JP6139994B2 - 歯磨剤用顆粒の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、歯磨剤用顆粒の製造方法、及び歯磨剤用顆粒に関する。
近年、虫歯や歯周病の原因となる歯垢を効率よく除去し、触知できるような顆粒を配合した歯磨剤が知られている。これらの顆粒は、歯の表面のエナメル質や歯肉等に傷を与えないようするために、実質的に球状凝集粒子とされ、薬剤、酵素剤、研磨剤等の機能性材料を含有させたものや、その視覚的効果を狙ったものがある。
例えば、特許文献1には、水不溶性粉末材料を水不溶性無機結合剤で結着させ、噴霧乾燥法により、一定の大きさと強度とした顆粒を含有する歯磨剤が開示されている。
特許文献2には、平均粒径が150〜800μmで平均崩壊強度が15〜100g/個の顆粒ゼオライトと、改質ミント油等とを含有する歯磨組成物が開示されており、顆粒ゼオライトとして、無水ケイ酸、酸化チタンを含有し、焼結により顆粒状に調製されたものが開示されている。
特許文献3には、有機及び/又は無機の結合剤を実質的に含まず、互いに化学的及び/又は物理的に異なる2種類の水不溶性微粒子材料の凝集体を乾燥した顆粒からなる練歯磨等の経口組成物が開示されている。
特開平1−299211号公報 特開2008−266251号公報 特表平10−506885号公報
従来、顆粒の結合剤としては、各種の水溶性結合剤や水不溶性結合剤が使われてきた。しかし、水溶性結合剤を用いて調製された顆粒は、乾燥状態で使用する場合には支障がないが、水分が多量に存在する歯磨剤では強度が低下し、歯磨剤製造時の混合過程で顆粒が崩壊したり、顆粒が軟化するため、口腔内では触知しづらく、顆粒の存在感が十分ではなかった。
一方、特許文献1のように、水不溶性無機結合剤を用いて調製された顆粒は、比較的容易に粒子強度を高めることができるが、水不溶性無機結合剤は高価である。
特許文献2のように、焼結法により顆粒ゼオライトを製造する場合は、顆粒の崩壊強度の調整が困難である。
特許文献3には、結合剤を実質的に含まず、水で凝集した凝集物をオーブン又はロータリーキルンで乾燥することによる顆粒の製造例が記載されているが、顆粒の崩壊強度の調整が困難であると共に、好適な崩壊強度を発現させるための乾燥操作(処理温度及び/又は処理時間)の負荷が大きく、処方の自由度や、コスト、生産性の点で満足すべきでなかった。
本発明は、適度な崩壊強度と優れた湿式崩壊強度を有する歯磨剤用顆粒を収率良く得る歯磨剤用顆粒の製造方法、及びその方法により得られる歯磨剤用顆粒を提供することを課題とする。
本発明者らは、水不溶性粉末材料と珪酸塩とを、容器回転型造粒機と多流体ノズルの組合せを用いて顆粒化することにより、適度な崩壊強度と優れた湿式崩壊強度を有する歯磨剤用顆粒を収率良く製造しうることを見出した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔3〕に関する。
〔1〕水不溶性粉末材料と珪酸塩とを容器回転型造粒機を用いて混合し、顆粒化する歯磨剤用顆粒の製造方法であって、多流体ノズルを用いて、該水不溶性粉末材料に該珪酸塩の水溶液を液滴として供給し、造粒する工程を含む、歯磨剤用顆粒の製造方法。
〔2〕前記〔1〕の方法で得られる歯磨剤用顆粒。
〔3〕珪酸塩と水不溶性材料とを含有する歯磨剤用顆粒であって、珪酸塩は、珪酸ナトリム及び珪酸カリウムから選ばれる1種又は2種であり、水不溶性粉末材料の含有量が40〜97質量%であり、珪酸塩(固形分)の含有量が2〜60質量%であり、直径0.1〜1μmの細孔の容積が0.1〜0.7cc/gである、歯磨剤用顆粒。
本発明の歯磨剤用顆粒の製造方法によれば、適度な崩壊強度と優れた湿式崩壊強度(以下、両者を合わせて「崩壊強度等」ともいう)を有し、歯磨剤用として好適な顆粒を収率良く製造することができる。
本発明の歯磨剤用顆粒の製造方法は、水不溶性粉末材料と珪酸塩とを容器回転型造粒機を用いて混合し、顆粒化する歯磨剤用顆粒の製造方法であって、多流体ノズルを用いて、該水不溶性粉末材料に該珪酸塩の水溶液を液滴として供給し、造粒する工程を含むことを特徴とする。
一般に、容器回転型造粒機を用いた造粒方法によれば、粉体を均一に流動せしめることが可能であり、更に、回転による粒子の持ち上げ及び自重による滑り・落下を伴う混合機構により、粉体に加えられるせん断力が抑制される。そのため、容器回転型造粒機を用いた造粒方法は非圧密な造粒方法ということができる。
これにより、本発明で得られる歯磨剤用顆粒は、適度な崩壊強度を有するため顆粒感に優れる。
ここで、珪酸塩は水溶性無機結合剤であり、歯磨剤は通常水分を含有するため、水系の歯磨剤中に水溶性の珪酸塩を添加して顆粒化しても、通常、歯磨剤中、顆粒の安定性を保持することは困難である。
しかし、本発明で得られる歯磨剤用顆粒は、優れた湿式崩壊強度を有し、水中でも強度を保持することができる。これは本発明の歯磨剤用顆粒は、非圧密な製造方法で得られた造粒物であり、多孔質なため、顆粒内部に存在する珪酸塩の水溶液が乾燥し易く、顆粒内部で、珪酸塩の脱水物が、ネットワーク構造をとることで、顆粒が強固になったためと考えられる。
さらに、本発明方法では、歯磨剤用顆粒として好適な粒度の顆粒を、収率良く得ることができる。これは、本発明では、多流体ノズルを用いて、珪酸塩を予め微細な水溶液の液滴として噴霧して、前記容器回転型造粒機内に供給することにより、粗大粒子の形成する大きな液塊が発生しないためと考えられる。
従って、本発明の製造方法は、適度な崩壊強度を有し、湿式崩壊強度に優れるという優れた歯磨剤用顆粒を、収率よく得ることができる。
以下、本発明方法に用いられる各成分、製造方法について順次説明する。
(水不溶性粉末材料)
本発明方法に用いられる水不溶性粉末材料としては、歯の研磨剤に通常用いられるものが好ましく、具体的には無機材料が好ましい。ここで、「水不溶性」とは、水100gに対する溶解量(20℃)が1g以下であることを意味する。
水不溶性粉末材料の具体例としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ゼオライト、シリカ、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、リン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及び酸化チタン等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、顆粒化した際の物性やコストの観点から、水不溶性粉末材料としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ゼオライト、及びシリカから選ばれる1種又は2種以上を含むことが好ましく、軽質炭酸カルシウム及び重質炭酸カルシウムから選ばれる1種又は2種を含むことがより好ましく、重質炭酸カルシウムを含むことがより更に好ましい。
水不溶性粉末材料の平均粒子径は、顆粒崩壊後の歯の汚れ除去の観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは0.8μm以上であり、異物感を減らす観点から、その上限は、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下、更に好ましくは10μm以下、より更に好ましくは7μm以下、より更に好ましくは5μm以下である。水不溶性粉末材料の平均粒子径は、好ましくは0.1〜20μm、より好ましくは0.5〜15μm、更に好ましくは0.5〜10μm、より更に好ましくは0.8〜7μm、より更に更に好ましくは0.8〜5μmである。
平均粒子径は、実施例記載の方法により測定することができる。
(珪酸塩)
本発明において、水溶性無機結合剤である珪酸塩は、顆粒に適度な崩壊強度を付与するために用いられる。この珪酸塩は、後述するように、必要に応じて顆粒を適宜乾燥することで、顆粒の湿式崩壊強度を適度に高める機能も有する。珪酸塩の種類と、その量を調整することにより、顆粒の崩壊強度を適宜調整することができる。水溶性無機結合剤である珪酸塩とは、好ましくは水100gに対する溶解量(20℃)が好ましくは30g以上、より好ましくは50g以上である。
珪酸塩は、崩壊強度及び湿式崩壊強度の観点から、珪酸ナトリム及び珪酸カリウムから選ばれる1種又は2種を含むことが好ましく、珪酸ナトリウムを含むことがより好ましい。珪酸塩中、珪酸ナトリウムと珪酸カリウムとの合計含有量又は珪酸ナトリウムの含有量は、好ましくは95質量%以上、より好ましくは99質量%以上、更に好ましくは99.5質量%以上、より更に好ましくは実質100%である。
珪酸ナトリウムとしては、メタ珪酸ナトリウム(Na2SiO3)、オルト珪酸ナトリウム(Na4SiO4)、二珪酸ナトリウム(Na2Si25)、四珪酸ナトリウム(Na2Si49)及びそれらの水和物が挙げられる。
珪酸ナトリウムは、一般にNa2O・nSiO2・mH2Oの分子式で表される。係数n(Na2Oに対するSiO2の分子比)はモル比と呼ばれ、下記式(1)で表すことができる。
モル比=質量比(SiO2質量%/Na2O質量%)×(Na2Oの分子量/SiO2の分子量) (1)
珪酸ナトリウムとしては、通常、JIS K1408に記載の珪酸ソーダ1号、2号、3号の他、種々のモル比の水ガラスを使用することができる。
珪酸ナトリウムの物性は前記モル比によって異なるが、医薬部外品原料規格への適合性、及び得られる顆粒のpHの観点から、前記モル比は、好ましくは2.0〜4.0、より好ましくは2.4〜3.5、更に好ましくは2.8〜3.5、より更に好ましくは3.0〜3.3である。
本発明の製造方法において、液滴として供給する珪酸塩水溶液中の珪酸塩(固形分)は、水溶性無機結合剤として水不溶性粉末材料を顆粒化させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは35質量%以上であり、ハンドリング性及び液滴として噴霧し、粗大粒子を抑制する観点及び顆粒の湿式崩壊強度を高める観点から、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは58質量%以下である。
なお、珪酸塩水溶液中の珪酸塩(固形分)は、実施例記載の方法により求めることができる。
また、珪酸塩水溶液には、本発明を阻害しない限り、ポリマーや無機粒子等を含有させることもできるし、また、炭素数1〜3の低級アルコール等を含有させることもできる。
水不溶性粉末材料を顆粒化し、崩壊強度等を高める観点から、水不溶性粉末材料に対する珪酸塩(固形分)の質量比(珪酸塩(固形分)/水不溶性粉末材料)は、好ましくは2/98以上、より好ましくは3/97以上、更に好ましくは4/96以上、より更に好ましくは5/95以上であり、粗大粒子を減少させて、歯垢除去効果を高める観点及び収率を向上させる観点から、該質量比は、好ましくは60/40以下、より好ましくは50/50以下、更に好ましくは40/60以下、より更に好ましくは30/70以下、更により好ましくは20/80以下である。該質量比は、好ましくは2/98〜60/40、より好ましくは3/97〜50/50であり、更に好ましくは4/96〜40/60であり、より更に好ましくは5/95〜30/70、更により好ましくは5/95〜20/80である。
(酸化亜鉛)
本発明では、歯垢形成抑制効果を付与する観点、及び水溶性珪酸塩のネットワーク構造を強化して湿式崩壊強度を高める観点から、酸化亜鉛を用いることが好ましい。通常、顆粒の崩壊強度、歯磨剤中での安定性を高めるためには結合剤の配合量を増加させる必要があるが、驚くべきことに酸化亜鉛を配合することにより顆粒の湿式崩壊強度を向上させることができる。酸化亜鉛は、水不溶性粉末材料と共に用いることが好ましく、酸化亜鉛を用いる場合は、水不溶性粉末材料と珪酸塩と酸化亜鉛とを容器回転型造粒機を用いて混合し、顆粒化する歯磨剤用顆粒の製造方法であって、多流体ノズルを用いて、該水不溶性粉末材料と酸化亜鉛と(好ましくは該水不溶性粉末材料と酸化亜鉛との混合物)に該珪酸塩を水溶液の液滴として供給する製造方法が好ましい。
歯磨剤用顆粒(水分を除く)中の酸化亜鉛の含有量は、歯垢形成抑制効果と湿式崩壊強度を向上させる観点から、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、より更に好ましくは1.5質量%以上である。また、亜鉛による渋味や金属味を抑制する観点から、亜鉛の含有量は、好ましくは7質量%以下、より好ましくは6質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下である。
また、歯磨剤用顆粒(水分を除く)中の亜鉛の含有量は、歯垢形成抑制効果と湿式崩壊強度を向上させる観点から、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、より更に好ましくは1.5質量%以上である。また、亜鉛による渋味や金属味を抑制する観点から、亜鉛の含有量は、好ましくは7質量%以下、より好ましくは6質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下である。
歯磨剤用顆粒中の亜鉛の含有量は、酸化亜鉛の含有量×65.38(亜鉛の原子量)]/(65.38+16)で求めることができる。
珪酸塩(固形分)に対する酸化亜鉛の質量比(酸化亜鉛/珪酸塩(固形分))は、湿式崩壊強度を高める観点から、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上であり、亜鉛による渋みや金属味抑制の観点から、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1以下、より更に好ましくは0.8以下、更により好ましくは0.4以下である。
珪酸塩(固形分)に対する亜鉛の質量比(亜鉛/珪酸塩(固形分))は、湿式崩壊強度を高める観点から、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上であり、亜鉛による渋みや金属味抑制の観点から、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1以下、より更に好ましくは0.8以下、更により好ましくは0.4以下である。
(他の配合成分)
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲内で、必要に応じて、本発明方法で用いられる水不溶性粉末材料(研磨剤)及び珪酸塩(結合剤)以外に水不溶性無機結合剤、水不溶性有機結合剤、有機繊維、薬用成分、着色剤等を配合することができる。
本発明方法で用いることができる水不溶性無機結合剤としては、水酸基を有する、ケイ素系化合物、アルミニウム系化合物、カルシウム系化合物、マグネシウム系化合物等を用いることができる。具体的には、コロイダルシリカ、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ベントナイト、モンモリロナイト、カオリン、アルミナゾル、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
水不溶性有機結合剤として使用できる油脂としては、ワックス、パラフィン、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸、及びそれらの塩等が挙げられる。
水不溶性有機結合剤として使用できる高分子や樹脂としては、(i)キサンタンガム、デキストリン、ゼラチン等の多糖類、及びそれらの誘導体、(ii)ゴム系ラテックス等、(iii)アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ヒドロキシメタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、マレイン酸エステル、メチルビニルエーテル、α−オレフィン等の単独重合体、及びそれらの共重合体等が挙げられる。
また、有機繊維としては、例えばセルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン等が挙げられ、これらの中では、顆粒の歯垢除去性の点からセルロースが特に好ましい。
薬用成分としては、虫歯予防剤、抗微生物剤、酵素、抗炎症剤等が挙げられ、具体的には、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化錫、モノフルオロリン酸ナトリウム、ビタミンE、ビタミンC、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、塩化ナトリウム等の抗炎症剤;乳酸アルミニウム、アズレン、グリチルレチン酸、β−グリチルレチン酸、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、塩化リゾチーム、イプシロンアミノカプロン酸、銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸銅、酢酸dl−トコフェロール、硝酸カリウム等の知覚過敏予防剤;トリポリリン酸ナトリウム、エタンヒドロキシジホスフォネート等の歯石予防剤;亜鉛化合物等の歯垢形成抑制剤、ジヒドコレステロール、クロルヘキシジン、エピジヒドコレステロール、イソプロピルメチルフェノール、トリクロロカルバニリド、ハロカルバン、ヒノキチオール、アラントイン、トラネキサム酸、プロポリス、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、トリクロサン等の殺菌剤、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等のタバコヤニ除去剤等が挙げられる。
着色剤としては、酸化チタン、群青等が挙げられ、これらの着色剤を添加することにより審美的効果を付加することができる。
上記の他の配合成分は、単独で又は2種以上を組み合せて使用することができる。
[歯磨剤用顆粒の製造方法]
本発明の歯磨剤用顆粒の製造方法は、水不溶性粉末材料と珪酸塩の水溶液とを容器回転型造粒機を用いて混合し、顆粒化する方法であって、多流体ノズルを用いて、該水不溶性粉末材料に該珪酸塩を水溶液の液滴として供給する、歯磨剤用顆粒の製造方法である。
(容器回転型造粒機)
本発明においては、顆粒製造時に、顆粒に強い剪断を与えて圧密することのないようにするために、容器回転型造粒機を用いる。
容器回転型造粒機としては、ドラム型造粒機及びパン型造粒機が好ましい。ドラム型造粒機としては、ドラム状の円筒が回転して処理を行うものであれば特に限定されない。水平又はわずかに傾斜させたドラム型造粒機も使用可能である。これらの装置は、バッチ式、連続式いずれの方式でもよい。
なお、水不溶性粉末材料を含む粉体と容器回転型造粒機の内壁との間の壁面摩擦係数が小さく、粉体に十分な上昇運動力を加えることが困難な場合は、容器内壁に混合を補助するための複数個の邪魔板(バッフル)を設けることが好ましい。邪魔板を設けることにより、粉体に上昇運動を付与することが可能となり、粉末混合性及び固液混合性が向上する。
容器回転型造粒機の運転条件としては、造粒機内の水不溶性粉末材料をできるだけ均一に流動させ、撹拌できる条件であれば特に制限されない。良好な崩壊強度等を有する顆粒を得る観点から、下記式(1)で定義されるフルード数を0.005以上とすることが好ましく、0.01以上とすることがより好ましく、0.05以上とすることが更に好ましく、非圧密の顆粒を得る観点から、その上限は、1.0以下とすることが好ましく、0.6以下とすることがより好ましく、0.4以下とすることが更に好ましい。
フルード数:Fr=V2/(R×g) (1)
V:周速[m/s]
R:回転中心から回転物の円周までの半径[m]
g:重力加速度[m/s2
なお、本体胴部の回転によって顆粒化が進行するドラム型造粒機又はパン型造粒機においては、V及びRは本体胴部の値を用い、主翼や解砕翼を備えた横型又は竪型造粒機においては、V及びRは主軸の値を用い、解砕翼を備えたパン型造粒機においては、V及びRは解砕翼の値を用いることとする。
(多流体ノズル)
本発明においては、珪酸塩の水溶液を多流体ノズルを用いて供給する。多流体ノズルを用いることにより、その液滴を微細化して分散させることができる。
多流体ノズルとは、液体と微粒化用気体(エアー、窒素等)を独立の流路を通してノズル先端部近傍まで流通させて混合・微粒化するノズルであり、二流体ノズル、三流体ノズル、四流体ノズル等を挙げることができる。また、珪酸塩水溶液と微粒化用気体の混合部は、ノズル先端部内で混合する内部混合型、又はノズル先端部外で混合する外部混合型のいずれであってもよい。
このような多流体ノズルとしては、スプレーイングシステムスジャパン株式会社製、株式会社共立合金製作所製、株式会社いけうち製等の内部混合型二流体ノズル、スプレーイングシステムスジャパン株式会社製、株式会社共立合金製作所製、株式会社アトマックス製等の外部混合型二流体ノズル、藤崎電機株式会社製の外部混合型四流体ノズル等が挙げられる。
また、珪酸塩の水溶液の液滴径は、珪酸塩の水溶液の流量と微粒化用気体の流量のバランスを調整することにより、所望の範囲に調整することができる。すなわち、液滴径を小さくする場合は、一定流量の珪酸塩水溶液に対して、微粒化用気体の流量を増加させればよく、また、一定流量の微粒化気体に対して、珪酸塩水溶液の流量を低下させればよい。
例えば、二流体ノズルを用いる場合、微粒化用気体の流量の調整は、微粒化用気体の噴霧圧の調整により行うのが容易である。微粒化用気体噴霧圧としては、液分散の観点から0.1MPa以上が好ましく、設備負荷の観点から1.0MPa以下が好ましい。また、珪酸ナトリウムの噴霧圧としては特に制限はないが、設備負荷の観点から、例えば1.0MPa以下が好ましい。
珪酸塩水溶液の液滴径の違いが、得られる顆粒の収率や粗粒率に与える影響を検討した結果、平均湿式崩壊強度を高めると共に、歯磨剤用顆粒として好適な粒度の顆粒を収率よく得る観点から、珪酸塩水溶液の液滴径の平均粒径は、好ましくは210μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下であり、生産性の観点から、その下限は、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上、より更に好ましくは20μm以上である。
滴径を小さくするほど珪酸塩水溶液の流量が低下し生産性が低下するが、例えば多流体ノズルを複数個使用しノズル一本当たりの流量を低下させることで、液滴の微細化を維持しつつ添加速度を上げることができる。多流体ノズルは1本以上であればよいが、2〜20本用いることもできる。
なお、当該珪酸塩水溶液の液滴径の平均粒径は体積基準で算出されるものであり、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(マルバーン社製、スプレーテック)を用いて測定される値である。具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
珪酸塩の水溶液を多流体ノズルを用いて供給する際の珪酸塩の水溶液の温度は、噴霧の安定性の観点から、5〜50℃が好ましく、10〜30℃がより好ましい。
珪酸塩の水溶液の添加速度は、粗大粒子の形成を抑制し、適度な崩壊強度、優れた湿式崩壊強度を付与する観点から、当該水不溶性粉体材料100質量部に対して好ましくは35質量部/分以下、より好ましくは20質量部/分以下、更に好ましくは10質量部/分以下であり、その下限は好ましくは0.2質量部/分以上、より好ましくは0.5質量部/分以上、より好ましくは1質量部/分以上、更に好ましくは1.5質量部/分以上、より更に好ましくは2質量部/分以上である。上記の範囲は、JIS K1408に記載の珪酸ソーダ1号、2号又は3号を用いる場合に好適である。
また、珪酸塩(固形分)の添加速度は、上記と同様の観点から、当該水不溶性粉体材料100質量部に対して好ましくは19質量部/分以下、より好ましくは11質量部/分以下、更に好ましくは5.5質量部/分以下であり、その下限は好ましくは0.1質量部/分以上、より好ましくは0.3質量部/分以上、更に好ましくは0.6質量部/分以上、より更に好ましくは0.8質量部/分以上、更により好ましくは1.1質量部/分以上である。
(乾燥)
本発明においては、湿式崩壊強度を向上させる観点から、得られた顆粒を更に乾燥することが好ましい。驚くべきことに、水溶性結合剤である珪酸塩を用いていながら、乾燥操作を行うことにより、顆粒の湿式崩壊強度の向上も確認され歯磨製剤中での安定性を向上させ得ることを見出した。詳細な理由は定かではないが、乾燥に伴い珪酸塩の脱水縮合が進行し珪酸塩のネットワーク構造が発達して強度が向上したと考えられる。
乾燥法については、棚乾燥、流動層乾燥、減圧乾燥、マイクロ波乾燥等が挙げられる。中でも、設備的な観点から、棚乾燥、流動層乾燥が好ましい。
乾燥中の顆粒の崩壊を抑制する観点から、強いせん断力をできるだけ与えない乾燥方式が好ましい。例えば、バッチ式では、電気式棚乾燥機や熱風乾燥機で乾燥させる方法、バッチ式流動層で乾燥させる方法等が挙げられ、連続式では、流動層やロータリー乾燥機、スチームチューブドライヤー等が挙げられる。
乾燥温度は、乾燥速度を考慮して適宜決定することができるが、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上である。また、熱負荷の観点から、その上限は、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは110℃以下、より更に好ましくは90℃以下である。
乾燥時間は、製造に用いた珪酸塩水溶液の有効分や量により異なるが、湿式崩壊強度が本発明の好ましい範囲となるように適宜調整を行う。乾燥時間は、通常、10分〜24時間程度、より好ましくは20分〜20時間程度、更に好ましくは30分〜2時間程度である。電気乾燥の場合は、好ましくは20分〜24時間程度、より好ましくは30分〜12時間程度であり、流動層乾燥の場合は、好ましくは10分〜5時間程度、より好ましくは20分〜2時間程度である。
得られる顆粒中の水分量は、湿式崩壊強度を高める観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下であり、より更に好ましくは1質量%以下であり、生産性の観点から、好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは0.2質量%以上である。顆粒中の水分量は、実施例記載の方法により求めることができる。湿式崩壊強度は、水不溶性粉末材料の種類に依存するが、同じ種類では、水分量が少ない方が、湿式崩壊強度は高くなる。
[歯磨剤用顆粒]
本発明の歯磨剤用顆粒は、珪酸塩と水不溶性材料とを含有する歯磨剤用顆粒であって、水不溶性粉末材料の含有量が40〜97質量%であり、珪酸塩(固形分)の含有量が2〜60質量%であり、直径0.1〜1μmの細孔の容積が0.1〜0.7cc/g、好ましくは0.2〜0.6cc/gであるものが好ましい。
本発明の歯磨剤用顆粒は、前記の製造方法で得られるものが好ましい。他の製造方法としては、例えば、前記珪酸塩と水不溶性粉末材料と油剤とを転動造粒や噴霧乾燥で造粒させた後に、油剤を溶剤に抽出し除去する等の方法で、細孔を有する顆粒が得られる。
本発明の歯磨剤用顆粒においては、珪酸塩水溶液の脱水物が水不溶性粉末材料の結合剤として働き、造粒された顆粒であるが、該脱水物は部分縮合していると考えられる。
本発明の歯磨剤用顆粒(水分を除く)中、水不溶性粉末材料の含有量は、崩壊強度等と研磨力を高める観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは70質量%以上、更により好ましくは80質量%以上であり、歯に対する損傷を抑制する観点から、その上限は、好ましくは97質量%以下、より好ましくは96質量%以下、更に好ましくは95質量%以下である。歯磨剤用顆粒中、水不溶性粉末材料の含有量は、好ましくは40〜97質量%であり、50〜96質量%が好ましく、60〜95質量%がより好ましく、70〜95質量%が更に好ましく、80〜95質量%がより更に好ましい。
本発明において、歯磨剤用顆粒中の各成分の含有量や質量比は、顆粒製造時の配合量から求めた計算値を用いることができる。また、珪酸塩量は、実施例記載の方法により求めた固形分量である。
本発明の歯磨剤用顆粒(水分を除く)中、珪酸塩(固形分)の含有量は、崩壊強度等を高める観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上、より更に好ましくは5質量%以上であり、収率を高める観点から、その上限は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下、更により好ましくは20質量%以下である。歯磨剤用顆粒中、珪酸塩(固形分)の含有量は、2〜60質量%が好ましく、3〜50質量%がより好ましく、4〜40質量%が更に好ましく、5〜30質量%がより更に好ましく、5〜20質量%が更により好ましい。
水不溶性粉末材料に対する珪酸塩(固形分)の質量比(珪酸塩(固形分)/水不溶性粉末材料)は、崩壊強度や湿式崩壊強度を高める観点から、好ましくは2/98以上、より好ましくは3/97以上、更に好ましくは4/96以上、より更に好ましくは5/95以上であり、粗大粒子を減少させて、歯垢除去効果を高める観点から、該質量比は、好ましくは60/40以下、より好ましくは50/50以下、更に好ましくは40/60以下であり、より更に好ましくは30/70以下、更により好ましくは20/80以下である。
任意成分である結合剤、薬用成分、着色剤の含有量は、崩壊感触の観点から、水不溶性粉末材料及び珪酸塩の固形分の合計量100質量部に対して0〜3質量部が好ましく、0〜2質量部がより好ましく、0〜1質量%が更に好ましく、0質量%がより更に好ましい。
(歯磨剤用顆粒の特性)
本発明の歯磨剤用顆粒の平均崩壊強度は、歯磨剤に配合して使用したとき、口の中での顆粒を触知でき、歯垢除去効果の観点から、好ましくは3g重以上/個(顆粒1個あたり3gの荷重で崩壊)、より好ましくは4g重以上/個、更に好ましくは5g重以上/個であり、異物感をほとんど感ずることなく、また歯のエナメル質を傷つけることない観点から、好ましくは30g重以下/個、より好ましくは20g重以下/個、更に好ましくは15g重以下/個である。平均崩壊強度は、珪酸塩(固形分)の含有量を調整したり、水不溶性粉末材料の種類を適宜選択することにより、高めることができる。
歯磨剤用顆粒の平均湿式崩壊強度は、歯磨剤に配合して使用したとき、口の中での顆粒を触知でき、歯垢除去効果の観点から、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、更に好ましくは20%以上、より更に好ましくは31%以上であり、また異物感をほとんど感じさせない観点から、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である。歯磨剤用顆粒の平均湿式崩壊強度は、好ましくは10〜90%、より好ましくは15〜90%、更に好ましくは20〜80%、より更に好ましくは31〜80%である。平均湿式崩壊強度は、珪酸塩(固形分)の含有量を増加させたり、顆粒中の水分量を減らしたり、水不溶性粉末材料の種類を適宜選択することにより、高めることができる。
歯磨剤用顆粒の細孔容積は、歯磨剤に配合して使用したとき、直径0.1〜1μmの細孔の容積が、平均湿式崩壊強度を高める観点から、好ましくは0.1cc/g以上、より好ましくは0.2cc/g以上、更に好ましくは0.3cc/g以上であり、生産性の観点から、好ましくは0.7cc/g以下、より好ましくは0.6cc/g以下、更に好ましくは0.5cc/g以下である。直径0.1〜1μmの細孔の容積は、容器回転型造粒機への液滴径を小さくしたり、容器回転型造粒機のフルード数を小さくすることにより高めることができる。
なお、平均崩壊強度、平均湿式崩壊強度、細孔容積は、実施例に記載の方法により測定される。
本発明の歯磨剤用顆粒の平均粒子径は、十分な研磨力を有する観点から好ましくは50μm以上、より好ましくは75μm以上、更に好ましくは100μm以上であって、口腔中での異物感を抑制する観点から、好ましくは500μm以下、より好ましくは350μm以下、更に好ましくは300μm以下である。歯磨剤用顆粒の平均粒子径は、好ましくは50〜500μm、より好ましくは75〜350μm、更に好ましくは100〜300μmである。
なお、平均粒子径は、実施例に記載の方法で測定することができる。
上記したような平均粒径、崩壊強度等を有する顆粒は、珪酸塩の種類、配合量、及び製造条件を適宜変化させることによって製造することができる。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の歯磨剤用顆粒の製造方法、及びその方法により得られる歯磨剤用顆粒を開示する。
<1>水不溶性粉末材料と珪酸塩とを容器回転型造粒機を用いて混合し、顆粒化する歯磨剤用顆粒の製造方法であって、多流体ノズル、好ましくは二流体ノズルを用いて、該水不溶性粉末材料に該珪酸塩の水溶液を液滴として供給し、造粒する工程を含む、歯磨剤用顆粒の製造方法。
<2>珪酸塩が好ましくは珪酸ナトリウム及び珪酸カリウムから選ばれる1種以上を含み、より好ましくは珪酸ナトリウムを含む、前記<1>に記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
<3>珪酸塩水溶液中の珪酸塩(固形分)が、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは35質量%以上であり、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは58質量%以下である、前記<1>又は<2>に記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
<4>珪酸塩水溶液の液滴の平均粒径が、好ましくは210μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下であり、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上、より更に好ましくは20μm以上である、前記<1>〜<3>のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
<5>水不溶性粉末材料が、好ましくは軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ゼオライト、及びシリカから選ばれる1種又は2種以上を含み、好ましくは軽質炭酸カルシウム及び重質炭酸カルシウムから選ばれる1種又は2種を含み、更に好ましくは重質炭酸カルシウムを含む、前記<1>〜<4>のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
<6>水不溶性粉末材料の平均粒子径が、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは0.8μm以上であり、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下、更に好ましくは10μm以下、より更に好ましくは7μm以下、より更に好ましくは5μm以下である、前記<1>〜<5>のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
<7>容器回転型造粒機が、パン型造粒機又はドラム型造粒機である、前記<1>〜<6>のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
<8>水不溶性粉末材料に対する珪酸塩の質量比(珪酸塩(固形分)/水不溶性粉末材料)が、好ましくは2/98以上、より好ましくは3/97以上、更に好ましくは4/96以上、最も好ましくは5/95以上であり、好ましくは60/40以下、より好ましくは50/50以下、更に好ましくは40/60以下であり、より更に好ましくは30/70以下、更により好ましくは20/80以下である、前記<1>〜<7>のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
<9>珪酸塩の水溶液の添加速度が、当該水不溶性粉体材料100質量部に対して好ましくは35質量部/分以下、より好ましくは20質量部/分以下、更に好ましくは10質量部/分以下であり、好ましくは0.2質量部/分以上、より好ましくは0.5質量部/分以上、より好ましくは1質量部/分以上、更に好ましくは1.5質量部/分以上、より更に好ましくは2質量部/分以上である、前記<1>〜<8>のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
<10>珪酸塩(固形分)の添加速度が、水不溶性粉体材料100質量部に対して好ましくは19質量部/分以下、より好ましくは11質量部/分以下、更に好ましくは5.5質量部/分以下であり、好ましくは0.1質量部/分以上、より好ましくは0.3質量部/分以上、より好ましくは0.6質量部/分以上、更に好ましくは0.8質量部/分以上、より更に好ましくは1.1質量部/分以上である、前記<1>〜<9>のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
<11>水不溶性粉末材料と珪酸塩と更に酸化亜鉛とを容器回転型造粒機を用いて混合し、顆粒化する、前記<1>〜<10>のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
<12>珪酸塩(固形分)に対する酸化亜鉛の質量比(酸化亜鉛/珪酸塩(固形分))が、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上であり、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1以下、より更に好ましくは0.8以下、更により好ましくは0.4以下である、前記<11>に記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
<13>容器回転型造粒機の運転条件として、下記式(1)で定義されるフルード数が好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.05以上であり、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.6以下しく、更に好ましくは0.4以下である、前記<1>〜<12>のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
フルード数:Fr=V2/(R×g) (1)
V:周速[m/s]、R:回転中心から回転物の円周までの半径[m]
g:重力加速度[m/s2
<14>得られた造粒物を更に乾燥させる、前記<1>〜<13>のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
<15>乾燥温度が、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは110℃以下、より更に好ましくは90℃以下である、前記<14>に記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
<16>前記<1>〜<15>のいずれかに記載の製造方法により得られる、歯磨剤用顆粒。
<17>珪酸塩と水不溶性材料とを含有する歯磨剤用顆粒であって、珪酸塩は、珪酸ナ トリム及び珪酸カリウムから選ばれる1種又は2種を含み、水不溶性粉末材料の含有量が40〜97質量%であり、珪酸塩(固形分)の含有量が2〜60質量%であり、直径0.1〜1μmの細孔の容積が0.1〜0.7cc/g、好ましくは0.2〜0.6cc/gである、歯磨剤用顆粒。
<18>顆粒中の水分量が、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下であり、より更に好ましくは1質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは0.2質量%以上である、前記<16>又は<17>に記載の歯磨用顆粒。
<19>顆粒の平均粒子径が、好ましくは50μm以上、より好ましくは75μm以上、更に好ましくは100μm以上であり、好ましくは500μm以下、より好ましくは350μm以下、更に好ましくは300μm以下である、前記<16>〜<18>のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒。
<20>歯磨剤用顆粒中の酸化亜鉛の含有量が、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であり、好ましくは7質量%以下、より好ましくは6質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下である、前記<16>〜<19>のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒。
<21>歯磨剤用顆粒中、水不溶性粉末材料の含有量が、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは70質量%以上、更により好ましくは80質量%以上であり、好ましくは97質量%以下、より好ましくは96質量%以下、更に好ましくは95質量%以下である、前記<16>〜<20>のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒。
<22>歯磨剤用顆粒中、珪酸塩(固形分)の含有量が、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上、より更に好ましくは5質量%以上であり、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下、更により好ましくは20質量%以下である、前記<16>〜<21>のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒。
<23>水不溶性粉末材料に対する珪酸塩(固形分)の質量比(珪酸塩(固形分)/水不溶性粉末材料)が、好ましくは2/98以上、より好ましくは3/97以上、更に好ましくは4/96以上、より更に好ましくは5/95以上であり、好ましくは60/40以下、より好ましくは50/50以下、更に好ましくは40/60以下であり、より更に好ましくは30/70以下、更により好ましくは20/80以下である、前記<16>〜<22>のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒。
<24>歯磨剤用顆粒の平均崩壊強度が、好ましくは3g重以上/個(顆粒1個あたり3gの荷重で崩壊)、より好ましくは4g重以上/個、更に好ましくは5g重以上/個であり、好ましくは30g重以下/個、より好ましくは20g重以下/個、更に好ましくは15g重以下/個である、前記<16>〜<23>のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒。
<25>歯磨剤用顆粒の平均湿式崩壊強度が、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、更に好ましくは20%以上、より更に好ましくは31%以上であり、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である、前記<16>〜<24>のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒。
<26>歯磨剤用顆粒の直径0.1〜1μmの細孔の容積が、好ましくは0.1cc/g以上、より 好ましくは0.2cc/g以上、更に好ましくは0.3cc/g以上であり、好ましくは0.7cc/g以下、より好ましくは0.6cc/g以下、更に好ましくは0.5cc/g以下である、前記<16>〜<25>のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒。
以下の実施例及び比較例において、「%」は特記しない限り「質量%」である。なお、各物性値の測定は、以下の方法により行った。
(1)珪酸塩の固形分
試料2.5gをスポイトを用いてアルミ製の直径11.5cmの容器上に1滴が直径5〜10mm程度の液滴となるよう(液滴同士が極力重ならないよう)に滴下散布し、その後、赤外線水分計(株式会社ケット科学研究所製、FD240)を用い、湿量基準水分測定モードにて温度105℃、Autoの条件(測定値の変化量が、30秒間で0.05%以内になったときを最終測定値とみなして測定を終了)で測定した揮発自由水分を除くことで算出した。
(2)顆粒の水分量
試料2gをアルミ製の直径11.5cmの容器上に均一に散布し、その後、上記と同じ条件で測定した。
(3)珪酸塩水溶液の平均液滴径
珪酸塩水溶液の平均液滴径(体積平均粒径)は、レーザー回折式粒度分布測定装置(マルバーン社製、スプレーテック)を用いて測定した。具体的には、レーザーから30cm離れた場所にスプレーノズル先端を設置し、レーザーに対して垂直且つ噴霧液滴群の中心をレーザーが貫通するように珪酸塩水溶液を噴霧し30秒間噴霧を継続して測定を行った。
(4)水不溶性粉末の平均粒子径の測定方法
水不溶性粉末の平均粒子径はレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(HORIBA社製、LA−920)にて、溶媒:イオン交換水、屈折率:1.2、循環速度4、循環3minの条件で測定した。
(5)顆粒の平均粒子径
JISZ8801−1(2000年5月20日制定、2006年11月20日最終改正)規定の2000、1400、1000、710、500、355、250、180、125、90、63、45μmの篩を用いて5分間振動させた後、篩分け法による篩下質量分布について50%平均径を算出し、これを平均粒子径とする。具体的には、JISZ8801−1(2000年5月20日制定、2006年11月20日最終改正)規定の2000、1400、1000、710、500、355、250、180、125、90、63、45μmの篩を用いて受け皿上に目開きの小さな篩から順に積み重ね、最上部の2000μmの篩の上から100gの顆粒を添加し、蓋をしてロータップ型ふるい振とう機(HEIKO製作所製、タッピング156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、5分間振動させたあと、それぞれの篩及び受け皿上に残留した当該顆粒の質量を測定し、各篩上の当該顆粒の質量割合(%)を算出する。受け皿から順に目開きの小さな篩上の当該顆粒の質量割合を積算していき合計が50%となる粒子径を平均粒子径とする。
(6)顆粒の平均崩壊強度
微小圧縮試験機(株式会社島津製作所製、商品名:MCTM−500)を用いて平均粒子径付近の乾燥状態の顆粒を10個測定し、数平均値で表した。
(7)顆粒の平均湿式崩壊強度
まず、JISZ8801−1規定の500、355、250、180、150、125、90、63、45μmの篩を用いて5分間振動させた後、150〜180μm粒度の顆粒をサンプルとした。次に、スクリュー管(株式会社マルエム製、No.6)に、ステンレス球(直径4mm)を15g、顆粒サンプルを3g、イオン交換水を30mL投入し、1度逆さにした。その後、30分間静置し、錠剤摩損試験機(萱垣医理科工業株式会社製)にて、75r/minで2分30秒間回転させた。
得られた顆粒サンプルを150μmの篩で濾過し、105℃、30分間乾燥した後、デシケーターで常温に冷まし、150μmの篩をミクロ型電磁振動機(筒井理化学器械株式会社製、ミクロ型電磁振動ふるい器、M−2)にて振動強度5.5、1分間振盪させ、その後秤量した。以下の計算式にて算出した値を平均湿式崩壊強度とした。
平均湿式崩壊強度(%)=(150μm篩に残留する顆粒質量÷初期サンプル質量)×100
(8)0.1〜1μm細孔容積の測定方法
水銀圧入式ポロシメーター(micromeritics社製、AutoPoreIV 9500)にて、サンプル重量0.16g、低圧時: Evacuation Pressure 50mmHg、 Evacuation Time 1min、 Mercury Filling Pressure 0.49psia、 Equilibration Time 5sec、 高圧時: Equilibration Time 5sec、の条件で測定を行った。
実施例1
表1に示す配合割合で、軽質炭酸カルシウム(東洋電化工業株式会社製、商品名:トヨホワイト、平均粒子径約2μm)を、邪魔板を有した75Lドラム型造粒機(φ40cm×L60cm)に投入し、ドラム回転数30r.p.m/フルード数0.2/ドラム角度12.6°の条件で混合しながら珪酸ナトリウム水溶液(富士化学工業株式会社製、商品名:3号珪酸ソーダ:Na2O・3SiO2水溶液、固形分:55.1%)を外部混合型二流体ノズル1個(株式会社アトマックス製)を用いて噴霧添加し造粒した。なお、バッチサイズは8kg(合計配合量)である。珪酸ナトリウム水溶液の噴霧液滴径のメジアン径は73μmであった。
珪酸ナトリウム水溶液噴霧後、1分間混合を継続した後、ドラム型造粒機から排出し、電気式棚乾燥機を用いて80℃で90分間乾燥した後、顆粒の物性評価を行った。結果を表3に示す。
実施例2〜5
表1に示す配合割合で、重質炭酸カルシウム(株式会社カルファイン製、商品名:ACE−25、平均粒子径約3μm)を、邪魔板を有した75Lドラム型造粒機(φ40cm×L60cm)に投入し、実施例1と同様の操作を行った。珪酸ナトリウム水溶液の噴霧液滴径のメジアン径は39μmであった。
珪酸ナトリウム水溶液噴霧後、実施例1と同様の乾燥操作を行った後、顆粒の物性評価を行った。結果を表3に示す。
実施例6
表1に示す配合割合で、重質炭酸カルシウム(株式会社カルファイン製、商品名:ACE−25、平均粒子径約3μm)を、邪魔板を有した75Lドラム型造粒機(φ40cm×L60cm)に投入し、実施例1と同様の操作を行った。
珪酸ナトリウム水溶液の噴霧液滴径のメジアン径は73μmであった。
珪酸ナトリウム水溶液噴霧後、1分間混合を継続した後、ドラム型造粒機から排出し、流動層乾燥機(株式会社大河原製作所製、商品名:コンダクションフロー)を用いて120℃で25分間乾燥した後、顆粒の物性評価を行った。結果を表3に示す。
実施例7
表1に示す配合割合で、重質炭酸カルシウム(三共精粉株式会社製、商品名:カルシーF#9860、平均粒子径約11μm)を、邪魔板を有した75Lドラム型造粒機(φ40cm×L60cm)に投入し、実施例1と同様の操作を行った。
珪酸ナトリウム水溶液の噴霧液滴径のメジアン径は73μmであった。
珪酸ナトリウム水溶液噴霧後、1分間混合を継続した後、ドラム型造粒機から排出し、電気乾燥機を用いて80℃で30分間乾燥した後、顆粒の物性評価を行った。結果を表3に示す。
実施例8
表1に示す配合割合で、重質炭酸カルシウム(株式会社カルファイン製、商品名:ACE−25、平均粒子径約3μm)を、邪魔板を有した75Lドラム型造粒機(φ40cm×L60cm)に投入し、実施例1と同様の操作を行った。
珪酸ナトリウム水溶液の噴霧液滴径のメジアン径は115μmであった。
珪酸ナトリウム水溶液噴霧後、1分間混合を継続した後、ドラム型造粒機から排出し、電気乾燥機を用いて80℃で90分間乾燥した後、顆粒の物性評価を行った。結果を表3に示す。
実施例9
表1に示す配合割合で、重質炭酸カルシウム(株式会社カルファイン製、商品名:ACE−25、平均粒子径約3μm)を、邪魔板を有した75Lドラム型造粒機(φ40cm×L60cm)に投入し、実施例1と同様の操作を行った。
珪酸ナトリウム水溶液の噴霧液滴径のメジアン径は180μmであった。
珪酸ナトリウム水溶液噴霧後、1分間混合を継続した後、ドラム型造粒機から排出し、電気乾燥機を用いて80℃で90分間乾燥した後、顆粒の物性評価を行った。結果を表3に示す。
実施例10
表1に示す配合割合で、重質炭酸カルシウム(株式会社カルファイン製、商品名:ACE−25、平均粒子径約3μm)を、邪魔板を有した75Lドラム型造粒機(φ40cm×L60cm)に投入し、実施例1と同様の操作を行った。
珪酸ナトリウム水溶液の噴霧液滴径のメジアン径は203μmであった。
珪酸ナトリウム水溶液噴霧後、1分間混合を継続した後、ドラム型造粒機から排出し、電気乾燥機を用いて80℃で90分間乾燥した後、顆粒の物性評価を行った。結果を表3に示す。
実施例11〜13
表1に示す配合割合で、重質炭酸カルシウム(株式会社カルファイン製、商品名:ACE−25、平均粒子径約3μm)と酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、商品名:微細酸化亜鉛、平均粒子径約0.3μm)とを、邪魔板を有した75Lドラム型造粒機(φ40cm×L60cm)に投入し、実施例1と同様の操作を行った。
珪酸ナトリウム水溶液の噴霧液滴径のメジアン径は73μmであった。
珪酸ナトリウム水溶液噴霧後、1分間混合を継続した後、ドラム型造粒機から排出し、電気乾燥機を用いて80℃で90分間乾燥した後、顆粒の物性評価を行った。結果を表3に示す。
実施例14
表1に示す配合割合で、ゼオライト(ゼオビルダー社製、商品名:ゼオライト(パウダー)、平均粒子径約3μm)を、邪魔板を有した75Lドラム型造粒機(φ40cm×L60cm)に投入し、実施例1と同様の操作を行った。
珪酸ナトリウム水溶液の噴霧液滴径のメジアン径は73μmであった。
珪酸ナトリウム水溶液噴霧後、1分間混合を継続した後、ドラム型造粒機から排出し、電気乾燥機を用いて80℃で720分間乾燥した後、顆粒の物性評価を行った。結果を表3に示す。
実施例15〜16
表1に示す配合割合で、シリカ(Huber Engineered Material社製、商品名:ゼオデント124、平均粒子径約9μm)を、邪魔板を有した75Lドラム型造粒機(φ40cm×L60cm)に投入し、実施例1と同様の操作を行った。
珪酸ナトリウム水溶液の噴霧液滴径のメジアン径は73μmであった。
珪酸ナトリウム水溶液噴霧後、1分間混合を継続した後、ドラム型造粒機から排出し、電気乾燥機を用いて80℃で720分間乾燥した後、顆粒の物性評価を行った。結果を表3に示す。
実施例17〜19
表1に示す配合割合で、重質炭酸カルシウム(株式会社カルファイン製、商品名:ACE−25、平均粒子径約3μm)とシリカ(Huber Engineered Material社製、商品名:ゼオデント124、平均粒子径約9μm)とを、邪魔板を有した75Lドラム型造粒機(φ40cm×L60cm)に投入し、実施例1と同様の操作を行った。
珪酸ナトリウム水溶液の噴霧液滴径のメジアン径は56μmであった。
珪酸ナトリウム水溶液噴霧後、1分間混合を継続した後、ドラム型造粒機から排出し、電気乾燥機を用いて105℃で120分間乾燥した後、顆粒の物性評価を行った。結果を表3に示す。
実施例20
表1に示す配合割合で、重質炭酸カルシウム(株式会社カルファイン製、商品名:ACE−25、平均粒子径約3μm)を、邪魔板を有した75Lドラム型造粒機(φ40cm×L60cm)に投入し、ドラム回転数30r.p.m/フルード数0.2/ドラム角度12.6°の条件で混合しながら、珪酸カリウム水溶液(富士化学工業株式会社製、商品名:2号珪酸カリウム:K2O・3.55SiO2水溶液、固形分:37.8%)を外部混合型二流体ノズル1個(株式会社アトマックス製)を用いて噴霧添加し造粒した。
珪酸ナトリウム水溶液の噴霧液滴径のメジアン径は73μmであった。
珪酸ナトリウム水溶液噴霧後、1分間混合を継続した後、ドラム型造粒機から排出し、電気乾燥機を用いて80℃で720分間乾燥した後、顆粒の物性評価を行った。結果を表3に示す。
比較例1〜2
重質炭酸カルシウム(三共精粉株式会社製、商品名:カルシーF#9860、平均粒子径約11μm)と、珪酸ナトリウム水溶液(富士化学工業株式会社製、商品名:3号珪酸ソーダ、固形分:55.1%)と、水とを、ディスパー翼(アシザワ・ニロアトマイザー株式会社製、形式:HS−P3)を用いて表2に示すスラリー組成割合で混合し、水スラリーを得た。なお、水スラリー調製は、先ず混合槽に水を投入し、次いで珪酸ナトリウム水溶液を投入し、次いで重質炭酸カルシウムを添加し、混合することによって行った。なお、バッチサイズは150kgである。
得られた水スラリーを送風温度190℃で噴霧乾燥した後、室温条件下に置き、顆粒を得た。顆粒は物性の評価を行った。結果を表4に示す。
比較例3〜5
表2に示す配合割合で、重質炭酸カルシウム(三共精粉株式会社製、商品名:カルシーF#9860、平均粒子径約11μm)を2L高速ミキサー(深江パウテック株式会社製、商品名:ハイスピードミキサー)に投入し、アジテーター回転数850r.p.m/チョッパー回転数1350r.p.mの条件で混合しながら珪酸ナトリウム水溶液(富士化学工業株式会社製、商品名:3号珪酸ソーダ、固形分:55.1%)を配管を用いて滴下添加し転動造粒した。なお、バッチサイズは0.4kgである。
珪酸ナトリウム水溶液の滴下液滴径のメジアン径はおよそ500μmであった。
珪酸ナトリウム水溶液滴下後、1分間混合を継続した後、2L高速ミキサーから排出し、電気式棚乾燥機を用いて80℃で30分間乾燥した後、顆粒の物性評価を行った。結果を表4に示す。
比較例6
表2に示す配合割合で、重質炭酸カルシウム(三共精粉株式会社製、商品名:カルシーF#9860、平均粒子径約11μm)を、邪魔板を有した75Lドラム型造粒機(φ40cm×L60cm)に投入し、ドラム回転数30r.p.m/フルード数0.2/ドラム角度12.6°の条件で混合しながら珪酸ナトリウム水溶液(富士化学工業株式会社製、商品名:3号珪酸ソーダ:Na2O・3SiO2水溶液、固形分:55.1%)を1流体ノズル(スプレーイングシステムスジャパン株式会社製)を用いて噴霧添加しようとしたが、噴霧することができなかった。結果を表4に示す。
Figure 0006139994
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表3及び4の結果より、本発明方法により得られた顆粒は、多量の水の存在下における湿式崩壊強度においても良好な崩壊強度を有しており、歯磨剤製造時に崩壊することがなく、また歯磨剤中においても良好な崩壊強度を維持することがわかる。更に、収率が高く、噴霧乾燥法を用いないため、コストの観点からも優れている。また、酸化亜鉛を加えることで更に湿式崩壊強度を高めることができる。
実施例2〜4の結果から、顆粒中の珪酸ナトリウムの含有量を増加させることで平均湿式崩壊強度が向上する。
実施例2、6〜10の結果から、噴霧液滴径が大きくなると、収率が低下すると共に、0.1〜1μmの細孔容積が低下し、平均湿式崩壊強度も低下する。
実施例7と実施例11〜13との比較から、顆粒に酸化亜鉛を含有させることにより、平均湿式崩壊強度を高めることができることがわかる。
比較例1及び2の噴霧乾燥法により得られた顆粒は、収率は高いが湿式崩壊強度が低く、歯磨剤製造時に崩壊してしまい、また残存した顆粒も歯磨剤中においても崩壊強度を維持できない。
比較例3〜5の転動造粒法により得られた顆粒は、崩壊強度が高すぎて使用時に異物感があり好ましくなく、また湿式崩壊強度が低い。
比較例6の1流体ノズルでは珪酸ナトリウム水溶液を噴霧することができず、多流体ノズルによって珪酸ナトリウム水溶液を噴霧することができる。
本発明の歯磨剤用顆粒の製造方法によれば、適度な崩壊強度と優れた湿式崩壊強度を有し、歯磨剤用として好適な顆粒を収率良く製造することができる。

Claims (10)

  1. 水不溶性粉末材料と珪酸塩とを容器回転型造粒機を用いて混合し、顆粒化する歯磨剤用顆粒の製造方法であって、多流体ノズルを用いて、該水不溶性粉末材料に該珪酸塩の水溶液を液滴として供給し、造粒した後、乾燥する工程を含む、平均崩壊強度が3〜30g重/個であり、平均湿式崩壊強度が10〜90%である、歯磨剤用顆粒の製造方法。
  2. 珪酸塩が珪酸ナトリウム及び珪酸カリウムから選ばれる1種以上を含む、請求項1に記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
  3. 液滴の平均粒径が210μm以下である、請求項1又は2に記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
  4. 水不溶性粉末材料が、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ゼオライト、及びシリカから選ばれる1種又は2種以上を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
  5. 容器回転型造粒機がパン型造粒機又はドラム型造粒機である、請求項1〜4のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
  6. 水不溶性粉末材料に対する珪酸塩の質量比(珪酸塩/水不溶性粉末材料)が2/98〜60/40である、請求項1〜5のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
  7. 水不溶性粉末材料と珪酸塩と更に酸化亜鉛とを容器回転型造粒機を用いて混合し、顆粒化する、請求項1〜6のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
  8. 得られた造粒物を更に乾燥させる、請求項1〜7のいずれかに記載の歯磨剤用顆粒の製造方法。
  9. 水不溶性粉末材料が珪酸塩で結合された歯磨剤用顆粒であって、珪酸塩は、珪酸ナトリウム及び珪酸カリウムから選ばれる1種又は2種を含み、水不溶性粉末材料の含有量が40〜97質量%であり、珪酸塩(固形分)の含有量が2〜60質量%であり、直径0.1〜1μmの細孔の容積が0.1〜0.7cc/gであり、平均崩壊強度が3〜30g重/個であり、平均湿式崩壊強度が10〜90%である、歯磨剤用顆粒。
  10. 水不溶性粉末材料に対する珪酸塩の質量比(珪酸塩/水不溶性粉末材料)が2/98〜60/40である、請求項に記載の歯磨剤用顆粒。
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