JP6141121B2 - 外装材 - Google Patents

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Description

本発明は、家屋の外壁を形成する際などに用いられる外装材に関する。
従来より、基板の表面に多数のブロック状凸部を設けて形成される外装材が提案されている(特許文献1参照)。このような外装材は、セメント等を含む無機成形材料で平板状の基板を形成し、この基板の表面に金型を押し付けてプレス成形することにより、正面視で横長矩形状のブロック状凸部を形成するものである。隣り合うブロック状凸部の間には目地状凹部が形成されている。またブロック状凸部の周端面は、意匠性の向上や脱型性等を考慮して、傾斜面に形成されている。すなわち、ブロック状凸部はその頂面から目地状凹部に向かって下り傾斜するように形成され、ブロック状凸部の断面は略台形に形成されている。ここで、ブロック状凸部の傾斜面はそのほとんど全部が上記プレス成形により形成されるが、基板の端部(主として基板の長手方向に沿った端部)に形成されるブロック状凸部の外側(外方に向く傾斜面)の傾斜面は基板の幅寸法を切断や切削加工により所定寸法に最終調整した後に切削加工により形成される。
特開2012−107470号公報
しかし、プレス成形で形成されるプレス傾斜面と、切削加工により形成される切削傾斜面とは外観が異なる。切削傾斜面はプレス傾斜面に比べて表面の凹凸が少なくフラットなために、光の当たり方によって、切削傾斜面はプレス傾斜面とは色が異なって見えることになる。従って、外装材に形成される傾斜面の大部分をプレス傾斜面とし、一部の傾斜面を切削傾斜面とすると、外装材を縦横に並べて施工した場合に、切削傾斜面が並んで配置されることになり、違和感のある線状あるいは筋状部分が生じることがあった。例えば、基板の周端部にある傾斜面を切削傾斜面とし、残りの傾斜面をプレス傾斜面とした場合に、外装材を横張りで施工すると、隣接する外装材の接続部分(目地部分)が、上下方向の一定の間隔で並ぶ横方向に長い線状あるいは筋状部分としてプレス傾斜面と著しく異なって見えて外観不具合となる場合があった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、施工時の外観の不具合を少なくすることができる外装材を提供することを目的とするものである。
本発明に係る外装材は、複数のブロック状凸部が基板の表面に形成され、前記複数のブロック状凸部は縦寸法が略同等で、施工した際に横方向に並ぶように形成され、上下に隣接する前記基板の上端と下端とが接続されて施工される外装材であって、
前記各ブロック状凸部の周端面は傾斜面として形成され、前記傾斜面はプレス成形により形成されるプレス傾斜面と、切削加工に形成される切削傾斜面とからなり、
前記基板の上端部に形成されたブロック状凸部の上側の傾斜面と前記基板の下端部に形成されたブロック状凸部の下側の傾斜面との少なくとも一方が前記切削傾斜面として形成され、
横一列分の切削傾斜面の面積が、横一列分のプレス傾斜面の面積に対して60〜95%であり、
前記横一列分の切削傾斜面の面積は、横方向に略一直線上に並んでいる複数の切削傾斜面の面積の合計であり、
前記横一列分のプレス傾斜面の面積は、横方向に略一直線上に並んでいる複数のプレス傾斜面の面積の合計であって、前記基板に形成された全列の横一列分のプレス傾斜面の面積の平均である
ことを特徴とするものである。
本発明にあっては、前記切削傾斜面の高さ寸法を前記プレス傾斜面に比べて低く形成することが好ましい。
本発明にあっては、前記切削傾斜面の長さ寸法を前記プレス傾斜面に比べて短く形成することが好ましい。
本発明は、横一列分の切削傾斜面の面積が、横一列分のプレス傾斜面の面積に対して60〜95%であるので、横一列分の切削傾斜面の面積が、横一列分のプレス傾斜面の面積よりも小さくなって、切削傾斜面がプレス傾斜面よりも目立ちにくくなるものである。
本発明の実施の形態の一例を示す斜視図である。 同上の一部を示す正面図である。 同上の一部を示し、(a)及び(b)は正面図である。 同上の接続状態の一部を示す断面図である。 従来例の接続状態の一部を示す正面図である。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
本実施の形態の外装材Aは、図1に示すように、基板1の表面に複数のブロック状凸部2を設けて形成されている。
基板1は、セメントなどの水硬性材料と珪石粉などの骨材とパルプなどの補強繊維などを含有する無機成形材料を平板状に成形して形成されている。基板1は正面視で横長矩形状に形成されているが、縦長矩形状に形成されていてもよい。例えば、基板1の横方向(水平方向)の長さは303〜3030mm、基板1の縦方向(上下方向)の長さは100〜3030mmにされている。基板1の下端部の裏面には実凹部10が形成されている。基板1の上端には実凸部11が突設されている。尚、実凹部10及び実凸部11は形成されていなくても良い。
ブロック状凸部2は、基板1の表面に一体的に形成されている。ブロック状凸部2は正面視で横長の略矩形状に形成されている。またブロック状凸部2は断面を略台形状に形成されている。縦方向及び横方向に隣り合うブロック状凸部2、2の間には目地状凹部3が形成されている。ブロック状凸部2の厚み寸法(目地状凹部3の底面からブロック状凸部2の頂面12までの寸法)は、例えば、2〜7mmに形成されている。ブロック状凸部2の正面視における縦寸法は基板の長手方向に並ぶブロック状凸部2で略同等であり、例えば、12〜110mmに形成されている。目地状凹部3の幅寸法(平面視において最も狭い部分の溝幅寸法)は、例えば、0〜10mmに形成されている。
図2に示すように、ブロック状凸部2の周端面(四個の端面)は傾斜面4として形成されている。傾斜面4は、ブロック状凸部2の頂面12の端縁からブロック状凸部2の周囲(外方)に広がるように形成されている。頂面12と傾斜面4との間の角度は、部分的に異なって一定ではないが、95〜175°、好ましくは120〜150°に形成することができる。複数のブロック状凸部2は横方向において目地状凹部3を介して連続して略一直線上に並んで配置されている。複数のブロック状凸部2は縦方向においては目地状凹部3を介して連続して略一直線上に並んで配置されていてもよいし、あるいは略一直線上に並ばないように配置(例えば、千鳥配置)されていてもよい。
ブロック状凸部2はプレス成形により形成することができる。すなわち、ブロック状凸部2と目地状凹部3に対応する凹凸面を有するプレスロールなどの成形具を、硬化前の基板1の表面に押圧してプレスすることにより、ブロック状凸部2と目地状凹部3とを形成することができる。ここで、ほぼ全部のブロック状凸部2の傾斜面4は上記プレス成形で形成されるプレス傾斜面4aとして形成されているが、一部のブロック状凸部2の傾斜面4は切削加工により形成される切削傾斜面4bとして形成される。
プレス傾斜面4aは、目地状凹部3から頂面12までの寸法(距離)を一定に形成することができる。またプレス傾斜面4aは、目地状凹部3から頂面12までの寸法(距離)を一定に形成しなくてもよく、この場合、目地状凹部3とプレス成形面4aの境界線は直線状に形成されるが、頂面12とプレス成形面4aの境界線は屈曲するなどして直線状に形成されない。なおこの形態に限られるものではなく、目地状凹部3とプレス成形面4aの境界線は僅かに曲線状に形成されていてもよく、頂面12とプレス成形面4aの境界線は直線状に形成されていてもよい。
切削傾斜面4bを形成するにあたってはダイヤモンドカッター等の切削工具が用いられる。切削傾斜面4bは、基板1の上端部に形成されたブロック状凸部2の上側の傾斜面4と、基板1の下端部に形成されたブロック状凸部2の下側の傾斜面4との少なくとも一方に形成されている。すなわち、切削傾斜面4bは、基板1の最も上端部に形成されるブロック状凸部2aに形成することができる。この場合、ブロック状凸部2aの上側の傾斜面(基板1の上端縁部の方にある傾斜面)4を切削傾斜面4bとすることができる。また、切削傾斜面4bは、基板1の最も下端部に形成されるブロック状凸部2bに形成することができる。この場合、ブロック状凸部2bの下側の傾斜面(基板1の下端縁部の方にある傾斜面)4を切削傾斜面4bとすることができる。また、切削傾斜面4bは、基板1の最も上端部に形成されるブロック状凸部2aと、基板1の最も下端部に形成されるブロック状凸部2bとの両方に形成することができる。この場合、基板1の最も上端部に形成されるブロック状凸部2aの上側の傾斜面4を切削傾斜面4bとし、基板1の最も下端部に形成されるブロック状凸部2bの下側の傾斜面4を切削傾斜面4bとすることができる。
上記のように切削傾斜面4bを形成した場合、外装材Aの上端部又は下端部あるいはその両方に、横方向に略一直線上に並ぶ複数の切削傾斜面4bからなる切削傾斜面列40bが形成される。また外装材Aの切削傾斜面列40bを形成した以外の箇所に、横方向に略一直線上に並ぶ複数のプレス傾斜面4aからなるプレス傾斜面列40aが形成される。そして、横一列分の切削傾斜面4bの面積は、横一列分のプレス傾斜面4aの面積に対して60〜95%に形成されている。ここで、横一列分の切削傾斜面4bの面積とは、一つの切削傾斜面列40bを構成している複数の切削傾斜面4bの面積の合計である。言い換えれば、横方向に略一直線上に並んでいる複数の切削傾斜面4bの面積の合計である。また、横一列分のプレス傾斜面4aの面積とは、一つのプレス傾斜面列40aを構成している複数のプレス傾斜面4aの面積の合計である。言い換えれば、横方向に略一直線上に並んでいる複数のプレス傾斜面4aの面積の合計である。外装材Aに複数のプレス傾斜面列40aが形成されている場合は、全列の横一列分のプレス傾斜面列40aの面積の算術平均値を求めて、この算術平均値を横一列分のプレス傾斜面4aの面積とするのが好ましい。
横一列分の切削傾斜面4bの面積が、横一列分のプレス傾斜面4aの面積に対して60%未満であると、切削傾斜面4bの面積が少なすぎて、ブロック状凸部2による凹凸感が損なわれて外装材Aの意匠性が低下するおそれがある。また横一列分の切削傾斜面4bの面積が、横一列分のプレス傾斜面4aの面積に対して95%を超えると、切削傾斜面4bがプレス傾斜面4aよりも目立ちやすくなって、切削傾斜面列40bの周辺部分がスジ状に見えて外観を損なうおそれがある。
横一列分の切削傾斜面4bの面積を、横一列分のプレス傾斜面4aの面積に対して60〜95%に形成するにあたっては、切削傾斜面4bの高さ寸法をプレス傾斜面4aに比べて低く形成することができる。この場合、一部のブロック状凸部20では、切削傾斜面4bの横方向の全長にわたって、切削傾斜面4bの高さ寸法をプレス傾斜面4aの高さ寸法よりも低くすることができる。また、一部のブロック状凸部21、22では、切削傾斜面4bの横方向の一部分において、切削傾斜面4bの高さ寸法をプレス傾斜面4aの高さ寸法よりも低くすることができる。この場合、一部のブロック状凸部21では切削傾斜面4bの横方向の中央部において、切削傾斜面4bの高さ寸法をプレス傾斜面4aの高さ寸法よりも低くすることができる。また、他の一部のブロック状凸部22では切削傾斜面4bの横方向の片側あるいは両側において、切削傾斜面4bの高さ寸法をプレス傾斜面4aの高さ寸法よりも低くすることができる。
また横一列分の切削傾斜面4bの面積を、横一列分のプレス傾斜面4aの面積に対して60〜95%に形成するにあたっては、切削傾斜面4bの横方向の長さ寸法をプレス傾斜面の横方向の長さ寸法に比べて短く形成することができる。例えば、図3(a)に示すような、横方向の長さ寸法が長い切削傾斜面4bに対して、図3(b)に示すように、縦方向に長い目地状凹部3aを設けることにより、目地状凹部3aの横方向の寸法分だけ切削傾斜面4bを短くすることができる。
上記のような、プレス傾斜面4aに比べて高さ寸法を低く形成した切削傾斜面4bや、プレス傾斜面4aに比べて長さ寸法を短く形成した切削傾斜面4bを、切削傾斜面列40bに混在させることによって、横一列分の切削傾斜面4bの面積を、横一列分のプレス傾斜面4aの面積に対して60〜95%に形成することができる。尚、形状の異なる複数の切削傾斜面4bを混在させることなく、一定形状の複数の切削傾斜面4bで切削傾斜面列40bを形成して、横一列分の切削傾斜面4bの面積を、横一列分のプレス傾斜面4aの面積に対して60〜95%に形成してもよい。
上記のように形成される外装材Aは、図4に示すように、その複数を縦方向及び横方向に並設して施工される。この場合、複数のブロック状凸部2は略一直線上に横方向に並ぶことになる。また上下に隣接する外装材Aの基板1の上端と下端とが接続されて施工される。すなわち、上下に隣接する外装材Aのうち、上側の外装材Aの基板1の下端面と、下側の外装材Aの基板1の上端面とを突き合わせて接続することができる。この場合、外装材Aに実凹部10と実凸部11が形成されていると、実凹部10の表面側に実凸部11を配置するようにする。
そして、上記の外装材Aでは、施工した際に、上下に隣接する外装材Aの接続部分(図5の破線Xの位置)の外観がプレス傾斜面の外観に近づき、切削傾斜面が横方向に長い線状あるいは筋状部分として目立ちにくくなり、建物の一面として外観が違和感なく、外観の不具合が生じにくくなるものである。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1〜3、比較例1、2)
図1に示すような外装材Aを作製した。
基板1として基層とその表面に設けた表層とからなる無機質硬化体(窯業系基板)を用いた。基層はセメント40質量部、パルプ20質量部、珪石粉40質量部を含有するセメント組成物を硬化させたものである。表層はセメント36質量部、パルプ18質量部、珪石粉36質量部、白色顔料5質量部、マイカ5質量部を含有するセメント組成物を硬化させたものである。基板1の正面視の大きさは、縦方向の寸法が455mm、横方向の寸法が3030mmとした。基板1の下端部の裏面には実凹部10を形成した。基板1の上端には実凸部11を突設した。
基板1の表面には複数のブロック状凸部2を形成した。縦方向及び横方向に隣り合うブロック状凸部2の間には目地状凹部3を形成した。ブロック状凸部2の大きさは、縦方向の寸法が50〜60mm、横方向の寸法が150〜200mmとした。ブロック状凸部2の厚み寸法は4mm、目地状凹部3の幅寸法は3〜4mmとした。
ブロック状凸部2の周端部は傾斜面4に形成した。頂面12と傾斜面4との間の角度は60°とした。基板1の下端部に形成されたブロック状凸部2bの外側(下側)以外の傾斜面4はプレス傾斜面4aで形成した。基板1の下端部に形成されたブロック状凸部2bの外側(下側)の傾斜面4は切削傾斜面4bで形成した。実施例1〜4及び比較例1、2は、切削傾斜面bの切削量を増減することによって、横一列分のプレス傾斜面4aの面積(基板1の全体での横一列分のプレス傾斜面の面積の平均値)に対する横一列分の切削傾斜面4bの面積の割合を表1のように変更した。
実施例1〜3及び比較例1、2について、外観評価をした。評価方法は、外装材Aを目線の高さ以上まで実施工同様に釘または金具留めにて張り上げた状態で、近距離(3m程度)と遠距離(10m程度)の各距離において、正面及び斜めから見たそれぞれの外観を評価した。そして、5名で評価した場合5名共が上下に隣接する外装材Aの接続部分に違和感がなく外観が優れるものの評価を「○」、5名で評価した場合3名以上が上下に隣接する外装材Aの接続部分に違和感がなく外観が優れるものの評価を「△」、5名で評価した場合3名以上が上下に隣接する外装材Aの接続部分に違和感があり目立つものの評価を「×」とした。結果を表1に示す。なお実施例3においては、日時を変えて評価を複数回実施した場合に、5名全員が「接続部分に違和感がなく外観が優れるもの」と評価した場合があった。
Figure 0006141121
A 外装材
1 基板
2 ブロック状凸部
4 傾斜面
4a プレス傾斜面
4b 切削傾斜面

Claims (3)

  1. 複数のブロック状凸部が基板の表面に形成され、前記複数のブロック状凸部は縦寸法が略同等で、施工した際に横方向に並ぶように形成され、上下に隣接する前記基板の上端と下端とが接続されて施工される外装材であって、
    前記各ブロック状凸部の周端面は傾斜面として形成され、前記傾斜面はプレス成形により形成されるプレス傾斜面と、切削加工に形成される切削傾斜面とからなり、
    前記基板の上端部に形成されたブロック状凸部の上側の傾斜面と前記基板の下端部に形成されたブロック状凸部の下側の傾斜面との少なくとも一方が前記切削傾斜面として形成され、
    横一列分の切削傾斜面の面積が、横一列分のプレス傾斜面の面積に対して60〜95%であり、
    前記横一列分の切削傾斜面の面積は、横方向に略一直線上に並んでいる複数の切削傾斜面の面積の合計であり、
    前記横一列分のプレス傾斜面の面積は、横方向に略一直線上に並んでいる複数のプレス傾斜面の面積の合計であって、前記基板に形成された全列の横一列分のプレス傾斜面の面積の平均である
    ことを特徴とする外装材。
  2. 前記切削傾斜面の高さ寸法を前記プレス傾斜面に比べて低く形成することを特徴とする請求項1に記載の外装材。
  3. 前記切削傾斜面の長さ寸法を前記プレス傾斜面に比べて短く形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の外装材。
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