(画像読取装置の外観構成)
図面を参照して実施形態を説明する。以下、図1において紙面左側が画像読取装置1の左側、紙面上側が画像読取装置1の上側、紙面手前側が画像読取装置1の前側とする。図1に示すように、画像読取装置1は、読取部7、キャリッジ8、自動原稿給紙(オートドキュメントフィーダ:ADF)装置40、原稿台3等を備える。画像読取装置1の前側には、各種ボタンからなる操作部11、例えば液晶ディスプレイからなる表示部12が設けられている。操作部11は、読取開始キー11A、電源キー11B、および解除受付キー11Cを含む。
画像読取装置1は、画像読取方法として、キャリッジ8を移動させて画像を読み取る移動読取(以下、FB(フラットベッド)読取と称する)と、搬送部44(図1参照)によって搬送される原稿を読み取る搬送読取(以下、ADF読取と称する)と、を有する。なお、画像読取装置1は、単独のスキャナ装置あるいはコピー機であってもよいし、プリント機能およびFAX機能を備えた、いわゆる複合機の一部であってもよい。
原稿台3には、図3に示すように、ガラスやアクリル等の透明なプラテン3Bによって閉塞された第1読取窓が設けられている。そして、プラテン3Bにより載置面3Aが構成されている。原稿台3の上面側には、ヒンジ機構5Aを介して原稿カバー5が組み付けられている。
このため、原稿カバー5は、図2に示す原稿台3を覆う位置と、図3に示す原稿台3から離間した位置との間で揺動変位できる。なお、FB読取を行う場合には、ユーザが手動操作によって原稿カバー5を上方側に開き、原稿を載置する必要がある。
また、画像読取装置1は、図3に示すように、駆動力伝達機構13および付加発生部25を含む。付加発生部25は、読取部7に設けられた第1被接触部25Aと、原稿台3に設けられた第1ストッパ部25Bとを有する。
載置面3Aの下方側には、当該載置面3Aに沿って移動する読取部7が設けられている(図1参照)。読取部7は、原稿に照射されて反射した光を受光し、その受光した光に基づいて電機信号を発する。そして、画像読取装置1は、読取部7を介して原稿に記載された文字等の画像を電気信号に変換して画像を読み取る。
読取部7は、ここではCIS(Contact Image Sensor)方式で原稿を読み取るように構成されている。読取部7は、複数の受光素子が紙面垂直方向に直線状に配列されているリニアイメージセンサ7C、RGB3色の発光ダイオード等で構成される光源7A、原稿等で反射された光をリニアイメージセンサ7Cの各受光素子に結像させるロッドレンズアレイ7Bを含む。
読取部7を保持するキャリッジ8は、歯付ベルト9Aに結合され、歯付ベルト9Aの移動に伴って、矢印A方向またはB方向に移動する。歯付ベルト9Aは、第1歯付プーリ9B(図4参照)を介して、後述する駆動力伝達機構によって駆動される。なお、読取部7はCIS方式に限られず、縮小光学系およびCCD(電荷結合素子)イメージセンサを用いた、いわゆるCCD方式であってもよい。
また、読取部7は、プラテン3Bに載置されている原稿を読み取るとき、すなわち、FB読取を実行するときは、歯付ベルト9Aに結合したキャリッジ8によって、待機位置WPからプラテン3Bの板面に平行な方向(図1におけるA方向)に一定速度で搬送されながら原稿を読み取る。その際、搬送方向での読取範囲は、例えば、図1に示す読取開始位置PSから読取終了位置PEまでとされる。なお。本実施形態では、読取開始位置PSは原稿の読取範囲に関係なく一定とされ、読取終了位置PEは原稿の読取範囲に応じて可変される。
一方、読取部7は、ADF装置40によって搬送される原稿を読み取るとき、即ち、ADF読取を実行するときは、キャリッジ8によって第2読取窓3Cの直下の搬送読取位置(以下、ADF読取位置と称する)RPに保持されて原稿を読み取る。
また、図1に示すように、第2読取窓3Cの直上には、ADF読取の際に原稿を押える原稿押え部材46が設けられている。即ち、原稿押え部材46は、ADF読取位置RPにおいて読取部7と対向する位置に設けられている。そのため、読取部7は、ADF読取位置RPに位置し、原稿が無い場合、原稿押え部材46を読み取る。
また、図3に示す移動機構9は、原稿台3に固定された第1歯付プーリ9B(図4参照)および第2歯付プーリ9C、並びに第1歯付プーリ9Bと第2歯付プーリ9Cとの間に架け渡された歯付ベルト9A等を有している。そして、歯付ベルト9Aは、第1歯付プーリ9Bから駆動力を得て回転する。キャリッジ8は、歯付ベルト9Aに連結されている。このためキャリッジ8は、歯付ベルト9Aの回転方向に応じて移動する。
なお、第2読取窓3Cも、第1読取窓、つまり載置面3Aと同様に、ガラス等の透明なプラテンで閉塞されている。図3に示すように、載置面3Aと第2読取窓3Cとは、梁状の区画部材3Dにて区画され、第2読取窓3Cは、区画部材3Dと原稿台3の端部3Eとの間に設けられている。
また、図1に示すように、区画部材3Dには、調整基準板55が設けられている。調整基準板55は、読取時の色彩および濃淡の基準、および読取部7の基準位置を再調整するためのものである。
また、調整基準板55は、例えば、副走査方向(図1の左右方向)に並べられる白テープ55Aと黒テープ55Bとから構成される。白テープ55Aに対向する、図1における左右方向の範囲内の所定位置が待機位置WPとされる。ここで、待機位置WPは、読取部7がFB読取およびADF読取を実行していない時に、読取部7を保持するキャリッジ8が待機する位置とされる。
また、原稿カバー5には、図1に示すように、ADF装置40が設けられている。ADF装置40は、搬送路4、ADFカバー41、給紙トレイ42、給紙ローラ44A、搬送ローラ44B,44C、排紙ローラ44D等の各種ローラ、および原稿カバー5の上面を利用した排紙トレイ43を含む。また、原稿カバー5には、搬送ローラ44Cおよび排紙ローラ44Dに対向して複数の従動ローラ45が設けられている。ADF装置40は、搬送部44によって、給紙トレイ42に載置されている原稿を一枚ずつ搬送して排紙トレイ43に排出する。なお、給紙トレイ42は、載置トレイの一例である。
ADFカバー41には、給紙トレイ42に載置された原稿の有無を検知して信号を出力するための、フォトセンサ等のフロントセンサ47が設けられている。フロントセンサ47は、給紙トレイ42に載置された原稿を検知すると、オン状態とされる。このフロントセンサ47は載置センサの一例である。
また、搬送部44には、搬送ローラ44Bおよび搬送ローラ44Cによって搬送される原稿の有無を搬送路4内で検知して信号を出力するための、フォトセンサ等のリアセンサ48が設けられている。リアセンサ48は、搬送路4内で原稿を検知すると、オン状態とされる。なお、リアセンサ48は、原稿検知センサの一例である。
リアセンサ48は、搬送路4内において、給紙トレイ42よりも原稿搬送下流側であって読取部7よりも原稿搬送上流側に設けられている。従って、原稿のジャム発生時に搬送路4内に詰まった原稿の有無は、主としてリアセンサ48によって検知される。
(駆動力伝達機構の構成)
本実施形態では、1つのモータ31によって移動機構9および搬送部44を駆動している。つまり、駆動力伝達機構13は、モータ13で発生した駆動力、即ち、モータトルクを選択的に移動機構9または搬送部44に伝達している。
本実施形態に係る駆動力伝達機構13は、図4に示すように、太陽ギア15、遊星ギア17および噛合部19等を有する遊星ギア機構、FB側伝達ギア21、ADF側伝達ギア23を含む。太陽ギア15、遊星ギア17、FB側伝達ギア21、およびADF側伝達ギア23は、それぞれ、モータ側伝達ギア、切替ギア、キャリッジ側伝達ギア、搬送部側伝達ギアの一例である。
太陽ギア15は、モータ31(図6参照)が供給する動力を遊星ギア17に伝達する。また、太陽ギア15は、原稿台3に対して変位することなく回転する。そして、太陽ギア15は、モータ31から駆動力を得て回転し、かつ、その回転方向は、モータ31の回転方向に連動して正転または逆転する。即ち、本実施形態では、モータ31の回転方向と太陽ギア15の回転方向と、は等しい。
FB側伝達ギア21は、FB読取の際に、キャリッジ8にモータ8からの動力を伝達する。一方、ADF側伝達ギア23は、ADF読取の際に、搬送部44にモータ31からの動力を伝達する。
遊星ギア17は、ADF読取の際に、太陽ギア15とADF側伝達ギア23とを連結するADF側位置でADF側伝達ギア23と噛み合い、FB読取の際に、太陽ギア15とFB側伝達ギア21とを連結するキャリッジ側位置でFB側伝達ギアと噛み合うように切り替わる。また、遊星ギア17は、太陽ギア15と噛み合って回転するとともに、太陽ギア15の回転中心を公転中心として、図4に示すFB側位置と、図5に示すADF側位置との間で公転できる。また、遊星ギア17は、回転中心17Aを中心に自転する。なお、ADF側位置は搬送部側位置の一例であり、FB側位置はキャリッジ側位置の一例である。
太陽ギア15が回転すると、遊星ギア17には、遊星ギア17を自転させる力(以下、自転力と称する)および遊星ギア17を公転させる力(以下、公転力と称する)が作用する。このため、太陽ギア15が正転しているときには、ADF側位置からFB側位置に向かう向き(図4における時計回りの向き)の公転力が遊星ギア17に作用する。
一方、太陽ギア15が逆転しているときには、FB側位置からADF側位置に向かう向き(図4における反時計回りの向き)の公転力が遊星ギア17に作用する。そして、公転力が大きくなると、遊星ギア17は公転力の向きに公転する。一方、公転力が小さいときには、公転することなく自転する。
なお、以下、太陽ギア15が正転しているときに、遊星ギア17が自転する向きを遊星ギア17の正転の向きという。同様に、太陽ギア15が逆転しているときに、遊星ギア17が自転する向きを遊星ギア17の逆転の向きという。なお、太陽ギア15の各回転方向と、遊星ギア17の各回転の向きとは逆になる。
アーム18は、遊星ギア17を自転および公転可能に支持する。そして、アーム18の延びる方向の一端側は、太陽ギア15と同軸上に回転可能に支持されている。アーム18の延びる方向の他端側には、遊星ギア17が回転可能に組み付けられている。
また、原稿台3には、アーム18の回転を規制する第2ストッパ部3Hおよび第3ストッパ部3Jが設けられている。一方、アーム18には、第2ストッパ部3Hに接触する第2被接触部18A、および第3ストッパ部3Jに接触する第3被接触部18Bが設けられている。
そして、第2ストッパ部3Hは、図4に示すように、遊星ギア17がFB側位置にあるときに第2被接触部18Aに接触してアーム18が紙面時計回りに回転することを規制する。一方、第3ストッパ部3Jは、図5に示すように、遊星ギア17がADF側位置にあるときに第3被接触部18Bに接触してアーム18が紙面反時計回りに回転することを規制する。
また、第1バネ16は、遊星ギア17がFB側位置にあるとき、または遊星ギア17がADF側位置にあるときに、遊星ギア17の切り替えを抑制する。即ち、第1バネ16は、FB読取の際には、太陽ギア15が逆転しているときに遊星ギア17がFB側伝達ギア21から離間することを抑制する。つまり、第1バネ16は、少なくともFB側位置にあるときに遊星ギア17がADF側位置に公転することを抑制する力(以下、第1抑制力と称する)を遊星ギア17に作用させる。
なお、本実施形態に係る第1バネ16は、引張コイルバネである。そして、第1バネ16の伸張方向の一端側は、アーム18のうち揺動中心を挟んで遊星ギア17と反対側に連結され、かつ、その伸張方向の他端側は原稿台3に連結されている。このため、第1バネ16は、遊星ギア17がADF側位置にあるときには遊星ギア17がFB側位置に公転することを抑制する力(以下、第2抑制力と称する)をアーム18に作用させる。
ところで、遊星ギア17がADF側位置にあるときには、後述するように、搬送部44に駆動力を伝達しているときであって、太陽ギア15が逆転しているときである。そして、太陽ギア15が逆転しているときには、遊星ギア17をFB側位置からADF側位置に公転させる力が遊星ギア17に作用する。このため、本実施形態では、少なくとも搬送部44に駆動力を伝達している間、つまり、太陽ギア15が逆転している間は、仮に第2抑制力が無くても、遊星ギア17はADF側位置に止まり続ける。
そこで、本実施形態では、遊星ギア17がFB側位置にあるときに第1バネ16が遊星ギア17に作用させる公転を抑制する第1抑制力を、遊星ギア17がADF側位置にあるときに第1バネ16が遊星ギア17に作用させる公転を抑制する第2抑制力より大きくしている。
具体的には、遊星ギア17がFB側位置にあるときにおける第1バネ16の変形量が、遊星ギア17がADF側位置にあるときにおける第1バネ16の変形量より大きくなるように、伸張方向の一端、および側伸張方向の他端の位置を設定している。
噛合部19は、FB側位置とADF側位置との間を遊星ギア17が公転するときに遊星ギア17の歯と噛み合う部位である。そして、本実施形態に係る噛合部19は、内歯ギアにより構成されている。噛合部19は、図4に示すように、太陽ギア15側に突出した複数の突起部19Aを有し、かつ、それら突起部19Aが遊星ギア17の公転経路に沿って設けられたギアの一種である。
そして、噛合部19は、太陽ギア15に対して移動可能として原稿台3に組み付けられている。なお、本実施形態に係る噛合部19は、太陽ギア15を中心として遊星ギア17の公転経路に沿った方向に変位可能となっている。そして、噛合部19が移動したときに、噛合部19を移動前の位置に戻す第2バネ19Bが設けられている。
また、ADF側伝達ギア23は、載置面3Aと平行な方向のうち読取部7の移動方向と直交する方向(本実施形態では、前後方向)において、FB側伝達ギア21よりヒンジ機構5Aに配設されている。また、ADF側伝達ギア23は、一方向にのみ回転するギアである。そのため、ADF側伝達ギア23は、搬送部44が原稿を搬送するX方向(図5参照)にだけ回転し、逆方向に回転しない逆回転を防止する機構を有する。逆回転を防止する機構としては、例えば、周知の逆回転防止爪(図示せず)を有する。
つまり、図4に示すように、FB側伝達ギア21は、太陽ギア15を挟んでADF側伝達ギア23と反対側に配設されている。そして、太陽ギア15、遊星ギア17、FB側伝達ギア21およびADF側伝達ギア23の回転軸方向は、載置面3Aと直交している。
また、FB側伝達ギア21は、図4に示すように、遊星ギア17がFB側位置にあるときに遊星ギア17と噛み合う。このため、遊星ギア17がFB側位置にあるときには、太陽ギア15→遊星ギア17→FB側伝達ギア21の順に駆動力が伝達される。そして、FB側伝達ギア21によって第1歯付プーリ9Bが駆動されて移動機構9が稼働する。
なお、移動機構9は、太陽ギア15が正転するときには、キャリッジ8、即ち読取部7を図3のA方向に移動させ、一方、太陽ギア15が逆転するときには読取部7を図3のB方向に移動させる。つまり、読取部7は、太陽ギア15の回転方向に応じて移動する。
ADF側伝達ギア23は、図5に示すように、遊星ギア17がADF側位置にあるときに遊星ギア17噛み合う。このため、遊星ギア17がADF側位置にあるときには、太陽ギア15→遊星ギア17→ADF側伝達ギア23の順に駆動力が伝達されて搬送部44が稼働する。
また、図2等に示すように、FB側伝達ギア21の回転抵抗を増大させる負荷発生部25が設けられている。負荷発生部25は、ADF読取位置RPにキャリッジ8、即ち読取部7が位置したときに、ADF読取位置RP以外の位置に読取部7が位置する場合に比べてFB側伝達ギア21の回転抵抗を増大させる。
即ち、本実施形態に係る負荷発生部25は、読取部7に設けられた第1被接触部25A、および原稿台3に設けられた第1ストッパ部25Bを有して構成されている。そして、第1被接触部25Aと第1ストッパ部25Bとは、図4に示すように、互いに接触する。
このため、太陽ギア15が逆転しているときに読取部7がADF読取位置RPに位置して第1被接触部25Aと第1ストッパ部25Bとが接触すると、読取部7の移動が規制されるため、FB側伝達ギア21の回転抵抗が増大する。また、負荷発生部25の第1ストッパ部25Bは、図2等に示すように、キャリッジ8の所定の方向に移動可能な範囲の一端に位置し、遊星ギア17の位置をFB側位置からADF側位置に切り替える切替処理の際に、キャリッジ8の移動を規制する。
(駆動力伝達機構の作動)
まず、FB読取時について説明する。画像読取装置1の非稼働時には、読取部7は待機位置WPにあり、遊星ギア17はFB側位置に位置している。そして、例えば、読取開始キー11Aがユーザにより操作されてFB読取が開始されると、CPU20は、モータ31を正回転させて太陽ギア15を正転させる。
これにより、読取部7は、待機位置WPから読取終了位置PEに向けて移動する。このとき、遊星ギア17には、ADF側位置からFB側位置に向かう向きの公転力が作用する。しかし、第2ストッパ部3Hと第2被接触部18Aとが接触しているので、遊星ギア17は公転することなく、FB側位置に止まって正転の向きに自転する。
そして、CPU20(図6参照)は、例えば、モータ31の駆動ステップ数が所定値に達したときに、モータ31を逆回転させて太陽ギア15を逆転させる。さらに、CPU20は、読取部7が待機位置WPに到達したと判断したときにモータ31を停止させる。これにより、読取部7は、読取終了動作から待機位置WPまで移動する。
太陽ギア15が逆転している場合においては、遊星ギア17には、FB側位置からADF側位置に向かう向きの公転力、つまり遊星ギア17をFB側伝達ギア21から隔離させる向きの公転力が作用する。しかし、第1バネ6によって当該公転力が相殺されるので、遊星ギア17は公転することなく、FB側位置に止まって逆の向きに自転する。
次にADF読取時について説明する。画像読取装置1の非稼働時には、読取部7は待機位置WPにあり、遊星ギア17はFB側位置に位置している。そして、読取開始キー11Aがユーザによって操作されてADF読取の開始の指示がされると、CPU20は、モータ31を逆回転させて太陽ギア15を逆転させる。
これにより、読取部7、即ちキャリッジ8は、待機位置WPからADF読取位置RPに移動する。そして、読取部7がADF読取位置RPに位置して第1ストッパ部25Bと第1非接触部25Aとが接触すると、読取部7の移動が規制されてFB側伝達ギア21の回転抵抗が増大する。
このため、遊星ギア17の自転が妨げられて自転力が小さくなる。一方で、遊星ギア17をFB側位置からADF側位置に公転させる向きに公転力が増大する。そして、当該公転力が第1バネ16の第1抑制力を上回ると、遊星ギア17と噛合部19とが噛み合って、遊星ギア17がADF側位置に公転し始める。
遊星ギア17が公転して第3ストッパ部3Jと第3被接触部18Bとが接触すると、図5に示すように、遊星ギア17の公転が停止するとともに、遊星ギア17とADF側伝達ギア23とが噛み合う。このため、搬送部44に駆動力が伝達され、原稿の搬送が開始される。
また、CPU20は、ADF読取が終了したと判断すると、モータ31を正回転させて太陽ギア15を正転させる。これにより、遊星ギア17には、ADF側位置からFB側位置に向かう向きの公転力が作用する。
そして、当該公転力が第1バネ16の第2抑制力を上回ると、遊星ギア17はFB側位置に向けて公転する。遊星ギア17がFB側位置に位置すると、遊星ギア17とFB側伝達ギア21とが噛み合うので、読取部7は、ADF読取位置RPから図2のA方向に移動する。
(画像読取装置の電気的構成)
画像読取装置1は、図6に示すように、CPU20、ROM26、RAM27、NVRAM28、ネットワークインターフェイス(以下、ネットワークI/Fと称する)24を備えている。これらには、読取部7、操作部11、表示部12、カウンタ35、フロントセンサ47、リアセンサ48、ADFカバーセンサ49およびモータ駆動IC30が接続される。モータ駆動IC30には、モータ31が接続される。なお、CPU20は制御部の一例である。
操作部11は、ユーザの操作によって、電源のオン・オフ、読取解像度の設定、読取開始、原稿のジャムが解除された旨等、ユーザから画像読取装置1への指示を受け付ける。この操作部11は受付部の一例である。
ネットワークI/F24は、通信回線(図示せず)を介して外部のユーザコンピュータ等に接続され、ネットワークI/F24を介して相互のデータ通信が可能となる。なお、ネットワークI/F24を介して、外部のユーザコンピュータから読取開始指示を受け付けることが可能である。
ROM26には、後述するADF読取処理を実行するための読取プログラム等、画像読取装置1の動作を制御するための各種のプログラムが記憶されており、CPU20は、ROM26から読み出したプログラムに従って、その処理結果をRAM27またはNVRAM28に記憶させながら、各部の制御を行う。また、例えば、ROM26には、モータ31をステップ駆動するためのステップ数等が記憶されている。なお、上記各種のプログラムが記憶される媒体は、ROM26以外に、CD−ROM、ハードディスク装置、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリでもよい。
また、CPU20は、原稿のジャムが発生してからユーザによって解除受付キー11Cが押されるまでの間、搬送部44内の原稿の有無に関する設定情報と、給紙トレイ42の状態に関する設定情報と、ADFカバー41の状態に関する設定情報と、をそれぞれRAM26に記憶させる。ここで、給紙トレイ42の状態に関する設定情報は、給紙トレイ42に原稿が載置されているのか否かを示す設定情報であり、ADFカバー41の状態に関する設定情報は、ADFカバー41の開閉状態を示す設定情報である。
モータ31は、ステッピングモータである。また、モータ駆動IC30は、CPU20の制御に応じて、モータ31を駆動制御する。カウンタ35は、例えば、モータ31を制御する際のステップ数をカウントする。また、ADFカバーセンサ49は、ADFカバー41の開状態を検知して信号を出力する。具体的には、ADFカバーセンサ49は、ADFカバー41の開状態を検知すると、オン状態とされる。このADFカバーセンサ49は開閉検知センサの一例である。
また、CPU20は、モータ駆動IC30を制御して、モータ31のトルクおよび回転方向等を制御する。モータ駆動電流とモータトルクとは比例関係にあり、駆動電流を増加させることでモータトルクを大きくすることができる。あるいは、駆動速度とモータトルクとは反比例関係にあり、駆動速度を低下させることでモータトルクを大きくすることができる。
(ADF読取処理)
次に、図7から図12に示すフローチャートを参照して、画像読取装置1におけるADF読取処理に関する各実施形態を説明する。ここで、実施形態におけるADF読取処理は、例えば、ユーザによって給紙トレイ42に原稿が載置され、読取開始キー11Aが押されることでCPU20がADF読取指示を受け付けた際に、ROM26に格納されたプログラムに従ってCPU20が実行する処理である。
(実施形態1)
まず実施形態1のADF読取処理について説明する。図7に示すように、ADF読取指示を受け付けると、CPU20は、まず読取前処理を実行する(S2)。この読取前処理では、CPU20は、例えば、読取部7を初期化するための初期化データを取得する処理や、ADF読取処理を行う読取データを補正するための補正データを取得する処理を実行する。
次に、CPU20は、ADF側伝達ギア23と遊星ギア17とが噛み合う方向へモータ31を駆動する処理、即ち、モータ31を逆回転させ、遊星ギア17をFB側位置からADF側位置に切り替える処理を実行する(S4)。ここで、CPU20が遊星ギア17をFB側位置からADF側位置に切り替える際、第1バネ16による遊星ギア17の公転抑制力によって、太陽ギア15の逆転による遊星ギア17の自転力によるFB側伝達ギア21からの反作用の方が大きい必要がある。そのため、切替動作におけるモータトルクは、第1バネ16による遊星ギア17の公転抑制力と比べて、FB側伝達ギア21からの反作用力の方が大きくなるように、例えば実験によって事前に決定される。
なお、FB側伝達ギア21からの反作用力は、負荷発生部25によるFB側伝達ギア21の回転抵抗によって生じる。即ち、負荷発生部25によってFB側伝達ギア21がほとんど回転できない状態とされるため、遊星ギア17が自転しようとすると、遊星ギア17は、FB側伝達ギア21から自転力とほぼ反対方向の反発力を受ける。
このように、遊星ギア17の切替の際に、回転が抑制されたFB側伝達ギア21から遊星ギア17に反作用力を作用することによって、遊星ギア17の回転がモータ31の回転から脱調することなく、好適に遊星ギア17をFB側位置からADF側位置に切り替えることができる。
次に、CPU20は、搬送部44の各種ローラ44A〜44Dを回転させ、給紙トレイ42に載置された原稿の搬送路4に沿った搬送を開始する(S6)。これにより、原稿の搬送が開始されると、原稿が搬送路4に引き込まれ、搬送路4内において原稿の読取が実行される(S8)。
原稿が搬送路4に沿って搬送される際、搬送路4内で原稿が詰まることがある、即ち原稿のジャムが発生することがある。そこで、次にCPU20は、搬送路4内において原稿の読取が実行される際に、搬送路4内で原稿のジャムが発生したのか否かを判断する(S10)。具体的には、例えば、リアセンサ48が規定時間以上継続してオンしている場合や、原稿が搬送路4に引き込まれた後にリアセンサ48が規定時間以上継続してオフしている場合に、CPU20は、原稿のジャムが発生したと判断する。
CPU20は、S10で原稿のジャムが発生したと判断した場合(S10:YES)、搬送部44の各種ローラ44A〜44Dの回転をただちに停止させ、搬送路4内での原稿の搬送を停止する(S12)。次に、CPU20は、FB側伝達ギア21と遊星ギア17とが噛み合う方向へモータ31を駆動、即ちモータ31を正回転させ、遊星ギア17をADF側位置からFB側位置に切り替える処理を実行する(S14)。これにより、ADF側伝達ギア23と遊星ギア17との噛み合わせが解除されるので、例えばユーザが搬送路4内に詰まった原稿を取り除いている際に、ADF側伝達ギア23が回転することが回避される。なお、CPU20がS14で実行する処理は駆動処理の一例である。
本実施形態では、CPU20は、S14の処理の実行中に、表示部12に「ジャムを検知、ユーザが原稿を取り出し易くするための動作中」等のジャムを解除することが容易になった旨を示す表示を表示させる。これにより、ユーザは、原稿の搬送停止後、遊星ギア17がADF側位置からFB側位置に切り替わる処理が実行されているときに、画像読取装置1でどのような動作が行われているのかを理解することができる。
次に、CPU20は、原稿のジャムが解除された旨を操作部11が受け付けたのか否かを判断する(S16)。即ち、CPU20は、ユーザによって解除受付キー11Cが押されたのか否かを判断する。CPU20は、S16で原稿のジャムが解除された旨を受け付けていないと判断した場合(S16:NO)、解除受付キー11Cが押されるまでS16の処理を繰り返し実行する。CPU20は、S16で原稿のジャムが解除された旨を受け付けたと判断した場合(S16:YES)、後述する原稿有無判断処理1を実行する(S18)。なお、以下では、CPU20がS16で実行する処理と同様の処理を、ジャム解除判断処理と称することとする。
CPU20は、原稿有無判断処理1が終了すると、搬送部44内に原稿が有るのか否かを判断する(S20)。具体的には、CPU20は、後述する原稿有無判断処理1において記憶した搬送部44内の原稿有無に関する設定情報をRAM27から読み出し、読み出した設定情報が「原稿有」設定であるのか否かを判断する。CPU20は、搬送部44内に原稿が有ると判断した場合、即ち、RAM27から読み出した設定情報が「原稿有」設定である場合(S20:YES)、S4に戻って遊星ギア17をFB側位置からADF側位置に切り替える処理を再び実行する(S4)。なお、このようにCPU20が再びS4の処理を実行する場合のS4の処理が再駆動処理の一例である。
上述したように、原稿のジャムが解除された後に搬送部44内の原稿有無に関する設定情報が「原稿有」と設定された場合に、CPU20が遊星ギア17をFB側位置からADF側位置へと切り替える再駆動処理を実行することで、原稿のジャムの解除後、CPU20は、搬送部44内に残る原稿を排紙する動作に一層迅速に移行することができる。
その後、原稿の搬送が開始され(S6)、搬送路4内における原稿の搬送が実行される(S8)。このように再駆動処理後に原稿を搬送する処理が実行されることで、搬送路4内に残っている原稿が排紙トレイ43へと排紙される。なお、このようにCPU20が再びS8の処理を実行する場合のS8の処理が排紙処理の一例である。
CPU20は、S20で搬送部44内に原稿が無いと判断した場合、即ち、RAM27から読み出した設定情報が「原稿有」設定でない場合(S20:NO)、読取後処理を実行する(S26)。この読取後処理では、CPU20は、例えば、キャリッジ8の待機位置WPを検知し、キャリッジ8を待機位置WPまで移動させる処理を実行する。読取後処理が終了すると、CPU20は、ADF読取処理を終了する。なお、CPU20がS26で実行する読取後処理は、移動処理の一例である。
一方、CPU20は、S10で原稿のジャムが発生していないと判断した場合(S10:NO)、ADF読取を実行する全ての原稿について、即ち給紙トレイ42に載置された全ての原稿について、ADF読取または排紙処理が終了したのか否かを判断する(S22)。具体的には、例えば、フロントセンサ47およびリアセンサ48が継続してオンしている場合に、CPU20は、給紙トレイ42に載置された全ての原稿のADF読取または排紙処理が終了していないと判断する。
CPU20は、S22で搬送路4での原稿の読取または搬送が終了していないと判断した場合(S22:NO)、S8に戻り、給紙トレイ42または搬送路4内に残っている原稿について原稿の読取または搬送を実行する(S8)。CPU20は、S22で搬送路4での原稿の読取または原稿の搬送が終了したと判断した場合(S22:YES)、CPU20がS14で実行する処理と同様の処理、即ちモータ31を正回転させ、遊星ギア17をADF側位置からFB側位置に切り替える処理を実行する(S24)。S24の処理が終了すると、CPU20は、上述した読取後処理を実行する(S26)。読取後処理が終了すると、CPU20は、ADF読取処理を終了する。
(原稿有無判断処理1)
次に、CPU20がS18で実行する原稿有無判断処理1について、図9を参照して説明する。原稿有無判断処理1では、CPU20は、まず搬送路4内に原稿が残っているのか否かを判断する(S32)。具体的には、CPU20は、リアセンサ48が原稿を検知してオンしたのか否かを判断する。
CPU20は、S32で搬送路4内に原稿が残っていると判断した場合、即ちリアセンサ48が原稿を検知してオンしたと判断した場合(S32:YES)、原稿有無に関する設定情報について「原稿有」と設定してRAM27に記憶し(S38)、原稿有無判断処理1を終了する。
一方、CPU20は、S32で搬送路4内に原稿が残っていないと判断した場合、即ちリアセンサ48がオフしていると判断した場合(S32:NO)、給紙トレイ42に原稿が載置されているのか否かを判断する(S34)。具体的には、CPU20は、フロントセンサ47から原稿有りを示す検知信号が出力されているのか否かを判断する。
CPU20は、S34で給紙トレイ42に原稿が載置されていると判断した場合、即ちフロントセンサ47が原稿を検知してオンしたと判断した場合(S34:YES)、原稿有無に関する設定情報について「原稿有」と設定してRAM27に記憶し(S38)、原稿有無判断処理1を終了する。
一方、CPU20は、S34で給紙トレイ42に原稿が載置されていないと判断した場合、即ちフロントセンサ47がオフしていると判断した場合(S34:NO)、原稿有無に関する設定情報について「原稿無」と設定してRAM27に記憶し(S36)、原稿有無判断処理1を終了する。
(実施形態1の効果)
実施形態1のADF読取処理における効果について説明する。本実施形態の画像読取装置1は、キャリッジ8と搬送部44とを一つのモータ31の動力で動作させる構成とされている。そして、搬送路4内で原稿のジャムが発生した場合には、ADF側伝達ギア23と遊星ギア17との噛み合わせが解除されることで、ユーザが原稿のジャムを解除し易いものとなる。その後、ジャムが解除された旨をユーザから受け付けると、搬送部44に原稿が残っているのか否かを判断する原稿有無判断処理1が実行される。
この原稿有無判断処理1において、搬送部44内に原稿が有ると判断された場合、即ち搬送部44内の原稿有無に関する設定情報について「原稿有」と設定された場合、ADF側伝達ギア23と遊星ギア17とが噛み合う方向へモータが駆動される再駆動処理が実行される。このため、原稿のジャムの解除後に、搬送部44内に残る原稿を排紙する動作に迅速に移行することができる。このように本実施形態の画像読取装置1では、キャリッジ8と搬送部44とを一つのモータ31の動力で動作させる構成を実現しながら、ジャムが解除された後、遊星ギア17を適切な位置で保持することができる。
また、本実施形態の画像読取装置1は、搬送部44が搬送する原稿の有無を検知して出力するリアセンサ48を備えている。そして、CPU20は、再駆動処理において、リアセンサ48からの出力に従って、搬送部44に原稿が有ると判断する。このように、リアセンサ48により原稿の有無を判断することで、原稿の有無を正確に検知でき、必要なときにCPU20が再駆動処理を実行する可能性を高めることができる。
また、本実施形態の画像読取装置1は、表示部12を備えており、CPU20は、S14の処理に相当する駆動処理が実行されたときに、表示部12にジャムを解除することが容易になった旨を表示させる。駆動処理が実行されることで、ADF側伝達ギア23と遊星ギア17との噛み合わせが解除される方向へモータ31が駆動されるため、ジャムを解除することが容易となる。本実施形態の画像読取装置1では、ジャムを解除することが容易になったことを、容易になったタイミングでユーザが知ることができる。
また、本実施形態の画像読取装置1では、キャリッジ8は、ADF読取及びFB読取が実行されないときに所定の待機位置WPに配置されるものとされている。そして、CPU20は、フロントセンサ47およびリアセンサ48がオフしていると判断した場合、搬送部44内の原稿有無に関する設定情報が「原稿無」と設定され、遊星ギア17をFB側位置に保持した状態とした後にキャリッジ8を待機位置WPに移動する移動処理を実行する。本実施形態では、このように、搬送部44に原稿が残っていない場合にキャリッジ8を待機位置WPに移動させることで、その後に、他の原稿についてのFB読取処理等を迅速に実行することができる。
(実施形態2)
次に実施形態2のADF読取処理について説明する。実施形態2のADF読取処理は、実施形態1のADF読取処理のフローチャートにおけるS18の処理(図7参照)を除いた処理が、実施形態1と同様である。そのため、実施形態1と同様の処理については説明を省略する。
実施形態2のADF読取処理では、CPU20は、S16で実行するジャム解除判断処理において、原稿のジャムが解除された旨を受け付けたと判断した場合(S16:YES)、後述する再開催促処理1および再開催促処理2の少なくとも一方を実行する(S19)。CPU20は、S19の処理が終了すると、S20に移行する。S20以降の処理については、実施例1と同様である。なお、S19で再開催促処理1と再開催促処理2とのいずれの処理が実行されるのか、または再開催促処理1と再開催促処理2の両処理が組み合わされて実行されるのか、については、例えば、ROM26に記憶されるプログラムに予め組み込まれていてもよい。
(再開催促処理1)
次に、CPU20がS19で実行する再開催促処理1について図11を参照して説明する。再開催促処理1では、CPU20は、まずRAM27に記憶される給紙トレイ状態に関する設定情報について「原稿無」と設定し、RAM27に記憶する(S52)。
次に、CPU20は、給紙トレイ42に原稿が載置されているのか否かを判断する(S54)。具体的には、CPU20は、フロントセンサ47が原稿を検知してオンしたのか否かを判断する(S54)。なお、以下では、S54で実行する処理と同様の処理を、トレイ原稿検知処理と称することとする。
CPU20は、S54で給紙トレイ42に原稿が載置されていると判断した場合、即ちフロントセンサ47が原稿を検知してオンしたと判断する場合(S54:YES)、給紙トレイ状態に関する設定情報について「原稿有」と設定してRAM27に記憶し(S56)、S58に移行する。一方、CPU20は、S54で給紙トレイ42に原稿が載置されていないと判断した場合、即ちフロントセンサ47がオフしていると判断する場合(S54:NO)、S64に移行する。
S58では、CPU20は、原稿のジャムが解除された旨を操作部11が受け付けたのか否かを判断するジャム解除判断処理を実行する(S58)。CPU20は、S58で原稿のジャムが解除された旨を受け付けたと判断した場合(S58:YES)、S82に移行する。一方、CPU20は、S58で原稿のジャムが解除された旨を受け付けていないと判断した場合(S58:NO)、S60に移行してトレイ原稿検知処理を実行する(S60)。
CPU20は、S60で給紙トレイ42に原稿が載置されていると判断した場合(S60:YES)、S58に戻ってジャム解除判断処理を実行する。一方、CPU20は、S60で給紙トレイ42に原稿が載置されていないと判断した場合(S60:NO)、給紙トレイ状態に関する設定情報について「原稿有→無」と設定してRAM27に記憶し(S62)、S70に移行する。
S64では、CPU20は、ジャム解除判断処理を実行する(S64)。CPU20は、S60で原稿のジャムが解除された旨を受け付けたと判断した場合(S60:YES)、S82に移行する。一方、CPU20は、S64で原稿のジャムが解除された旨を受け付けていないと判断した場合(S64:NO)、S66に移行してトレイ原稿検知処理を実行する(S66)。
CPU20は、S66で給紙トレイ42に原稿が載置されていると判断した場合(S66:YES)、S64に戻ってジャム解除判断処理を実行する。一方、CPU20は、S66で給紙トレイ42に原稿が載置されていないと判断した場合(S66:NO)、給紙トレイ状態に関する設定情報について「原稿有」と設定してRAM27に記憶し(S68)、S58に移行してジャム解除判断処理を実行する。
S70では、CPU20は、ジャム解除判断処理を実行する(S70)。CPU20は、S70で原稿のジャムが解除された旨を受け付けたと判断した場合(S70:YES)、S82に移行する。一方、CPU20は、S70で原稿のジャムが解除された旨を受け付けていないと判断した場合(S70:NO)、S72に移行してトレイ原稿検知処理を実行する(S72)。
CPU20は、S72で給紙トレイ42に原稿が載置されていないと判断すると(S72:NO)、S72に戻ってジャム解除判断処理を実行する。一方、CPU20は、S72で給紙トレイ42に原稿が載置されていると判断すると(S72:YES)、給紙トレイ状態に関する設定情報について「原稿有→無→有」と設定してRAM27に記憶し(S74)、S76に移行する。
S76では、CPU20は、ジャム解除判断処理を実行する(S76)。CPU20は、S76で原稿のジャムが解除された旨を受け付けたと判断した場合(S76:YES)、S82に移行する。一方、CPU20は、S76で原稿のジャムが解除された旨を受け付けていないと判断した場合(S76:NO)、S78に移行してトレイ原稿検知処理を実行する(S78)。
CPU20は、S78で給紙トレイ42に原稿が載置されていると判断すると(S78:YES)、S76に戻ってジャム解除判断処理を実行する。一方、CPU20は、S78で給紙トレイ42に原稿が載置されていないと判断すると(S78:NO)、給紙トレイ状態に関する設定情報について「原稿無」と設定してRAM27に記憶し(S80)、S64に移行してジャム解除判断処理を実行する。
以上のように、再開催促処理1では、S58、S64、S70、S76でそれぞれCPU20が実行するジャム解除判断処理において、CPU20が原稿のジャムが解除された旨を受け付けたと判断した場合に、S82に移行することとなる。このS82では、CPU20は、RAM27に記憶されているトレイ状態に関する設定情報をRAM27から読み出し、読み出した設定情報が「原稿有」設定であるのか否かを判断する(S82)。
CPU20は、S82で読み出したトレイ状態に関する設定情報が「原稿有」設定であると判断すると(S82:YES)、RAM27に記憶される搬送部44内の原稿有無に関する設定情報について「原稿有」と設定し(S84)、再開催促処理1を終了する。
一方、CPU20は、S82で読み出したトレイ状態に関する設定情報が「原稿有」設定でないと判断すると(S82:NO)、RAM27に記憶される搬送部44内の原稿有無に関する設定情報について「原稿無」と設定し(S86)、再開催促処理1を終了する。
(再開催促処理2)
次に、CPU20がS19で実行する再開催促処理2について図12を参照して説明する。再開催促処理2では、CPU20は、まずRAM27に記憶されるADFカバー状態に関する設定情報について「閉」と設定し、RAM27に記憶する(S152)。
次に、CPU20は、ADFカバー41が開いた状態であるのか否かを判断する(S154)。具体的には、CPU20は、ADFカバーセンサ49がADFカバー41の開状態を検知してオンしたのか否かを判断する。なお、以下では、S154で実行する処理と同様の処理を、カバー開閉検知処理と称することとする。
CPU20は、S154でADFカバー41が開いた状態であると判断した場合、即ち、ADFカバーセンサ49がADFカバー41の開状態を検知してオンしたと判断した場合(S154:YES)、ADFカバー状態に関する設定情報について「開」と設定してRAM27に記憶し(S156)、S158に移行する。一方、CPU20は、S154でADFカバー41が開いた状態でないと判断した場合、即ち、ADFカバーセンサ49がオフしていると判断した場合(S154:NO)、S164に移行する。
S158では、CPU20は、ジャム解除判断処理を実行する(S158)。CPU20は、S158で原稿のジャムが解除された旨を受け付けたと判断した場合(S158:YES)、S182に移行する。一方、CPU20は、S158で原稿のジャムが解除された旨を受け付けていないと判断した場合(S158:NO)、S160に移行してカバー開閉検知処理を実行する(S160)。
CPU20は、S160でADFカバー41が開いた状態であると判断すると(S160:YES)、S158に戻ってジャム解除判断処理を実行する。一方、CPU20は、S160でADFカバー41が開いた状態でないと判断すると(S160:NO)、ADFカバー状態に関する設定情報について「閉」と設定してRAM27に記憶し(S162)、S154に戻ってカバー開閉検知処理を実行する。
S164では、CPU20は、ジャム解除判断処理を実行する(S164)。CPU20は、S60で原稿のジャムが解除された旨を受け付けたと判断した場合(S160:YES)、既述の通りS182に移行する。一方、ADFカバーセンサ49がオフしていると判断した場合(S154:NO)に戻り、CPU20は、S164で原稿のジャムが解除された旨を受け付けていないと判断した場合(S164:NO)、S166に移行してカバー開閉検知処理を実行する(S166)。
CPU20は、S166でADFカバー41が開いた状態であると判断すると(S166:YES)、S164に戻ってジャム解除判断処理を実行する。一方、CPU20は、S166でADFカバー41が開いた状態でないと判断すると判断すると(S166:NO)、ADFカバー状態に関する設定情報について「閉→開」と設定してRAM27に記憶し(S168)、S170に移行する。
S170では、CPU20は、ジャム解除判断処理を実行する(S170)。CPU20は、S170で原稿のジャムが解除された旨を受け付けたと判断した場合(S170:YES)、S182に移行する。一方、CPU20は、S170で原稿のジャムが解除された旨を受け付けていないと判断した場合(S170:NO)、S172に移行してカバー開閉検知処理を実行する(S172)。
CPU20は、S172でADFカバー41が開いた状態であると判断すると(S172:YES)、S172に戻ってジャム解除判断処理を実行する。一方、CPU20は、S172でADFカバー41が開いた状態でないと判断すると(S172:NO)、ADFカバー状態に関する設定情報について「閉→開→閉」と設定してRAM27に記憶し(S174)、S176に移行する。
S176では、CPU20は、ジャム解除判断処理を実行する(S176)。CPU20は、S176で原稿のジャムが解除された旨を受け付けたと判断した場合(S176:YES)、S182に移行する。一方、CPU20は、S176で原稿のジャムが解除された旨を受け付けていないと判断した場合(S176:NO)、S178に移行してカバー開閉検知処理を実行する(S178)。
CPU20は、S178でADFカバー41が開いた状態でないと判断すると(S178:NO)、S176に戻ってジャム解除判断処理を実行する。一方、CPU20は、S178でADFカバー41が開いた状態であると判断すると(S178:YES)、ADFカバー状態に関する設定情報について「開」と設定してRAM27に記憶し(S180)、S158に移行してジャム解除判断処理を実行する。
以上のように、再開催促処理2では、S158、S164、S170、S176でそれぞれCPU20が実行するジャム解除判断処理において、CPU20が原稿のジャムが解除された旨を受け付けたと判断した場合に、CPU20はS182に移行することとなる。このS182では、CPU20は、RAM27に記憶されているADFカバー状態に関する設定情報をRAM27から読み出し、読み出した設定情報が「開」設定または「閉→開」設定であるのか否かを判断する(S182)。
CPU20は、S182でADFカバー状態に関する読み出した設定情報が「開」設定または「閉→開」設定であると判断すると(S182:YES)、表示部12にエラー状態を示す表示を表示させ(S184)、S158に移行してジャム解除判断処理を実行する。原稿のジャムが解除された旨を受け付けたときに、読み出した設定情報が「開」設定または「閉→開」設定である場合、ADFカバー41は開いた状態となっており、搬送部44で原稿を搬送させることができない。このような場合に、表示部12にエラー状態を示す表示を表示させることで、搬送部44で原稿を搬送させることができないことをユーザに知らせることができる。
一方、CPU20は、S182で読み出したADFカバー状態に関する設定情報が「開」設定または「閉→開」設定でないと判断すると(S182:NO)、次に、S182で読み出したADFカバー状態に関する設定情報が「閉」設定であるのか否かを判断する(S186)。
S186において、CPU20は、S182で読み出したADFカバー状態に関する設定情報が「閉」設定であると判断すると(S186:YES)、上述した原稿有無判断処理1を実行し(S190)、再開催促処理2を終了する。一方、S186において、CPU20は、S182で読み出した設定情報が「閉」設定でないと判断すると(S186:NO)、次述する原稿有無判断処理2を実行し(S188)、再開催促処理2を終了する。
(原稿有無判断処理2)
次に、CPU20がS188で実行する原稿有無判断処理2について図10を参照して説明する。原稿有無判断処理2では、CPU20は、搬送路4内に原稿が残っているのか否かを判断する(S42)。具体的には、CPU20は、リアセンサ48が原稿を検知してオンしているのか否かを判断する。
CPU20は、S42で搬送路4内に原稿が残っていると判断した場合、即ちリアセンサ48が原稿を検知してオンしていると判断した場合(S42:YES)、搬送部44内の原稿有無に関する設定情報について「原稿有」と設定してRAM27に記憶し(S48)、原稿有無判断処理2を終了する。
一方、CPU20は、S42で搬送路4内に原稿が残っていないと判断した場合、即ちリアセンサ48がオフしていると判断した場合(S42:NO)、搬送部44内の原稿有無に関する設定情報について「原稿無」と設定してRAM27に記憶し(S46)、原稿有無判断処理2を終了する。
以上のように、原稿有無判断処理1では、CPU20がリアセンサ48とフロントセンサ47の両者によって搬送部44内の原稿の有無を判断するのに対し、原稿有無判断処理2では、CPU20がリアセンサ48のみで搬送部44内の原稿の有無を判断する。従って、原稿有無判断処理2は、原稿有無判断処理1と比べてCPU20にかかる負荷が低いものとなっている。
(実施形態2の効果)
まず本実施形態のADF読取処理において再開催促処理1が実行される場合の効果について説明する。本実施形態の画像読取装置1は、搬送部44が搬送する原稿が載置される給紙トレイ42と、搬送部44が搬送して読取部7が読み取った原稿を排紙する排紙トレイ43と、給紙トレイ42に載置された原稿の有無を検知して出力するフロントセンサ47と、を備える構成とされている。
そして、本実施形態の画像読取装置1では、CPU20は、原稿のジャムが発生したと判断しから原稿のジャムが解除された旨を受け付けるまでの間に、フロントセンサ47がオフしていると判断することなく原稿を検知してオンしたと判断した場合、再駆動処理の後に搬送部44に残っている原稿を排紙トレイ43に排紙する排紙処理を実行する。換言すれば、CPU20は、原稿のジャムが解除された旨を受け付けたときに、RAM27から読み出したトレイ状態に関する設定情報が「原稿有」設定である場合、再駆動処理の後に搬送部44に残っている原稿を排紙トレイ43に排紙する排紙処理を実行する。
このように原稿のジャム発生の前後で給紙トレイ42に原稿が残っている場合、ユーザが給紙トレイ42に原稿を置き忘れている可能性が高い。そこで、本実施形態の画像読取装置1では、ジャムが解除された後、給紙トレイ42に置き忘れた状態の原稿について排紙処理を実行することで、置き忘れた状態の原稿は排紙トレイ43へ移動して給紙トレイ42に原稿が無い状態になり、その後のADF読取動作を迅速に実行することができる。
また、本実施形態の画像読取装置1では、CPU20は、S10で実行するジャム判断処理で原稿のジャムが発生したと判断してから原稿のジャムが解除された旨を受け付けるまでの間に、フロントセンサ47がオフしていると少なくとも一度判断した場合、排紙処理を実行しないものとされている。換言すれば、CPU20は、原稿のジャムが解除された旨を受け付けたときに、RAM27から読み出したトレイ状態に関する設定情報が「原稿有」設定でない場合、排紙処理を実行しないものとされている。
このような場合、新たな読み取り予定の原稿が給紙トレイ42に載置されている可能性が高く、排紙処理を実行すると、給紙トレイ42に載置された原稿に対して排紙処理を実行することとなる。本実施形態の画像読取装置1では、不要な排紙処理が実行されることを回避することができる。
また、本実施形態の画像読取装置1では、CPU20は、S10で実行するジャム判断処理で原稿のジャムが発生したと判断してから原稿のジャムが解除された旨を受け付けるまでの間に、フロントセンサ47がオフしていると少なくとも一度判断した場合、再駆動処理が実行されないため、遊星ギア17はFB側位置に保持した状態とされる。
ここで、遊星ギア17がFB側位置に保持されていると、排紙処理を実行することはできない。本実施形態の画像読取装置1では、遊星ギア17がFB側位置に保持されることで、不要な排紙処理が実行されることを確実に回避することができるとともに、遊星ギア17が不要にFB側位置へと切り替わることを回避することができる。
また、本実施形態の画像読取装置1では、CPU20は、S10で実行するジャム判断処理で原稿のジャムが発生したと判断してから原稿のジャムが解除された旨を受け付けるまでの間に、フロントセンサ47が原稿を検知してオンし、その後にオフし、原稿のジャムが解除された旨を受け付けたときに、フロントセンサ47が再び原稿を検知してオンした場合、排紙処理を実行しないものとされている。即ち、CPU20は、原稿のジャムが解除された旨を受け付けたときに、RAM27から読み出したトレイ状態に関する設定情報が「原稿有→無→有」設定である場合、排紙処理を実行しないものとされている。
このような場合、ユーザがジャムを解除するときに搬送部44から取り出した原稿を、再び読み取らせるために給紙トレイ47に載置されていた他の原稿群と共に給紙トレイ47に再び載置した可能性が高い。本実施形態の画像読取装置1では、このように再び給紙トレイ47に載置された原稿群について不要な排紙処理が実行されてしまうことを回避することができる。
次に、本実施形態のADF読取処理において再開催促処理2が実行される場合の効果について説明する。本実施形態の画像読取装置1は、搬送部44に設けられ、開閉可能なADFカバー41と、ADFカバー41の開閉状態を検知して出力するADFカバーセンサ49と、を備える構成とされている。
そして、本実施形態の画像読取装置1では、CPU20は、S10で実行するジャム判断処理で原稿のジャムが発生したと判断してから原稿のジャムが解除された旨を受け付けるまでの間に、ADFカバーセンサ49がADFカバー41の閉状態を検知してオンし、その後にオフし、原稿のジャムが解除された旨を受け付けたときに、ADFカバーセンサ49が再びADFカバー41の閉状態を検知してオンした場合、遊星ギア17をFB側位置に保持した状態とする。即ち、原稿のジャムが解除された旨を受け付けたときに、RAM27から読み出したADFカバー状態に関する設定情報が「閉」設定である場合、遊星ギア17をFB側位置に保持した状態とする。
ADFカバー41が一旦開かれた後にジャムが解除された旨を受け付けた場合、ユーザがADFカバー41を開いて搬送部44から原稿を取り出し、ジャムを解除している可能性が高い。このような場合、搬送部44に原稿が残っている可能性は低いので、原稿の有無を複数のセンサで検知する必要性は低い。本実施形態の画像読取装置1によると、不要に複数のセンサで検知することでCPU20に負担がかかることを抑制することができる。
また、本実施形態の画像読取装置1では、CPU20は、S10で実行するジャム判断処理で原稿のジャムが発生したと判断してから原稿のジャムが解除された旨を受け付けるまでの間に、ADFカバーセンサ49がADFカバー41の閉状態を検知してオンし、その後にオフし、原稿のジャムが解除された旨を受け付けたときに、ADFカバーセンサ49が再びADFカバー41の閉状態を検知してオンした場合、排紙処理を実行しないものとされている。
ADFカバー41が一旦開かれた後にジャムが解除された旨を受け付けた場合、上述したように、ユーザがADFカバー41を開いて搬送部44から原稿を取り出し、ジャムを解除している可能性が高い。このような場合、搬送部44に原稿が残っている可能性は低く、排紙処理を実行する必要性は低い。本実施形態の画像読取装置1によると、不要な排紙処理が実行されてしまうことを回避することができる。
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記既述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)上記の各実施形態では、駆動処理において遊星ギアがADF側位置からFB側位置に切り替わる例を示したが、駆動処理は、遊星ギアがFB側位置に切り替わることでFB側伝達ギアと噛み合わされる例に限定されない。駆動処理は、FB側伝達ギアと遊星ギアとが噛み合う方向へモータが駆動されることで、ADF側伝達ギアと遊星ギアとの噛み合わせが解除される処理であればよい。
(2)上記の実施形態2では、S18において、再開催促処理1と再開催促処理2とのいずれか一方の処理が実行される例を示したが、S18において、再開催促処理1と再開催促処理2とが組み合わされて実行されてもよい。
(3)上記の各実施形態では、搬送部にフロントセンサとリアセンサが設けられ、これらのセンサを用いてCPUが搬送部内の原稿の有無を判断する例を示したが、搬送部に他のセンサが設けられていてもよい。この場合、当該他のセンサを用いて、または当該他のセンサを併用してCPUが搬送部内の原稿の有無を判断してもよい。
(4)上記の各実施形態では、S10において、CPUは、リアセンサによってジャムが発生したのか否かを判断する例を示したが、これに限定されない。S10において、CPUは、他の方法によってジャムが発生したのか否かを判断してもよい。
(5)上記の各実施形態では、ユーザによって解除受付キーが押されることでジャムが解除された旨をCPUが受け付ける例を示したが、これに限定されない。他の方法によってジャムが解除された旨をCPUが受け付けてもよい。
(6)上記の各実施形態では、制御部の一例としてCPUを示したが、これに限定されない。制御部は、例えば、ASICを含む複数の回路で構成されていてもよいし、あるいはCPUとその他の個別の回路によって構成されていてもよい。