JP4297879B2 - インジェクタ - Google Patents
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Description
また、上記の対応策として、ピエゾピストン170の断面積をピエゾアクチュエータの断面積より小さくして、ピエゾアクチュエータに作用する力を小さくする方法が考えられる。しかしながら、この方法では、油圧室160の作動油の圧縮性によって伝達ロスが大きくなり、ニードル100のリフト量が低下するため、圧送量を増加させるためには、大きなピエゾアクチュエータが必要となる。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、アクチュエータを小型化して、インジェクタの体格を小さくすることにある。
本発明は、燃料を噴射するための噴孔を有するボディと、このボディの内部に挿入されるニードルピストンを有し、このニードルピストンと一体にボディの内部を往復動可能に設けられた弁ユニットと、この弁ユニットを閉弁方向に付勢するスプリングと、ニードルピストンの一端側に低圧が導入される低圧室と、ニードルピストンの他端側に低圧の制御油圧が導入される制御室と、この制御室とボディの内部に形成される低圧空間とを連通する連通路と、この連通路に設けられ、制御室の制御油圧が連通路を通って低圧空間へ流出することを防止する逆止弁と、制御室の制御油圧を制御する油圧制御手段とを備えるインジェクタであって、弁ユニットは、ニードルピストンの一端側に連結されるバランスピストンと、ニードルピストンの他端側に連結されるニードルとを有し、バランスピストンの一端面に高圧が作用して閉弁方向に付勢されると共に、バランスピストンの断面積が、ニードルの断面積より小さく設けられ、油圧制御手段は、ボディの内部に往復動可能に挿入される制御ピストンと、制御室に連通すると共に、制御ピストンの変位に応じて油圧が増減する油密室と、制御ピストンを駆動するピエゾアクチュエータとを備え、逆止弁は、制御ピストンに組み込まれていることを特徴とする。
また、制御ピストンを駆動する手段としてピエゾアクチュエータを用いることで、制御指令に対して応答性に優れたインジェクタを提供できると共に、バランスピストンの断面積をニードルの断面積より小さくして、弁ユニットに働く閉弁力を小さくすることで、ピエゾアクチュエータを小型化でき、延いてはインジェクタの体格を小さくできる。
さらに、制御室には、作動油である燃料が満たされているが、その制御室の燃料が、ニードルピストンとボディとの摺動隙間からリークする恐れがある。これに対し、制御室と低圧空間とを連通する連通路に逆止弁を設けることにより、制御室の燃料がリークした場合に、逆止弁を開いて低圧空間から制御室に燃料を補充することができ、且つ、その逆止弁を制御ピストンに組み込むことで、逆止弁の配置スペースを新たに設ける必要がないので、インジェクタの小型化に寄与できる。
請求項1に記載したインジェクタにおいて、ニードルピストンの断面積をSa、バランスピストンの断面積をSb、ニードルの断面積をSn、ニードルが閉弁した時のシート内側の断面積をSs、制御室の制御油圧をPa、低圧室の低圧をPb、弁ユニットに作用する高圧をPc、スプリングの荷重をFbとした時に、
請求項1または2に記載したインジェクタにおいて、低圧空間からボディの外部に通じる低圧通路を有すると共に、低圧空間の圧力を大気圧より高く保つための圧力調整弁が低圧通路に設けられていることを特徴とする。
この場合、圧力調整弁によって低圧空間の圧力を大気圧より高く保つことができるので、制御室の燃料がリークした場合に、低圧空間が大気に開放されている場合と比較して、低圧空間から制御室への燃料補充を早期に行うことができる。
請求項1〜3に記載した何れかのインジェクタにおいて、ボディには、制御室に通じるガイド孔が形成され、このガイド孔にニードルが摺動自在に挿入されており、ガイド孔の内周面に環状溝が凹設され、この環状溝がボディの内部に形成される低圧空間に連通していることを特徴とする。
これに対し、ガイド孔の内周面に環状溝を設けて、その環状溝をボディの内部に形成される低圧空間に連通させることにより、ガイド孔とニードルとの摺動隙間に流れ込んだ高圧燃料を環状溝から低圧空間へリークさせることができる。その結果、高圧燃料が制御室に流入することを防止できる。
請求項1〜4に記載した何れかのインジェクタにおいて、ニードルピストンは、低圧室側が凹形状に設けられ、この凹形状の内側空間にバランスピストンおよびスプリングが収納されていることを特徴とする。
この構成によれば、ニードルピストンとバランスピストンおよびスプリングとを軸方向に突き合わせて配置する必要がないため、インジェクタの全長を短くできる。
実施例1に示すインジェクタ1は、例えば、ディーゼル機関用の蓄圧式燃料噴射システムに用いられ、コモンレール(図示せず)より供給される高圧燃料をディーゼル機関の筒内に噴射する燃料噴射弁であり、以下に説明するノズル部と油圧制御部とを備える。
a)ノズル部は、ボディの内部に往復動可能に収納される弁ユニットを有する。
なお、ボディは、図1に示す上側から順に、ピエゾボディ2、第1中間ボディ3、第2中間ボディ4、ノズルボディ5の4部品に分割して設けられ、全体がリテーニングナット6によって固定されている。
ニードル7は、燃料の噴射および噴射終了に係わる周知の部品であり、大径部7aと小径部7bとを有する段付き状に設けられ、ノズルボディ5の内部に形成されたガイド孔10に挿入されている。
なお、高圧通路22は、ピエゾボディ2と第1中間ボディ3および第2中間ボディ4に連続して形成され、ノズルボディ5に形成された燃料通路11に接続されている。
ピストン室には、制御ピストン23の下側に油密室25が形成され、この油密室25が連通路26を介して前記下部室19に連通している。油密室25と下部室19および連通路26は、閉ざされた空間(以下、閉空間と呼ぶ)を形成しており、その閉空間に作動油である低圧燃料が満たされている。
制御ピストン23は、油密室25に配設される皿ばね27によって図示上方(油密室25の容積を拡大する方向)へ付勢され、ピエゾアクチュエータ24の下端部に押圧されている。
なお、ピエゾ室17を形成するピエゾボディ2には、例えば、燃料タンクに通じるドレン通路30が形成され、このドレン通路30にピエゾ室17が連通している。
駆動回路を介してピエゾアクチュエータ24に通電され、ピエゾアクチュエータ24に変位が発生(伸張)すると、その変位が制御ピストン23に伝達され、制御ピストン23がピストン室の下方に押し下げられて、油密室25の燃料が加圧される。油密室25は、連通路26および下部室19と共に閉空間を形成しているため、油密室25の燃料が加圧されることで、下部室19の制御油圧が上昇する。その結果、弁ユニットを閉弁方向へ付勢する閉弁力より、開弁方向へ付勢する開弁力の方が上回ると、ニードル7がリフトして、噴孔13よりディーゼル機関の筒内(燃焼室)に燃料が噴射される。
実施例1に記載したインジェクタ1は、ニードルピストン8の上側と下側にそれぞれ低圧が作用しているため、ピエゾアクチュエータ24の初期荷重を小さくできる。また、弁ユニットは、バランスピストン9の外径がニードル7の大径部7aの外径より小さく設定されている。つまり、バランスピストン9の断面積がニードル7の大径部7aの断面積より小さく設けられているので、弁ユニットに働く閉弁力を低減できる。これにより、ニードル7を開弁させる際に、下部室19の制御油圧を加圧するために必要な加圧力を小さくできるので、ピエゾアクチュエータ24を小型化でき、延いてはインジェクタ1の体格を小さくできる。
ニードル7が閉弁状態の時に、弁ユニットに作用する力をF1とすると、そのF1を以下の(数2)にて求めることができる。
Pa:下部室19の制御油圧
Pb:上部室15の低圧
Pc:弁ユニットに作用する高圧
Fb:スプリング18の荷重
Sa:ニードルピストン8の断面積
Sb:バランスピストン9の断面積
Sn:ニードル7の大径部7aの断面積
Ss:ニードル7が閉弁した時のシート内側の断面積
F1>0…………………………………(1)
一方、ニードル7が開弁状態の時に、弁ユニットに作用する力をF2とすると、そのF2を以下の(数3)にて求めることができる。
F2<0…………………………………(2)
上記(1)、(2)式より、バランスピストン9の断面積Sbの設定範囲を以下の(数4)にて求めることができる。
この実施例2に示すインジェクタ1は、ニードルピストン8の形状が実施例1と異なる。具体的には、図3に示す様に、ニードルピストン8の上部室15側を凹形状にして、この凹形状の内側空間にバランスピストン9およびスプリング18を収納した一例である。 この構成によれば、ニードルピストン8とバランスピストン9およびスプリング18とを軸方向に突き合わせて配置する必要がないため、弁ユニットを軸方向(図3の上下方向)に短く構成でき、その結果、インジェクタ1の全長を短縮できる。
また、実施例1および実施例2に記載したインジェクタ1では、バランスピストン9の上側に形成される高圧室20と高圧通路22とを繋ぐ連通路21、またはニードルピストン8の上側に形成される上部室15とピエゾ室17とを繋ぐ連通路16に絞りを配置することで、ニードル7の急峻な動きをダンピングさせる効果を得ることもできる。
この実施例3は、実施例1および実施例2に記載したインジェクタ1のドレン通路30に圧力調整弁31を設けたことを特徴とする。圧力調整弁31は、ピエゾ室17の圧力が大気圧より高い所定の圧力を超えると開弁する。つまり、ピエゾ室17は、圧力調整弁31によって大気圧より高い所定の圧力に保たれている。これにより、閉空間の燃料がリークした場合に、ピエゾ室17が大気に開放されている場合(圧力調整弁31が無い場合)と比較して、逆止弁29の開弁時期が早くなるため、ピエゾ室17から油密室25への燃料補充を早期に行うことができる。
なお、図4に示すインジェクタ1の構成は、実施例1に記載したものであるが、実施例2に記載したインジェクタ1(図3参照)にも同様に圧力調整弁31を適用できる。
この実施例4に示すインジェクタ1は、図5に示す様に、ノズルボディ5に形成されたガイド孔10の内周面に環状溝32が凹設され、この環状溝32がボディ内部の低圧側(例えば、ピエゾ室17)に連通していることを特徴とする。
実施例1に記載したインジェクタ1は、ノズルボディ5の燃料溜め室12から環状の燃料通路14まで高圧燃料が供給されているため、その高圧燃料が、ガイド孔10とニードル7の大径部7aとの摺動隙間を通って下部室19に流入する恐れがある。
なお、図5に示すインジェクタ1の構成は、実施例1に記載したものであるが、実施例4の特徴、つまり、ガイド孔10の内周面に環状溝32を設けて、その環状溝32をボディ内部の低圧側に連通させることは、実施例2に記載したインジェクタ1(図3参照)にも、同様に適用できる。
2 ピエゾボディ(ボディ)
3 第1中間ボディ(ボディ)
4 第2中間ボディ(ボディ)
5 ノズルボディ(ボディ)
7 ニードル(弁ユニット)
8 ニードルピストン(弁ユニット)
9 バランスピストン(弁ユニット)
10 ガイド孔
13 噴孔
15 上部室(低圧室)
17 ピエゾ室(低圧空間)
18 スプリング
19 下部室(制御室)
23 制御ピストン(油圧制御手段)
24 ピエゾアクチュエータ(油圧制御手段)
25 油密室(油圧制御手段)
28 制御ピストンに形成された連通路
29 逆止弁
30 ドレン通路(低圧通路)
31 圧力調整弁
32 環状溝
Claims (5)
- 燃料を噴射するための噴孔を有するボディと、
このボディの内部に挿入されるニードルピストンを有し、このニードルピストンと一体に前記ボディの内部を往復動可能に設けられた弁ユニットと、
この弁ユニットを閉弁方向に付勢するスプリングと、
前記ニードルピストンの一端側に低圧が導入される低圧室と、
前記ニードルピストンの他端側に低圧の制御油圧が導入される制御室と、
この制御室と前記ボディの内部に形成される低圧空間とを連通する連通路と、
この連通路に設けられ、前記制御室の制御油圧が前記連通路を通って前記低圧空間へ流出することを防止する逆止弁と、
前記制御室の制御油圧を制御する油圧制御手段とを備え、
前記油圧制御手段により前記制御室の制御油圧が増大されて、前記弁ユニットを閉弁方向へ付勢する閉弁力より、開弁方向へ付勢する開弁力の方が上回ると、前記弁ユニットが開弁して前記噴孔より燃料が噴射されるインジェクタであって、
前記弁ユニットは、前記ニードルピストンの一端側に連結されるバランスピストンと、前記ニードルピストンの他端側に連結されるニードルとを有し、前記バランスピストンの一端面に高圧が作用して閉弁方向に付勢されると共に、前記バランスピストンの断面積が、前記ニードルの断面積より小さく設けられ、
前記油圧制御手段は、前記ボディの内部に往復動可能に挿入される制御ピストンと、前記制御室に連通すると共に、前記制御ピストンの変位に応じて油圧が増減する油密室と、前記制御ピストンを駆動するピエゾアクチュエータとを備え、
前記逆止弁は、前記制御ピストンに組み込まれていることを特徴とするインジェクタ。 - 請求項1または2に記載したインジェクタにおいて、
前記低圧空間から前記ボディの外部に通じる低圧通路を有すると共に、前記低圧空間の圧力を大気圧より高く保つための圧力調整弁が前記低圧通路に設けられていることを特徴とするインジェクタ。 - 請求項1〜3に記載した何れかのインジェクタにおいて、
前記ボディには、前記制御室に通じるガイド孔が形成され、このガイド孔に前記ニードルが摺動自在に挿入されており、前記ガイド孔の内周面に環状溝が凹設され、この環状溝が前記ボディの内部に形成される低圧空間に連通していることを特徴とするインジェクタ。 - 請求項1〜4に記載した何れかのインジェクタにおいて、
前記ニードルピストンは、前記低圧室側が凹形状に設けられ、この凹形状の内側空間に前記バランスピストンおよび前記スプリングが収納されていることを特徴とするインジェクタ。
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