JP2006242139A - 燃料供給システム - Google Patents

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Abstract

【課題】変位拡大手段30を備えるインジェクタ2を用いた燃料供給システムにおいて、燃料切れ後のエンジン再始動を、燃料を補填さえすれば簡素な構成で迅速かつ確実に行えるようにする。
【解決手段】少なくともエンジン再始動のためのクランキング動作を行うと、図1および図2における一点鎖線の矢印で示すように、インジェクタ2における高圧通路22内の高圧燃料がバイパス通路61を通じて燃料リターン通路9cに流入し、インジェクタ2のドレン通路23、上部燃料溜まり51から逆止弁53を通じて変位拡大室34内に流入される。これにより即座に、変位拡大室34内の気泡が潰されるか、あるいは変位拡大室34内の空気が燃料と置換されるので、インジェクタ2からの燃料噴射が可能となり、エンジン始動が可能になる。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えばディーゼルエンジン等のエンジンに用いる燃料供給システムに関する。
近年では、ディーゼルエンジンの燃料供給システムとして、コモンレールを使用した蓄圧式燃料噴射システムを用いる傾向にある。
この蓄圧式燃料噴射システムは、サプライポンプにより燃料タンクから燃料を取り出して高圧にしてコモンレール内に蓄積させておき、このコモンレール内の高圧燃料を各インジェクタからエンジンの燃焼室内に噴射させるような構成になっている。
なお、インジェクタに圧送されながら燃焼室へ噴射されなかった燃料は、燃料リターン通路を介して燃料タンクへ戻されるようになっている。
インジェクタは、ノズルニードルをアクチュエータ(動力源)で昇降駆動することにより高圧燃料の噴射を開始または停止するものである。アクチュエータには、例えば圧電素子(または電歪素子)を用いた公知のピエゾアクチュエータ、あるいはソレノイドバルブ等が用いられる。
ピエゾアクチュエータを用いたインジェクタでは、ピエゾアクチュエータの伸縮変位量を拡大してノズルニードルに伝達するニードル駆動装置が必要になる(例えば特許文献1参照。)。
このニードル駆動装置は、ピエゾアクチュエータの伸縮に伴って変位する大径ピストンと、大径ピストンと同軸に並べて配置される小径ピストンと、小径ピストンと大径ピストンとの対向間に設けられかつ燃料が充填されるとともに前記大径ピストンの進退変位量を拡大して小径ピストンに伝達する変位拡大室とを有している。大径ピストンおよび小径ピストンは、インジェクタボディに設けられる異径の段付きシリンダに収納配置されている。
なお、段付きシリンダの上側大径部および下側小径部は、それぞれ燃料リターン通路に連通連結されており、変位拡大室は、大径ピストンと段付きシリンダとの摺動面における僅かなクリアランスおよび小径ピストンと段付きシリンダとの摺動面における僅かなクリアランスを介して前記燃料リターン通路につながっている。そのため、各ピストンの昇降変位動作に伴い変位拡大室内の燃料がリークしたり、燃料リターン通路内の燃料が変位拡大室内に浸入したりするようになっている。
前記インジェクタの動作としては、まず、ピエゾアクチュエータを伸長させると、大径ピストンおよび変位拡大室を介して小径ピストンが下降し、制御バルブを開弁し、ノズルニードルに背圧を与える制御室の圧力が低下し、ノズルニードルが上昇して噴孔から燃料が噴射される。その後、ピエゾアクチュエータを収縮させると、大径ピストンが上昇するのに伴い、小径ピストンが上昇し、制御バルブが閉弁して、燃料噴射が停止される。
このような従来例において、燃料切れが発生すると、インジェクタにおける変位拡大室内に燃料補填が行われなくなって、変位拡大室内に気泡を含む低圧の燃料が流入するため、変位拡大室内に空気が充填されることになる。この状態では、燃料タンクに燃料を補填
しても、変位拡大室内の空気が燃料と置換されるまでの間は、変位拡大室内の空気の存在が原因で大径ピストンから小径ピストンへの動力伝達ができない。そのため、燃料を噴射させるのに必要な動作ができなくなるので、エンジンを再始動できなくなる。つまり、燃料切れを起こすと、燃料を補填しても、直ぐにはエンジンを再始動できない。
ところで、燃料切れによってエンジンが停止した場合に、燃料を補填した後、電磁式燃料ポンプで燃料導入系に燃料を強制的に供給することによって燃料導入系内の空気をエア抜き管路から燃料タンクへ追い出すことにより、燃料切れ後のエンジンの再始動を可能にしたものがある(例えば、特許文献2参照。)。
特開2002−202022号公報 特開平2−61361号公報
上記特許文献2に係る従来例は、燃料導入系に電磁式燃料ポンプおよびエア抜き管路を介装しているので、その設備コストが高くつく他、バッテリ等の蓄電電圧が不十分な場合には電磁式燃料ポンプを駆動することができない等の不便さが指摘される。
しかも、この特許文献2に係る従来例では、インジェクタに、変位拡大室付のニードル駆動装置を備えているとの記載がないので、上記特許文献1に係る従来例における燃料切れに関連した不具合を解消できない。
本発明は、変位拡大室付のニードル駆動装置を備えるインジェクタを用いた燃料供給システムにおいて、燃料切れ後のエンジン再始動を、燃料を補填さえすれば簡素な構成で迅速かつ確実に行えるようにすることを目的としている。
本発明に係る燃料供給システムは、燃料タンクから燃料を取り出して高圧にしてインジェクタからエンジンの燃焼室内に噴射するとともに、前記インジェクタ内の余剰の燃料を燃料リターン通路から燃料タンク側へ戻すよう構成されたものであって、前記インジェクタは、ボディ先端に設けた噴孔を開閉するノズルニードルと、動力発生源としてのアクチュエータと、アクチュエータで発生する動力を利用して前記ノズルニードルを進退変位させるニードル駆動装置と、前記噴孔に高圧燃料を導く高圧通路と、前記燃料リターン通路にインジェクタ内の余剰の燃料を導くドレン通路とを有し、前記ニードル駆動装置は、前記アクチュエータによって進退変位される大径ピストンと、大径ピストンと同軸に並べて配置される小径ピストンと、小径ピストンと大径ピストンとの対向間に設けられかつ燃料が充填されるとともに前記大径ピストンの変位を拡大して小径ピストンに伝達する変位拡大室と、前記小径ピストンの進退変位に伴い前記ノズルニードルの背圧を制御して当該ノズルニードルを進退変位させる背圧制御手段と、前記変位拡大室の圧縮時に前記大径ピストンの摺動面から前記変位拡大室内の燃料がリークすることを考慮して前記変位拡大室の膨張時に前記ドレン通路側の燃料を前記変位拡大室に補填する燃料補填手段とを有し、少なくとも燃料切れ後に燃料補填してからエンジンを再始動させる際に、前記燃料タンクからインジェクタに至る燃料導入路の高圧燃料を、前記ドレン通路を経て前記変位拡大室に供給する始動補助手段が設けられていることを特徴としている。
このような構成によれば、例えば燃料切れ後に燃料を補填してからエンジンを再始動させるとき、燃料導入路に供給される高圧燃料が燃料リターン通路およびインジェクタのドレン通路を経てインジェクタの変位拡大室に流入されることになり、この高圧燃料が変位拡大室内の気泡を潰し、さらに短時間のうちに高圧燃料が流入して気泡を追い出すよう置換されることになる。これにより、燃料切れ後に燃料を補填さえすれば、変位拡大室の内
圧を即座に高めることが可能になるので、大径ピストンの変位を拡大して小径ピストンに伝達することが可能になる。そのため、ノズルニードルによる噴孔の開閉動作が可能になるので、噴孔からの燃料の噴射が可能になって、エンジンの再始動が可能になる。
上記燃料供給システムにおいて、前記燃料補填手段は、前記大径ピストンの近傍に設けられて前記ドレン通路と連通する燃料溜まりと、前記大径ピストンに前記変位拡大室から前記燃料溜まりへ連なるよう設けられる燃料補填通路と、燃料補填通路に設けられて前記燃料溜まりから前記変位拡大室への燃料流通のみを許容する逆止弁とで構成されたものとすることができる。
この構成では、前記大径ピストンの進退変位に伴い変位拡大室内の燃料が大径ピストンの摺動面を経て前記燃料溜まりへリークしても、燃料溜まりから変位拡大室への燃料の補填が速やかに行えるようになるので、変位拡大室の内圧を安定に保つうえで有利となる。
上記燃料供給システムにおいて、前記始動補助手段は、前記燃料リターン通路と前記燃料導入路とを連通連結して短絡するバイパス路と、このバイパス路を開通または閉塞する状態切り替え弁とで構成することができる。
この構成によれば、従来例のように特別なポンプを追加する場合に比べて、構成が簡素で設備コストを抑制するうえで有利となる。
上記燃料供給システムにおいて、燃料噴射の開始および停止を制御する制御ユニットを有し、この制御ユニットは、少なくとも燃料切れ後に燃料を補填してからエンジンを再始動させるためのクランキング動作を行う際に、前記始動補助手段のバイパス路を所定時間開通させる処理を実行するものとすることができる。
なお、燃料切れの有無に関係なく、上記処理を実行させるようにしてもよい。
この構成によれば、クランキング動作に伴いインジェクタの変位拡大室内が速やかに高圧となるから、インジェクタからの燃料噴射を素早く行えるようになり、エンジンの始動性が良好となる。
本発明によれば、簡素な構成でありながら、燃料切れが発生しても燃料を補填さえすればエンジン再始動を迅速かつ確実に行うことができる。
以下、本発明の一実施形態を図1から図3に示して説明する。ここでは、本発明に係る燃料供給システムを、例えばディーゼルエンジンのコモンレールを使用した蓄圧式燃料噴射システムとした例を挙げている。
図1において、燃料タンク1からインジェクタ2までの燃料導入路3には、フィルタ4、サプライポンプ5、コモンレール6が設けられている。
この燃料供給システムは、サプライポンプ5により燃料タンク1から燃料を取り出して高圧にしてコモンレール6内に蓄積させておき、このコモンレール6内の高圧燃料を各インジェクタ2からエンジンの燃焼室(図示省略)内に噴射させるような構成になっている。
この一連の動作は、制御ユニット7および駆動ユニット8により制御される。制御ユニ
ット7は、少なくともインジェクタ2による燃料噴射の開始、停止のタイミング信号を駆動ユニット8に与え、駆動ユニット8は、前記タイミング信号に基づいて少なくともインジェクタ2のアクチュエータ17に駆動電圧を印加する。
インジェクタ2の数は、燃焼室の数と同数、つまり、4気筒エンジンの場合には四個、6気筒エンジンの場合には六個となる。図1においては、インジェクタ2を一個のみ記載して、その他の記載を省略している。
なお、サプライポンプ5に送られながらコモンレール6に圧送されなかった燃料は、燃料リターン通路9aを介して、また、コモンレール6に送られながらインジェクタ2へ圧送されなかった燃料は、燃料リターン通路9bを介して、さらに、インジェクタ2に圧送されながら燃焼室へ噴射されずに余った燃料は、それぞれ燃料リターン通路9cを介して、それぞれ燃料タンク1へ戻されるようになっている。
このインジェクタ2からの燃料リターン通路9cは、チェック弁10を介してコモンレール6からの燃料リターン通路9bに接続されている。チェック弁10は、圧力の低い燃料リターン通路9cに所定の圧力を付与することによって気泡発生を防止するために設けられている。
参考までに、図1および図2において、燃料の導入経路を実線の矢印で示し、燃料のリターン経路を二点鎖線の矢印で示している。
次に、インジェクタ2の構成を詳細に説明する。
インジェクタ2は、ボディ15内に、ノズルニードル16と、アクチュエータ17と、ニードル駆動装置18とを設けた構成であるので、これらを具体的に説明する。
このインジェクタ2は、要するに、アクチュエータ17およびニードル駆動装置18でもってノズルニードル16を上昇させると、ボディ15の先端に設けた噴孔21が開放されて高圧燃料を外部に噴射する一方、ノズルニードル16を下降させると、噴孔21が閉塞されて高圧燃料の噴射を停止するようになっている。
まず、ボディ15には、燃料導入用の高圧通路22と、燃料戻し用のドレン通路23とが設けられている。高圧通路22は、コモンレール6からの高圧燃料を噴孔21に導くものであり、ドレン通路23は、インジェクタ2内部の余剰の燃料を燃料リターン通路9cに導くものである。
ノズルニードル16は、ボディ15のニードルシリンダ24内に上下昇降可能に収納されている。
このノズルニードル16は、ニードルシリンダ24上方の制御室41内の圧力が高い場合にコイルスプリング26の伸張復元力も加味されて下降されることによってボディ15の先端座面24aに押し付けられて噴孔21を閉塞するが、制御室41内の圧力が低い場合にコイルスプリング26の弾発付勢力に抗して上昇されることによってニードルシリンダ24の上端座面24bに押し付けられて噴孔21を開放する。ニードルシリンダ24の上下方向途中には、高圧通路22と連通連結されて高圧燃料を貯留する下部燃料溜まり27が設けられている。
アクチュエータ17は、ノズルニードル16を昇降駆動するための動力を発生する動力源であり、ボディ15の上部に配置されている。この実施形態では、アクチュエータ17
として、電荷の注入によって伸長する一方で電荷の放出によって収縮する圧電体(または電歪素子)を積層した構成のピエゾアクチュエータを用いている。
ニードル駆動装置18は、ボディ15の長手方向中間に配置されて、アクチュエータ17で発生する動力をノズルニードル16に伝達してノズルニードル16を昇降駆動させるものである。
このニードル駆動装置18は、変位拡大手段30と、背圧制御手段40と、燃料補填手段50とを有しているので、これらを具体的に説明する。
変位拡大手段30は、ボディ15の大小二段の段付きシリンダ31内に大径ピストン32と小径ピストン33とを同軸上に上下に並べて配置した状態で摺動可能に収納して、両ピストン32,33の対向間に所定容量の燃料を貯留する変位拡大室34を設けた構成になっている。
段付きシリンダ31の上側大径部および下側小径部は、それぞれドレン通路23を介して燃料リターン通路9cに連通連結されている。
大径ピストン32は、アクチュエータ17の下端部17aに連結されている。この下端部17aは、コイルスプリング35により常時上向きに弾発付勢されており、これにより、アクチュエータ17の下端部17aと大径ピストン32とがアクチュエータ17の伸縮に応じて一体に上下昇降するようになる。
小径ピストン33の下端部は、下記する制御弁42の弁体44の上面に当接されている。なお、小径ピストン33の上方への移動を規制するために、段付きシリンダ31における小径部側に鍔状のストッパ(図示省略)を設けてもよい。
変位拡大室34は、アクチュエータ17の伸縮変位を液圧変換し、大径ピストン32と小径ピストン33との外径差に応じて拡大して小径ピストン33に伝達する。この変位拡大室34には、コイルスプリング36が配置されており、このコイルスプリング36の伸張復元力によって小径ピストン33と大径ピストン32との間のがたを吸収するようになっている。
背圧制御手段40は、ニードルシリンダ24上方に設けられる制御室41と、小径ピストン33の下方に設けられる制御弁42とを有している。
制御弁42は、制御室41内の圧力を高低制御する三方弁とされており、弁室43と、弁体44とを有している。
弁室43は、ボディ15の段付きシリンダ31の下端に連通連結される低圧ポート45と、制御室41に連通連結されるドレンポート46と、高圧通路22に連通連結される高圧ポート47とを有している。この弁室43には、小径ピストン33と段付きシリンダ31との摺動面における僅かなクリアランスBおよび低圧ポート45を介して変位拡大室34が連通している。
なお、弁室43における低圧ポート45の開口側にはフラット形状の座面が設けられ、弁室43における高圧ポート47の開口側には円錐形状の座面が設けられている。
弁体44は、弁室43内で昇降可能となっており、下降させられて高圧ポート47を閉塞した場合にドレンポート46を低圧ポート45を介してドレン通路23に連通する第1
状態となる一方、上昇させられて低圧ポート45を閉塞した場合にドレンポート46を高圧ポート47を介して高圧通路22に連通する第2状態となる。
通常、弁室43の圧力はドレンポート46の圧力より高くなっているので、通常は前記第2状態が成立している。前記第1状態が成立するのは、弁体44を下降させたときのみである。また、弁体44の下端には、弁体44の動きを円滑にするとともに振動を吸収するダンパ室48、コイルスプリング49が設けられている。
前記第1状態では、制御室41内の燃料がドレンポート46を介してドレン通路23に流出されるので、制御室41内の圧力が低くなる。
前記第2状態では、高圧通路22から弁室43およびドレンポート46に高圧燃料が充填されるので、制御室41からの燃料流出が停止され、しかも、この状態では高圧通路22から制御室41に高圧燃料が導入されるので、制御室41内の圧力が高くなる。
そして、ドレンポート46において制御室41への連通部分は、前記第1状態において制御室41からの燃料流出量を適量に管理するためのオリフィス46aとなっている。このオリフィス46aをアウト側のオリフィスという。
また、高圧通路22において制御室41への連通部分についても、前記第2状態において制御室41への燃料導入量を適量に管理するためのオリフィス22aとなっている。このオリフィス22aをイン側のオリフィスという。
このイン側のオリフィス22aは、燃料噴射開始時には制御室41の圧力低下を緩和してノズルニードル16を緩やかに開弁させる一方で、噴射終了時には制御室41の圧力上昇を促進してノズルニードル16を速やかに閉弁させる作用がある。
燃料補填手段50は、大径ピストン32の下降に伴う変位拡大室34の圧縮時に大径ピストン32の摺動面におけるクリアランスAから変位拡大室34内の燃料がリークすることを考慮して、大径ピストン32の上昇に伴う変位拡大室34の膨張時に上部燃料溜まり51側の燃料を変位拡大室34に補填するものである。
この燃料補填手段50は、具体的に、アクチュエータ17の外周に設けられてドレン通路23と連通する上部燃料溜まり51と、大径ピストン32に変位拡大室34から上部燃料溜まり51へ連なるよう設けられる燃料補填通路52と、燃料補填通路52に設けられて上部燃料溜まり51から変位拡大室34への燃料流通のみを許容する逆止弁53とで構成されている。
上部燃料溜まり51は、変位拡大手段30の段付きシリンダ31と連通連結された空間であり、ドレン通路23を通じて燃料リターン通路9cに連通連結されている。この上部燃料溜まり51には、大径ピストン32と段付きシリンダ31との摺動面の僅かなクリアランスAを介して変位拡大室34が連通している。
燃料補填通路52は、大径ピストン32の中心に軸方向に沿って設けられている。この燃料補填通路52の下部は大径とされて、その下端が大径ピストン32の下端面に開口して変位拡大室34に連通されている。
逆止弁53は、変位拡大室34側から燃料補填通路52の上端開口への燃料流出を阻止する一方で、上部燃料溜まり51側から変位拡大室34側への燃料流入を許容するものであり、燃料補填通路52の大径部52a内に配置されるボール弁54と、燃料補填通路5
2の大径部開口に装着されてボール弁54を軸方向に僅かな遊びを持つ状態に抜け止めする蓋55とを有している。蓋55には、その厚み方向に貫通して燃料補填通路52と変位拡大室34とを連通する通孔56が複数設けられている。
この逆止弁53の動作としては、変位拡大室34内の圧力が低下すると、ボール弁54が僅かに下がって円錐形座面57との間に隙間が生じるので、上部燃料溜まり51内の燃料が蓋55の通孔56を通じて変位拡大室34内へ流入する。
次に、上述した構成のインジェクタ2の動作を説明する。
まず、燃料噴射の開始に当たっては、アクチュエータ17に駆動ユニット8から駆動電圧(例えば100〜150V)が印加される。アクチュエータ17は、電圧に比例した変位(例えば40μm)を生じて、下端部17aおよびそれと一体の大径ピストン32を同じ変位量だけ下方に移動させ、変位拡大室34を圧縮させる。
この変位拡大室34の圧縮に伴う内圧上昇によって小径ピストン33が下降し、制御弁42の弁体44を押し下げて高圧ポート47を閉塞することにより制御弁42が第1状態となる。このとき、弁体44のリフト量は、アクチュエータ17の変位に対して大径ピストン32と小径ピストン33との面積比に応じて拡大される。
これにより弁室43の内圧が低下するので、制御室41内の燃料がアウト側オリフィス46aを通じて弁室43側へ流出し、制御室41の内圧が低下する。この燃料流入量は、アウト側オリフィス46aによって適宜管理される。この制御室41の内圧低下に伴い、下部燃料溜まり27内の高圧燃料によりノズルニードル16を押し上げようとする力が、制御室41の内圧およびコイルスプリング26によりノズルニードル16を押し下げようとする力より強くなると、ノズルニードル16が上昇して噴孔21が開放されるので、燃料の噴射が開始されることになる。
そして、燃料噴射を停止させるには、アクチュエータ17への電圧印加を停止して電荷を放出させるようにすればよい。つまり、この電化が放出される間に、アクチュエータ17は、電圧印加時の変位量だけ収縮して元の長さに戻り、下端部17aがコイルスプリング35の伸張復元に伴う弾発付勢力によって上昇する。
この下端部17aの上昇と共に大径ピストン32も上昇するので、変位拡大室34の内圧が低下する。この変位拡大室34の内圧が制御弁42の弁体44に作用する高圧ポート47からの高圧燃料の圧力より低くなると、弁体44および小径ピストン33が上昇されることになり、弁体44が低圧ポート45を閉塞することにより制御弁42が第2状態となる。
これにより、弁室43からドレンポート46までが高圧となる一方で、高圧通路22内の高圧燃料がイン側オリフィス22aを通じて制御室41へ流入される。この燃料流入量は、イン側オリフィス22aによって適宜管理される。
このようにして制御室41の内圧が回復し、制御室41の内圧が下部燃料溜まり27内の高圧燃料の圧力より高くなると、ノズルニードル16が下降して噴孔21を閉塞し、燃料噴射を停止する。このとき、変位拡大室34内の燃料は、燃料噴射の開始動作に伴いクリアランスAからの微小リークによって減少するが、逆止弁53により上部燃料溜まり51内の燃料が変位拡大室34に吸入補填されるので、変位拡大室34の内圧は略一定に保たれる。
ところで、上述したような構成の燃料供給システムにおいては、従来例の項目で説明したように、エンジン稼動中に燃料タンク1内の燃料が空、つまり燃料切れになると、インジェクタ2における変位拡大室34内に燃料補填が行われなくなるので、変位拡大室34内に気泡が混入することになって、燃料補填してからでも直ぐにエンジン再始動をできなくなる。
そこで、この実施形態では、上述したような燃料切れが発生した場合でも、燃料補填後にエンジンの再始動を迅速かつ確実に行えるように始動補助手段60を設けているので、以下で詳細に説明する。
始動補助手段60は、バイパス通路61と、状態切り替え弁62とを有している。
バイパス通路61は、燃料リターン通路9cにおいてインジェクタ2からチェック弁10に至るまでの低圧領域と、燃料導入路3においてサプライポンプ5からインジェクタ2に至る高圧領域とに接続されて、それらを短絡するものである。
状態切り替え弁62は、バイパス通路61の途中に設けられて、バイパス通路61を開通または遮断するものである。
この状態切り替え弁62は、バイパス通路61の開閉を行う開閉弁や、通路の流量を調整する流量調整弁と呼ばれるものなど何でもよいが、例えばソレノイドバルブとされる。このソレノイドバルブからなる状態切り替え弁62は、定常時において閉塞するノーマリークローズタイプとされており、通電により開放される。
なお、バイパス通路61の上流は、燃料導入路3においてサプライポンプ5からコモンレール6に至るまでの高圧領域に接続されている。一方、バイパス通路61の低圧領域側端部は、例えば図4に示すように、チェック弁10のボディ10aに取り付けることができる。
このチェック弁10は、大径通路10bと小径通路10cとの間にボール弁10dを設けた構造であり、このボール弁10dより大径通路10b側に設けられる通路10eに燃料リターン通路9cの下流側を接続し、ボール弁10dより小径通路10c側に設けられる通路10fにバイパス通路61を接続するようになっている。このようにすれば、バイパス通路61を燃料リターン通路9cに接続する際の手間が簡単になり、好ましい。但し、バイパス通路61をチェック弁10に接続せずに、燃料リターン通路9cに接続するようにしたものも本発明に含まれる。
このような始動補助手段60を設けたうえで、制御ユニット7については、エンジンを始動するときの状況にかかわらず、常に、エンジン始動のためのクランキング動作に連係して状態切り替え弁62を所定時間開放させるような処理を実行するように構成している。
このような構成によれば、エンジン始動のためのクランキング動作に伴い状態切り替え弁62を開放させると、図1および図2における一点鎖線の矢印で示すように、高圧通路22内の高圧燃料がバイパス通路61を通じて燃料リターン通路9cに流入し、インジェクタ2のドレン通路23、上部燃料溜まり51から逆止弁53を通じて変位拡大室34内に流入される。
つまり、燃料切れが発生することにより、変位拡大室34内に気泡が混入した場合でも、燃料補填後のエンジン再始動によって、上述したように、即座に、変位拡大室34内の
気泡が潰されるか、あるいは変位拡大室34内の空気が燃料と置換されることになる。
ちなみに、高圧通路22の圧力は、燃料切れ後に燃料補填してから再始動時に、例えば1秒以内に40MPa程度に昇圧されるので、燃料補填後のクランキングに同期してごく短時間だけ状態切り替え弁62を開放させれば、上述したように変位拡大室34を即座に昇圧または燃料補填できるようになり、迅速かつ確実にエンジンを再始動できるようになる。このように、始動補助手段60を動作させるときには、設定圧力が数百KPa程度のチェック弁10に40MPaもの高圧が付与されるが、短時間であるのでコモンレール6の昇圧速度にほとんど影響しない。但し、バイパス通路61においてチェック弁10との接続部までに適宜の絞りを付けて、チェック弁10に対し高圧が付与されないようにすることが好ましい。
以下、本発明の他の実施形態を説明する。
(1)上記インジェクタ2において、アクチュエータ17はピエゾアクチュエータの他に、通電により変位を発生するものであればよく、例えば、ソレノイドや、磁歪効果を利用したアクチュエータでもよい。
(2)上記インジェクタ2において、制御弁42は、2方弁の組み合わせによって三方通路の連通状態を切り替えるように構成したものとすることができる。
本発明に係る燃料供給システムの一実施形態を模式的に示す構成図である。 図1中のインジェクタを拡大して示す断面図である。 図2中のニードル駆動装置を拡大して示す断面図である。 図1中のチェック弁の上半分を断面にして示す図である。
符号の説明
1 燃料タンク
2 インジェクタ
3 燃料導入路
7 制御ユニット
8 駆動ユニット
9c インジェクタからの燃料リターン通路
15 ボディ
16 ノズルニードル
17 アクチュエータ
18 ニードル駆動装置
21 噴孔
22 高圧通路
23 ドレン通路
30 変位拡大手段
32 大径ピストン
33 小径ピストン
34 変位拡大室
40 背圧調整手段
50 燃料補填手段
60 始動補助手段

Claims (4)

  1. 燃料タンクから燃料を取り出して高圧にしてインジェクタからエンジンの燃焼室内に噴射するとともに、前記インジェクタ内の余剰の燃料を燃料リターン通路から燃料タンク側へ戻すよう構成された燃料供給システムであって、
    前記インジェクタは、ボディ先端に設けた噴孔を開閉するノズルニードルと、動力発生源としてのアクチュエータと、アクチュエータで発生する動力を利用して前記ノズルニードルを進退変位させるニードル駆動装置と、前記噴孔に高圧燃料を導く高圧通路と、前記燃料リターン通路にインジェクタ内の余剰の燃料を導くドレン通路とを有し、
    前記ニードル駆動装置は、前記アクチュエータによって進退変位される大径ピストンと、大径ピストンと同軸に並べて配置される小径ピストンと、小径ピストンと大径ピストンとの対向間に設けられかつ燃料が充填されるとともに前記大径ピストンの変位を拡大して小径ピストンに伝達する変位拡大室と、前記小径ピストンの進退変位に伴い前記ノズルニードルの背圧を制御して当該ノズルニードルを進退変位させる背圧制御手段と、前記変位拡大室の圧縮時に前記大径ピストンの摺動面から前記変位拡大室内の燃料がリークすることを考慮して前記変位拡大室の膨張時に前記ドレン通路側の燃料を前記変位拡大室に補填する燃料補填手段とを有し、
    少なくとも燃料切れ後に燃料補填してからエンジンを再始動させる際に、前記燃料タンクからインジェクタに至る燃料導入路の高圧燃料を、前記ドレン通路を経て前記変位拡大室に供給する始動補助手段が設けられていることを特徴とする燃料供給システム。
  2. 前記燃料補填手段は、前記大径ピストンの近傍に設けられて前記ドレン通路と連通する燃料溜まりと、前記大径ピストンに前記変位拡大室から前記燃料溜まりへ連なるよう設けられる燃料補填通路と、燃料補填通路に設けられて前記燃料溜まりから前記変位拡大室への燃料流通のみを許容する逆止弁とで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料供給システム。
  3. 前記始動補助手段は、前記燃料リターン通路と前記燃料導入路とを連通連結して短絡するバイパス路と、このバイパス路を開通または閉塞する状態切り替え弁とで構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料供給システム。
  4. 燃料噴射の開始および停止を制御する制御ユニットを有し、この制御ユニットは、少なくとも燃料切れ後に燃料を補填してからエンジンを再始動させるためのクランキング動作を行う際に、前記始動補助手段のバイパス路を所定時間開通させる処理を実行することを特徴とする請求項3に記載の燃料供給システム。
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