顕著に熱電性能が向上することが分かった。
また、実施例1〜7の対比から、導電性ナノ材料としてカーボンナノチューブを用いた場合に、熱電特性がより良好となることが分かった。
更に、実施例1および11と実施例12および13との対比から、無機粒子の粒子数比が5以上となる組成物を用いることにより、熱電特性がより良好となることが分かった。
また、実施例1と実施例18〜20との対比から、キャリア輸送用材料として、導電性ナノ粒子と導電性高分子とを含有することが好ましいことが分かる。
10、20、30 熱電変換素子
11、21 第1の基材
12、22、32 第1の電極
13、23、33 第2の電極
14、24、34、熱電変換層
15、25 第2の基材
31 基材
300 モジュール

Claims (10)

  1. 平均粒径が1.0μm以下の無機粒子を含有する熱電変換層形成用組成物であって、
    前記無機粒子のバンドギャップが0.13eV以下であり、移動度が0.001cm2/Vs以上、および、キャリア密度が1E10〜1E21cm-3の少なくとも一方を満たすキャリア輸送用材料を含有し、
    前記キャリア輸送用材料が、導電性ナノ材料および導電性高分子材料をいずれも含む、熱電変換層形成用組成物。
  2. 前記導電性ナノ材料が、ナノ炭素材料またはナノ金属材料である、請求項1に記載の熱電変換層形成用組成物。
  3. 前記導電性ナノ材料が、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラファイト、グラフェン、カーボンナノ粒子および金属ナノワイヤーからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1または2に記載の熱電変換層形成用組成物。
  4. 前記導電性ナノ材料が、カーボンナノチューブである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱電変換層形成用組成物。
  5. 前記キャリア輸送用材料が、有機材料である請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱電変換層形成用組成物。
  6. 前記無機粒子の、粒径1.0μm以下の粒子数と粒径1.0μm超の粒子数との比(粒径1.0μm以下の粒子数/粒径1.0μm超の粒子数)が5以上となる、請求項1〜のいずれか一項に記載の熱電変換層形成用組成物。
  7. さらに、ドーパントを含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の熱電変換層形成用組成物。
  8. さらに、非共役高分子を含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の熱電変換層形成用組成物。
  9. 基材と、一対の電極と、熱電変換層とを有する熱電変換素子であって、
    前記熱電変換層が、請求項1〜のいずれか一項に記載の熱電変換層形成用組成物により形成された熱電変換素子。
  10. 請求項に記載の熱電変換素子を用いた熱電発電物品。
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