JP6147219B2 - 内燃機用マフラー並びにこれを具えた自動二輪車 - Google Patents
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Description
一方、この種のマフラー等の車輌部品、更にはこれらを組み込んでアッセンブリした自動二輪車等では、常に性能向上とコスト低減が追求されており、これに適う新規な構成が求められている。
マフラー本体を区画して、少なくとも2室以上の膨張室を形成し、各膨張室に順次エンジンの排気を導きながら、排気音の低減を図る装置において、
前記マフラー本体は、板状金属素材を塑性加工して膨張室と連通路とを現出させる形状を有する内外一対の表殻マフラー要素板と、内外一対の仕切マフラー要素板とで構成されるマフラー要素板が複数枚積層状に組み合わされ、周縁部においてすべてのマフラー要素板が密封されることにより、互いに連通路によって連通した複数の膨張室が形成されて成り、その形状は縦偏平状で且つ、側面視で円形状であり、更にマフラー要素板のうち内外一対の表殻マフラー要素板には、側面リブを具えるものであり、
且つ、前記内外一対の仕切マフラー要素板は、重なり面から見てそれぞれ凹陥させた連通路凹部と、中央部を凹陥させた膨張室凹部とを具え、
これらマフラー要素板を重ね合わせる際には、内外一対の仕切マフラー要素板における中央の膨張室凹部を、その外側の表殻マフラー要素板と接しさせ、且つ溶着部において溶着を行うものであり、
また上記重ね合わせにより、内表殻マフラー要素板と内仕切マフラー要素板との間に第1膨張室を形成し、また外表殻マフラー要素板と外仕切マフラー要素板との間に第2膨張室を形成し、更に一対の仕切マフラー要素板の中央に第3膨張室を形成し、マフラー本体内に計3カ所の膨張室と、4経路の連通路とを構成するものであり、
なお且つエンジンの排気は、順次第1膨張室から第2膨張室を経て第3膨張室に至り、排出される構成であることを特徴として成るものである。
前記側面リブは、同心円状に形成されていることを特徴として成るものである。
前記請求項1または2のいずれか1項に記載の内燃機用マフラーを具えたことを特徴として成るものである。
前記内燃機用マフラーについては、車体を平面視した状態で車体パネルより外側に張り出していないことを特徴として成るものである。
前記内燃機用マフラーについては、エンジン、駆動系、後車輪が一体に緩衝可動するスイングユニットに組み込まれることを特徴として成るものである。
前記内燃機用マフラーの側面視での見かけ中心については、後輪車軸より前方であり、スイング基線より上方の位置に配置されることを特徴として成るものである。
前記内燃機用マフラーの外側側面については、車体側面視で目視され、且つここにファンシー表示を形成自在としていることを特徴として成るものである。
また前記マフラー本体は、縦偏平状であり、後車輪側部等狭小スペースにも有効に搭載することができる。また前記マフラー本体は、側面視でほぼ円形状であり、デザイン要素としての意匠効果を高めることができる。
加えて、縦偏平状且つ側面視円形状であることに因み、表殻マフラー要素板は剛性を落としがちであるが、側面リブを具えていることから、請求項2記載の発明も含めて表殻マフラー要素板及びマフラー本体全体の剛性を確保できる。
また、内外一対の表殻マフラー要素板と、内外一対の仕切マフラー要素との計4枚のマフラー要素板の組み合わせでマフラー本体に計3つの膨張室を形成でき、消音効果を充分に発揮させることができる。
また、内表殻マフラー要素板と内仕切マフラー要素板との間に第1膨張室が形成されるものであり、その結果エキゾーストパイプから流入する高温度の排気ガスは、マフラー本体の内側に至り、車体の外側に面した部位における第2膨張室には、排気温度が低下した排気ガスが導かれることから、利用者側の部位は、それほど高温とならず、より安全が確保される。
また、マフラー本体中央部に設けられた膨張室凹部と、その外側の表殻マフラー要素板とが接し且つ溶着されているものであり、マフラー本体の実施品としての安全性、安定性を高めることができる。
本発明の内燃機用マフラー1は、図1に示すように一例としてスクータータイプの自動二輪車Mに適用することが好ましいものであって、まず本発明たる内燃機用マフラー1を搭載する自動二輪車Mについて説明する。
この自動二輪車Mは、適宜のフレーム2に対しエンジンEを含むスイングユニット3をピボットジョイント31を介して取り付けるものであり、スイングユニット3は、前方にエンジンEを一体に組み付けるとともに、その動力の駆動系を内蔵したスイングアーム4と、スイングアーム4の先端に例えば片持ちされる車輪5とを一体に具え、更に前記エンジンEからの排気を導くための内燃機用マフラー1をも支持している。
そしてスイングユニット3は、サスペンションユニット6をフレーム2との間に介在させて緩衝可動の状態に支持される。なお符号Pは、スイングユニット3の回動支点となるピボット軸である。
そして、このようなフレーム2、スイングユニット3等を含んだ機能部材を、適宜樹脂製等の車体パネル7で覆うようにしている。
まず内燃機用マフラー1の主要部材として、一例として側面視円形であって縦偏平状のマフラー本体10を具える。このマフラー本体10は、4枚のマフラー要素板、即ち一対となった内表殻マフラー要素板11、外表殻マフラー要素板12と、一対となった内仕切マフラー要素板13、外仕切マフラー要素板14を積層させて組み合わせて形成される。これにより、3室の膨張室15と、それら各膨張室15を順次連通させる連通路16を形成する。
なおマフラー本体10に対しては、エキゾーストパイプ17が接続されるものであり、法制上の要請で、エキゾーストパイプ17は、マフラー本体10とは溶接固定で一体化されるほか、適宜の断熱ラバージョイント等を介して別体に構成されていても良い。
以下これら部材について更に詳細に説明する。
そして連通路16は、第1連通路161、第2連通路162、第3連通路163、第4連通路164がそれぞれ独立的に形成され、各膨張室15を連通させる。
またエキゾーストパイプ17にあっては、その上流側端部にフランジ171が設けられ、このものがエンジンEの排気口に取り付けられる。この実施例では、エキゾーストパイプ17の途中を膨らませた触媒チャンバ172が設けられるとともに下流側のマフラー本体10との接続部付近に取付ブラケット173を具える。
まず一対の内表殻マフラー要素板11と、外表殻マフラー要素板12について説明する。符号11は、内表殻マフラー要素板であり、車体内側に配される円形の薄型トレー状の部材であり、このものは、金属板材が塑性加工によって形成されているものである。
この内表殻マフラー要素板11は、側面に同心円状に側面リブ11Aを具えるものであり、内表殻マフラー要素板11単独として、及び組み立てられたマフラー本体10としての剛性を高めるための手段である。具体的には側面リブ11Aは、側面視で中心寄りの部位を張り出させるような形態となっている。そして内表殻マフラー要素板11は、その周縁部に周縁フランジ11Bを具える。更に内表殻マフラー要素板11は、導入口凹部11Cを前記導入口161aを構成するために形成する。なお導入口凹部11Cとしたのは、導入口を形成させるために、マフラー本体10の厚み方向中心側から見て、凹む形態となるから凹部としたものであり、逆から見れば当然凸形状となる。同様に、導入口凹部11Cとほぼ対照的な高さ位置であって後方の位置に排出口凹部11Dを構成する。
更に外表殻マフラー要素板12は、内表殻マフラー要素板11と同様に、導入口凹部12C、排出口凹部12Dを、それぞれ内表殻マフラー要素板11と最中合わせ状に組み付けたときに同位置になるように設ける。
まず内仕切マフラー要素板13は、周縁フランジ13Bをその周縁に具えるともに内表殻マフラー要素板11、外表殻マフラー要素板12と同様に導入口凹部13Cと排出口凹部13Dとを具える。
従って、導入口161aと排出口164bとの部位では、内仕切マフラー要素板13、外仕切マフラー要素板14と、内表殻マフラー要素板11、外表殻マフラー要素板12とがそれぞれ重なり合い、2枚重ねの状態に形成されている。更に内仕切マフラー要素板13、外仕切マフラー要素板14が実質的に構成する連通路16が次のように構成される。
更に第2連通路凹部13Fを前記マフラー本体10の上方から後方にかけて外周部に沿って円弧状に形成するものであり、第2連通路凹部13Fは、その下端側を打ち抜き形成する。
更に第3連通路凹部13Gをマフラー本体10の下方からほぼ中心部に湾曲しながら向うように形成する。また第4連通路凹部13Hは、中心部から後方下方に向ってほぼ直線状に形成される。
なお膨張室凹部13Iの凹部の凹み深さは、前記内表殻マフラー要素板11の全体の凹み深さとほぼ同様の深さとする。結果的に内表殻マフラー要素板11、外表殻マフラー要素板12、内仕切マフラー要素板13、外仕切マフラー要素板14が組み合わされてマフラー本体10を形成したときに、膨張室15の側面部は、内表殻マフラー要素板11、外表殻マフラー要素板12の内側面と接する。
従って、内仕切マフラー要素板13と外仕切マフラー要素板14とは、周縁フランジ13B、周縁フランジ14Bと前記各凹部が形成されていない平面部位とにおいて接触した状態で最中合わせ状に組み合わされる。
更に第3連通路凹部13Gと第3連通路凹部14Gとの組み合わせにより第3連通路163が形成されるものであり、外仕切マフラー要素板14における上流側端部を切り欠いていることから、第4連通口163aが形成される。そして第3連通路163は、膨張室凹部13I、膨張室凹部14Iに連通するものであり、ここを第5連通口163bとしている。更に第4連通路凹部13Hと第4連通路凹部14Hとの組み合わせにより構成される第4連通路164は、第3膨張室153との接続部が第6連通口164aとして構成され、更に外側端部に排出口164bが形成されることとなる。このような内仕切マフラー要素板13と外仕切マフラー要素板14との内外一対の内仕切マフラー要素板13と外仕切マフラー要素板14との組み合わせにより連通路16及び第3膨張室153が形成される。
即ち、内表殻マフラー要素板11と外表殻マフラー要素板12とは、互いに周縁リブ11Bと周縁リブ12Bとが接触するとともに、側面視でその中心部で前記内外一対の内仕切マフラー要素板13と外仕切マフラー要素板14とによって構成された第3膨張室153と内接するような状態となる。
まずエンジンEの排気ガスGは、エキゾーストパイプ17内を通過してマフラー本体10に至る。排気ガスGは、導入口161aからマフラー本体10に入り上方に向って湾曲した第1連通路161を通り、更にその下流端部である第1連通口161bから第1膨張室151に流入する。
このように第1膨張室151に流入した排気ガスGは、第1膨張室151内を周回するような流れをした後、第2連通路162の入り口である第2連通口162aから、第2連通路162内を進む。
その後、排気ガスGは、第2連通路162の出口である第3連通口162bから第2膨張室152に入り、この第2膨張室152内を周回するように移動した後、第3連通路163の入り口である第4連通口163aから、第3連通路163を経てマフラー本体10の中央部に区画された第3膨張室153に至る。
その後、第4連通路164の第6連通口164aから第4連通路164を経て、排出口164bに至り、外部に排出される。
まず図1、5に示すようにマフラー本体10は、全体として偏平な形状であるから、例えばスイングユニット3を具えた自動二輪車Mにあっても、マフラー本体10を外側にはみ出すことなく車体パネル7の内側に位置するような状態で取り付けられる。
具体的には、マフラー本体10の見かけ上の中心10Aを想定すると、このものは、多数の円周状の側面リブ12Aの中心であり、この部位は車輪5の車軸5Aより前方であり、且つ車軸5Aとスイングユニット3のピボット軸Pを結んだスイング基線Lよりも上方になるようにスイングユニット3に取り付けられる。
加えて、側面視でマフラー本体10の側面が円形で目立つことから、意匠要素として利用できる。ここにメーカーロゴマーク等のほか、ユーザの好みに合ったステッカー等を貼り付けるようにすることもできる。なおマフラー本体10の外側面は、そのまま露出状態でもよいが、ヒートインシュレータパネルとなるプロテクタ18等を設けて遮熱効果を高めることが好ましい。
本発明は以上述べた実施の形態を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような形態(本発明に関連する参考形態)が考えられる。
例えば膨張室15を3室設けるに当って、それらの配置は、先の実施例に限らず、例えば、図7に示すように、内側、外側に第1、第2の膨張室15(151、152)を設けながらも、第3膨張室153は、中心部ではなく、後方下方寄りに配することもできるが、これは本発明に関連する参考形態である。
〔他の参考形態〕
また参考形態としては、マフラー本体10内に複数の膨張室15を設けるに当たり、これを3室とし、仕切マフラー要素板については、内外一対の内仕切マフラー要素板13、外仕切マフラー要素板14としたが、図6に示すように膨張室15を3室にする場合であっても、1枚の仕切マフラー要素板130とした構成とすることも可能である。
この仕切マフラー要素板130については、例えば第2膨張室152と第3膨張室153との間には、衝立状に折り重ね形成してこれを区画するように図る。なおこの場合、連通路16については、実質的に連通口として認識される開口状の形態を採る。
なおマフラー本体10が縦偏平状であるとは、断面形状乃至は前後から見た形状において、横幅寸法が高さ寸法、前後寸法に比較して充分に小さい形状であることをいう。しかしながらどの程度の寸法比率かを特定できるものではないものの、概ね横幅方向を基準とした場合、高さ寸法、前後寸法のいずれか一方又は双方が、1.5〜2.0倍以上の寸法比率であると考えられる。
もちろんこのような縦偏平状としたマフラー本体10の側面視形状の参考的形態としては、先に述べたほぼ円形のものに限られない。長円形、長方形、更には言葉では特定できない異形形状の側面形状であってもよい。
E エンジン
G 排気ガス
P ピボット軸
L スイング基線
1 内燃機用マフラー
2 フレーム
3 スイングユニット
31 ピボットジョイント
4 スイングアーム
5 車輪
5A 車軸
6 サスペンションユニット
7 車体パネル
10 マフラー本体
10A (マフラー本体の)見掛け上の中心
101 取付ブラケット
102 溶着部
11 内表殻マフラー要素板
11A 側面リブ
11B 周縁フランジ
11C 導入口凹部
11D 排出口凹部
12 外表殻マフラー要素板
12A 側面リブ
12B 周縁フランジ
12b カール部
12C 導入口凹部
12D 排出口凹部
13 内仕切マフラー要素板
130 仕切マフラー要素板
13B 周縁フランジ
13C 導入口凹部
13D 排出口凹部
13E 第1連通路凹部
13F 第2連通路凹部
13G 第3連通路凹部
13H 第4連通路凹部
13I 膨張室凹部
14 外仕切マフラー要素板
14B 周縁フランジ
14C 導入口凹部
14D 排出口凹部
14E 第1連通路凹部
14F 第2連通路凹部
14G 第3連通路凹部
14H 第4連通路凹部
14I 膨張室凹部
15 膨張室
151 第1膨張室
152 第2膨張室
153 第3膨張室
16 連通路
161 第1連通路
161a 導入口
161b 第1連通口
162 第2連通路
162a 第2連通口
162b 第3連通口
163 第3連通路
163a 第4連通口
163b 第5連通口
164 第4連通路
164a 第6連通口
164b 排出口
17 エキゾーストパイプ
171 フランジ
172 触媒チャンバ
173 取付ブラケット
18 プロテクタ
Claims (7)
- マフラー本体を区画して、少なくとも2室以上の膨張室を形成し、各膨張室に順次エンジンの排気を導きながら、排気音の低減を図る装置において、
前記マフラー本体は、板状金属素材を塑性加工して膨張室と連通路とを現出させる形状を有する内外一対の表殻マフラー要素板と、内外一対の仕切マフラー要素板とで構成されるマフラー要素板が複数枚積層状に組み合わされ、周縁部においてすべてのマフラー要素板が密封されることにより、互いに連通路によって連通した複数の膨張室が形成されて成り、その形状は縦偏平状で且つ、側面視で円形状であり、更にマフラー要素板のうち内外一対の表殻マフラー要素板には、側面リブを具えるものであり、
且つ、前記内外一対の仕切マフラー要素板は、重なり面から見てそれぞれ凹陥させた連通路凹部と、中央部を凹陥させた膨張室凹部とを具え、
これらマフラー要素板を重ね合わせる際には、内外一対の仕切マフラー要素板における中央の膨張室凹部を、その外側の表殻マフラー要素板と接しさせ、且つ溶着部において溶着を行うものであり、
また上記重ね合わせにより、内表殻マフラー要素板と内仕切マフラー要素板との間に第1膨張室を形成し、また外表殻マフラー要素板と外仕切マフラー要素板との間に第2膨張室を形成し、更に一対の仕切マフラー要素板の中央に第3膨張室を形成し、マフラー本体内に計3カ所の膨張室と、4経路の連通路とを構成するものであり、
なお且つエンジンの排気は、順次第1膨張室から第2膨張室を経て第3膨張室に至り、排出される構成であることを特徴とする内燃機用マフラー。
- 前記側面リブは、同心円状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の内燃機用マフラー。
- 前記請求項1または2のいずれか1項に記載の内燃機用マフラーを具えたことを特徴とする自動二輪車。
- 前記内燃機用マフラーは、車体を平面視した状態で車体パネルより外側に張り出していないことを特徴とする請求項3記載の自動二輪車。
- 前記内燃機用マフラーは、エンジン、駆動系、後車輪が一体に緩衝可動するスイングユニットに組み込まれること特徴とする請求項3または4のいずれか1項に記載の自動二輪車。
- 前記内燃機用マフラーの側面視での見かけ中心は、後輪車軸より前方であり、スイング基線より上方の位置に配置されることを特徴とする請求項5記載の自動二輪車。
- 前記内燃機用マフラーの外側側面は、車体側面視で目視され、且つここにファンシー表示を形成自在としていることを特徴とする請求項3、4、5または6のいずれか1項に記載の自動二輪車。
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