JP6146170B2 - 記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、記録部を搭載した移動体がガイド部にガイドされて主走査方向に移動する際にガイド部と摺動する摺動部を備えた記録装置に関する。
従来から、記録装置の一種として、液体噴射ヘッド(記録部)を搭載して往復移動するキャリッジ(移動体)に、媒体の主走査方向に延在させたガイドレールとグリースなどの潤滑剤を介して摺動可能に接触する摺動部材(摺動部)を設けたプリンターが知られている(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、このプリンターにおけるキャリッジに設けられた摺動部材は、主走査方向の一方側位置で主走査方向と交差するように延びる一方側縁部を有し、その一方側縁部は、主走査方向と交差する方向における一端側部位及び他端側部位の方が中央寄り部位よりも主走査方向の一方側に位置する先広がりの縁形状をしている。そのため、キャリッジを主走査方向の一方側に移動させたときには、ガイドレールに塗布されているグリースを摺動部材における先広がり形状の一方側縁部により掻き集めることが可能とされている。
特開2013−46972号公報
ところで、上記のプリンターにおいて、通常、液体噴射ヘッドを搭載したキャリッジは媒体に対する印刷時に主走査方向に沿って往復移動する。そのため、主走査方向の一方側に移動するときには、ガイドレールに塗布されているグリースを摺動部材の一方側縁部により掻き集めることが可能であっても、主走査方向の他方側に移動するときには、ガイドレールに塗布されているグリースを摺動部材により掻き集めることができなかった。その結果、キャリッジの移動時に摺動するガイドレールと摺動部材との間の油分を確保することができず、ガイドレールや摺動部材が摩耗してしまう虞があった。
なお、こうした課題は、摺動部とガイド部との間にグリースなどの潤滑剤を介在させた記録装置においては、概ね共通するものとなっていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、移動体の移動時に摺動するガイド部と摺動部との間の油分を確保することにより、ガイド部や摺動部の摩耗を抑制することができる記録装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する記録装置は、媒体に対して記録を行う記録部と、前記記録部を搭載し、前記媒体に対する主走査方向に往復移動する移動体と、前記主走査方向に延設されて前記移動体の前記主走査方向への移動をガイドするガイド部と、前記移動体と一体的に移動するように設けられ、その移動体の移動時に、潤滑剤が塗布された前記ガイド部に対して摺動する摺動部と、を備え、前記摺動部は、前記主走査方向の一方側位置で前記主走査方向と交差するように延びる一方側縁部および前記主走査方向の他方側位置で前記主走査方向と交差するように延びる他方側縁部を有し、前記一方側縁部は、前記主走査方向と交差する方向における一端側部位及び他端側部位の方が中央寄り部位よりも前記主走査方向の一方側に位置する一方、前記他方側縁部は、前記主走査方向と交差する方向における一端側部位及び他端側部位の方が中央寄り部位よりも前記主走査方向の他方側に位置する。
この構成によれば、移動体の移動時に摺動部が摺動するガイド部の表面に潤滑剤が塗布されている場合、移動体が主走査方向の一方側及び他方側の何れの方向に移動したときでも、摺動部の一方側縁部及び他方側縁部の何れかが、その縁部における一端側部位と他端側部位との間の中央寄り部位の近辺に潤滑剤を集めることができる。したがって、移動体の移動時に摺動するガイド部と摺動部との間の油分を確保することにより、ガイド部や摺動部の摩耗を抑制することができる。
上記記録装置においては、前記媒体を前記記録部と対向する状態に支持可能な支持面を有する支持部と、前記支持面と前記記録部とが対向する方向において前記移動体を変位させることにより前記支持面と前記記録部との間隔を調整可能な間隔調整部と、を更に備え、前記摺動部の前記各縁部は、前記移動体が前記間隔調整部による前記間隔の調整に伴い前記支持面と前記記録部とが対向する方向における変位可能限度位置まで変位した状態において、前記一端側部位及び前記他端側部位のうち少なくとも一方の部位と前記中央寄り部位とが前記ガイド部に対する摺動可能状態を維持することが好ましい。
この構成によれば、間隔調整部により支持面と記録部との間隔が調整され、支持面と記録部とが対向する方向において移動体がその変位可能とされる限度位置まで変位したときでも、摺動部の各縁部における中央寄り部位の近辺に潤滑剤を集めることができ、その油分によってガイド部や摺動部の摩耗を抑制することができる。
上記記録装置において、前記移動体が前記間隔調整部による間隔調整に伴い鉛直方向に変位する場合において、前記移動体が上方限度位置まで変位した場合、前記摺動部の前記各縁部は、前記一端側部位及び前記他端側部位のうち上方側に位置する部位と前記中央寄り部位とを繋ぐ縁部分の少なくとも一部が前記ガイド部との摺動可能な位置状態を維持し、前記移動体が下方限度位置まで変位した場合、前記摺動部の前記各縁部は、前記一端側部位及び前記他端側部位のうち下方側に位置する部位と前記中央寄り部位とを繋ぐ縁部分の少なくとも一部が前記ガイド部との摺動可能な位置状態を維持することが好ましい。
この構成によれば、間隔調整部による間隔調整に伴い、移動体が上方限度位置又は下方限度位置に変位した場合でも、摺動部の各縁部における中央寄り部位の近辺に一端側及び他端側の両方から潤滑剤を集めることができる。
上記記録装置において、前記摺動部の前記一方側縁部及び前記他方側縁部のうち少なくとも一方の縁部における前記一端側部位及び前記他端側部位と前記中央寄り部位との間には凹部が設けられていることが好ましい。
この構成によれば、移動体の移動に伴い摺動部の一方側縁部及び他方側縁部によりガイド部の表面から掻き集められた潤滑剤が凹部内に溜まるので、そのように凹部内に溜まった潤滑剤によりガイド部と摺動部との間の油分の確保を担保することができる。
上記記録装置において、前記摺動部は、前記主走査方向において当該主走査方向と交差する方向に延びる溝部を挟んで隣り合うように設けられた複数の摺動部により構成されていることが好ましい。
この構成によれば、主走査方向で隣り合う両摺動部間の溝部内に流入した後に同溝部内に滞留する潤滑剤により、ガイド部と摺動部との間の油分を確保することができる。
上記記録装置において、前記摺動部は、前記主走査方向における前記一方側縁部と前記他方側縁部との間に周囲が環状縁部で囲まれた凹部を有することが好ましい。
この構成によれば、摺動部は環状縁部で囲まれた凹部を潤滑剤溜まりとして活用することができるので、この点でも、ガイド部と摺動部との間の油分を確保することができる。
上記記録装置において、前記摺動部は、前記ガイド部に対して垂直な面で摺動する垂直摺動部と、前記ガイド部に対して水平な面で摺動する水平摺動部とを含み、前記各摺動部と前記ガイド部との間に潤滑剤を塗布する場合、前記水平摺動部と前記ガイド部との間の潤滑剤塗布量よりも前記垂直摺動部と前記ガイド部との間の潤滑剤塗布量の方が多いことが好ましい。
この構成によれば、一般に、垂直摺動部とガイド部との間に塗布された潤滑剤は重力の影響で垂直摺動部とガイド部との間から流出する可能性が高いものの、そのような箇所に塗布される潤滑剤の量を相対的に多くしたことにより、長期間に亘り垂直摺動部とガイド部との間の油分の確保を担保することができる。
一実施形態のプリンターの斜視図。 (a)はキャリッジの側面図、(b)はその部分拡大図。 キャリッジを斜め下方から見た斜視図。 間隔調整機構の概略斜視図。 第1カム機構の構成部材であって、(a)は第1スライド部材の斜視図、(b)は第1カム部材の斜視図、(c)は第1カム部材の背面図、(d)は係合部材の斜視図。 第2カム機構の構成部材であって、(a)は第2スライド部材の正面図、(b)は第2カム部材の正面図。 キャリッジの摺動部を示す正面図。 第1変形例の摺動部を示す正面図。 図8における9−9線矢視断面図。 第2変形例の摺動部を示す正面図。 第3変形例の摺動部を示す正面図。 第4変形例の摺動部を示す正面図。 第5変形例の摺動部を示す正面図。 第6変形例の摺動部を示す正面図。 その他の変形例のプリンターを示す概略図。
以下、記録装置をインクジェット式のプリンターに具体化した一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態のプリンター11は、略直方体形状を呈する外装ケース12内の底部にベースフレーム13を備えている。このベースフレーム13には、媒体の一例である用紙Pの搬送路が形成され、その搬送路に沿って、図中白抜き矢印で示すように用紙Pが搬送方向Yへ搬送される。すなわち、用紙Pは、図示しない駆動源によって回転駆動される給紙ローラー14aと従動ローラー14bとからなる搬送ローラー対14によって挟持されながら、ベースフレーム13における鉛直方向Zで反重力方向側となる上側に形成された支持部の一例である支持台16へ向かう方向を搬送方向Yとして搬送される。そして、搬送された用紙Pは、その重力方向側となる下面側が支持台16に支持されつつ搬送される。
プリンター11には、支持台16の上面に沿う方向であって用紙Pの搬送方向Yと交差する方向を移動方向(主走査方向)Xとし、この移動方向Xに沿って往復移動可能な移動体の一例であるキャリッジ17が備えられている。すなわち、キャリッジ17は、ベースフレーム13にキャリッジ17の移動方向Xを長手方向とするように取り付けられた第1ガイドレール20及び第2ガイドレール21により案内されて、支持台16上を移動方向Xに往復移動する。
また、図2に示すように、このキャリッジ17にはインクを噴射可能な液体噴射ヘッド18が搭載されるとともに、インクを収容可能な流体収容体の一例であるインクカートリッジ19が装着される。そして、このキャリッジ17上に装着されたインクカートリッジ19から、インクが液体噴射ヘッド18へ供給される。
第1ガイドレール20および第2ガイドレール21は、それぞれ板部材で形成され、搬送方向Yにおいて互いに間隔を空けてベースフレーム13に配設されている。すなわち、第1ガイドレール20と第2ガイドレール21を比較した場合、第1ガイドレール20は搬送方向Yの上流側に位置し、第2ガイドレール21は搬送方向Yの下流側に位置する。そして、第1ガイドレール20および第2ガイドレール21は、キャリッジ17を、液体噴射ヘッド18を挟んだ搬送方向Yの両側において、移動方向Xへの移動が可能な状態で重力方向側から支持している。
液体噴射ヘッド18は、キャリッジ17が第1ガイドレール20及び第2ガイドレール21に案内されて移動する際に、支持台16上の支持面16aとの間に所定の間隔PGを空けて移動する。そして、インクカートリッジ19から供給されたインクを、その移動中において液体噴射ヘッド18の下面側に設けられた図示しないノズルから、支持台16上を搬送される用紙Pに対して噴射することにより画像を印刷する。画像が印刷された用紙Pは、搬送方向Yの先方側となる前側において外装ケース12に設けられた排紙口12aから排紙される。
図2に示すように、キャリッジ17は、液体噴射ヘッド18を支持する略矩形箱状の主支持部30と、主支持部30に対して一体的に形成される第1副支持部31及び第2副支持部32とを備えている。第1副支持部31及び第2副支持部32は、キャリッジ17の長手方向において主支持部30を挟んだ一方側(図2では右側)及び他方側(図2では左側)にそれぞれ配置されている。そして、第1副支持部31は、第1ガイドレール20によって支持されている。また、第2副支持部32は、第2ガイドレール21によって下方から支持されている。
第1ガイドレール20は、水平面と平行に延びる帯状の第1ガイド部35と、第1ガイド部35の長手方向に沿う一辺部(図2では左辺部)を上方に向けて直角に屈曲させることにより形成された垂直方向に沿う帯状の第2ガイド部36とを有している。
そして、第1ガイド部35の上面35Aには、キャリッジ17の第1副支持部31がブロック状の第1スライド部材37を介して支持されている。第1スライド部材37は、第1ガイド部35に対する摩擦抵抗の少ない樹脂によって構成されており、その下面には第1ガイド部35の上面35Aに対して摺動する摺動部37Aが隆起するように形成されている。また、第1ガイド部35の上面35Aは、キャリッジ17と一体となって移動するスライド部材37の下面に形成された摺動部37Aがキャリッジ17の移動方向Xに摺動する被摺動部となっている。すなわち、第1ガイドレール20における第1ガイド部35は、その上面35Aに第1スライド部材37の摺動部37Aを摺動させつつ、キャリッジ17の移動方向Xへの移動をガイドするガイド部として機能する。
垂直方向に沿う第2ガイド部36において第1スライド部材37に対して水平方向に対向する第1面36Aには、第1スライド部材37の前面に隆起するように形成された摺動部37Bが接触している。そして、第2ガイド部36の第1面36Aは、第1スライド部材37の前面に形成された摺動部37Bがキャリッジ17の移動方向Xに摺動する被摺動部となっている。また、第2ガイド部36における第1面36Aとは反対側の第2面36Bには、キャリッジ17の主支持部30の側面30Aに隆起するように形成された摺動部30Bが接触している。そして、第2ガイド部36の第2面36Bは、キャリッジ17の主支持部30の側面30Aに形成された摺動部30Bがキャリッジ17の移動方向Xに摺動する被摺動部となっている。この点で、第1ガイドレール20における第2ガイド部36は、その第1面36A及び第2面36Bに第1スライド部材37の摺動部37B及びキャリッジ17の摺動部30Bを摺動させつつ、キャリッジ17の移動方向Xへの移動をガイドするガイド部として機能している。
なお、図3に示すように、キャリッジ17の主支持部30の側面30Aは、移動方向Xに沿って長く延びる矩形の平面部であり、その側面30Aにおける長手方向の両端に近い各位置に摺動部30Bは平面状の側面30Aから隆起するように形成されている。この摺動部30Bの具体的構成については、後に詳しく説明する。
一方、第2ガイドレール21は、水平面と平行に延びる帯状のガイド部34を有し、そのガイド部34の上面34Aには、キャリッジ17の第2副支持部32がブロック状の第2スライド部材40を介して支持されている。第2スライド部材40は、ガイド部34に対する摩擦抵抗の少ない樹脂によって構成されており、その下面にはガイド部34の上面34Aに対して摺動する摺動部40Aが隆起するように形成されている。また、ガイド部34の上面34Aは、キャリッジ17と一体となって移動する第2スライド部材40の下面に形成された摺動部40Aがキャリッジ17の移動方向Xに摺動する被摺動部となっている。この点で、第2ガイドレール21における第2ガイド部34は、その上面34Aに第2スライド部材40の摺動部40Aを摺動させつつ、キャリッジ17の移動方向Xへの移動をガイドするガイド部として機能している。
また、キャリッジ17及び各スライド部材37,40に形成された摺動部30B,37A,37B,40Aと第1ガイドレール20及び第2ガイドレール21の被摺動部との間には、キャリッジ17が各ガイドレール20,21に対して移動方向Xに摺動する際の負荷を低減させる潤滑剤としてグリース41が介在している。すなわち、グリース41は、第1スライド部材37の摺動部37Aと第1ガイド部35の上面35Aとの間、及び、第1スライド部材37の摺動部37Bと第2ガイド部36の第1面36Aとの間に介在している。また、グリース41は、キャリッジ17の主支持部30の側面30Aに形成された摺動部30Bと第2ガイド部36の第2面36Bとの間、及び、第2スライド部材40の摺動部40Aとガイド部34の上面34Aとの間にも介在している。
なお、キャリッジ17の主支持部30の側面30Aに形成された摺動部30B及び第1スライド部材37の側面に形成された摺動部37Bは、垂直方向に沿う帯状の第2ガイド部36に対して垂直な面で摺動する点で、垂直摺動部として機能する。一方、第1スライド部材37の下面に形成された摺動部37A及び第2スライド部材40の下面に形成された摺動部40Aは、水平方向に沿う帯状のガイド部34,35に対して水平な面で摺動する点で、水平摺動部として機能する。また、各摺動部30B,37A,37B,40Aと各ガイド部34,35,36との間に介在されるグリースの量は、水平摺動部として機能する摺動部37A,40Aとガイド部34,35との間のグリースの量よりも、垂直摺動部として機能する摺動部30B,37Bとガイド部36との間のグリースの量の方が多くされている。これは垂直摺動部の方が水平摺動部よりも重力により流下するグリースの量が多いと考えられるからである。
さらに、図4に示すように、本実施形態のプリンター11には、キャリッジ17の高さ位置の調節により、液体噴射ヘッド18と支持台16上の用紙Pとの鉛直方向Zの距離、すなわち、液体噴射ヘッド18と支持台16(支持面16a)との間隔PGを調整可能な間隔調整機構(間隔調整部)PAJが設けられている。間隔調整機構PAJは、用紙Pの搬送方向Yにおいて離れて位置する第1カム機構50と第2カム機構60、及び第1カム機構50と第2カム機構60との間に位置して両者のカム動作を連動させるカム連動機構90を有している。
第1カム機構50は、キャリッジ17の移動時に第1ガイドレール20の第1ガイド部35の上面35Aと摺動する第1スライド部材37と、その第1スライド部材37と係合する第1カム部材53と、その第1カム部材53と係合する係合部材55とを備えている。一方、第2カム機構60は、キャリッジ17の移動時に第2ガイドレール21のガイド部34の上面34Aと摺動する第2スライド部材40と、その第2スライド部材40と係合する第2カム部材63とを備えている。そして、第1ガイドレール20と摺動する第1スライド部材37を備えた第1カム機構50の方がキャリッジ17上における用紙Pの搬送方向Yの上流側に配置される一方、第2ガイドレール21と摺動する第2スライド部材40を備えた第2カム機構60の方がキャリッジ17上における用紙Pの搬送方向Yの下流側に配置されている。
カム連動機構90は、第1伝達ギヤ91、第1伝達ギヤ91に係合する第2伝達ギヤ92、第2伝達ギヤ92と係合するピニオン95a、ピニオン95bと係合する第3伝達ギヤ93、第3伝達ギヤ93と係合する第4伝達ギヤ94を備える。第1伝達ギヤ91は、第1カム機構50における第1カム部材53の上面に設けられた第1ラック53aと係合すると共に、第4伝達ギヤ94は、第2カム機構60における第2カム部材63の上面に設けられた第2ラック63aと係合している。ピニオン95aとピニオン95bとは第1カム機構50と第2カム機構60との間に延びるギヤ軸95cによって連結され、ピニオンギヤ軸95を構成している。
カム連動機構90の一方は第1カム機構50と係合し、他方は第2カム機構60と係合している。すなわち、カム連動機構90は、第1ラック53aがキャリッジ17の移動方向Xに変位する際、第1ラック53aの直線運動を第1伝達ギヤ91により回転運動に変換し、変換した回転運動を第2伝達ギヤ92、ピニオンギヤ軸95、第3伝達ギヤ93を介して第4伝達ギヤ94に伝達する。第4伝達ギヤ94は伝達された回転運動を第2ラック63aに対して直線運動にして伝達する。この伝達によって、カム連動機構90は、第1ラック53aが移動する方向と同じ方向に、第2ラック63aを第1ラック53aと連動して移動させる。
このように、カム連動機構90は、第1カム機構50と第2カム機構60との間を複数のギヤ等の機構で繋げる構成としている。そして、カム連動機構90は、第1カム機構50が間隔PGを変化させる上下方向においてキャリッジ17を変位させるのと連動して、第1カム機構50のキャリッジ17を変位させる動力を第2カム機構60に伝達させ、第2カム機構60が間隔PGを変化させる上下方向においてキャリッジ17を変位させる。
図5(a)に示すように、第1カム機構50における第1スライド部材37は、キャリッジ17の移動方向Xを長手方向として延在し、その長手方向の両端部51a,51bがキャリッジ17における第1副支持部31の筐体内面と当接している。そして、第1スライド部材37は、その両端部51a,51bをキャリッジ17の筐体内面に当接させた状態において、キャリッジ17に対してキャリッジ17の移動方向Xへの相対移動が規制されると共に、鉛直方向Zへの相対移動が可能とされている。
また、第1スライド部材37の上面には、第1カム部材53が有する第1カム部54(図5(c)参照)と接触する接触部51cが複数(ここでは2つ)設けられている。更に第1スライド部材37の上面の長手方向両端部には、第1ばね部材52を掛止するフック部51fが設けられている。すなわち、第1スライド部材37はフック部51fに掛止された第1ばね部材52によってキャリッジ17における第1副支持部31の筐体内面に対して付勢されている。また、第1スライド部材37には、係合部材55の移動を案内するガイドピン51pが用紙Pの搬送方向Yと反対方向に突出して設けられている。
図5(b),(c)に示すように、第1カム部材53の上面には、第1ラック53aが形成されると共に、キャリッジ17における第1副支持部31の一部に当接して同第1副支持部31を下方から支持する第1当接面53bが形成されている。また、第1カム部材53における用紙Pの搬送方向Y側の面には、階段状の第1カム部54が設けられている。なお、第1カム部54は、4つの段部54aが互いに傾斜部54bを介して連なるように設けられている。
従って、この4つの段部54aのいずれかが第1スライド部材37の接触部51cと係合することによって、第1スライド部材37に対して第1カム部材53が相対的に上下方向へ変位し、第1当接面53bに支持された第1副支持部31を一緒に上下方向へ変位させる。このキャリッジ17の第1副支持部31の変位によって、液体噴射ヘッド18と支持面16aとの対抗する方向での間隔PGが規定される。また、第1スライド部材37に対して第1カム部材53がスライド移動する際に、接触部51cが傾斜部54bを移動することによって間隔PGが変化する。
また、第1カム部材53において、用紙Pの搬送方向Yと反対方向の側面には、係合部材55と係合する係合ピン53pが形成され、更にキャリッジ17の第1副支持部31に対する第1カム部材53の相対的なスライド移動を案内する案内部位53cが形成されている。
図5(d)に示すように、係合部材55は、キャリッジ17の移動方向Xを長手方向として延びる板状部材として形成され、搬送方向Yと反対方向の側面の下端部には突部56が設けられている。この突部56が、第1ガイドレール20の第1ガイド部35の上面35Aから上方へ突出する突出部(図示略)に対して係合することにより、係合部材55はキャリッジ17の移動に伴い第1スライド部材37に対して相対的に移動方向Xに沿ってスライド移動する。さらに、係合部材55には、第1カム部材53の係合ピン53pが遊挿される長穴55hが設けられている。この長穴55hに係合ピン53pが遊挿されることによって、第1カム部材53は係合部材55と一緒に、キャリッジ17の移動方向Xにスライド移動する。
一方、図6(a)に示すように、第2カム機構60における第2カム部材63の上面には、第2ラック63aが形成されるとともに、キャリッジ17における第2副支持部32の一部に当接して同第2副支持部32を下方から支持する第2当接面63bが形成されている。また、第2カム部材63における用紙Pの搬送方向Y側と反対側の面には、階段状の第2カム部64が設けられている。なお、第2カム部64は、第1カム部54と同様に4つの段部64aが互いに傾斜部64bを介して連なるように設けられている。
図6(b)に示すように、第2カム機構60における第2スライド部材40は、キャリッジ17の移動方向Xを長手方向として延在するとともに、その長手方向の延在部分の上面には第2カム部材63の第2カム部64と接触する接触部61cが複数(ここでは2つ)設けられている。また、延在部分の下面側(−Z方向側)には、既述したように、第2ガイドレール21におけるガイド部34の上面34Aに対して摺動する摺動部40Aが形成されている。さらに、第2スライド部材40における用紙Pの搬送方向Y側とは反対側の面には、第2スライド部材40に対するキャリッジ17の第2副支持部32の上下方向への相対変位を許容しつつ、第2スライド部材40のキャリッジ17に対する移動方向Xに沿う相対変位を規制する規制ピン61pが設けられている。
従って、第2カム機構60では、カム連動機構90によって第2カム部材63がスライド移動することによって、第2スライド部材40の接触部61cが第2カム部64において接触する位置が移動し、移動した接触位置に応じて第2スライド部材40に対して第2カム部材63が相対的に上下方向へ変位する。そして、第2カム部材63の第2当接面63bに支持されたキャリッジ17の第2副支持部32が、第2カム部材63の変位に伴い一緒に上下方向へ変位することによって、液体噴射ヘッド18と支持面16aとの対向する方向での間隔PGが規定される。また、第2スライド部材40に対して第2カム部材63がスライド移動する際に、接触部61cが傾斜部64bを移動することによって間隔PGが変化する。
この間隔PGの変化において、カム連動機構90は、第1カム機構50によるキャリッジ17の第1副支持部31の上下方向の変位と、第2カム機構60によるキャリッジ17の第2副支持部32の上下方向の変位とが同期するように、第1カム部材53のスライド移動を第2カム部材63のスライド移動に伝達する。こうすることによって、第1カム部材53と第2カム部材63が連動して移動するので、キャリッジ17は支持面16aに対して傾きが抑制された状態で変位しながら間隔PGを変化させる。
次に、キャリッジ17及び各スライド部材37,40に形成された摺動部30B,37A,37B,40Aの具体的構成について説明する。なお、各摺動部30B,37A,37B,40Aは、各々の外縁形状が同一であるため、以下では、キャリッジ17の主支持部30の側面30Aに形成された摺動部30Bを代表例にして説明し、それ以外の摺動部37A,37B,40Aについては重複説明を省略する。
図3及び図7に示すように、摺動部30Bは、その輪郭をなす縁部の一部に、キャリッジ17の移動方向Xの一方側(図7では左側)位置で移動方向Xと交差するように延びる一方側縁部71と、移動方向Xの他方側(図7では右側)位置で移動方向Xと交差するように延びる他方側縁部72を有している。一方側縁部71は、キャリッジ17の移動方向Xと交差する鉛直方向Zにおける一端側(図7では上側)となる一端側部位71a及び他端側(図7では下側)となる他端側部位71bの方が中央寄り部位71cよりも移動方向Xの一方側(この場合、左側)に位置する縁形状をしている。すなわち、一方側縁部71は、その一端側部位71aと中央寄り部位71cとを直線状に繋ぐ縁部分及びその他端側部位71bと中央寄り部位71cとを直線状に繋ぐ縁部分が、それぞれ中央寄り部位71cに近づくほど他方側(この場合、右側)に傾く斜状のエッジ縁71e,71fに形成されている。
同様に、他方側縁部72は、キャリッジ17の移動方向Xと交差する鉛直方向Zにおける一端側(図7では上側)となる一端側部位72a及び他端側(図7では下側)となる他端側部位72bの方が中央寄り部位71cよりも移動方向Xの他方側(この場合、右側)に位置する縁形状をしている。すなわち、他方側縁部72は、その一端側部位72aと中央寄り部位72cとを直線状に繋ぐ縁部分及びその他端側部位72bと中央寄り部位72cとを直線状に繋ぐ縁部分が、中央寄り部位72cに近づくほど一方側(この場合、左側)に傾く斜状のエッジ縁72e,72fに形成されている。
また、図7に示すように、液体噴射ヘッド18と支持面16aとの間隔PGが、平均的な間隔PG1からキャリッジ17を鉛直方向Zにおける変位可能限度位置まで変位させたときの間隔PG2に変更された場合でも、摺動部30Bは、その一部が第2ガイド部36との摺動状態を維持するように、間隔調整機構PAJは、間隔調整幅が設定されている。すなわち、間隔PGが平均的な間隔PG1である場合、第2ガイド部36は摺動部30Bに対して図7に一点鎖線で示す位置状態となり、摺動部30Bはその全体が第2ガイド部36の幅内に位置する。これに対し、間隔PGが調整可能限度の間隔PG2である場合、第2ガイド部36は摺動部30Bに対して図7に二点鎖線で示す位置状態となり、摺動部30Bは、鉛直方向Zにおける下方側のエッジ縁71f,72fの全体と上方側のエッジ縁71e,72eの一部が中央寄り部位71c,72cと共に第2ガイド部36の幅内に位置する。そのため、間隔PGが調整可能限度の間隔PG2に調整された場合でも、摺動部30Bの一方側縁部71及び他方側縁部72は、一端側部位71a,72a及び他端側部位71b,72bのうち一方の部位(図7では他端側部位71b,72b)と中央寄り部位71c,72cが、グリース41を介在させた第2ガイド部36との摺動状態を維持する。
次に、上記のように構成されたプリンター11の作用について、特にキャリッジ17が移動方向Xに移動した場合における摺動部30B,37A,37B,40Aの作用に着目して説明する。
さて、第1ガイドレール20及び第2ガイドレール21の各ガイド部34,35,36において被摺動部として機能する各面34A,35A,36A,36Bにグリース41が塗布された状態において、キャリッジ17が移動方向Xに移動すると、各摺動部30B,37A,37B,40Aがグリース41の塗布領域に対して摺動する。この場合、各摺動部30B,37A,37B,40Aは、各ガイド部34,35,36の各面34A,35A,36A,36Bに塗布されているグリース41を、移動方向Xの前側に向かって押しながらキャリッジ17と一体的に移動する。以下、各摺動部30B,37A,37B,40Aのうち、キャリッジ17の主支持部30の側面30Aに形成された摺動部30Bを代表例にして説明する。
いま図7に示す状態において、キャリッジ17が移動方向Xの一方側(図7では左側)に移動した場合、摺動部30Bは、この場合の進行方向の前側に位置する一方側縁部71が、第2ガイド部36の第2面36B上に塗布されているグリース41を押し広げながらキャリッジ17の移動方向Xに進行する。そして、この場合において、一方側縁部71の一端側部位71aと他端側部位71bとの間となる領域に介在するグリース41は、一端側部位71a及び他端側部位71bから中央寄り部位71cに向かって斜状をなすエッジ縁部分により中央寄りに案内されて、中央寄り部位71cの近辺に掻き集められる。そのため、第2ガイド部36の第2面36Bと摺動部30Bとの間には、その掻き集められたグリース41による油分が確保される。
その一方、図7に示す状態において、キャリッジ17が移動方向Xの他方側(図7では右側)に移動した場合、摺動部30Bは、この場合の進行方向の前側に位置する他方側縁部72が第2ガイド部36の第2面36Bに塗布されているグリース41を押し広げながらキャリッジ17の移動方向Xに進行する。そして、この場合において、他方側縁部72の一端側部位72aと他端側部位72bとの間となる領域に介在するグリース41は、一端側部位72a及び他端側部位72bから中央寄り部位72cに向かって斜状をなすエッジ縁部分により中央寄りに案内されて、中央寄り部位72cの近辺に掻き集められる。そのため、この場合にも、第2ガイド部36の第2面36Bと摺動部30Bとの間には、その掻き集められたグリース41による油分が確保される。
さらに、間隔調整機構PAJにより液体噴射ヘッド18と支持面16aとの間隔PGが調整可能限度の間隔PG2に調整された場合、摺動部30Bの一方側縁部71及び他方側縁部72は、一端側部位71a,72a及び他端側部位71b,72bのうち何れか一方(図7では一端側部位71a,72a)が第2ガイド部36から離間する虞がある。しかし、そのような場合でも、他方の部位(図7では他端側部位71b,72b)と中央寄り部位71c,72cは、第2ガイド部36との摺動状態が維持される。
例えば、キャリッジ17が間隔調整時に上方限度位置まで変位した場合、摺動部30Bは、その一方側縁部71及び他方側縁部72における下方側のエッジ縁71f,72fの全体と上方側のエッジ縁71e,72eの約下半分が中央寄り部位71c,72cと共に第2ガイド部36と摺動可能な位置となる。そして、その逆に、キャリッジ17が間隔調整時に下方限度位置まで変位した場合、摺動部30Bは、その一方側縁部71及び他方側縁部72における上方側のエッジ縁71e,72eの全体と下方側のエッジ縁71f,72fの約上半分が中央寄り部位71c,72cと共に第2ガイド部36と摺動可能な位置となる。
そのため、少なくとも他方の部位(この場合、他端側部位71b,72b)と中央寄り部位71c,72cとの間となる領域に介在するグリース41は、他方の部位(他端側部位71b,72b)から中央寄り部位71c,72cに向かって斜状をなすエッジ縁部分により、中央寄りに案内されて中央寄り部位71c,72cの近辺に掻き集められる。そのため、この場合にも、第2ガイド部36の第2面36Bと摺動部30Bとの間には掻き集められたグリース41による油分が確保される。
本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)ガイドレール20,21の各ガイド部34,35,36の表面にグリース41が塗布されている場合において、キャリッジ17が移動方向Xの一方側及び他方側の何れの方向に移動したときでも、摺動部30B,37A,37B,40Aによりグリース41を掻き集めることが可能である。すなわち、摺動部における一方側縁部71及び他方側縁部72の何れかが、その縁部における一端側部位71a,72aと他端側部位71b,72bとの間の中央寄り部位71c,72cの近辺にグリース41を集めることができる。したがって、キャリッジ17の移動時に摺動するガイド部34,35,36と摺動部30B,37A,37B,40Aとの間の油分を確保することにより、ガイド部34,35,36や摺動部30B,37A,37B,40Aの摩耗を抑制することができる。
(2)間隔調整機構PAJにより支持面16aと液体噴射ヘッド18との間隔PGが調整され、支持面16aと液体噴射ヘッド18とが対向する方向においてキャリッジ17がその変位可能とされる限度位置まで変位したときでも、摺動部の各縁部71,72における中央寄り部位71c,72cの近辺にグリースを集めることができる。したがって、その油分によってガイド部34,35,36や摺動部30B,37A,37B,40Aの摩耗を抑制することができる。
(3)間隔調整機構PAJによる間隔調整に伴い、キャリッジ17が上方限度位置又は下方限度位置に変位した場合でも、摺動部30B,37A,37B,40Aの各縁部71,72における中央寄り部位71c,72cの近辺に鉛直方向Zの一端側及び他端側の両方からグリース41を集めることができる。
(4)一般に、垂直方向に沿うガイド部36と摺動部30B,37Bとの間に介在するグリース41は重力の影響で下方へ流出する可能性が高いものの、そのような箇所に塗布されるグリース41の量を相対的に多くしたことにより、長期間に亘って垂直方向に沿うガイド部36と摺動部30B,37Bとの間の油分の確保を担保することができる。
なお、上記実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・図8及び図9に示す第1変形例のように、摺動部30Bの一方側縁部71及び他方側縁部72のうち少なくとも一方の縁部における一端側部位71a,72a及び他端側部位71b,72bと中央寄り部位71c,72cとの間にキャリッジ17の側面30Aから陥没する凹部73を設けてもよい。この構成によれば、キャリッジ17の移動に伴い摺動部30Bの一方側縁部71及び他方側縁部72により第2ガイド部36の表面から掻き集められたグリース41が凹部73内に溜まるので、そのように凹部73内に溜まったグリース41によりガイド部36と摺動部30Bとの間の油分の確保を担保することができる。
・図10に示す第2変形例のように、摺動部は、キャリッジ17の移動方向Xにおいて当該移動方向Xと交差する方向に延びる溝部74を挟んで隣り合うように設けられた複数(この場合2つ)の摺動部75,76により構成されていてもよい。この構成によれば、キャリッジ17の移動方向Xで隣り合う両摺動部75,76間の溝部74に流入して滞留するグリース41により、ガイド部36と摺動部75,76との間の油分を確保することができる。
・図11に示す第3変形例のように、摺動部は、キャリッジ17の移動方向Xにおける一方側縁部71と他方側縁部72との間に周囲が環状縁部77で囲まれた凹部78を有する摺動部79であってもよい。この構成によれば、摺動部79は環状縁部77で囲まれた凹部78をグリース溜まりとして活用することができるので、この点でも、ガイド部36と摺動部79との間の油分を確保することができる。
・図12に示す第4変形例のように、摺動部は、キャリッジ17の移動方向Xと直交する方向において隣接する複数(この場合2つ)の円形隆起部81a,81bからなる摺動部81であってもよい。この場合でも、摺動部81は、実施形態の摺動部(例えば摺動部30B)の場合と同様構成の一方側縁部71と他方側縁部72を有しているため、同様の効果を得ることができる。
・図13に示す第5変形例のように、摺動部は、キャリッジ17の移動方向Xと直交する方向に隙間をおいて隣り合う複数(この場合2つ)の円形隆起部82a,82bからなる摺動部82であってもよい。この場合でも、摺動部82は、実施形態の摺動部(例えば摺動部30B)の場合と同様構成の一方側縁部71と他方側縁部72を有しているため、同様の効果を得ることができる。
・図14に示す第6変形例のように、摺動部は、キャリッジ17の移動方向Xと直交する方向に隙間をおいて隣り合う複数(この場合2つ)の多角形状(この場合、三角形状)の隆起部83a,83bからなる摺動部83であってもよい。この場合でも、摺動部83は、実施形態の摺動部(例えば摺動部30B)の場合と同様構成の一方側縁部71と他方側縁部72を有しているため、同様の効果を得ることができる。
・図15に示すように、ガイドレール20(21)の長手方向における両端部20a,20b(21a,21b)の近傍部位80a,80bに、他の部位よりもグリースを多量に塗布してもよい。この場合、キャリッジ17が移動方向Xに移動したとき、ガイドレール20(21)の両端部20a,20b(21a,21b)において、キャリッジ17の摺動部30Bに付着している磨耗粉を、両端部20a,20b(21a,21b)の近傍部位80a,80bでグリース内に取り込むことができる。
・垂直摺動部である摺動部30B,37Bと被摺動部であるガイド部36の垂直方向に沿う面36A,36Bとの間に介在されるグリースの量は、必ずしも、水平摺動部である摺動部37A,40Aと被摺動部であるガイド部34,35の水平方向に沿う面34A,35Aとの間に介在されるグリースの量よりも多くなくてよい。
・図8に二点鎖線で示すように、グリース溜まりとなる凹部73は、一方側縁部71の側でなく、他方側縁部72の側に設けてもよい。また、図11に二点鎖線で示すように、一方側縁部71の側及び他方側縁部72の側にそれぞれ設けてもよい。
・グリース溜まりとなる凹部73,78及び溝部74の形状は、実施形態の形状以外に、例えば円形などに形状変更可能である。
・摺動部30B,37A,37B,40Aにおける一方側縁部71及び他方側縁部72の縁形状は、一端側部位71a,72a及び他端側部位71b,72bの方が中央寄り部位71c,72cよりもキャリッジ17が移動した際に移動方向の前側に位置する縁形状ならば、中央寄り部位を底部とする半円の円弧形状であってもよい。
・上記実施形態では、記録装置を、インクを噴射する液体噴射ヘッド18を有するプリンター11に具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置に具体化してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置がある。あるいは、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
11…記録装置の一例としてのプリンター、16…支持部の一例としての支持台、16a…支持面、17…移動体の一例としてのキャリッジ、18…記録部の一例としての液体噴射ヘッド、30B,37A,37B,40A…摺動部、34,35,36…ガイド部、34A,35A,36A,36B…面、41…グリース、71…一方側縁部、71a,72a…一端側部位、71b,72b…他端側部位、71c,72c…中央寄り部位、72…他方側縁部、73…凹部、74…溝部、75,76…摺動部、77…環状縁部、78…凹部、79,81,82,83…摺動部、P…媒体の一例としての用紙、PG,PG1,PG2…間隔、PAJ…間隔調整部の一例としての間隔調整機構。

Claims (6)

  1. 媒体に対して記録を行う記録部と、
    前記記録部を搭載し、前記媒体に対する主走査方向に往復移動する移動体と、
    前記主走査方向に延設されて前記移動体の前記主走査方向への移動をガイドするガイド部と、
    前記移動体と一体的に移動するように設けられ、その移動体の移動時に、潤滑剤が塗布された前記ガイド部に対して摺動する摺動部と、
    を備え、
    前記摺動部は、前記主走査方向の一方側位置で前記主走査方向と交差するように延びる一方側縁部および前記主走査方向の他方側位置で前記主走査方向と交差するように延びる他方側縁部を有し、
    前記一方側縁部は、前記主走査方向と交差する方向における一端側部位及び他端側部位の方が中央寄り部位よりも前記主走査方向の一方側に位置する一方、
    前記他方側縁部は、前記主走査方向と交差する方向における一端側部位及び他端側部位の方が中央寄り部位よりも前記主走査方向の他方側に位置し、
    前記移動体の側面には、前記摺動部の前記一方側縁部及び前記他方側縁部のうち少なくとも一方の縁部における前記一端側部位及び前記他端側部位と前記中央寄り部位に沿って、前記側面に対して陥没した凹部が設けられている
    ことを特徴とする記録装置。
  2. 媒体に対して記録を行う記録部と、
    前記記録部を搭載し、前記媒体に対する主走査方向に往復移動する移動体と、
    前記主走査方向に延設されて前記移動体の前記主走査方向への移動をガイドするガイド部と、
    前記移動体と一体的に移動するように設けられ、その移動体の移動時に、潤滑剤が塗布された前記ガイド部に対して摺動する摺動部と、
    を備え、
    前記摺動部は、前記主走査方向の一方側位置で前記主走査方向と交差するように延びる一方側縁部および前記主走査方向の他方側位置で前記主走査方向と交差するように延びる他方側縁部を有し、
    前記一方側縁部は、前記主走査方向と交差する方向における一端側部位及び他端側部位の方が中央寄り部位よりも前記主走査方向の一方側に位置する一方、
    前記他方側縁部は、前記主走査方向と交差する方向における一端側部位及び他端側部位の方が中央寄り部位よりも前記主走査方向の他方側に位置し、
    前記摺動部は、前記主走査方向における前記一方側縁部と前記他方側縁部との間に周囲が環状縁部で囲まれた凹部を有する
    ことを特徴とする記録装置。
  3. 前記媒体を前記記録部と対向する状態に支持可能な支持面を有する支持部と、
    前記支持面と前記記録部とが対向する方向において前記移動体を変位させることにより前記支持面と前記記録部との間隔を調整可能な間隔調整部と、
    を更に備え、
    前記摺動部の前記各縁部は、前記移動体が前記間隔調整部による前記間隔の調整に伴い前記支持面と前記記録部とが対向する方向における変位可能限度位置まで変位した状態において、前記一端側部位及び前記他端側部位のうち少なくとも一方の部位と前記中央寄り部位とが前記ガイド部に対する摺動可能状態を維持する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の記録装置。
  4. 前記移動体が前記間隔調整部による間隔調整に伴い鉛直方向に変位する場合において、
    前記移動体が上方限度位置まで変位した場合、前記摺動部の前記各縁部は、前記一端側部位及び前記他端側部位のうち上方側に位置する部位と前記中央寄り部位とを繋ぐ縁部分の少なくとも一部が前記ガイド部との摺動可能な位置状態を維持し、
    前記移動体が下方限度位置まで変位した場合、前記摺動部の前記各縁部は、前記一端側部位及び前記他端側部位のうち下方側に位置する部位と前記中央寄り部位とを繋ぐ縁部分の少なくとも一部が前記ガイド部との摺動可能な位置状態を維持する
    ことを特徴とする請求項に記載の記録装置。
  5. 前記摺動部は、前記主走査方向において当該主走査方向と交差する方向に延びる溝部を挟んで隣り合うように設けられた複数の摺動部により構成されている
    ことを特徴とする請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の記録装置。
  6. 前記摺動部は、前記ガイド部に対して垂直な面で摺動する垂直摺動部と、前記ガイド部に対して水平な面で摺動する水平摺動部とを含み、前記各摺動部と前記ガイド部との間に前記潤滑剤を塗布する場合、前記水平摺動部と前記ガイド部との間の潤滑剤塗布量よりも前記垂直摺動部と前記ガイド部との間の潤滑剤塗布量の方が多い
    ことを特徴とする請求項1〜請求項のうち何れか一項に記載の記録装置。
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