JP6730816B2 - 熱電変換材料及びその製造方法 - Google Patents

熱電変換材料及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6730816B2
JP6730816B2 JP2016031015A JP2016031015A JP6730816B2 JP 6730816 B2 JP6730816 B2 JP 6730816B2 JP 2016031015 A JP2016031015 A JP 2016031015A JP 2016031015 A JP2016031015 A JP 2016031015A JP 6730816 B2 JP6730816 B2 JP 6730816B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particles
thermoelectric conversion
oxide
particles made
carbon nanotubes
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016031015A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016171313A (ja
Inventor
金子 尚史
尚史 金子
智信 石田
智信 石田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sanyo Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Sanyo Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sanyo Chemical Industries Ltd filed Critical Sanyo Chemical Industries Ltd
Publication of JP2016171313A publication Critical patent/JP2016171313A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6730816B2 publication Critical patent/JP6730816B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、熱電変換材料及びその製造方法に関する。更に詳しくは、熱伝導性が低く熱電変換効率に優れた熱電変換材料及びその製造法に関する。
熱電変換材料は、廃熱を電力に変換することでエネルギーを高効率で利用できるものとして注目されており、有機材料を用いたものとしては導電性高分子を用いた熱電変換材料が知られている。熱電変換材料は、熱源表面に設置されて熱を電力に変換するが、熱源の表面の形状は一様ではないため、柔軟性の低い導電性高分子では表面形状に局面や凹凸を持つ排熱発生部分への設置が困難であるため、このような形状の表面にも設置可能な柔軟性のある熱電変換材料が検討されている。
表面形状に局面や凹凸を持つ排熱発生部分に設置が可能な柔軟性を有する熱電変換材料として、カーボンナノチューブ微粒子を分散させたフレキシビリティーを有する有機材料及び空孔によって構成され、該有機材料に対するカーボンナノチューブの質量比が50〜90質量%である熱電変換材料が知られている(特許文献1)。
しかしながら、特許文献1に記載の熱電変換材料は、カーボンナノチューブを多く含有するために電気エネルギーに変換されるべき熱エネルギーが熱のまま逃げてしまい、変換効率が高くないという課題がある。
国際公開第2012/121133号
本発明は、柔軟性と優れた熱電変換効率を有する熱電変換材料を提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、以下のことを見出した。本発明は、カーボンナノチューブ(A)が熱可塑性樹脂(B)中に分散されてなり、以下の(1)〜(3)の全てを満たす熱電変換材料である。
(1)熱可塑性樹脂(B)に分散しているカーボンナノチューブ(A)の数平均繊維長が50〜1000μmである;
(2)熱可塑性樹脂(B)の25℃での体積固有抵抗値が1×1010〜1×1019Ω・mである;
(3)カーボンナノチューブ(A)の含有量がカーボンナノチューブ(A)と熱可塑性樹脂(B)との合計重量に基づいて0.1〜20重量%である。
本発明の熱電変換材料は柔軟性と優れた熱電変換効率を有する。
図1は、本発明の製造方法による熱電変換材料の製造をラインブレンドによる混合方法で行う製造装置のフローチャートである。 図2は、本発明の製造方法による熱電変換材料を利用した熱電変換素子の実施形態の一例を示した図である。
以下に本発明を詳述する。
本発明の熱電変換材料は、カーボンナノチューブ(A)が熱可塑性樹脂(B)中に分散してなる熱電変換材料である。
本発明の熱電変換材料において、熱可塑性樹脂(B)中に分散しているカーボンナノチューブ(A)は、数平均繊維長が通常50〜1000μmであり、熱伝導度の観点から好ましくは100〜1000μmである。また、繊維長の変動係数としては通常30%以下、好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下である。
カーボンナノチューブ(A)としては、体積固有抵抗値が熱伝導度の観点から1×10−1〜1×10−6Ω・mであるカーボンナノチューブが好ましい。カーボンナノチューブ(A)の数平均繊維径は熱伝導度の観点から好ましくは0.005〜10μm、更に好ましくは0.005〜0.5μmである。
なお、本発明においてカーボンナノチューブ(A)の数平均繊維長及び数平均繊維経、繊維長の変動係数は、熱電変換材料を透過電子顕微鏡によって拡大観察し、熱電変換材料中に分散しているカーボンナノチューブ100本を拡大観察した結果の平均値から測定される。なお、繊維長の変動係数は以下の式で定義される。
(繊維長の変動係数(%))=(繊維長の標準偏差)/(数平均繊維長)×100
カーボンナノチューブ(A)の体積固有抵抗値は、熱可塑性樹脂(B)に分散される前のカーボンナノチューブの体積抵抗値を「JIS K6911熱硬化性プラスチック一般試験方法 5.13 抵抗率」に記載の方法で測定した値である。
カーボンナノチューブ(A)としては、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、これらにフラーレン等の分子を内包したカーボンナノチューブ、有機修飾カーボンナノチューブ(国際公開第2010/104155号等)及びフッ素原子等で化学修飾したカーボンナノチューブ等が挙げられ、これらのうち1種を単独であっても2種以上の混合物であってもよい。
通常、カーボンナノチューブは炭素原子の配列状態の異なった金属型カーボンナノチューブと半導体型カーボンナノチューブとの混合物として合成される。
カーボンナノチューブ(A)としては、金属型カーボンナノチューブ、半導体型カーボンナノチューブ又はその混合物のいずれであってもよいが、カーボンナノチューブ(A)には導電性と熱伝導性の観点から半導体型カーボンナノチューブを含んでいることが好ましく、半導体型カーボンナノチューブの重量割合がカーボンナノチューブ(A)を基準として80〜100重量%であることが更に好ましく、特に好ましくは80〜90重量%である。
なお、金属型カーボンナノチューブと半導体型カーボンナノチューブとは、アガロースゲルを用いて分離する方法(特開2008−285387号公報に記載の方法等)及び国際公開第2012/017822号に記載の分離方法等の公知の方法で分離することができ、熱可塑性樹脂(B)に分散される前のカーボンナノチューブをこれらの方法で分離することで好ましい範囲に調整することができる。
また、半導体型の含有量は紫外可視近赤外分光光度計を用いた測定で得られた光吸収スペクトルの面積比より計算される。
カーボンナノチューブ(A)の熱伝導率は熱起電力の観点から好ましくは500〜3000W/mK、更に好ましくは500〜1500W/mKである。
なお、カーボンナノチューブの熱伝導率は、その長さ、径、不純物の含有量、炭素原子の配列及び欠陥の有無等によって調整することができ、本発明においてカーボンナノチューブ(A)の熱伝導率としては、熱可塑性樹脂(B)に分散される前のカーボンナノチューブの熱伝導率を「JIS R1611−2010 ファインセラミックスのフラッシュ法による熱拡散率・比熱容量・熱伝導率の測定方法」に準拠したレーザーフラッシュ法熱定数測定装置により測定される値を用いる。
本発明において、熱可塑性樹脂とは融点又はガラス転移温度を有する樹脂を意味し、好ましくはガラス転移温度を有する樹脂が150℃以下(更に好ましくは100℃以下)の樹脂が挙げられる。
本発明に用いる熱可塑性樹脂(B)は、25℃下での体積固有抵抗値が通常1×1010〜1×1019Ω・m、熱伝導度の観点から好ましくは1×1012〜1×1019Ω・mの熱可塑性樹脂である。
熱可塑性樹脂(B)のうち、好ましいものとしては、ポリスチレン(ガラス転移温度:90〜100℃、体積固有抵抗値:1×1016Ω・m)、ポリメチルメタアクリレート(ガラス転移温度:100℃、体積固有抵抗値:1×1014Ω・m)、塩化ビニル(ガラス転移温度:80〜85℃、体積固有抵抗値:1×1012Ω・m)、ポリカーボネート(ガラス転移温度:145℃、体積固有抵抗値:1×1016Ω・m)、ポリエチレンテレフタレート(ガラス転移温度:70〜80℃、体積固有抵抗値:1×1015Ω・m)及びポリプロピレン(融点:140〜190℃、体積固有抵抗値:1×1016Ω・m)等が挙げられる。なかでもカーボンナノチューブの分散性の観点から、ポリスチレンが好ましい。
本発明において熱可塑性樹脂の体積固有抵抗値は「JIS K6911熱硬化性プラスチック一般試験方法 5.13 抵抗率」に記載の方法で測定され、ガラス転移温度は「JIS K7121−1987 プラスチックの転移温度測定方法」に記載の方法で測定される。
カーボンナノチューブ(A)の含有量は、カーボンナノチューブ(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計重量に基づいて、通常0.1〜20重量%であるが、柔軟性等の観点から好ましくは1〜18重量%、更に好ましくは4〜17重量%である。
本発明の熱電変換材料は、無機粒子(C1)及び/又は有機粒子(C2)を更に含有する熱電変換材料であることが熱伝導度の観点から好ましい。無機粒子(C1)及び有機粒子(C2)は、熱伝導度の観点から25℃下での体積固有抵抗値が上限について好ましくは1×10−1Ω・m、更に好ましくは1×10−2Ω・mであり、下限について好ましくは1×10−8Ω・mであり、熱起電力の観点からについて上限について好ましくは熱伝導率が150W/mK、更に好ましくは50W/mKであり、下限について好ましくは0.01W/mK、更に好ましくは0.1W/mKであり、熱変換材料の柔軟性の観点から好ましくは体積平均粒径が5〜100nm、更に好ましくは10〜50nmである。
なお、本発明において無機粒子(C1)及び有機粒子(C2)の体積固有抵抗値は、「JIS K6911熱硬化性プラスチック一般試験方法 5.13 抵抗率」に記載の方法で測定される。
無機粒子(C1)及び有機粒子(C2)の熱伝導率は、「JIS R1611−2010 ファインセラミックスのフラッシュ法による熱拡散率・比熱容量・熱伝導率の測定方法」に準拠したレーザーフラッシュ法熱定数測定装置により測定される。
無機粒子(C1)及び有機粒子(C2)の体積平均粒径は、「JISK5600−9−3 塗料一般試験方法−第9部:粉体塗料−第3節:レーザ回折による粒度分布の測定方法」に準じて動的光散乱式粒度分布測定器を用いて測定される。
無機粒子(C1)の好ましいものとしては、フラーレンからなる粒子、元素半導体(シリコン、ゲルマニウム及びセレン等)からなる粒子、金属元素(亜鉛、スズ、インジウム、鉄、コバルト、マンガン、ニッケル、クロム、ベリリウム、ガリウム、ウラン、鉛、銀、銅及びバナジウム等)の酸化物からなる半導体による粒子及び化合物半導体[セレン化カドミウム(CdSe)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、硫化亜鉛(ZnS)、硫化鉄(FeS)、炭化珪素(SiC)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)及び窒化ガリウム(GaN)等]からなる粒子等が挙げられる。
有機粒子(C2)の好ましいものとしては、多環芳香族炭化水素(アントラセン等)からなる粒子、導電性高分子(ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール及びポリアニリン等)からなる粒子、電荷移動錯体(TCNQ錯体等)からなる粒子並びに無機粒子(C1)を内包するデンドリマー及びタンパク質からなる粒子等が挙げられる。
無機粒子(C1)のうち、更に好ましいものとしては金属元素の酸化物からなる半導体(酸化コバルト及び酸化マンガン等)による粒子並びにセレン化亜鉛からなる粒子が挙げられる。有機粒子(C2)のうち更に好ましいものとしては金属元素の酸化物半導体を内包するデンドリマーからなる粒子及び金属元素の酸化物半導体を内包するタンパク質からなる粒子が挙げられる。
本発明の熱電変換材料が無機粒子(C1)及び/又は有機粒子(C2)を含有する場合、無機粒子(C1)及び有機粒子(C2)の含有量はカーボンナノチューブ(A)の重量に基づいて、導電性の観点から好ましくは5〜20重量%、更に好ましくは5〜10重量%である。
本発明の熱電変換材料には、必要により、本発明の効果を阻害しない範囲で溶媒、添加剤(分散剤、レベリング剤、可塑剤、帯電防止剤、荷電制御剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、難燃剤、充填剤及び重合禁止剤等)を含んでもよい。
なかでも分散剤を用いる場合には、分散安定剤の添加量は、カーボンナノチューブ(A)の分散安定性等の観点から、カーボンナノチューブ(A)の重量に対し好ましくは0.01〜100重量%、さらに好ましくは0.02〜50重量%、特に好ましくは0.03〜30重量%である。分散安定剤の重量平均分子量の範囲は分散安定効果の観点から好ましくは100〜10万であり、さらに好ましくは200〜5万、特に好ましくは500〜3万である。
本発明の熱電変換材料が無機粒子(C1)及び有機粒子(C2)を含む場合、無機粒子(C1)及び有機粒子(C2)は熱可塑性樹脂(B)中に凝集塊を形成することなく分散していることが好ましい。
カーボンナノチューブ(A)、無機粒子(C1)及び有機粒子(C2)の分散状態は透過顕微鏡測定により、各粒子100個の測定値の平均値を算出することにより測定する。
本発明の熱電変換材料は、カーボンナノチューブと必要により用いる無機粒子(C1)及び/又は有機粒子(C2)とを熱可塑性樹脂(B)に分散することで得ることができる。
熱可塑性樹脂(B)に分散される前のカーボンナノチューブ(以下、原料カーボンナノチューブと記載する)は、熱可塑性樹脂(B)中への分散後の数平均繊維長が50〜1000μm(好ましくは100〜1000μm)となるカーボンナノチューブであれば特に制限はなく用いることができ、分散方法に応じて選択することが出来る。
原料カーボンナノチューブとしては、数平均繊維長が50〜1000μmのカーボンナノチューブが好ましく、更に好ましくは100〜1000μmである。
原料カーボンナノチューブの体積固有抵抗値、数平均繊維長及び熱伝導率はカーボンナノチューブ(A)と同じであり、好ましい範囲も同じである。
なお、原料カーボンナノチューブの数平均繊維長及び数平均繊維経は、原料カーボンナノチューブを透過電子顕微鏡によって拡大観察し、カーボンナノチューブ100本を拡大観察した結果の平均値から測定される。
原料カーボンナノチューブは、米国特許第4663230号明細書に記載の方法及びEiichi Yasuda,Asao Oya,Shinya Komura,Shigeki Tomonoh,Takashi Nishizawa,Shinsuke Nagata,Takashi Akatsu、CARBON、50、2012、1432−1434及びEiichi Yasuda,Takashi Akatsu,Yasuhiro Tanabe,Kazumasa Nakamura,Yasuto Hoshikawa,Naoya Miyajima、TANSO、255、2012、254〜265頁の製造方法等に記載の公知の方法で得ることができる。
また、市場からは名城ナノカーボン社等から入手することができる。
原料カーボンナノチューブと必要により用いる無機粒子(C1)及び/又は有機粒子(C2)とを熱可塑性樹脂(B)に分散する方法としては、均一に混合分散することができれば制限はなく、下記の<分散方法1>及び<分散方法2>等の方法が挙げられる。
<分散方法1>
原料カーボンナノチューブ、熱可塑性樹脂(B)並びに必要により用いる無機粒子(C1)及び/又は有機粒子(C2)を公知の加熱分散装置[二軸押出機、二軸混練機(バンバリーミキサー等)、スタティックミキサー及び加熱装置付き混合容器等]及び公知の撹拌装置(プロペラ型撹拌装置付き混合容器、ディゾルバー、ホモミキサー、ボールミル、サンドミル、超音波分散機及びラインミキサー等)を用いて機械的に混合分散する方法。
<分散方法2>
液体状態、亜臨界状態又は超臨界状態である二酸化炭素、原料カーボンナノチューブ及び熱可塑性樹脂(B)並びに必要により用いる無機粒子(C1)及び/又は有機粒子(C2)含む混合物(X)を作成し、続いて混合物(X)を体積膨張させ、その膨張時に発生する応力で原料カーボンナノチューブ並びに必要により用いる無機粒子(C1)及び/又は有機粒子(C2)を熱可塑性樹脂(B)中に分散する方法。
<分散方法1>において、原料カーボンナノチューブ、熱可塑性樹脂(B)並びに必要により用いる無機粒子(C1)及び/又は有機粒子(C2)の混合は、前記の公知の加熱分散装置(好ましくは二軸混練機)中で加熱溶融した熱可塑性樹脂(B)と原料カーボンナノチューブと必要により用いる無機粒子(C1)及び/又は有機粒子(C2)とを混合分散する方法(以下、加熱溶融法と記載する。)、並びに原料カーボンナノチューブと熱可塑性樹脂(B)と必要により無機粒子(C1)及び/又は有機粒子(C2)とを熱可塑性樹脂(B)が溶解可能な溶媒の存在下で前記の公知の撹拌装置を用いて混合分散する方法(以下、希釈混合法と記載する。)等で行うことができる。
加熱溶融法で行う場合、加熱温度は熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度に応じて調整されるが、ガラス転移温度よりも50〜200℃高い温度に加熱することが好ましい。
加熱溶融法において、原料カーボンナノチューブ、熱可塑性樹脂(B)並びに必要により用いる無機粒子(C1)及び/又は有機粒子(C2)を分散装置に投入する順序に特に制限はないが、熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度以上に加熱した分散装置に熱可塑性樹脂(B)を投入し、溶融状態にある熱可塑性樹脂(B)に対して原料カーボンナノチューブ並びに必要により用いる無機粒子(C1)及び/又は有機粒子(C2)を投入することが好ましい。
希釈混合法で行う場合、溶媒としては、熱可塑性樹脂(B)が溶解可能な溶媒であれば特に制限はなく熱可塑性樹脂(B)の種類に応じて選択することができるが、液体状態、亜臨界状態若又は超臨界状態である二酸化炭素が溶解することができることが好ましく、好ましい溶媒としては、ケトン溶剤(アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル溶剤(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、環状エーテル等)、エステル溶剤(酢酸エステル、ピルビン酸エステル、2−ヒドロキシイソ酪酸エステル、乳酸エステル等)、アミド溶剤(ジメチルホルムアミド等)、アルコール溶剤(メタノール、エタノール、イソプロパノール、フッ素含有アルコール等)、芳香族炭化水素溶剤(トルエン、キシレン等)、脂肪族炭化水素溶剤(オクタン、デカン等)、水及びこれらの混合物が挙げられる。
溶媒の使用量は、超臨界二酸化炭素との混合時に熱可塑性樹脂(B)が析出してこなければ特に制限はなく、熱可塑性樹脂(B)の重量に基づいて5〜100重量%であることが好ましく、5〜20重量%であることが特に好ましい。
希釈混合法において、前記の溶媒の存在下で原料カーボンナノチューブ、熱可塑性樹脂(B)並びに必要により用いる無機粒子(C1)及び/又は有機粒子(C2)の混合を行う時の混合順序には制限はないが、熱可塑性樹脂(B)を溶媒に溶解して樹脂溶液を作製した後、作製した樹脂溶液の撹拌下に原料カーボンナノチューブ並びに必要により用いる無機粒子(C1)及び/又は有機粒子(C2)を投入して混合する方法が好ましい。
前記の<分散方法2>において、混合物(X)は以下の<混合方法1>及び<混合方法2>で作製することができる。
<混合方法1>
原料カーボンナノチューブ、熱可塑性樹脂(B)並びに必要により用いる無機粒子(C1)及び/又は有機粒子(C2)を混合した混合物(以下、CNT樹脂混合物と記載する)を作製し、更に樹脂混合物と液体状態、亜臨界状態又は超臨界状態である二酸化炭素とを混合する方法。
<混合方法2>
液体状態、亜臨界状態又は超臨界状態である二酸化炭素、原料カーボンナノチューブ、熱可塑性樹脂(B)並びに必要により用いる無機粒子(C1)及び/又は有機粒子(C2)を一括で混合する方法。
<混合方法1>において、CNT樹脂混合物は前記の<分散方法1>に記載の方法と同様の方法で得ることができる。
<混合方法1>において、CNT樹脂混合物と液体状態、亜臨界状態又は超臨界状態である二酸化炭素を混合して混合物(X)を得る方法としてはバッチ式混合方式と連続式混合方式が挙げられる。
バッチ式混合方式としては、原料カーボンナノチューブ、熱可塑性樹脂(B)並びに必要により用いる無機粒子(C1)及び/又は有機粒子(C2)を混合することでCNT樹脂混合物を得た後、撹拌装置の付属した耐圧混合容器に作製した熱電変換材料を入れ、更にポンプ等の加圧装置を用いて二酸化炭素を耐圧混合容器内に所定の圧力になるように導入する方法等が挙げられる。
本方式に用いる耐圧混合容器は、液体状態、亜臨界状態若しくは超臨界状態となる圧力及び温度に耐え得るものでなければならない。
連続式混合方式としては、液体状態、亜臨界状態又は超臨界状態である二酸化炭素と、原料カーボンナノチューブ、熱可塑性樹脂(B)並びに必要により用いる無機粒子(C1)及び/又は有機粒子(C2)を公知の撹拌装置に投入混合して得たCNT樹脂混合物とを公知の連続式混合機[静止型インライン混合機(スタティックミキサー、インラインミキサー、ラモンドスーパーミキサー及びスルザーミキサー等)並びに撹拌型インライン混合機(バイブミキサー等ターボミキサー等)等]に所定の圧力となるように導入する方法等が挙げられる。
なお、連続式混合機に付属するミキシング装置のミキサー部分の長さ及び配管径、ミキシング装置の数に限定はなく、連続式混合機及びそれに付属するミキシング装置の耐圧は、液体状態、亜臨界状態若しくは超臨界状態となる圧力及び温度に耐え得るものでなければならない。
連続式混合方式おいては、二酸化炭素とCNT樹脂混合物とを連続式混合機内に送液することで混合物(X)を得ることができ、連続式混合機内での滞留時間は、混合が充分に行われるのであれば特に限定されないが、0.1〜1800秒が好ましい。
<混合方法1>においては、連続式混合方式が、生産性の向上、品質の一定化及び製造スペースの縮小化等の面等から好ましく、静止型インライン混合機を用いる方式が更に好ましい。
<混合方法2>において、液体状態、亜臨界状態又は超臨界状態である二酸化炭素、原料カーボンナノチューブ、熱可塑性樹脂(B)並びに必要により用いる無機粒子(C1)及び/又は有機粒子(C2)を一括で混合する方法としては、バッチ式混合方式が挙げられる。
バッチ式混合方式としては、撹拌装置の付属した耐圧混合容器に原料カーボンナノチューブ、熱可塑性樹脂(B)並びに必要により用いる無機粒子(C1)及び/又は有機粒子(C2)を投入し、更に二酸化炭素を容器内にポンプ等の加圧装置を用いて所定の圧力になるように導入した後に撹拌混合する方法等が挙げられる。
原料カーボンナノチューブと必要により用いる無機粒子(C1)及び/又は有機粒子(C2)とを熱可塑性樹脂(B)に分散する方法のうち、<分散方法2>が好ましくい。
<分散方法2>を用いると原料カーボンナノチューブが折れることがなく、その長さを維持したまま好ましい分散状態とできるために熱電変換効率が良好となる。
<分散方法2>において用いる二酸化炭素としては、公知の回収設備等で得られるものであれば特に制限はなく使用できるが、好ましいものとしては純度90体積%以上の二酸化炭素が挙げられる。純度90体積%の二酸化炭素を得る方法としては、化学吸着方式、PAS方式、ガス冷却回収方式等が挙げられる。
<分散方法2>における液体状態の二酸化炭素とは、二酸化炭素の温度軸と圧力軸とで表す相図上において、二酸化炭素の三重点(温度=−57℃、圧力0.5MPa)と二酸化炭素の臨界点(温度=31℃、圧力=7.4MPa)とを通る気液境界線、臨界温度の等温線及び固液境界線の3つの線に囲まれた範囲の温度・圧力条件にある二酸化炭素をいい、超臨界状態の二酸化炭素とは、臨界温度以上の温度・圧力条件である二酸化炭素をいい、亜臨界状態の二酸化炭素とは臨界温度よりも若干低温条件である二酸化炭素をいう。なお、圧力は、2成分以上の混合ガスの場合、全圧を意味する。
<分散方法2>で用いる液体状態、亜臨界状態又は超臨界状態である二酸化炭素は、公知の加圧設備(ブランジャーポンプ等)及び加熱設備(オイル温度調節機等)等を用いて気体を圧縮、加熱することで得ることができる。
混合物(X)に含まれる液体状態、亜臨界状態又は超臨界状態である二酸化炭素の含有量は、超臨界二酸化炭素との混合時に熱可塑性樹脂(B)が析出してこなければ特に制限はないが、液体状態、亜臨界状態又は超臨界状態である二酸化炭素の体積が混合物(X)の体積占める割合(体積百分率)が5〜20体積%であることが好ましい。
<分散方法2>において、混合物(X)の体積膨張は、混合物(X)に含まれる二酸化炭素の体積が膨張することに伴って起こる現象であり、混合物(X)の置かれた場所の圧力を混合物(X)の状態を維持する為に加圧した状態から更に低い圧力又は大気圧まで減圧した状態にすることで行うことができる。例えば、混合物(X)の製造装置(撹拌装置付きの耐圧混合容器及び連続式混合装置等)から混合物(X)を装置内の圧力より低い圧力の場所へ移すことで行うことができる。
なかでも、体積膨張を行う時の圧力は、二酸化炭素が気体となる圧力にまで減圧することが好ましい。減圧の速度については、熱電変換効率の観点から、目的の圧力にまで一気に減圧されることが好ましく、混合物(X)の製造装置は、一気に目的の圧力にまで減圧できる排圧弁を備えることが好ましい。
また、混合物(X)が混合物(X)の製造を行った装置から目的の圧力に調製された別の受け容器へ移送される場合には、混合物(X)を移送できる口径のノズルと受け容器を同じ圧力に保つレギュレーターを備えることが必要である。ただし、受け容器の圧力を大気圧とするのであれば、レギュレーターは不要である。
混合物(X)を体積膨張させた後、気化した二酸化炭素を排気することで本発明の熱電変換材料を得ることができる。
混合物(X)の作製を前記の希釈混合法で行った場合、更に溶媒を公知の乾燥方法(加熱乾燥、キルン乾燥及び凍結乾燥等)によって留去してもよい。
気化した二酸化炭素は、二酸化炭素だけを製造装置から排気してもよく、製造装置から混合物(X)を取り出す際に二酸化炭素を混合物(X)と同時に排気してもよい。排気の操作は、単位時間内における圧力変化量が小さくなるような排気速度で行うことが好ましく、二酸化炭素の排気に伴う圧力変化が3MPa/1分以下となる速度であることが更に好ましく、特に好ましくは1MPa/1分以下となる速度である。
本発明の熱電変換材料の製造方法は、液体状態、亜臨界状態又は超臨界状態である二酸化炭素、原料カーボンナノチューブ、熱可塑性樹脂(B)並びに必要により用いる無機粒子(C1)及びは/又は有機粒子(C2)を含む混合物(X)を体積膨張させる工程を含むことを特徴とする。
混合物(X)の作製及び混合物(X)を体積膨張させる工程は、前記の<分散方法2>に記載の方法で行うことができる。
混合物(X)を体積膨張させる工程を行って熱電変換材料を製造すると、原料カーボンナノチューブが折れることがなく、その長さを維持したまま熱可塑性樹脂(B)中に分散するため熱電変換素子の熱電変換効率が良好となる。
混合物(X)の作製及び混合物(X)を体積膨張させる工程は、前記の熱電変換材料を得るための<分散方法2>に記載の条件で行うことができ、好ましい条件も同様である。
本発明の製造方法において、ラインブレンド方法で製造する場合に用いる装置について図面を用いて説明する。
図1は、ラインブレンドによる混合方法で本発明の熱電変換材料の製造方法を実施する場合の装置のフローチャートである。
原料カーボンナノチューブ、熱可塑性樹脂(B)、必要により用いる無機粒子(C1)及び有機粒子(C2)を溶解槽(T1)で混合し、CNT樹脂混合物を作製する。
二酸化炭素が充填された二酸化炭素ボンベ(B1)から二酸化炭素を二酸化炭素ポンプ(P2)を通じてラインブレンドを行う反応用耐圧容器内[スタティックミキサー(M1)]に導入し、二酸化炭素が液状状態、亜臨界状態又は超臨界状態となるようにバルブ(V1)を調整してスタティックミキサー内の圧力及び温度を調整する。
次いで溶解槽(T1)から溶液ポンプ(P1)を通じてスタティックミキサー内にある二酸化炭素に混合物を導入し混合を行い、混合物(X)を作製する。ラインブレンドを行う温度は、調整することができるが、好ましくは100〜120℃である。また、装置内の滞留時間は特に限定されないが、0.1〜1800秒が好ましい。次いでスタティックミキサーでラインブレンドされた液は、バルブ(V1)を通って耐圧受け槽(T2)に排出される。耐圧受け槽の圧力を低く保つことで二酸化炭素を気化膨張させ、気化した二酸化炭素を排気することで本発明の熱電変換材料を得ることができる。
図2は、本発明の熱電変換材料の実施形態(熱電変換素子)の例を示した図である。
図2に記載の熱電変換素子(S1)は、紙等の柔軟性材料(S4)の表面に、本発明の熱電変換材料を用いて複数の線状熱電変換部(S2)を形成した例であり、10個の線状熱電変換部(S2)が10個の線状導電性部(S3)で接続されている。熱電変換部(S2)と線状導電性部(S3)とは接点(S6)を介し接続されている。また、10個の線状熱電変換部(S2)と10個の線状導電性部(S3)とを互いに接続した末端には電極(S5)を具備する。線状導電性部(S3)としては熱伝導性が低く導電性が高い材料を用いることが好ましく、導電性高分子を用いることが更に好ましい。
このように熱電変換部(S2)と異なる電気特性を導電性部(S3)とを接続することで、素子の幅や厚みを大きくすることなく熱電変換により生じる電力を大きくすることができる。
すなわち、一つの熱電変換部(S2)では例えば0.1mVの起電力であっても、10個を接続することで1.0mVの電圧を得ることができる。
なお、図2に記載の熱電変換素子において横方向に伸びる上下2つの長辺のいずれか1つの辺に温度を与えると、熱電変換部(S2)が有する2つの末端に温度差が生じ熱電変換部(S2)で電力が生じる。生じる電力は、電極(S5)と接続される配線(S7)を介して利用することができる。
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定するものではない。以下、特に規定しない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
<実施例1>
ポリスチレン(B−1:商品名「HF77」、PS Japan社製、ガラス転移温度:100℃、体積固有抵抗値1×1016Ω・m、熱伝導率0.1W/mK)100部、カーボンナノチューブ(A−1:商品名「SO」、名城ナノカーボン社製、数平均繊維長100μm、数平均繊維径0.05μm、熱伝導率500W/mK)5部及び酸化コバルト(C−1:「酸化コバルトナノパウダー」、Aldrich社製、体積平均粒子径50nm、熱伝導率0.5W/mK、25℃下での体積固有抵抗値5×10−8Ω・m)0.5部を120℃に加熱したバンバリーミキサーを用いて混合してCNT樹脂混合物を作製した。
次いで、図1に示した構成を有する製造装置を使用し、CNT樹脂混合物0.5部とテトラヒドロフラン(以下、THFと略記する。)20部を溶解槽(T1)に仕込み、撹拌してCNT樹脂混合物のTHF溶液を作成した。二酸化炭素ボンベ(B1)から二酸化炭素ポンプ(P2)を用い、液体状態の二酸化炭素を120℃に温調したラインブレンド装置(M1)[スタティックミキサー(ノリタケカンパニーリミテド製;内径0.5m、エレメント数27)、長さ2m]へ0.2L/hの流量で導入し、バルブ(V1)を調整してスタティックミキサー内の圧力15MPaとすることでスタティックミキサー内に超臨界状態の二酸化炭素を作成した。その後、流量、温度及び圧力を維持したまま二酸化炭素の導入を連続して行ながら、同時に溶解槽(T1)から溶液ポンプ(P1)を用いて前記のTHF溶液をスタティックミキサーへ1L/hの流量で導入し、CNF樹脂混合物のTHF溶液と超臨界状態の二酸化炭素とをスタティックミキサーでラインブレンドし、混合物(X)を作製した。ラインブレンド後の混合物(X)はスタティックミキサー出口のノズルから0.1MPaに調整した耐圧受け槽(T2)内に開放し、混合物(X)を体積膨張させると同時に二酸化炭素を気化させながら受け槽(T2)から排気した。二酸化炭素を排気した後の残留物を更に80℃の乾燥機内に1時間入れることで溶剤を留去して、本発明の熱電発電材料(Y−1)を作成した。
<実施例2>
ポリスチレン(B−1)100部、カーボンナノチューブ(A−2:商品名「スーパーグロースカーボンナノチューブ」、日本ゼオン社製、数平均繊維長1000μm、数平均繊維径0.05μm、熱伝導率700W/mK)5部及び酸化コバルト(C−1)0.5部を120℃に加熱したバンバリーミキサーにより、1000rpm、3時間撹拌し、熱電変換材料(Y−2)を作成した。
<実施例3>
ビーカーにカーボンナノチューブ(A−2:商品名「スーパーグロースカーボンナノチューブ」、日本ゼオン社製、数平均繊維長1000μm、数平均繊維径0.05μm、熱伝導率700W/mK)1部、THF99部を入れて攪拌し、カーボンナノチューブを均一に分散させた。ビーズミルを用いて分散し、THFを蒸発することで、カーボンナノチューブの繊維長を短くすることができ、300μm、数平均繊維径0.05μm、熱伝導度600W/mKのカーボンナノチューブを得た。
実施例1のカーボンナノチューブを上記カーボンナノチューブに変更する以外は、実施例1と同様にして、表1記載の熱電変換材料(Y−3)を作成した。
<実施例4>
実施例3と同様にビーズミルを用いてカーボンナノチューブの繊維長が800μmとなるまで分散し、それ以外は、実施例3と同様にして、表1記載の熱電変換材料(Y−4)を作成した。
<実施例5>
実施例3と同様にビーズミルを用いてカーボンナノチューブの繊維長が60μmとなるまで分散し、それ以外は、実施例3と同様にして、表1記載の熱電変換材料(Y−5)を作成した。
<実施例6>
実施例3と同様にビーズミルを用いてカーボンナノチューブの繊維長が100μmとなるまで分散し、それ以外は、実施例3と同様にして、表1記載の熱電変換材料(Y−6)を作成した。
<実施例7>
実施例1のポリスチレン(B−1:商品名「HF77」、PS Japan社製、ガラス転移温度:100℃、体積固有抵抗値1×1016Ω・m、熱伝導率0.1W/mK)をポリメチルメタクリレート(B−2:商品名「デルペット60N」、旭化成ケミカルズ社製、ガラス転移温度:100℃、体積固有抵抗値1×1015Ω・m、熱伝導率0.2W/mK)に変更する以外は、実施例1と同様にして表1記載の熱電変換材料(Y−7)を作成した。
<比較例1>
熱可塑性樹脂であるポリスチレン(B−1)100部、カーボンナノチューブ(A−1)50部及び酸化コバルト(C−1)0.5部を120℃に加熱したバンバリーミキサーにより、1000rpm、3時間撹拌し、比較用熱電変換材料(Y’−1)を作成した。
<比較例2>
比較例1のバンバリーミキサーにより、1000rpm、3時間攪拌を2時間に変更する以外は、比較例1と同様にして、比較用熱電変換材料(Y’−2)を作成した。
<比較例3>
比較例1のカーボンナノチューブ(A−1)50部を34.5部に変更する以外は比較例1と同様にして、比較用熱電変換材料(Y’−3)を作成した。
[カーボンナノチューブの数平均繊維長、変動係数と数平均繊維径の観察]
熱電変換材料(Y−1、2)及び比較用熱電変換材料(Y’−1)について、それぞれ透過型電子顕微鏡観察用試料を作製し、拡大観察してランダムに選択した任意のカーボンナノチューブ100本の繊維長及び繊維径を測定し、その平均値をそれぞれ数平均繊維長及び数平均繊維径として表1に記載した。また、繊維長の変動係数を表1に記載した。なお、視野からはみ出しており、繊維長及び繊維径が特定できないものについては測定を行わなかった。
[熱電変換素子の作成]
熱電変換材料(Y−1)〜(Y−2)及び比較用熱電変換材料(Y’−1)を120℃に過熱溶融し、それぞれ耐熱紙(製品名「セラミックペーパー」、太陽金網社製)の上に塗布して熱電変換部を形成し、更に導電性高分子分散液(製品名「デナトロンP−502RG」、ヘレウス社製)を塗布することで線状導電性部を形成して熱電変換部同士を接続し、末端に電極として銅線(製品名「C1100W銅線」、志摩鋼業製)を取り付けて図2に示す熱電変換素子を作製した。
作成した熱電変換素子について、下記の方法で熱起電力とゼーベック係数を測定し、その結果を表1に記載した。
[熱電変換素部材のゼーベック係数測定]
熱電変換部材(熱電変換素子)のゼーベック係数を、ナノボルトメーター(2182型ナノボルトメーター、Keithley社製)を接続した熱電変換素子を300Kの環境下に置き、一辺のみを310Kに加熱することにより発生する熱起電力△Vを測定し、ゼーベック係数α=△V/△Tを算出した。
ゼーベック係数はその値が大きいほど熱電変換材料としての性能がよいことを表す。ここで、Tは絶対温度である。
表1に示したように、実施例に記載の本発明の発電効率が高い、柔軟性を有する熱電変換素子であることが明らかである。
本発明の樹脂粒子の製造方法により、熱電変換効率が高く、大面積に利用でき、様々な形状の表面に対応できる柔軟性を持った熱電変換材料に好適であり、廃熱による発電シートとして利用できる。
T1:溶解槽(最高使用圧力20MPa、最高使用温度200℃、攪拌機つき)
T2:耐圧受け槽
B1:二酸化炭素ボンベ
P1:溶液ポンプ
P2:二酸化炭素ポンプ
M1:スタティックミキサー(反応用耐圧容器)
V1:バルブ
S1:熱電変換素子
S2:熱電変換部(熱電変換材料)
S3:線状導電性部
S4:柔軟性材料
S5:電極
S6:接点
S7:配線

Claims (5)

  1. カーボンナノチューブ(A)が熱可塑性樹脂(B)中に分散されてなり、更に無機粒子(C1)及び/又は有機粒子(C2)を含有し、以下の(1)〜(3)の全てを満たす熱電変換材料であって、前記無機粒子(C1)及び有機粒子(C2)が体積平均粒子径が5〜100nmであって、前記無機粒子(C1)が、フラーレンからなる粒子、シリコンからなる粒子、ゲルマニウムからなる粒子、セレンからなる粒子、酸化亜鉛からなる粒子、酸化スズからなる粒子、酸化インジウムからなる粒子、酸化鉄からなる粒子、酸化コバルトからなる粒子、酸化マンガンからなる粒子、酸化ニッケルからなる粒子、酸化クロムからなる粒子、酸化ベリリウムからなる粒子、酸化ガリウムからなる粒子、酸化ウランからなる粒子、酸化鉛からなる粒子、酸化銀からなる粒子、酸化銅からなる粒子、酸化バナジウムからなる粒子、セレン化カドミウムからなる粒子、硫化カドミウムからなる粒子、セレン化亜鉛からなる粒子、硫化亜鉛からなる粒子、硫化鉄からなる粒子、炭化珪素からなる粒子、シリコンゲルマニウムからなる粒子、ヒ化ガリウムからなる粒子、リン化インジウムからなる粒子、及び窒化ガリウムからなる粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種であって、
    前記有機粒子(C2)が、アントラセンからなる粒子、ポリチオフェンからなる粒子、ポリアセチレンからなる粒子、ポリピロールからなる粒子、ポリアニリンからなる粒子、電荷移動錯体(TCNQ錯体)からなる粒子、前記無機粒子(C1)を内包するデンドリマーからなる粒子、及び前記無機粒子(C1)を内包するタンパク質からなる粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種である熱電変換材料:
    (1)熱可塑性樹脂(B)に分散しているカーボンナノチューブ(A)の数平均繊維長が50〜1000μmである;
    (2)熱可塑性樹脂(B)の25℃での体積固有抵抗値が1×10 12 〜1×10 16 Ω・mである;
    (3)カーボンナノチューブ(A)の含有量がカーボンナノチューブ(A)と熱可塑性樹脂(B)との合計重量に基づいて0.1〜20重量%である。
  2. カーボンナノチューブ(A)の熱伝導率が500〜3000W/mKである請求項1に記載の熱電変換材料。
  3. 前記無機粒子(C1)が、酸化コバルトからなる粒子、酸化マンガンからなる粒子、及びセレン化亜鉛からなる粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種であって、
    前記有機粒子(C2)が、前記無機粒子(C1)を内包するデンドリマーからなる粒子、及び前記無機粒子(C1)を内包するタンパク質からなる粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の熱電変換材料。
  4. 無機粒子(C1)及び有機粒子(C2)の合計含有量がカーボンナノチューブ(A)の重量に基づいて5〜20重量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱電変換材料。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱電変換材料の製造方法であって、液体状態、亜臨界状態又は超臨界状態である二酸化炭素、カーボンナノチューブ(A)及び熱可塑性樹脂(B)を含む混合物(X)を体積膨張させる工程を含むことを特徴とする熱電変換材料の製造方法。
JP2016031015A 2015-03-10 2016-02-22 熱電変換材料及びその製造方法 Active JP6730816B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015046953 2015-03-10
JP2015046953 2015-03-10

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016171313A JP2016171313A (ja) 2016-09-23
JP6730816B2 true JP6730816B2 (ja) 2020-07-29

Family

ID=56982620

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016031015A Active JP6730816B2 (ja) 2015-03-10 2016-02-22 熱電変換材料及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6730816B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6683844B2 (ja) * 2017-09-06 2020-04-22 積水化学工業株式会社 熱可塑性樹脂フィルム、熱電変換フィルム、合わせガラス及び熱電変換合わせガラス
CN109524535A (zh) * 2017-09-19 2019-03-26 中国科学院上海硅酸盐研究所 一种柔性有机热电器件及其制备方法
KR102109842B1 (ko) * 2017-12-26 2020-05-12 국민대학교산학협력단 열전모듈, 이를 포함하는 건축재, 및 상기 열전모듈의 제작방법
JP7440028B2 (ja) * 2019-01-08 2024-02-28 味の素株式会社 組成物

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4062619B2 (ja) * 2003-11-20 2008-03-19 日立マクセル株式会社 成形体及び成形体の製造方法
JP4404702B2 (ja) * 2004-06-30 2010-01-27 株式会社プラスチック工学研究所 カーボンナノ線条体分散樹脂組成物の製造方法
CN102792441B (zh) * 2010-03-12 2016-07-27 富士通株式会社 散热结构及其制造方法
KR101721016B1 (ko) * 2011-02-07 2017-03-29 다이요 닛산 가부시키가이샤 복합 수지 재료 입자, 복합 수지 재료 입자의 제조 방법, 복합 수지 성형체 및 그 제조 방법
WO2012133314A1 (ja) * 2011-03-28 2012-10-04 富士フイルム株式会社 導電性組成物、当該組成物を用いた導電性膜及びその製造方法
JP2013095820A (ja) * 2011-10-31 2013-05-20 Fujifilm Corp 導電性組成物、並びにこれを用いた導電性膜及び導電性積層体
JP5848284B2 (ja) * 2012-07-11 2016-01-27 富士フイルム株式会社 熱電変換素子及びこれを用いた熱電変換材料
JP6151618B2 (ja) * 2013-06-24 2017-06-21 富士フイルム株式会社 熱電変換層形成用組成物、熱電変換層素子および熱電発電物品
JP5984748B2 (ja) * 2013-07-01 2016-09-06 富士フイルム株式会社 熱電変換素子および熱電変換モジュール
WO2015005340A1 (ja) * 2013-07-08 2015-01-15 富士フイルム株式会社 熱電変換材料、熱電変換素子ならびにこれを用いた熱電発電用物品およびセンサー用電源

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016171313A (ja) 2016-09-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Shrivastava et al. Development of electrical conductivity with minimum possible percolation threshold in multi-wall carbon nanotube/polystyrene composites
JP6730816B2 (ja) 熱電変換材料及びその製造方法
El Achaby et al. Mechanical, thermal, and rheological properties of graphene‐based polypropylene nanocomposites prepared by melt mixing
Ning et al. Multifunctional super-aligned carbon nanotube/polyimide composite film heaters and actuators
Pang et al. Conductive polymer composites with segregated structures
Bao et al. Effect of mechanical stretching on electrical conductivity and positive temperature coefficient characteristics of poly (vinylidene fluoride)/carbon nanofiber composites prepared by non-solvent precipitation
Azizi et al. Electrical and thermal conductivity of ethylene vinyl acetate composite with graphene and carbon black filler
Fu et al. Recent advances in graphene/polyamide 6 composites: a review
KR101682007B1 (ko) 그래핀의 제조 방법
US10131752B2 (en) Polymer nanocomposites
Tzounis et al. Influence of a cyclic butylene terephthalate oligomer on the processability and thermoelectric properties of polycarbonate/MWCNT nanocomposites
Sathyanarayana et al. Thermoplastic nanocomposites with carbon nanotubes
Khurram et al. Correlation of electrical conductivity, dielectric properties, microwave absorption, and matrix properties of composites filled with graphene nanoplatelets and carbon nanotubes
Jang et al. Nano-bridge effect on thermal conductivity of hybrid polymer composites incorporating 1D and 2D nanocarbon fillers
Wijewardane Potential applicability of CNT and CNT/composites to implement ASEC concept: a review article
Fu et al. Interfacial enhancement effect of graphene quantum dots on PEDOT: PSS/single-walled carbon nanotubes thermoelectric materials
Chen et al. Using supercritical carbon dioxide in preparing carbon nanotube nanocomposite: Improved dispersion and mechanical properties
Rahaman et al. Electrical conductivity of polymer–carbon composites: Effects of different factors
Lei et al. Preparation process and properties of exfoliated graphite nanoplatelets filled Bisphthalonitrile nanocomposites
KR101639600B1 (ko) 고온 열처리를 통한 고전도성 페이스트 제조방법 및 이를 이용하여 제조된 고전도성 페이스트 조성물
JP7294346B2 (ja) カーボンナノチューブ分散液
Begum et al. Exploitation of carbon nanotubes in high performance polyvinylidene fluoride matrix composite: A review
Patra et al. Reduction of percolation threshold of multiwall carbon nanotube (MWCNT) in polystyrene (PS)/low‐density polyethylene (LDPE)/MWCNT nanocomposites: An eco‐friendly approach
Trihotri et al. Study of low weight percentage filler on dielectric properties of MCWNT-epoxy nanocomposites
Ramanujam et al. Analysis of electrical and thermal conductivities of polyethersulfone-graphite based hybrid nanocomposites

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190206

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191107

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200107

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200127

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200630

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200703

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6730816

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150