JP2015189832A - 導電性組成物、導電膜及び有機半導体デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】導電率が高く、かつ、折り曲げられた後においても優れた導電率が維持される導電膜が得られる導電性組成物、上記導電性組成物から得られる導電膜、及び上記導電膜を用いた有機半導体デバイスを提供する。【解決手段】下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するπ共役ポリマーと、酸化剤と、酸基又はその塩を有する非共役ポリマーと、分子量2000以下で、環構造を有するπ共役化合物とを含有する、導電性組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、導電性組成物、導電膜及び有機半導体デバイスに関する。
近年、半導体として有機材料を使用した有機半導体デバイス(例えば、有機トランジスタ、光電変換素子、熱電変換素子、有機ELなど)が盛んに開発されている。また、プロセス面のメリットなどから有機材料としてポリマーを使用する研究も行われている。
例えば、特許文献1には、塩化鉄等の酸化剤を用いて酸化重合により得られた特定の構造単位を有する高分子化合物が開示され、さらに、上記高分子化合物を含有する組成物を電荷輸送層に使用した有機トランジスタが開示されている。
特開2013−170134号公報
一方、有機半導体デバイスの高機能化や小型化などに伴い、有機半導体層(導電膜)がより高い導電率を示すことが要求されている。また、有機半導体デバイスにフレキシブル性が求められており、それに伴って導電膜が折り曲げられた際にも高い導電率を示すことが要求されている。つまり、高い導電率を示すと共に、折り曲げられた後にも優れた導電率を示す導電膜が要求されている。
このようななか、本発明者らが特許文献1を参考に、酸化剤を用いて酸化重合により得られた高分子化合物(π共役ポリマー)を含有する導電性組成物について検討したところ、得られた導電膜は上記要件を十分には満たしておらず、更なる改良が必要であった。
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、導電率が高く、かつ、折り曲げられた後においても優れた導電率が維持される導電膜が得られる導電性組成物、上記導電性組成物から得られる導電膜、及び上記導電膜を用いた有機半導体デバイスを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、酸基又はその塩を有する非共役ポリマーと、所定の分子量のπ共役化合物とを併用することにより、所望の効果が得られることを知見した。すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) 後述する一般式(1)で表される繰り返し単位を有するπ共役ポリマーと、酸化剤と、酸基又はその塩を有する非共役ポリマーと、分子量2000以下で、環構造を有するπ共役化合物とを含有する、導電性組成物。
(2) 環構造を有するπ共役化合物の含有量が、全固形分に対して、0.1〜30質量%である、(1)に記載の導電性組成物。
(3) 更に、親水性溶媒を含有する、(1)又は(2)に記載の導電性組成物。
(4) 親水性溶媒の沸点が、130℃以上である、(3)に記載の導電性組成物。
(5) 更に、還元剤を含有する、(1)〜(4)のいずれかに記載に導電性組成物。
(6) 還元剤と酸化剤との質量比が0.001〜0.5である、(5)に記載の導電性組成物。なお、上記質量比は、還元剤の質量/酸化剤の質量を表す。
(7) 環構造を有するπ共役化合物が、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、及び、後述する一般式(X)で表されるπ共役化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、(1)〜(6)のいずれかに記載の導電性組成物。
(8) π共役ポリマーが、酸化剤及び非共役ポリマーの存在下、酸化重合法によって重合することにより得られる、(1)〜(7)のいずれかに記載の導電性組成物。
(9) 一般式(1)において、A環が、ベンゼン環、ピロール環、チオフェン環、ピリジン環、シクロペンタジエン環、又はシロール環である、(1)〜(8)のいずれかに記載の導電性組成物。
(10) 一般式(1)において、nが、1〜3の整数である、(1)〜(9)のいずれかに記載の導電性組成物。
(11) 一般式(1)において、X及びX、又は、X及びXが、それぞれ独立して硫黄原子、酸素原子、又はNR基(ここでRは水素原子又はアルキル基)である、(1)〜(10)のいずれかに記載の導電性組成物。
(12) 酸基又はその塩が、スルホ基又はその塩を含む、(1)〜(11)のいずれかに記載の導電性組成物。
(13) 酸化剤が、鉄(III)塩、銅(II)塩、過酸化物、及び過酸からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、(1)〜(12)のいずれかに記載の導電性組成物。
(14) 水に、π共役ポリマーと、酸化剤と、非共役ポリマーと、環構造を有するπ共役化合物とを分散させることで得られる、(1)〜(13)のいずれかに記載の導電性組成物。
(15) (1)〜(14)のいずれかに記載の導電性組成物から得られる導電膜。
(16) キャリア濃度が、1×1024〜3×1026個/mである、(15)に記載の導電膜。
(17) (15)または(16)に記載の導電膜を用いた有機半導体デバイス。
(18) 基材と、電極と、(15)または(16)に記載の導電膜とをこの順に備える、有機半導体デバイス。
以下に示すように、本発明によれば、導電率が高く、かつ、折り曲げられた後においても優れた導電率が維持される導電膜が得られる導電性組成物、上記導電性組成物から得られる導電膜、及び上記導電膜を用いた有機半導体デバイスを提供することができる。
本発明の熱電変換素子の一例を模式的に示す断面図である。図1中の矢印は素子の使用時に付与される温度差の方向を示す。 本発明の熱電変換素子の一例を模式的に示す断面図である。図2中の矢印は素子の使用時に付与される温度差の方向を示す。 本発明の熱電変換素子の一例(モジュール)を模式的に示す断面図である。 図4(a)及び図4(b)は、それぞれ本発明の光電変換素子の一実施態様を示す断面模式図である。
以下に、本発明の導電性組成物、導電膜、及び有機半導体デバイスについて説明する。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの双方又はいずれかを表すものであり、これらの混合物をも包含するものである。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明の特徴点としては、上述したように、酸基又はその塩を有する非共役ポリマーと、所定の分子量のπ共役化合物とを併用する点が挙げられる。酸基又はその塩を有する非共役ポリマーを使用することにより導電膜中でのπ共役ポリマーの分散状態がより良好となると共に、π共役ポリマーのドーピング状態が安定するため、導電率が向上する。また、従来の導電膜を用いて折り曲げ試験を行った際に、導電率が低下する原因としてπ共役ポリマー間のπ−πスタッキングが一部解消されるためと推測される。一方、所定の分子量のπ共役化合物は環構造を有するためπ共役ポリマーとπ−πスタッキングしやすく、かつ、分子量が比較的小さいためπ共役ポリマー間に侵入(インターカレーション)しやすい。そのため、このπ共役化合物を使用した導電膜においては、導電膜を折り曲げた後にもπ共役ポリマー間にπ共役化合物が存在し、π共役ポリマー間でホッピングによる電荷移動を助ける役割(導電性助剤としての役割)を果たすため、結果として折り曲げ試験後においても導電膜が優れた導電率を示す。
[導電性組成物]
本発明の導電性組成物(以下、本発明の組成物とも言う)は、後述する一般式(1)で表される繰り返し単位を有するπ共役ポリマー(A)と、酸化剤(B)と、酸基又はその塩を有する非共役ポリマー(C)と、分子量2000以下で、環構造を有するπ共役化合物(D)とを含有する。
以下、本発明の組成物が含有する各成分について説明する。
<π共役ポリマー(A)>
π共役ポリマー(A)は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するπ共役ポリマーである。ここで、π共役ポリマーとは、主鎖がπ電子又は孤立電子対のローンペアで共役する構造を有するポリマーを指す。
π共役ポリマー(A)中の下記一般式(1)で表される繰り返し単位の平面性が高いため、ポリマー分子間のπ軌道の重なりが大きい。結果として、ポリマー分子間のキャリアのホッピングが促進され、得られる導電膜の高導電率に繋がるものと推測される。
なお、π共役ポリマー(A)中に下記一般式(1)で表される繰り返し単位が複数存在する場合、複数存在する下記一般式(1)で表される繰り返し単位は同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2015189832
一般式(1)中、A環は共役炭化水素環又は共役複素環を表す。
ここで、共役炭化水素環とは、共役構造を有する炭化水素環を指す。また、共役複素環とは共役構造を有する複素環を表す。なお、共役構造とは、2つの「炭素原子−炭素原子(C−C)多重結合」が単結合を介して繋がった構造を指す。共役構造は、2つのC−C2重結合が単結合を介して繋がった構造であるのが好ましい。
共役炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、シクロペンタジエン環などが挙げられる。
共役複素環構造としては、例えば、ピロール環、チオフェン環、ピリジン環、シロール環、フラン環などが挙げられる。
A環は、ベンゼン環、ピロール環、チオフェン環、ピリジン環、シクロペンタジエン環、又はシロール環であるのが好ましい。
一般式(1)中、nは0又は1以上の整数を表す。なかでも、1〜3の整数が好ましい。nが2以上の整数である場合に複数存在するA環は同一であっても異なってもよい。
ここで、nは、縮環することにより繋がっているA環の数を表す。
例えば、後述する実施例で使用されるπ共役ポリマー1は、nが1であり、1つのA環がベンゼン環の態様である。
また、後述する実施例で使用されるπ共役ポリマー3は、nが2であり、2つのA環が共にベンゼン環の態様である。
また、後述する実施例で使用されるπ共役ポリマー4は、nが3であり、3つのA環全てがベンゼン環の態様である。
また、後述する実施例で使用されるπ共役ポリマー7は、nが3であり、3つのA環のうち2つがシロール環、1つのA環がベンゼン環の態様である。
なお、nが0の場合、A環が無く、X及びXを含む単環と、X及びXを含む単環とが縮環していることを表す。すなわち、一般式(1)は下記一般式(n0)で表される。
Figure 2015189832
一般式(1)中、X、X、X、及びXは、それぞれ独立して、ヘテロ原子、置換基(例えば、後述する置換基W)を有するヘテロ原子、−CH=CH−基、又は、=CH−基を表す。ヘテロ原子は特に制限されないが、具体例としては、窒素原子(より具体的には、例えば、−NH−基)、酸素原子、硫黄原子などが挙げられる。
及びX、又は、X及びXは、それぞれ独立して硫黄原子、酸素原子、又はNR基(ここでRは水素原子又はアルキル基)であるのが好ましい。
一般式(1)中、X及びXを含む単環、並びに、X及びXを含む単環はいずれも芳香環を表す。
例えば、Xが−CH=CH−基であり、Xが=CH−基である場合、X及びXを含む単環はベンゼン環を表す。また、Xが硫黄原子であり、Xが=CH−基である場合、X及びXを含む単環はチオフェン環を表す。
及びXを含む単環、及び、X及びXを含む単環の具体例としては、例えば、ベンゼン環などの芳香族炭化水素環や、後述する5員環の芳香族ヘテロ環又は6員環の芳香族ヘテロ環が挙げられる。
一般式(1)中、R、R、及びRは、それぞれ独立して、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30)、ポリエチレンオキシエーテル基(以下、構造式参照)、アルキルチオ基(RS−:Rはアルキル基(好ましくは炭素数1〜30)を表す。)、ポリエチレンオキシチオエーテル基(以下、構造式参照)、アルキルアミノ基(Rn1n2N−:Rn1及びRn2はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基(好ましくは炭素数1〜30)を表す。ただし、Rn1及びRn2の少なくとも一方はアルキル基を表す。)、又はポリエチレンオキシアミノ基(以下、構造式参照)を表す。
なお、以下式中、Rは水素原子又はアルキル基を表す。nは、1〜10の整数を表す。波線部は、結合位置を表す。
Figure 2015189832
、R、及びR中の炭素原子は、酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよい。
、R、及びRは互いに任意の位置で連結していてもよい。
、R、及びRは置換基(例えば、後述する置換基W)を有してもよい。
一般式(1)中、nAはA環に置換するRの数を表し、具体的には0又は1以上の整数を表す。nAの上限は、A環に置換可能なRの数の最大値である。nAは、0又は1〜2の整数であることが好ましい。
一般式(1)中、nBは、X及びXを含む単環に置換するRの数を表し、具体的には0又は1以上の整数を表す。nBの上限は、X及びXを含む単環に置換可能なRの数の最大値である。nBは、0又は1〜2の整数であることが好ましい。
一般式(1)中、nCは、X及びXを含む単環に置換するRの数を表し、具体的には0又は1以上の整数を表す。nCの上限は、X及びXを含む単環に置換可能なRの数の最大値である。nCは、0又は1〜2の整数であることが好ましい。
一般式(1)中、アスタリスク(星印)は結合位置を表す。
π共役ポリマー(A)は、一般式(1)で表される繰り返し単位以外の別の繰り返し単位を有してもよい。
なお、π共役ポリマー(A)が複数の繰り返し単位を有する場合には、共重合様式は、特に限定されず、ブロック共重合、交互共重合、ランダム共重合、グラフト共重合のいずれでもよい。
上記別の繰り返し単位は、主鎖の共役系を形成可能な連結基、原子又はこれらを組合せたものであればよい。このような別の繰り返し単位は、特に限定されないが、エテニレン基、エチニレン基、アリーレン基及びヘテロアリーレン基からなる群より選択される少なくとも1種の繰り返し単位が好ましい。
上記アリーレン基の炭素数は6〜20が好ましく、6〜15がより好ましい。アリーレン基は好ましくはフェニレン基、ナフチレン基である。
上記アリーレン基は、主鎖の共役系を形成可能な原子、好ましくは窒素原子に結合した複数の芳香環を有し、異なる芳香環で主鎖に結合する基を含んでいてもよい。このような基として、例えば、異なるフェニル基で主鎖に結合する、トリフェニルアミンから得られる2価の基が挙げられる。
また、上記ヘテロアリーレン基の炭素数は3〜20が好ましく、5〜12がより好ましい。ヘテロアリーレン基を構成するヘテロ環は、特に限定されないが、5員環又は6員環が好ましく、このヘテロ環を構成するヘテロ原子としては、特に限定されないが、硫黄原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、セレン原子等が好適に挙げられる。ヘテロアリーレン基の好ましい例としては、2価のチオフェン環、2価のチアゾール環、2価のオキサゾール環、2価のフラン環、2価のピロール環、2価のセレノフェン環、2価のチアゾール環、2価のオキサゾール環、2価のホスホール環、2価のホスホリン環、2価のチアジアゾール環、2価のオキサジアゾール環、2価のピラゾール環、2価のイミダゾール環、2価のピリジン環、2価のピラジン環、2価のピリダジン環、2価のトリアジン環、2価のトリアゾール環、2価のテトラジン環が挙げられる。
上記アリーレン基及びヘテロアリーレン基は、それぞれ、縮環していてもよい。
縮環する環は脂肪族環であっても芳香族環であってもよく、また炭化水素環であってもヘテロ環であってもよい。なかでも、芳香族環構造を含む環が好ましく、芳香族へテロ環構造を含む環がより好ましい。
縮合する環を構成する芳香族炭化水素環としては、芳香族性を有する単環の炭化水素環であればよく、その基本となる環としてベンゼン環が挙げられる。
縮合する環を構成する芳香族へテロ環としては、芳香族性を有する単環のヘテロ環であれば特に限定されないが、5員環の芳香族ヘテロ環又は6員環の芳香族ヘテロ環が好適に挙げられる。ヘテロ環を構成するヘテロ原子としては、硫黄原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、セレン原子等が挙げられ、酸素原子、硫黄原子、窒素原子が好ましく、硫黄原子、窒素原子がより好ましい。5員環の芳香族ヘテロ環としては、例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、セレノフェン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、ジアゾール環、ピリジン環、ピラジン環が挙げられる。6員環の芳香族ヘテロ環としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環が挙げられる。なかでも、チオフェン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアジアゾール環、ジアゾール環、ピリジン環、ピラジン環がさらに好ましい。
縮環したアリーレン基又はヘテロアリーレン基となるものとしては、例えば、フルオレン、ジチエノシロール、シクロペンタジチオフェン、ベンゾジチオフェン、チエノ[3,4−b]チオフェン、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン、ベンゾフルオレン等が挙げられる。なお、アリーレン基及びヘテロアリーレン基が縮環している場合に、主鎖と連結する連結位置は、同一の環を構成する環構成原子であっても、異なる環を構成する環構成原子であってもよい。
上記別の繰り返し単位は、置換基(例えば、後述する置換基W)を有していてもよい。
π共役ポリマー(A)中の一般式(1)で表される繰り返し単位の含有量は特に制限されないが、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。上限は特に制限されず、100質量%である(すなわち、一般式(1)で表される繰り返し単位のホモポリマー)。
π共役ポリマー(A)の分子量は特に制限されないが、重量平均分子量(Mw)で5000〜20万であることが好ましく、1万〜15万であることがより好ましい。
なお、本明細書において重量平均分子量は、GPC(溶媒:THF)により測定されたポリスチレン換算値である。
(製造方法)
π共役ポリマー(A)の製造方法は特に制限されず、公知の方法を利用することができる。例えば、重合後に上述した一般式(1)で表される繰り返し単位となるモノマーを酸化重合法やカップリング重合法により重合させる方法などが挙げられる。なかでも、酸化重合法により重合させる方法が好ましい。
(好適な態様)
π共役ポリマー(A)は、酸化剤の存在下、酸化重合法によって重合することにより得られるものであるのが好ましい。なかでも、後述する、酸化剤及び非共役ポリマー(C)の存在下、酸化重合法によって重合することにより得られるものであるのがより好ましい。
非共役ポリマー(C)の存在下で重合することにより、π共役ポリマー(A)と非共役ポリマー(C)との分散性が向上するため、キャリアパスが形成されやすくなり、得られる導電膜の導電率がより高くなる。
なお、酸化重合法で使用した酸化剤を後述する酸化剤(B)としても使用するのが好ましい。酸化剤の具体例及び好適な態様は後述する酸化剤(B)と同じである。
以下にπ共役ポリマー(A)を構成する繰り返し単位の具体例として下記構造が挙げられる。下記構造の*は繰り返し単位の連結位置を示す。
Figure 2015189832
Figure 2015189832
Figure 2015189832
Figure 2015189832
本発明の組成物において、π共役ポリマー(A)の含有量は特に制限されないが、導電膜の導電率がより優れる、及び/又は、折り曲げ後でも優れた導電率がより維持される点(以後、単に「本発明の効果がより優れる点」とも称する)で、組成物中の全固形分に対して、5〜70質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。
<酸化剤(B)>
酸化剤(B)は、上述したπ共役ポリマー(A)のドーパントとして機能する。なお、π共役ポリマー(A)が、酸化剤の存在下、酸化重合法によって重合することにより得られるものであり、酸化重合法で使用した酸化剤を酸化剤(B)としても使用する場合、酸化剤(B)は、酸化重合剤としても機能する。
酸化剤(B)としては特に制限されないが、鉄(III)塩、銅(II)塩、過酸化物、及び過酸からなる群より選択される少なくとも1種の化合物が好ましい。
酸化剤(B)の具体例としては、ハロゲン(Cl,Br,I,ICl,ICl,IBr,IF)、ルイス酸(PF,AsF,SbF,BF,BCl,BBr,SO)、遷移金属化合物(FeCl,FeOCl,TiCl,ZrCl,HfCl,NbF,NbCl,TaCl,MoF,MoCl,WF,WCl,UF,LnCl(Ln=La,Ce,Pr,Nd,Sm等のランタノイド)、その他、XeOF,(NO )(SbF ),(NO )(SbCl ),AgClO,HIrCl,La(NO・6HO)、O、O、(NO )(BF )、FSOOOSOF、塩化鉄(III)六水和物、無水塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)九水和物、無水硝酸第二鉄、硫酸鉄(III)n水和物(n=3〜12)、硫酸鉄(III)アンモニウム十二水和物、過塩素酸鉄(III)n水和物(n=1,6)、テトラフルオロホウ酸鉄(III)等の無機酸の鉄(III)塩;塩化銅(II)、硫酸銅(II)、テトラフルオロホウ酸銅(II)等の無機酸の銅(II)塩;テトラフルオロホウ酸ニトロソニウム;過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過ヨウ素酸カリウム等の過ヨウ素酸塩;過酸化水素、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム、硫酸四アンモニウムセリウム(IV)二水和物;p−トルエンスルホン酸鉄(III)等の有機酸の鉄(III)塩;有機スルホン酸第二鉄、などが挙げられる。
上記有機スルホン酸第二鉄の有機スルホン酸としては、例えば、ベンゼンスルホン酸又はその誘導体、ナフタレンスルホン酸又はその誘導体、アントラキノンスルホン酸又はその誘導体などの芳香族系スルホン酸が好適に用いられる。
上記ベンゼンスルホン酸又はその誘導体におけるベンゼンスルホン酸誘導体としては、例えば、トルエンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、プロピルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、メトキシベンゼンスルホン酸、エトキシベンゼンスルホン酸、プロポキシベンゼンスルホン酸、ブトキシベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸などが挙げられ、ナフタレンスルホン酸又はその誘導体におけるナフタレンスルホン酸誘導体としては、例えば、ナフタレンジスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、エチルナフタレンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸などが挙げられ、アントラキノンスルホン酸又はその誘導体におけるアントラキノンスルホン酸誘導体としては、例えば、アントラキノンジスルホン酸、アントラキノントリスルホン酸などが挙げられる。これらの芳香族系スルホン酸の中でも、特に、トルエンスルホン酸、メトキシベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸などが好ましく、とりわけ、パラトルエンスルホン酸、メトキシベンゼンスルホン酸が好ましい。
酸化剤(B)は、無機酸もしくは有機酸の鉄塩(III)、又は過硫酸塩が好ましく、過硫酸アンモニウム又はp−トルエンスルホン酸鉄(III)がより好ましく、p−トルエンスルホン酸鉄(III)がさらに好ましい。
本発明の組成物において、酸化剤(B)の含有量は特に制限されないが、組成物中の全固形分に対して、本発明の効果がより優れる点で、1〜45質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。
<非共役ポリマー(C)>
非共役ポリマー(C)は、酸基又はその塩を有し、ポリマー主鎖の共役構造で導電性を示さないポリマー(高分子)であれば特に制限されない。共役構造の定義は上述のとおりである。なお、非共役ポリマー(C)はバインダーとして機能し、得られる導電膜の強度を高める。
非共役ポリマー(C)は、好ましくは、ポリマー主鎖が、芳香環(炭素環系芳香環、ヘテロ芳香環)、エチニレン結合、エテニレン結合及び孤立電子対を有するヘテロ原子から選択される環、基、又は原子から構成されているポリマー以外のポリマー、又は、これらの基を含んでも孤立して組み込まれているポリマーである。
非共役ポリマー(C)は、ビニル化合物、(メタ)アクリレート化合物、カーボネート化合物、エステル化合物、アミド化合物、イミド化合物、フッ素化合物及びシロキサン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物に由来する構成成分を繰り返し構造として含む非共役ポリマーが好ましい。これらの化合物は置換基(例えば、後述する置換基W)を有していてもよい。
ビニル化合物は、具体的には、スチレン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、ビニルピリジン、ビニルナフタレン、ビニルフェノール、酢酸ビニル、スチレンスルホン酸、ビニルトリフェニルアミン等のビニルアリールアミン類、ビニルトリブチルアミン等のビニルトリアルキルアミン類等が挙げられる。また、これら以外に、例えば、ポリオレフィンの構成成分に対応するオレフィンである炭素数2〜4のオレフィン(エチレン、プロピレン、ブテン等)が挙げられる。
(メタ)アクリレート化合物は、具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート等の無置換アルキル基含有疎水性アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、1−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、1−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、1−ヒドロキシブチルアクリレート等の水酸基含有アクリレート等のアクリレートモノマー、これらのモノマーのアクリロイル基をメタクリロイル基に換えたメタクリレート系モノマー等が挙げられる。
カーボネート化合物に由来する構成成分を繰り返し構造として含むポリカーボネートの具体例として、ビスフェノールAとホスゲンからなる汎用ポリカーボネート、ユピゼータ(商品名、三菱ガス化学株式会社製)、パンライト(商品名、帝人化成株式会社製)等が挙げられる。
エステル化合物を構成しうる化合物として、ポリアルコール及びポリカルボン酸、乳酸等のヒドロキシ酸が挙げられる。ポリエステルの具体例として、バイロン(商品名、東洋紡績株式会社製)等が挙げられる。
アミド化合物に由来する構成成分を繰り返し構造として含むポリアミドの具体例として、PA−100(商品名、株式会社T&K TOKA製)等が挙げられる。
イミド化合物に対応する構成成分を繰り返し構造として含むポリイミドの具体例として、ソルピー6,6−PI(商品名、ソルピー工業株式会社製)等が挙げられる。
フッ素化合物として、具体的には、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル等が挙げられる。
シロキサン化合物に由来する構成成分を繰り返し構造として含むポリシロキサンとして、具体的には、ポリジフェニルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン等が挙げられる。
非共役ポリマー(C)は酸基又はその塩を有する。非共役ポリマー(C)が酸基又はその塩を有すると、π共役ポリマー(A)のドーピング状態が安定する。
酸基としては特に制限されないが、カルボキシ基(−COOH)、スルホ基(−SOH)、ホスホン酸基(−PO(OH))などが挙げられる。なかでも、スルホ基が好ましい。
なかでも、酸基としては、スルホ基(スルホン酸基)又はその塩が好ましく、具体的には、一般式(W)で表される基が好ましい。
一般式(W) −SO−M
Mは、水素原子、金属原子又はアンモニウム(NH)を表す。また、金属原子である場合のMとしては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属(1価の金属)の原子が挙げられる。
また、非共役ポリマー(C)は以下の化合物(P−1〜P−37)であることも好ましい。P−1〜P−37において、x,y,zはそれぞれの単量体成分のモル%を、Mwは重量平均分子量を表す。
Figure 2015189832
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非共役ポリマー(C)の分子量は特に制限されないが、重量平均分子量(Mw)で5000〜30万であることが好ましく、1万〜15万であることがより好ましい。
本発明の組成物において、非共役ポリマー(C)の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、組成物中の全固形分に対して、10〜75質量%であることが好ましく、30〜65質量%であることがより好ましい。
<分子量2000以下で、環構造を有するπ共役化合物(D)>
π共役化合物(D)(π共役系化合物)は、共役系の分子構造を有する化合物(低分子π共役化合物)である。なお、π共役化合物(D)には、上記π共役ポリマー(A)は含まれない。
π共役化合物(D)の分子量は2000以下であり、本発明の効果がより優れる点で、1700以下が好ましく、1500以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、取扱い性がより優れる点で、100以上が好ましく、200以上がより好ましい。
分子量が2000超の場合、所望の効果が得られない。
なお、π共役化合物(D)は、低分子化合物であっても、高分子化合物(所定の繰り返し単位を複数有する化合物)であってもよい。なお、π共役化合物(D)が高分子化合物である場合、その高分子化合物の重量平均分子量が上記範囲内(2000以下)であればよい。
π共役化合物(D)は、環構造を有する。環構造としては、芳香族炭化水素環及び芳香族ヘテロ環からなる群より選択される少なくとも一種を含む構造が挙げられる。
芳香族炭化水素環としては、単環の芳香族炭化水素環(例えば、ベンゼン環)であっても、多環の芳香族炭化水素環(縮合多環芳香族炭化水素基)(例えば、ナフタレン環、アントラセン環)であってもよい。
芳香族ヘテロ環としては、単環の芳香族ヘテロ環であっても、多環の芳香族ヘテロ環(であってもよい。なお、単環の芳香族ヘテロ環の例としては、上述したπ共役ポリマー(A)欄にて説明した5員環の芳香族ヘテロ環又は6員環の芳香族ヘテロ環が挙げられる。
π共役化合物(D)は、その全部が環構造からなっていてもよく、基本骨格(基本環構造)としてその一部に環構造を有していてもよい。
π共役化合物(D)としては、ポルフィリン系化合物、フタロシアニン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、又は、縮合多環芳香族環を含む化合物などが挙げられる。
なお、π共役化合物(D)は、π共役化合物(D)同士で電荷移動錯体を形成していてもよい。具体的には、π共役化合物(D)がテトラシアノキノジメタン系化合物である場合、他の電子供与性のπ共役化合物との間で、電荷移動錯体を形成してもよい。なお、電荷移動錯体を形成している場合、その電荷移動錯体の全分子量(電子受容性化合物と電子供与性化合物との合計分子量)が上記所定の範囲(2000以下)であればよい。
π共役化合物(D)の好適態様としては、フタロシアニン系化合物及びポルフィリン系化合物が挙げられる。
フタロシアニン系化合物とは、フタロシアニン骨格(構造)を有する化合物であり、フタロシアニン、ナフタロシアニン、テトラアザポルフィリン、及び、これらの誘導体を含む趣旨である。フタロシアニン系化合物は、様々な遷移金属元素を含んでいてもよく、遷移金属元素としては、コバルト、鉄、ニッケル、マンガン、銅、チタン、バナジウム、クロム、亜鉛、スズ、アルミニウム、および、マグネシウムから選ばれる一種以上を含有することが好ましい。
フタロシアニン系化合物の好適態様としては、一般式(Z)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015189832
11〜R44はそれぞれ独立に、置換基を有してもよい水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、アミノ基、オニウム塩構造を表す。また、2つ以上のR11〜R44が互いに結合して環を形成していてもよい。Mは2つの水素原子若しくは上記遷移金属元素、ハロメタル基、オキシメタル基を示す。
ポルフィリン系化合物とは、ポルフィリン骨格(構造)を有する化合物であり、ポルフィリン、及び、ポルフィリンから誘導される誘導体を含む趣旨である。ポルフィリン系化合物は、上述した様々な遷移金属元素を含んでいてもよい。
π共役化合物(D)の他の好適態様としては、本発明の効果がより優れる点で、芳香族炭化水素環及び芳香族ヘテロ環からなる群より選択される少なくとも3環が縮合した縮合多環芳香族構造を有することが好ましい。この縮合多環芳香族構造は、少なくとも3つの環が縮合する態様は特に限定されない。芳香族炭化水素環を例に挙げると、例えばポリアセンのように直線状又は一列に縮合する態様、例えばコロネンのように環状に縮合する態様、また、例えばピレンのように塊状に縮合する態様などがある。
π共役化合物(D)は、その全部が縮合多環芳香族構造からなっていてもよく、基本骨格(基本環構造)としてその一部に縮合多環芳香族構造を有していてもよい。本発明において、π共役化合物(D)は、1つの縮合多環芳香族構造からなるもの、及び、1つの縮合多環芳香族構造とこの縮合多環芳香族構造に結合する置換基とからなっているものが、分子間で軌道の重なり合いがより大きくなるよう配列(π−πスタッキング)しやすいために分子間キャリア移動が促進される点で、好ましい。なお、π共役化合物(D)がその一部に縮合多環芳香族構造を有する場合は、その1分子内に、1つ又は複数の縮合多環芳香族構造を有しており、好ましくは1つの縮合多環芳香族構造を有している。
縮合多環芳香族構造としては、分子間で軌道の重なり合いがより大きくなるよう配列(π−πスタッキング)しやすい点で、好ましくは4つ以上の環が縮合した構造である。
π共役化合物(D)は、それを構成する環がすべて芳香族炭化水素環からなる縮合多環芳香族炭化水素構造を有する化合物であってもよく、上述の芳香族ヘテロ環を少なくとも1つ含む縮合多環芳香族複素環構造を有する化合物であってもよい。この縮合多環芳香族複素環構造は、上述の群より少なくとも1つの芳香族ヘテロ環を含んで選択される少なくとも3環が縮合したものである。
π共役化合物(D)の好適態様の一つとしては、一般式(X)で表されるπ共役化合物が挙げられる。
一般式(X) B−A−B
一般式(X)中、Aは、芳香族炭化水素環及び芳香族ヘテロ環からなる群より選択される少なくとも3環が縮合して形成される縮合多環芳香族基を表す。芳香族炭化水素環及び芳香族ヘテロ環の定義および好適範囲は、上述の通りである。
縮合多環芳香族基は、縮合多環芳香族炭化水素基であっても、縮合多環芳香族複素環基であってもよい。なお、縮合多環芳香族複素環基とは、芳香族ヘテロ環基を少なくとも1つ含む縮合多環芳香族基を意図する。
縮合多環芳香族基中の総環数は3環以上であればよく、本発明の効果がより優れる点で、3〜5環であることが好ましい。
Bは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい芳香族基、又は、脂肪族炭化水素基を表す。なお、Bは同じであっても異なっていてもよい。
芳香族基としては、単環の芳香族基であっても、多環の芳香族基であってもよいが、π共役化合物(D)の溶解性が向上し、本発明の効果がより優れる点で、一般式(X)で表される構造において少なくとも1個以上の単環の芳香族基を有することが好ましい。単環の芳香族基としては、単環の芳香族炭化水素基(アリール基など)や、単環の芳香族ヘテロ環基が挙げられる。なお、単環の芳香族ヘテロ環の例としては、上述したπ共役ポリマー(A)欄にて説明した5員環の芳香族ヘテロ環又は6員環の芳香族ヘテロ環が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、及び、アルキニル基が挙げられる。本発明の効果がより優れる点で、脂肪族炭化水素基中の炭素数は1〜30が好ましく、4〜18がより好ましい。
なお、芳香族基は置換基を有していてもよく、置換基としては後述する置換基Wが挙げられる。
本発明の組成物において、π共役化合物(D)の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、組成物中の全固形分に対して、0.05〜40質量%であることが好ましく、0.1〜30質量%であることがより好ましく、0.5〜25質量%であることがさらに好ましく、1〜20質量%であることが特に好ましく、1〜10質量%が最も好ましい。
<任意成分>
本発明の組成物は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、他の成分を含有してもよい。以下、任意成分について詳述する。
(親水性溶媒(E))
本発明の組成物は、得られる導電膜の導電率がより高くなる理由から、更に親水性溶媒(E)を含有するのが好ましい。親水性溶媒(E)を添加することにより、π共役ポリマー(A)が配列し、キャリアパスの形成が促進され、結果として、導電率が向上するものと推測される。
π共役ポリマー(A)の配列をさらに促進させる観点から、親水性溶媒(E)の沸点は高沸点(具体的には130℃以上)であることが好ましい。親水性溶媒(E)を高沸点にすることにより製膜乾燥過程における溶媒の蒸発速度が適度に抑制され、結果として、π共役ポリマー(A)の配列がさらに促進するものと推測される。
親水性溶媒(E)の沸点の上限は特に制限されないが、300℃以下であることが好ましい。
なお、上記沸点は、1気圧下での沸点を意図する。
親水性溶媒(E)は親水性の溶媒であれば特に制限されないが、例えばテトラヒドロフランのようなエーテル基含有化合物、例えばγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンのようなラクトン基含有化合物、例えばカプロラクタム、N−メチルカプロラクタム、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドン(NMP)、N−オクチルピロリドン、ピロリドンのようなアミド又はラクタム基含有化合物、例えばスルホラン(テトラメチレンスルホン)、ジメチルスルホキシド(DMSO)のようなスルホン及びスルホキシド、例えばスクロース、グルコース、フルクトース、ラクトースのような糖又は糖誘導体、例えばソルビトール、マンニトールのような糖アルコール、例えば2−フランカルボン酸、3−フランカルボン酸のようなフラン誘導体、及び/又は例えばエチレングリコール(EG)、グリセロール、ジエチレングリコール又はトリエチレングリコールのようなジアルコール又はポリアルコール、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルなどの脂肪族エーテル化合物、ジメトキシフェノール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール、フェノール、ナフトールなどのフェノール化合物が好ましく使用される。これらの親水性溶媒は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を同時に用いてもよい。
本発明の組成物において、親水性溶媒(E)の含有量は特に制限されないが、組成物中の全固形分に対して、10質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、100質量%以上であることがさらに好ましい。上限は特に制限されないが、全固形分量の10倍(1000質量%)質量%以下であることが好ましい。
<還元剤(F)>
還元剤(F)はπ共役ポリマー(A)中のキャリア濃度を適量に調整する役目を有する。なお、上述したπ共役化合物(D)は、還元剤(F)には含まれない。
還元剤(F)としては特に制限されないが、その具体例としては、単環芳香族化合物、含窒素芳香族化合物、含硫黄芳香族化合物、芳香族ビニルポリマー、芳香族アミン、脂肪族アミン(例えば、アルキルアミン)、ニトロ化合物、チオール、金属錯塩、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、次亜硫酸塩、ホウ素化合物、アルミニウムヒドリド錯体、単体金属、還元酵素(レダクターゼ)、及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の化合物などが挙げられる。より具体的には、1,1−bi−2−naphthol、1,3−di(N−carvazolyl)propane(DCzPr)、1,4−di(N−carvazolyl)butane(DCzBu)、1,4−diazabicyclo[2,2,2]octane、2,3−dihydroxy−naphthol、2,7−dihydroxy−naphthol、2−naphthol、Cr(CN) 3−、di(N−carvazolyl)methane(DCzMe)、Eu2+、Fe(CN) 4−、Fe2+、meso−2,4−di(N−carvazolyl)pentane(m−DCzPe)、N,N,N’,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルベンジジン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N−ethyl−carbazole(EtCz)、Pt(P 4−、ReCl 2−、Tetrakis(dimethylamino)ethylene(TDAE)、trans−1,2−di(N−carvazolyl)cyclobutane(DCzCBu)、アントラセン、インデン、オキサジアゾール、オキサゾール、カドリシクラン、ジアザビシクロオクタン、ジフェニルエチレン、トリエチルアミン、トリフェニルメタン、トリメトキシベンゼン、ナフタレン、ノルボルナジエン、ヒドラゾン、ヒドラジン、ピレン、フェナントレン、フェノチアジン、ペリレン、メトキシナフタレン、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、次亜硫酸カリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ジボラン、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化トリ(sec-ブチル)ホウ素リチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、水素化トリブチルスズ、還元鉄、金属スズなどが挙げられる。
還元剤(F)は、脂肪族アミン(好ましくは、アルキルアミノ基(Rn1n2N−:Rn1及びRn2はそれぞれ独立して水素原子又はアルキル基を表す)を2つ以上有する脂肪族アミン)、単環芳香族化合物(好ましくは、ヒドロキシ基を有する単環芳香族化合物)、ヒドラジン、及びチオール(好ましくは、ヒドロキシ基を有するジチオール)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
還元剤(F)の別の好適な態様としては、例えば、下記一般式(F1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015189832
一般式(F1)中、R及びR’はそれぞれ独立にアルキル基を表し、少なくとも一方が2級又は3級のアルキル基である。R及びR’はそれぞれ独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。Lは−S−基又は−CHR−基を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表す。X及びX’はそれぞれ独立に水素原子又はベンゼン環に置換可能な基を表す。
本発明の組成物において、還元剤(F)の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、組成物中の全固形分に対して、0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましい。
また、還元剤(F)と酸化剤(B)との質量比(還元剤の質量/酸化剤の質量)は特に制限されないが、導電率の経時安定性がより優れる点で、0.001〜0.5が好ましく、0.005〜0.3がより好ましく、0.05〜0.1が特に好ましい。
さらに、本発明の組成物は、上記以外の任意成分として、溶媒(例えば、水、有機溶媒)、ナノ導電性材料、上述したπ共役ポリマー(A)以外の共役高分子バインダー、酸化防止剤、耐光安定剤、耐熱安定剤、可塑剤等を含有していてもよい。
酸化防止剤としては、イルガノックス1010(日本チガバイギー製)、スミライザーGA−80(住友化学工業(株)製)、スミライザーGS(住友化学工業(株)製)、スミライザーGM(住友化学工業(株)製)等が挙げられる。耐光安定剤としては、TINUVIN 234(BASF製)、CHIMASSORB 81(BASF製)、サイアソーブUV−3853(サンケミカル製)等が挙げられる。耐熱安定剤としては、IRGANOX 1726(BASF製)が挙げられる。可塑剤としては、アデカサイザーRS(アデカ製)等が挙げられる。
(ナノ導電性材料)
本発明の組成物は、得られる導電膜の導電率及び物理的強度の観点から、ナノ導電性材料を含有してもよい。
上記ナノ導電性材料としては、導電性を有する炭素材料(以下、ナノ炭素材料ということがある)、金属材料(以下、ナノ金属材料ということがある)等が挙げられる。
ナノ導電性材料は、ナノ炭素材料及びナノ金属材料の中でも、それぞれ後述する、カーボンナノチューブ(以後、CNTとも称す)、カーボンナノファイバー、グラファイト、グラフェン及びカーボンナノ粒子のナノ炭素材料、並びに、金属ナノワイヤーが好ましく、導電性向上及び溶媒中での分散性向上の観点で、カーボンナノチューブが特に好ましい。
ナノ導電性材料は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ナノ導電性材料として2種以上を併用する場合には、少なくとも1種ずつのナノ炭素材料及びナノ金属材料を併用してもよく、ナノ炭素材料又はナノ金属材料それぞれを2種併用してもよい。
(共役高分子バインダー)
本発明の組成物は、得られる導電膜の導電率の観点から、導電性助剤として、共役高分子バインダーを含有してもよい。
共役高分子バインダーは、主鎖がπ電子又は孤立電子対のローンペアで共役する構造を有する化合物であって、上述したπ共役ポリマー(A)以外の共役高分子であれば特に限定されない。また、π共役化合物(D)は、共役高分子バインダーには含まれない。
このような共役高分子バインダーとしては、チオフェン系化合物、ピロール系化合物、アニリン系化合物、アセチレン系化合物、p−アリーレン系化合物、p−アリーレンビニレン系化合物、p−アリーレンエチニレン系化合物、p−フルオレニレンビニレン系化合物、フルオレン系化合物、芳香族ポリアミン系化合物(アリールアミン系化合物ともいう)、ポリアセン系化合物、ポリフェナントレン系化合物、p−キシリレン系化合物、ビニレンスルフィド系化合物、m−フェニレン系化合物、ナフタレンビニレン系化合物、p−フェニレンオキシド系化合物、フェニレンスルフィド系化合物、フラン系化合物、セレノフェン系化合物、アゾ系化合物及び金属錯体系化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物に由来する構成成分を繰り返し構造として含む共役高分子が挙げられる。
なかでも、チオフェン系化合物、ピロール系化合物、アニリン系化合物、アセチレン系化合物、p−フェニレン系化合物、p−フェニレンビニレン系化合物、p−フェニレンエチニレン系化合物、フルオレン系化合物及びアリールアミン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物に由来する構成成分を繰り返し構造として含む共役高分子が好ましい。
上記各化合物が有しうる置換基としては特に制限はないが、他の成分との相溶性、用いうる分散媒の種類等を考慮して、分散媒への共役高分子バインダーの分散性を高めうるものを適宜選択して導入することが好ましい。
置換基の一例として、分散媒として有機溶媒を用いる場合、直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、チオアルキル基のほか、アルコキシアルキレンオキシ基、アルコキシアルキレンオキシアルキル基、クラウンエーテル基、アリール基等を好ましく用いることができる。これらの基は、さらに置換基を有してもよい。また、置換基の炭素数に特に制限はないが、好ましくは1〜12、より好ましくは4〜12であり、特に炭素数6〜12の長鎖のアルキル基、アルコキシ基、チオアルキル基、アルコキシアルキレンオキシ基、アルコキシアルキレンオキシアルキル基が好ましい。
一方、分散媒として水系媒体を用いる場合は、各モノマーの末端又は上記置換基にさらに、カルボン酸基、スルホン酸基、水酸基、リン酸基等の親水性基を導入することが好ましい。他にも、ジアルキルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、カルバメート基、ニトロ基、シアノ基、イソシアネート基、イソシアノ基、ハロゲン原子、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基などを置換基として導入することができ、好ましい。
導入されうる置換基の数も特に制限されず、共役高分子バインダーの分散性や相溶性、導電性等を考慮して、1個又は複数個の置換基を適宜導入することができる。
上記共役高分子バインダーは、特開2012−251132号公報の段落[0014]〜[0047]に記載の「導電性高分子」を好適に用いることができ、好ましくはこの内容は本願明細書に組み込まれる。
共役高分子バインダーの分子量は、重量平均分子量で3000〜20万が好ましく、5000〜10万がより好ましい。
<置換基W>
本明細書における置換基Wについて記載する。
置換基Wとしては、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、アルケニル基(例えば、ビニル、アリル等)、アルキニル基(例えば、エチニル、プロパルギル等)、芳香族炭化水素環基(芳香族炭素環、アリール等ともいい、例えば、フェニル、p−クロロフェニル、メシチル、トリル、キシリル、ナフチル、アントリル、アズレニル、アセナフテニル、フルオレニル、フェナントリル、インデニル、ピレニル、ビフェニリル等)、芳香族へテロ環基(5又は6員環の芳香族へテロ環基が好ましく、また環構成ヘテロ原子は、硫黄原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、ホウ素、セレン原子が好ましく、例えば、ピリジル、ピリミジニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル、1,2,3−トリアゾール−1−イル等)、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、フラザニル、チエニル、キノリル、ベンゾフリル、ジベンゾフリル、ベンゾチエニル、ジベンゾチエニル、インドリル、カルバゾリル、カルボリニル、ジアザカルバゾリル(上記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル、ピリダジニル、トリアジニル、キナゾリニル、フタラジニル、ボロール、アザボリン等)、ヘテロ環基(芳香族でないヘテロ環基で、飽和環であっても不飽和環であってもよく、5又は6員環が好ましく、また環構成ヘテロ原子は、硫黄原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、セレン原子が好ましく、例えば、ピロリジル、イミダゾリジル、モルホリル、オキサゾリジル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、ドデシルオキシ等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、ナフチルオキシ等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ、オクチルチオ、ドデシルチオ等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル、メチルアミノスルホニル、ジメチルアミノスルホニル、ブチルアミノスルホニル、ヘキシルアミノスルホニル、シクロヘキシルアミノスルホニル、オクチルアミノスルホニル、ドデシルアミノスルホニル、フェニルアミノスルホニル、ナフチルアミノスルホニル、2−ピリジルアミノスルホニル等)、
アシル基(例えば、アセチル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、ペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、オクチルカルボニル、2−エチルヘキシルカルボニル、ドデシルカルボニル、アクリロイル、メタクリロイル、フェニルカルボニル、ナフチルカルボニル、ピリジルカルボニル等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、エチルカルボニルオキシ、ブチルカルボニルオキシ、オクチルカルボニルオキシ、ドデシルカルボニルオキシ、フェニルカルボニルオキシ等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノ、ジメチルカルボニルアミノ、プロピルカルボニルアミノ、ペンチルカルボニルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ、オクチルカルボニルアミノ、ドデシルカルボニルアミノ、フェニルカルボニルアミノ、ナフチルカルボニルアミノ等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、ペンチルアミノカルボニル、シクロヘキシルアミノカルボニル、オクチルアミノカルボニル、2−エチルヘキシルアミノカルボニル、ドデシルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル、ナフチルアミノカルボニル、2−ピリジルアミノカルボニル等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド、エチルウレイド、ペンチルウレイド、シクロヘキシルウレイド、オクチルウレイド、ドデシルウレイド、フェニルウレイド、ナフチルウレイド、2−ピリジルアミノウレイド等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、ブチルスルフィニル、シクロヘキシルスルフィニル、2−エチルヘキシルスルフィニル、ドデシルスルフィニル、フェニルスルフィニル、ナフチルスルフィニル、2−ピリジルスルフィニル等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、ブチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル、2−エチルヘキシルスルホニル、ドデシルスルホニル等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル、2−ピリジルスルホニル等)、アミノ基(アミノ基、アルキルアミノ基、アルケニルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、例えば、アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、アニリノ、ナフチルアミノ、2−ピリジルアミノ等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル、トリイソプロピルシリル、トリフェニルシリル、フェニルジエチルシリル等)等が挙げられる。
これらの各基は、さらに置換基を有していてもよく、この置換基としては上記の置換基が挙げられる。例えば、アルキル基にアリール基が置換したアラルキル基、アルキル基にヒドロキシ基が置換したヒドロキシアルキル基等が挙げられる。なお、置換基Wがさらに複数の置換基を有する場合、複数の置換基同士は互いに結合して環を形成してもよい。
<本発明の組成物の製造方法>
本発明の組成物の製造方法は特に制限されない。例えば、上記各成分を混合して調製することができる。より具体的には、通常の混合装置等を用いて常温常圧下で行うことができる。例えば、各成分を溶媒中で撹拌、振とう、混練して溶解又は分散させればよい。溶解や分散を促進するため超音波処理を行ってもよい。
(好適な態様)
本発明の組成物の製造方法の好適な態様としては、例えば、水に、π共役ポリマー(A)と、酸化剤(B)と、非共役ポリマー(C)と、π共役化合物(D)とを分散させる方法が挙げられる。
また、本発明の組成物の製造方法のさらに別の好適な態様としては、例えば、下記酸化重合工程と下記混合工程とを備える方法が挙げられる。
(1)酸化重合工程:酸化剤(B)及び非共役ポリマー(C)の存在下、酸化重合法により重合することで、上述した一般式(1)で表される繰り返し単位を有するπ共役ポリマー(A)を含有する重合組成物を得る工程
(2)混合工程:上記重合組成物とπ共役化合物(D)とを混合して、導電性組成物を得る工程
なお、上記方法において、酸化剤(B)は、π共役ポリマー(A)の酸化重合剤としての役割と、ドーパントとしての役割を有する。
上記混合工程は、更に親水性溶媒(E)を混合する工程であることが好ましい。
[導電膜]
本発明の導電膜は、上述した本発明の組成物から得られる導電膜である。
本発明の導電膜の厚みは特に制限されないが、0.01〜100μmであることが好ましく、0.02〜30μmであることがより好ましい。なお、導電膜の厚みは、任意の10点における導電膜の厚みを測定し、それらを算術平均して求める。
本発明の導電膜のキャリア濃度は、1×1023〜1×1027個/mであることが好ましく、1×1024〜3×1026個/mであることがより好ましい。
なかでも、得られる導電膜の経時安定性がより優れる理由から、1×1026個/m以下であることが好ましく、5×1025個/m以下であることがより好ましい。そのなかでも、得られる導電膜の導電率がより高くなる理由から、5×1024個/m以上であることが好ましく、1×1025個/m以上であることがより好ましい。
なお、本明細書において、導電膜のキャリア濃度(個/m)は、ホール効果測定装置ResiTest8300(株式会社東陽テクニカ社製)を用いて測定した値である。
本発明の導電膜の形成方法は特に制限されない。例えば、基板上に本発明の組成物を塗布する方法などが挙げられる。
塗布方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、エクストルージョンダイコート、ブレードコート、バーコート、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ロールコート、カーテンコート、スプレーコート、ディップコート、インクジェット印刷法等、公知の塗布方法を用いることができる。
基板上に本発明の組成物を塗布した後、必要に応じて、加熱工程や乾燥工程を設けて溶媒を蒸発させてもよい。
[有機半導体デバイス]
本発明の有機半導体デバイスは、上述した本発明の導電膜を用いた有機半導体デバイスである。そのような有機半導体デバイスとしては、例えば、熱電変換素子、光電変換素子、有機薄膜トランジスタ、有機EL、液晶ディスプレイ、太陽電池などが挙げられる。
以下、本発明の熱電変換素子、及び本発明の光電変換素子について説明する。
<熱電変換素子>
本発明の熱電変換素子は、熱電変換層として上述した本発明の導電膜を備えていれば、その構成は特に制限されない。
熱電変換素子の好ましい態様としては、基材(基板)と基材上に設けられた上記熱電変換層とを備えた素子であり、より好ましくは、これらを電気的に接続する電極をさらに有する素子であり、さらに好ましくは基材上に設けられた1対の電極と、電極間に上記熱電変換層とを有する素子である。
本発明の熱電変換素子において、熱電変換層は1層であっても2層以上であってもよい。
以下では、本発明の熱電変換素子の好適態様の全体の構成について、本発明の熱電変換素子の一例を模式的に示す断面図である図1〜図3を用いて説明する。
図1に示す熱電変換素子10は、第1の基材11と、第1の電極12と、熱電変換層14と、第2の電極13と、第2の基材15とをこの順に備える素子である。なお、熱電変換層10は、上述した導電膜より構成される。
ここで、図1に示す熱電変換素子10は、矢印で示される方向の温度差を利用して起電力(電圧)を得る態様である。
また、図2に示す熱電変換素子20は、第1の基材21上の一部に第1の電極22及び第2の電極23を有し、第1の基材21、第1の電極22及び第2の電極23の上に、熱電変換層24と第2の基材25とをこの順に備える素子である。なお、熱電変換層24は、上述した導電膜より構成される。
ここで、図2に示す熱電変換素子20は、矢印で示される方向の温度差を利用して起電力(電圧)を得る態様である。
本発明においては、図3に示すように、互いに隣接する熱電変換素子30と共通の基材31を用い、一の熱電変換素子30における第2の電極33と、それと隣接する他の熱電変換素子30の第1の電極32とを電気的に接続することにより、各熱電変換素子30を直列で接続させたモジュール300としてもよい。なお、熱電変換層34は、上述した導電膜より構成される。
<光電変換素子>
本発明の光電変換素子は、光電変換層、ホール輸送層、又は電子輸送層として上述した本発明の導電膜を備えていれば、その構成は特に制限されない。
以下では、本発明の光電変換素子の一実施態様について、図面を用いて説明する。
図4は、本発明の光電変換素子の一実施態様の断面模式図である。
図4(a)に示す光電変換素子110aは、下部電極として機能する導電性膜111と、ホール輸送層116Aと、光電変換層112と、上部電極として機能する透明導電性膜115とがこの順に積層された構成を有する。
図4(b)に別の光電変換素子の構成例を示す。図4(b)に示す光電変換素子110bは、導電性膜111上に、ホール輸送層116Aと、光電変換層112と、電子輸送層116Bと、透明導電性膜115とがこの順に積層された構成を有する。なお、図4(a)、図4(b)中のホール輸送層116A、光電変換層112、電子輸送層16Bの積層順は、用途、特性に応じて逆にしても構わない。
図4の態様において、ホール輸送層116Aが、上述した導電膜より構成される。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<導電性組成物の製造>
(実施例1−1)
重合後に下記π共役ポリマー1の繰り返し単位となるモノマー(1g)、酸化剤(B)としてp−トルエンスルホン酸鉄(III)(1.1g)、及び非共役ポリマー(C)としてポリスチレンスルホン酸(3g)をテトラヒドロフラン(50ml)に溶解させ、室温窒素雰囲気下にて、28時間撹拌してモノマーの酸化重合を行い、下記π共役ポリマー1を合成した。その後、ロータリーエバポレーターにて反応液中の溶媒を留去し、黒色固体を取り出した。ここで得られた黒色固体を、減圧濾過により純水及びメタノールで十分に洗浄した。さらに、ここで得られた黒色固体(4.1g)に界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(0.1g)を加え、十分に脱気した純水250ml中で分散を行った。その後、π共役化合物(D)としてπ共役化合物3(0.15g)、及び(E)親水性溶媒としてエチレングリコール(7.5ml)、を加え室温窒素雰囲気下にて2時間撹拌し、導電性組成物を得た。
(実施例1〜2〜1−12、比較例1−1〜1−8、実施例2−1〜2−4、比較例2−1〜2−2、実施例3−1〜3−7、比較例3−1、実施例4−1〜4−8)
重合後にπ共役ポリマー1の繰り返し単位となるモノマーの代わりに、下記表1〜4に示されるπ共役ポリマーの繰り返し単位となるモノマーを使用し、また、酸化剤(B)、π共役化合物(C)、π共役化合物(D)、親水性溶媒(E)、及び、還元剤(F)として下記表1〜4に示される化合物を使用した以外は、実施例1−1と同様の手順に従って導電性組成物(実施例1〜2〜1−12、比較例1−1〜1−8、実施例2−1〜2−4、比較例2−1〜2−2、実施例3−1〜3−7、比較例3−1、実施例4−1〜4−8の組成物)を得た。
なお、比較例1−2では、ポリスチレンスルホン酸を配合せずに酸化重合を行った。
また、実施例3−1〜3−7及び比較例3−1では、質量比(F/B)が表3に示される値になるように添加する還元剤(F)の量を調整した。
また、実施例4−1〜4−8では、π共役化合物(D)の組成物中の全固形分に対する質量%が表4に示される値になるように添加した。
<導電膜の作製とその評価>
(導電膜の作製)
得られた各導電性組成物をUVオゾン洗浄したPET基板(大きさ:4cm×3cm、厚み:50μm)上にバーコート成膜し、次いで、窒素雰囲気下130℃で20分間乾燥及びアニール処理を行うことで、PET基板上に導電膜を作製した。
(導電率の評価)
得られた各導電膜について導電率を評価した。具体的には、「低抵抗率計:ロレスタGP」((株)三菱化学アナリテック製)を用い表面抵抗率(単位:Ω/□)を測定し、触針型膜厚計により膜厚(単位:cm)を測定し、下記式より導電率(S/cm)を算出した。結果を表1〜4に示す(初期導電率)。結果は比較例1−1の導電率を100とする指数で表した。指数が大きいほど導電率(初期導電率)が高い。
なお、比較例1−2については得られた導電膜が脆く評価することができなかった。
(導電率)=1/((表面抵抗率)×(膜厚))
(耐屈曲評価)
耐屈曲試験から、得られた各導電膜のフレキシビリティー性を評価した。具体的には、JIS C5016に規定されている方法に従って、上記で得られたPET基板と導電膜とを備えるフィルムを、屈曲半径30mmにおいて導電率が初期値から50%にまるまでの屈曲回数を測定した。結果を法1〜4に示す(屈曲回数)。
なお、「>A」とは、屈曲回数がA回超であることを意図する。
(導電率の経時安定性の評価)
大気下40℃において初期導電率が80%まで低化するまでに要する日数を測定した。結果を表1〜4に示す(経時安定性)。ここで、「>30」は上記日数が30日を超えていることを表す。上記日数が長いほど導電率の経時安定性に優れる。
Figure 2015189832
Figure 2015189832
Figure 2015189832
Figure 2015189832
表1〜4中、「π共役ポリマー」に記載の数字1〜7及び101は、それぞれ、下記π共役ポリマー1〜7及び101を表す。
なお、π共役ポリマー1〜7及び101の重量平均分子量(Mw)は、以下の通りであった。
π共役ポリマー1:Mw=39,000
π共役ポリマー2:Mw=83,000
π共役ポリマー3:Mw=62,000
π共役ポリマー4:Mw=28,000
π共役ポリマー5:Mw=26,000
π共役ポリマー6:Mw=105,000
π共役ポリマー7:Mw=12,000
π共役ポリマー101:Mw=50,000
Figure 2015189832
表1〜4中、「非共役ポリマー(C)」に記載の「PSS」はポリスチレンスルホン酸を、「PMMA」はポリメチルメタクリレートを表す。
表1中、「非共役ポリマー(C)」に記載の「101」は、以下の塩基性基を有する非共役ポリマーを表す。
Figure 2015189832
表1〜4中、「π共役化合物(D)」に記載の数字1〜8及び101〜102は、それぞれ、下記π共役化合物1〜8及び101〜102を表す。
Figure 2015189832
Figure 2015189832
表1〜4中、「親水性溶媒(E)」について略称は以下を表す。
・DMSO:ジメチルスルホキシド
・EG:エチレングリコール
・NMP:N−メチルピロリドン
表3中、「キャリア濃度」は導電膜のキャリア濃度である。キャリア濃度の測定方法は上述のとおりである。
表1〜4から分かるように、所定の成分を含む導電性組成物より得られる導電膜は、優れた導電率を示し、かつ、折り曲げ試験後も優れた導電率を維持することが確認された。
特に、実施例1−1と1−10との比較より、π共役化合物(D)としてフタロシアニン系化合物を使用した場合、より優れた効果が得られることが確認された。
また、実施例2−1〜2−4の対比から、親水性溶媒(E)を含有する実施例2−1〜2−3はより高い導電率を示した。なかでも、親水性溶媒(E)の沸点が130℃以上である実施例2−1及び2−2はさらに高い導電率を示した。
実施例3−1〜3−7の対比から、質量比(F/B)が0.005以上である実施例3−1〜3−4及び3−7はより優れた経時安定性を示した。なかでも、質量比(F/B)が0.3以下である実施例3−1〜3−3はより高い導電率を示した。
実施例4−1〜4−9の対比から、π共役化合物(D)の組成物中の全固形分に対する含有質量が、0.1〜30質量%である実施例4−2〜4−9はより高い屈曲回数を示した。
一方、π共役ポリマー(A)を含有しない(π共役ポリマー(A)以外のπ共役ポリマーを含有する)比較例1−1、比較例2−1〜2−2、及び比較例3−1、非共役ポリマー(C)を含有しない比較例1−2、酸基を有する非共役ポリマー以外の他のポリマーを使用した比較例1−3〜1−5、並びに、所定のπ共役化合物(D)を含有しない比較例1−6〜1−8では、所望の効果が得られなかった。
<有機熱電変換素子の作製と評価>
(素子の作製)
実施例の各導電性組成物(5g)それぞれに単層カーボンナノチューブ(4mg)添加し超音波を30分間印加することにより単層カーボンナノチューブを分散させ、熱電変換層形成用組成液Aを得た。この熱電変換層形成用組成液Aを、第1の電極として金(厚み20nm、幅:5mm)を片側表面に有するPET基材(厚み:0.8mm)上の電極表面にスクリーン印刷法で塗布し、80℃にて30分間加熱して溶媒を除去した。その後、室温真空下にて10時間乾燥させることにより膜厚2.6μm、大きさ8mm×8mmの熱電変換層となる導電膜を形成した。その後、熱電変換層の上部に、第2の電極として金を蒸着したPET基材(電極の厚み:20nm、電極の幅:5mm、ガラス基材の厚み:0.8mm)を、第2の電極が熱電変換層に接するように、80℃にて貼り合わせて、有機熱電変換素子を作製した。
(熱起電力の評価)
作製した有機熱電変換素子の第1の電極を一定温度に保ったホットプレート上に設置し、第2の電極上に温度制御用のペルチェ素子を設置した。ホットプレートの温度を一定(100℃)に保ちつつ、ペルチェ素子の温度を低下させることにより両電極間に温度差2℃を付与した。この時、両電極間に熱起電力(μV)が発生することを確認した。さらに、上記で得られた有機熱電変換素子を屈曲半径30mmで折り曲げても、同様の熱起電力が発生することを確認した。
<有機光電変換素子の作製と評価>
(素子の作製)
洗浄及びUV−オゾン処理したガラス−ITO基板上に、ホール輸送層として使用する実施例の各導電性組成物をそれぞれスピンコート(3000rpm)し、140℃で30分間加熱し、導電膜を作製した。続いて、10mgのポリ(3−ヘキシルチオフェン)と10mgのPC71BM([6,6]−フェニル−C71−酪酸メチルエステル)の混合物を、1.8−ジヨードオクタンを1質量%含有するクロロベンゼン1mLに溶解させた。この溶液を、導電膜上にスピンコート(1000rpm)で塗布して、乾燥させ膜厚80nmの光電変換層を作成した。光電変換層上にLiF(1nm)、アルミニウム(100nm)を順次蒸着させて上部電極を形成させ、有機光電変換素子を得た。
(性能の評価)
作製した有機光電変換素子について以下のようにして性能を評価した。
得られた素子を窒素雰囲気下で、ケースレー社(Keithley)製SMU2400型I−V測定装置を用いて、電流密度−電圧(J−V)特性を評価した。オリエル(Oriel)社製太陽光シミュレータからの濾波キセノン灯光を使用して、100mW/cmのAM1.5Gスペクトルに近づけた。上記装置にて、電圧の発生及び電流が流れることを確認した。
10、20、30 熱電変換素子
11、21 第1の基材
12、22、32 第1の電極
13、23、33 第2の電極
14、24、34 熱電変換層
15、25 第2の基材
31 基材
300 モジュール
110a、110b 光電変換素子
111 下部電極(導電性膜)
112 光電変換層
115 上部電極(透明導電性膜)
116A ホール輸送層
116B 電子輸送層

Claims (18)

  1. 下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するπ共役ポリマーと、酸化剤と、酸基又はその塩を有する非共役ポリマーと、分子量2000以下で、環構造を有するπ共役化合物とを含有する、導電性組成物。
    Figure 2015189832

    (式中、A環は共役炭化水素環又は共役複素環を表し、nは0又は1以上の整数を表す。X、X、X、及びXは、それぞれ独立して、ヘテロ原子、置換基を有するヘテロ原子、−CH=CH−基、又は=CH−基を表す。R、R、及びRは、それぞれ独立して、アリール基、ヘテロアリール基、アルキル基、アルコキシ基、ポリエチレンオキシエーテル基、アルキルチオ基、ポリエチレンオキシチオエーテル基、アルキルアミノ基、又はポリエチレンオキシアミノ基を表す。更に、R、R、及びR中の炭素原子は、酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよい。また、R、R、及びRは、互いに任意の位置で連結していてもよい。nA、nB及びnCは、それぞれ独立して、0又は1以上の整数を表す。)
  2. 前記環構造を有するπ共役化合物の含有量が、全固形分に対して、0.1〜30質量%である、請求項1に記載の導電性組成物。
  3. 更に、親水性溶媒を含有する、請求項1又は2に記載の導電性組成物。
  4. 前記親水性溶媒の沸点が、130℃以上である、請求項3に記載の導電性組成物。
  5. 更に、還元剤を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載に導電性組成物。
  6. 前記還元剤と前記酸化剤との質量比が0.001〜0.5である、請求項5に記載の導電性組成物。なお、上記質量比は、還元剤の質量/酸化剤の質量を表す。
  7. 前記環構造を有するπ共役化合物が、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、及び、一般式(X)で表されるπ共役化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性組成物。
    一般式(X) B−A−B
    一般式(X)中、Aは、芳香族炭化水素環及び芳香族ヘテロ環からなる群より選択される少なくとも3環が縮合して形成される縮合多環芳香族基を表す。Bは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい芳香族基、又は、脂肪族炭化水素基を表す。
  8. 前記π共役ポリマーが、前記酸化剤及び前記非共役ポリマーの存在下、酸化重合法によって重合することにより得られる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電性組成物。
  9. 前記一般式(1)において、A環が、ベンゼン環、ピロール環、チオフェン環、ピリジン環、シクロペンタジエン環、又はシロール環である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性組成物。
  10. 前記一般式(1)において、nが、1〜3の整数である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の導電性組成物。
  11. 前記一般式(1)において、X及びX、又は、X及びXが、それぞれ独立して硫黄原子、酸素原子、又はNR基(ここでRは水素原子又はアルキル基)である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の導電性組成物。
  12. 前記酸基又はその塩が、スルホ基又はその塩を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の導電性組成物。
  13. 前記酸化剤が、鉄(III)塩、銅(II)塩、過酸化物、及び過酸からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の導電性組成物。
  14. 水に、前記π共役ポリマーと、前記酸化剤と、前記非共役ポリマーと、前記環構造を有するπ共役化合物とを分散させることで得られる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の導電性組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の導電性組成物から得られる導電膜。
  16. キャリア濃度が、1×1024〜3×1026個/mである、請求項15に記載の導電膜。
  17. 請求項15または16に記載の導電膜を用いた有機半導体デバイス。
  18. 基材と、電極と、請求項15または16に記載の導電膜とをこの順に備える、有機半導体デバイス。
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