JP5257862B2 - 歯磨き剤組成物の製法及びその生成物 - Google Patents

歯磨き剤組成物の製法及びその生成物 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は歯磨き剤組成物の製法およびその生成物に関する。
関連技術の説明
通常の歯磨き剤組成物は典型的には歯の表面から薄膜を含む種々の付着物を除くために研磨剤物質を包含している。薄膜は強固に付着して歯に醜い外観を付与する褐色または黄色の顔料を含有することが多い。洗浄は重要であるけれども、研磨剤は歯を損傷するほど侵食的であってはならない。理想的には、効果的な歯磨き研磨剤物質は薄膜除去を最大にする一方、堅い歯の組織に対する最小の摩耗及び損傷をもたらす。したがって、とくに、歯磨き剤の性能は研磨艶出剤成分に極めて影響されやすい。通常、研磨艶出剤は歯磨き剤組成物中に流動性ある乾燥粉末状態で、または歯磨き剤の配合前もしくはその時点に調製された流動性ある乾燥粉末状態の艶出剤を再分散させることによって導入されている。
歯磨き剤組成物として多くの水不溶性研磨艶出剤が用いられているか、または記載されている。これら研磨艶出剤には天然及び合成の研磨剤粒状物質がある。通常公知の合成研磨艶出剤には無定型沈降シリカ及びシリカゲル及び沈降炭酸カルシウム(PCC)がある。歯磨き剤用の他の研磨艶出剤は白亜、炭酸マグネシウム、リン酸二カルシウムおよびその二水和物、ピロリン酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、メタリン酸カリウム、オルトリン酸マグネシウム、リン三カルシウム等を含んでいる。
特に合成して作った沈降シリカは洗浄能力、相対的安全性、及び保湿剤、増粘剤、香味剤、虫歯防止剤等のような典型的な歯磨き剤成分との適合性によって、歯磨き配合物中の研磨剤成分として用いられている。公知のように、合成沈降シリカは、最初に生成した主要粒子が相互に会合して複数の凝集塊(すなわち、主要粒子の不連続クラスター)となりやすいが、三次元のゲル構造には凝結しない条件で、通常鉱酸および/または酸性ガスの添加によって可溶性アルカリシリケートから無定形シリカの不安定化及び沈殿によって生成される。得られた沈殿は、濾過、洗浄、及び乾燥処理によって反応混合物の水性部分から分離され、ついで適当な粒度及び粒度分布を得るために、乾燥物を機械的に微粉砕する。
シリカの乾燥処理は通常噴霧乾燥、ノズル乾燥(たとえば、タワーまたはファウンテン)、フラッシュ乾燥、回転ホイール乾燥、オーブン/流動層乾燥等を用いて行われるが、これらは設備及び操業費にかなりの出費を要することが多い。同様の問題は、PCCのような他の合成によって得た艶出剤にも付随する。
さらに、歯磨き配合物向けの通常の研磨艶出剤は脱水沈降シリカ生成物の粒度を歯磨き使用者の口中でざらざらせず、他方十分な研磨作用を欠くほど小さくない程度の大きさに縮小させるために、必要な微粉砕を行う。すなわち、通常の実施では、金属シリケートの酸性化によって生じた反応器内のシリカの平均粒度は歯磨き用等には大きすぎる。乾燥シリカ粒子を微粉砕するには、1パスまたは多重パスで用いられるハンマーミルまたはペンドラムミルのような粉砕及び混練設備が用いられ、また、たとえば流体エネルギーまたはエアジェットミルによって微粉砕が行われている。これら補助的な乾式微粉砕操作は余分のコストおよび加工時間を要する。さらに、通常の乾式粉砕及び混練設備ならびに方法はシリカ中に不純物を導入させやすく、それによってシリカは光沢の消失、すなわち、最後に粉砕乾燥シリカを包含する配合物の「灰色化」をもたらすことがある。
Saltzmannに付与された米国特許第3,506,757号は懸濁剤として多糖類ガムを用いて水性液体ビヒクル中に安定に懸濁させた粒状研磨物質を含む液体歯磨き剤を記載している。同様に、PCT特許出願第WO 97/46485号は、キサンタンガム、グアーガム、及び水溶性セルロースエーテルのようなとくに多糖類と呼ばれる親水コロイドを用いて安定化させることが可能な懸濁液状態でもたらされるメジアン粒度が通常約12から30μmのシリカを述べている。米国特許第5,310,543号は多糖類ガムを使用し、そして満足すべき流動学的性質を得るために、ポリオールタイプの保湿剤を実質的に含まないように特定された液体媒体を用いて、液体媒体中に安定に懸濁させた粒状ケイ質研磨剤洗浄剤を含有する液体歯磨き剤を記載している。
とりわけ、歯磨き剤の研磨剤成分に高価な乾燥及び乾式混練/微粉砕操作を行う必要なしに、連続一体化プロセスの一部として調製できると思われる適当な大きさの研磨剤粒子を含有する歯磨き剤組成物が望ましいと思われる。
発明の開示
前記及び他の目的、長所及び利点は、保湿剤を基材とする液体媒体中に懸濁させた水不溶性研磨艶出剤からなる研磨剤組成物成分で作った歯磨き剤組成物に関する本発明によって達成される。得られた歯磨き剤組成物は歯磨き剤中に包含させるように処理される研磨剤成分に付与された優れたTAPPI白色度のような特異の特質を有する。
1つの態様において、本発明は、歯磨き剤配合前に、歯磨き剤成分に脱水処理を行う必要なしに、連続一体化プロセスによって歯磨き剤組成物を作る方法に関する。とくに、本発明によって歯磨き剤をつくる際の原料として用いられる研磨剤成分は沈降反応器から直接得られる濾過シリカケークを保湿剤中に分散させることによって、決して乾燥しない安定でポンプ輸送可能なシリカのスラリーとして都合よく、そして経済的にもたらされる。とくに、資本投資及びエネルギーコストは、本発明による歯磨き剤組成物を作る際に用いられるシリカ研磨剤成分の処理において乾燥−脱水操作を無くすことによって節減される。さらに、本発明の実施における共通反応器システム内の歯磨き剤に用いられる研磨剤物質の合成と併行の微粉砕の効果的な性能によって、本発明の歯磨き剤の研磨剤粒子含量の微粉砕要件を、場合によっては完全には無くさないまでも、低下させる。反応の水不溶性研磨剤粒子生成物に、口腔洗浄組成物に適する必要な粒度を付与して、濾過後に、乾燥シリカ固形物を乾燥し、かつ微粉砕する必要を無くす。この時点で、特定の理論に拘束されることは望まないけれども、本発明によって歯磨き剤を作る際に用いられる研磨剤組成物の流動学的性質は、さもなければ通常のシリカ粒子乾燥処理中のシリカ粒子の場合に蒙る粒子の凝集を避けることによって、少なくともある程度は優れている事が主張される。対照的に、本発明によって作った歯磨き剤組成物は反応器のシリカの初めの構造および化学を保持または実質的に保持するシリカ粒子を含有して、表面の水酸基の種類および密度の変化が内容にする。この点に関し、本発明によって作った歯磨き剤に用いられる未乾燥研磨剤粒子は、研磨剤粒子の乾燥及び乾式微粉砕を含む処理から得られる研磨剤粒子と比べて、優れたTAPPI白色度値を示す。本発明の目的には、シリカ粒子の「乾燥」は、水分量を約10重量%未満に低下させると通常乾燥した流動性粉末が生じる程度までシリカ粒子が脱水されたことを意味する。したがって、「乾燥された」または「乾燥」研磨剤粒子は前記のような乾燥を施されている。また、「乾式粉砕」は乾燥した研磨剤粒子に行った混練または他の機械的摩砕を意味する。本発明によって作った歯磨き剤に用いた研磨剤粒子は乾燥もしなければ乾式粉砕もしない。また、調製中歯磨き剤配合物に研磨剤粒子成分を送るためのキャリヤーとして用いられる保湿剤は歯磨き剤自体の保湿剤要件に当てはまることができる。
発明実施の最良態様
本発明によって作った歯磨き剤組成物は、要求あり次第他の成分と容易に配合して、歯の組織に過度の摩耗を生じることなくすぐれた洗浄効果を有するする口腔洗浄組成物を調製することができる、極めて安定で、可搬性および貯蔵性があり、すぐに使用できる研磨剤懸濁液またはスラリーである研磨剤配合物を使用する。本発明により歯磨き剤組成物の製法を下記に詳細に示す。
図1について説明すると、本発明によって歯磨き剤組成物を作るための一般的プロセス機構100が示されている。
プロセス機構100の第1工程では、シリカを沈殿させるために、酸性反応を行う。初期の酸性反応は適当な加熱装置を備えた反応システム10内で行う。概して、工程10でできる沈降シリカは清水、又は電解質溶液、酸性化プロセスによって調製することができ、この場合に水溶液中でアルカリ金属シリケートと鉱酸との反応によってシリカを沈殿させる。清水プロセスでは、酸性反応中ミョウバン、Na2SO4、またはNaClのような電解質は存在しない。
図2に詳細に示すように、図1の実施工程10に用いられる反応器システム10′が示されている。図示のように、ケイ酸ナトリウム溶液21の一部を撹拌手段(図示せず)を含む反応容器またはチャンバー20に装入して、容器内容物27に撹拌を行う。シリカに核を生じさせるのに役立たせるように、好ましくは、ケイ酸ナトリウム溶液の総計算量の約0%から30%を反応容器20に入れ、さらに容器20内のケイ酸ナトリウム水溶液を約60から100℃、より好ましくは約80から95℃に予熱する。反応容器20に入れる前に、残留ケイ酸ナトリウムを好ましくは約70から95℃に予熱する。酸溶液は好ましくは約30から35℃に予熱する。
ケイ酸ナトリウムを説明するけれども、適当なアルカリ金属シリケートが使用可能であろうことは理解されよう。「アルカリ金属シリケート」という用語は、たとえば金属ケイ酸塩、二ケイ酸塩等のように、あらゆる通常の形式のアルカリシリケートを含む。水溶性ケイ酸カリウム及びケイ酸ナトリウムが特に有利であり、その後者が好ましい。アルカリシリケートのモル比、すなわちシリカ対アルカリ金属の比は他の反応パラメータ次第では、シリカ生成物の平均細孔に寄与する。概して、本発明の許容可能なシリカ生成物は約1.0から3.5、好ましくは約2.4から約3.4にわたるシリケートモル比(SiO2:NA2O)で作ることができる。本発明の方法において種々の処理工程中反応容器20に供給されるアルカリシリケート溶液は、本明細書中の他の所で述べたように、アルカリ金属シリケート溶液の総重量を基準にして通常約8から35重量%、より好ましくは約8.0から15.0重量%のアルカリ金属シリケートを含有することができる。アルカリシリケート源溶液のアルカリシリケート濃度を前記の望ましい範囲に低下させるためには、シリケート溶液を反応器に供給する前にアルカリシリケート源溶液に希釈水を加えるか、あるいはまた希釈水を反応器20中のアルカリシリケート源溶液と現場で撹拌混合して、アルカリ金属シリケート溶液中に所望の濃度のシリケートを配合することができる。
酸、すなわち酸性化剤はルイス酸またはブレンステッド酸であることができ、好ましくは硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等のような強鉱酸、より好ましくは希薄溶液(たとえば、約6から35重量%、より典型的には約9.0から15.0重量%の濃度の)として加えられる硫酸である。
図2に示すように、反応器システム10′はポンプ22、例えば遠心ポンプ、および再循環ループ28内のフローおよび流量を制御するための手動弁29を含む再循環ループ28をも有する。ポンプ22は、始動させ、かつ弁29を開くときに、反応器内容物27の一部をライン23を経てインライン高剪断混合手段24、たとえば回転子/固定子ミキサーまたはLightninミキサーに絶えず圧送して、それを流れる反応器内容物に高剪断を付与する。その結果、インラインミキサー24は水性環境内の懸濁シリカ固体の粒度を縮小させるのに有効に働く。インラインミキサー24における高剪断処理後、コンディショニングされたシリカ懸濁液をライン26を経て反応器20に戻し、そこで反応混合物27に再び合流させる。酸のフィード25は好ましくはインラインミキサー24から導入させるか、あるいは酸を反応容器20に直接導入することもできよう。ケイ酸ナトリウム溶液は反応容器20に直接またはインラインミキサー24から、もしくはその両方で装入することができる。
ところで、プロセスフローの一般的考察に戻ると、反応溶液27および残留反応物がいったん所望の温度に達すると、再循環ループ28の手動弁29を開の位置にセットする。インラインミキサー24を始動させる。次いで、残留ケイ酸ナトリウム溶液及び酸の同時添加を始める。好ましくは、酸をインラインミキサー24から導入する。ケイ酸ナトリウム溶液および酸は約30から90分の添加時間にわたり反応器内に計量供給する。反応物の添加速度はモル比、添加時間ならびにシリケートの濃度及び酸の濃度によって決まる。通常、2モルのナトリウムは1モルの硫酸で中和される。
同時添加期間の末期には、ほとんどのシリカは沈殿して、ケイ酸ナトリウムの添加を停止する。酸の添加は反応器のスラリーが所望のpHに達するまで続ける。いったんスラリーのpHが約7.0に達すると、スラリーのpHが目標のpHに近づくまで酸の流量を低下させるのが好ましく、その点で酸のフローを止めて、目標のスラリーpHに達する間で手動調整を用いる。好ましいスラリーのpHは約4.0から7.0、より好ましくは4.0から5.0、もっとも好ましくは4.6±0.1である。この際に、シリカは沈殿して、沈降シリカと反応液との混合物を生成する。いったん所望のpHに達すると、熟成が始まって、反応温度を約85−99、好ましくは91から97℃に上昇させ、熟成はこの高温において約5から60分間、好ましくは約10分間継続する。熟成工程中、一定のPhを維持するのに必要な程度に酸を添加する。
本発明のプロセス機構の1つの重要な態様は、前記沈殿、酸添加及び熟成工程の少なくとも1つ以上の工程の間に、高剪断インラインミキサー24を使用してその中にある反応塊とシリカ粒子をコンディショニングさせることにある。1つの好ましい態様では、手動弁29を開いてシリケート溶液と酸の同時添加を開始させるときから、熟成が完了するまで、再循環ループ28を流れているスラリーにインラインミキサー24を適用する。あるいはまた、反応時間の僅か一部の間に再循環ループを流れるスラリーにインラインミキサー24を適用する。しかし、乾燥及び乾式混練処理の必要なしにシリカ粒子を縮小させるという本発明の目的に合致させる場合には、反応器のスラリー内容物に適用する剪断量はメジアン粒度を約1から約30ミクロン(μm)、好ましくは約1から約25ミクロン、より好ましくは約3カラ約10ミクロンに縮小させるほどでなければならない。
プロセスの反応器工程において望ましい生成物の粒度を達成させるために、本発明は通常毎分当たり反応容器20の内容物の容量の約8から22容量%の再循環ループ28を通る再循環速度を使用する。この剪断量は完全沈殿、熟成および介在工程を含む反応時間(分単位)の間に反応器の総内容物(リットル(L)単位)を循環させる時間数によって表すこともできる。この発明の場合には、最小剪断速度は3.0、好ましくは4.5を上回り、より好ましくは9.0を上回る。たとえば、1000L反応器における160L/分で60分間の再循環フローは本明細書で定義すると9.6の剪断速度を生じる。
反応中再循環フロー28に高剪断を付与するために用いられるインラインミキサー24は好ましくは回転子/固定子型インラインミキサーである。有用な回転子/固定子ミキサーの例にはSilverson Machines,Inc.製Silverson Model 450LSのようなSilverson インラインミキサー;またはIKA−Works Inc.,Wilmington,North Carolina 26405の市販品、およびModel ME−410/420X,及び450Xを含む、Charles Ross and Son Company,Hauppage,NY 11788の市販品がある。
本発明の実施に有用なインライン回転子/固定子型高剪断ミキサーの基本構造はそれ自体新規なものではない。それは通常回転子及び固定子からなる壁付タービンを含み、そこで回転子をシャフトの回りに高速回転させ、一方定置の固定子は環状に回転子を包囲する。回転子のブレードの高速回転は、スラリーが回転子/固定子アセンブリの入口部分に吸い込まれるように処理される吸引を引き起こす。そこから、スラリーは回転子のスロットを通り、遠心力によって固定子と回転子のブレード末端とのギャップに押し込まれ、そこでスラリーはギャップ中で高輻流剪断を加えられる。ついでスラリーは強烈な液圧剪断を加えられて固定子のスロットから出口部分に押出され、そこで剪断を受けたスラリーはさらに処理するために管から押し出される。剪断を受けたスラリーが出るにつれて新しいスラリーが絶えず回転子/固定子に吸い込まれる。このようにして、反応器の内容物は再循環フロー28に加えられる高剪断力を有する。
図1の実施工程1に用いられる反応器システム10′において熟成工程が完了し、続くpH調整を行った後に、反応バッチを降ろす。すなわち、反応塊を工程11で濾過して洗浄する(図1)。フィルターは好ましくは圧力フィルター、たとえばプレート及びフレームフィルター、フィルタープレスまたはプレッシャーリーフフィルターである。反応塊を濾過し、水洗して、Na2SO4のレベルを5重量%未満、好ましくは2重量%未満(例えば、0.5から1.5重量%)に下げる。得られた湿潤ケークは約50重量%の固形分を含み、その残りはほとんどすべて水である。必要ならば、洗浄したフィルターケークのpHを調整することができる。
工程12において(図2)、工程12の洗浄した湿潤ケークを保湿剤で流動化させる。保湿剤、とくにポリオール型保湿剤を湿潤フィルターケークと混合しながら混ぜ合わせて、保湿剤含有研磨剤粒子の懸濁液またはスラリーを生成させる。好ましくは、その混合は、特定量の保湿剤を含有する混合容器に湿潤ケークを添加した後、スラリーが1.5重量%未満(乾燥シリカ重量を基準にして)の+325メッシュの残留レベルとなるまで、内容物を混合するような高剪断ミキサー内で行う。これに関し、有用なミキサーの例はMotoregler Dispermat CV高剪断ミキサー、及びHockmeyer Equipment Company製Hockmeyer Lab 2 型 撹拌機である。
比較的少量のポリオール保湿剤を十分に混合しながら湿潤ケークに添加してそれを流動化させると流動学的に安定で、外部安定剤を必要とせずに適当に沈降安定性ある研磨剤のスラリーまたは懸濁液を生じることが見出された。さらに、ポリオール保湿剤で処理して流動化させた湿潤ケークは大きい粒度へのシリカの再凝集をも経験しない。
これを達成するには、湿潤フィルターケークの重量を基準にして、約3から約80重量%、好ましくは約5から約60重量%、より好ましくは約20から約50重量%の量の保湿剤を添加し、かつ保湿剤は約30重量%未満(たとえば、3から30重量%未満)であることができる。濾過した湿潤ケークに加える保湿剤の量が少なすぎると、スラリー状に流動化させるには、ケークの粘度が高すぎるままであり、他方保湿剤の量が多すぎると、生化学的負荷の制御を維持させるには多量の防腐剤を必要とすると同時に材料コストを増大させる傾向があり、歯磨き剤配合物によっては使用できないほどの保湿剤を含むであろう。保湿剤は、単独又は混合物として用いられるグリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、水素化デンプン水解物、キシリトール、ラクチトール、および水素化コーンシロップのようなポリオールが好ましい。単独または混合して使用するにはグリセリンおよびソルビトールが好ましい。グリセリンは99.5重量%溶液として容易に入手できるが、ソルビトールは固形分70重量%水溶液として市販されている場合が多い。機能上、保湿剤という用語は、通常それを含む組成物によって、空気に触れても、該組成物を乾燥させないように水分保持を容易かつ確実にする化合物を指すものと理解される。
シリカ湿潤ケークを流動化させる液体媒体は濾過した湿潤ケークおよび保湿剤添加剤の水または水性部分によって構成される。前記のように、保湿剤自体は比較的低水分量で導入させることができる(たとえば、市販の70重量%ソルビトール溶液使用の場合には約30重量%以下で市販のグリセリン使用の場合には約0.5重量%未満)。しかしフィルターケーク自体に保持される水が概してシリカ粒子を懸濁させる液体媒体全体に水性の特性を与える流動化流体の一因となることは明らかであろう。
本発明の図1の工程12によって得られた研磨剤スラリーはブルックフィールド 1/2 RVDV II 粘度計で25℃において、Helipathスタンドにより、T−Fスタンドを用いてrpm=5.0で測定して、約100cpから700,000cpに及ぶ粘度、および約25℃で3週間貯蔵後に30重量%未満の固体沈殿比率を有する。
微細沈降シリカ懸濁液に約3から80重量%のポリオール保湿剤を添加すると、流動学的に安定で、沈降耐性がある研磨剤懸濁液を得ることができ、これをそれ自体または他の組成物の添加剤として用い得るという発見は驚くべきことと思われる。このように、この加工工程でもたらされる研磨剤組成物は安定であり、可搬性かつ貯蔵性であるように適当な大きさの粒子を有し、かつ歯磨き剤および他の液体口腔洗浄剤組成物のような一層複雑な配合物のすぐに使用できる多成分添加剤として要求に応じて用いられる。すなわち、工程12の研磨剤懸濁液生成物は図1の工程13に示すような最終生成物として用いることができる。この研磨剤粒子は本発明のスラリー組成物全体に概ね均一に分散分布している。
本明細書に述べる実験的研究は、少量の保湿剤を有する研磨剤懸濁液中のカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)のような多糖類結合剤の付加的存在がスラリーの沈降性に関する限り有害な効果を有することも示した。多糖類結合剤には水溶性セルロースエーテル、グアーガム、およびキサンタムガム等があり、これらの結合剤物質は流動学的に安定化させる必要がなく、本発明の研磨剤組成物中に適当な増粘性をもたらす。
得られた研磨剤懸濁液は約10から約60重量%の研磨剤粒子、約3から約80重量%の保湿剤、および約5から約50重量%の水(好ましくは約5から約30重量%の水)を含む。好ましくは、本発明の研磨剤組成物中には多糖類結合剤は存在しないか、または、もしあるとしても、せいぜい極めて少量、すなわち0.20重量%未満、より好ましくは0.05重量%未満の多糖類が存在する(すなわち、0重量%の多糖類がさらに好ましい)。研磨剤組成物は、最後に他の必要物質、例えば、増粘剤、液体ビヒクル、フッ化物化合物、虫歯制御剤等と混合して、歯磨き剤または他の口腔洗浄剤組成物を作る場合に、結合剤は、流動性能またはシリカ沈降性能に悪影響を及ぼさずに、研磨剤組成物や増粘剤や液体ビヒクルのような他の歯磨き剤成分と混合できることが認められている。
抗微生物剤(すなわち、抗細菌剤および/または抗真菌剤)のような防腐剤を任意に、ポリオール保湿剤を用いる工程12の流動化プロセスと同時かまたは直後に、混合しながら、流動化プロセスに加えることができる。この場合に防腐剤を、たとえば安息香酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、プロピル−p−ヒドロキシ−ベンゾエート、およびメチル−p−ヒドロキシ−ベンゾエート(メチルパラベン)からなる群から選ぶことができる。細菌及び真菌の成長を適当に阻止するように思われる防腐剤の有効量は最終練り歯磨き剤の重量を基準にして約0.5重量%未満である。このような量で用いた防腐剤は研磨剤組成物の有利な流動学的特性に影響を与えない。
本発明の重要な態様は、工程12によってもたらされる研磨剤粒子の水性懸濁液がシリカを乾燥させるまたは乾式混練を行うことを必要とせずに、研磨剤粒子の前記水性懸濁液を歯磨き剤組成物または他の口腔洗浄剤組成物中に包含させる補助工程まで、少なくとも20重量%の液体総含量に継続して保ち得ることである。この時点で特定理論に拘束されることは望まないけれども、乾燥及び乾式混練プロセスが、予測できないように、または逆のようにさえも、シリカ粒子の凝集ならびに表面水酸基のタイプ及び密度に影響を与えることは当然のこととみなされる。本発明は乾燥および乾式混練のこれらの影響がないようにする。また本発明は、最後に粉砕乾燥シリカを包含する配合物が光沢を失い、すなわち「灰色化」を生じる不純物をシリカ中に導入する傾向がある通常の乾式粉砕および混練設備ならびに方法の悪影響をなくす。
任意に、かつ図1について説明すると、極めて小さい粒度が望ましいか、または何らかの理由により工程10で行う高剪断を省略する場合に、本発明は、保湿剤の導入後で、かつ研磨剤粒子の水性懸濁液を歯磨き剤組成物中へ包含させる前に、工程14中の研磨剤の水性懸濁液の湿式ミリング、たとえば湿式ビードミリングを可能にする。また工程14におけるスラリーのビードミリングに工程16のスラリー濾過を続けて325メッシュ(45ミクロン)を上回る粒度を除くことができ、そして本発明を実施する場合にはこの量は常に1.5重量%未満である。あるいはまた、ビードミリング工程の代わりに濾過工程16を行って325メッシュを上回る粒度を除くこともできる。
前記研磨剤組成物中に付与されるシリカは、好ましくは二酸化ケイ素またはSiO2と呼ばれる合成水和無定形シリカとみなされる。J.Soc.Cosmet.Chem.,29,497−521(1978 8月)、およびPigment Handbook:Volume 1,Properties and Economics,2nd ed.,John Wiley&Sons,1988,p.139−159に示された定義によれば、これら沈降シリカは極めて小さいかまたは中位の構造の合成シリカとみなすことができる。
合成無定形シリカを沈降させる前記工程10の方法に加えて、シリカの調製は必ずしもそれに限定されず、また該方法を工程10で用いられる再循環および高剪断処理を含むように適当に変更すれば、通常、たとえば先行米国特許第3,893,840号、同第3,988,162号、同第4,067,746号、同第4,340,583号および同第5,225,177号(各特許はすべて本明細書に参照として組み入れてある)に記載されている方法によって達成させることもできる。当業者には理解されるように、得られた沈降シリカの特性に影響する反応パラメータには、種々の反応物を加える速度および時間;種々の反応物の濃度水準;反応のpH;反応温度;および/または任意に電解質を加える速度がある。
また、反応器システム10′(図2)は、反応器のスラリーにさらに小さな粒度を付与するために、前記再循環ループ機構及び操作方式に種々の他の機構を再構成させる事ができよう。たとえば、再循環ループ28において、インライン高剪断ミキサーから導入させる代わりに、酸(25)を反応容器27に直接導入させることができる。本研究者等は、反応器内の沈降固体生成物の粒度が本明細書に記載した範囲内(すなわち約1から約30ミクロン)にあるけれども、比較的小さく、この場合には酸は、直接反応容器に導入するのとは対照的に、図2に示すようにインライン剪断ミキサーから導入する。また、その代わりに再循環ループ28を再循環ループ28内のスタティックラインミキサーとともに用いることができよう。あるいはまた、高剪断ミキサーを備えた再循環ループ28を用いる代わりに、高剪断タービン反応器撹拌機を直接反応容器内に配備して、粗沈降反応物質とスラリー27を混合することもできよう。このシナリオの場合には、粗沈降反応物質を高剪断反応器撹拌機の近く、たとえば反応器底部から導入することができよう。あるいはまた、反応器へ直接添加する場合には、酸を撹拌機のシャフトを通って、反応容器20内の反応混合物27中に配置される撹拌機ブレード先端から分散させて、残留ケイ酸ナトリウム及び反応スラリーと反応させることができ、このシナリオは、前記のように再循環ループ28の有無に関係なく反応器システムで用いることができる。また、粗沈降反応物質は高圧ポンプおよびノズル機構を経て反応器内の反応スラリー中に導入することができるであろうし、た、カウレス型ミキサーによって高剪断が加えられる隔離小混合容器内の粗沈降反応物質に高剪断作用を最初に加えることができるであろうし、この場合に反応混合物は、さらに高剪断ないし通常の撹拌を用いて主反応容器内にオーバーフローさせる。
本発明の研磨剤組成物中に用いられる沈降シリカは通常下記の性状を有する:0.5から30にわたる10%Brass Einlehner 硬度値、20から250m2/gのBET値、約40から約200cc/100gのアマニ油吸油量、約30から約200のRDA(Radioactive Dentin Abrasion)値、および50から200のPCR(Pellicle Cleaning RATIO)値。しかし、シリカの3から15ミクロンという平均粒度は、本発明の反応器内で本明細書に記載した再循環ループ28処理によって達成され、反応器後の乾燥および乾式混練/粉砕処理ならびに関連設備を包含させる必要はない。
シリカは本発明によって生成される研磨剤組成物中にもたらされる研磨艶出剤成分として本明細書に述べてあるけれども、本発明の原理は、研磨剤粒子の水性懸濁剤と80重量%未満の量の保湿剤とを、介在する乾燥または乾式混線工程を必要とせずに混合し、そして保湿剤のレベルが30重量%未満でさえあることができるという安定化効果に少なくとも関する限り、反応器内で合成可能な他の水不溶性研磨剤粒子の懸濁剤またはスラリーにも適用可能と思われることが理解されよう。PCCのような他の水不溶性粒子には、例えば沈降炭酸カルシウム(PCC)、リン酸二カルシウム二水和物、シリガゲル及びピロリン酸カルシウムがある。PCCのような他の合成研磨剤粒子は、異なる通常のPCC反応器を、本明細書に述べるような再循環/インライン高剪断ミキサーループを使用し、後乾燥及び乾式粉砕処理の必要をなくすほど反応器のスラリー粒度を小さくするように改良することによって合成することができる。
任意に、流動化工程12において(図2)、沈降炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、ピロリン酸カアルシウム、水和アルミナ、不溶性メタリン酸ナトリウム、不溶性メタリン酸カリウム、不溶性炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸アルミニウム、および/またはシリカゲル等のような種々の水不溶性粒状研磨剤を工程12の沈降シリカのスラリー化工程に導入して、必要ならば、該スラリーの研磨剤特性を調整させることができる。
いずれにせよ、図1に示す工程12、14または16のいずれかから得られる研磨剤懸濁液またはスラリーは、歯磨き剤または他の口腔洗浄組成物の調製における後の使用に必要となるまで、輸送または貯蔵のためにパイプ輸送または積み込むことができる。この点に関し、研磨剤粒子の水性懸濁液は典型的には補助水、必要な補助保湿剤、結合剤、フッ化物イオン付与化合物、香味剤、着色剤、白色化剤、防腐剤、虫歯防止剤、発泡剤、及び抗微生物剤の少なくとも1種と混合させる。
これら任意の歯磨き剤成分の使用例は本明細書および/または、たとえば再発行29,634号、米国特許第5,676,932号、同第6,074,629号及び同第5,653,553号に記載され、引用された特許はすべて本明細書に参照として組み入れてある。これら任意の成分は、使用時には、慣例上歯磨き剤配合物に見られるレベルで使用することができる。
前記シリカ懸濁生成物の沈降シリカ成分(図1の工程12の生成物)は、歯磨き剤組成物中に包含させるときに、歯磨き剤が練り歯磨きである場合には(工程13、15また17)約10から約50重量%、より好ましくは約10から約35重量%のレベルで存在する。本発明の研磨剤組成物を含む包括的歯磨き剤または口腔洗浄配合物は好適に下記の可能な成分およびその相対的な量(量はすべて重量%単位)を含むことができる。
歯磨き剤配合物
成分
液体ビヒクル:
保湿剤(合計) 5−70
脱イオン水 5−70
結合剤 0.5−2.0
虫歯防止剤 0.1−2.0
キレート剤 0.4−1.0
シリカ増粘剤 3−15
アニオン界面活性剤 0.5−2.5
研磨剤 10−50
甘味剤 <1.0
着色剤 <1.0
香味剤 <5.0
防腐剤 <0.5
有用なシリカ増結剤には、たとえばZeodentTM165シリカのような無定形沈降シリカがある。他の好ましいシリカ増結剤はZeodantTM163シリカおよびZeodantTM153シリカであり、すべてJ.M.Huber Corporation,Havre de Grace Maryland,U.S.A.から入手可能である。
実施例
下記実施例は本発明を例示するために示すが、本発明はそれに限定されると考えてはならない。下記実施例において、特に指示しない限り、部は重量単位である
実施例1
本発明によってつくった本発明の歯磨き剤の研磨剤組成成分対乾燥および乾式混練したシリカから得た比較の研磨剤組成物の流動学的特性及び沈降特性を評価するために、まずシリカを次のように調製した。
シリカ湿潤ケーク1(WC1):
24.8リットル(L)のケイ酸ナトリウム(Na2O 13.3%、SiO2:Na2Oのモル比 2.65、比重 1.123)を蒸気加熱用ジャケット付き1000Lステンレス鋼反応器に加えた。反応器内に取り付けたA200 Lightnin撹拌機を120rpmに設定した。反応器システムには、また容器底部に設けられたループの取り入れ口、及び容器の頂部近傍に設けられた戻り口、及びこれらの部分間に設けられた適当な配管とともに、Labour ASME B73.1(Sterling Fluid Systems)遠心ポンプ、手動流量調節弁、およびSilverson 450 LS インラインミキサーを含む外部再循環ループが備えられている。反応媒体を83℃に予熱して、反応中この温度を維持した。再循環を開始し、Silversonミキサーを作動させて60Hzに設定して108L/分の再循環流量を達成させた。再循環システムの手動弁を十分に開くように設定した。ついで反応器システムへの酸とシリケートとの同時フローを開始して一定時間続けた。83℃に予熱した前記と同じ濃度/組成のケイ酸ナトリウム希薄溶液を13.00リットル/分(LPM)で反応容器に導入し、同時に稀硫酸(11.4重量%、比重=1.079、39℃)を3.56LPM(開始時の酸はゆるやかで 1 LPM)でSilversonミキサーから導入した。同時添加の47分後にシリケートのフローを取りやめた。酸のフローは、バッチのpHが7.0に下がるまで3.5LPMで続けた。バッチのpHが7.0のときに、酸のフローを1.5LPMに下げて、pHが4.6に近づくまで酸添加を続け、その時点で酸のフローを4.6に縮めた後、手動で目標値の4.6±0.1pHに調節した。ついでバッチを93℃で10分間熟成させ、熟成中必要に応じてpHを4.6に戻した。熟成後、pHを手動で4.6±0.1pHに調節した。反応器のシリカのメジアン粒度(MPS)を調べて、熟成後にこの目的のためにシリカの小さい試料を除いた。メジアン粒度は7.76μmであった。熟成完了後、バッチを下ろしてからプレートおよびフレ−ムフィルターで濾過後洗浄して、反応副生物をほとんど(2.0重量%未満に)除去した。注入圧力=80psi、水圧=20−25psi、エアブロー=80psi(水がプレスから出て来なくなるまでのエアブロー)を用いてバッチを濾過した。3ないし4枠の湿潤ケークを集めて、次の保湿剤流動化、または噴霧乾燥/混線のプロセス経路を比較するのに用いた。
以下に詳細に述べるように、本発明の研磨剤懸濁液を表すために、小量の保湿剤を用いて湿潤ケーク生成物の一部を流動化させ、他方、他の湿潤ケークは比較のために噴霧乾燥および乾式混練を行った。
比較試料に用いた噴霧乾燥は、480℃の入口温度を有するアトマイジング噴霧乾燥手段を用いて、前記のように作った他の湿潤ケークを7.0%H2O、±1%まで乾燥することを含んだ。すべてのスラリー実験は同一出口温度を有しなければならない。比較のシリカの噴霧乾燥試料はさらにハンマーミルにかけて8−14μmとした。
シリカ湿潤ケーク2(WC2):
蒸気加熱用ジャケット付き1000Lのステンレス鋼反応器に24.8Lのケイ酸ナトリウム(Na2O 13.3%、SiO2:Na2Oのモル比 2.65;比重 1.123)および1.78kgのNa2SO4を加えた。反応器内に取り付けたA200 Lightnin撹拌機を120rpmに設定した。使用した反応器システムは湿潤ケーク1試料の製造の際に述べたものと同じであった。反応媒体を93℃に予熱し、反応の間中この温度を保った。Silversonミキサーを始動させて、60Hzに設定するとともに、再循環を始動させて161 L/分の再循環流量を達成させた。再循環システムの手動弁を完全に開くように設定した。ついで、反応器システムへの同時フローを開始して、一定時間続けた。さきに述べたと同じ濃度/組成で88℃に予熱したケイ酸ナトリウム希薄溶液を13.00LPMで反応容器に導入し、同時に稀硫酸(11.4重量%、比重=1.079、39℃)をSilversonミクサーから4.74LPM(出発時の酸は遅くて1 LPM)で導入した。シリケートのフローは同時添加の47分後に中止された。酸のフローは、バッチのpHが7.0に下がるまで4.74LPMで続けられた。バッチのpHが7.0のときに、酸のフローを1.5 LPMに下げ、pHが4.6に近づくまで酸添加を続け、その時点で酸のフローを4.6に縮めた後、手動で4.6±0.1pHの目標値に調節した。ついでバッチを98℃で10分間熟成させ、熟成の間に必要に応じてpHを4.6に戻した。熟成後、pHを手動で4.6±0.1pHに調節した。熟成完了後、このために取出したシリカの少量の試料について反応器のシリカのMPSを調べた。反応器のシリカのMPSは41μmであった。熟成完了後、バッチを下げた後、プレートおよびフレームフィルターで濾過してから、洗浄して反応副生物(硫酸ナトリウム)のほとんどを(2.0重量%まで)除いた。充填圧力=80psi、水圧=20−25psi、エアブロー=40psi(水がプレスから出て来なくなるまでのエアブロー)を用いてバッチを濾過した。次の保湿剤−流動化、または噴霧乾燥/混練プロセス経路に用いるように3ないし4枠の湿潤ケークを集めて、比較を行った。
シリカ湿潤ケーク3(WC3):
シリカ湿潤ケーク2を作るのに用いた基本的操作を繰り返したが、ただし始めに50.9Lのケイ酸ナトリウムを反応器に装入し、116L/分の再循環流量を用い、シリケート/酸同時添加時間中のケイ酸ナトリウム溶液の導入速度は12.44 LPMで、バッチを下げた。反応器のシリカのMPSは8.36μmであった。
シリカ湿潤ケーク4(WC4):
シリカ湿潤ケーク4は、湿潤ケーク2と湿潤ケーク1の20:80混合物からなる。
シリカ湿潤ケーク1−4のシリカの物理的性質を、比較の乾燥バージョンの性質を含めて下記表1に示す。
Figure 0005257862
上記のデータから、湿潤ケーク1ないし3のTAPPI白色度は、それを噴霧乾燥して混練した対抗品よりも著しく大である(最高2.4ポイント)ことが分かる。
乾燥及び乾式混練しなかった湿潤ケークは、下記計画を用いる次の研究において、保湿剤と混合し、得られた研磨剤組成物の性質も評価して、次に述べた。
シリカ湿潤ケークの流動化:
前記シリカ湿潤ケーク3から次のようにスラリー1−5を調製した。各スラリー試料ごとに、表2に示すように、特定量の70%ソルビトールおよびシリカ湿潤ケークを1200−mlステンレシ鋼ビーカーに加えた。1000RPMのMotorregler Dispermat CV 高剪断ミキサーを用いて、湿潤ケークの溶液への添加を始めた。この湿潤ケークは、シリカ湿潤ケーク3について述べた先の湿潤ケーク調製法によって得られた。粘度が増大するにつれて、DispermatのRPMは最高6000RPMまで上昇した。湿潤ケーク生成物の添加を続けた。いったん添加が完了すると、DispermatのRPMを6000RPMに保たせ、内容物はさらに10分間分散させた。
これら流動化スラリーの粘度をつぎの方法により測定して、下記表2に要約する。
粘度測定法
1.粘度によって、FまたはBスピンドルを有し、そして5.0r.p.m.で操作されるブルックフィールド 1/2 RVDV II 粘度計を組み立てて、Helipathスタンドを装備する。
2.スピンドルをスラリー表面に置く。
3.24秒で粘度を測定する(センチポアズ(cP)単位)。
Figure 0005257862
実施例2
実施例1に記載シリカ湿潤ケーク1及びシリカ湿潤ケーク2によって作ったシリカの保湿剤流動化処理に基づく研磨剤組成物(すなわち、スラリー)の流動学的安定性を調べるために、下記の沈降研究を行った。スラリーは「シリカ湿潤ケークの流動化」という表題で先に述べた計画を用いて調製したが、ただしシリカ湿潤ケーク3はこの研究のために処理した。調製中にかなりの量の多糖類結合剤をスラリーに加えた比較実験3B、3D、3F、および3Hも含まれた。
シリカ沈降試験計画:
1.流動化シリカ試料を特定試験時間の間(3週間)撹拌せずに室温(25℃)で貯蔵後、スラリーおよびジャーの重量を測定した。
2.スラリーの高さを測定して、撹拌機ブレードをジャー中のスラリーの高さの1/2に位置決めした。
3.スラリーを1000rpmで5分間撹拌した。
4.撹拌機をジャーから取出し、ジャーを傾けてスラリーをビーカーに空けた。ジャーは1分間逆さに保った。
5.ジャーに残ったスラリーとジャー重量との合計重量を測定した。残留スラリをジャーから取出し、ジャーを洗浄して、ジャーの風袋を得た。
6.ついで初めのスラリーの重量に基づいて、ジャーに残留するスラリーの重量%を計算した。
結果を表3に要約する。
Figure 0005257862
この結果から保湿剤で流動化させたシリカは、経時的な沈降に対して極めて抵抗性のあることがわかる。
実施例3
抗菌性防腐剤を混合した前記流動化シリカの相互作用および安定性を調べるために、下記の生化学的負荷の検討を行った。
表4に挙げた成分量によって、種々の量のソルビトール及び安息香酸ナトリウムを用いてスラリーを調製し、エージング期間にわたり生物学的効果を検討する。シリカ湿潤ケーク1(WC1)を最初約1.5週間エージングして、ソルビトールまたは安息香酸ナトリウムの添加前に細菌を生育させた。ソルビトール及び安息香酸ナトリウムを1200mlのステンレス鋼ビーカーに入れて、ビーカー内にDispermat高速ミキサーを置いた。必要量のエージングを行ったシリカ湿潤ケーク1を加える問は、ミキサーを低速に設定した。その後、ミキサーの速度を6000rpmに上げて、スラリーを10分間混合した。各バッチを2等分して、それぞれ1週間と3週間の試験をするために250mlの無菌ジャーに移した。指定時間後、USP微生物計画にしたがって、各バッチから得た対応試料について、好気性細菌平板総歯数、かび、酵母及びグラム陰性菌を分析した。 生化学的負荷研究の結果を下記表4に要約する。
Figure 0005257862
上記のデータから分かるように、安息香酸ナトリウムで処理した試料で、とくにソルビトールの低レベルのものは細菌性かびおよび酵母の消滅がもっとも著しかった。
実施例4
保湿剤で流動化させた幾つかの前記シリカを用いて練り歯磨き配合物を調製した。
本発明の目的には、「歯磨き剤」はOral Hygiene Products and Practice,Morton Pader,Consumer Science and Technology Series,Vol.6,Marcel Dekker,NY 1988,p.200(これは参照として本明細書に組み入れてある)に定義されている意味を有する。すなわち、「歯磨き剤」は「...歯ブラシを用いて、手の届きやすい歯の表面を洗浄する物質である。歯磨き剤は主に水、洗浄剤、保湿剤、結合剤、香味剤、および主成分としての研磨剤からなり...歯磨き剤は歯に虫歯防止剤を付与するための研磨剤含有投与形態と考えられる。」 歯磨き配合物は、包含させる以前に溶解させなければならない成分(たとえば、フッ化ナトリウム、リン酸ナトリウムのような虫歯防止剤、サッカリンのような香味剤)を含有する。本発明の実施において、工程12の本発明の研磨剤−保湿剤スラリー(図2)は、歯磨き剤配合物にとって究極的に必要な液相の一部または、場合によってはその大部分さえも含有するので、これらの成分は工程12の間またその後に研磨剤−保湿剤スラリーに加えることができる。結合剤が事前歯磨き剤スラリー中に存在すると、研磨剤スラリー中の固体の沈降を増すという観察結果から、本発明の研磨剤スラリー中に結合剤を入れるのは避ける。
練り歯磨き配合物が、研磨剤−保湿剤懸濁液に関しては考慮されない3%を上回る水分を含有する場合には、歯磨き剤を調製するために、下記の方法に従う。研磨剤−保湿剤懸濁液には含まれない量の保湿剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ポリエチレングリコールを混ぜ合わせて第1の混合物を作る。研磨剤−保湿剤懸濁液に含まれない量の脱イオン水、フッ化ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウムおよびサッカリンナトリウムも、これら成分が溶解して、第2の混合物を作るまで、混ぜ合わせる。これら2つの混合物を撹拌しながら混ぜ合わせる。その後、着色剤を加え、混ぜ合わせた混合部をLightninミキサーで撹拌して「プレミックス」を得る。
「プレミックス」をRossミキサー(Model 130 LDM)に入れて、研磨剤−保湿剤懸濁液、シリカ増粘剤および必要なTiO2を加えて、無真空で混合する。ついで、30インチの真空に引いて得られた混合物を約15分間撹拌する。最後に、ラウリル硫酸ナトリウム及びフレーバーを加えて、混合物を低混合速度で約5分間撹拌する。
練り歯磨き配合物が、本発明の研磨剤−保湿剤スラリーまたは懸濁液によっては説明できない少なくとも3%の水分を含有しない場合には、本発明の研磨剤スラリーまたは懸濁液には若干の成分を加えなければならない。とくに、残留配合水、フッ化ナトリウム、三塩基性リン酸ナトリウム、リン酸一ナトリウム、サッカリン及び着色剤を撹拌しながら研磨剤−保湿剤懸濁液に加える。残留配合保湿剤(たとえば、ソルビトール、グリセリン)、CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム塩)、およびポリエチレングリコール(PEG)を共に撹拌して第2の混合物を作る。これら2つの混合物をRossミキサーに入れ、シリカ増粘剤及びTiO2を加えて、無真空で混合する。ついで30インチの真空に引いて得られた混合物を約15分間撹拌する。最後に、ラウリル硫酸ナトリウムおよびフレーバーを加えて、低混合速度で約5分間撹拌する。得られた歯磨き剤組成物を歯磨きチューブに封入して、後の試験のために適当な条件に保持する。組成物のpHは約7であった。
前記シリカ湿潤ケーク1ないし3の一部を下記表5Aに記した量のグリセリンまたはソルビトールで流動化させた後、下記表5Bに記したようにこれら流動化シリカを用いて歯磨き剤を配合した。シリカ湿潤ケークを流動化させる一般的計画は「シリカ湿潤ケークの流動化」と題した項目に記載されたものと同じであったが、ただし表5aに示したように、すべてではないが若干の流動化シリカ湿潤ケークは325メッシュスクリーンで濾過して、+325メッシュの残留レベルが確実に最大1.5%未満(乾燥シリカ重量を基準にして)になるようにした。これを行うために、シリカ/保湿剤スラリーを325メッシュスクリーンに注入した。スクリーン上部にオーバーサイズの粒子のみが残るまで、平らな物体を用いてスラリーをスクリーンに押し付けた。
これら歯磨き剤配合物の性質を下記表5Cに示す。
Figure 0005257862
Figure 0005257862
Figure 0005257862
上記のデータから、本発明のシリカ研磨剤スラリーで作った歯磨き剤は乾燥粉末化研磨剤で作ったものよりもいくつかの利点を有することが分る。すなわち、本発明の研磨剤スラリーは、乾式混練した対抗品に比べて、歯磨き剤配合物において約1ポイントの白色度の改善をもたらし、かつ摩耗性が少ない。歯磨き剤はすべて良好な粘度、フッ化物有効性、およびすぐれた美観(耐久性、外観、分散性)を示した。
本発明の研磨剤スラリーに基づいて補助的歯磨き剤配合物を次のように配合した。シリカ湿潤ケーク4の一部を下記の表5Dに示したように、かつ実施例中で先に述べた一般的計画を用いてソルビトールで流動化させた後、下記の表5Eに記したようにこの流動化シリカ湿潤ケークで歯磨き剤を配合した。この歯磨き剤配合物の性質を下記の表5Fに示す。また、シリカ湿潤ケーク(WC2)を保湿剤で流動化させ、これに表5Dで示したように、個々にPCC湿潤ケークまたは乾燥リン酸二カルシウムを加えた。これら流動化スラリーを表5Eの歯磨き剤配合物中に包含させて、これらの練り歯磨きの性質を表5Fに要約する。
Figure 0005257862
Figure 0005257862
Figure 0005257862
実施例5
シリカ湿潤ケーク3を、表6Aに記載したように流動化させた後、練り歯磨き配合物中に包含させる前に、湿式混練及び濾過を行った。これを行うために、先に述べた流動化湿潤ケークをSpexミル model 8000または76140に導入して、シリカ/保湿剤スラリーのメジアン粒度を縮小させた。これを行うために、適当な容器の中に100gのスラリーおよび5個の1.2cmのセラミック湿潤ペブルミル用媒体を入れて25分間混練した後、ミル媒体を取出した。その後、湿式混練スラリーを実施例4に述べたと同様に濾過した。湿式混練して濾過したスラリーを表6Bに述べた透明度の低いゲル状歯磨き配合物に配合した。この歯磨き剤の性質を表6Cに示す。
比較のために、前記研磨剤スラリーNo.13を作る場合に用いた湿潤ケークと同様に乾燥して混練したシリカ湿潤ケークの一部も歯磨き配合物中に包含させた。
Figure 0005257862
Figure 0005257862
Figure 0005257862
前記表6Cのデータから分かるように、本発明のシリカ研磨剤スラリーはすぐれた粘度および対応する乾燥研磨剤で作った練り歯磨きに匹敵する曇りを有するゲル状練り歯磨きを得た。
とくに断らなければ、本明細書に記載した種々のシリカ、シリカスラリー、および練り歯磨き(歯磨き剤)の性状は下記のように測定した。
沈降シリカはLeeds及びNorthrupで作ったMicrotrac II装置を用いてメジアン粒度を測定した。
本出願で述べた沈降シリカの硬度を測定するために用いたBrass Einlehner(BE)Abrasion試験は通常下記のように用いられるEinlehner AT−1000 Abraderが関与する:(1)Fourdrinier 黄銅ワイヤスクリーンを重量測定して一定時間、10%水性懸濁液の作用に曝し;(2)ついで100,000回転ごとにFourdrinierワイヤスクリーンから失われた黄銅をmg単位で測定する。mg単位で測定した損失量を10%brass Einlehner(BE)摩耗値とみなすことができる。
rubout法を用いて吸油量を測定する。この方法は堅いパテ状のペーストができるまで、滑らかな表面上でスパチュラで擦ることによってアマニ油とシリカを混合するという原理に基づくものである。拡げる時にペースト状混合物をカールさせるのに要する油量を測定することによって、シリカの吸油量−シリカの単位重量当たりシリカの収着能力を飽和させるのに必要滑らかな油量を表す値を計算することができる。吸油量の計算は次のように行った:
吸油量 = 吸収した油cc × 100
シリカ重量g
= 油cc/シリカ 100g
練り歯磨きのフッ化物有効性(F/A)を求めるために、可溶性フッ化物測定法を使用する。練り歯磨き組成物を特定温度において、特定時間の間積層チューブに貯蔵する。その後、10グラムの練り歯磨き組成物を10mlのビーカーに入れて、30グラムの蒸留水を加える。混合物を撹拌して、均一に分散した練り歯磨きスラリーを生成させる。次に15,000rpmで10分間または上澄みが透明になるまでスラリーを遠心分離にかける。ついで、10mlの上澄みおよび10mlのpH 8の緩衝液(0.2 EDTA/0.2 THAM(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)、予めNaOHでpH=8.0に調整した)をピペットでプラスチック製バイアルに入れ、磁気撹拌棒を入れて緩やかな撹拌を開始する。Orion フッ化物電極(Model 95−05)を備えた直接電位差滴定により、1000および100ppmのF 標準により計器を校正して、フッ化物イオン濃度を測定する。フッ化物有効性(%F/A)は練り歯磨き研磨剤添加レベルを基準とする、当初練り歯磨きに加えたフッ化物対上澄み中に定量されるフッ化物のパーセントである。
Helipath T−Hスピンドルを備えたブルックフィールド粘度計 Model RVTを用い、5rpmに設定して、練り歯磨き試験試料中をスピンドルが降下するにつれて3水準において25℃で練り歯磨き(歯磨き剤)の粘度を測定し、その結果を平均して練り歯磨き(歯磨き剤)の粘度を測定する。ブルックフィールド粘度はセンチポアズ(cp)で表す。
Gardner XL−835比色計を用い、光の透過を測定することによって練り歯磨きの曇り及び色(L、aL、bL)を測定する。具体的には、2枚の38×75×1mmの顕微鏡スライドを平面に置く。1枚のスライドの上にプレキシガラスのスペーサー(38×75×厚さ3mmで24×47mmの切断開口空間を有する)を置く。練り歯磨きゲルをプレキシガラスのスペーサー開口部分に押出し、第2の顕微鏡スライドをスペーサー上に置き十分な圧力(手で)を加えて過剰の空気及び練り歯磨きを除去する。スライドを比色計の透過光線開口部(曇り)および裏口開口部(色)に置き、そして異なる試料スペーサー位置で3つの読みを取って平均する。試料は目に見える気泡があってはならない。
本発明に用いた沈降シリカ組成物のRadioactive Dentin Abrasion(RDA)値をHefferenの、Journal of Dental Res.,July−Ahgust 1976,55(4),pp.563−573に示され、かつWasonの米国特許第4,340,583号、同第4,420,312号および同第4,421,527号に記載された方法によって求める(これらの出版物および特許は参照として本明細書に組み入れてある)。
歯磨き組成物の洗浄性及び研磨性は典型的に、それぞれPellicle Cleaning Ratio(“PCR”)値およびRadioactive Dentin Abrasion(“RDA”)値によって表される。PCR試験は一定のブラッシング条件で歯から薄膜を除く歯磨き組成物の能力を測定する。PCR試験は“In Vitro Removal of Stain With Dentifrice”(G.K.Stookeyら,J.Dental Res.,61,1236−9,1982)に記載されている。RDA試験は一定のブラッシング条件で、歯から取り除いた放射能標識象牙質の量を測定することによって歯磨き剤組成物の研磨性を測定する。PCRおよびRDAの両方の結果は歯磨き剤組成物の成分の性質及び濃度によって異なる。PCR及びRDA値は無単位である。
本明細書に述べる沈降シリカの表面積はBrunaurらのBET窒素吸着法(J.Am.Chem.Soc.,60,309(1938))で求められる。
TAPPI白色度を測定するには、微粉物質、すなわちこの場合にはシリカ粒子を平滑面を有するペレットに圧縮して、Technidyne Brightmeter S−5/BCを用いて評価する。この計器はdual beam optical systemを有し、試料を45°の角度から照射して、反射光を0°で見る。これはTAPPI試験方法丁452およびT646、ならびにASTM規格D985に合致する。粉末物質を十分な圧力をかけて約1cm厚さのペレットに圧縮して、滑らかで、平らで、固まっていない粒子または光沢のないペレット表面を生成させる。
総細孔容量(Hg)はMicromeritics Autopore II 9220装置を用いる水銀多孔度測定法によって測定する。細孔径は130°に等しい接触角シータ(θ)および484dyne/cmに等しい表面張力ガンマを用いるWashburn式により計算することができる。この計器は種々の物質のボイド容量および細孔径分布を測定する。水銀を圧力の関数としてボイド内に圧入して、試料1グラム当たり侵入した水銀の容量を各圧力設定ごとに計算する。本明細書に示される総細孔容量は真空から60,000psiの圧力で侵入した水銀の累積容量を表す。各圧力設定における容量の増分(cm2/g)を圧力設定増分に相当する細孔径すなわち細孔直径に対してプロットする。侵入容量のピーク対細孔径または細孔直径曲線は細孔径分布のモードに対応して、試料中の最も一般的な細孔径を同定する。具体的には、5mlのバルブおよび約1.1mlのステム容量を有する粉末侵入度計中に30−50%のステム容量を達成するように、試料径を調整する。試料はHg柱50μmの圧力に脱気して5分間保持する。水銀はほゞ150のデータ収集点のそれぞれにおいて10秒の平衡時間で1.5から60,000psiで細孔を満たす。
シリカ表面上のCTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)の吸着によってシリカのCTAB外面積を求め、過剰分は遠心分離により分離し、界面活性剤電極を用いてラウリル硫酸ナトリウムで滴定して測定する。シリカの外面積は吸着されたCTABの量から求める(吸着前後のCTABの分析)。具体的には、約0.5gのシリカを100.00mlのCTAB溶液(5.5g/L)とともに250−mlのビーカーに入れて、電気撹拌プレート上で1時間混合した後、10,000rpmで30分間遠心分離する。100mlのビーカー中の5mlの透明上澄みに1mlの10%Triton X−100を加える。0.1 HClでpHを3.0−3.5に調節して、界面活性剤電極(Brinkmann SUR1501−DL)を用いて試料を0.0100 M ラウリル硫酸ナトリウムで滴定して、終点を求める。
1クオートのHamiltonミキサー Model No.30のカップに10.0グラムの試料を0.1グラムの位まで秤量し、約170mlの蒸留水または脱イオン水を加えて、スラリーを少なくとも7分間撹拌することによって44ミクロン、すなわち0.0017インチの開口部(ステンレス鋼ワイヤクロス)を有する米国標準節No.325を用いて325メッシュ%を測定する。混合物を325メッシュスクリーンに移し、カップの内部を洗って、洗液をスクリーンに加える。水噴射を20psiに調節して、2分間スクリーンに直接噴射する。(噴射ヘッドはスクリーンクロスの約4から6インチ上に保持しなければならない。スクリーンの一辺まで残留物を洗い、蒸留水または脱イオン水を用いて洗浄して洗浄ボトルから蒸発皿に移す。2から3分間放置して透明水をデカントする。乾燥(150℃の熱対流炉または赤外炉で約15分間)し、冷却して分析天秤で残留物を秤量する。
水分は測定試料の105℃で2時間の減量である。本発明で遭遇する反応混合物(5重量%スラリー)のpH値は通常のpH高感度電極によってモニターすることができる。
本発明の特性を説明するために、本明細書に記載及び例示した部材の詳細、材料、及び部材の配列における種々の変更が、下記のクレームに示される本発明の権利及び範囲から逸脱することなく当業者が行い得ることは理解されよう。
図1は本発明による歯磨き剤組成物おを製造するための方法機構の系統図である。 図2は本発明による歯磨き剤剤組成物の製造に用いられる研磨剤組成物成分の製造に用いられる反応器システム機構の略図である。

Claims (25)

  1. 下記:
    保湿剤を含む液体媒体とともに未乾燥の水不溶性研磨剤粒子であって、通常流動性粉末が生じる程度まで脱水されておらず水分量が10重量%以上の水不溶性研磨剤粒子を含む研磨剤スラリーを生成させ、それによって該研磨剤粒子を該スラリー中に懸濁させ;そして
    前記研磨剤スラリーを香味剤と混合する
    工程を含む歯磨き剤組成物の調製法。
  2. 該研磨剤スラリーが50重量パーセント未満の水分量を含む請求項1記載の方法。
  3. 前記水不溶性研磨剤粒子を、前記液体媒体中に懸濁させる前に、乾燥および乾式粉砕せずに沈殿反応から誘導する請求項1記載の方法。
  4. 該研磨剤スラリーが多糖類を欠くかまたは多糖類を0.20重量%未満含む請求項1記載の方法。
  5. 下記:
    反応容器の反応混合内容物を処理するように配設された該反応容器及び高剪断混合手段を含む反応システムを設け;
    該反応システム中に、反応混合内容物として、アルカリ金属シリケートおよび酸を混合しながら導入して、沈降シリカを生成させ;
    1分ごとに該反応容器の反応混合内容物の総容量の5容量%から50容量%分を取出して、該取出部分を該高剪断混合手段に導き、反応混合内容物の該処理容量を、該高剪断混合手段に通した後、該反応容器の反応混合物中に戻し;
    フィルターで該反応混合物から該沈降シリカを分離してフィルターケークを生成させ;
    該フィルターケークを洗浄し;
    保湿剤を該沈降シリカと混合することにより該フィルターケーク中の該沈降シリカを流動化させて、保湿剤を含有する研磨剤粒子の懸濁液を生成させ、ここで該沈降シリカは懸濁液を生成させるまでに乾燥も乾式粉砕もされていない;そして
    研磨剤粒子の前記懸濁液を香味剤と混合する
    工程を含む歯磨き剤組成物の調製法。
  6. 前記反応システムが、該反応容器内の該流動性ある反応混合内容物の一部をその第1部位から取出し、かつ前記部分をその第2部位から該反応容器内に戻すための再循環ループを含み、この場合に該再循環ループがポンプ輸送手段およびインライン高剪断ミキサーを含む請求項5記載の方法。
  7. 前記酸を、該再循環ループを通過する該反応混合内容物の一部の中に該高剪断インラインミキサーから導入させる請求項6記載の方法。
  8. 該高剪断ミキサーが回転子/固定子ミキサーを含む請求項5記載の方法。
  9. 該研磨剤組成物が1ミクロンから30ミクロンのメジアン粒度を有する複数の沈降シリカ粒子を含む請求項5記載の方法。
  10. 該研磨剤組成物が3ミクロンから15ミクロンのメジアン粒度を有する複数の沈降シリカを含む請求項5記載の方法。
  11. 該取出工程が1分ごとに該反応容器の内容物の容量の8容量%から22容量%を該再循環ループに通すことを含む請求項6記載の方法。
  12. 該保湿剤が研磨剤粒子の懸濁液中に3から80重量%の保湿剤量で存在する請求項5記載の方法。
  13. 防腐剤を研磨剤粒子の懸濁液に混合しながら添加することをさらに含む請求項5記載の方法。
  14. 該防腐剤が安息香酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、プロピル−p−ヒドロキシ−ベンゾエート、及びメチル−p−ヒドロキシ−ベンゾエート(メチルパラベン)からなる群から選ばれる請求項5記載の方法。
  15. 該取出工程後から前記混合工程を開始するまで、研磨剤粒子の水性懸濁液を少なくとも20重量%の総液体含量に絶えず維持することをさらに含む請求項4記載の方法。
  16. 前記混合工程が水、補助保湿剤、水溶性フッ化物イオン源、結合剤、香味剤、着色剤、白色化剤、防腐剤、虫歯防止化合物、発泡剤、および/または抗微生物剤の少なくとも1種を添加することをさらに含む請求項5記載の方法。
  17. 該保湿剤の導入後で該混合工程前に研磨剤粒子の懸濁液を湿式混練する工程をさらに含む請求項5記載の方法。
  18. 該保湿剤の導入後で該混合工程前に研磨剤粒子の懸濁液をふるい分けする工程をさらに含む請求項5記載の方法。
  19. 請求項5記載の方法の生成物。
  20. 研磨剤スラリー、結合剤、および任意に水可溶性フッ化物源を混合することを含む歯磨き剤組成物であって、結合剤は該歯磨き剤組成物中に0.5〜2.0重量%含まれ、この場合に保湿剤を含む液体媒体で未乾燥の水不溶性研磨剤粒子であって、通常流動性粉末が生じる程度まで脱水されておらず水分量が10重量%以上の水不溶性研磨剤粒子を分散させることによって該研磨剤スラリーを調製し、それによって該研磨剤粒子を該スラリー中に懸濁させる歯磨き剤組成物。
  21. 該水不溶性研磨剤粒子が沈降シリカ、シリカゲル、リン酸二カルシウム、ピロリン酸カルシウム、及び沈降炭酸カルシウムからなる群から選ばれる請求項20記載の歯磨き剤組成物。
  22. 該水不溶性研磨剤粒子が沈降シリカを含む請求項20記載の歯磨き剤組成物。
  23. 該沈降シリカ粒子が1から15ミクロン(μm)のメジアン粒度を有する請求項22記載の歯磨き剤組成物。
  24. 該沈降シリカが0.5から30の黄銅Einlehner値、50から200のPCR、30から200のRDA値、および40から200cc/100gのアマニ油吸油量値を有する請求項22記載の歯磨き剤組成物。
  25. 該保湿剤がポリオールを含む請求項20記載の歯磨き剤組成物。
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