JP5815464B2 - 鞍乗り型車両のシリンダ後方換気構造 - Google Patents

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Description

本発明は、後方排気シリンダを有する鞍乗り型車両のシリンダ後方換気構造に関する。
従来、後方排気シリンダを有する鞍乗り型車両において、車体前方及び側方からシリンダ後方に走行風を導入するダクトを備え、走行風で排気管周辺を換気する構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第4216098号公報
ところで、上記従来の技術においては、シリンダ前方から走行風を導入する必要があるため、シリンダ前方からシリンダ後方の排気管にかけて走行風導入通路が長くなり易く、かつ通風路構造も複雑化し易く、車体の大型化に繋がるという課題がある。
そこで本発明は、後方排気シリンダを有する鞍乗り型車両のシリンダ後方換気構造において、簡素な通風路構造として車体の大型化を抑えることを目的とする。
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、クランクケース(21)上に起立するシリンダ(23)を有して車体フレーム(5)に支持されるエンジン(20)と、前記シリンダ(23)の後部に基端側が接続される排気管(25a,25b)と、前記排気管(25a,25b)の先端側が接続される排気装置(30)と、を備える鞍乗り型車両(1)のシリンダ後方換気構造において、前記排気装置(30)内の排気ガス通路を装置外部に開口させる開口部(55)と、前記開口部(55)を覆い該開口部(55)から噴出した排気ガスを所定方向に噴射させるノズル部(56)と、前記ノズル部(56)を下流側端部(61)内に収容すると共に上流側端部(62)を前記シリンダ(23)の後方で前記排気管(25a,25b)近傍に配置し、前記排気管(25a,25b)近傍で空気導入口(62a)を開口させると共に前記ノズル部(56)の排気ガス噴射方向に向けて空気導出口(61a)を開口させる換気ダクト(60)と、を備えることを特徴とする。
なお、前記鞍乗り型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪の車両も含まれる。
請求項2に記載した発明は、前記換気ダクト(60)の空気導入口(62a)が前記排気装置(30)よりも上方に配置され、前記開口部(55)が前記排気装置(30)の上面に形成されることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、前記換気ダクト(60)の空気導出口(61a)が車両後方を指向し、前記ノズル部(56)が前記開口部(55)から噴出した排気ガスを車両後方に噴射することを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、前記換気ダクト(60)の下流側端部(61)の流路断面積が、該下流側端部(61)よりも上流側の流路断面積よりも小さいことを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、前記換気ダクト(60)の下流側端部(61)の周壁の一側が、前記排気装置(30)の外壁で形成されることを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、前記排気管(25a,25b)が、前記シリンダ(23)の後方で車体左右方向一側に配置され、前記シリンダ(23)の後方かつ前記排気管(25a,25b)の車体左右方向外側に、車体左右方向外側への伝熱を抑えるヒートガード(66)が配置され、前記換気ダクト(60)の上流側端部(62)が、前記排気管(25a,25b)の後方で前記車体左右方向一側かつ前記ヒートガード(66)の車体左右方向内側に配置されることを特徴とする。
請求項7に記載した発明は、前記排気装置(30)が、前記車体左右方向一側に配置されることを特徴とする。
請求項8に記載した発明は、前記車体フレーム(5)が、ヘッドパイプ(6)と、該ヘッドパイプ(6)から後方に延びるメインフレーム(7)と、該メインフレーム(7)の後端から下方に延びるピボットフレーム(8)とを有し、前記ピボットフレーム(8)に前端部が上下揺動可能に支持されると共に、車体左右方向で前記排気装置(30)とは反対側に配置された片持ちアーム(9a)の後端部に後輪(11)を軸支するスイングアーム(9)を備え、前記換気ダクト(60)の少なくとも一部が、側面視で前記スイングアーム(9)と重なることを特徴とする。
請求項1に記載した発明によれば、排気装置内の排気ガスの一部を開口部より装置外部に取り出し、この排気ガスをノズル部が所定方向に噴出することで、この排気ガスがノズル部を覆う換気ダクトの下流側端部内の空気を引き出しつつ空気導出口から排出される。このとき、換気ダクト内に生じる負圧により、シリンダ後方の排気管近傍の熱気が空気導入口からダクト内に吸引され、該熱気が換気ダクトを通じて空気導出口から排出される。このように、シリンダ後方から排気装置に延びて該排気装置に連通する換気ダクトを設けることで、車体の大型化を抑えた上で、シリンダ後方の排気管近傍に熱が篭ることを抑止し、鞍乗り型車両の熱居住性を良好にできる。
請求項2に記載した発明によれば、換気ダクトの長さを抑えてシリンダ後方の空気を良好に吸引できる。
請求項3に記載した発明によれば、車両走行時には空気導出口の後方に生じる負圧をも利用してシリンダ後方の空気を吸引できる。
請求項4に記載した発明によれば、ノズル部を収容する下流側端部内の排気ガスの流速を維持し、熱気引き抜き効果を良好にできる。
請求項5に記載した発明によれば、換気ダクトの下流側端部の構成を簡略化し、換気ダクトの軽量化を図ることができる。
請求項6に記載した発明によれば、シリンダの後方に排気管、ヒートガード及び換気ダクトを効率よく配置できる。
請求項7に記載した発明によれば、排気装置に接続される換気ダクトを短くし、熱気の引き抜きを良好にできる。
請求項8に記載した発明によれば、上下揺動するスイングアームと換気ダクトとを互いに干渉し難い配置にできる。
本発明の実施形態における自動二輪車の左側面図である。 上記自動二輪車のマフラー周辺の右側面図である。 図2から車体フレーム等を消した右側面図である。 上記マフラーの右側面図である。 図4の上記マフラーの上面に沿う方向から見たA矢視図である。 上記マフラー周辺の一部断面を含む上面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。また以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UPが示されている。
図1に示す自動二輪車1において、その前輪2は左右一対のフロントフォーク3の下端部に回転可能に軸支され、各フロントフォーク3の上部はステアリングステム4を介して車体フレーム5前端のヘッドパイプ6に操向可能に枢支される。左右フロントフォーク3の上端部はステアリングステム4の上方に突出し、該突出部分に左右ハンドルバー4aが固定される。
車体フレーム5は例えば複数種のアルミ合金部材を溶接等により一体結合してなる。車体フレーム5のヘッドパイプ6の後方には、左右メインフレーム7が斜め下後方に向けて延びる。左右メインフレーム7の後端部には、左右ピボットフレーム8の上端部がそれぞれ接続される。左右ピボットフレーム8には、片持ち式のスイングアーム9の前端部が揺動可能に枢支される。スイングアーム9の左片持ちアーム9aの後端部には、後輪11が回転可能に軸支される。左片持ちアーム9a内には、後輪11と車体フレーム5内側のエンジン20との間の動力伝達を行うドライブシャフト(不図示)が挿通される。
図中符号12はスイングアーム9の前端部を支持するピボット軸を、符号13はスイングアーム9の前部とメインフレーム7の後部との間に渡るリヤクッションを、符号14はピボットフレーム8の後方に支持されて運転者の足を乗せるステップを、符号15は運転者が着座するシートを、符号16はシート15の前方に配置される燃料タンクを、符号17は車体フレーム5の後方に延びてシート15等を支持するシートフレームを、符号18は車体前部を覆うフロントカウルを、符号19は車体後部を覆うリヤカウルをそれぞれ示す。
エンジン20は、クランク軸を車体左右方向(車幅方向)に沿わせた水冷四ストロークV型四気筒エンジンである。エンジン20のクランクケース21の前部上方には、鉛直方向に対して前傾した前傾シリンダ22が立設される。クランクケース21の上方かつ前傾シリンダ22の後方には、鉛直方向に対して後傾した後傾シリンダ23が立設される。
前傾シリンダ22の前壁部には、前傾シリンダ22内の左右一対の気筒に対応する左右一対の前排気管24a,24bの基端部が接続される。後傾シリンダ23の後壁部には、後傾シリンダ23内の左右一対の気筒に対応する左右一対の後排気管25a,25bの基端部が接続される。前傾シリンダ22の後壁部及び後傾シリンダ23の前壁部には、それぞれの気筒に対応するスロットルディを含む不図示の吸気装置が接続される。
前排気管24a,24bは、前傾シリンダ22の前方で管長を調整するべく適宜屈曲して下方に延び、クランクケース21の右前下方で後方に屈曲した後、互いに合流して前集合管26となる。前集合管26は、その先端部をクランクケース21の下方で後方に指向させる。
図2を併せて参照し、後排気管25a,25bは、後傾シリンダ23の後方で管長を調整するべく適宜屈曲して下方に延び、クランクケース21の右後下方で前方に屈曲した後、互いに合流して後集合管27となる。その後、後集合管27がクランクケース21の右下方を前方に延び、クランクケース21の前下方で折り返し、その先端部を前集合管26の右方で後方に指向させる。
クランクケース21の右下方には、触媒を内蔵したチャンバー28が配置される。チャンバー28の前端部には、前後集合管26,27の先端部が接続される。チャンバー28の後端部からは、単一の下流集合管29が後方へ延びる。下流集合管29は、適宜屈曲して右後方へ延び、後輪11右側に配置されたマフラー30の前端部の左側(車体左右方向内側)に接続される(図6参照)。
図6を併せて参照し、後傾シリンダ23の後部右側から延びる右後排気管25bは、車体右側へ緩やかに変位しつつ後方へ延びた後、ピボット軸12よりも後方で下方に屈曲して延びる。後傾シリンダ23の後部左側から延びる左後排気管25aは、後傾シリンダ23の後方でクランク状に屈曲して車体右側へ変位しつつ後方へ延びた後、ピボット軸12よりも後方かつ右後排気管25bの屈曲の内周側で、右後排気管25bに沿うように下方に屈曲して延びる。
図3,4に示すように、マフラー30は、側面視で前方から後方に向けて広がる末広がりの外観を形成するマフラーケース31と、マフラーケース31内の空間を前後に区画する前後セパレータ32,33と、マフラーケース31の下部に支持したメイン排気パイプ34と、マフラーケース31の後部上側に支持したサブ排気パイプ35と、サブ排気パイプ35の後端開口(排気口)を開閉する排気バルブ36と、マフラーケース31の上面に設けられた排気ガス噴出部37と、マフラーケース31の車体左右方向外側を覆うマフラーカバー38と、マフラーケース31の後端部を覆うエンドキャップ39とを有する。図中線C1はマフラー30の側面視における下流集合管29の後端部と同軸の中心軸線を示す。
図5,6を併せて参照し、マフラーケース31は、側面視で後上がりに傾斜する筒状のケース本体41と、ケース本体41の後端開口を閉塞するリヤプレート42とを有する。ケース本体41の前部には、車体左右方向内側(左方)に張り出す張り出し部41aが形成される。張り出し部41aの前端部は縮小して閉塞し、この前端部に下流集合管29の後端部が接続される。
ケース本体41は、張り出し部41aを除く部位で車体左右方向と概ね直交する内側壁部45と、内側壁部45の上縁部から車体左右方向外側へ屈曲して延びる上壁部46と、内側壁部45の下縁部から車体左右方向外側へ屈曲して延びる下壁部47と、上下壁部46,47の車体左右方向外側の縁部間に渡る外側壁部48とを有する。外側壁部48は、その上部を車体左右方向外側(右方)へ張り出させるように後面視で湾曲する。外側壁部48の下部は、下側ほど車体左右方向内側に位置するように傾斜する。下壁部47の左右幅は、上壁部46の左右幅よりも狭くされる。マフラー30下部の車体左右方向外側(右方)への張り出しを抑えることで、車体の右方へのバンク角が確保される。
マフラーケース31内の空間は、前後セパレータ32,33により、前セパレータ32前方の第一膨張室51と、前後セパレータ32,33間の第二膨張室52と、後セパレータ33後方の第三膨張室53とに区画される。
前後セパレータ32,33はそれぞれ平板状をなし、マフラーケース31内の前後に延びる空間を横断するように配置される。前後セパレータ32,33の上部には、排気ガスを通過させる前後絞り孔32a,33aがそれぞれ形成される(図4参照)。
前セパレータ32は、側面視で軸線C1と直交する姿勢から上部を後方に変位させるように傾斜する。後セパレータ33は、側面視で軸線C1と直交する姿勢から上部を前方に変位させるように傾斜する。リヤプレート42は、側面視で後セパレータ33と同様に傾斜する。リヤプレート42の上部後面には、サブ排気パイプ35の後端部及び排気バルブ36の周囲を覆うカバー部42aが設けられる。
下流集合管29は、マフラーケース31の前端部を貫通して第一膨張室51に開口する。第一膨張室51に導入された排気ガスは、その一部が前後セパレータ32,33及びリヤプレート42を貫通するメイン排気パイプ34を経てマフラー外部に排出されると共に、一部が前絞り孔32aを経て第二膨張室52に導入される。第二膨張室52内に導入された排気ガスは、後絞り孔33aを経て第三膨張室53に導入される。第三膨張室53内に導入された排気ガスは、排気バルブ36が閉じている場合には第三膨張室53内に留まり、排気バルブ36が開いている場合にはサブ排気パイプ35からマフラー外部に排出される。
排気バルブ36は、不図示のアクチュエータの作動により、例えばエンジン20の低回転時にはサブ排気パイプ35の後端開口を閉じ、所定の回転数以上でサブ排気パイプ35の後端開口を開くように制御される。マフラー30内に導入された高温かつ高圧な排気ガスは、複数の膨張室を通過する過程を経て適宜冷却及び減圧され、排気騒音を低減させる。
マフラー30の上壁部46の上面には、第二膨張室52内の排気ガスの一部を上壁部46の上面に沿って後方へ噴出可能とする排気ガス噴出部37が設けられる。排気ガス噴出部37は、上壁部46に形成されて第二膨張室52をマフラー外部に開口させる連通孔55と、連通孔55を覆うと共に連通孔55から噴出した排気ガスを上壁部46に沿って後方へ導くノズル部56とを有する。
ノズル部56は、その後端に噴出口56aを有し、この噴出口56aに至る自身の周壁の下部を上壁部46で形成するべく、上壁部46に一体的に固定される。連通孔55は、前セパレータ32の前絞り孔32aの直ぐ後方に位置し、第一膨張室51から第二膨張室52に流入した直後の排気ガスの流路をマフラー外部に露出させる。連通孔55は、ノズル部56の前端部内側に開口し、この連通孔55からノズル部56内に流入した排気ガスが、ノズル部56後端の噴出口56aから車両後方へ噴射される。
排気ガス噴出部37は、後傾シリンダ23の後方空間からマフラー30の上壁部46まで延びる換気ダクト60の下流側端部61(後端部)内に収容される。換気ダクト60は、排気ガス噴出部37の噴射流を利用して後傾シリンダ23の後方空間の空気を吸引する。換気ダクト60は、例えば断面矩形状の管状をなし、後傾シリンダ23の後方で後排気管25a,25b近傍に上流側端部62(前端部)を配置し、後排気管25a,25b周辺に向けて空気導入口62a(前端開口)を開口させる。
空気導入口62aは、車体左右中心面(図中線CLで示す)よりも右方に配置される。空気導入口62aの左前方には、車体左右中心面と重なる範囲で左方にオフセット配置されたリヤクッション13が配置され、空気導入口62aの右前方には、車体左右中心面から離間して右方にオフセット配置された後排気管25a,25bが配置される。空気導入口62aは、リヤクッション13及び後排気管25a,25bの間の空間に臨むように配置される。
後排気管25a,25bは、後傾シリンダ23の後方で上下ヒートガード64,65に上下から挟み込まれて覆われると共に、右ステップ14の車体左右方向内側に位置するヒートガードプレート66により車体左右方向外側から覆われる。ヒートガードプレート66は、概ね左右方向に直交する平板状をなし、右ステップ14に乗せた足への伝熱を抑える。このヒートガードプレート66の車体左右方向内側に、換気ダクト60の上流側端部62が配置される。
換気ダクト60の下流側端部61は、排気ガス噴出部37を覆うようにマフラー30の上壁部46に固定される。下流側端部61は、ノズル部56の噴出口56aよりも後方で空気導出口61a(後端開口)を開口させる。排気ダクトの下流側端部61は、空気導出口61aに至る自身の周壁の下部を上壁部46で形成するべく、上壁部46に一体的に固定される。
換気ダクト60の下流側端部61内で排気ガス噴出部37が排気ガスを後方に噴射すると、この排気ガスが下流側端部61内の空気と共に空気導出口61aから後方へ排出される。これにより、換気ダクト60内が負圧状態になり、後傾シリンダ23後方の排気熱を帯びた空気が空気導入口62aより吸引され、換気ダクト60を通じて後方へ排出される。
換気ダクト60の下流側端部61の流路断面積は、下流側端部61よりも上流側の部位の流路断面積よりも小さく、換気ダクト60内に吸引した空気を高い流速で後方へ排気可能であり、かつ換気ダクト60の上流側の圧損を低減して空気を吸入し易くする。自動二輪車1の走行時には、空気導出口61aの後方に負圧が生じることで、空気導出口61aからの排気をよりし易くなる。
換気ダクト60は断面矩形状をなし、空気導入口62aから下後方へ延びた後に右下後方へ屈曲してマフラー30の上壁部46に至る。図では、換気ダクト60における空気導入口62aから下後方へ延びる部位を上流側端部62、上流側端部62の下端部から右下後方へ延びる部位をダクト中間部63、ダクト中間部63の後端部からマフラー30の上壁部46の上面に沿って後上がりに後方へ延びる部位を下流側端部61で示す。換気ダクト60は、その一部(下部)が側面視でスイングアーム9と重なる。すなわち、換気ダクト60は、上下揺動するスイングアーム9を車体左右方向で避けて配置される。
以上説明したように、上記実施形態における鞍乗り型車両のシリンダ後方換気構造は、クランクケース21上に起立する後傾シリンダ23を有して車体フレーム5に支持されるエンジン20と、後傾シリンダ23の後部に基端側が接続される後排気管25a,25bと、後排気管25a,25bの先端側が接続されるマフラー30と、を備える自動二輪車1に適用するものにおいて、マフラー30内の排気ガス通路をマフラー外部に開口させる連通孔55と、連通孔55を覆い連通孔55から噴出した排気ガスを所定方向に噴射させるノズル部56と、ノズル部56を下流側端部61内に収容すると共に上流側端部62を後傾シリンダ23の後方で後排気管25a,25b近傍に配置し、後排気管25a,25b近傍で空気導入口62aを開口させると共にノズル部56の排気ガス噴射方向に向けて空気導出口61aを開口させる換気ダクト60と、を備えるものである。
この構成によれば、マフラー30内の排気ガスの一部を連通孔55よりマフラー外部に取り出し、この排気ガスをノズル部56によって所定方向に噴出することで、この排気ガスがノズル部56を覆う換気ダクト60の下流側端部61内の空気を引き出しつつ空気導出口61aから排出される。このとき、換気ダクト60内に生じる負圧により、後傾シリンダ23後方の後排気管25a,25b近傍の熱気が空気導入口62aからダクト内に吸引され、該熱気が換気ダクト60を通じて空気導出口61aから排出される。このように、後傾シリンダ23個右方からマフラー30に延びて該マフラー30に連通する換気ダクト60を設けることで、車体の大型化を抑えた上で、後傾シリンダ23後方の後排気管25a,25b近傍に熱が篭ることを抑止し、鞍乗り型車両の熱居住性を良好にできる。
上記鞍乗り型車両のシリンダ後方換気構造は、換気ダクト60の空気導入口62aがマフラー30よりも上方に配置され、連通孔55がマフラー30の上面に形成されることで、換気ダクト60の長さを抑えて後傾シリンダ23後方の空気を良好に吸引できる。
上記鞍乗り型車両のシリンダ後方換気構造は、換気ダクト60の空気導出口61aが車両後方を指向し、ノズル部56が連通孔55から噴出した排気ガスを車両後方に噴射することで、車両走行時には空気導出口61aの後方に生じる負圧をも利用して後傾シリンダ23後方の空気を吸引できる。
上記鞍乗り型車両のシリンダ後方換気構造は、換気ダクト60の下流側端部61の流路断面積が、該下流側端部61よりも上流側(ダクト中間部63及び上流側端部62)の流路断面積よりも小さいことで、ノズル部56を収容する下流側端部61内の排気ガスの流速を維持し、熱気引き抜き効果を良好にできる。
上記鞍乗り型車両のシリンダ後方換気構造は、換気ダクト60の下流側端部61の周壁の一側が、マフラー30の外壁の一部で形成されることで、換気ダクト60の下流側端部61の構成を簡略化し、換気ダクト60の軽量化を図ることができる。
上記鞍乗り型車両のシリンダ後方換気構造は、後排気管25a,25bが、後傾シリンダ23の後方で車体左右方向一側に配置され、後傾シリンダ23の後方かつ後排気管25a,25bの車体左右方向外側に、車体左右方向外側への伝熱を抑えるヒートガードプレート66が配置され、換気ダクト60の上流側端部62が、後排気管25a,25bの後方で前記車体左右方向一側かつヒートガードプレート66の車体左右方向内側に配置されることで、後傾シリンダ23の後方に後排気管25a,25b、ヒートガードプレート66及び換気ダクト60を効率よく配置できる。
上記鞍乗り型車両のシリンダ後方換気構造は、マフラー30が、前記車体左右方向一側に配置されることで、マフラー30に接続される換気ダクト60を短くし、熱気の引き抜きを良好にできる。
上記鞍乗り型車両のシリンダ後方換気構造は、車体フレーム5が、ヘッドパイプ6から後方に延びるメインフレーム7と、メインフレーム7の後端から下方に延びるピボットフレーム8を有し、ピボットフレーム8に前端部が上下揺動可能に支持されると共に、車体左右方向でマフラー30とは反対側に配置された片持ちアーム9aの後端部に後輪11を軸支するスイングアーム9を備え、換気ダクト60の少なくとも一部が、側面視でスイングアーム9と重なることで、上下揺動するスイングアーム9と換気ダクト60とを互いに干渉し難い配置にできる。
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、単気筒エンジンや並列の複数気筒エンジン、クランク軸を車両前後方向に沿わせた縦置きエンジンに適用してもよい。シリンダの後部に単一又は三つ以上の排気管が接続されるエンジンに適用してもよい。後傾したシリンダではなく前傾あるいは左右に傾斜したシリンダを有するエンジンに適用してもよい。
前記鞍乗り型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪の車両も含まれる。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
1 自動二輪車(鞍乗り型車両)
5 車体フレーム
6 ヘッドパイプ
7 メインフレーム
8 ピボットフレーム
9 スイングアーム
9a 左片持ちアーム(片持ちアーム)
11 後輪
20 エンジン
21 クランクケース
23 後傾シリンダ(シリンダ)
25a 左後排気管(排気管)
25b 右後排気管(排気管)
30 マフラー(排気装置)
55 連通孔(開口部)
56 ノズル部
60 換気ダクト
61 下流側端部
61a 空気導出口
62 上流側端部
62a 空気導入口
66 ヒートガードプレート(ヒートガード)

Claims (8)

  1. クランクケース(21)上に起立するシリンダ(23)を有して車体フレーム(5)に支持されるエンジン(20)と、
    前記シリンダ(23)の後部に基端側が接続される排気管(25a,25b)と、
    前記排気管(25a,25b)の先端側が接続される排気装置(30)と、を備える鞍乗り型車両(1)のシリンダ後方換気構造において、
    前記排気装置(30)内の排気ガス通路を装置外部に開口させる開口部(55)と、
    前記開口部(55)を覆い該開口部(55)から噴出した排気ガスを所定方向に噴射させるノズル部(56)と、
    前記ノズル部(56)を下流側端部(61)内に収容すると共に上流側端部(62)を前記シリンダ(23)の後方で前記排気管(25a,25b)近傍に配置し、前記排気管(25a,25b)近傍で空気導入口(62a)を開口させると共に前記ノズル部(56)の排気ガス噴射方向に向けて空気導出口(61a)を開口させる換気ダクト(60)と、を備えることを特徴とする鞍乗り型車両のシリンダ後方換気構造。
  2. 前記換気ダクト(60)の空気導入口(62a)が前記排気装置(30)よりも上方に配置され、前記開口部(55)が前記排気装置(30)の上面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両のシリンダ後方換気構造。
  3. 前記換気ダクト(60)の空気導出口(61a)が車両後方を指向し、前記ノズル部(56)が前記開口部(55)から噴出した排気ガスを車両後方に噴射することを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗り型車両のシリンダ後方換気構造。
  4. 前記換気ダクト(60)の下流側端部(61)の流路断面積が、該下流側端部(61)よりも上流側の流路断面積よりも小さいことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の鞍乗り型車両のシリンダ後方換気構造。
  5. 前記換気ダクト(60)の下流側端部(61)の周壁の一側が、前記排気装置(30)の外壁で形成されることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の鞍乗り型車両のシリンダ後方換気構造。
  6. 前記排気管(25a,25b)が、前記シリンダ(23)の後方で車体左右方向一側に配置され、
    前記シリンダ(23)の後方かつ前記排気管(25a,25b)の車体左右方向外側に、車体左右方向外側への伝熱を抑えるヒートガード(66)が配置され、
    前記換気ダクト(60)の上流側端部(62)が、前記排気管(25a,25b)の後方で前記車体左右方向一側かつ前記ヒートガード(66)の車体左右方向内側に配置されることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の鞍乗り型車両のシリンダ後方換気構造。
  7. 前記排気装置(30)が、前記車体左右方向一側に配置されることを特徴とする請求項6に記載の鞍乗り型車両のシリンダ後方換気構造。
  8. 前記車体フレーム(5)が、ヘッドパイプ(6)と、該ヘッドパイプ(6)から後方に延びるメインフレーム(7)と、該メインフレーム(7)の後端から下方に延びるピボットフレーム(8)とを有し、
    前記ピボットフレーム(8)に前端部が上下揺動可能に支持されると共に、車体左右方向で前記排気装置(30)とは反対側に配置された片持ちアーム(9a)の後端部に後輪(11)を軸支するスイングアーム(9)を備え、
    前記換気ダクト(60)の少なくとも一部が、側面視で前記スイングアーム(9)と重なることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の鞍乗り型車両のシリンダ後方換気構造。
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