JP2004506782A - 研磨剤組成物およびその製法 - Google Patents
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Abstract
Description
発明の分野
本発明は特異の研磨剤組成物に関し、より詳細には、保湿剤と組み合わせた水不溶性研磨艶出剤のスラリーである研磨剤組成物、およびその特異の製法に関する。
背景技術
研磨物質は、歯の表面から薄膜を含む種々の付着物を除くために、通常の歯磨き剤組成物中に含まれている。薄膜は強固に付着して、歯に不快な外観を付与する褐色または黄色の顔料を含むことが多い。洗浄は重要であるけれども、研磨剤が歯を損傷するほど侵食的であってはならない。理想的には、効果的な歯磨きの研磨剤物質は薄膜の除去を最大にするが、堅い歯の組織に対する最小の摩耗および損傷をもたらす。このように、歯磨き剤の性能は、とりわけ、研磨艶出剤成分に極めて影響されやすい。通常、研磨艶出剤は歯磨き剤組成物に流動性乾燥粉末状態、または歯磨き剤を配合する前もしくはその時点に調製した流動性乾燥粉末状の研磨剤剤の再分散化によって導入されている。
【0002】
歯磨き剤組成物には、多くの水不溶性研磨艶出剤が用いられているか、または記載されている。これらの研磨艶出剤には天然および合成の研磨剤微粒物質が含まれている。通常公知の合成研磨艶出剤には無定形沈降シリカやシリカゲルや沈降炭酸カルシウム(PCC)がある。歯磨き剤用の他の研磨艶出剤には白亜、炭酸マグネシウム、リン酸二カルシウムおよびおよびその二水和物、ピロリン酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、メタリン酸カリウム、オルトリン酸マグネシウム、リン酸三カルシウム等がある。
【0003】
特に合成して作った沈降シリカは、その清浄能力、相対的安全性、および保湿剤、増粘剤、賦香剤、虫歯防止剤等のような典型的な歯磨き剤成分との適合性によって歯磨き剤配合物中の研磨剤成分として用いられている。公知のように、合成沈降シリカは、最初に形成された主要粒子が相互に会合して、複数の凝集塊(すなわち、主要粒子の分離クラスター)となりやすいが、三次元ゲル構造には凝結しない条件下で、通常鋼酸および/または酸性ガスの添加による可溶性アルカリシリケートから無定形シリカの不安定化および沈殿によって生成される。生成した沈殿を濾過、洗浄、及び乾燥操作によって反応混合物の水性部分から分離した後、適当な粒度及び粒度分布を得るために、乾燥物を機械的に粉砕する。
【0004】
このシリカの乾燥方法は通常噴霧乾燥、ノズル乾燥(たとえば、タワーまたはファウンテン)、フラッシュ乾燥、回転ホイール乾燥、オーブン/流動床乾燥等を用いて行われるが、これらは設備および作業費にかなりの出費を要することが多い。同様の問題はPCCのような合成によって得られる他の研磨剤にも付随する。
【0005】
さらに、歯磨き剤向けの通常の研磨艶出剤は、脱水沈降シリカ生成物の粒度を、歯磨き剤使用者の口中でざらざらせず、他方十分な研磨作用を欠くほど小さくはない程度の大きさに縮小させるために粉砕を必要としている。すなわち、通常の操作では、金属シリケートの弱酸性化によって生じた反応器内のシリカの平均粒度は歯磨き用等には大きすぎる。乾燥シリカ微粒子を粉砕するために、1パスまたは多重パスで用いられるハンマーミルまたはペンドラムミルのような粉砕及び混練設備が用いられており、さらに、たとえば流体エネルギーまたはエアジェットミルによって微細粉砕が行われている。これらの補助的乾燥粉砕操作は付加費用および加工時間を必要とする。さらに、通常の乾式粉砕及び混練設備ならびに方法は不純物をシリカ中に導入させやすく、それによってシリカは光沢を失い、すなわち、最後に粉砕乾燥シリカを包含する配合物の「灰色化」をもたらすことがある。
【0006】
Salzmannに付与された米国特許第3,506,757号は、懸濁剤として多糖類ガムを用いて水性液体ビヒクル中に安定に懸濁させた微粒子状研磨剤物質を含む液体歯磨き剤を記載している。同様に、PCT特許出願第WO 97/46485号は、懸濁液状でもたらされる通常約12から30μmのメジアン粒度を有するシリカを記載し、該シリカはキサンタンガム、グアーガム、および水溶性セルロースエーテルのような特に多糖類と呼ばれる親水コロイドを使用して安定化させることができる。米国特許第5,310,543号は多糖類ガムを用い、かつ満足な流動特性を得るためにポリオール形保湿剤を実質的に含まないように特定された液体媒体を使用して、液体媒体中に安定に懸濁させた微粒子状ケイ質研磨清浄剤を含有する液体歯磨き剤を記載している。
【0007】
とりわけ、高価な乾燥及び乾式混練/粉砕後処理を必要とせず、連続プロセスフローの一部として調製可能と思われる適当な大きさの研磨剤粒子を含有する流動学的に安定な液体研磨剤組成物が望ましいであろう。
発明の開示
前記及び他の目的、長所および利点は保湿剤と組み合わせて液体媒体中に懸濁させた水不溶性研磨艶出剤からなる特異の研磨剤組成物に関する本発明によって達成される。本発明の研磨剤組成物は、歯磨き配合物または他の口腔洗浄剤組成物に包含させるような最終使用前の輸送中及び輸送後並びに/または貯蔵中及び貯蔵後でさえもポンプ輸送可能で、流動学的に安定かつ再凝集抵抗性がある。本発明の研磨剤組成物は、適当な沈降抵抗性を得るために無機懸濁剤(たとえば、ヒュームドシリカ)または有機結合剤(例えば、多糖類)からなる一時安定剤を要しない。本発明の研磨剤組成物を最後に包含させる歯磨き組成物または他の口腔洗浄剤組成物中に結合剤物質が望ましい場合には、その添加をその時まで遅らせることができる。実際に、本明細書に述べた実験研究は結合剤の不安定効果を示し、その場合に結合剤は比較的高固形分の保湿剤含有水性シリカスラリー中に包含された。
【0008】
また本発明は、研磨剤組成物の最終使用前に乾燥処理を必要としない連続一体化プロセスとしての該研磨剤組成物製法に関する。シリカの乾燥工程を省くことによって投下資本およびエネルギーの費用は節約される。さらに、本発明のスラリーの研磨剤粒子含量の粉砕要件は、場合によっては完全にはなくならないまでも、本発明の実施において共通反応器システム内の研磨剤物質の合成に並行して粉砕を効果的に行うことによって低減する。本発明において、これは、酸性反応混合物の一部の現場高剪断混合を含む反応器システムの使用によって達成される。1つの好ましい実施では、酸性反応混合物の一部を反応器に設けた再循環ループ内に配設した高剪断ミキサーに絶えずポンプ輸送する。このように、反応の水不溶性研磨剤微粒子生成物に、口腔洗浄組成物に適する必要粒度を付与して、濾過後の乾燥シリカ固体を乾燥及び粉砕する必要を無くすことが当然のこととみなされる。この時点で特定理論に拘束されることは望まないけれども、本発明の研磨剤組成物の流動特性は、さもなければ通常のシリカ粒子の乾燥処理中にシリカ粒子が蒙る粒子の凝集を避けることによって、少なくともある程度優れている事が主張される。対照的に、本発明の方法によって作った研磨剤組成物は反応器のシリカの初めの構造及び化学をおおむね保持して、表面の水酸基のタイプ及び濃度の変化が起こらないようにしたシリカ粒子を含有する。この点に関し、本発明によってつくったスラリー中に用いられる未乾燥研磨剤粒子は研磨剤粒子の乾燥及び乾式粉砕を含む処理によって得られた研磨剤粒子に比べて優れたTAPPI白色度値を示す。本明細書の目的のために、シリカ粒子の「乾燥」とは、含水量を約10重量%未満に低下させるときに、通常乾燥した流動性粉末が生じる程度にシリカ粒子を脱水させたことを意味する。したがって、「乾燥した」または「乾燥」研磨剤粒子はさきに定義したように乾燥を受けている。また「乾式粉砕」は乾燥した研磨剤粒子に行われた混練または他の機械的磨砕を意味する。本発明のスラリーに用いられる研磨剤粒子は乾燥も乾式粉砕も行わない。
【0009】
本発明の好適な任意の態様において、保湿剤の導入および保湿剤と湿潤ケークとの混合と同時に少量の抗微生物性防腐剤を加えることができる。本発明の研磨剤組成物は歯磨き剤、練り歯磨き等のような口腔洗浄組成物を調製する際にすぐ使用でき、練り歯磨き連続製造法の原料としてとりわけ適切な添加剤である。
発明実施の最良の態様
本発明に用いられる研磨剤組成物は、要求あり次第容易に他の成分とともに配合して、歯の組織に過度の摩耗を生じることなく、洗浄効果のすぐれた口腔洗浄組成物を調製できる極めて安定で、可搬性および貯蔵性があり、すぐに使用できる磨剤懸濁液またはスラリーである。本発明の研磨剤組成物の必須および任意成分ならびに関連する該組成物の製法を以下詳細に述べる。
【0010】
図1について説明すると、本発明の代表的な研磨剤組成物としてシリカスラリーを製造するためのプロセス総合機構100が示されている。
該プロセス機構100の第1工程では、シリカを沈殿させるために酸性反応を行う。初期の酸性反応は適当な加熱設備を備えた反応システム10内で行う。通常、工程10で生成される沈降シリカは清水、または電解質溶液、酸性プロセスによって調製することができ、シリカを水溶液中のケイ酸アルカリ金属塩と鉱酸との反応によって沈殿させる。清水法の場合には、酸性反応の間にミョウバン、Na2SO4、またはNaClのような電解質は存在しない。
【0011】
図2でさらに詳細に示すと、図1の実施工程10に用いられる反応器システム10′が示されている。図示のように、ケイ酸ナトリウム溶液21の一部を撹拌機手段(図示せず)を含む反応容器すなわちチャンバー20に装入して容器内容物27を撹拌する。好ましくは総計算量の約0から30%のケイ酸ナトリウム溶液を反応容器20に入れてシリカの核を生じさせるのに役立たせる。ついで容器20内のケイ酸ナトリウム水溶液を約60から100℃、より好ましくは約80から95℃の範囲の温度に予熱する。残留ケイ酸ナトリウムは、反応容器20に導入する前に、好ましくは約70から95℃に予熱する。酸溶液は好ましくは約30から35℃に予熱する。
【0012】
ケイ酸ナトリウムを説明しているけれども、任意の適当なケイ酸アルカリ金属塩が使用できると思われることは理解されよう。「ケイ酸アルカリ金属塩」という用語は、たとえば金属ケイ酸塩、二ケイ酸塩等のような通常の種類のケイ酸アルカリをすべて含む。水溶性のケイ酸カリウム及びケイ酸ナトリウムがとくに有利であって、後者が好ましい。ケイ酸アルカリのモル比、すなわちシリカ対アルカリ金属の比が、他の反応パラメータによっては、シリカ生成物の平均細孔サイズに寄与する。概して、本発明の許容できるシリカ生成物は,約1.0から3.5、好ましくは約2.4から約3.4にわたるケイ酸塩のモル比(SiO2:Na2O)で作ることができる。本明細書の他のところで述べたように、本発明の方法における種々の加工工程中に、反応容器20に供給されるケイ酸アルカリ溶液は、ケイ酸アルカリ金属溶液の総重量を基準にして通常約8から35重量%、より好ましくは約8.0から15.0重量%のケイ酸アルカリ金属を含有することができる。ケイ酸アルカリ源溶液のケイ酸アルカリ濃度を前記の望ましい範囲に低下させるためには、ケイ酸塩溶液を反応器に加える前に希釈水をケイ酸アルカリ源溶液に加えるか、あるいはまた希釈水を現場で、反応器20内のケイ酸アルカリ源溶液と撹拌混合しながら混ぜ合わせて、ケイ酸アルカリ金属溶液中に所望の濃度のケイ酸塩を配合することができる。
【0013】
酸すなわち酸性化剤はルイス酸またはブレンステッド酸であることができ、好ましくは硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等のような強鉱酸、より好ましくは希薄溶液(たとえば、約6から35重量%、より典型的には約9.0から15.0重量%の濃度の希薄溶液)として加えられる硫酸である。
【0014】
図2に示すように、反応器システム10′はさらにポンプ22、たとえば遠心ポンプ、および再循環ループ28内のフロー及び流量を制御するための手動弁29を含む再循環ループ29を有する。始働時に、弁29を開くと、ポンプ22は、反応器内容物27の一部を、ライン23を経て、インライン高剪断混合手段24、たとえばその中を流れる反応器内容物に高剪断を付与する回転子/固定子ミキサーまたはLightninミキサーに連続的にポンプ輸送する。その結果、インラインミキサー24は水性環境内に懸濁しているシリカ固体の粒度を縮少させるのに役立つ。インラインミキサー24における高剪断処理後、コンディショニングされたシリカ懸濁液をライン26を経て反応器20に戻し、そこで反応混合物27に再び合流させる。酸供給原料25は好ましくはインラインミキサー24から導入させか、あるいはまた酸を直接反応容器20に導入できるかもしれない。ケイ酸ナトリウム溶液は直接反応容器20に、またはインラインミキサー24から、もしくはその両方で装入することができる。
【0015】
ところでプロセスフローの一般的な考察に立ち返ると、反応器の溶液27及び残留反応物がいったん所望の温度に到達すると、再循環ループ28の手動弁29を開の位置にセットする。ラインミキサー24を作動させる。ついで、残留ケイ酸ナトリウム溶液および酸の同時添加を開始する。好ましくは、酸はインラインミキサー24から導入する。ケイ酸ナトリウム溶液および酸は約30から90分の添加時間にわたり反応器内に計量しながら供給する。反応物の添加速度はモル比、添加時間ならびにケイ酸塩の濃度及び酸の濃度による。通常、2モルのナトリウムを1モルの硫酸で中和する。
【0016】
この同時添加時間の終了時に、大半のシリカは沈殿しており、ケイ酸ナトリウムの添加を停止する。酸の添加は、反応器のスラリーが所望のpHに到達するまで続ける。スラリーのpHがいったん約7.0に達するや、スラリーのpHが目標のpHに達するまで酸の流量を低下させることが好ましく、そして、その点において酸のフローを止め、手動調節を用いて目標のスラリーのpHに到達させることができる。好ましいスラリーのpHは約4.0から7.0、より好ましくは4.0から5.0、もっとも好ましくは4.6±0.1である。この時点において、シリカは沈降してしまい、沈降シリカと反応液の混合物となった。いったん所望のスラリーのpHに到達すると、熟成が始まって、反応温度を約85−99℃、好ましくは91から97℃に上昇させ、この上昇温度において約5から60分間、好ましくは約10分間熟成が継続する。熟成工程中、一定のpHを保つのに必要な程度に酸を加える。
【0017】
本発明のプロセス機構の1つの重要な態様は、前記の沈殿、酸添加及び熟成工程の少なくとも1種以上の工程の間に、高剪断インラインミキサー24を使用して反応塊及びシリカ粒子をコンディションニングすることにある。1つの好ましい態様では、手動弁29を開き、ケイ酸塩溶液と酸の同時添加を開始する時から熟成が完了するまで再循環ループを流れるスラリーにインラインミキサーを適用する。あるいはまた、反応時間の僅かな一部の間に、再循環ループ28を流れているスラリーにインラインミキサー24を適用する。しかし、乾燥及び乾式混練処理を必要とせずにシリカ粒子を縮小させるという本発明の目的に合致させるには、反応器のスラリー含量に加える剪断量がメジアン粒度(MPS)を約1から約30ミクロン(μm),好ましくは約1から約25ミクロン、より好ましくは約3から約10ミクロンに縮小させるのに十分でなければならない。
【0018】
該プロセスの反応器工程において望ましい製品の粒度を達成するために、本発明は通常毎分、再循環ループ28を通る反応容器20の内容物の容量の約8から22容量%の再循環比率を使用する。また剪断量は沈殿、熟成及び介在入工程を含む反応時間(分単位)中に全反応器内容物(リットル(L)単位)を循環させる時間数によっても表すことができる。本発明の場合に、最少剪断速度は3.0、好ましくは4.5を上回り、より好ましくは9.0を上回る。たとえば、1000Lの反応器における60分間で160L/分の再循環フローは、本明細書で定義した9.6という剪断速度を生じる。
【0019】
反応中再循環フロー28に高剪断を付与するために用いられるインラインミキサー24は好ましくは回転子/固定子型インラインミキサーである。有用な回転子/固定子ミキサーの例にはSilverson Machines,Inc.製Silverson Model 450LSのようなSilverson in−line mixers;またはIKA−Works Inc.,Wilmington,North Carolina 28405の市販品、ならびに Model ME−410/420X,および 450Xを含む Charles Ross and Son Company,Hauppage,NY 11788製の市販品がある。
【0020】
本発明の実施に有用なインライン回転子/固定子型高剪断ミキサーの基本構造はそれ自体新規なものではない。それは通常回転子および固定子からなる壁付タービンを含み、回転子がシャフトの周りに高速回転しながら、固定された固定子が円周状に回転子を包囲する。回転子のブレードの高速回転はサクションを生み出し、それがスラリーを回転子/固定子アセンブリの入口部分に吸引するように処理する。そこから、スラリーは回転子のスロットを通り遠心力によって固定子と回転子のプレート端部とのギャップに押し込まれ、そこでスラリ−はギャップ内の半径流の高剪断を付与される。ついでスラリーは強力な液圧剪断を受けて固定子のスロットから出口部分に押出され、そこで、剪断を受けたスラリーをさらに加工するためにパイプから押出す。剪断されたスラリーが出てくるにつれて新しいスラリーが絶えず回転子/固定子に押し込まれる。このようにして、反応器の内容物は再循環フロー28に付与された高剪断力を有する。
【0021】
図1の実施工程1に用いられる反応器システム10′において熟成工程を完了させ、続くpH調整を行った後、反応バッチを下ろす。すなわち、反応塊を工程11で濾過及び洗浄する(図1)。フィルターはプレートおよびフレームフィルター、フィルタープレスまたはプレッシャーリーフフィルターのような圧力式フィルターが好ましい。反応塊を濾過し、水洗して、Na2SO4のレベルを5重量%未満、好ましくは2重量%未満(例えば、0.5から1.5重量%)に低下させる。得られた湿潤ケークは約50重量%固形分を含有し、その残りは実質的にすべて水である。洗浄したフィルターケークのpHは、必要に応じて調整することができる。
【0022】
工程12において(図1)、工程12の洗浄した湿潤ケークを保湿剤で流動化させる。保湿剤、とくにポリオール型保湿剤を混合しながら湿潤フィルターケークと混ぜ合わせて、保湿剤を含有する研磨剤粒子の懸濁液またはスラリーを生成させる。好ましくは、混合は、特定量の保湿剤を含有する混合容器に湿潤ケークを加えた後、スラリーが1.5%未満(固体シリカの重量を基準にして)の+325メッシュの残留レベルを有するまで内容物を混合することによるような高剪断ミキサーで行う。これに関する有用なミキサーの例はMotoregler Dispermat CV 高剪断ミキサー、及びHockmeyer Equipment Company製Hockmeyer Lab 2 type disperserである。
【0023】
十分に混合しながら比較的少量のポリオール保湿剤を湿潤ケークに加えて流動化させると、外部安定剤を必要とせずに流動学的に安定で、適当に沈降抵抗性がある研磨剤スラリーまたは懸濁液を生成することが見出された。さらに、ポリオール保湿剤で処理して流動化させた湿潤ケークは大きな粒度へのシリカの著しい再凝集を経験しない。
【0024】
これを達成させるために、保湿剤は湿潤フィルターケークの重量を基準にして約3から約80重量%、好ましくは約5から約60重量%、より好ましくは約20から約50重量%の量で添加され、かつ約30重量%未満(たとえば、3から30重量%未満)であることができる。濾過した湿潤ケークに加える保湿剤の量が低すぎると、スラリー状に流動化させるにはケークの粘度が高すぎたままであり、他方保湿剤の量が多すぎると流動化スラリーは生化学的負荷の制御を保つのに多量の防腐剤を必要とすると同時に材料コストの増大をもたらして、練り歯磨き配合物によっては使用できないほどの保湿剤を含むであろう。保湿剤はポリオール、たとえば単独または混合物として用いられるグリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、水素化デンプン水解物、キシリトール、ラクチトール、及び水素化コーンシラップが好ましい。グリセリノよびソルビトールは単独または混合物として用いるのが好ましい。グリセリンは99.5重量%溶液として容易に入手できるが、ソルビトールは固形分70重量%水溶液として市販される場合が多い。機能上保湿剤という用語は、通常それを含む組成物によって、空気に触れても、該組成物を乾燥させないように水分保持を容易かつ確実にする化合物を指すものと理解される。
【0025】
シリカ湿潤ケークを流動化させる液体媒体は、濾過した湿潤ケークおよび保湿剤添加剤中の水または水性部分によって構成される。前記のように、保湿剤自体は比較的低水分量で導入させることができる(たとえば、市販の70重量%ソルビトール溶液使用の場合には約30重量%以下及び市販のグリセリン使用の場合には約0.5重量%未満)。しかしフィルターケーク自体に保持される水が概してシリカ粒子を懸濁させる液体媒体全体に水性の特徴を付加する流動化流体の一因となることは明らかであろう。
【0026】
本発明の図1の工程12によって得られた研磨剤スラリーはブルックフィールド 1/2 RVDV II 粘度計で25℃において、Helipathスタンドにより、T−Fスピンドルを用いてrpm=5.0で測定して、約100 cpから700,000 cpに及ぶ粘度、および約25℃で3週間貯蔵後に30重量%未満の固体沈殿比率を有する。
【0027】
微細沈降シリカ懸濁液に約3から80重量%のポリオール保湿剤を添加すると、流動学的に安定で、沈降耐性がある研磨剤懸濁液を得ることができ、これをそれ自体または他の組成物の添加剤として用い得るという発見は驚くべきことと思われる。このように、この加工工程でもたらされる研磨剤組成物は安定であり、可搬性かつ貯蔵性であるように適当な大きさの粒子を有し、かつ歯磨き剤および他の液体口腔洗浄組成物のようなさらに複雑な配合物のすぐに使用可能な多成分添加剤として要求に応じて用いられる。すなわち、工程12の研磨剤懸濁液製品は図1の工程13に示すような最終製品として用いることができる。この研磨剤粒子は本発明のスラリー組成物全体に概ね均一に分散分布している。
【0028】
本明細書に述べる実験的研究は、少量の保湿剤を有する研磨剤懸濁液中のカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)のような多糖類結合剤の付加的存在が高固形分スラリーの沈降性に関する限り有害な効果を有することも示した。多糖類結合剤には水溶性セルロースエーテル、グアーガム、及びキサンタンガム等があり、これらの結合剤物質は流動学的に安定化させる必要がなく、本発明の研磨剤組成物中に適当な増粘性をもたらす。
【0029】
得られた研磨剤懸濁液は約10から約60重量%の研磨剤粒子、約3から約80重量%の保湿剤、及び約5から約50重量%の水(好ましくは約5から約30重量%の水)を含む。好ましくは、本発明の研磨剤組成物中には多糖類結合剤は存在しないか、または、もしあるとしても、せいぜい極めて少量、すなわち、0.20重量%未満、より好ましくは0.05重量%未満の多糖類が存在する(すなわち、0重量%の多糖類がさらに好ましい)。本発明の研磨剤組成物は最後に他の必要物質、たとえば、増粘剤、液体ビヒクル、フッ化物化合物、虫歯防止剤等と混合して、歯磨き剤または他の口腔洗浄組成物を作る場合に、結合剤は、流動性またはシリカ沈降性に悪影響を及ぼさずに、本発明の研磨剤組成物及び増粘剤や液体ビヒクルのような他の歯磨き剤成分と混合させることができることが認められている。
【0030】
抗微生物剤(すなわち、抗細菌剤および/または抗真菌剤)のような防腐剤を任意に、ポリオール保湿剤を用いる工程12の流動化プロセスと同時かまたは直後に、混合しながら、流動化沈降シリカに加えることができる。この場合に防腐剤は、たとえば安息香酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、プロピル−p−ヒドロキシ−ベンゾエート、およびメチル−p−ヒドロキシ−ベンゾエート(メチルパラベン)からなる群から選ぶことができる。細菌及び真菌の成長を適当に阻止するように思われる防腐剤の有効量は最終練り歯磨きの重量を基準にして約0.5重量%未満である。こうした量で用いた防腐剤は研磨剤組成物の有利な流動学的特性に影響を与えない。
【0031】
本発明の重要な態様は工程12によってもたらされる研磨剤粒子の水性懸濁液が、シリカを乾燥させるか、または乾式混練を行う必要なしに、研磨剤粒子の前記水性懸濁液を歯磨き剤組成物または他の口腔洗浄組成物中に混合する付加工程まで少なくとも20重量%の総液体含量に絶えず保つことができる。この時点で特定理論に拘束されることは望まないけれども、乾燥及び乾式混練プロセスが予測できないように、または逆のようにさえもシリカ粒子の凝集ならびに表面水酸基のタイプおよび密度に影響を与えることは当然のこととみなされる。本発明はこのような乾燥および乾式混練の影響がないようにする。また本発明は最後に粉砕乾燥シリカを包含し配合物の光沢を失って、「灰色化」を生じるような不純物をシリカに導入する傾向がある通常の乾式粉砕及び混練設備ならびに方法の悪影響をも阻止する。
【0032】
任意に、そして図1について説明すると、極めて小さな粒度が望ましいか、または何らかの理由により工程10で行う高剪断を省略する場合には、本発明は、保湿剤を導入後で、研磨剤粒子の水性懸濁液を歯磨き剤組成物中に包含させる前に、工程14の研磨剤粒子の水性懸濁掖の<湿式練り、たとえば湿式ビードミリングを可能にする。また工程14のスラリービードミリングに工程16のスラリー濾過を続けて、本発明の実施の場合に常に1.5重量%未満である325メッシュ(45ミクロン)よりも大きい粒度を除くことができる。あるいはまた、ビードミリング工程の代わりに濾過工程16を行って325メッシュよりも大きな粒度を除くことができる。
【0033】
前記の研磨剤組成物中に付与されるシリカは、好ましくは二酸化ケイ素またはSiO2と呼ばれる合成水和無定形シリカとみなされる。J.Soc.Cosmet.Chem.,29,497−521(1978年8月)、およびPigment Handbook:Volume 1,Properties and Economics,2nd ed.,John Wiley&Sons,1988,p.139−159に示された定義によれば、これら沈降シリカは極めて小さいか中位の構造の合成シリカとみなすことができる。
【0034】
合成無定形シリカを沈降させる前記工程10の方法に加えて、シリカの調製は必ずしもそれに限定されず、また該方法が工程10に用いられる再循環及び高剪断処理を含むように適当に変更されさえすれば、通常、たとえば先行米国特許第3,893,840号、同第3,988,162号、同第4,067,746号、同第4,340,583号及び同第5,225,177号(各特許はすべて本明細書に参照として組み込んである)に記載された方法によって達成させることもできる。当業者には理解されるように、得られた沈降シリカの特性に影響する反応パラメータには、種々の反応物を加える速度及び時間;種々の反応物の濃度レベル;反応のpH;反応温度;および/または任意の電解質を加える速度が含まれる。
【0035】
また、反応器システム10′(図2)は、反応器のスラリーに、さらに小さな粒度を生じさせるために前記再循環ループ機構および操作方法に種々の他の機構を再構成させることができよう。たとえば、再循環ループ28においてインライン高剪断ミキサーから導入させるのではなくて、その代わりに酸(25)を反応容器27に直接導入させることができる。本研究者等は、とりわけ酸を反応容器に直接導入するのに対して図2に示すようにインライン剪断ミキサーから導入する場合には、反応器内の沈降固体生成物の粒度が本明細書に記載した範囲内(すなわち約1から約30ミクロン)にあるにもかかわらず比較的小さいことを認めた。また、そうではなくて再循環ループ28を、再循環ループ28内のスタティックラインミキサーとともに用いることもできよう。あるいはまた、高剪断ミキサーを備えた再循環ループ28を用いる代わりに、反応容器20内に高剪断タービン反応器撹拌機を直接配設して、粗沈降反応物質とスラリー27を混合することもできよう。そのシナリオの場合には、粗沈降反応物質を高剪断反応器撹拌機の近く、たとえば反応器底部から導入することができよう。あるいはまた、反応器に直接添加する場合には、酸を撹拌機のシャフトを通って反応容器20内の反応混合物27中に配置される撹拌機ブレード先端から分散させて、残留ケイ酸ナトリウム及び反応スラリーと反応させることができ、このシナリオは、前記のように再循環ループ28の有無に関係無く反応器システムで用いることができる。また、粗沈降反応物質を高圧ポンプおよびノズル機構を経て反応器内の反応スラリー中に導入することができよう。また、最初に隔離された小混合容器内の粗沈降反応物質に高剪断作用を加えることができよう。この場合に反応混合物は高剪断ないし通常の撹拌を用いてさらに主反応容器内にオーバフローさせる。
【0036】
本発明の研磨剤組成物中に用いられる沈降シリカは通常下記の性状を有する:0.5から30にわたる10%Brass Einlehner 硬度値、20から250m2/gのBET値、約40から約200cc/100gのアマニ油吸油量、約30から約200のRDA(Radioactive Dentin Abrasion)値、およびPCR(Pellicle Cleaning Ratio)値。しかし、シリカの3から15ミクロンという平均粒度は、反応器後の乾燥及び乾式混練/微粉砕処理ならびに関連設備を包含させる必要なくして、本発明の反応器内で本明細書で検討した再循環ループ28処理によって達成されることに留意しなければならない。
【0037】
シリカは本発明によって生成される研磨剤組成物にもたらされる研磨艶出剤として本明細書に述べたけれども、本発明の原理は研磨剤粒子の水性懸濁液と約80重量%未満、さらに僅か30重量%未満の保湿剤とを混合させる安定化効果が少なくとも有る限り、乾燥及び乾式混練工程を必要とせずに、反応器で合成できる他の水不溶性研磨剤粒子の懸濁液またはスラリーにも適用可能と思われる。このような他の水不溶性粒子には、たとえば沈降炭酸カルシウム(PCC)、リン酸二カルシウムまたはその二水和物、シリカゲル、およびピロリン酸カルシウムがある。PCCのような他の合成研磨剤粒子は、反応器のスラリーに後乾燥及び乾式粉砕処理の必要がないほど小さい粒度をもたらすために、本明細書に記載したような再循環/インライン高剪断ミキサーループ28の使用を組み入れるように別の通常のPCC反応器を改良することによって合成することができる。
【0038】
任意に、流動化工程12(図2)において、沈降炭酸カルシウム、リン酸二カルシウムまたはその二水和物、ピロリン酸カルシウム、水和アルミナ、不溶性メタリン酸ナトリウム、不溶性メタリン酸カリウム、不溶性炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸アルミニウム、および/またはシリカゲル等のような種々の水不溶性微粒状研磨剤を、必要ならば、スラリーの研磨特性に適合させるように、工程12の沈降シリカスラリー化処理中に導入することができる。
【0039】
図1に示した工程13、15または17のいずれかにおいて仕上がった研磨剤懸濁液またはスラリーは、歯磨き剤または他の口腔洗浄組成物の調製時のような後の使用に必要となるまで、パイプ輸送、輸送用積み込みまたは貯蔵することができる。この点に関し、研磨剤粒子の水性懸濁液を典型的には補助水、必要に応じて補助保湿剤、結合剤、フッ化物イオン付与化合物、賦香剤、着色剤、白色化剤、防腐剤、虫歯防止剤、発泡剤、および殺菌剤の少なくとも1種と混合する。
【0040】
これら任意の歯磨き剤成分の使用の例は本明細書および/または、たとえば再発行29,634号、米国特許第5,676,932号、同第6,074,629号および同第5,658,553号に記載され、引用された特許はすべて本明細書に参照として組み入れてある。これら任意の成分は、使用する場合には、慣習上歯磨き剤配合物中に見られるレベルで用いることができる。
【0041】
前記シリカ懸濁液生成物(図1の工程13の生成物)は、歯磨き組成物中に包含させる場合、歯磨き剤が練り歯磨きであるときには、約0から約50重量%、より好ましくは約10から約35重量%のレベルで存在する。本発明の研磨剤組成物を含む包括的歯磨き剤または口腔洗浄剤配合物は下記の可能な成分およびその相対的な量(量はすべて重量%)を含むことができる。
【0042】
歯磨き剤配合物:
成分 量
液体ビヒクル:
保湿剤(合計) 5−70
脱イオン水 5−70
結合剤 0.5−2.0
虫歯防止剤 0.1−2.0
キレート剤 0.4−10
シリカ増粘剤* 3−15
アニオン界面活性剤 0.5−2.5
研磨剤 10−50
甘味剤 <1.0
着色剤 <1.0
香味剤 <5.0
防腐剤 <0.5
有用なシリカ増粘剤には、たとえばZeodentTM165シリカのような無定形沈降シリカがある。他の好ましいシリカ増粘剤はZeodantTM163シリカおよびZeofreeTM153シリカであり、すべてJ.M.Huber Corporation,Havre de Grace Maryland,U.S.A.から入手可能である。
【0043】
実施例
下記の実施例は本発明を例示するために示すが、本発明はそれに限定されると考えてはならない。下記の実施例において、特に指示しない限り、部は重量単位である。
【0044】
実施例1
本発明によって作った研磨剤組成物対乾燥および乾式混練したシリカから誘導した比較用研磨剤組成物の流動学的特性及び沈降特性を評価するために、まずシリカを次のように調製した。
【0045】
シリカ湿潤ケークの調製:
24.8リットル(L)のケイ酸ナトリウム(Na2O 13.3%、SiO2:Na2Oのモル比 2.65、比重 1.123)を蒸気加熱用ジャケット付き1000Lステンレス鋼反応器に加えた。反応器内部に取り付けたA200 Lightnin撹拌機を120rpmに設定した。反応器システムはまた、容器底部に設けられたループの取り入れ口、および容器頂部近傍に設けられた戻り口、およびこれら両部分間に設けられた適当な配管とともに、Labour ASME B73.1(Sterling Fluid Systems)遠心ポンプ、手動流量調節弁、およびSilverson 450 LS イン−ラインミキサーを含む外部再循環ループが備えられた。反応媒体を83℃に予熱して、反応中この温度を保持した。再循環を開始し、Silversonミキサーを作動させ、60Hzに設定して108L/分の再循環流量を達成させた。再循環システムの手動弁を十分に開くように設定した。ついで、反応器システムへの酸とシリケートとの同時フローを開始して、一定時間継続した。前記と同じ濃度/組成の、83℃に予熱した希薄ケイ酸ナトリウムを13.00リットル/分(LPM)で反応容器に導入し、同時に稀硫酸(11.4重量%、比重=1.079、39℃)を3.56LPMで(出発時の酸は遅くて1 LPM)Silversonミキサーから導入した。同時添加の47分後にシリケートのフローを取りやめた。酸のフローは、バッチのpHが7.0に低下するまで3.5LPMで継続させた。バッチのpHが7.0のときに、酸のフローを1.5LPMに下げて、pHが4.6に近づくまで酸添加を続け、その時点で酸フローを4.6まで縮めて、さらに手動で目標値の4.6±0.1pHに調節した。ついでバッチを93℃で10分間熟成させ、熟成中必要に応じてpHを4.6に戻した。熟成後、pHを手動で4.6±0.1pHに調節した。反応器のシリカのメジアン粒度(MPS)を測定して、熟成完了後にこの目的のためにシリカの小さな試料を除いた。メジアン粒度は7.76μmであった。熟成完了後、バッチを落下させた後プレートおよびフレームフィルターで濾過してから洗浄して、反応副生物(硫酸ナトリウム)のほとんどを除去した(2.0重量%未満に)。注入圧力=80psi、水圧=20−25psi、エアブロー=80psi(水がプレスから出て来なくなるまでのエアブロー)を用いてバッチを濾過した。湿潤ケークの3ないし4枠を集め、次の保湿剤流動化、または噴霧乾燥/混練のいずれかのプロセス経路を比較のために使用した。
【0046】
以下詳細に述べるように、湿潤ケーク生成物の若干は本発明の研磨剤懸濁液を示すために少量の保湿剤を用いて流動化させ、他方他の湿潤ケークは比較のために噴霧乾燥及び乾式混練を行った。
【0047】
比較試料に用いた噴霧乾燥は、480℃の入口温度を有するアトマイジング噴霧乾燥手段を用いて、前記のように作った他の湿潤ケークを7.0%H2O、±1%の目標まで乾燥することを含んだ。すべてのスラリー実験は同一出口温度を有しなければならない。対比シリカの噴霧乾燥試料はさらにハンマ−ミルにかけて8−14μmにした。
【0048】
シリカ湿潤ケーク2(WC2):
蒸気加熱用ジャケット付き1000Lのステンレス鋼反応器に24.8Lのケイ酸ナトリウム(Na2O 13.3%、SiO2:Na2Oのモル比 2.65;比重 1.123)及び1.78kgのNa2SO4を加えた。反応器内部に取り付けたA200 Lightnin撹拌機を120rpmに設定した。使用した反応器システムは試料の湿潤ケーク1の製造の際に述べたものと同じであった。反応媒体を93℃に予熱して、反応中この温度を保持した。161L/分の再循環流量を達成させるために再循環を始動させ、同時にSilversonミキサーを始動させて、60Hzに設定した。再循環システムの手動弁を完全に開くように設定した。ついで、反応器システムへの酸とシリケートとの同時フローを開始して、一定時間継続した。前記と同じ濃度/組成の、88℃に予熱した稀薄ケイ酸ナトリウムを13.00LPMで反応容器に導入し、同時にSilversonミキサーから稀硫酸(11.4重量%、比重=1.079、39℃)を4.74LPM(出発時の酸は遅くて1LPM)で導入した。シリケートのフローは同時添加の47分後に中止された。酸のフローは、バッチのpHが7.0に下がるまで4.74LPMで続けられた。バッチのpHが7.0において、酸のフローを1.5LPMに下げて、pHが4.6に近づくまで酸添加を続け、その時点で酸フローを4.6に縮めてから、手動で4.6±0.1pHの目標値に調節した。ついでバッチを98℃で10分間熟成させ、熟成の間に必要に応じてpHを4.6に戻した。熟成後、pHを手動で4.6±0.1pHに調節した。熟成完了後、このために取出したシリカの少量の試料について反応器のシリカのMPSを調べた。反応器のシリカのMPSは41μmであった。熟成完了後、バッチを落下させた後、プレートおよびフレームフィルターで濾過してから、洗浄して反応副生物のほとんどを除いた(2.0重量%未満まで)。充填圧力=80psi、水圧=20−25psi、エアブロー=40psi(水がプレスから出なくなるまでのエアブロー)を用いてバッチを濾過した。3ないし4枠の湿潤ケークを集めて、次の保湿剤流動化、または噴霧乾燥/混練のいずれかのプロセスルートを用いて比較した。
【0049】
シリカ湿潤ケーク3(WC3):
シリカ湿潤ケーク2を作るのに用いた基本的操作を繰り返したが、ただし始めに50.9Lのケイ酸ナトリウムを反応器に装入し、116L/分の再循環流量を用い、シリケート/酸同時添加時間中のケイ酸ナトリウム溶液の導入速度は12.44LPMであって、バッチを落下させた。反応器のシリカのMPSは8.36μmであった。
【0050】
シリカ湿潤ケーク4:(WC4)
シリカ湿潤ケーク4は湿潤ケーク2と湿潤ケーク1の20:80混合物からなる。シリカ湿潤ケーク1−4中のシリカの物理的性質を、その対比乾燥様式の性質をも含めて下記表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
上記のデータから湿潤ケーク1ないし3のTAPPI白色度はそれを噴霧乾燥して混練した対抗品よりも著しく大である(最高2.4ポイント)。
乾燥及び乾式混練しなかった湿潤ケークは、後の研究で下記計画を用いて保湿剤と混合し、得られた研磨剤組成物の性質も評価して次に示した。
【0053】
シリカ湿潤ケークの流動化:
前記シリカ湿潤ケーク3から下記のようにスラリー1−5を調製した。各スラリー試料ごとに、表2に示すように、特定量の70%ソルビトール及びシリカ湿潤ケークを1200mlステンレス鋼ビーカーに加えた。1000RPMのMotorregler Dispermat CV 高剪断ミキサーを用いて、湿潤ケークの溶液への添加を開始した。この湿潤ケークはシリカ湿潤ケーク3について述べた先の湿潤ケーク調製法によって得られた。粘度が増大するにつれて、DispermatのRPMは最高6000RPMまで上昇した。湿潤ケーク生成物の添加を続けた。いったん添加が完了すると、DispermatのRPMを6000RPMに保たせ、内容物をさらに10分間分散させた。
【0054】
これら流動化スラリーの粘度を次の方法により測定して、下記の表2に要約する。
粘度測定法
1.粘度によって、FまたはBスピンドルを有し、そして5.0r.p.m.で操作させるブルックフィールド 1/2 RVDV II 粘度計を調整して、Helipathスタンドを組み立てて、Helipathスタンドを装備する。
【0055】
2.スピンドルをスラリー表面に置く
3.24秒間で粘度を記録する(センチポアズ(cp)単位)。
【0056】
【表2】
【0057】
実施例2
実施例1に記載したシリカ湿潤ケーク1及びシリカ湿潤ケーク2によって作ったシリカの保湿剤流動化処理に基づく研磨剤組成物(すなわち、スラリー)の流動学的安定性を調べるために、下記の沈降研究を行った。スラリーは「シリカ湿潤ケークの流動化」という表題で前記のプロトコールを用いて調製したが、ただしシリカ湿潤ケーク3はこの研究のために処理した。調製中にかなりの量の多糖類結合剤をスラリーに加えた比較実験3B、3D、3F,および3Hも含まれた。
【0058】
シリカスラリー沈降試験計画:
1.流動化シリカ試料を特定試験時間の間(3週間)撹拌せずに室温(25℃)で貯蔵後、スラリー及びジャーの総重量を測定した。
【0059】
2.スラリーの高さを測定して、撹拌機のブレードをジャー中のスラリ−の高さの1/2に位置決めした。
3.スラリーを1000rpmで5分間撹拌した。
【0060】
4.撹拌機をジャーから取出し、ジャーを傾けてスラリーをビーカー内に空けた。ジャーは1分間逆さに保った。
5.ジャーに残ったスラリーとジャー重量との合計重量を測定した。ジャーから残留スラリーを取出し、ジャーを洗浄して、ジャーの風袋を得た。
【0061】
6.ついで当初のスラリーの重量に基づいて、ジャーに残留するスラリーの重量%を計算した。
結果を表3に要約する。
【0062】
【表3】
【0063】
この結果から保湿剤で流動化させたシリカは経時的な沈降に対して極めて抵抗性のあることがわかる。
実施例3
抗菌性防腐剤を混合した前記流動化シリカの相互作用及び安定性を調べるために、下記の生化学的負荷の検討を行った。
【0064】
表4に挙げた成分量によって、種々の量のソルビトール及び安息香酸ナトリウムを用いてスラリーを調製し、エージング期間にわたり生物学的効果を検討する。シリカ湿潤ケーク1(WC1)を最初約1.5週間エージングして、ソルビトールまたは安息香酸ナトリウムの添加前に細菌を生育させた。ソルビトールおよび安息香酸ナトリウムを1200mLのステンレス鋼ビーカーに入れてビーカー内にDispermat高速ミキサーを置いた。必要量のエージングを行ったシリカ湿潤ケーク1を加える間は、ミキサーを低速に設定した。その後、ミキサーの速度を6000rpmに上げて、スラリーを10分間混合した。各バッチを2等分して、それぞれ1週間と3週間の試験をするために250mlの無菌ジャーに移した。指定時間後、USP微生物計画にしたがって、各バッチから得た対応する試料について、総好気性細菌平板菌数、かび、酵母およびグラム陰性菌を分析した。
【0065】
生化学的負荷調査の結果を下記表4にまとめる。
【0066】
【表4】
【0067】
上記のデータから分かるように、安息香酸ナトリウムで処理した試料、とくにソルビトールのレベルの低いものは細菌、かびおよび酵母の消滅がもっとも大きかった。
【0068】
実施例4
本発明の研磨剤組成物の要求に応じてすぐに使える性能を示すために、保湿剤で流動化させた幾つかの前記シリカを用いて練り歯磨き配合物を調製した。
【0069】
本発明のために、「歯磨き剤」はOral Hygiene Products and Practice,Morton Pader,Consumer Science and Technology Series,Vol.6,Marcel Dekker,NY 1988,p.200(これは参照として本明細書に組み入れてある)に定義されている意味を有する。すなわち、「歯磨き剤」は「歯ブラシを用いて、歯の接触可能な評面を洗浄する物質である。歯磨き剤は主に水、洗浄剤、保湿剤、結合剤、賦香剤、および主成分としての微粉状研磨剤からなり....歯磨き剤は歯に虫歯防止剤を与えるための研磨剤含有投与形態であると考えられる。」 歯磨き剤配合物は、溶解させてから包含させなければならない成分を含有する(たとえば、フッ化ナトリウム、リン酸ナトリウムのような虫歯防止剤、サッカリンのような賦香剤)。本発明の実施において、工程12の本発明の研磨剤−保湿剤スラリー(図2)は、歯磨き剤配合物にとって、最後に必要な液相の一部または、場合によってはその大部分さえも含有し、工程12の間またはその後にこれらの成分を研磨剤−保湿剤スラリーに加えることができる。結合剤が事前歯磨き剤スラリー中に存在する場合には、研磨剤スラリー中の固体の沈降を増すという観察結果から、本発明の研磨剤スラリー中に結合剤を避ける。
【0070】
練り歯磨き配合物が、研磨剤−保湿剤懸濁液の場合には原因とならない3%を上回る水分を含有する場合に、歯磨き剤を調製するために、下記の方法に従う。研磨剤−保湿剤懸濁液には含まれない量の保湿剤(グリセリン、ソルビトール)、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ポリエチレングリコールを混ぜ合わせて第1の混合物をつくる。研磨剤−保湿剤懸濁液に含まれない量の脱イオン水、フッ化ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム及びサッカリンナトリウムも、第2の混合物ができるまで、これら成分を撹拌しながら混合して混ぜ合わせる。これら2つの混合物を撹拌しながら混合する。その後、着色剤を加え、混ぜ合わせた混合物をLightninミキサーで撹拌して「プレミックス」を得る。
【0071】
「プレミックス」をRossミキサー(Model 130 LDM)に入れて、研磨剤−保湿剤懸濁液、シリカ増粘剤、および必要なTiO2を加えて、無真空で混合する。ついで30インチの真空に引いて、得られた混合物を約15分間撹拌する。最後に、ラウリル硫酸ナトリウムおよびフレーバーを加えて、混合物を低混合速度で約5分間撹拌する。
【0072】
練り歯磨き配合物が、本発明の研磨剤−保湿剤スラリーまたは懸濁液には考慮されない少なくとも3%の水分を含まない場合には、本発明の研磨剤スラリーまたは懸濁液に若干の成分を加えなければならない。とくに、残留配合水、フッ化ナトリウム、三塩基性リン酸ナトリウム、リン酸一ナトリウム、サッカリンおよび着色剤を撹拌しながら研磨剤−保湿剤懸濁液に加える。残留配合保湿剤(例えば、ソルビトール、グリセリン)、CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム塩)、およびポリエチレングリコール(PEG)を共に撹拌して第2の混合物を作る。これら2つの混合物をRossミキサーに入れ、シリカ増粘剤及びTiO2を加えて、無真空で混合する。ついで30インチの真空にして、得られた混合物を約15分間撹拌する。最後に、ラウリル硫酸ナトリウムおよびフレーバーを加えて、低混合速度で約5分間撹拌する。得られた歯磨き剤組成物を歯磨きチューブに封入して、後の試験のために適当な条件に保持する。組成物のpHは約7であった。
【0073】
前記のシリカ湿潤ケーク1ないし3の一部を下記表5Aに記した量のグリセリンまたはソルビトールで流動化させた後、下記表5Bに記したようにこれら流動化シリカを用いて歯磨き剤を配合した。シリカ湿潤ケークを流動化させる一般的規則は「シリカ湿潤ケークの流動化」と題した項目に記載したものと同じであったが、ただし表5aに示したように、すべてではないが若干の流動化シリカ湿潤ケークは325メッシュスクリーンで濾過した。このスラリーは、+325メッシュの残留レベルが確実に最大1.5%未満(乾燥シリカの重量を基準にして)になるように、325メッシュスクリーンで濾過した。これを行うために、シリカ/保湿剤スラリーを325メッシュ(45ミクロン)スクリーンに注入した。スクリーン上にはオーバーサイズの粒子だけが残るまで、平らな物体を用いてスラリーをスクリーンに押し付けた。
【0074】
これらの歯磨き剤配合物の性質を下記の表5Cに示す。
【0075】
【表5】
【0076】
【0077】
【0078】
上記のデータから、本発明のシリカ研磨剤スラリーで作った歯磨き剤は乾燥粉末化研磨剤で作ったものよりもいくつかの利点を有する。すなわち、本発明の研磨剤スラリーは、この歯磨き配合物において約1ポイントの白色度の改善をもたらし、乾燥混練した対抗品に比べて摩耗性が少ない。歯磨き剤はすべて良好な粘度、フッ化物有効性、およびすぐれた美観(耐久性、外観、分散性)を示した。
【0079】
本発明の研磨剤スラリーに基づいて補助的歯磨き配合物を次のように配合した。シリカ湿潤ケーク4の一部を下記の表5Dに記したように、かつ本実施例中で先に述べた一般的計画を用いてソルビトールで流動化させた後、下記の表5Eに記したようにこの流動化シリカ湿潤ケークで歯磨き剤を配合した。この歯磨き配合物の性質を下記の表5Fに示す。また、シリカ湿潤ケーク(WC2)を保湿剤で流動化させ、表5Dに示したように、これにPCC湿潤ケークまたは乾燥リン酸二カルシウムを個々に加えた。これら流動化スラリーを表5Eの歯磨き配合物中に包含させて、これらの練り歯磨きの性質を表5Fに要約する。
【0080】
【表6】
【0081】
【0082】
【0083】
本発明の研磨剤スラリーで作った歯磨き剤は、他の研磨剤と組み合わせた場合でさえも、すべて良好な粘度及び美的性質を示した。
実施例5
シリカ湿潤ケーク3を、表6Aに記載したように流動化させた後、練り歯磨き配合物中に包含させる前に、湿潤混練および濾過を行った。これを行うために、先に述べた流動化湿潤ケークをSpexミル model 8000または76140に導入して、シリカ/保湿剤スラリーのメジアン粒度を縮小させた。これを行うために、適当な容器の中に100gのスラリーおよび5個の1.2cmのセラミック湿潤ペブルミル媒体を入れて25分間混練した後、ミル媒体を取り出した。その後、湿潤混練スラリーを実施例4に述べたと同様に濾過した。湿潤混練して濾過したスラリーを表6Bに述べた透明度の低いゲル化歯磨き配合物に配合した。この歯磨き剤の性質を表6Cに示す。
【0084】
比較のために、前記研磨剤スラリーNo.13を作る場合に用いた湿潤ケークと同様に乾燥して混練したシリカ湿潤ケーク3の一部も歯磨き配合物中に包含させた。
【0085】
【表7】
【0086】
【0087】
【0088】
前記表6Cのデータから分かるように、本発明のシリカ研磨剤スラリーはすぐれた粘度、および対応する乾燥研磨剤で作った練り歯磨きに匹敵する曇りを有するゲル状練り歯磨きを作った。
【0089】
とくに断らなければ、本明細書に記載した種々のシリカ、シリカスラリー、および練り歯磨き(歯磨き剤)の性状を下記のように測定した。
沈降シリカはLeedsおよびNorthrupで作ったMicrotrac II装置を用いてメジアン粒度を測定した。
【0090】
本出願で述べた沈降シリカの硬度を測定するために用いたBrass Einlehner(BE)Abrasion試験は通常下記のように用いられるEinlehner AT−1000 Abrader を含む:(1)Fourdrinier 黄銅ワイヤスクリーンを重量測定して一定時間、10%シリカ水性懸濁液の作用に曝し;(2)ついで100,000回転ごとにFourdrinierワイヤスクリーンから失われた黄銅をミリグラム単位で測定する。mg単位で測定した損失結果を10%Brass Einlehner(BE)摩耗値とみなさすことができる。
【0091】
rubout法を用いて吸油量を測定する。この方法は堅いパテ状のペーストができるまで、滑らかな表面上にスパチュラで擦ることによってアマニ油とシリカを混合するという原理に基づくものである。広がる時にペースト状混合物をカールさせるのに要する油量を測定することによって、シリカの吸油量ーシリカの単位重量当たりシリカの収着能力を飽和させるのに必要な油量を表す値を計算することができる。吸油量の計算は次ぎのように行った:
練り歯磨きのフッ化物有効性(F/A)を求めるために、可溶性フッ化物測定法を使用する。練り歯磨き組成物を特定温度において、特定時間の間積層チューブに貯蔵する。その後、10グラムの練り歯磨き組成物を10mlのビーカーに入れて、30グラムの蒸留水を加える。混合物を撹拌して、均一に分散した練り歯磨きスラリーを形成させる。次に15,000rpmで10分間または上澄みが透明になるまでスラリーを遠心分離にかける。ついで、上澄み10mlおよびpH8の緩衝液(0.2N EDTA/0.2N THAN(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)、予めNaOHでpH=8.0に調整した)10mlをピペットでプラスチック製バイアルに入れ、磁気撹拌棒を入れて緩やかな撹拌を開始する。Orion フッ化物電極(Model 95−09)を有する直接電位差滴定により、1000および100ppmのF 標準を用いて計器を校正し、フッ化物イオン濃度を測定する。フッ化物有効性(%F/A)は練り歯磨きの研磨剤添加レベルを基準にして、始めに練り歯磨きに加えたフッ化物対上澄み中に定量されるフッ化物のパーセントである。
【0092】
Helipath T−Hスピンドルを備えたブルックフィールド粘度計 Model RVTを用いて5rpmにセットし、練り歯磨き試験試料中をスピンドルが降下するにつれて3水準において25℃で練り歯磨きの粘度を測定し、その結果を平均することによって練り歯磨き(歯磨き剤)の粘度を測定する。ブルックフィールド粘度はセンチポアズ(cp)で表される。
【0093】
Gardner XL−835比色計を用い、光の透過を測定することによって練り歯磨きの曇り及び色(L、aL、bL)を測定する。具体的には、2枚の38×75×1mmの顕微鏡スライドを平面に置く。プレキシガラスのスペーサー(38×75×厚さ3mmで24×47mmの切断開口空間を有する)を1枚のスライド上に置く。練り歯磨きゲルをの開口部分に押込み、第2の顕微鏡スライドをプレキシガラスのスペーサー上に置き十分な圧力(手で)を加えて過剰の空気及び練り歯磨きを除去する。スライドを比色計の透過光線開口部(曇り)および裏口開口部(色)に置き、そして異なる試料のスペーサー位置で3つの読みを取って平均する。試料は目に見える気泡があってはならない。
【0094】
本発明に用いた沈降シリカ組成物のRadioactive Dentin Abrasion(RDA)値をHefferenによって、Journal of Dental Res.,July−August1976,55(4),pp.563−573に示され、かつWasonの米国特許第4,340,583号、同第4,420,312号および同第4,421,527号に記載されている方法によって求める(これらの出版物及び特許は参照として本明細書に組み入れてある)。
【0095】
歯磨き組成物の洗浄性および研磨性は典型的に、それぞれPellicle Cleaning Ratio(“PCR”)値およびRadioactive Dentin Abrasion(“RDA”)値によって表される。PCR試験は一定のブラッシング条件で歯から薄膜を除く歯磨き組成物の能力を測定する。PCR試験は“In Vitro Removal of Stain With Dentifrice”G.K.Stookeyら,J.DentalRes.,61,1236−9,1982に記載されている。RDA試験は一定のブラッシング条件で、歯から取り除いた放射能標識象牙質の量を測定する。PCR及びRDAの両方の結果は歯磨き組成物の成分の性質及び濃度によって異なる。PCRおよびRDAの値は無単位である。
【0096】
本明細書に述べる沈降シリカの表面積はBrunaurらのBET窒素吸着法(J.Am.Chem.Soc.,60,309(1938))で求められる。
TAPPI白色度を測定するには、微粉物質、すなわちこの場合にはシリカ粒子を平滑面のあるペレットに圧縮して、Technidyne Brightmeter S−5/BCを用いて評価する。この計器はdual beam optical systemを有し、45°の角度から試料を照射して、反射光を0°で見た。これはTAPPI試験方法T452及びT46、ならびにASTM規格D985に合致する。粉末物質を十分な圧力をかけて厚さ約1cmのペレットに圧縮して、滑らかで、平らで、もろい粒子も光沢もないペレット表面を生成させる。
【0097】
総細孔容量(Hg)はMicromeritics Autopore II 9220装置を用いる水銀多孔度測定法によって測定する。細孔径は130°に等しい接触角シータ(θ)および484dyne/cmに等しい表面張力ガンマを用いてWashburn 式により計算することができる。この計器は種々の物質のボイド容量及び細孔サイズ分布を測定する。水銀を圧力の関数として細孔内に圧入して、試料1グラム当たり侵入した水銀の容量を各圧力設定において計算する。本明細書に示される総細孔容量は真空から60,000psiの圧力で侵入した水銀の累積容量を表す。各圧力設定における容量の増分(cm3/g)を圧力設定増分に相当する細孔径すなわち直径に対してプロットする。侵入容量のピーク対細孔径すなわち直径の曲線は細孔径分布のモードに対応して、試料中の最も一般的な細孔径と同定される。具体的には、5mlのバルブ及び約1.1mlのステム容量を有する粉末侵入度計中に30−50%のステム容量を達成するように、試料サイズを調節する。試料はHg柱50μmの圧力に脱気して5分間保持する。水銀はほゞ150のデータ収集点のそれぞれにおいて10秒の平衡時間で1.5から60,000psiの細孔を満たす。
【0098】
シリカ表面におけるCTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)の吸着によってシリカのCTAB外面積を求め、過剰分は遠心分離により分離し、界面活性剤電極を用いラウリル硫酸ナトリウムで滴定して求める。シリカの外面は吸着されたCTABの量から求められる(吸着前後のCTABの分析)。具体的には、約0.5gのシリカを100.00mlのCTAB溶液(5.5g/L)を有する250−mlのビ−カーに入れて、電気撹拌プレート上で1時間混合した後、10,000rpmで30分間遠心分離した。100−mlのビ−カー内の5mlの透明な上澄みに1mlの10%Triton X−100を加える。0.1N HCIでpHを3.0−3.5に調節して、界面活性剤電極(Brinkmann SUR1501−DL)を用いて試料を0.0100M ラウリル硫酸ナトリウムで滴定して終点を求める。
【0099】
1クオ−トのHamiltonミキサー Model No.30のカップに10.0グラムの試料を0.1グラム近傍まで秤量し、約170mlの蒸留水または脱イオン水を加えて、該スラリーを少なくとも7分間撹拌することにより、44ミクロンすなわち0.0017インチの開口部(ステンレス鋼ワイヤクロス)を有する米国標準篩No.325を用いて325メッシュの%を測定する。混合物を325メッシュのスクリーンに移し;カップの内部を洗って洗浄液をスクリーンに加える。水噴射を20psiに調節して、2分間スクリーンに直接噴射する。(噴射ヘッドはスクリーン布の約4から6インチ上に保持しなければならない。スクリーンの一辺まで残留物を洗って、蒸留水又は脱イオン水を用いて洗浄して洗浄ボトルから蒸発皿に移す。2ないし3分間放置して透明水をデカントする。乾燥し(150℃の熱対流炉又は赤外オーブンで約15分間)、冷却して分析天秤で残留物を秤量する。
【0100】
水分は測定試料の105℃における2時間の減量である。本発明で見られる反応混合物(5重量%スラリー)のpH値は通常のpH高感度電極によってモニターすることができる。
【0101】
本発明の特質を説明するために本明細書に記載及び例示した詳細、材料、及び部材の配列における種々の変更が、下記のクレームに示される本発明の権利及び範囲から逸脱することなく当業者が行い得ることは理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明による研磨剤組成物を製造するための方法機構のプロセス工程図である。
【図2】図2は本発明による研磨剤組成物の製造に用いられる反応器システム機構の略図である。
Claims (23)
- 保湿剤を含む液体媒体とともに未乾燥の水不溶性研磨剤粒子を含む研磨剤スラリーであって、それによって該研磨剤粒子を該スラリー中に懸濁させる研磨剤スラリー。
- 保湿剤を含む液体媒体;および
該液体媒体中に懸濁させた水不溶性研磨剤粒子
を含む研磨剤スラリーであって、前記研磨剤粒子を前記液体媒体中に懸濁させる前に、乾燥および乾式粉砕せずに沈殿反応から誘導する研磨剤スラリー。 - 保湿剤を含む液体媒体;および
該液体媒体中に懸濁させた水不溶性研磨剤粒子
を含む研磨剤組成物であって、該研磨剤組成物が多糖類を実質的に欠いている研磨剤組成物。 - 該研磨剤組成物が、ブルックフィールド 1/2 RVDV II 粘度計で25℃において、Helipathスタンドにより、T−Fスピンドルを用いてrpm=5.0で測定して、100cpから700,000cpの粘度および約25℃において3週間貯蔵後に30重量%未満の固体沈殿比率を有する請求項3記載の研磨剤組成物。
- 該水不溶性研磨剤粒子が沈降シリカ、シリカゲル、リン酸二カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウムおよび沈降炭酸カルシウムからなる群から選ばれる請求項3記載の研磨剤組成物。
- 該水不溶性研磨剤粒子が沈降シリカを含む請求項3記載の研磨剤組成物。
- 該沈降シリカ粒子が約1から約15ミクロン(μm)のメジアン粒度を有する請求項6記載の研磨剤組成物。
- 該沈降シリカ粒子が約3ないし約10ミクロン(μm)のメジアン粒度を有する請求項6記載の研磨剤組成物。
- 該沈降シリカが約0.5から約30のbrass Einlehner値、約50から約200のPCR、約30から約200のRDA値、および約40から約200cc/100gのアマニ油吸油量値を有する請求項6記載の研磨剤組成物。
- 該保湿剤がポリオールを含む請求項3記載の研磨剤組成物。
- 該保湿剤が単独または混合物として用いられるグリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、水素化デンプン水解物、キシリトール、ラクチトール、および水素化コーンシロップからなる群から選ばれる請求項3記載の研磨剤組成物。
- 約10から約60重量パーセントの研磨剤粒子、約3から約80重量パーセントの保湿剤、および約5から約50重量パーセントの水を含む請求項3記載の研磨剤組成物。
- 下記:
反応容器の反応混合内容物を処理するように配設された反応容器及び高剪断混合手段を含む反応システムを設け;
該反応システム中に該反応混合内容物として、アルカリシリケートと酸を混合しながら導入して沈降シリカを生成させ;
1分ごとに該反応容器の反応混合内容物の総容量の約5容量%から約50容量%を取出して、該取出部分を該高剪断混合手段に導き、反応混合内容物の該処理容量を該高剪断混合手段に通した後に、該反応容器に戻し;
フィルターで該反応混合物から該沈降シリカを分離してフィルターケークを生成させ;
該フィルターケークを洗浄し;そして
保湿剤を該沈降シリカと混合することにより該フィルターケーク中の該沈降シリカを流動化させて、保湿剤を含有する研磨剤粒子の懸濁液を生成させる
工程を含む研磨剤組成物の調製法。 - 前記反応システムが、その第1位置から該反応容器内の該流動性ある反応混合内容物の一部を取出し、かつその第2位置から前記部分を該反応容器へ戻すための再循環ループを含み、ここで該再循環ループがポンプ輸送手段および該高剪断混合手段を含み、さらに該高剪断混合手段がインライン高剪断ミキサーを含む請求項13記載の方法。
- 前記酸を該再循環ループを通って該高剪断インラインミキサーから該反応混合内容物の一部に導入させる請求項14記載の方法。
- 該高剪断ミキサーが回転子/固定子ミキサーを含む請求項14記載の方法。
- 該研磨剤組成物が約1ミクロンから約30ミクロンのメジアン粒度を有する複数の沈降シリカ粒子を含む請求項13記載の方法。
- 該研磨剤組成物が約3ミクロンから約15ミクロンのメジアン粒度を有する複数の沈降シリカ粒子を含む請求項13記載の方法。
- 該取出工程が1分ごとに該反応容器の内容物の容量の約8容量%から22容量%を該再循環ループに通すことを含む請求項14記載の方法。
- 該保湿剤が該研磨剤組成物中に約3から約80重量%の量で存在する請求項13記載の方法。
- 研磨剤粒子の懸濁液に、混合しながら防腐剤を加えることをさらに含む請求項13記載の方法。
- 該防腐剤が安息香酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、プロピル−p−ヒドロキシ−ベンゾエート、およびメチル−p−ヒドロキシ−ベンゾエート(メチルパラベン)からなる群から選ばれる請求項20記載の方法。
- 請求項13記載の方法の生成物。
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