JP5142264B2 - 非水電解質二次電池用の集電体及びその製造方法並びに非水電解質二次電池用の正極及びその製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、正極集電体として、表面がアルミニウム、合金又はステンレススチールからなる三次元網状多孔体が開示されている。
特許文献2には、有孔性ポリマーが均一に活物質層間と活物質表面に備わった電極合剤と集電体としてのアルミニウム、銅、亜鉛、鉄などの金属、またはポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマー、あるいはこれらの混合物からなる三次元多孔体とを一体化して電極とすることが開示されている。
特許文歓3には、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモンの単体若しくは合金、又はステンレス合金からなる多孔質集電体上に電極活物質薄膜層が形成されてなる電極が開示されている。
特許文献4には、正極集電体として、発泡アルミニウム、発泡ニッケル等を用いることが開示されている。
しかし、下記のような理由で、リチウム系非水電解質二次電池については、耐酸化性及び耐電解液性を有し、多孔度が大きく、さらには、工業的生産に適した正極集電体は提供されていない。
しかしながら、ステンレススチール粉末は非常に高価である。また、粉末が付着した有機樹脂多孔体は焼却除去されるため、強度が衰えてしまい使用に耐えないという問題がある。
すなわち、本発明は、以下に記載するとおりの非水電解質二次電池用集電体及びこれを用いた正極に係るものである。
(2)前記発泡状ニッケルクロムの平均孔径が30〜100μmであることを特徴とする(1)記載の集電体。
(3)前記発泡状ニッケルクロムの多孔度が80〜97%であることを特徴とする(1)または(2)記載の集電体。
(4)前記発泡状ニッケルのニッケル目付量が200g/m2以上500g/m2以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の集電体。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の集電体に正極活物質を充填してなる非水電解質二次電池用の正極。
(6)前記活物質としてオリビン型リン酸リチウムを含むことを特徴とする(5)記載の非水電解質二次電池用の正極。
(7)前記オリビン型リン酸リチウムがリン酸鉄リチウムであることを特徴とする(6)記載の非水電解質二次電池用の正極。
(8)前記活物質としてリチウム複合金属酸化物を含むことを特徴とする(5)〜(7)のいずれかに記載の非水電解質二次電池用の正極。
(9)前記リチウム複合金属酸化物におけるリチウム以外の金属がコバルト、マンガン及びニッケルからなる群から選択された少なくとも一種であることを特徴とする(8)記載の非水電解質二次電池用の正極。
(10)発泡状ニッケルにクロマイジング処理を行ってクロム含有率を25質量%以上にすることを特徴とする発泡状ニッケルクロムからなる非水電解質二次電池用の集電体の製造方法。
(11)前記発泡状ニッケルが、発泡状樹脂に導電処理及び電解ニッケルめっき処理をこの順に施して発泡状樹脂表面にニッケル被覆層を形成したのち、樹脂を除去する処理を施すことによって得られた発泡状ニッケルであることを特徴とする(10)記載の非水電解質二次電池用の集電体の製造方法。
(12)前記発泡状ニッケルが、発泡状樹脂に導電処理及び電解ニッケルめっき処理をこの順に施して発泡状樹脂表面にニッケル被覆層を形成したのち、樹脂を焼却除去し、次いで還元性雰囲気中で熱処理してニッケルを還元処理することによって得た発泡状ニッケルであることを特徴とする(10)記載の非水電解質二次電池用集電体の製造方法。
(13)(10)〜(12)のいずれかに記載の製造方法によって得られた非水電解質二次電池用集電体に正極活物質を充填することを特徴とする非水電解質二次電池用の正極の製造方法。
まず、発泡状樹脂の表面にニッケル被覆層を形成したのち、基材である樹脂を除去し、次いで必要に応じて還元性雰囲気中で加熱処理してニッケルを還元して発泡状ニッケルを得る。次いでこれをクロマイジング処理することにより発泡状ニッケルクロムからなる集電体を得る。
生産性、コストの観点からは、まず、無電解めっき法又はスパッタリング法によって発泡状樹脂表面を導電処理し、次いで、これに電解めっき法によって所望の目付量までニッケルめっきする方法を採用することが好ましい。
また、本発明の非水電解質二次電池用正極は、前記の集電体に、正極括物質を充填することにより得られる。この特徴を有することにより、本発明の非水電解質二次電池は高出力、高容量及び高寿命といった良好な電池性能を有する。
以下、本発明について詳述する。
発泡状ニッケルとしては市販のものを用いることができるが、発泡状ニッケルを発泡状樹脂を用いて製造する場合には以下に記載するような発泡状樹脂を用いることができる。
発泡状樹脂は、多孔性のものであればよく公知又は市販のものを使用でき、例えば、発泡ウレタン、発泡スチレン等が挙げられる。これらの中でも、特に多孔度が大きい観点から、発泡ウレタンが好ましい。
発泡状樹脂の多孔度は限定的でなく、通常85〜97%程度、好ましくは90〜96%程度である。平均孔径は、通常20μm〜200μm程度、好ましくは30μm〜100μm程度である。
なお、本発明における平均粒径は、バブルポイント法で測定することにより求められる。
発泡状樹脂の厚みは限定的でなく、非水電解質二次電極の用途等に応じて適宜決定されるが、通常200μm〜900μm、好ましくは400μm〜800μm程度とすればよい。
以下では、発泡状樹脂に導電処理、電解めっき処理及びクロマイジング処理を順次施すことによって集電体を作製する方法について詳述する。
(導電処理)
導電処理は、発泡状樹脂の表面に導電性を有する層を設けることができる処理である限り特に制限はない。導電性を有する層(導電被覆層)を構成する材料としては、例えば、ニッケル、チタン、ステンレススチール等の金属の他、黒鉛等が挙げられる。これらの中でも特にニッケルが好ましい。
導電処理の具体例としては、例えば、ニッケルを用いる場合は、無電解めっき処理、スパッタリング処理等が好ましく挙げられる。また、チタン、ステンレススチール等の金属、黒鉛などの材料を用いる場合は、これら材料の微粉末にバインダを加えて得られる混合物を、発泡状樹脂に塗着する処理が好ましく挙げられる。の場合のバインダとしては、後述する活物質ペーストと同じものが採用できる。
次に、上記のようにして導電被覆層を形成した発泡状樹脂に電解ニッケルめっき処理を施す。
電解ニッケルめっき処理は、常法に従って行えばよい。電解ニッケルめっき処理に用いるめっき浴としては、公知又は市販のものを使用することができ、例えば、ワット浴、塩化浴、スルフアミン酸浴等が挙げられる。
前記の無電解メッキやスパッタリングにより表面に導電層を形成された発泡樹脂をメッキ浴に浸し、発泡樹脂を陰極に、ニッケル対極板を陽極に接続して直流或いはパルス断続電流を通電させることにより、導電層上に、さらにニッケルの被覆を形成することができる。
導電被覆層の目付量は限定的でなく、通常5g/m2程〜12g/m2程度、好ましくは6g/m2程〜10g/m2程度とすればよい。
電解ニッケルめっき層の目付量は限定的でないが、好ましくは200g/m2以上500g/m2以下である。なお、導電性処理がニッケルを用いる場合、当該導電性処理及び電解ニッケル処理によって形成されるニッケル被覆層の総目付量が上記の数値範囲となるようにすればよい。合計量がこの範囲を下回ると、集電体の強度が衰えるおそれがある。また、合計量がこの範囲を上回ると、正極活物質の充填量が減少したり、コスト的に不利となる。
次いで、上記により得られた導電被覆層/ニッケルめっき層形成発泡状樹脂中の発泡状樹脂成分を除去する。除去方法は限定的でないが、焼却により除去することが好ましい。具体的には、例えば600℃程度以上の大気等の酸化性雰囲気下で加熱すればよい。また、水素等の還元性雰囲気中750℃程度以上で加熱してもよい。これにより、導電被覆層、電解ニッケルめっき層からなる発泡状ニッケルが得られる。なお、発泡樹脂除去処理によってニッケル多孔体が酸化されている場合には得られた多孔体を還元性雰囲気下で加熱処理してニッケルを還元する。
上記で得た発泡状ニッケルをクロマイジング処理することにより本発明の発泡状のニッケルクロムからなる集電体を得ることができる。
クロマイジング処理は、ニッケルにクロムを拡散浸透させる処理である。クロマイジング処理の方法としては公知のものが採用でき、例えば、発泡状ニッケルにクロム粉末、ハロゲン化物、アルミナ粉末を混合した浸透材を充填して還元性雰囲気で加熱する粉末パック法を採用することができる。また、浸透材と発泡状ニッケルを離間して配置し、還元性雰囲気中で加熱し、浸透材のガスを形成して発泡状ニッケル表面に浸透材を浸透させることもできる。
ニッケルクロム中のクロムの含有量はクロマイズ処理の加熱時間によって調整することができる。本発明においてはクロマイジング処理によってクロムの含有率を25質量%以上とすることが必要である。クロムの含有率は25〜50質量%であり、好ましくは30〜40質量%である。25質量%未満であると耐酸化性が不足し、50質量%を超えると電気抵抗が増加して集電性が下がる。
本発明の非水電解質二次電池用の正極は、上記集電体に、正極活物質を充填することにより得られる。本発明の正極は、上記集電体が大きな多孔度を有しているため、より多くの正極活物質を充填することが可能となる。また、多孔体中の空隙に正極活物質を包み込める構造であるため、正極活物質と集電体とを結合させるためのバインダ等(絶縁体)の含量を少なくすることができる。これらにより、電池を高出力化・高容量化させることができる。また、上記集電体は耐電解液性及び耐酸化性をも有しているため、電池を高寿命化させることもできる。
圧入法としては、例えば、正極活物質ペースト中に上記集電体を浸漬し、必要に応じて減圧する方法、正極活物質ペーストを集電体の一方面からポンプで加圧しながら充填する方法等が挙げられる。
正極活物質の充填量は限定的でなく、製造する非水電解質二次電池の用途、目的等に応じて適宜決定すればよいが、集電体1cm2当たり、通常10mg〜150mg程度、好ましくは30mg〜100mg程度とすればよい。
本発明の正極は、正極活物質ペーストを充填後に必要に応じて、乾燥処理を施すことにより、ペースト中の溶媒が除去されていてもよい。
導電助剤としては、公知又は市販のものを使用できるが、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛等が好ましい。導電助剤の含有量は、上記正極活物質100質量部に対して、通常5質量部以下であり、好ましくは0.5〜2質量部程度である。これにより、電池の放電容量等を向上させることができる。
バインダの添加量は、バインダの種類等に応じて適宜決定されるが、正極活物質100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部程度である。この範囲とすることにより、電気抵抗の増加及び放電容量の低下を防ぎながら、結着強度を向上させることができる。
(集電体の作製)
発泡状樹脂として、発泡ウレタン樹脂シート(市販品、平均孔径90μm、厚さ1.4mm、多孔度96%)を用いた。この発泡ウレタン樹脂シートにターゲットとしてニッケルを用いてスパッタリング処理を行うことにより、発泡ウレタン樹脂シートの表面に導電被覆層(ニッケル層)を形成させた。導電被覆層の目付量は10g/m2であった。
上記クロマイズ処理において、クロマイズ処理の加熱時間を調整することによって、クロム含有量が25質量%の集電体a(実施例1)及びクロム含有量が30質量%の集電体b(実施例2)を得た。それぞれの集電体の厚さは1.4mmであった。
正極活物質としてLiFePO4粉末100質量部に、導電助剤としてケッチェンブラックを2.5質量部、バインダとしてポリフッ化ビニリデンを5質量部になるように加えて混合し、バインダの溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン25質量部を加えて正極活物質ペーストを作製した。
一方、集電体はローラプレス機を用いて調厚し、その厚さを500μmに調節した。
ペーストの充填を圧入法によって行ったところ、正極活物質の充填量は集電体aが59mg/cm2、集電体bが60mg/cm2になった。
次いで、これら2種の集電体を、乾燥機で100℃、1時間乾燥させて溶媒を除去した後、直径500ミリのローラプレス機(スリット:50μm)で加圧した。加圧後の厚さはそれぞれ集電体aが258μm、集電体bが260μmであった。その後に、さらに減圧下150℃で5時間乾燥することにより、実施例1、2の正極A、正極Bを得た。
クロム含有量が20質量%になるように加熱時間を調整した以外は、実施例1、2と全く同じ方法で正極Cを作製した。正極活物質の充填量は63mg/cm2、加圧後の厚さは261μmであった。
[比較例2〜4]
集電体として、アルミニウム箔(市販品、厚さ20μm)を用いた。この場合に、実施例で作製した正極活物質ペーストをドクターブレード法により両面合計が30mg/cm2となるように塗着したが、接着強度が不十分であるため、正極活質が十分にアルミニウム箔に接着できなかった。
そこで、ポリフッ化ビニリデンを10質量部にした以外は実施例で作製したのと同様の正極活物質ペーストを作製した。このペーストをドクターブレード法により、アルミニウム箔の両面に塗着し、乾燥及び加圧することにより、比較例2〜4の正極D、E、Fを作製した。正極活物質の塗着量は、正極Dで10mg/cm2、正極Eで16mg/cm2、正極Fでは21mg/cm2であった。これら正極の厚みは、それぞれ63μm、120μm、177μmであった。
[比較例5]
集電体として、発泡状ニッケル(市販品、多孔度96%、平均孔径150μm、厚さ550μm)を用いた。これに実施例1で作製した正極活物質を実施例1と同様にして充填した後、さらに加圧及び乾燥することにより、比較例5の正極Gを作製した。正極活物質の充填量は70mg/cm2、加圧後の厚さは264μmとなった。
実施例1、2及び比較例1〜5の各正極を5cm×5cmに裁断して、電池A、B(実施例の電極A、Bを使用)及び電池C〜G(比較例の各集電体C〜Gを使用)を作製した。なお、負極として、正極に比べて十分容量が大きいリチウム金属を用い、電解液として、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(容量比で5:5)にLiPF6を1.0mol/l溶解させた非水電解液を用い、セパレータとして、微多孔質ポリオレフィン膜(厚さ20μm、多孔度55%)を用い、電槽として、アルミラミネート膜を用いた。
また、0.2Cで4.1Vまでの充電、0.5Cで2Vまでの放電を周囲温度25℃で行った。このときの初期容量に対する200サイクルでの容量維持率を表1に併記する。
比較例1の正極を用いて作製した電池CCについては30サイクルで、比較例5の正極を用いて作製した電池GGについてはわずか10サイクルで電圧が上がらず充電ができなくなったため表1には数値を記載していない。電圧が上がらないことから、電池反応以外に電流が使われており、集電体の酸化が疑われる。
表1から明らかなように、本発明の電池A、Bは、比較例の電池D〜Fよりも容量密度及び容量維持率が優れていることが分かった。これにより、本発明の正極を使用すれば、非水電解質二次電池を高出力化・高容量化及び高寿命化できることが分かった。
また、比較例1および5の結果から、多孔構造の集電体であってもクロム含有量が小さければ耐酸化性が不足し、電池用電極として不適であることが分かった。
Claims (13)
- 発泡状ニッケルをクロマイジング処理して得られるクロムの含有率が25質量%以上である発泡状ニッケルクロムからなることを特徴とする非水電解質二次電池用の集電体。
- 前記発泡状ニッケルクロムの平均孔径が30〜100μmであることを特徴とする請求項1記載の集電体。
- 前記発泡状ニッケルクロムの多孔度が80〜97%であることを特徴とする請求項1または2記載の集電体。
- 前記発泡状ニッケルのニッケル目付量が200g/m2以上500g/m2以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の集電体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の集電体に正極活物質を充填してなる非水電解質二次電池用の正極。
- 前記活物質としてオリビン型リン酸リチウムを含むことを特徴とする請求項5記載の非水電解質二次電池用の正極。
- 前記オリビン型リン酸リチウムがリン酸鉄リチウムであることを特徴とする請求項6記載の非水電解質二次電池用の正極。
- 前記活物質としてリチウム複合金属酸化物を含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の非水電解質二次電池用の正極。
- 前記リチウム複合金属酸化物におけるリチウム以外の金属がコバルト、マンガン及びニッケルからなる群から選択された少なくとも一種であることを特徴とする請求項8記載の非水電解質二次電池用の正極。
- 発泡状ニッケルにクロマイジング処理を行ってクロム含有率を25質量%以上にすることを特徴とする発泡状ニッケルクロムからなる非水電解質二次電池用の集電体の製造方法。
- 前記発泡状ニッケルが、発泡状樹脂に導電処理及び電解ニッケルめっき処理をこの順に施して発泡状樹脂表面にニッケル被覆層を形成したのち、樹脂を除去する処理を施すことによって得られた発泡状ニッケルであることを特徴とする請求項10記載の非水電解質二次電池用の集電体の製造方法。
- 前記発泡状ニッケルが、発泡状樹脂に導電処理及び電解ニッケルめっき処理をこの順に施して発泡状樹脂表面にニッケル被覆層を形成したのち、樹脂を焼却除去し、次いで還元性雰囲気中で熱処理してニッケルを還元処理することによって得た発泡状ニッケルであることを特徴とする請求項10記載の非水電解質二次電池用集電体の製造方法。
- 請求項10〜12のいずれかに記載の製造方法によって得られた非水電解質二次電池用集電体に正極活物質を充填することを特徴とする非水電解質二次電池用の正極の製造方法。
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