<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1を、図1乃至図8を参照しつつ説明する。本実施形態では、車両搭載電池の排気構造2を例示する。図1は、車両1後部におけるラゲージルーム10の斜視図である。本実施形態で示される車両1は、動力源として内燃機関とともにモータを備えるハイブリッド車からなる。そのため、車両1には、後述するようにモータに電力を供給等するためのバッテリー装置(電池装置)が搭載されている。
図1には、ラゲージルーム10を車両1の斜め後方から見た状態が示されている。なお、説明の便宜上、図1では、後部ドア等の各部品が省略されている。ラゲージルーム10は、ラゲージトリム20により囲まれた部分からなる。図2は、ラゲージトリム20の分解斜視図であり、図3は、図1のA−A’線断面図である。先ず、ラゲージトリム20を構成する各部分について説明する。
ラゲージトリム20は、図2に示されるように、ラゲージルーム10の前方部分を構成するラゲージフロントトリム21と、ラゲージフロントトリム21に接続し、ラゲージルームの両側面部分を構成する一対のラゲージサイドトリム22,22とを備えている。ラゲージトリム20は、更に、ラゲージルーム10の後方部分を構成するラゲージリヤトリム23を備えている。
ラゲージフロントトリム21は、車両1の車室を前方の乗員室50と、後方のラゲージルーム(荷室)10とに区画する、所謂、ルームパーテーションの機能を有する。なお、車室は、乗員室50と荷室10とからなる。ラゲージフロントトリム21は、例えば、合成樹脂製のハニカムボード、中空ボード等で構成される。ラゲージフロントトリム21は、前記ハニカムボード等からなる一枚のボード部材を、後述する第1折曲部及び第2折曲部において折り曲げて組み立てられる立体成形体からなる。また、ラゲージフロントトリム21の表面には、表皮材(不図示)が被覆されている。なお、本明細書において、立体成形体に組み立てられる前のラゲージフロントトリム21の状態を「展開状態」と称し、立体成形体に組み立てられた後のラゲージフロントトリム21の状態を「組立状態」と称する場合がある。図4は、組立状態のラゲージフロントトリム21の斜視図であり、図5は、展開状態のラゲージフロントトリム21の正面図である。
ラゲージフロントトリム21は、ラゲージルーム10の床面10A(図7参照)に沿って延設される一対の底面部211,211と、底面部211に対して立設される正面部212と、各底面部211,211に対してそれぞれ立設される側面部213,213とを備えており、車幅方向において略対称(略左右対称)な形状をなしている。右側の側面部213を、「側面部213A」と表し、左側の側面部213を、「側面部213B」と表す場合がある。また、右側の底面部211を、「底面部211A」と表し、左側の底面部211を、「底面部211B」と表す場合がある。なお、底面部211Aには、車幅方向に沿って延びる細長い延長部211aが設けられている。
正面部212は、ラゲージフロントトリム21のうち、ラゲージルーム10の前面をなし、ラゲージルームの床面10Aに対して起立する部分からなる。正面部212は、図5に示されるように、正面視(つまり、車両前方から車両後方を見た場合)において、車幅方向に長い略矩形状をなしている。正面部212は、リアシートSのシートバックS1(図3参照)を車両後方側から覆う形で配される。正面部212は、上端が下端よりも車両後方側に配されるように、後方に傾斜した形をなしている。
各側面部213(213A,213B)は、ラゲージフロントトリム21のうち、正面部212の車幅方向における両側端部から車両後方に延び、ラゲージルーム10の床面10Aに対して起立する部分からなる。各側面部213(213A,213B)は、側面視(つまり、車幅方向から見た場合)、略三角形状をなしている。また、組立状態において、一対の側面部213A,213Bは、図4に示されるように、互いに対向する形で車幅方向に並んでいる。
なお、一対の側面部213,213のうち、右側の側面部213Aには、排気孔部30aを含む排気手段30が設けられている。本実施形態における車両搭載電池の排気構造2では、排気ガス(空気)が、最終的に、排気手段30の排気孔部30aを通ってラゲージルーム10内に排出される。
排気手段30は、側面部213Aの下方部分を板厚方向(車幅方向)に貫通する開口部31と、複数個の排気孔部30aを含むと共に前記開口部31を覆う形で側面部213Aに取り付けられる格子様の板枠部32と、枠板部32と側面部213Aとの間で挟まれ、かつ排気孔部30aを覆うように板枠部32に貼り付けられる網部33とを備えている。
開口部31は、側面部213Aが車両後方から車両前方に向かって略台形状に切り欠かれた形をなしている。板枠部32は、プラスチックの板材からなり、厚み方向に貫通する形で設けられた複数個の排気孔部30aを備えている。本実施形態において、排気孔部30aは、略六角形をなしているものの、排気孔部30aの形状、大きさ等はこれに限られない。網部33は、空気が透過可能な多数の細孔を有する網目状の部材からなる。板枠部32と網部33とは、接着剤や両面テープ等を利用して接着される。そして、網部33が接着された板枠部32は、側面部213Aに対して、例えばタッカー(ステープルガン)を利用して、針状の固定部材34により固定される。なお、各図において、網部33は、説明の便宜上、省略されている場合がある。
底面部211は、図4に示されるように、線状をなすとともに車幅方向に延びる第1折曲部41を介して、正面部212の下辺の車幅方向における端部と連結されている。なお、底面部211Aが備える延長部211aも、第1折曲部41を介して正面部212の下辺の車幅方向における端部に連結されている。第1折曲部41は、例えば、ラゲージフロントトリム21を板厚方向に押し潰し、周辺部分と比べて板厚が小さい薄肉部とすることで構成されている。これにより、第1折曲部41において、ラゲージフロントトリム21を折り曲げることが可能となっている。
また、側面部213は、線状をなす第2折曲部42を介して、正面部212の側端部(車幅方向における端部)と連結されている。第2折曲部42は、ラゲージフロントトリム21において、側面部213と正面部212との境界に沿って上下方向に延びており、側面部213と正面部212との境界に沿って複数形成されたスリット42aと、各スリット42a間を押し潰すことで形成された薄肉部42bから構成されている。これにより、第2折曲42において、ラゲージフロントトリム21を折り曲げることが可能となっている。つまり、各側面部213(213A,213B)は、正面部212に対して折り曲げ可能に連結されている。
また、図2に示されるように、平面視略矩形状をなすラゲージマット24がラゲージルーム10の底面10Aを覆う形で敷設されている。ラゲージマット24は、その周端部が一対の側面部213(213A,213B)の間に配されるとともに、一対の底面部211(211A,211B)を上方から覆う構成となっている。なお、側面部211は、ラゲージマット24と側面部213との隙間を下方から覆う形で配されている。そのため、上方から見た場合において、ラゲージマット24と側面部211との隙間から、底面部211の下方にあるフロアパネル11(図7参照)が露出することがなく、見栄えを良くすることができる。なお、フロアパネル11の上面が、ラゲージルーム10の底面10Aとなっている。
また、図5に示されるように、正面部212の上端において、車幅方向の中央部には上側延設部214が、正面部212に対して折り曲げ可能に連結されている。また、正面部212の下端において、車幅方向の中央部には下側延設部215が、正面部212に対して折り曲げ可能に連結されている。上側延設部214及び下側延設部215には、それぞれ取付孔214a,215aが形成されている。
上側延設部214は、取付孔214aを介して、ラゲージルーム10の天井面側に設置されたアッパートリムやアッパーパネル等に取り付けられる。下側延設部215は、取付孔215aを介して、ラゲージルーム10の底面10AやリアシートS等に取り付けられる。なお、上側延設部214及び下側延設部215の取付先は、上述したものに限定されず、適宜、設定可能である。
ここで、ラゲージフロントトリム21において、第1折曲部41及び第2折曲部42で折り曲げられた後の組立状態(図4に示される状態)を保持するための構成について説明する。図5に示されるように、側面部211の下端には、被係止部(取付部の一例)43及び突部44が形成されている。ラゲージフロントトリム21が第1折曲部41及び第2折曲部42において折り曲げられた状態(組立状態)では、被係止部43が底面部211に形成された開口部45に挿通されるとともに、突部44が底面部211に形成された貫通孔46に挿通されることで、ラゲージフロントトリム21の組立状態が保持される構成となっている。
被係止部43は、展開状態において下方に突設(延設)されており、組立状態においては、底面部211に形成され、外側に開口された開口部(被挿通部)45に対して挿通される構成となっている。また、被係止部43は、第1折曲部41と同じ構成の第3折曲部47を介して、側面部213と連結されている。これにより、被係止部43は、側面部213に対して折り曲げ可能となっている。
このため、被係止部43は、図7に示されるように、開口部45に対して上方から挿通された後、その突出方向(又は延設方向)が底面部211の延設方向(水平方向、図7の左右方向)に沿う形となるように側面部213に対して折り曲げられることで、底面部211に対して下方(裏側)から係止される構成となっている。
また、被係止部43の周端部において、側面部213との境界付近には、外側に向けて突き出す突設部43a(図5参照)が形成されている。これにより、開口部45に被係止部43を挿通させた状態では、突設部43aが開口部45の周端部に対して、下方から係止する構成となっており、開口部45から被係止部43が抜ける事態を抑制することができる。
また、被係止部43には、板厚方向に貫通された締結孔(締結部)43bが形成されている。締結孔43bは、被係止部43をラゲージルーム10の底面10Aに締結可能とするものである。被係止部43が底面部211の延設方向に沿う形となるように側面部213に対して折り曲げられた状態では、図7に示されるように、締結孔43bにクリップ部材48を介して、ラゲージルーム10の底面10A(より詳細には、ラゲージルーム10の底面10Aを構成するフロアパネル11)に対して、被係止部43が締結される構成となっている。
一方、突部44は、図5に示されるように、側面部213の下端において、被係止部43よりも正面部212に近い位置に形成されている。組立状態において、突部44は、底面部211を板厚方向に貫通することで形成された貫通孔46に挿通される構成となっている。なお、被係止部43の下方への突出長さは、突部44の下方への突出長さよりも小さい構成とされているが、この構成に限られるものではない。
続いて、ラゲージフロントトリム21を展開状態から組立状態にする組み立て手順について、説明する。先ず、作業者は、展開状態から、第2折曲部42において、正面部212に対して側面部213を車両後方へ折り曲げ、側面部213の延設面が正面部212に対して略直交するようにする。
次いで、第1折曲部41において、正面部212に対して底面部211を車両後方へ折り曲げ、底面部211の延設面が正面部212の延設面に対して略直交するようにする。
正面部212に対して底面部211を折り曲げる過程においては、底面部211が第1折曲部41を回転軸として回転することとなる。この過程において、被係止部43が開口部45に挿通されるとともに、突部44が貫通孔46に挿通される。なお、被係止部43において、底面部211から遠い側の先端面43cは、正面部212に対する底面部211の回転軌跡に倣った曲面とされている。これにより、被係止部43が開口部45に挿通される際には、開口部45の周端部が、被係止部43と干渉する事態を抑制でき、被係止部43を開口部45に挿通させ易くなっている。
次いで、第3折曲部47において、側面部213に対して被係止部43を外側(図7の場合、右側)へ折り曲げ、被係止部43の突出方向が底面部211の延設方向(水平方向、図7の右側)に沿う形となるようにする。これにより、被係止部43が底面部211に対して下方(裏側)から係止される。このような手順により、ラゲージフロントトリム21が組立状態で保持される。
なお、組立状態とされたラゲージフロントトリム21は、図7に示されるように、被係止部43の締結孔43bにクリップ部材48が挿通され、このクリップ部材48を介して被係止部43がラゲージルーム10の底面10Aを構成するフロアパネル11に締結される。このようにして、ラゲージフロントトリム21がフロアパネル11に対して起立した状態で取り付けられる。そして、ラゲージフロントトリム21は、主として、ラゲージルーム10の前方部分を構成する。
なお、ラゲージフロントトリム21の側面部213Aにおいて、排気手段30は、ラゲージルーム10の車両前方側の側面に配されている。
ラゲージサイドトリム22は、ラゲージルーム10の側面部分(側壁部分)を構成し、ポリプロピレン等の合成樹脂材料のプレス成形品からなる。車幅方向において、ラゲージサイドトリム22の外側には、パネル状の車両サイドボデー12が配置されている。つまり、ラゲージサイドトリム22は、ラゲージルーム10側を向く車両サイドボデー12の表面を覆う形で、車両サイドボデー12に取り付けられている。なお、後述するように、車両サイドボデー12と、ラゲージサイドトリム22等のラゲージトリム20や、他の車両用内装材との間には、隙間がある。
ラゲージサイドトリム22の前端部221は、ラゲージフロントトリム21の側面部213の後端部213aに対して、隙間なく接続されている。
車両1には、上述したラゲージトリム20以外の車両用内装材も設けられている。図3及び図6には、ラゲージフロントトリム21よりも前方に配される乗員室50において、車両用内装材の一種であるシートサイドガーニッシュ51が設けられている。シートサイドガーニッシュ51は、ラゲージフロントトリム21(側面部213)の前方において、ラゲージフロントトリム21(側面部213)に隣接する形で配設されている。つまり、シートサイドガーニッシュ51の後端部51aは、ラゲージフロントトリム21の正面部212の側端部、及び側面部213の前端部に対して、隙間なく接続されている。
シートサイドガーニッシュ51は、全体的には、所定の厚みを有する概ね板状をなした部材であり、合成樹脂等の成形品からなる。シートサイドガーニッシュ51は、図3に示されるように、上述した車両サイドボデー12の一部の表面を覆う形で、リアシートSの外側に配設されている。なお、シートサイドガーニッシュ51と、車両サイドボデー12との間にも、隙間が形成されている。
また、シートサイドガーニッシュ51の前方部分51bは、車両前方に向かう形となっている。その前方部分51bには、車両前後方向に貫通する貫通孔51c(図6参照)が設けられている。
また、シートサイドガーニッシュ51の後端部51aにおける上方側の一部分は、ラゲージサイドトリム22の前端部211における上方側の一部分に対して、互いに隙間なく接続されている。つまり、ラゲージフロントトリム21の側壁部213は、シートサイドガーニッシュ51の後端部51aと、ラゲージサイドトリム22の前端側211との間で形成される略三角形状の隙間に対して、前記隙間を塞ぐように嵌め込まれる部分となっている。そして、ラゲージフロントトリム21の右側の側面部213Aに設けられている排気手段30は、ラゲージルーム10の側面の一部を構成するように配されている。
次いで、本実施形態の車両1が備える、車両搭載電池の排気構造2について、説明する。本実施形態の車両1では、車室(乗員室50)の床面(不図示)上にバッテリー装置(電池装置)60が搭載されている(図3及び図8参照)。バッテリー60は、リアシートSのシートクッションS2の下側に配置されている。
バッテリー装置60は、主として、バッテリー(電池)等を含むバッテリー本体部(電池本体部)61と、このバッテリー本体部61を収容する略箱状のバッテリーケース(筐体部)62と、バッテリーケース62に接続される筒状の第1排気部(排気ダクト、排気路70の一部)63とを備えている。
バッテリー装置60は、使用時に発熱するため、車室(乗員室50)から取り入れられる空気を利用して冷却される。車室(乗員室50)の空気は、吸気装置80を利用してバッテリー装置60内に取り入れられている。吸気装置80は、バッテリー装置60の車両左側に接続する形で取り付けられている。吸気装置80は、図8に示されるように、内部に吸気ファン81を備えており、吸気ファン81が回転すると車室(乗員室50)内の空気が、吸気装置80の車両前方にある吸気口82から、吸気装置80の内部に取り込まれる。吸気装置80のケース83は、バッテリー装置60のバッテリーケース62と一体的に繋がっており、吸気口82よりケース83内に取り込まれた空気は、バッテリーケース62内へ移動する。なお、図8等において符号Gで示される矢印は、空気の流れを模式的に表したものである。
バッテリーケース62とバッテリー本体部61との間には、隙間64があり、この隙間64を通って空気が筒状の第1排気部63に排出される。なお、空気がバッテリーケース62内を通過する際に、空気がバッテリー本体部61からの熱を受け取り、バッテリー本体部61が冷却される。
第1排気部63の一方の端部63aは、バッテリーケース62に接続されており、他方の端部63bは、貫通孔51c内に挿し込まれる形で、シートサイドガーニッシュ51に接続されている。第1排気部63の端部63bと、シートサイドガーニッシュ51の貫通孔51cとは互いに隙間なく接続されている。第1排気部63に排出された空気は、貫通孔51cを通ってシートサイドガーニッシュ51と、車両サイドボデー12との間に供給される。
シートサイドガーニッシュ51と、車両サイドボデー12との間に供給された空気は、車両サイドボデー12に沿って車両後方に向かうように排気される。シートサイドガーニッシュ51は、車両サイドボデー12との間で第2排気部510を形成しており、この第2排気部510内を通ってバッテリー装置60から排出された空気が、排気手段30側に送られる。
シートサイドガーニッシュ51と車両サイドボデー12との間で形成される第2排気部510の下流側は、ラゲージフロントトリム21の側面部213Aと、車両サイドボデー12との間で形成される空間部511に接続されている。この空間部511は、ラゲージフロントトリム21を、作業者が、フロアパネル11に対して起立した状態で取り付ける際に、その取り付け作業を行うための作業スペースとして利用される。ラゲージフロントトリム21は、図7に示されるように、締結孔43bに挿し込まれたクリップ部材48を介して、フロアパネル11に取り付けられる。作業者は、空間部511に手等を入れて、ラゲージフロントトリム21の取り付け作業を行う。ラゲージフロントトリム21の側面部213Aと、車両サイドボデー12との間には、ラゲージフロントトリム21の被係止部43が収容されるスペースとともに、被係止部43をフロアパネル11に対して取り付けるために必要な作業スペースが確保されている。本実施形態の車両搭載電池の排気構造2では、作業スペースとして確保されている空間部511を、バッテリー装置60から排出された空気をラゲージルーム10側へ通す経路として利用される。
また、空間部511は、排気手段30排気孔部32aと繋がっている。第2排気部510の上流側より空間部511に供給された空気は、排気孔部32aを通ってラゲージルーム10内に排出される。
なお、図6に示されるように、空間部511の車両後方側において、車両サイドボデー12とラゲージサイドトリム22とが車両後方に向かうにつれて互いに近付き、かつ、車両サイドボデー12とラゲージサイドトリム22との間の間隔が狭まる絞り込み部512が設けられている。この絞り込み部512は、車両サイドボデー12とラゲージサイドトリム22との間で形成される部分であり、空間部511の車両方向側に接続する部分となっている。ラゲージルーム10の側面を構成するラゲージサイドトリム22は、ラゲージルーム10内のスペースを広く確保等する目的で、車両サイドボデー12との間の隙間が狭く設定される。前記隙間は、例えば、数ミリ程度に設定される。また、絞り込み部512を構成する車両サイドボデー12は、本実施形態の場合、ホイールハウスの一部を形成しているため、図6に示されるように車室内側に張り出した形となっている。このようにして、絞り込み部512を構成するラゲージサイドトリム22と、車両サイドボデー12とは互いに近付く形となっている。
このような絞り込み部512が、空間部511の車両後方側に接続されていると、上流側より第2排気部510を通って供給された空気が、排気孔部32aを通ってラゲージルーム10内に排出され易くなる。絞り込み部512が形成されていると、上流側より供給された空気が、空間部511よりも車両後方側にある車両サイドボデー12とラゲージサイドトリム22との間に入り難くなる。したがって、バッテリー装置60のバッテリーケース62内を通り、更に、第1排気部(排気路70の一部)63、及び第2排気部(排気路70の一部)510を通って空間部511に至った空気は、優先的に、排気孔部32a側に向い易くなっている。
なお、第1排気部63及び第2排気部510は、バッテリー装置60内を通って排出された空気を通す排気路70を構成する。また、空間部511も、排気路70の一部を構成する。
以上のように、本実施形態の車両搭載電池の排気構造2は、車室床面に搭載されるバッテリー装置(電池装置)60と、バッテリー装置(電池装置)60内を通過した空気を車両サイドボデー12に沿って車両後方に排気させる排気路70と、車室を前方の乗員室50と後方のラゲージルーム10とに区画し、ラゲージルーム10の前方部分を構成するラゲージフロントトリム21と、ラゲージフロントトリム21に接続し、ラゲージルーム10の側面部分を構成するラゲージサイドトリム22とを有するラゲージトリム20と、を備える車両搭載電池の排気構造2であって、ラゲージフロントトリム21は、ラゲージルーム10の前面をなし、ラゲージルーム10の床面11A(フロアパネル11)に対して起立する正面部212と、この正面部212の側端部から車両後方に延び、ラゲージルーム10の床面11A(フロアパネル11)に対して起立する側面部213Aとを有し、側面部213Aは、排気路70を通る空気をラゲージルーム10内に排出させる排気孔部30aを含むものからなる。
ところで、ラゲージルームの側面部で排気する場合、ラゲージサイドトリムに排気孔部が設けられることが一般的である。ただし、その構造では、ラゲージルームの容積確保等の観点より、車両サイドボデーと、ラゲージサイドトリムとの空間が極めて狭くなっており、バッテリー装置(電池装置)60側から排気された空気が、車両サイドボデーとラゲージサイドトリムとの間を通りづらくなっている。
しかしながら、本実施形態の車両搭載電池の排気構造2は、排気孔部30aをラゲージルーム10の前方部分の側面部213Aに設定することで、車両サイドボデー12とラゲージトリム20との間の空間を比較的容易に確保することができる。そのため、本実施形態の車両搭載電池の排気構造2は、バッテリー装置60内を通過した空気を簡単な構成で効率よくラゲージルーム(荷室)10へ排出することができ、バッテリー装置60を効率よく冷却することができる。
更に、本実施形態の車両搭載電池の排気構造2は、排気孔部30aをラゲージルーム10の前方部分の側面部に設定することで、排気路70の距離を短縮することができる。排気路70の距離を短くできることにより、排気路70の途中で排出ガスが、ラゲージサイドトリム22等の車両用内装材の孔部(例えば、車両サイドボデー等に取り付ける際に利用される取付用の孔部等)から、漏れ出すことが抑制される。
また、本実施形態の車両搭載電池の排気構造2において、側面部213Aの下端には、ラゲージルーム10の床面11A(フロアパネル11)に対して取り付けられる被係止部(取付部)43が延設され、側面部213Aと車両サイドボデー12との間で形成され、被係止部(取付部)がラゲージルーム10の床面11A(フロアパネル11)に対して取り付けられる際の作業スペースとして利用され、かつ排気路70より排気された空気を排気孔部30aへ通す空間部511を有している。車両搭載電池の排気構造2において、側面部213Aと車両サイドボデー12との間には、被係止部(取付部)43をラゲージルーム10の床面11A(フロアパネル11)に取り付けるだけの空間(作業スペース)を要するため、バッテリー装置(電池装置)60側より排気された空気を排気孔部30aへ通す空間(スペース)を確実に確保することができる。
また、本実施形態の車両搭載電池の排気構造2は、空間部511の車両後方側に接続し、車両サイドボデー12とラゲージサイドトリム22とが車両後方に向かうにつれて互いに近付き、かつ車両サイドボデー12とラゲージサイドトリム22との間の間隔が狭まる絞り込み部512を有する。車両搭載電池の排気構造2において、絞り込み部512が、空間部511の車両後方側に接続されていると、バッテリー装置(電池装置)60側より排気された空気が排気孔部32aを通ってラゲージルーム10内に排出され易くなる。バッテリー装置(電池装置)60側より排気された空気は、絞り込み部512で堰き止められるような状態となり、排気孔部32aに向かい易くなる。
また、本実施形態の車両搭載電池の排気構造2において、被係止部(取付部)43は、側面部213Aに対してラゲージルーム10の車幅方向外側に折り曲げ可能に連結されるものである。被係止部(取付部)43が、側面部213Aに対してラゲージルーム10の車幅方向外側に折り曲げ可能に連結されるものであると、側面部213Aと車両サイドボデー12との間には、被係止部(取付部)43が配置されるだけの空間(作業スペース)を要するため、バッテリー装置(電池装置)側より排気された空気を排気孔部30aへ通す空間(スペース)を確実に確保することができる。
また、本実施形態の車両搭載電池の排気構造2において、ラゲージサイドトリム22は、車両後方からラゲージルームを見た際、車幅方向において排気孔部30aよりもラゲージルーム10内に張り出した張り出し部222を有するものであってもよい。車両搭載電池の排気構造2が、張り出し部222を備えていると、車両後方からラゲージルーム10を見た際、排気孔部30aが張り出し部222により隠され、例えば、排気孔部30a越しに車両サイドボデー12がラゲージルーム10内に露出することが抑制され、ラゲージルーム10の意匠性の低下が抑制される。また、車両搭載電池の排気構造2が、張り出し部222を有すると、ラゲージルーム10内に収容された荷物が排気孔部30aを塞ぎ、排気効率が低下することが抑制される。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、ラゲージフロントトリムが備える2つの側面部のうち、右側の側面部に、排気孔部が設けられていたが、本発明はこれに限られず、他の実施形態においては、反対に、左側の側面部に、排気孔部が設けられる構成であってもよい。
(2)上記実施形態では、右側の側面部に、別体の排気手段を取り付けることにより、排気孔部が設けられていたが、本発明はこれに限られず、他の実施形態においては、例えば、側面部に直接、板厚方向に貫通する形で1個又は複数個の孔部を設け、その孔部が排気孔部として利用されてもよい。
(3)上記実施形態では、側面部の下端に設けられた被係止部(取付部)は、ラゲージルームの車幅方向外側に折り曲げられる構成であったが、本発明はこれに限られず、他の実施形態においては、例えば、側面部の下端から下方に向かって突設され、ラゲージルームの床面(フロアパネル)が備える孔部に対して、挿し込まれる形で取り付けられる取付部であってもよい。