JP6149031B2 - 非水電解質二次電池用電極の製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池用電極の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、プレス処理を施しても導電性が低下し難い非水電解質二次電池用電極の製造方法に関する。
近年、非水電解質二次電池は、高エネルギー密度を有する等の理由から、広く普及している。このような非水電解質二次電池には、正極‐負極間にリチウムイオンを移動させて充放電を行う原理が利用されている。非水電解質二次電池は、正極活物質としてリチウム金属酸化物であるコバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、リン酸鉄リチウム系等が、実用化され又は商品化を目指している。負極活物質としては、黒鉛などの炭素材料が用いられている。そして、これら正極活物質と負極活物質に導電剤や結着剤を加えた電極合材を、アルミニウム箔や銅箔のような金属箔の集電体に担持して正極又は負極が構成される。
電池容量は活物質の量に依存するため、集電体にできるだけ多くの活物質を担持させることにより電池の高容量化が図られる。集電体にアルミニウム箔や銅箔のような金属箔を用いた場合、金属箔は二次元構造であり担持する活物質量が少ない点で多孔体に比べて劣っている。そこで、電極において担持する活物質量を増やために、発泡体や不織布状などの三次元多孔質体を集電体に用いることも考えられる。例えば、特許文献1には、樹脂製の不織布と該不織布の表面に形成された導電層と、非水系溶媒にアルミニウム塩を溶解した浴を用いて該導電層の表面に形成されたアルミニウム電解めっき層とからなる三次元多孔体からなる集電体が記載されている。また、特許文献2には、不織布状ニッケルをクロマイジング処理しクロム含有率を25質量%以上とした不織布状ニッケルクロムの多孔質集電体が記載されている。
しかしながら、これらの集電体は、耐酸化性及び耐電解液性を有し多孔度を向上させ、これにより工業的生産に適し、さらに電極群を捲回しても短絡の支障が発生しない正極及び電池を提供するためのものであり、このような三次元網状体と表現されるような繊維状の構造体では、充放電の繰り返しにおいて膨張収縮を繰り返す活物質を強固に保持するには不十分であった。
また、多孔質金属の製造方法としては、溶融した金属中に水素化チタン等の発泡剤を混合し、発生したガスを含んだ状態で凝固させる溶湯発泡法(特許文献3)や、金属粉末と塩化ナトリウム等のスペーサー材を混合、圧縮成形した後に金属粉末を通電加熱し、スペーサー材を除去するスペーサー法(特許文献4)などが知られている。
しかしながら、特許文献3で作製できる多孔質アルミニウムは孔同士が独立したクローズドセル型で、活物質の充填や電解液の侵入が不可能であるために電極として使用することは出来ない。また、特許文献4に記載のスペーサー法で作製できる多孔質アルミニウムに形成される孔は、その周囲が焼結した金属粉末によって囲まれているため、活物質を強固に保持するのに適した構造であるが、放電プラズマ焼結(SPS)による方法では大電流を必要とするためにサイズが制限され、実用的な多孔質金属を製造することが困難である。また、このような構造の孔を持つ多孔質アルミニウムでは、孔内に活物質などの充填物がある状態でプレス処理した場合に充填物によって孔の壁が損傷を受け、多孔質アルミニウムの導電率が低下するといった問題があった。更に、特許文献5には、連通孔を有する樹脂体表面に気相法等でアルミニウム合金層を形成し、樹脂体を熱分解することによって、樹脂体が除去された中空糸状のアルミニウム多孔体に活物質を充填した非水電解質電池用集電体が記載されている。しかしながら、このような集電体では、充填活物質は中空糸状柱が芯となる形で保持されているに過ぎず、活物質がアルミニウム多孔体から脱落し易いとう問題があった。なお、このようなアルミニウム多孔体は、図4に例示するように、中空糸状以外の空間部分が壁を介することなく三次元的に一体的に拡がった連通孔を形成しているものである。
特開2010−9905号公報 特開2009−176517号公報 特開平11−302765号公報 特開2004−156092号公報 特開2011−249260号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、プレス処理時に活物質が多孔質アルミニウム壁を損傷することによる電極の導電性低下のない非水電解質二次電池用電極の製造方法の提供を目的とする。
本発明者等は従来技術の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、非水電解質二次電池用電極の構成を従来の多孔質金属とも構造が相違する多孔質アルミニウム集電体とその孔内に充填される電極合材とし、多孔質アルミニウム集電体の孔中に活物質を含む電極合材を充填することで、孔内に活物質を担持して脱落を防止できることを見出した。更に、活物質の粒径daと多孔質アルミニウムの孔径dpがda/dp≦0.10を満たすことにより、プレス処理時に活物質が多孔質アルミニウム壁を損傷することがないので電極の導電性低下を防止でき、その結果、電極容量の増加による電池特性の向上が図られることを見出した。
すなわち本発明は請求項1において、リチウムを吸蔵放出可能な活物質を含む電極合材を含有する非水電解質二次電池用電極の製造方法であって、
アルミニウム粉末と、当該アルミニウム粉末の融点よりも高い融点を有する支持粉末との混合物を、200MPa以上の圧力で加圧成形した加圧成形体を、前記アルミニウム粉末の融点以上で、かつ、前記支持粉末の融点未満の温度で不活性雰囲気中において熱処理して焼結体とし、当該焼結体中の支持粉末を水に溶出させることによって、支持粉末が除去された孔と、その孔の周囲を形成する焼結したアルミニウム粉末の結合金属粉末壁とによって構成され、当該結合金属粉末壁には多くの微細孔が形成され、前記孔同士がこれら微細孔によって連結したオープンセル型の構造を有すると共に、80〜95%の気孔率を有する多孔質アルミニウム集電体を調製する工程と、
前記多孔質アルミニウム集電体の孔中に前記活物質の粒子を含む電極合材を溶媒に分散したスラリーを圧入し又は多孔質アルミニウム集電体を前記スラリーに浸漬することによって、前記結合金属粉末壁に形成された前記多くの微細孔を介して前記多孔質アルミニウム集電体の孔中に前記活物質の粒子を含む電極合材を充填する工程であって、前記活物質の粒子の粒径daと多孔質アルミニウムの孔径dpがda/dp≦0.10の条件を満たす前記電極合材を充填する工程と、
上記電極合材が充填された多孔質アルミニウム集電体を加圧し、加圧後の厚さが加圧前の0.2〜0.9倍となるようにプレス処理する工程と、を備えることを特徴とする非水電解質二次電池用電極の製造方法とした。
本発明は請求項2では請求項1において、前記電極合材、活物質に加えて導電助剤と結着剤とを含ませ、全電極合材に対する活物質の割合85〜95質量%とするものとした。
なお、本発明によるときは、請求項1又は2に記載の製造方法により作製した非水電解質二次電池用電極を正極及び負極の少なくとも一方とし、正負極間に配置されたセパレータと、非水電解質とを備えたことを特徴とする非水電解質二次電池を提供することが可能となる。
本発明に係る非水電解質二次電池用電極の製造方法においては、孔中に活物質を含む電極合材を充填した多孔質アルミニウムを作製し、更に活物質の粒径daと多孔質アルミニウムの孔径dpがda/dp≦0.10を満たす電極合材を充填することにより、プレス処理時に活物質が多孔質アルミニウム壁を損傷することがなく、電極の導電性低下を防止できる。その結果、内部抵抗が小さく高容量の非水電解質二次電池を得ることができる。
本発明で用いる多孔質アルミニウム集電体の内部を示す電子顕微鏡写真である。 活物質の粒径daと多孔質アルミニウム集電体の孔径dpがda/dp≦0.10を満たす場合における、多孔質アルミニウム集電体の孔内に収容される活物質を表わす模式図である。 活物質の粒径daと多孔質アルミニウム集電体の孔径dpがda/dp>0.10を満たす場合における、多孔質アルミニウム集電体の孔内に収容される活物質を表わす模式図である。 従来のアルミニウム多孔体の内部を示す顕微鏡写真である。
本発明に係る非水電解質二次電池用電極の製造方法において用いる多孔質アルミニウム集電体について、以下に詳述する。なお、このような多孔質アルミニウムは、正極及び負極のいずれか一方の集電体に、或いは、両方の集電体に適用できるものである。
(a)多孔質アルミニウム集電体
本発明で用いる多孔質アルミニウム集電体は、所定の体積割合で混合したアルミニウム粉末と支持粉末の混合粉末を加圧成形した後に、その成形体を不活性雰囲気中で熱処理して焼結し、最終的に支持粉末を除去することで得られる。また、混合粉末を金属板と複合化してもよい。図1に示すように、多孔質アルミニウム集電体は、支持粉末が除去された孔と、その孔の周囲を形成する焼結したアルミニウム粉末の結合金属粉末壁とによって構成される。結合金属粉末壁には多くの微細な孔が形成されており、孔同士がこれら微細孔によって連結したオープンセル型の構造となっている。
多孔質アルミニウム集電体の気孔率、すなわち、後述するプレス処理前における気孔率は80〜95%と規定される。気孔率が80%未満では孔同士を連結する穴が少なく、所定量の活物質を孔内に充填することができず、電池の高容量化が難しくなる。また、活物質が十分に充填されないということは、電解液も浸透し難いということであり、プレス処理によって空間が圧縮されることで、更に電解液の浸入が困難になる結果、電池反応に寄与できる活物質が少なくなって活物質の利用率が低下する。一方、気孔率が95%を超えると集電体自体の強度が不足し、孔に合材を充填して電極を作製することができない。多孔質アルミニウム集電体のより好ましい気孔率は、85〜90%である。
ここで、プレス処理前の多孔質アルミニウム集電体の気孔率p(%)は、下記式(1)によって算出される。
p=[{hv−(hw/2.7)}/hv]×100(1)
ここで、
hv:プレス処理前の多孔質アルミニウム集電体の全体積(cm
hw:プレス処理前の多孔質アルミニウム集電体の質量(g)
2.7:アルミニウム材の密度(g/cm)である。
(b)アルミニウム粉末
本発明で用いるアルミニウム粉末には、純アルミニウム粉末、アルミニウム合金粉末又はこれらの混合物が用いられる。使用環境下において合金成分が耐食性劣化の原因となるような場合には、純アルミニウム粉末を用いるのが好ましい。純アルミニウムとは、純度99.0mass%以上のアルミニウムである。
一方、より高い強度を得たいといった場合には、アルミニウム合金粉末又はこれと純アルミニウム粉末の混合物を用いるのが好ましい。アルミニウム合金としては、1000系、2000系、3000系、4000系、5000系、6000系、7000系のアルミニウム合金が用いられる。
アルミニウム粉末の粒径は1〜50μmが好ましい。多孔質アルミニウム集電体の製造において支持粉末の表面を満遍なくアルミニウム粉末で覆うためには、アルミニウム粉末の粒径はより小さい方が好ましく、1〜10μmが更に好ましい。アルミニウム粉末の粒径は、レーザー回折散乱法(マイクロトラック法)で測定したメジアン径で規定する。
(c)添加元素粉末
純アルミニウム粉末に添加元素粉末を加えた混合物を用いてもよい。このような添加元素には、マグネシウム、珪素、チタン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛等から選択される単独又は二以上の任意の組み合わせからなる複数の元素が好適に用いられる。このような混合物は、熱処理によりアルミニウムと添加元素との合金を形成する。また、添加元素の種類によっては、アルミニウムと添加元素との金属間化合物が更に形成される。このようなアルミニウムの合金や金属間化合物の含有により、様々な効果が得られる。例えば、珪素や銅などの添加元素とアルミニウムとのアルミニウム合金では、アルミニウム粉末の融点が低下し、熱処理に必要な温度を下げることができるので製造に必要なエネルギーを削減できると共に、合金化によって強度が向上する。また、アルミニウムとニッケルなど添加元素との金属間化合物が形成される際に発熱が起こって焼結が促進されると共に、金属間化合物が分散した組織が形成されることで高強度化が図れる。
アルミニウム合金粉末に添加元素粉末を加えてもよく、アルミニウム合金粉末と純アルミニウム粉末との混合物に、添加元素粉末を加えてもよい。これらの場合には、新たな合金系や金属間化合物が形成される。更に、添加元素粉末として、複数の添加元素粉末同士を合金化した添加元素合金粉末を用いてもよい。
アルミニウム合金粉末や純アルミニウム粉末に対する添加元素粉末や添加元素合金粉末の添加量は、形成される合金や金属間化合物の化学式量に基づいて適宜決定される。
また、添加元素粉末の粒径は、1〜50μmが好ましい。純アルミニウム粉末、アルミニウム合金粉末、支持粉末との十分な混合を図るためにより微細であるのが好ましく、少なくとも支持粉末より細かいものが用いられる。添加元素粉末の粒径は、アルミニウム粉末と同様にレーザー回折散乱法(マイクロトラック法)で測定したメジアン径で規定する。
(d)支持粉末
本発明では支持粉末としては、アルミニウム粉末の融点よりも高い融点を有するものを用いる。また、混合粉末を金属板と複合化する場合には、アルミニウム粉末と金属板の低い方の融点よりも高い融点を有するものを用いる。このような支持粉末としては水溶性塩が好ましく、入手の容易性から塩化ナトリウムや塩化カリウムが好適に用いられる。支持粉末が除去されることで形成された空間が多孔質アルミニウムの孔になることから、支持粉末の粒径が孔径に反映される。そこで、本発明で用いる支持粉末の粒径は、100〜1000μmとするのが好ましい。支持粉末の粒径は、ふるいの目開きで規定する。従って、分級によって支持粉末の粒径を揃えることで、孔径の揃った多孔質アルミニウムが得られる。
(e)金属板
本発明においては、混合粉末を金属板と複合化した状態で用いてもよい。金属板とは無孔の板や箔及び、有孔の金網、エキスパンドメタル、パンチングメタル等の網状体である。金属板が支持体となり多孔質アルミニム集電体の強度が向上し、更に導電性が向上する。金属板としては熱処理時に蒸発又は分解しない素材、具体的にはアルミニウム、チタン、鉄、ニッケル、銅等の金属やその合金製のものが好適に利用できる。
混合粉末と金属板との複合化とは、例えば金属板に金網を用いた場合には、網目の中に混合粉末を充填しつつ網全体を混合粉末で覆うような一体化状態をいう。金属板の両側に結合金属粉末壁を設けた多孔質アルミニウムに例えば触媒や活物質を充填する場合、金属板が有孔の網状体であれば金属板で分けられる領域の片側からの充填であっても、もう一方の領域にまで充填することができるため、金属板は網状体であることが好ましい。ここで、有孔とは、金網の網目部分、パンチングメタルのパンチ部分、エキスパンドメタルの網目部分、金属繊維の繊維と繊維との隙間部分を言う。
網状体の有孔の孔径は、接合した混合粉末から支持粉末を除去して得られる孔の径より大きくても、小さくてもよい。
網状体の有孔の開口率は、多孔質アルミニウム集電体の気孔率を損なわないためにも大きい方が好ましい。
(f)混合方法
アルミニウム粉末と支持粉末の混合割合は、それぞれの体積をVal、Vsとしてアルミニウム粉末の体積率であるVal/(Val+Vs)が5〜20%とするのが好ましく、より好ましくは10〜15%である。ここで体積Val、Vsはそれぞれの質量と比重から求めた値である。アルミニウム粉末の体積率が20%を超える場合には、支持粉末の含有率が少な過ぎるために支持粉末同士が接触することなく独立して存在することになり、支持粉末を十分に除去しきれない。除去しきれない支持粉末は、多孔質アルミニウムの腐食の原因となる。一方、アルミニウム粉末の体積率が5%未満の場合には、多孔質アルミニウムを構成する壁が薄くなり過ぎることで、多孔質アルミニウムの強度が不十分となり、取り扱いや形状維持が困難となる。
また、支持粉末をアルミニウム粉末で十分に覆れた状態を達成するために、アルミニウム粉末の粒径(dal)が支持粉末の粒径(ds)に比べて十分に小さいこと、例えば、dal/dsが0.10以下であることが好ましい。
なお、アルミニウムを支持粉末と混合する混合手段としては、振動攪拌機、容器回転混合機といったものが用いられるが、十分な混合状態が得られるのであれば特に限定されるものではない。
(g)複合化方法
混合粉末を成形用金型に充填する際に、混合粉末と金属板とを複合化してもよい。複合化の形態としては、混合粉末の間に金属板を挟んでも、混合粉末を金属板で挟んでも構わない。また、混合粉末と金属板の複合化を繰り返して多段にすることもできる。複合化の際にはアルミニウム粉末や支持粉末の粒径、混合割合の異なる混合粉末や、種類の異なる複数の金属板を組み合わせることもできる。
(h)加圧成形方法
加圧成形時の圧力は、200MPa以上とするのが好ましい。十分な圧力を加えて成形することでアルミニウム粉末同士が擦れ合い、アルミニウム粉末同士の焼結を阻害するアルミニウム粉末表面の強固な酸化皮膜が破壊される。この酸化皮膜は融解したアルミニウムを閉じ込め、互いに接触することを妨げると共に、融解アルミニウムとの濡れ性に劣り、液体状のアルミニウムを排斥する作用がある。そのため、加圧成形の圧力が200MPa未満の場合にはアルミニウム粉末表面の酸化皮膜の破壊が不十分で、加熱時に融解したアルミニウムが成形体の外に滲み出し玉状のアルミニウムの塊が形成される場合がある。アルミニウム塊が形成されたことで多孔質アルミニウムの気孔率は狙いよりも高くなる。従って、このようなアルミニウムの塊の形成は、多孔質アルミニウムの気孔率が制御できなくなってしまう点で弊害となる。また、アルミニウム塊の形成によって形状が崩れ、これを除去しなければならなくなる点でも問題となる。成形圧力は使用する装置や金型が許容する限り大きい方が形成される多孔質アルミニウム壁が強固になって好ましい。しかしながら、400MPaを超えると効果が飽和する傾向がある。加圧成形体の離型性を高める目的でステアリン酸等の脂肪酸、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸、各種ワックス、合成樹脂、オレフィン系合成炭化水素等の潤滑剤を使用することが好ましい。
(i)熱処理方法
熱処理は使用するアルミニウム粉末の融点以上で、かつ、支持粉末の融点未満の温度で行う。アルミニウム粉末の融点とは、純アルミニウム又はアルミニウム合金の液相が生じる温度である。液相が生じる温度まで加熱することで、アルミニウム粉末から液相が滲み出し、液相同士が接触することでアルミニウム粉末同士が金属的に結合する。
熱処理温度が上記融点未満の場合には、アルミニウムが融解しないためにアルミニウム粉末同士、アルミニウム粉末と金属板との結合が不十分となる。また、上記融点以上に加熱すると、焼結体の最表面に位置する支持粉末の表面を覆っていたアルミニウムが除去され、開口率が大きな表面を有する焼結体が形成される。焼結体の開口率が大きいと、集電体に適用した際に活物質を充填するのに有利である。
加熱温度が支持粉末の融点以上では支持粉末が融解してしまうため、加熱は支持粉末の融点未満の温度で行う。支持粉末として塩化ナトリウムや塩化カリウムなどの水溶性塩を用いる場合には、好ましくは700℃未満、更に好ましくは680℃未満で熱処理を行う。支持粉末の融点以上の温度で加熱した場合には、支持粉末の融解に伴い有孔体の形状を維持できない。また、温度が高くなるほど融解したアルミニウムの粘度が低下し、加圧成形体の外側にまで融解したアルミニウムが滲み出て、凸状のアルミニウム塊が形成される。アルミニウム塊が形成されることで多孔質アルミニウムの気孔率は狙いよりも高くなる。このようなアルミニウム塊の形成は、多孔質アルミニウムの気孔率が制御できなくなってしまう点で弊害となる。また、アルミニウム塊の形成によって形状が崩れ、これを除去しなければならなくなる点でも問題となる。熱処理における加熱保持時間は、1〜60分程度が好ましい。また、熱処理時に加圧成形体に荷重を掛け、加圧成形体の圧縮を行ったり、加熱と冷却の繰り返しを複数回行ってもよい。
熱処理を行う不活性雰囲気はアルミニウムの酸化を抑制する雰囲気であり、真空;窒素、アルゴン、水素、分解アンモニア及びこれらの混合ガス;の雰囲気が好適に用いられ、真空雰囲気が好ましい。真空雰囲気は、好ましくは2×10−2Pa以下、更に好ましくは1×10−2Pa以下である。2×10−2Paを超える場合、アルミニウム粉末表面に吸着した水分の除去が不十分となり、熱処理時にアルミニウム表面の酸化が進行する。前述のとおりアルミニウム表面の酸化皮膜は液体状のアルミニウムとの濡れ性に劣り、その結果、融解したアルミニウムが滲み出し玉状の塊が形成される。窒素等の不活性ガス雰囲気の場合は、酸素濃度を1000ppm以下、露点を−30℃以下にすることが好ましい。
(j)支持粉末の除去方法
焼結体中の支持粉末の除去は、支持粉末を水に溶出させて行う方法が好適に用いられる。焼結体を十分な量の水浴または流水浴に浸漬する等の方法により、支持粉末を容易に溶出することができる。水に溶出した支持粉末は、金属粉末壁に形成された微細孔を介して焼結体から除去される。支持粉末として水溶性塩を用いる場合には、これを溶出させる水は、イオン交換水や蒸留水等、不純物の少ない方が好ましいが、水道水でも特に問題は無い。浸漬時間は、通常、数時間〜24時間程度の範囲で適宜選択される。浸漬中に超音波等によって振動を与えることにより、溶出を促進することもできる。
(k)電極
本発明に係る製造方法により作製した非水電解質二次電池用電極は、正極と負極のいずれも適用可能でる。このような電極は、リチウムを吸蔵放出可能な活物質を含む電極合材を含有する。電極合材は、上述の多孔質アルミニウム集電体の孔中に充填された状態で担持されている。電極合材は、活物質に加えて導電助剤と結着剤とを含んでいてもよい。
電極が正極の場合、用いられる正極活物質は、非水電解質二次電池に使用できるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、リン酸鉄リチウム等のリチウム金属酸化物が用いられる。電極が負極の場合、用いられる負極活物質は非水電解質二次電池に使用できるものであれば特に制限されるものではない。
正極でも負極においても電極合材に導電助剤を加えることにより、電極全体としての導電性が向上する。導電助剤としては特に限定されるものではなく、公知または市販のものを使用することができる。例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛等を挙げることができる。
正極でも負極においても電極合材に結着剤を加えることにより、結着剤を介しての成分の結合、すなわち活物質同士、導電助剤同士、活物質と導電助剤との結合が強固になって、集電体からの活物質の脱落がより起こり難くなる。用いる結着剤としては特に限定されるものではなく、公知または市販のものを使用することができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。
また、通常は電極合材に導電助剤と結着剤とを加えるが、この場合には、正極でも負極においても全電極合材(活物質+導電助剤+結着剤)に対する活物質の割合は、85〜95重量%とするのが好ましい。この割合が85重量%未満では活物質が不足して、高電池容量化が達成できない。一方、この割合が95重量%を超えると、電極全体としての導電性が低下し、また各成分同士や成分間における十分な結合が得られず、これまた高電池容量化が達成できない。
このような非水電解質二次電池用電極は、プレス処理前における活物質の粒径daと多孔質アルミニウムの孔径dpがda/dp≦0.10を満たす必要がある。ただし、活物質粒子が凝集して二次粒子となっている場合には、daは二次粒子の径として扱う。図2は、この比を満たす場合を模式的に表わしたものである。この場合には、daがdpに比べて十分に小さいので、プレス処理時に活物質1が多孔質アルミニウム壁2を損傷することなく孔3内に収容される状態となる。これに対して図3に模式的に示すように、da/dp>0.1の場合にはdaがdpに比べて十分に小さくないので、プレス処理時に孔3内の活物質1が多孔質アルミニウム壁2を強く押圧してこれを損傷する(図中の4が損傷部分)。その結果、電極の導電性低下を招く。なお、da/dpの下限値については特に規定するものではないが、1×10−5を下限値とする。導電性やイオン伝導性に劣る活物質では、粒径daが小さい程、電極反応の効率が大きくなるので、電池性能の点からはdaが小さい程好ましい。しかしながら、粒径daが小さくなる程、活物質の表面積が増加し、活物質間の導電性を確保するための導電助剤の割合を増やす必要性が生じる。その結果、合材中の活物質の割合が減少し、電池のエネルギー密度の低下に繋がることが懸念される。そのため、粒径が数十nmを下回るような活物質の利用は好ましくない。多孔質アルミニウム集電体の作成に用いる支持粉末の粒径との関係から、da/dpとしては1×10−5であることが好ましい。
活物質の粒径daとは、活物質の円相当直径をいうものとする。すなわち、活物質の断面積と同じ面積を有する円の直径をいう。顕微鏡観察により活物質の断面積を数値計算し、これから円相当直径を算出して粒径daを求める。10個以上の活物質試料について顕微鏡観察を行い、算術平均値をもって粒径daが決定される。
多孔質アルミニウムの孔が長径と短径を有する形状を成す場合は、孔径dpとは孔の長径をいうものとする。また、孔が円形の場合には、孔径dpは直径をいうものとする。プレス処理前の多孔質アルミニウム集電体の断面の顕微鏡観察によって、10以上の孔について孔径dpを測定し、これらの算術平均値をもって孔径dpが決定される。
次に、非水電解質二次電池用電極の製造方法について説明する。通常は、活物質、導電助剤及び結着剤が溶媒に分散したスラリー状態で、多孔質アルミニウム集電体中に充填される。活物質、導電助剤及び結着剤のスラリー中の濃度は限定されるものではなく、スラリー粘度などの観点から適宜選択すれば良い。また、粘度調整に増粘剤を加えても良く、良好な分散状態とするために分散剤を加えても良い。スラリーの溶媒も特に限定されるものではないが、例えば、N‐メチル‐2‐ピロリドン、水等が好適に用いられる。結着剤としてポリフッ化ビニリデンを用いる場合には、N‐メチル‐2‐ピロリドンを溶媒に用いるのが好ましく、結着剤としてポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等を用いる場合は、水を溶媒に用いるのが好ましい。
活物質、導電助剤及び結着剤(必要に応じて、増粘剤及び/又は分散剤)の成分を溶媒に分散したスラリーは、例えば、圧入法などの公知の方法により多孔質アルミニウム集電体中に充填される。圧入法としては、多孔質アルミニウム集電体を隔膜として一方側にスラリーを配置し、他方側はスラリーの透過側とするものである。そして、他方側の透過側を減圧にしてスラリーを透過させにことによって、多孔質アルミニウム集電体の孔中に上記各成分を充填するものである。これに替わって、一方側に配置したスラリーを加圧することにより、多孔質アルミニウム集電体の孔中に上記各成分を充填してもよい。
また、圧入法に替えて、上記各成分を溶媒に分散したスラリー中に多孔質アルミニウム集電体を浸漬し、上記各成分を多孔質アルミニウム集電体の孔中に拡散させる方法(以下、浸漬法と称する)を採用してもよい。
圧入法及び浸漬法において、スラリー中の電極合材は、結合金属粉末壁に形成された微細孔を介して多孔質アルミニウムの孔中に充填される。
以上のようにして上記各成分が充填された電極は、50〜200℃で溶媒を飛散させて乾燥される。
このようにして得られる電極は、ロールプレス機や平板プレス機等を用いて加圧するプレス処理によって電極密度が調整される。プレス処理後の電極の厚さはプレス処理前の厚さの0.2〜0.9倍とすることが好ましい。特に、平板プレス機によりプレス処理するのが望ましい。ロールプレス機を用いたプレス処理では、多孔質アルミニウム集電体が歪曲して電極が崩落するおそれがあるためである。
(l)非水電解質二次電池
本発明に係る非水電解質二次電池は、上記のようにして製造される電極と、電間に配置されたセパレータと、非水電解質とを用いて非水電解質二次電池に組み立てられる。なお、正極及び負極の両方、又は、正極のみを上記電極によって構成するのが好ましいが、負極のみを上記電極によって構成してもよい。
セパレータとしては、一般的に用いられているポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などの高分子膜が用いられる。非水電解質としては、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)などの有機溶媒に溶解させた六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)を用いることができる。
以下に発明例及び比較例により、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、以下の発明例及び比較例に限定されるものではない。
(発明例1〜5及び比較例6〜8)
まず、本発明に係る非水電解質二次電池用電極の製造方法において用いる多孔質アルミニウム集電体を以下のようにして作製した。
アルミニウム粉末として、粒径の異なる下記純アルミニウム粉末(A1、A3)を用いた。支持粉末として、粒径の異なる塩化ナトリウム粉末(B1〜B4)、ならびに、粒径605μmの塩化カリウム(C1)を用いた。表1に示すように、各粉末を所定の体積割合で混合し、混合粉末を調製した。
Figure 0006149031



この混合粉末を10mm×30mmの穴を有する金型に充填し、表1に示す圧力で加圧成形した。混合物の充填量は加圧成形体の厚さが1mmとなる重量とした。この加圧成形体を最大到達圧力が1×10−2Pa以下の雰囲気下において表1に示す温度と時間で熱処理することで焼結体を作製し、得られた焼結体を20℃の流水(水道水)中に6時間浸漬して支持粉末を溶出させ、多孔質アルミニウム試料1〜8(幅12mm×長さ30mm×厚さ1mm)を作製した。試料1〜8は電極合材を充填していないプレス処理前のものであり、厚さはマイクロメータによって測定した。
<純アルミニウム粉末、(アルミニウム純度99.7mass%以上)>
A1:メジアン径3μm(融点:660℃)
A3:メジアン径17μm(融点:660℃)
<塩化ナトリウム粉末>
B1:粒径925μm(ふるい目開き中央値)(融点:800℃)
B2:粒径605μm(ふるい目開き中央値)(融点:800℃)
B3:粒径400μm(ふるい目開き中央値)(融点:800℃)
B4:粒径120μm(ふるい目開き中央値)(融点:800℃)
<塩化カリウム粉末>
C1:粒径605μm(ふるい目開き中央値)(融点:776℃)
次に、金型をφ13mmの穴を有するものに変えて、上記と同じ方法で作製した多孔質アルミニウム集電体試料を用いて、以下のようにして本発明に係る非水電解質二次電池用正極を作製した。
(正極の作製)
正極活物質として炭素被覆リン酸鉄リチウム;導電助剤としてアセチレンブラック;結着剤としてPVDFを、表2に記載の重量部で用いた。そして、上記の合計を100重量部として溶媒であるNMP200重量部に分散してスラリーを調製した。
前記浸漬法を用いて、正極活物質、導電助剤及び結着剤を溶媒に分散したスラリー(1リットル)中に上記で作製した多孔質アルミニウム集電体試料1〜7を浸漬し、減圧した(−0.1MPa)。浸漬後、多孔質アルミニウム集電体表裏面に付着した余剰スラリーをヘラで擦り切り落とした。多孔質アルミニウム集電体試料8は、気孔率が高過ぎて形を保てなかったため、スラリー浸漬及びそれ以降の試験には使用しなかった。
次いで、スラリーを充填した多孔質アルミニウム集電体試料を乾燥装置内に配置し、80℃で2時間乾燥させ、表2に示す発明例及び比較例の正極試料を作製した。更に、これらを平板プレス機により0.7mmの厚さまでプレス処理した。
下記のようにして測定した、プレス処理前における多孔質アルミニウム集電体の気孔率、da/dp、プレス処理後における電極合材充填量、ならびに、プレス処理前後の電気抵抗比を表2に示す。
Figure 0006149031

(気孔率)
プレス処理前における多孔質アルミニウム集電体の気孔率は、上記式(1)に従って求めた。
(da/dp)
da/dpは次のようにして求めた。まず、daについては、SEM観察により得た活物質の断面画像を数値計算し、これを円相当直径に算出して粒径daを求めた。10個の活物質試料について同様の観察を行い、算術平均値をもって粒径daを決定した。dpについては、電極合材を充填していない多孔質アルミニウム試料の断面をSEM観察し、10以上の孔について長径又は直径を測定し、算術平均値をもって孔径dpを決定した。以上のようにして決定したdaとdpから、da/dpを求めた。
(電極合材充填量)
プレス処理前の電極合材充填量は、次のようにして求めた。まず、多孔質アルミニウムの質量を、多孔質アルミニウムを構成する素材(アルミニウム材)の密度で割って多孔質アルミニウム集電体を構成する素材の体積を求め、電極体積からこの体積を差し引いて空間体積(cm)を求めた。次に、電極合材を充填する前の多孔質アルミニウム集電体試料の質量をプレス処理後の正極質量から差し引いて電極合材の質量(g)を求めた。そして、電極合材の質量(g)を空間体積(cm)で割り算して空間の単位体積当たりの電極合材の質量を求め、これを電極合材充填量とした。電極合材充填量は、0.7g/cm以上を合格とし、それ未満を不合格とした。
(電気抵抗比)
プレス処理前後の電気抵抗比は、次のようにして求めた。正極の電極合材を充填した後であってプレス処理前の多孔質アルミニウム試料と、これにプレス処理を施した正極試料とを用い、それぞれの試料において長さ方向に沿って10mmの間隔で四つの電極端子を設けた。そして、それぞれの試料の電気抵抗を四端子法により測定した。プレス処理前の試料の電気抵抗Rbに対するプレス処理後の試料の電気抵抗Raの比(Ra/Rb)が、1.5以下の場合を合格とし、それを超える場合を不合格とした。
(評価セルの作製)
上記のプレス処理した正極試料を作用極に用いた2極式評価セルを作製した。対極にはリチウム金属を用いた。電解液として、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合溶媒(体積比で3:7)にLiPFを1.3mol/L溶解させた非水電解液を用い、セパレータとして、微多孔質ポリエチレン膜を用いた。外装体には、ポリプロピレンブロックを加工した樹脂製容器を用い、作用極及び対極に設けた各端子の開放端部が外部露出するように電極群を収納封口した。
(電池試験)
上述のように作製した評価セルを用いて性能試験を行い、正極活物質の単位質量当たりの電極容量を以下のようにして求めた。
作製した評価セルを0.2Cで4Vまで充電した後、0.2Cで放電し、放電時に電圧が2Vを下回るまでに流れた電流と放電に要した時間の積を電極容量とした。この電極容量を正極試料に充填された活物質の質量で割った値を、正極活物質の単位質量当たりの電極容量とした。ここで、正極試料に充填された活物質の質量は、電極合材を充填する前の多孔質アルミニウム集電体試料の質量をプレス処理後の正極質量から差し引いて電極合材の質量(g)を求め、これに正極合材中の正極活物質の質量割合を掛けることによって求めた。
正極活物質の単位質量(1g)当たりの電極容量を表2に示す。100mAh/g以上を合格とし、それ未満を不合格とした。
発明例1〜5では、気孔率及びda/dpが本発明で規定する範囲内にあり、電極合材充填量、電気抵抗比、ならびに、正極活物質の単位質量当たりの電極容量が合格であった。
これに対して比較例6では、da/dpが大き過ぎたため、電気抵抗比が不合格であった。
比較例7では、多孔質アルミニウム集電体の気孔率が低過ぎたため、電極合材充填量が不合格であった。また、活物質への電解液の浸入が困難で、正極活物質の単位質量当たりの電極容量が不合格であった。
比較例8では、多孔質アルミニウム集電体の気孔率が高過ぎたため、多孔質アルミニウムが形を保てず、多孔質アルミニウム集電体の孔中に電極合材を充填した正極を作製するができなかった。従って、電極合材充填量及び電気抵抗比を測定できず、電池性能の評価ができなかった。
本発明に係る製造方法により作製される非水電解質二次電池用電極は、プレス処理時に活物質が多孔質アルミニウム壁を損傷することがなく、電極における導電性低下を防止できる。その結果、電極容量の増加により非水電解質二次電池の電池特性の向上を図ることができる。
1・・・活物質
2・・・多孔質アルミニウム壁
3・・・多孔質アルミニウムの孔
4・・・多孔質アルミニウム壁の損傷部分
da・・・活物質の粒径
dp・・・多孔質アルミニウムの孔径

Claims (2)

  1. リチウムを吸蔵放出可能な活物質を含む電極合材を含有する非水電解質二次電池用電極の製造方法であって、
    アルミニウム粉末と、当該アルミニウム粉末の融点よりも高い融点を有する支持粉末との混合物を、200MPa以上の圧力で加圧成形した加圧成形体を、前記アルミニウム粉末の融点以上で、かつ、前記支持粉末の融点未満の温度で不活性雰囲気中において熱処理して焼結体とし、当該焼結体中の支持粉末を水に溶出させることによって、支持粉末が除去された孔と、その孔の周囲を形成する焼結したアルミニウム粉末の結合金属粉末壁とによって構成され、当該結合金属粉末壁には多くの微細孔が形成され、前記孔同士がこれら微細孔によって連結したオープンセル型の構造を有すると共に、80〜95%の気孔率を有する多孔質アルミニウム集電体を調製する工程と、
    前記多孔質アルミニウム集電体の孔中に前記活物質の粒子を含む電極合材を溶媒に分散したスラリーを圧入し又は多孔質アルミニウム集電体を前記スラリーに浸漬することによって、前記結合金属粉末壁に形成された前記多くの微細孔を介して前記多孔質アルミニウム集電体の孔中に前記活物質の粒子を含む電極合材を充填する工程であって、前記活物質の粒子の粒径daと多孔質アルミニウムの孔径dpがda/dp≦0.10の条件を満たす前記電極合材を充填する工程と、
    上記電極合材が充填された多孔質アルミニウム集電体を加圧し、加圧後の厚さが加圧前の0.2〜0.9倍となるようにプレス処理する工程と、を備えることを特徴とする非水電解質二次電池用電極の製造方法
  2. 前記電極合材、活物質に加えて導電助剤と結着剤とを含ませ、全電極合材に対する活物質の割合85〜95質量%とする、請求項1に記載の非水電解質二次電池用電極の製造方法
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