JP6144185B2 - 燃料噴射ノズル - Google Patents
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Description
近年、この燃料噴射ノズルを開弁駆動または閉弁駆動する所定のアクチュエータとしてピエゾアクチュエータを用いるものが公知となっている(例えば、特許文献1参照。)。
そして、シート部がシート位置に着座した閉弁状態において、燃料通路の燃料は、シート部の外周側でニードルに対し開弁方向に燃料圧を及ぼし、燃料通路の背圧室に分流する位置より燃料の流れ下流側に燃料通路の流路断面積を狭くする絞りを設けている(以下、絞りの燃料流れ下流側の燃料通路の燃料がニードルに対して開弁方向に及ぼす燃料圧をノズル圧と呼ぶことがある。)。
また、燃料噴射ノズルは、シート部がシート位置から離座し、ニードルのシート部の内周側に燃料が入り込む開弁状態のときに燃料通路の燃料がニードルを開弁方向に付勢する受圧面積が増加する。そして、開弁状態のときに燃料通路の燃料がニードルを開弁方向に付勢する力と、閉弁状態のときに燃料通路の燃料がニードルを開弁方向に付勢する力とが等しい。
このため、付勢手段の付勢力を絞りのない場合より小さくしても確実に閉弁することができるので、ピエゾアクチュエータの大型化を抑制することができる。
この結果、燃料通路の燃料圧を高めても、ピエゾアクチュエータの大型化を抑制することができる。
さらに、開弁状態のときに燃料通路の燃料がニードルを開弁方向に付勢する力と、閉弁状態のときに燃料通路の燃料がニードルを開弁方向に付勢する力とが等しいため、開弁して受圧面積がシート部内周側に拡大してもノズル圧による付勢力が閉弁状態から増加しないため、付勢手段の付勢力をより小さくしても閉弁することができる。
これにより、閉弁状態のときには、ニードルに作用する力のバランスに関してノズル圧の付勢力と背圧の付勢力とが等しくなる。
このため、ピエゾアクチュエータは、付勢手段の付勢力のみに抗して開弁方向にニードルを駆動すればよく、ピエゾアクチュエータの大型化を抑制することができる。
これにより、燃料の噴射量が少ない場合であっても、付勢手段の付勢力によって確実に閉弁できる圧力差を絞りの上下流側で確保できる。
実施例1の燃料噴射ノズル1(以下、ノズル1と呼ぶ。)の構成を、図1、2を用いて説明する。
ノズル1は、開弁して燃料を噴射するものであり、ノズル1を開弁駆動または閉弁駆動するピエゾアクチュエータ2とともに燃料噴射弁を構成する。そして、燃料噴射弁は、例えば、内燃機関(図示せず。)に搭載され、250MPaを超える高圧の燃料を気筒内に直接噴射するために用いられる。
なお、ボディ3は軸方向一端側から第1ボディ3a、第2ボディ3b、第3ボディ3cおよび第4ボディ3dをこの順に接続することで形成されている。
第1ボディ3aの内周は、軸方向に長い円筒状をなし先端が閉じられている。また、第1ボディ3aの内周の一部は、局部的に径方向に拡大され、噴射すべき燃料が一時的に溜まる燃料溜まり7をなす。なお、燃料溜まり7は燃料通路6の一部を構成している。
そして、第2ボディの内周の摺動孔10と摺動孔12の間は、摺動孔10と同径であり、後述する付勢手段であるスプリング15を収容するスプリング室16をなしている。
まず、シート位置20は、第1ボディ3aの軸方向一端近傍の内壁の一部であり、軸方向一端部4eに設けられたシート部21が離着する。
ここで、軸方向一端部4eの外周面は、3つの異なる円錐面22a、22b、22cが軸方向一端から軸方向他端側に同軸に連続するものであり、円錐面22a〜22cは、それぞれの母線と第1ニードル4aの軸αとの間に形成される角度が軸方向一端側ほど大きくなっている。そして、円錐面22a、22b同士の交線23a、および円錐面22b、22c同士の交線23bは軸αに垂直な円であり、交線23bがシート部21として機能し、シート位置20は円形である。
そして、シート部21がシート位置20に着座することにより、燃料が遮断され、噴孔5からの燃料の噴射が停止する。
ピエゾアクチュエータ2は、印加される電圧に応じて軸方向に伸長するものであり、電圧変化に対する応答性が良いという利点があるが、出力を増大させにくく、出力増大のため大型化するとコストが大幅に上昇するという問題もある。
そして、軸方向一端側に板状体34が接続固定されている。よって、板状体34は、ピエゾアクチュエータ2の軸方向の伸長に伴って軸方向に移動する。
なお、加圧室42と圧力制御室11とは連通路44を介して連通している。
このため、加圧室42は、収容室31との差圧がなくなるように低圧燃料で満たされている。なお、加圧室42と圧力制御室11は、連通路44を介して連通しているため、圧力制御室11内も低圧燃料で満たされている。
よって、圧力制御室11、スプリング室16および加圧室42は、それぞれ概ね等しい圧力の低圧燃料で満たされている状態となっている。
ピエゾアクチュエータ2は、ECU等(図示せず。)により制御され、電圧が印加されると軸方向一端側に伸長する。そして、軸方向一端側に接続された板状体34も軸方向一端側に移動する。そして板状体34は連通路47を閉塞するとともに、ピストン40を板ばね43の付勢力に抗して軸方向一端側に押圧する。
この際、逆止弁48により加圧室42から収容室31への燃料の流出が規制されるため、加圧室42、連通路44および圧力制御室11の圧力が増加し、圧力制御室11とスプリング室16との間で圧力差が生じる。そして、この圧力差により第2ニードル4bを軸方向他端側に付勢する付勢力が生じる。
よって、ニードル4を軸方向一端側に付勢する背圧による付勢力とスプリング15による付勢力の総和を、ニードル4を軸方向他端側に付勢する燃料通路の燃料圧による付勢力と圧力制御室11とスプリング室16との間の圧力差による付勢力の総和が上回った場合、シート部21がシート位置20から離座する。
そして、ピエゾアクチュエータ2の電圧印加が解かれた際は、ピエゾアクチュエータ2は元の長さに戻り、板ばね43の付勢力で加圧室42も元の状態に戻る。
ノズル1は、燃料通路6の背圧室13に分流する位置より燃料の流れ下流側に燃料通路6の流路断面積を狭くする絞り50が設けられている。
そして、ノズル1は、閉弁状態のときに、燃料通路6の燃料がニードル4を開弁方向に付勢する受圧面積S1と背圧室13の燃料がニードル4を閉弁方向に付勢する受圧面積S2とが等しくなっている。
すなわち、閉弁状態の時の絞り50の燃料流れ下流側の燃料通路の燃料圧をP1、開弁状態の時の絞り50の燃料流れ下流側の燃料通路の燃料圧をP1’とすると
P1×S1=P1’×S1’
の関係が成り立っている。
ノズル1は、燃料通路6の背圧室13に分流する位置より燃料の流れ下流側に燃料通路6の流路断面積を狭くする絞り50が設けられている。
これにより、シート部21がシート位置20から離座しシート部21の内周側に燃料が入り込む開弁状態において、絞り50の燃料の流れ上流側よりも下流側の燃料圧が低下するので、開弁状態においてノズル圧(絞り50の燃料流れ下流側の燃料通路6の燃料がニードル4に対して開弁方向に及ぼす燃料圧)の付勢力が絞りのない場合よりも減少する。
この結果、燃料通路6の燃料圧を高めても、ピエゾアクチュエータ2の大型化を抑制することができる。
これにより、閉弁状態のときには、ニードル4に作用する力のバランスに関してノズル圧の付勢力と背圧の付勢力とが等しくなる。
このため、ピエゾアクチュエータ2は、スプリング15の付勢力のみに抗して開弁方向にニードル4を駆動すればよく、ピエゾアクチュエータ2の大型化を抑制することができる。
これにより、開弁して受圧面積がシート部21内周側に拡大してもノズル圧による付勢力が閉弁状態から増加しないため、スプリング15の付勢力をより小さくしても閉弁することができるため、ピエゾアクチュエータ2の大型化をより抑制することができる。
実施例2のノズル1によれば、図3に示すように、絞り50の燃料の流れ上流側の燃料の圧力と絞り50の燃料の流れ下流側の燃料の圧力の許容される最小圧力差をPm(N/m2)、燃料の体積弾性率をK(N/m2)、開弁状態から閉弁状態までに噴孔5から噴射される燃料の最小噴射量をVm(mm3)とすると、開弁状態において、燃料通路6の絞り50の燃料の流れ方向下流側と噴孔5との間の容積Vが(K・Vm)/Pm(mm3)以下となっている。
Pm=30×106(N/m2)
Vm=3(mm3)
とした場合、容積Vは149(mm3)=0.149(cc)となる。
これにより、燃料の噴射量が少ない場合であっても、スプリング15の付勢力によって確実に閉弁できる圧力差を絞り50の上下流側で確保できる。
4 ニードル 5 噴孔 6 燃料通路 13 背圧室 15スプリング(付勢手段)
20 シート位置 21シート部 50絞り
Claims (3)
- 燃料を噴射する燃料噴射ノズル(1)において、
噴孔(5)およびこの噴孔(5)に所定の燃料供給源から供給された燃料を導く燃料通路(6)を有する円筒状のボディ(3)と、
前記ボディ(3)の内周に軸方向に移動可能に収容され、前記ボディ(3)のシート位置(20)に離着座する円状のシート部(21)を有するニードル(4)と、
前記シート部(21)が前記シート位置(20)に着座する閉弁方向に前記ニードル(4)を付勢する付勢手段(15)と、
前記燃料通路(6)に連通し、前記ニードル(4)に背圧を及ぼす燃料が流出入する背圧室(13)と、
前記シート部(21)が前記シート位置(20)から離座する開弁方向に前記ニードル(4)を駆動する力を発生するピエゾアクチュエータ(2)とを備え、
前記シート部(21)が前記シート位置(20)に着座した閉弁状態において、前記燃料通路(6)の燃料は、前記シート部(21)の外周側で前記ニードル(4)に対し前記開弁方向に燃料圧を及ぼし、
前記燃料通路(6)の前記背圧室(13)に分流する位置より燃料の流れ下流側に前記燃料通路(6)の流路断面積を狭くする絞り(50)を設け、
前記シート部(21)が前記シート位置(20)から離座し、前記ニードル(4)の前記シート部(21)の内周側に燃料が入り込む開弁状態のときに前記燃料通路(6)の燃料が前記ニードル(4)を前記開弁方向に付勢する受圧面積が増加し、
前記開弁状態のときに前記燃料通路(6)の燃料が前記ニードル(4)を前記開弁方向に付勢する力と、前記閉弁状態のときに前記燃料通路(6)の燃料が前記ニードル(4)を前記開弁方向に付勢する力とが等しいことを特徴とする燃料噴射ノズル(1)。 - 請求項1に記載の燃料噴射ノズル(1)において、
前記閉弁状態のときに、前記燃料通路(6)の燃料が前記ニードル(4)を前記開弁方向に付勢する受圧面積(S1)と前記背圧室(13)の燃料が前記ニードルを前記閉弁方向に付勢する受圧面積(S2)とが等しいことを特徴とする燃料噴射ノズル(1)。 - 請求項1または請求項2に記載の燃料噴射ノズル(1)において、
前記絞り(50)の燃料の流れ上流側の燃料の圧力と前記絞りの燃料の流れ下流側の燃料の圧力の許容される最小圧力差をPm(N/m 2 )、燃料の体積弾性率をK(N/m 2 )、前記開弁状態から前記閉弁状態までに前記噴孔(5)から噴射される燃料の最小噴射量をVm(mm 3 )とすると、
前記開弁状態において、前記燃料通路(6)の前記絞り(50)の燃料の流れ方向下流側と前記噴孔(5)との間の容積(V)が(K・Vm)/Pm(mm 3 )以下となることを特徴とする燃料噴射ノズル(1)。
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