JP6150157B2 - 非線形光学活性コポリマー - Google Patents
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Description
このような高分子化合物の主鎖または側鎖に非線形光学特性を有する構造を導入する例としては、非線形光学特性が非常に高い化合物をメタクリレート側鎖に導入した高分子化合物(非特許文献1)や、非線形光学特性を有する構造及びアセチレン基を導入したモノマーを自己架橋させることで、電界印加による非線形光学特性を有する構造の配向(ポーリング)後の経時的な配向緩和の抑制を期待した例(特許文献1)が知られている。
。また、上記特許文献1には、熱硬化や特に配向緩和に関して具体的に検証や言及がなされておらず、さらに同文献に記載の発明ではアセチレン基同士の架橋による着色に伴う光学特性の劣化が懸念されていた。
本発明は、非線形光学材料の配向緩和を抑制でき、且つ、種々の溶剤に対する高い耐性を有する非線形光学活性コポリマー、及び該コポリマーを用いて得られる非線形光学材料を提供することを目的とする。
第2観点として、前記Zが式[3]で表されるフラン環基を有する原子団である、第1観点に記載の非線形光学活性コポリマーに関する。
第3観点として、前記Zが式[4]で表される化合物から誘導される原子団である、第2観点に記載の非線形光学活性コポリマーに関する。
第4観点として、第1観点乃至第3観点のうち何れか一項に記載の非線形光学活性コポリマーを用いた有機非線形光学材料に関する。
第5観点として、第1観点乃至第3観点のうち何れか一項に記載の非線形光学活性コポリマーを含む電気光学素子に関する。
第6観点として、第1観点乃至第3観点のうち何れか一項に記載の非線形光学活性コポリマーを含む光スイッチング素子に関する。
第7観点として、第1観点乃至第3観点のうち何れか一項に記載の非線形光学活性コポリマーを含むワニスに関する。
第8観点として、第7観点に記載のワニスから作製される薄膜に関する。
第9観点として、第7観点に記載のワニスを、基材又は必要に応じて基材上に積層されている最表面層に塗布し塗膜を得る工程、該塗膜に加熱下電界を印加し非線形光学活性を発現する原子団を配向させる工程、を含む有機非線形光学材料の製造方法に関する。
第10観点として、式[1]で表される繰り返し単位Aを有するポリマーに、同一分子内にイソシアネート基と反応し得る官能基及び非線形光学活性部位を有する化合物を反応させることを特徴とする、同一分子内に式[1]で表される繰り返し単位A及び式[2]で表される繰り返し単位Bを含む非線形光学活性コポリマーの製造方法に関する。
また本発明の非線形光学活性コポリマーは、溶媒に溶解してワニス形態と為し、簡単に成形可能であることから、ハンドリング性の高い光学材料として、光電子材料分野において好適に用いることができるという効果が得られる。
さらに本発明の有機非線形光学材料は、大きな非線形光学定数を有し、簡単に成形できる光学デバイスを形成することが可能となる。
本発明の非線形光学活性コポリマーは、下記式[1]で表される、同一分子内に、ブロック剤で保護されたイソシアネート基を有する繰り返し単位Aと、式[2]で表される、非線形光学活性部位を有する繰り返し単位Bとを含む非線形光学活性コポリマーである。
ここで炭素原子数1乃至30の二価の炭化水素基としては、脂肪族基、芳香族基の何れであってもよく、さらに脂肪族基としては、直鎖状、分枝状、環状の何れであってもよい。中でも、脂肪族基が好ましく、炭素原子数1乃至6のアルキレン基がより好ましい。
このような炭素原子数1乃至30の二価の炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタン−1,8−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、イコサン−1,20−ジ
イル基、トリアコンタン−1,30−ジイル基等の直鎖状脂肪族基;メチルエチレン基、1−メチルトリメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基等の分枝状脂肪族基;シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジイル基、アダマンタンジイル基、ノルボルナンジイル基、ノルボルネンジイル基等の環状脂肪族基;フェニレン基、ナフタレンジイル基等の芳香族基などが挙げられる。
ここでブロック剤としては、加熱により解離(脱ブロック化)し活性イソシアネート基を再生できるものであれば特に限定されないが、例えば、フェノール、o−ニトロフェノール、p−クロロフェノール、o−、m−又はp−クレゾール等のフェノール類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−エトキシヘキサノール、2−N,N−ジメチルアミノエタノール、2−エトキシエタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル等の活性メチレン基含有化合物;アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、メチルイソブチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム類;ε−カプロラクタム等のラクタム類;ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチルピラゾール等のピラゾール類;ドデカンチオール、ベンゼンチオール等のチオール類などが挙げられる。
非線形光学活性を発現する原子団とは、有機非線形光学化合物から誘導される原子団を指す。上記有機非線形光学化合物としては、π共役鎖の一方の端に電子供与性基、他方の端に電子吸引基を有するπ共役系化合物であり、分子超分極率βの大きいものが望ましい。電子供与性基としてはジアルキルアミノ基、電子吸引基としては、シアノ基、ニトロ基、フルオロアルキル基を挙げることができる。
ここで炭素原子数1乃至10のアルキル基としては、分岐構造、環状構造を有していてもよく、またアリールアルキル基であってもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、1−アダマンチル基、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
炭素原子数6乃至10のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。
上記置換基としては、アミノ基;ヒドロキシ基;カルボキシ基;エポキシ基;メトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基等のシリルオキシ基;フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基等のハロゲン原子が挙げられる。
ここで炭素原子数1乃至10のアルキル基としては、例えば、前記R3及びR4にて例示した基が挙げられる。
炭素原子数1乃至10のアルコキシ基としては、例えば、上記炭素原子数1乃至10のアルキル基が酸素原子を介して結合する基が挙げられる。
炭素原子数2乃至11のアルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、上記炭素原子数1乃至10のアルキル基がカルボニルオキシ基を介して結合する基が挙げられる。
炭素原子数4乃至10のアリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフタレン−2−イルオキシ基、フラン−3−イルオキシ基、チオフェン−2−イルオキシ基等が挙げられる。
炭素原子数5乃至11のアリールカルボニルオキシ基としては、ベンゾイルオキシ基、1−ナフトイルオキシ基、フラン−2−カルボニルオキシ基、チオフェン−3−カルボニルオキシ基等が挙げられる。
炭素原子数1乃至6のアルキル基及び/又はフェニル基を有するシリルオキシ基としては、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基等が挙げられる。
原子数1乃至5のハロアルキル基、又は炭素原子数6乃至10のアリール基を表す。
ここで炭素原子数1乃至5のアルキル基としては、分岐構造、環状構造を有していてもよく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
炭素原子数1乃至5のハロアルキル基としては、分岐構造、環状構造を有していてもよく、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ブロモジフルオロメチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3−ブロモプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル基、3−ブロモ−2−メチルプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロシクロプロピル基、4−ブロモブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロシクロペンチル基等が挙げられる。
炭素原子数6乃至10のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。
ここで炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数6乃至10のアリール基、及び置換基については、前記R3及びR4にて例示した基が挙げられる。
なお、本発明における重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(ポリスチレン換算)による測定値である。
硬化(架橋)温度としては、イソシアネート基を保護しているブロック剤が解離する温度であれば特に制限はないが、通常100〜300℃、好ましくは120〜250℃、より好ましくは140〜200℃の範囲内である。
本発明の前記式[1]で表される繰り返し単位Aと式[2]で表される繰り返し単位Bを含む非線形光学活性コポリマーは、前記式[1]で表される繰り返し単位Aを有するポ
リマーに、同一分子内にイソシアネート基と反応し得る官能基及び非線形光学活性部位を有する化合物を反応させることにより製造可能である。
非線形光学活性部位としては、前述の式[2]のZ(非線形光学活性を発現する原子団)の説明において挙げた有機非線形光学化合物より誘導される部位が挙げられる。好ましくは前記式[3]で表されるフラン環基を有する部位である。
また同一分子内にイソシアネート基と反応し得る官能基及び非線形光学活性部位を有する化合物としては、例えば前述の前記式[4]で表される化合物が挙げられ得、本化合物に存在するヒドロキシ基やアミノ基等がイソシアネート基と反応することにより、前記式[1]で表される繰り返し単位Aを前記式[2]で表される繰り返し単位Bとすることができる。
本発明の非線形光学活性コポリマーを非線形光学材料として使用する場合、一般に薄膜の形態として使用する。前記薄膜の作製方法としては、本発明の非線形光学活性コポリマーを適当な有機溶媒に溶解してワニスの形態とし、該ワニスを適当な基板(例えば、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、金属、例えば、アルミニウム、モリブデン、クロムなどが被覆された基板、ガラス基板、石英基板、ITO基板等)やフィルム(例えば、トリアセチルセルロースフィルム、ポリエステルフィルム、アクリルフィルム等の樹脂フィルム)等の基材上に、回転塗布、流し塗布、ロール塗布、スリット塗布、スリットに続いた回転塗布、インクジェット塗布、印刷などによって塗布することによって成膜する湿式塗布法が好ましい。なお上記ワニス及びワニスから作製される薄膜も本発明の対象である。
好ましい有機溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、シクロヘキサノール、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、トルエン、クロロベンゼン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、クロロベンゼン、プロピレングリコールメチルエーテル等が挙げられる。これらの溶媒は、一種単独で、又は二種以上の組合せで使用することができる。
これら溶媒の中でも、テトラヒドロフラン、シクロペンタノン、クロロホルム等が、式[1]及び式[2]で表される繰り返し単位を含むコポリマーの溶解性が高く、塗膜性が良好という観点より好ましい。
上記ワニスにおける固形分の割合は、例えば0.5〜30質量%であり、又、例えば5〜30質量%である。ここで言うところの固形分とは、前記ワニスから溶媒を除いた物質(非線形光学活性コポリマー及び所望により後述の添加剤)の質量を意味する。
而して、調製されたワニスは、孔径が0.2μm程度のフィルタなどを用いて濾過した後、使用することが好ましい。
架橋剤、相溶化剤、硬化剤、顔料、保存安定剤、消泡剤等を含有することができる。
本発明の非線形光学活性コポリマーは、従来提案されている種々の電気光学素子の材料として適用可能である。
電気光学素子の代表的なものとして、マッハツェンダー型光変調器などの光スイッチング素子(光通信素子)が挙げられる。光スイッチング素子においては、本発明の非線形光学活性コポリマーを含むワニスをガラス、プラスチック等の基材上に塗布後、光又は電子線によるリソグラフィー法、ウェット及びドライエッチング法、あるいはナノインプリント法などで加工することで、光を伝送可能な光導波路構造とする。通常、上記非線形光学活性コポリマーを含むワニスより屈折率の小さい材料上に塗布、積層することで光導波路構造を形成するが、この構造に限定されず他の光導波路構造にも本発明の非線形光学活性コポリマー(ワニス)は適用可能である。
代表的な光スイッチング素子であるマッハツェンダー型光変調器においては、分岐した光導波路構造の両方あるいは一方に高周波電圧を印加して電気光学特性を発現させ、屈折率を変化させることで伝搬する光の位相変化を生じさせる。この位相変化によって分岐、合波後の光強度を変化させることで光の高速な変調が可能となる。
またここでいう電気光学素子は、位相、強度変調だけに限定されず、例えば偏光変換素子や分波及び合波素子などにも使用できる。
さらに本発明の非線形光学活性コポリマーは通信素子用途以外にも、電界の変化を屈折率の変化として検出する電界センサー等の用途にも使用できる。
本発明において、前記非線形光学活性コポリマーを含むワニスを用いて作製された材料(例えば薄膜)の2次の非線形光学特性を発現させるためには、ポーリング処理を必要とする。ポーリング処理とは、およそ材料のガラス転移温度以上、溶融点以下の温度に材料を加熱した状態で所定電界を印加し、その電界を維持した状態で材料を冷却することで、コポリマーに含まれる非線形光学活性部位(非線形光学活性を発現する原子団)を配向させる操作である。この操作により材料は巨視的な非線形光学特性を発現することができる。
本発明においても、単に非線形光学活性コポリマーをワニスの形態として薄膜化しただけでは、非線形光学活性部位(非線形光学活性を発現する原子団)の配向はランダムとなっていることから、非線形光学活性コポリマーのガラス転移温度より15℃、好ましくは10℃低い温度以上(上記非線形光学活性コポリマーがガラス転移温度を示さない場合にはおよそ120℃以上)、溶融点以下の温度に加熱し、ポーリング処理を行い、非線形光学特性を発現させる。
[条件A]
装置:東ソー(株)製 HLC−8200GPC
カラム:昭和電工(株)製 Shodex(登録商標) GPC KF−804L +
KF−805L
カラム温度:40℃
溶媒:THF
検出器:UV(254nm)
検量線:標準ポリスチレン
[条件B]
装置:東ソー(株)製 HLC−8200GPC
カラム:昭和電工(株)製 Shodex(登録商標) OHpak SB−803 HQ + SB−804 HQ
カラム温度:40℃
溶媒:DMF(H3PO4 29.6mM、LiBr・H2O 29.6mM、THF
0.01体積%添加)
検出器:UV(254nm)
検量線:標準ポリスチレン
(2)1H NMRスペクトル
装置:アジレント・テクノロジー(株)製 NMR System 400NB
溶媒:CDCl3
内部標準:テトラメチルシラン(δ0.00ppm)
(3)ガラス転移温度(Tg)測定
装置:NETZSCH社製 Photo−DSC 204 F1 Phoenix(登録商標)
測定条件:窒素雰囲気下
昇温速度:30℃/分(−50〜250℃)
(4)5%重量減少時温度(Td5%)測定
装置:(株)リガク製 TG8120
測定条件:窒素雰囲気下
昇温速度:10℃/分(20〜500℃)
(5)膜厚測定
装置:(株)アルバック製 触針式表面形状測定器 Dektak3
AIBN:2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)[和光純薬工業(株)製 V−60]
BIEM:2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート[昭和電工(株)製 カレンズMOI−BP(登録商標)]
DBTDL:ジラウリン酸ジブチルスズ[東京化成工業(株)製]
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
窒素雰囲気下、BIEM20.0g(80mmol)及びAIBN0.26g(1.6mmol)をトルエン63gに溶解し、65℃で3時間撹拌した。室温(およそ25℃)まで放冷後、この反応混合物をメタノール1kgに添加してポリマーをスラリー状態で沈殿させた。このスラリーをろ過後、得られた固体をTHF30gに溶解し、メタノール1kgで再沈殿させた。この沈殿物をろ過、60℃で減圧乾燥して、白色粉末の目的物(PBIEM)16.5gを得た(得率83%)。なお得られた目的物は後述する式[8]で表される繰り返し単位を有するポリマーである。
得られた目的物の1H NMRスペクトルを図1に示す。また、目的物のGPC(条件A)によるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは114,000、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は2.7、ガラス転移温度Tgは51.1℃、5%重量減少温度Td5%は211.7℃であった。
ポリマーに導入する非線形光学化合物として、下記の化合物[7]を用いた。また、比較のために高分子マトリクス中に分散させる非線形光学化合物として、下記の化合物[1
0]を用いた。これらの化合物は、J.Polym.Sci.A:Polym.Chem,49,p47(2011)に開示される手法と同様の手法により合成した。
窒素雰囲気下、合成例1で得られたPBIEM2.0g(繰り返し単位として8.0mmol)、参考例1に示す非線形光学化合物[7]0.98g(1.4mmol)及びDBTDL0.09g(0.14mmol)を1,4−ジオキサン60gに溶解し、101℃で還流させながら6時間撹拌した。室温(およそ25℃)まで放冷後、この反応液へTHF8gを添加し、得られた反応混合物をヘプタン800gに添加してポリマーをスラリー状態で沈殿させた。このスラリーをろ過後、得られた固体をTHF74gに溶解し、ヘプタン−酢酸エチル混合溶液(質量比1:1)750gで再沈殿させた。この沈殿物をろ過、60℃で減圧乾燥して、下記式[8]及び式[9]で表される繰り返し単位を有する濃緑色粉末の目的物(EOポリマー1)1.8gを得た(得率63%)。
得られた目的物の1H NMRスペクトルを図2に示す。1H NMRスペクトルから算出した繰り返し単位組成(モル比)は、式[8]:式[9]=75:25であり、EOポリマー1中の非線形光学化合物の含有率は43質量%であった。また、目的物のGPC(条件B)によるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは580,000、分散度(Mw/Mn)は12.5、ガラス転移温度Tgは106.5℃、5%重量減少温度Td5%は202.4℃であった。
窒素雰囲気下、合成例1で得られたPBIEM2.0g(繰り返し単位として8.0mmol)、参考例1に示す非線形光学化合物[7]0.49g(0.7mmol)及びDBTDL0.045g(0.07mmol)を1,4−ジオキサン60gに溶解し、101℃で還流させながら6時間撹拌した。室温(およそ25℃)まで放冷後、この反応液へTHF8gを添加し、得られた反応混合物をヘプタン800gに添加してポリマーをスラリー状態で沈殿させた。このスラリーをろ過後、得られた固体をTHF53gに溶解し、ヘプタン−酢酸エチル混合溶液(質量比1:1)536gで再沈殿させた。この沈殿物をろ過、60℃で減圧乾燥して、前記式[8]及び式[9]で表される繰り返し単位を有する濃緑色粉末の目的物(EOポリマー2)1.6gを得た(得率67%)。
得られた目的物の1H NMRスペクトルを図3に示す。1H NMRスペクトルから算出した繰り返し単位組成(モル比)は、式[8]:式[9]=90:10であり、EOポリマー2中の非線形光学化合物の含有率は22質量%であった。また、目的物のGPC(条件B)によるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは234,000、分散度(Mw/Mn)は4.0、ガラス転移温度Tgは98.3℃、5%重量減少温度Td5%は202.5℃であった。
実施例1及び実施例2で得られたEOポリマー1及び2について、表1に示す各溶媒に対する溶解性を評価した。試験は、濃度が10質量%となるようにEOポリマーをそれぞれの溶媒と混合し、ミックスローター(110rpm)を用いて25℃で1時間撹拌後に、以下の基準に従って目視で評価した。結果を表1に併せて示す。
[評価基準]
○:完全に溶解し透明な溶液となっている
×:溶け残りがある
10mLサンプル瓶に、実施例1で得られたEOポリマー1 12質量部、及びシクロペンタノン88質量部を配合した。この混合物をミックスローター(110rpm)を用
いて室温(およそ25℃)で1時間撹拌し、均一なワニス(EOポリマー濃度12質量%)を調製した。
得られたワニスを石英基板上にスピンコーティング(200rpm×5秒間、次いで800rpm×30秒間)し、成膜した。この塗膜を150℃のホットプレートで10分間加熱することで、硬化膜を作製した。
EOポリマー1に替えて実施例2で得られたEOポリマー2を使用した以外は実施例4と同様に操作し、硬化膜を作製した。
実施例4及び実施例5で作製した硬化膜を、25℃のTHFに1分間浸漬した後、エアガンで乾燥し、さらに100℃のホットプレートで1分間乾燥させた。THF浸漬前後の硬化膜の膜厚を測定し、残膜率(=(1−(浸漬前膜厚−浸漬後膜厚)÷浸漬前膜厚)×100)を求めた。結果を表2に併せて示す。
なお、溶媒耐性はEOポリマー層の上に他の層(例えばクラッド層等)を積層する際に必要となる特性であり、溶媒耐性がない場合には、上層膜成膜時の溶媒にその下層膜となるEOポリマー層が溶解し、積層が困難となる。また、EOポリマー層が熱架橋により硬化できるという特性は、得られた硬化膜に対して行う電場印加により非線形光学活性を発現する原子団を配向させるポーリング処理後に、その配向が経時的に緩和することを抑制するためにも有効な特性である。
実施例1及び実施例2で得られたEOポリマー1及び2の各10質量部を、それぞれシクロペンタノン90質量部に配合した。各混合物を室温(およそ25℃)で24時間撹拌した後、フィルタ(孔径0.20μm)ろ過して均一なワニス(EOポリマー濃度10質量%)を調製した。また比較のため、市販のポリメタクリル酸メチル(PMMA)[和光純薬工業(株)製、No.138−02735]7.5質量部、参考例1に示す非線形光学化合物[7]2.5質量部及びシクロペンタノン57質量部を配合したワニス、PMMA7質量部、化合物[7]3質量部及びシクロペンタノン57質量部を配合したワニス、並びにPMMA7質量部、化合物[7]と同程度の電気光学特性を示しPMMAにより高濃度で分散可能な化合物[10]3質量部及びシクロペンタノン57質量部を配合したワニスを、同様に調製した。
得られたワニスを、ITO基板[ジオマテック(株)製 ITO膜付きガラス(スパッタ品) 品番:0008]上にスピンコーティング(1,000rpm×30秒間)し、真空下85℃のオーブンで24時間加熱することで成膜した。この塗膜の上に、上部電極として、スパッタリング法により金を100nmの厚さで成膜し、測定試料を作製した。
各試料の電気光学定数を、波長1.31μmの半導体レーザーを光源として、C.C.Tengら、Appl.Phys.Lett.,56,p1734(1990)、及びY
.Shutoら、J.Appl.Phys.,77,p4632(1995)に開示される手法と同様の手法によって測定した。各試料から得られた電気光学定数r33を、電界配向処理を行った温度、印加電圧、試料の膜厚とともに表3に併せて示す。
実施例7において電気光学定数を測定した試料について温度耐久試験を行った。試料を85℃に保持し、ポーリング直後から100時間後までの電気光学定数の緩和特性を測定した。図4にEOポリマー1の電気光学定数r33の初期値からの変化率を、図5に化合物[10]分散PMMAのr33の初期値からの変化率をそれぞれ時間の関数として示す。
図5に示すように、PMMAをマトリクスポリマーとして使用した場合、ガラス転移温度が低いことも起因し36時間で保持率がほぼ0%近くまで低下したのに対し、本発明のEOポリマー1(図4参照)では100時間経過後において初期値の62%が保持されていた。すなわち、架橋性を有するEOポリマー1を使用することにより、非線形光学化合物の配向緩和が大幅に抑制されているとする結果が得られた。
Claims (9)
- 同一分子内に、ブロック剤で保護されたイソシアネート基を有する式[1]で表される繰り返し単位A、及び非線形光学活性部位を有する式[2]で表される繰り返し単位B、を含む非線形光学活性コポリマーであって、
前記ブロック剤がフェノール類、活性メチレン基含有化合物、オキシム類、ラクタム類、ピラゾール類及びチオール類からなる群から選択され、
式[2]中のZが式[4]で表される化合物から誘導される原子団である、
非線形光学活性コポリマー。
- 前記ブロック剤がピラゾール類から選択される、請求項1に記載の非線形光学活性コポリマー。
- 請求項1又は請求項2に記載の非線形光学活性コポリマーを用いた有機非線形光学材料。
- 請求項1又は請求項2に記載の非線形光学活性コポリマーを含む電気光学素子。
- 請求項1又は請求項2に記載の非線形光学活性コポリマーを含む光スイッチング素子。
- 請求項1又は請求項2に記載の非線形光学活性コポリマーを含むワニス。
- 請求項6に記載のワニスから作製される薄膜。
- 請求項6に記載のワニスを、基材又は必要に応じて基材上に積層されている最表面層に塗布し塗膜を得る工程、該塗膜に加熱下電界を印加し非線形光学活性を発現する原子団を配向させる工程、を含む有機非線形光学材料の製造方法。
- 式[1]で表される繰り返し単位Aを有するポリマーに、同一分子内にイソシアネート基と反応し得る官能基及び非線形光学活性部位を有する化合物を反応させることを特徴とする、同一分子内に式[1]で表される繰り返し単位A及び式[2]で表される繰り返し単位Bを含む非線形光学活性コポリマーの製造方法であって、
式[1]中のブロック剤がフェノール類、活性メチレン基含有化合物、オキシム類、ラクタム類、ピラゾール類及びチオール類からなる群から選択され、
式[2]中のZが式[4]で表される化合物から誘導される原子団である、
製造方法。
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