次に一実施形態について図1から図12を参照して説明する。
1.画像読取装置の外観構成
画像読取装置1は、図3等に示されるように、読取部7、キャリッジ8、自動原稿給紙(オートドキュメントフィーダ:ADF)装置40、および原稿台3等を含む。また、図1に示すように、画像読取装置1の前側には、各種のボタンからなる操作部(受付部の一例)11、および例えば、液晶ディスプレイからなる表示部12が設けられている。操作部11は、読取開始キー11Aおよび電源キー11Bを含む。
画像読取装置1は、画像読取方法として、キャリッジ8を移動させて画像を読取る移動読取(以下、「FB(フラットベッド)読取」と記す)と、搬送部44(図3参照)によって搬送される原稿を読取る搬送読取(以下、「ADF読取」と記す)とを有する。なお、画像読取装置1は、単独のスキャナ装置あるいはコピー機であってもよいし、プリント機能およびFAX機能を備えた、いわゆる複合機の一部であってもよい。
原稿台3には、図2に示すように、ガラスやアクリル等の透明なプラテン3Bにて閉塞された第1読取窓が設けられている。そして、プラテン3Bにより載置面3Aが構成されている。原稿台3の上面側には、ヒンジ機構5Aを介して原稿カバー5が組み付けられている。
このため、原稿カバー5は、図1に示す原稿台3を覆う位置と、図2に示す原稿台3から離間した位置との間で揺動変位できる。なお、FB読取を行う場合には、ユーザが手動操作にて原稿カバー5を上方側に開いて載置面3Aに原稿を載置する必要がある。
また、画像読取装置1は、図2に示されるように、駆動力伝達機構13および負荷発生部25を含む。負荷発生部25は、読取部7に設けられた第1被接触部25Aと、原稿台3に設けられた第1ストッパ部25Bとを有する。
載置面3Aの下方側には、当該載置面3Aに沿って移動する読取部7が設けられている(図3参照)。読取部7は、原稿に照射されて反射した光を受光し、その受光した光に基づいて電気信号を発する。そして、画像読取装置1は、読取部7を介して原稿に記載された文字等の画像を電気信号に変換して画像を読取る。
読取部7は、ここではCIS(Contact Image Sensor)方式で原稿を読取るように構成されている。読取部7は、複数の受光素子が紙面垂直方向に直線状に配列されているリニアイメージセンサ7C、RGB3色の発光ダイオードなどで構成される光源7A、原稿等で反射された反射光をリニアイメージセンサ7Cの各受光素子に結像させるロッドレンズアレイ7Bを含む。
読取部7を保持するキャリッジ8は、歯付ベルト9Aに結合され、歯付ベルト9Aの移動に伴って、矢印A方向またはB方向に移動する。歯付ベルト9Aは、第1歯付プーリ9B(図4参照)を介して、後述する駆動力伝達機構によって駆動される。なお、読取部7はCIS方式に限られず、縮小光学系およびCCD(電荷結合素子)イメージセンサを用いた、いわゆるCCD方式であってもよい。
また、読取部7は、プラテン3Bに載置されている原稿を読取るとき、すなわち、FB読取を実行する時は、歯付ベルト9Aに結合したキャリッジ8によって、待機位置WPからプラテン3Bの盤面に平行な方向(図3中のA方向)に一定速度で搬送されながら原稿を読取る。その際、搬送方向での読取範囲は、例えば、図3に示される読取開始位置PSから読取終了位置PEまでとされる。なお、本実施形態では、読取開始位置PSは原稿の読取範囲に関係なく一定され、読取終了位置PEは原稿の読取範囲に応じて可変される。
一方、読取部7は、ADF装置40によって搬送される原稿を読取るとき、すなわち、ADF読取を実行するときは、キャリッジ8によって第2読取窓3Cの直下の搬送読取位置(以下、「ADF読取位置」と記す)RPに保持されて原稿を読取る。
また、図3に示されるように、第2読取窓3Cの直上には、ADF読取の際に原稿を押える原稿押え部材(搬送時読取部の一例)48が設けられている。すなわち、原稿押え部材48は、ADF読取位置RPで読取部7と対向する位置に設けられている。そのため、読取部7は、ADF読取位置RPに位置し、原稿がない場合、原稿押え部材48を読取る。本実施形態では、原稿押え部材48の読取部7との対向面は、例えば、白色である。そのため、読取部7が原稿押え部材48を読取る場合、白色パターンを読込む。なお、原稿押え部材48の読取部7との対向面は、白色に限られない。
また、図2に示される移動機構9は、原稿台3に固定された第1歯付プーリ9B(図4参照)および第2歯付プーリ9C、並びに第1歯付プーリ9Bと第2歯付プーリ9Cとの間に掛け渡された歯付ベルト9A等を有している。そして、歯付ベルト9Aは、第1歯付プーリ9Bから駆動力を得て回転する。キャリッジ8は、歯付ベルト9Aに連結されている。このため、キャリッジ8は、歯付ベルト9Aの回転方向に応じて移動する。
なお、第2読取窓3Cも、第1読取窓、つまり載置面3Aと同様に、ガラス等の透明なプラテンで閉塞されている。図3に示されるように、載置面3Aと第2読取窓3Cとは、梁状の区画部材3Dにて区画され、第2読取窓3Cは、区画部材3Dと原稿台3の端部3Eとの間に設けられている。
また、図3に示されるように、区画部材3Dには、調整基準板55が設けられている。調整基準板55は、読取時の色彩および濃淡の基準、および読取部7の基準位置を再調整するためのものである。
また、調整基準板55は、例えば、副走査方向(図3の左右方向)に並べられる白テープ(停止マークの一例)55Aと黒テープ(停止マークの一例)55Bとから構成される。本実施形態では、白テープ55Aに対向する、図3の左右方向の範囲内の所定位置が待機位置WPとされる。ここで待機位置WPは、本実施形態では、読取部7がFB読取を実行していない時に、読取部7が待機する位置とされる。また、待機位置WPは、読取部7が読取走査を行う際の基準位置とされる。また、後述するCPU20は、白テープ55Aを読取ったときの読取データを用いて、原稿読取データを補正する。なお、待機位置WPは白テープ55Aに対向した所定位置に限られない。すなわち、待機位置WPは、図3の左右方向において、白テープ55Aと対向する位置と異なる位置とされてもよい。
なお、本実施形態おいて、読取部7が原稿押え部材48を読取る場合の白色パターンの読取データと、白テープ55Aを読取ったときの読取データとは異なるように、原稿押え部材48および白テープ55Aは形成されている。
また、本実施形態では、図3に示されるように、ADF読取位置RP、待機位置WP、読取開始位置PS、および読取終了位置PEは、読取部7の移動方向のA方向において、ADF読取位置RP、待機位置WP、読取開始位置PS、読取終了位置PEの順に並んでいる。
また、原稿カバー5には、図3に示されるように、ADF装置40が設けられている。ADF装置40は、ADFカバー41、原稿トレイ41A、搬送路43、給紙ローラ44A、搬送ローラ44B,44C、給紙ローラ44A、排紙ローラ44D等の各種のローラ、および原稿カバー5の上面を利用した排紙トレイ41Bを含む。ADF装置40は、原稿トレイ41Aに載置されている原稿を一枚ずつ搬送して第2読取窓3C上を通過させ、排紙トレイ41Bに排出する。さらに、搬送ローラ4444B,44Cによって搬送される原稿を検出するための、フォトセンサ等のリアセンサ47と、原稿トレイ41Aにセットされた原稿を検出するための、フォトセンサ等のフロントセンサ49が設けられている。
リアセンサ47は、搬送路43内において、読取部7よりも原稿搬送上流側に設けられている。ここで、給紙ローラ44A、搬送ローラ44B,44C、および排紙ローラ44Dは、原稿を搬送する搬送部の一例に相当する。
2.駆動力伝達機構
2−1.駆動力伝達機構の構成
本実施形態では、1つのモータ31にて移動機構9および搬送部44を駆動している。つまり、駆動力伝達機構13は、モータ31で発生した駆動力、すなわち、モータトルクを選択的に移動機構9または搬送部44に伝達している。
本実施形態に係る駆動力伝達機構13は、図4に示すように、太陽ギア(モータ側伝達ギアの一例)15、遊星ギア(切替ギアの一例)17および噛合部19等を有する遊星ギア機構、キャリッジ側伝達ギア(以下、「FB側伝達ギア」と記す)21、搬送部側伝達ギア(以下、「ADF側伝達ギア」と記す)23を含む。
太陽ギア15は、モータ31(図6参照)が供給する動力を遊星ギア17に伝達する。また、太陽ギア15は、原稿台3に対して変位することなく回転する。そして、太陽ギア15は、モータ31から駆動力を得て回転し、かつ、その回転方向は、モータ31の回転方向に連動して正転または逆転する。すなわち、本実施形態では、モータ31の回転方向と太陽ギア15の回転方向とは、等しい。
FB側伝達ギア(キャリッジ側伝達ギアの一例)21は、FB読取の際に、キャリッジ8にモータ31からの動力を伝達する。一方、ADF側伝達ギア(搬送部側伝達ギアの一例)23は、ADF読取の際に、搬送部44にモータ31からの動力を伝達する。
遊星ギア17は、ADF読取の際に、太陽ギア15とADF側伝達ギア23とを連結する搬送部側位置(以下、「ADF側位置」と記す)でADF側伝達ギア23と噛合い、FB読取の際に、太陽ギア15とFB側伝達ギア21とを連結するキャリッジ側位置(以下、「FB側位置」と記す)でFB側伝達ギア21と噛合うように切替わる。また、遊星ギア17は、太陽ギア15と噛合って回転するとともに、太陽ギア15の回転中心を公転中心として、図4に示すFB側位置と、図5に示すADF側位置との間で公転できる。また、遊星ギア17は、回転中心を中心に自転する。
太陽ギア15が回転すると、遊星ギア17には、遊星ギア17を自転させる力(以下、自転力という)、および遊星ギア17を公転させる力(以下、公転力という。)が作用する。このため、太陽ギア15が正転しているときには、ADF側位置からFB側位置に向かう向き(図4において右周りの向き)の公転力が遊星ギア17に作用する。
一方、太陽ギア15が逆転しているときには、FB側位置からADF側位置に向かう向き(図4において左周りの向き)の公転力が遊星ギア17に作用する。そして、公転力が大きくなると、遊星ギア17は公転力の向きに公転する。一方、公転力が小さいときには、公転することなく自転する。
なお、以下、太陽ギア15が正転しているときに、遊星ギア17が自転する向きを遊星ギア17の正転の向きという。同様に、太陽ギア15が逆転しているときに、遊星ギア17が自転する向きを遊星ギア17の逆転の向きという。なお、太陽ギア15の各回転方向と、遊星ギア17の各回転の向きとは逆になる。
アーム18は、遊星ギア17を自転および公転可能に支持する。そして、アーム18の延び方向一端側は、太陽ギア15と同軸上に回転可能に支持されている。アーム18の延び方向他端側には、遊星ギア17が回転可能に組み付けられている。
また、原稿台3には、アーム18の回転を規制する第2ストッパ部3Hおよび第3ストッパ部3Jが設けられている。一方、アーム18には、第2ストッパ部3Hに接触する第2被接触部18A、および第3ストッパ部3Jに接触する第3被接触部18Bが設けられている。
そして、第2ストッパ部3Hは、図4に示すように、遊星ギア17がFB側位置にある時に第2被接触部18Aに接触してアーム18が紙面右回りに回転することを規制する。一方、第3ストッパ部3Jは、図5に示すように、遊星ギア17がADF側位置にある時に第3被接触部18Bに接触してアーム18が紙面左回りに回転することを規制する。
また、第1バネ16は、遊星ギア17がFB側位置にある時(以下、「FB側位置時」という)、または遊星ギア17がADF側位置にある時(以下、「ADF側位置時」という)に、遊星ギア17の切替えを抑制する。すなわち、第1バネ16は、FB読取の際には、太陽ギア15が逆転しているときに遊星ギア17がFB側伝達ギア21から離間することを抑制する。つまり、第1バネ16は、少なくともFB側位置時に遊星ギア17がADF側位置に公転することを抑制する力(以下、第1抑制力という)を遊星ギア17に作用させる。
なお、本実施形態に係る第1バネ16は引張コイルバネである。そして、第1バネ16の伸張方向一端側は、アーム18のうち揺動中心を挟んで遊星ギア17と反対側に連結され、かつ、その伸張方向他端側は原稿台3に連結されている。
このため、第1バネ16は、また、ADF側位置時には遊星ギア17がFB側位置に公転することを抑制する力(以下、第2抑制力という)をアーム18に作用させる。
ところで、遊星ギア17がADF側位置にあるときには、後述するように、搬送部44に駆動力を伝達しているときであって、太陽ギア15が逆転しているときである。そして、太陽ギア15が逆転しているときには、遊星ギア17をFB側位置からADF側位置に公転させる力が遊星ギア17に作用する。
このため、本実施形態では、少なくとも搬送部44に駆動力を伝達している間、つまり、太陽ギア15が逆転している間は、仮に第2抑制力が無くても、遊星ギア17はADF側位置に止まり続ける。
そこで、本実施形態では、FB側位置時に第1バネ16が遊星ギア17に作用させる公転を抑制する第1抑制力を、ADF側位置時に第1バネ16が遊星ギア17に作用させる公転を抑制する第2抑制力より大きくしている。
具体的には、FB側位置時における第1バネ16の変形量が、ADF側位置時における第1バネ16の変形量より大きくなるように、伸張方向一端、および側伸張方向他端の位置を設定している。
噛合部19は、FB側位置とADF側位置との間を遊星ギア17が公転するときに遊星ギア17の歯と噛合う部位である。そして、本実施形態に係る噛合部19は、内歯ギアにより構成されている。
噛合部19は、図4に示すように、太陽ギア15側に突出した複数の突起部19Aを有し、かつ、それら突起部19Aが遊星ギア17の公転経路に沿って設けられたギアの一種である。
そして、噛合部19は、太陽ギア15に対して移動可能として原稿台3に組み付けられている。なお、本実施形態に係る噛合部19は、太陽ギア15を中心とした遊星ギア17の公転経路に沿った方向に変位可能となっている。そして、噛合部19が移動したときに、噛合部19を移動前の位置に戻す第2バネ19Bが設けられている。
また、ADF側伝達ギア23は、載置面3Aと平行な方向のうち読取部7の移動方向と直交する方向(本実施形態では、前後方向)において、FB側伝達ギア21よりヒンジ機構5A側に配設されている。また、ADF側伝達ギア23は、一方向にのみ回転するギアである。そのため、ADF側伝達ギア23は、搬送部44が原稿を搬送するX方向(図5参照)にだけに回転し逆方向に回転しない逆回転を防止する機構を有する。逆回転を防止する機構としては、例えば、周知の逆回転防止爪(図示せず)を有する。
つまり、図4に示されるように、FB側伝達ギア21は、太陽ギア15を挟んでADF側伝達ギア23と反対側に配設されている。そして、太陽ギア15、遊星ギア17、FB側伝達ギア21およびADF側伝達ギア23の回転軸方向は、載置面3Aと直交している。
また、FB側伝達ギア21は、図4に示すように、遊星ギア17がFB側位置にあるときに遊星ギア17と噛合う。このため、FB側位置時には、太陽ギア15→遊星ギア17→FB側伝達ギア21の順に駆動力が伝達される。そして、FB側伝達ギア21により第1歯付プーリ9Bが駆動されて移動機構9が稼働する。
なお、移動機構9は、太陽ギア15が正転するときには、キャリッジ8、すなわち読取部7を図3のA方向に移動させ、一方、太陽ギア15が逆転するときには読取部7を図3のB方向に移動させる。つまり、読取部7は、太陽ギア15の回転方向に応じて移動する。
ADF側伝達ギア23は、図5に示すように、遊星ギア17がADF側位置にあるときに遊星ギア17と噛合う。このため、ADF側位置時には、太陽ギア15→遊星ギア17→ADF側伝達ギア23の順に駆動力が伝達されて搬送部44が稼働する。
また、図2等に示すように、FB側伝達ギア21の回転抵抗を増大させる負荷発生部25が設けられている。負荷発生部25は、ADF読取位置RPにキャリッジ8、すなわち読取部7が位置したときに、ADF読取位置RP以外の位置に読取部7が位置する場合に比べてFB側伝達ギア21の回転抵抗を増大させる。
すなわち、本実施形態に係る負荷発生部25は、読取部7に設けられた第1被接触部25A、および原稿台3に設けられた第1ストッパ部25Bを有して構成されている。そして、第1被接触部25Aと第1ストッパ部25Bとは、図4に示すように、互いに接触する。
このため、太陽ギア15が逆転しているときに読取部7がADF読取位置RPに位置して第1被接触部25Aと第1ストッパ部25Bとが接触すると、読取部7の移動が規制されるため、FB側伝達ギア21の回転抵抗が増大する。
3.駆動力伝達機構の作動
3.1 FB読取時
画像読取装置1の非稼働時には、読取部7は待機位置WPにあり、遊星ギア17はFB側位置に位置している。そして、例えば、読取開始キー11Aがユーザにより操作されてFB読取が開始されると、CPU20は、モータ31を正回転させて太陽ギア15を正転させる。
これにより、読取部7は、待機位置WPから読取終了位置PEに向けて移動する。このとき、遊星ギア17には、ADF側位置からFB側位置に向かう向きの公転力が作用する。しかし、第2ストッパ部3Hと第2被接触部18Aとが接触しているので、遊星ギア17は公転することなく、FB側位置に止まって正転の向きに自転する。
そして、CPU20(図6参照)は、例えば、モータ31の駆動ステップ数が所定値に達したときに、モータ31を逆回転させて太陽ギア15を逆転させる。さらに、CPU20は、読取部7が待機位置WPに到達したと判断した時にモータ31を停止させる。これにより、読取部7は、読取終了位置側から待機位置WPまで移動する。
太陽ギア15が逆転している場合においては、遊星ギア17には、FB側位置からADF側位置に向かう向きの公転力、つまり遊星ギア17をFB側伝達ギア21から離隔させる向きの公転力が作用する。しかし、第1バネ16により当該公転力が相殺されるので、遊星ギア17は公転することなく、FB側位置に止まって逆の向きに自転する。
3.2 ADF読取時
画像読取装置1の非稼働時には、読取部7は待機位置WPにあり、遊星ギア17はFB側位置に位置している。そして、読取開始キー11Aがユーザにより操作されてADF読取の開始の指示がされると、CPU20は、モータ31を逆回転させて太陽ギア15を逆転させる。
これにより、読取部7、すなわちキャリッジ8は、待機位置WPからADF読取位置RPに移動する。そして、読取部7が搬送読取位置RPに位置して第1ストッパ部25Bと第1被接触部25Aとが接触すると、読取部7の移動が規制されてFB側伝達ギア21の回転抵抗が増大する。
このため、遊星ギア17の自転が妨げられて自転力が小さくなる。一方、遊星ギア17をFB側位置からADF側位置に公転させる向き公転力が増大する。そして、当該公転力が第1バネ16の第1抑制力を上回ると、遊星ギア17と噛合部19とが噛合って、遊星ギア17がADF側位置に公転し始める。
遊星ギア17が公転して第3ストッパ部3Jと第3被接触部18Bとが接触すると、図5に示すように、遊星ギア17の公転が停止するとともに、遊星ギア17とADF側伝達ギア23とが噛合う。このため、搬送部44に駆動力が伝達され、原稿の搬送が開始される。
また、CPU20は、ADF読取が終了したと判断すると、モータ31を正回転させて太陽ギア15を正転させる。これにより、遊星ギア17には、ADF側位置からFB側位置に向かう向きの公転力が作用する。
そして、当該公転力が第1バネ16の第2抑制力を上回ると、遊星ギア17はFB側位置に向けて公転する。遊星ギア17がFB側位置に位置すると、遊星ギア17とFB側伝達ギア21とが噛合うので、読取部7は、ADF読取位置RPから図2のA方向に移動する。
4.画像読取装置の電気的構成
画像読取装置1は、図6に示すように、CPU20(制御部の一例)、ROM26、RAM27、NVRAM(不揮発RAM)28、ネットワークインターフェイス(以下、ネットワークI/Fと記す)24を備え、これらに、読取部7、操作部11、表示部12、カウンタ35、リアセンサ47、フロントセンサ49、およびモータ駆動IC30等が接続される。モータ駆動IC30には、モータ31が接続される。
操作部11は、ユーザの操作によって、プレビュ中において、ユーザからの画質を調整する指示を受付ける。また、操作部11は、ユーザの操作によって、ユーザからのプレビュの終了をCPU20に指示する。
また、ネットワークI/F24は、通信回線(図示せず)を介して外部のユーザコンピュータ(以下、ユーザPCと記す)等に接続され、ネットワークI/F24を介して相互のデータ通信が可能となる。なお、ネットワークI/F(受付部の一例)24を介して、ユーザPCから読取開始指示を受付けることが可能である。
ROM26には、画像読取装置1の動作を制御するための各種のプログラムが記憶されており、CPU20は、ROM26から読み出したプログラムに従って、その処理結果をRAM27またはNVRAM28に記憶させながら、各部の制御を行う。また、例えば、ROM26には、モータ31をステップ駆動するためのステップ数等が記憶されている。
モータ31は、ステッピングモータである。また、モータ駆動IC30は、CPU20の制御に応じて、モータ31を駆動制御する。カウンタ35は、例えば、モータ31を制御する際のステップ数をカウントする。
CPU20は、モータ駆動IC30を制御して、モータ31のトルクおよび回転方向等を制御する。モータ駆動電流とモータトルクとは比例関係にあり、駆動電流を増加させることでモータトルクを大きくすることができる。あるいは、駆動速度とモータトルクとは反比例関係にあり、駆動速度を低下させることでモータトルクを大きくすることができる。
5.遊星ギアの位置判断処理
次に、図7から図12を参照して、遊星ギア17の位置判断処理について説明する。なお、本実施形態では、ADF読取の指示がなされた場合において、遊星ギア17がADF側位置からFB側位置に切替えられる場合を例に、遊星ギア17の位置判断処理について説明する。
なお、遊星ギア17の位置判断処理において、図7に示す駆動テーブルに基づいて、モータ31のトルクが可変される。そのため、まず、駆動テーブルについて説明する。
5−1.駆動テーブル
図7に示す駆動テーブル28Aには、モータ駆動条件として、駆動電流値および回転速度が記憶されている。ここで、電流値としては、モータ駆動信号のデューティ比(%)が記憶されている。
周知のように、駆動電流値とモータトルクとは比例関係にあり、駆動電流値を増加させることでモータトルクを大きくすることができる。また、回転速度とモータトルクとは反比例関係にあり、回転速度を低下させることでモータトルクを大きくすることができる。
5−2.ADF読取処理の概要
まず、図8を参照して、ADF読取処理の概要を説明する。ADF読取処理は、例えば、ユーザによって原稿トレイ41Aに原稿が載置され、読取開始キー11Aが押された際に、ROM26に記憶された所定のプログラムに基づいて、CPU20によって実行される。
ユーザによって読取開始キー11Aが押されると、CPU20は、例えば、モータ31を所定ステップ数、逆回転させて、キャリッジ8を待機位置WPからADF読取位置RPに移動させる(ステップS10)。
次いで、CPU20は、さらにモータ31を所定ステップ数、逆回転させて、遊星ギア17をFB側位置からADF側位置に切替える切替処理を行う(ステップS15)。その際、CPU20は、駆動テーブル28Aの「駆動切替テーブルTB1」に応じて各部を制御する。
次いで、CPU20は、さらにモータ31を所定ステップ数、逆回転させて、搬送部44によって原稿を搬送させてADF読取を行い(ステップS20)、原稿を排紙トレイ41Bに排紙する(ステップS25)。
次いで、CPU20は、ステップS30において、ADF読取からFB読取へのモータ31の駆動切替処理(以下、FB駆動切替処理と記す:駆動処理の一例)を行う。FB駆動切替処理において、CPU20は、遊星ギア17がADF側位置からFB側位置に切替わる方向へモータ31を駆動する。ここでは、CPU20は、モータ31を所定ステップ数、正回転させて、遊星ギア17をADF側位置からFB側位置に切替える。ステップS30のFB駆動切替処理に関しては、以下で詳述する。
次いで、CPU20は、ラフ検出処理を行う(ステップS40)。ラフ検出処理では、キャリッジ8が白テープ55Aと黒テープ55Bとの境界である白黒境界BPの近傍にあるか否かの、概略的な検出が行われる。その際、CPU20は、駆動テーブル28Aの「ラフ検出テーブルTB2」に応じて各部を制御する。
次いで、CPU20は、ラフ検出が成功したか否かを、読取部7の検出データに基づいて判断する(ステップS45)。ラフ検出に成功しなかったと判断した場合(ステップS45:NO)、CPU20は、例えば、表示部12にラフ検出のエラー表示を行う(ステップS50)。一方、ラフ検出に成功したと判断した場合(ステップS45:YES)、CPU20は、詳細検出処理を行う(ステップS55)。
詳細検出処理では、キャリッジ8が白黒境界BPの近傍にあるか否かの、より正確な検出が行われる。その際、CPU20は、駆動テーブル28Aの「詳細検出テーブルTB3」に応じて各部を制御する。
次いで、CPU20は、詳細検出が成功したか否かを、読取部7の検出データに基づいて判断する(ステップS60)。詳細検出に成功しなかったと判断した場合(ステップS60:NO)、ステップS40の処理に戻り再度、ラフ検出および詳細検出を実行する。一方、詳細検出に成功したと判断した場合、すなわち、キャリッジ8が白黒境界BPにあると判断した場合(ステップS60:YES)、CPU20は、待機位置移動処理を行う(ステップS65)。
待機位置移動処理では、キャリッジ8が、白黒境界BPから待機位置WPに移動される。その際、CPU20は、例えば、駆動テーブル28Aの「FB移動テーブルTB4」に応じて各部を制御する。なお、本実施形態では、上記したように、待機位置WPは白テープ55Aの位置とされる。詳しくは、図3に示されるように、待機位置WPは、白テープ55Aの、図3に示される左右方向の範囲内の所定位置とされる。
5−3.FB駆動切替処理
次に、図9から図12を参照して、ステップS30の、FB駆動切替処理に関する各実施例を説明する。
5−3−1.実施例1
図9に示される実施例1のFB駆動切替処理において、CPU20は、モータの回転方向を正回転に設定し(ステップS305)、駆動テーブルを「駆動切替テーブルTB1」に設定する(ステップS310)。これによって、電流値が80(%)に、回転速度が547.1(rpm)にそれぞれ設定される。この設定によってモータ31が駆動されることによって、モータトルクが「大」となる。
この場合、駆動テーブル「駆動切替テーブルTB1」におけるモータトルクは、第1バネ16による遊星ギア17の公転抑制力より、ADF側伝達ギア23からの反作用力の方か大きくなるように、実験によって事前に決定される。それによって、遊星ギア17がADF側伝達ギア23から切離される。
なお、ADF側伝達ギア23からの反作用力は、ADF側伝達ギア23は一方向(X方向)にしか回転できない構成であるため、遊星ギア17が自転しようとすると、遊星ギア17は、ADF側伝達ギア23から自転力とほぼ反対方向の反発力を受ける。
このように、遊星ギア17の切替えの際に、回転が抑制されたADF側伝達ギア23から遊星ギア17に反作用力を利用することによって、遊星ギア17の回転がモータ31の回転から脱調することなく、好適に遊星ギア17をADF側位置からFB側位置に切替えることができる。
なお、ここで、回転速度「547.1(rpm)」は、「判断処理において切替ギアがキャリッジ側位置に位置しないと判断される際のキャリッジを移動させる速度」の一例に相当する。また、第1バネ16は、回転速度「547.1(rpm)」より大きい回転速度に対応したモータ31の回転速度において、切替ギア17の切替を抑制できる。言い換えれば、回転速度「547.1(rpm)」におけるモータトルクより小さいモータトルクに対して、第1バネ16は、切替ギア17の切替を抑制できる。そのため、「547.1(rpm)」以下の回転速度では、モータトルクが増加するため、第1バネ16は、切替ギア17の切替を抑制できず、切替ギア17の切替が可能になる。
次いで、CPU20は、読取部7を制御して、読取部7に読取を開始させる(ステップS315:読取処理の一例)。このとき、読取部7はADF読取位置RPにあるため、原稿押え部材48の白パターンを読取る。
次いで、CPU20は、「駆動切替テーブルTB1」に応じて各部を制御し、モータ31の回転を開始させる(ステップS320)。そして、CPU20は、原稿押え部材48の読取データと、今回読取った読取データとが異なるか否かを判断する(ステップS325:判断処理の一例)。原稿押え部材48の読取データと今回読取った読取データとが異ならない、すなわち、原稿押え部材48の読取データと今回読取った読取データとが同一であると判断した場合(ステップS325:NO)、モータ31の回転を継続させ、読取部7による読取動作を継続する。
一方、読取部7が、今回、例えば白テープ55Aと第2読取窓3Cとの間に位置する区画部材3D(図3参照)を読取り、原稿押え部材48の読取データと、今回読取った読取データとが異なると判断した場合、ステップS325:YES)、遊星ギア17がADF側位置からFB側位置に切替り、キャリッジ8が移動したと判断する。なお、本実施形態において、区画部材3Dは、例えば、樹脂によって形成され、その色は、グレーあるいは黒である。
ここで、原稿押え部材48の白パターンの読取データと、今回読取った読取データとが異なるためには、キャリッジ8がADF読取位置RPから移動されている必要があり、また、キャリッジ8の移動のためには、前提条件として、切替ギア17がFB側位置に位置する必要がある。そのため、原稿押え部材48の白パターンの読取データと、今回読取った読取データとが異なると判断したことによって、CPU20は、切替ギア17がFB側位置に位置すると判断する。
そして、CPU20は、モータ31の回転を停止させ(ステップS330:変更処理の一例)、駆動テーブルを「FB移動テーブルTB4」に設定する(ステップS335:変更処理の一例)。これによって、電流値が40(%)に、回転速度が1015.5(rpm)にそれぞれ設定される。この設定によってモータ31が駆動されることによって、モータトルクが「小」となる。ここで、モータトルクを「大」から「小」に切替えるのは、モータ31の回転数を増加させキャリッジ8の移動を速めるとともに、キャリッジ8の移動には、遊星ギア17の切替えと比べて、小さな駆動力で済むからである。
このように、切替ギア17がFB側位置に位置すると判断する場合、駆動テーブルを変更することによってモータ31の動作を変更することにより、すなわち、切替ギア17の切替中と、切替ギア17の切替後とでモータ31の制御を変えることにより、キャリッジ8の移動を詳細に制御することができる。
また、切替ギア17がADF側位置からFB側位置に切替わったと判断する場合、CPU20は、モータ31の回転速度を、「547.1(rpm)」から「1015.5(rpm)」に速める。そのため、キャリッジ8を移動させる速度を速くすることにより、目標とする位置、例えば、待機位置WPにより速くキャリッジ8を移動させることができる。なお、ここで、切替ギア17がADF側位置からFB側位置に切替わったことは、切替ギア17がFB側位置に位置することを意味する。
また、CPU20は、モータ31の回転を停止させてキャリッジ8の移動を停止させた後、駆動テーブルを変更し、モータ31の回転速度を変更する。そのため、キャリッジ8の移動を停止させることで、速度を変更するための時間を確保することができ、キャリッジ8を移動させる速度を変更しやすくなる。
次いで、CPU20は、「FB移動テーブルTB4」に応じて各部を制御し、モータ31の回転を開始させる(ステップS340)。次いで、CPU20は、所定ステップ数SN1、モータ31が回転したか否かをカウンタ35のカウント値に基づいて、判断する(ステップS345)。所定ステップ数SN1、モータ31が回転したと判断した場合(ステップS345:YES)、キャリッジ8が白テープ55Aの位置からさらにA方向の所定位置に移動したとして、CPU20は、モータ31の回転を停止させて(ステップS350)、ステップS30のFB駆動切替処理を終了する。
一方、所定ステップ数SN1、モータ31が回転していないと判断した場合(ステップS345:NO)、CPU20は、キャリッジ8が所定位置に移動していないとして、所定ステップ数SN1、モータ31が回転するまで、モータ31を回転させる。なお、所定ステップ数SN1は、例えば、キャリッジ8を、ADF読取位置RPから白テープ55Aの位置からさらにA方向の所定位置に移動させるステップ数として、事前に実験等によって決定され、ROM26に記憶されている。
5−3−2.実施例2
次に図10を参照して、FB駆動切替処理の実施例2を説明する。実施例2では、ADF側位置からFB側位置へ遊星ギア17が切替わる前にADF読取の指示を受付けた場合の例を説明する。なお、実施例1と同一の処理には同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。
実施例2では、CPU20は、ステップS320においてモータ31の正回転を開始した後において、操作部11あるいはネットワークI/F24を介して、ADF側位置からFB側位置へ遊星ギア17が切替わる前にADF読取の指示があったか否かを判定する(ステップS405)。ADF読取の指示がなかったと判定する場合(ステップS405:NO)、CPU20は、原稿押え部材48の読取データと、今回読取った読取データとが異なるか否かを判断する(ステップS325A:判断処理の一例)。
原稿押え部材48の読取データと、今回読取った読取データとが同一であると判断した場合(ステップS325A:NO)、CPU20は、読取部7による読取動作を継続させ、ステップS405の処理に戻る。一方、原稿押え部材48の読取データと、今回読取った読取データとが異なると判断した場合(ステップS325A:YES)、実施例1のステップS325と同様に、遊星ギア17がADF側位置からFB側位置に切替り、キャリッジ8が移動したと判断する。すなわち、遊星ギア17がFB側位置にあると判断する。以後、実施例1と同様に、図9のステップS330からステップS350の処理を行う。
一方、ステップS405において、ADF読取の指示があったと判定する場合(ステップS405:YES)、CPU20は、モータ31の回転を停止させ、続いて、遊星ギア17をADF側位置に戻すためにモータ31を逆回転させる(ステップS410)。続いて、CPU20は、図8のステップS15の処理に戻り、ADF読取への駆動切替処理を行う。
実施例2のように、ADF側位置からFB側位置へ遊星ギア17が切替わる前にADF読取の指示を受付けた場合には、遊星ギア17をADF側位置に移動させた方が、指示されたADF読取を開始するまでの時間を短縮することができる。
5−3−3.実施例3
次に図11を参照して、FB駆動切替処理の実施例3を説明する。実施例3では、FB駆動切替処理のためにモータ31を所定ステップ回転させた後に読取処理を開始する例を説明する。なお、実施例1と同一の処理には同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。
実施例3では、CPU20は、ステップS320においてモータ31の正回転を開始した後において、所定ステップ数SN2、モータ31が回転したか否かをカウンタ35のカウント値に基づいて、判断する(ステップS505)。所定ステップ数SN2、モータ31が回転していないと判断した場合(ステップS505:NO)、CPU20は、遊星ギア17がADF側位置からFB側位置にまだ切替わっていないとして、所定ステップ数SN2、モータ31が回転するまで、モータ31を回転させる。
所定ステップ数SN2、モータ31が回転したと判断した場合(ステップS505:YES)、遊星ギア17がADF側位置からFB側位置に切替わったとして、CPU20は、読取部7を制御して、原稿押え部材48の白パターンの読取を開始させる(ステップS510:読取処理の一例)。以後、CPU20は、実施例1と同様に、図9のステップS325からステップS350の処理を行う。
なお、所定ステップ数SN2は、例えば、遊星ギア17をADF側位置からFB側位置に切替えるステップ数(以下、切替ステップ数という)として、事前に実験等で決定され、ROM26に記憶されている。なお、所定ステップ数SN2は、切替ステップ数に限られない。例えば、所定ステップ数SN2は、切替ステップ数の3分の2のステップ数であってもよいし、原稿押え部材48の白パターンの読取データと、今回読取った読取データとが同一であるとCPU20が判断できる状態であれば、切替ステップ数以上のステップ数であってもよい。
このように、実施例3では、CPU20は、ADF側位置からFB側位置へ遊星ギア17の切替えを開始させてから、カウント35が所定ステップ数SN2、カウントした後に、原稿押え部材48の白パターンを読取る読取処理を実行する。それによって、読取部7を駆動するための電力を減らすことができる。
すなわち、原稿押え部材48の読取は、遊星ギア17がADF側位置からFB側位置に切替り、キャリッジ8が移動を開始し、読取部7が原稿押え部材48と対向する位置から離れる直前までに行われればよい。そのため、遊星ギア17のADF側位置からFB側位置への切替中に原稿押え部材48が読取られなくてもよく、読取部7を駆動させる必要はない。
5−3−4.実施例4
次に図12を参照して、FB駆動切替処理の実施例4を説明する。実施例4では、読取部7が白テープ55Aの画像を読取ったことによって切替ギア17がFB側位置に位置すると判断される例を説明する。なお、実施例1と同一の処理には同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。
実施例4では、CPU20は、図9のステップS325からステップS350までの処理に代えて、図12に示すように、ステップS605からステップS615までの処理を実行する。
すなわち、図12のステップS320の処理においてモータ31の正回転を開始した後において、CPU20は、ステップS325の判断処理に代えて、今回読取った読取データが、白テープ(移動時読取部材、停止マークの一例)55Aを読取ったときの読取データと等しいか否かを判断する(ステップS605:判断処理の一例)。
今回の読取データが白テープ55Aの読取データと異なると判断した場合(ステップS605:NO)、CPU20は、モータ31の正回転を継続させ、読取部7による読取動作を継続する。一方、今回の読取データが白テープ55Aの読取データと等しいと判断した場合(ステップS605:YES)、CPU20は、切替ギア17がFB側位置に位置すると判断するとともに、さらにモータ31を正回転させ、所定ステップ数SN3、モータ31が回転したか否かをカウンタ35のカウント値に基づいて、判断する(ステップS610)。
所定ステップ数SN3、モータ31が回転したと判断した場合(ステップS610:YES)、キャリッジ8が白テープ55Aの位置からさらにA方向の所定位置に移動したとして、CPU20は、モータ31の回転を停止させて(ステップS615)、ステップS30のFB駆動切替処理を終了する。
一方、所定ステップ数SN3、モータ31が回転していないと判断した場合(ステップS610:NO)、CPU20は、キャリッジ8が所定位置に移動していないとして、所定ステップ数SN3、モータ31が回転するまで、モータ31を回転させる。
ここで、所定ステップ数SN3は、例えば、キャリッジ8を、白テープ55Aの位置からさらにA方向の所定位置に移動させるステップ数として、予め実験等によって決定され、ROM26に記憶されている。なお、所定ステップ数SN3は、キャリッジ8を、ADF読取位置RPから白テープ55Aの位置からさらにA方向の所定位置に移動させる、上記実施例1のステップ数SN1としてもよい。
ここで、今回の読取データが白テープ55Aの読取データである場合、原稿押え部材48の白パターンの読取データと今回読取った読取データとは異なる。また、キャリッジ8がADF読取位置RPから白テープ55Aと対向する位置まで移動されている必要がある。さらに、キャリッジ8の移動のためには、前提条件として、切替ギア17がFB側位置に位置する必要がある。そのため、実施例4のステップS605の判断処理において、今回の読取データが白テープ55Aの読取データであると判断したことによって、CPU20は、切替ギア17がFB側位置に位置すると判断できる。
また、その際、読取部7が白テープ55Aの画像を読取ったことによって切替ギア17がFB側位置に位置すると判断する場合、ステップS615の処理(変更処理の一例)において、モータ31が停止される。それによって、モータ31の回転方向を変更して、目標とする位置、例えば、待機位置WPにキャリッジ8を停止させることができる。
なお、キャリッジ8を停止させる停止位置を示す停止マークは、白テープ55Aに限られず、例えば、停止マークを、白テープ55Aおよび黒テープ55Bとし、停止位置を白黒境界BPとしてもよい。
また、ステップS605とステップS610の間に、実施例1と同様に、図9のステップS330からステップS340の処理を実行し、駆動テーブルを変更するようにしてもよい。
6.実施形態の効果
本実施形態では、上記したように、CPU20は、ADF読取処理において、遊星ギア17をADF側位置からFB側位置へ切替る際に、原稿押え部材48の白パターンのデータと、今回読取った読取データとが異なると判断した場合(ステップS325:YES)、あるいは、白テープ55Aを読取対象としたときの読取データを取得した場合(ステップS605:YES)に、切替ギア17がADF側位置からFB側位置へ切替り、切替ギア17がキャリッジ側位置に位置すると判断する。そのため、原稿押え部材48の白パターンのデータと異なる読取データを取得することによって、あるいは、白テープ55Aを読取対象としたときの読取データを取得することによって、切替ギア17についてFB側位置とADF側位置とを切替える構成において、切替ギア17がFB側位置に位置することを判断できる。
また、CPU20は、遊星ギア17をADF側位置からFB側位置に切替える切替処理において、ステップS325あるいはステップS405の判断処理を実行する。そのため、切替処理時において、例えばモータ31のトルクが不足することによって遊星ギア17がFB側位置に位置するか判断しにくい場合においても、遊星ギア17がFB側位置に位置するか否かを判断できる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態においては、白テープ55Aを読取対象としたときの読取データを取得した場合に、遊星ギア17がFB側位置に位置すると判断する判断処理を、実施例4のステップS605に示したように、ADF読取からFB読取へのモータ31の駆動切替処理において実行する例を示したが、これに限られない。例えば、判断処理をFB読取の間に行うようにしてもよい。
要は、CPU20は、読取部7による読取動作を行う読取処理において、白テープ55A(移動時読取部材の一例)を読取対象としたときの読取データを取得した場合に、遊星ギア17がFB側位置に位置すると判断する判断処理を実行する構成であればよい。この場合、FB読取とADF読取とにおいてモータ31を共通化する構成において、すなわち、遊星ギア17についてFB側位置とADF側位置とを切替える構成において、遊星ギア17がFB側位置に位置することを判断できる。
(2)上記実施形態においては、図8に示すように、ステップS30のFB読取への駆動切替処理の後に、キャリッジ8を待機位置WPに移動させ停止させる際に、ステップS40、S45およびS50の「ラフ検出」に係る処理を行う例を示したが、これに限られず、「ラフ検出」に係る処理を省略してもよい。
例えば、実施例1のステップS345に代えて、CPU20は、白テープ55Aと黒テープ55Bとの境界である白黒境界BP(停止マークの一例)を検出する検出処理を行う。そして、CPU20は、ステップS350において、モータ31の回転を停止して、モータ31の回転を逆回転させる。そして、図8のステップS55,S60およびS65の処理によって、検出処理で検出した白黒境界BPに基づく停止位置である待機位置WP(停止マークに基づく位置の一例)にキャリッジ9を移動させて停止させる(停止処理の一例)。このように処理することによって、「ラフ検出」に係る処理を省略できる。
このように「ラフ検出」に係る処理を省略することによって、遊星ギア17がFB側位置に切替わった後、停止マークに基づく位置にキャリッジ8を停止させるまでの時間を短くすることができる。
(3)CPU20は、判断処理として、原稿押え部材48を読取対象としたときの読取データを取得した後において、取得した前記読取データと異なる読取データを取得した場合、遊星ギア17がADF側位置からFB側位置に切替わったと判断する判断処理を実行するようにしてもよい。
原稿押え部材48を読取対象としたときの読取データを取得した後において、原稿押え部材48の読取データと異なる読取データを取得するためには、キャリッジ8の移動によって読取部7が移動する必要がある。また、キャリッジ8の移動には、遊星ギア17がADF側位置からFB側位置に切替わっていることが必要である。そのため、原稿押え部材48を読取対象としたときの読取データと、その後において取得した読取データとが異なることによって、遊星ギア17がADF側位置からFB側位置に切替わったことを、好適に判断できる。
(4)上記実施形態においては、モータ側伝達ギアおよび切替ギアとして、遊星ギア機構における太陽ギア15および遊星ギア17を使用する例を示したが、これに限られない。モータ側伝達ギアとして、太陽ギアと異なるギアを使用し、また、切替ギアとして、モータ側伝達ギアとFB側伝達ギア21とを連結するFB側位置と、モータ側伝達ギアとADF側伝達ギア23とを連結するADF側位置とに切替わる他の構成が使用されてもよい。
(5)上記実施形態においては、モータ制御部および判断部の一例としてCPU20を示したが、これに限られない。モータ制御部および判断部は、例えば、ASICを含む複数の回路で構成されてもよいし、あるいはCPUとその他の個別の回路とによって構成されてもよい。