JP2014022150A - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明が提供する非水電解質二次電池は、リチウムイオンの吸蔵放出が可能な正極活物質を溶媒に分散したスラリーが充填された多孔質アルミニウム集電体を含む正極と、リチウム金属負極と、セパレータとを備え、前記セパレータは、空孔が三次元規則配列構造を有する多孔質樹脂膜である。
【選択図】図1
Description
このような非水電解質二次電池には、正極と負極との間でリチウムイオンを移動させて充放電を行うリチウム系二次電池が広く知られている。
リチウム系二次電池の正極活物質としては、現在、リチウム金属酸化物であるコバルト酸リチウム(LiCoO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)等が実用化され、あるいは商品化を目指して開発が進められている。また負極活物質としては、炭素、特に黒鉛を主とするものや金属リチウムまたはリチウム含有合金が用いられている。これら正極活物質と負極活物質との間には内部短絡を防止するセパレータが設けられ、このセパレータとしては微孔性薄膜が一般的に使用されている。また電解質としては有機溶媒にリチウム塩を溶解した非水電解液が一般的に使用されているが、ゲル状電解液や固体電解質系も電解質として注目されている。
例えば、特許文献1では、リチウム系二次電池用正極の集電体として、樹脂製の不織布と、該不織布の表面に形成された導電層と、非水系溶媒にアルミニウム塩を溶解した浴を用いて該導電層の表面に形成されたアルミニウム電解めっき層とからなる三次元多孔体が提案されている。また、特許文献2では、アルミニウム多孔質焼結体の空孔内に活物質、導電助剤及び結合剤を含み、前記アルミニウム多孔質焼結体が、三次元網目構造の金属骨格を有し、前記金属骨格間に空孔を有し、かつ前記金属骨格にAl−Ti化合物が分散している電極が提案されている。
また、近年、空孔率が60%以上で、空孔が三次元規則配列構造(3DOM構造)を有し、空孔が連通孔により互いに連通された多孔質樹脂膜を用いた二次電池用のセパレータも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
これに対して、特許文献3に記載のリチウム系二次電池は、3DOM構造を有するセパレータが用いられているためリチウムデンドライトの析出が防止され、特許文献1、及び特許文献2が有する問題は解消できる。しかしながら、特許文献3に記載のリチウム系二次電池は、リチウムデンドライトの析出は防止できるが、正極の材料として一般的な金属箔集電体であるアルミニウム箔を用いるため、近年求められている大型産業用途等の高容量、長寿命の電池を作製することが困難であるという問題がある。
本発明の非水電解質二次電池は、リチウム系二次電池であって、リチウムイオンの吸蔵放出が可能な正極活物質を溶媒に分散したスラリーが充填された多孔質アルミニウム集電体を含む正極と、リチウム金属負極と、セパレータとを備え、このセパレータには、空孔が三次元規則配列構造(3DOM構造)を有する多孔質樹脂膜が用いられている。
この非水電解質二次電池によれば、リチウムデンドライトの成長による短絡の発生を防止し、高容量かつ良好な放電レート特性及び充放電サイクル特性が実現される。
本発明における多孔質アルミニウム集電体は、三次元的に多孔を有し、活物質を空孔に担持することができれば、特に限定されるものではなく、公知または市販のものを使用することができる。
例えば、多孔質アルミニウム集電体としては、所定の体積割合で混合したアルミニウム粉末と支持粉末の混合粉末を加圧成形した後に、その成形体を不活性雰囲気中で熱処理してアルミニウム粉末又はアルミニウム板から液相を生じさせ、アルミニウム粉末同士及びアルミニウム粉末とアルミニウム板とを接合し、最終的に支持粉末を除去することで得られる。また、混合粉末を金属板と複合化してもよい。多孔質アルミニウム集電体は、支持粉末が除去された空隙と、その空隙の周囲を形成する接合したアルミニウム粉末の結合金属粉末壁とによって構成される。結合金属粉末壁には多くの微細な孔が形成されており、空隙同士がこれら微細孔によって連結したオープンセル型の構造となっている。
また、多孔質アルミニウム集電体の空孔率は80%以上、95%以下あり、好ましくは85%以上である。この範囲にすることより、電極としての強度を保ちつつ、集電体の孔内に所望量の活物質スラリーを充填することができ、かつ、電池の高出力化、高容量化が可能となる。
本発明におけるアルミニウム粉末には、純アルミニウム粉末、アルミニウム合金粉末又はこれらの混合物が用いられる。使用環境下において合金成分が耐食性劣化の原因となるような場合には、純アルミニウム粉末を用いるのが好ましい。純アルミニウムとは、純度99.0mass%以上のアルミニウムである。
本発明において前記純アルミニウム粉末に添加元素粉末を加えた混合物を用いてもよい。このような添加元素には、マグネシウム、珪素、チタン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛等から選択される単独又は二つ以上の任意の組み合わせからなる複数の元素が好適に用いられる。このような混合物は、熱処理によりアルミニウムと添加元素との合金を形成する。また、添加元素の種類によっては、アルミニウムと添加元素との金属間化合物が更に形成される。このようなアルミニウムの合金や金属間化合物の含有により、様々な効果が得られる。例えば、珪素や銅などの添加元素とアルミニウムとのアルミニウム合金では、アルミニウム粉末の融点が低下し、熱処理に必要な温度を下げることができるので製造に必要なエネルギーを削減できると共に、合金化によって強度が向上する。また、アルミニウムとニッケルなど添加元素との金属間化合物が形成される際に発熱が起こって焼結が促進されると共に、金属間化合物が分散した組織が形成されることで高強度化が図れる。
また、添加元素粉末の粒径は、1〜50μmが好ましい。純アルミニウム粉末、アルミニウム合金粉末、支持粉末との十分な混合を図るためにより微細であるのが好ましく、少なくとも支持粉末より細かいものが用いられる。添加元素粉末の粒径は、アルミニウム粉末と同様にレーザー回折散乱法(マイクロトラック法)で測定したメジアン径で規定する。
本発明では支持粉末としては、アルミニウム粉末の融点よりも高い融点を有するものを用いる。また、混合粉末を金属板と複合化する場合には、アルミニウム粉末と金属板の低い方の融点よりも高い融点を有するものを用いる。このような支持粉末としては水溶性塩が好ましく、入手の容易性から塩化ナトリウムや塩化カリウムが好適に用いられる。支持粉末が除去されることで形成された空間が多孔質アルミニウムの孔になることから、支持粉末の粒径が孔径に反映される。そこで、本発明で用いる支持粉末の粒径は、10〜1000μmとするのが好ましい。支持粉末の粒径は、ふるいの目開きで規定する。従って、分級によって支持粉末の粒径を揃えることで、孔径の揃った多孔質アルミニウムが得られる。
本発明においては、混合粉末を金属板と複合化した状態で用いてもよい。金属板とは無孔の板や箔及び、有孔の金網、エキスパンドメタル、パンチングメタル等の網状体である。金属板が支持体となり多孔質アルミニウム集電体の強度が向上し、更に導電性が向上する。金属板としては熱処理時に蒸発又は分解しない素材、具体的にはアルミニウム、チタン、鉄、ニッケル、銅等の金属やその合金製のものが好適に利用できる。
網状体の有孔の孔径は、接合した混合粉末から支持粉末を除去して得られる孔の径より大きくても、小さくてもよい。
網状体の有孔の開口率は、多孔質アルミニウム集電体の気孔率を損なわないためにも大きい方が好ましい。
アルミニウム粉末と支持粉末の混合割合は、それぞれの体積をVal、Vsとしてアルミニウム粉末の体積率であるVal/(Val+Vs)が5〜20%とするのが好ましく、より好ましくは10〜15%である。ここで体積Val、Vsはそれぞれの質量と比重から求めた値である。アルミニウム粉末の体積率が20%を超える場合には、支持粉末の含有率が少な過ぎるために支持粉末同士が接触することなく独立して存在することになり、支持粉末を十分に除去しきれない。除去しきれない支持粉末は、多孔質アルミニウムの腐食の原因となる。一方、アルミニウム粉末の体積率が5%未満の場合には、多孔質アルミニウムを構成する壁が薄くなり過ぎることで、多孔質アルミニウムの強度が不十分となり、取り扱いや形状維持が困難となる。
また、支持粉末をアルミニウム粉末で十分に覆れた状態を達成するために、アルミニウム粉末の粒径(dal)が支持粉末の粒径(ds)に比べて十分に小さいこと、例えば、dal/dsが0.1以下であることが好ましい。
混合粉末を成形用金型に充填する際に、混合粉末と金属板とを複合化してもよい。複合化の形態としては、混合粉末の間に金属板を挟んでも、混合粉末を金属板で挟んでも構わない。また、混合粉末と金属板の複合化を繰り返して多段にすることもできる。複合化の際にはアルミニウム粉末や支持粉末の粒径、混合割合の異なる混合粉末や、種類の異なる複数の金属板を組み合わせることもできる。
加圧成形時の圧力は、200MPa以上とするのが好ましい。十分な圧力を加えて成形することでアルミニウム粉末同士が擦れ合い、アルミニウム粉末同士の焼結を阻害するアルミニウム粉末表面の強固な酸化皮膜が破壊される。この酸化皮膜は融解したアルミニウムを閉じ込め、互いに接触することを妨げると共に、融解アルミニウムとの濡れ性に劣り、液体状のアルミニウムを排斥する作用がある。そのため、加圧成形の圧力が200MPa未満の場合にはアルミニウム粉末表面の酸化皮膜の破壊が不十分で、加熱時に融解したアルミニウムが成形体の外に滲み出し玉状のアルミニウムの塊が形成される場合がある。アルミニウム塊が形成されたことで多孔質アルミニウムの気孔率は狙いよりも高くなる。従って、このようなアルミニウムの塊の形成は、多孔質アルミニウムの気孔率が制御できなくなってしまう点で弊害となる。また、アルミニウム塊の形成によって形状が崩れ、これを除去しなければならなくなる点でも問題となる。成形圧力は使用する装置や金型が許容する限り大きい方が形成される多孔質アルミニウム壁が強固になって好ましい。しかしながら、400MPaを超えると効果が飽和する傾向がある。加圧成形体の離型性を高める目的でステアリン酸等の脂肪酸、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸、各種ワックス、合成樹脂、オレフィン系合成炭化水素等の潤滑剤を使用することが好ましい。
熱処理は使用するアルミニウム粉末の融点以上で、かつ、支持粉末の融点未満の温度で行う。混合粉末を金属板と複合化する場合には、アルミニウム粉末と金属板の低い方の融点以上で、かつ、支持粉末の融点未満の温度で熱処理を行う。また、アルミニウム粉末の融点とは、純アルミニウム又はアルミニウム合金の液相が生じる温度であり、金属板の融点とは、同様に液相が生じる温度である。液相が生じる温度まで加熱することで、アルミニウム粉末から液相が滲み出し、液相同士が接触することでアルミニウム粉末同士が金属的に結合する。
焼結体中の支持粉末の除去は、支持粉末を水に溶出させて行う方法が好適に用いられる。焼結体を十分な量の水浴または流水浴に浸漬する等の方法により、支持粉末を容易に溶出することができる。支持粉末として水溶性塩を用いる場合には、これを溶出させる水は、イオン交換水や蒸留水等、不純物の少ない方が好ましいが、水道水でも特に問題は無い。浸漬時間は、通常、数時間〜24時間程度の範囲で適宜選択される。浸漬中に超音波等によって振動を与えることにより、溶出を促進することもできる。
正極は、上述の多孔質アルミニウム集電体に、リチウムイオンの吸蔵放出が可能な正極活物質を溶媒に分散したスラリーを充填することにより得られる。スラリーには正極活物質の他に、導電助剤、結着剤及び増粘剤を更に加えても良い。
正極活物質としては、非水電解質二次電池に使用できるものであれば任意の活物質を使用でき、例えば、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、リン酸鉄リチウム等のリチウム金属酸化物が活物質として挙げられる。
また、導電助剤についても特に限定されるものではなく、公知または市販のものを使用することができる。例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛等を導電助剤として挙げることができる。
さらに結着剤についても特に限定されるものではなく、公知または市販のものを使用することができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を結着剤として挙げることができる。
スラリーの溶媒も特に限定されるものではないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、水等が好適に用いられる。結着剤としてポリフッ化ビニリデンを用いる場合には、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒に用いるのが好ましく、結着剤としてポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等を用いる場合は、水を溶媒に用いるのが好ましい。
また、圧入法に替えて、正極活物質、導電助剤及び結着剤を溶媒に分散したスラリー中に多孔質アルミニウム集電体を浸漬し、正極活物質、導電助剤、結着剤を多孔質アルミニウム集電体の孔中に拡散させる方法(以下、浸漬法と称する)を採用してもよい。
以上のようにして多孔質アルミニウム集電体の孔中に充填された正極は、スラリー中の溶媒を飛散するために50〜200℃で乾燥される。
なお、平板プレス機によるプレス処理は10〜100MPaの圧力でプレスすることが好ましい。
非水電解質としては、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)などの有機溶媒に溶解させた六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、過塩素酸リチウム(LiClO4)を用いることができる。
セパレータは、空孔が三次元規則配列構造(以下、3DOM構造と称する)を有する多孔質樹脂膜である。3DOM構造は、球状の空孔が規則的に隣り合う形で連続した孔(連通孔)を形成している多孔体である。この3DOM構造による均一化された空間により、リチウムイオンの拡散が制御され、高いサイクル特性を有するとともにデンドライトによる正負極間の短絡のないリチウム系二次電池が得られる。リチウムイオンの電流分布を均一化する効果は、球状の孔が三次元的に、規則的に連続した構造を有する、3DOM構造によるものと考えられる。
本実施形態のセパレータにおける3DOM構造は、六方最密充填構造の規則配列した空孔を持つ多孔体であり、非常に高い理論空孔率を有しており、空孔率の大きい多孔質膜がセパレータとして用いられることから、3DOM構造中に電解液を多く充填できるため従来のセパレータと比較して、高いイオン導電性が得られる。
まず、本発明に係る非水電解質二次電池用電極に用いる多孔質アルミニウム集電体を以下のようにして作製した。
アルミニウム粉末として、純アルミニウム粉末(メジアン径3μm、融点660℃)を用い、支持粉末として、塩化ナトリウム粉末(粒径400μm(ふるい目開き中央値、融点800℃)を用いた。各粉末を純アルミニウム粉末8vol%:塩化ナトリウム粉末92vol%の体積割合で混合し、混合粉末を調製した。
この混合粉末をφ20mmの穴を有する金型に充填し、400MPaの圧力で加圧成形した。混合物の充填量は加圧成形体の厚さが1mmとなる質量とした。この加圧成形体を最大到達圧力が1×10−2Pa以下の雰囲気下において、670℃、5分間、熱処理することで焼結体を作製し、得られた焼結体を流水(水道水)中に6時間浸漬して支持粉末を溶出させ、多孔質アルミニウム集電体(直径20mm×厚さ1mm)を作製した。
(正極の作製)
正極活物質として炭素被覆リン酸鉄リチウム100重量部、導電助剤としてアセチレンブラック6.8重量部、結着剤として水分散バインダである固形分濃度40質量%のアクリル系共重合体3重量部(固形分として)、ならびに、分散剤として水溶液中の固形分濃度2質量%のカルボキシメチルセルロース2重量部(固形分として)を、溶媒である所望のイオン交換水に分散してスラリーを調製した。
上述の浸漬法を用いて、正極活物質、導電助剤及び結着剤を溶媒に分散したスラリー中に、前記方法により作製した多孔質アルミニウム集電体(φ20、空孔率93%、孔径300μm)を浸漬し、減圧した(−0.1MPa)。浸漬後、多孔質アルミニウム集電体表裏面に付着した余剰スラリーを、ヘラを用いて擦り切り落とした。次いで、スラリーを充填した多孔質アルミニウム集電体を乾燥装置内に配置し、80℃で2時間乾燥させ、密度1.8g/ccになるまでプレス処理(60MPa)をし、正極試料を作製した。
上記のプレス処理した正極試料を作用極に用いた評価セルを作製した。
作用極はφ14に打ち抜いた。対極にはφ15に打ち抜いたリチウム金属を用いた。
セパレータにはφ17に打ち抜いた3DOMポリイミド多孔膜セパレータ(空孔率70%、孔径300nm、膜厚20−25μm)を用いた。
電解液として、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートとの混合溶媒(体積比で1:1)にLiPF6を1.0mol/L溶解させた非水電解液を用いた。
これら部材をアルゴンガス雰囲気下のグローブボックス内で、宝泉製2032型コインセルに組み込み、評価セルを作製した。
比較例1は、実施例1においてセパレータを異にしたものである。
すなわち、比較例1は、微多孔質ポリプロピレン(PP)セパレータ(膜厚25μm)をセパレータに用いた以外は、実施例1と同様にして、多孔質アルミニウム集電体を含む正極試料を作製した。その後、実施例1と同様にして評価セルを作製した。
換言すれば、この比較例1は、セパレータとして一般的な微多孔質ポリプロピレン(PP)セパレータを用いたリチウム系二次電池において、正極だけを多孔質アルミニウム集電体を含む正極とした構成とも言える。
比較例2は、実施例1において集電体のみを異にしたものである。
すなわち、比較例2は、正極試料として厚さ20μmのアルミニウム箔を集電体に用い、この集電体上に上記実施例1で作製したスラリーを塗布した以外は、実施例1と同様にして正極試料を作製した。その後、実施例1と同様にして3DOMポリイミド多孔膜セパレータをセパレータに用いて評価セルを作製した。
換言すれば、この比較例2は、アルミニウム箔を集電体に用いて構成した一般的な正極のリチウム系二次電池において、セパレータだけを3DOMポリイミド多孔膜セパレータにした構成とも言える。
比較例3は、実施例1においてセパレータ及び集電体のみを異にしたものである。
すなわち、比較例3は、微多孔質ポリプロピレン(PP)セパレータ(膜厚25μm)をセパレータに用い、また、正極試料として厚さ20μmのアルミニウム箔を集電体に用い、この集電体上に上記実施例1で作製したスラリーを塗布した以外は、実施例1と同様にして正極試料を作製した。その後、実施例1と同様にして評価セルを作製した。
換言すれば、この比較例3は、セパレータとして一般的な微多孔質ポリプロピレン(PP)セパレータを用い、アルミニウム箔を集電体としたリチウム系二次電池とも言える。
なお、電池容量(mAh)=活物質の理論容量(mAh/g)×作製した各電極の活物質重量(g)から求めた。
実施例1、比較例1、2及び比較例3で作製した評価セルを用いて、充放電特性の評価試験、及びサイクル試験を行った。
放電レート試験は、夫々作製した評価セル(実施例1、比較例1、2及び比較例3)を0.1Cの電流で4.2Vまで充電し、0.1C、0.2C、0.5C、1.0Cの各電流で2.0Vまで放電した。
図1に、係る放電レート試験の結果を示す。
なお、図中の横軸は放電レート[C]、縦軸は放電容量[mAh/g]を示し、△は実施例1、□は比較例1、○は比較例2、×は比較例3を夫々示す。
図2に、係るサイクル試験の結果を示す。
なお、図中の横軸はサイクル数[回]、縦軸は放電容量[mAh/g]を示し、△は実施例1、□は比較例1、○は比較例2、×は比較例3を夫々示す。
また、実施例1の放電レート特性が比較例2よりも優れているのは、多孔質アルミニウム集電体の多孔質構造により正極活物質が保持されているため、放電電流値の増加に伴う活物質の脱落といった劣化挙動が抑制されているからではないかと考えられる。
更に、実施例1の放電レート特性が比較例3よりも優れているのは、3DOMポリイミド多孔膜セパレータの三次元的な構造による効果と、多孔質アルミニウム集電体の特異的な構造による効果とによって放電レート特性が改善されたものと考えられる。
即ち、実施例1は、集電体が多孔質構造であるため、活物質の脱落劣化挙動が抑制されることから電極の抵抗が減少し、かつ、3DOMポリイミド多孔膜セパレータが高気孔率、高イオン伝導率であるため、リチウムイオンの拡散が良好であることから電池の抵抗が減少し、放電レート特性が良好になったと考えられる。
その結果を次の表2に示す。
実施例1のサイクル特性が比較例1よりも優れているのは、3DOMポリイミド多孔膜セパレータの特徴的な性質(高気孔率、高イオン伝導率、三次元的な構造によりリチウムデンドライト生成を機械的、及び電気化学的に抑制)による効果と考えられる。
また、実施例1のサイクル特性が比較例2よりも優れているのは、多孔質アルミニウム集電体の多孔質構造により正極活物質が保持されているため、サイクルに伴う正極活物質の脱落といった劣化挙動が抑制されているからではないかと考えられる。
更に、実施例1のサイクル特性が比較例3よりも優れているのは、3DOMポリイミド多孔膜セパレータの三次元的な構造による効果と、多孔質アルミニウム集電体の特異的な構造による効果とによって放電レート特性が改善されたものと考えられる。
即ち、実施例1は、集電体が多孔質構造であるため、活物質の脱落劣化挙動が抑制されることから電極の抵抗が減少し、かつ、3DOMポリイミド多孔膜セパレータが高気孔率、高イオン伝導率であるため、リチウムイオンの拡散が良好であることから電池の抵抗が減少し、サイクル特性が良好になったと考えられる。
これに加え、本発明によれば、集電体の多孔質構造により正極活物質が保持されているため、高率放電や充放電の繰り返しに伴う正極活物質の脱落といった劣化挙動が抑制される。特に高容量化のため金属箔集電体上に多量の正極活物質層を塗布した場合、電極の乾燥工程やプレス工程において集電体から正極活物質が脱落してしまうが、多孔質集電体を用いればこれを抑制できる。
したがって、本発明によれば、多孔質アルミニウム集電体を用いることにより、高容量かつ放電レート特性及び充放電サイクル特性に優れた非水電解質二次電用正極が得られる。
Claims (1)
- リチウムイオンの吸蔵放出が可能な正極活物質を溶媒に分散したスラリーが充填された多孔質アルミニウム集電体を含む正極と、リチウム金属負極と、セパレータとを備え、前記セパレータは、空孔が三次元規則配列構造を有する多孔質樹脂膜であることを特徴とする非水電解質二次電池。
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