以下、本発明を適用した画像形成装置として、複数の感光体を設けたいわゆるタンデム型のフルカラー電子写真複写機(以下、単に「複写機」という)の実施形態について説明する。まず、実施形態に係る複写機の基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係る複写機を示す概略構成図である。同図において、複写機は、画像形成を行うプリント部100、プリント部100に対して記録部材である記録紙5を供給する給紙装置200、プリント部100上に取り付けられ原稿画像を読み取るスキャナ300などを備えている。また、スキャナ300の上部に取り付けられる原稿自動搬送装置(ADF)400なども備えている。プリント部100には、記録紙5を手差し給紙させるための手差しトレイ6、及び、画像形成済みの記録紙5が排紙される排紙トレイ7が設けられている。
図2は、プリント部100を拡大して示す拡大構成図である。プリント部100には、転写体たる無端状の中間転写ベルト10が設けられている。中間転写ベルト10は、3つの支持ローラ14,15,16に張架された状態で、それら支持ローラの何れか1つの回転駆動により、図中時計回り方向に無端移動せしめられる。支持ローラ14,15,16のうちの第1支持ローラ14と第2支持ローラ15との間のベルト張架部分には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4つの作像ユニット18Y,18C,18M,18Kが並んで配置されている。また第2支持ローラ15と第3支持ローラ16との間のベルト張架部分には、中間転写ベルト10上に形成されたテストトナー像の画像濃度(単位面積あたりのトナー付着量)を検知するための光学センサユニット150が取り付けられている。
図1において、作像ユニット18Y,18C,18M,18Kの上方には、レーザー書込装置21が設けられている。このレーザー書込装置21は、スキャナ300で読み取られた原稿の画像情報に基づいて、図示しないレーザー制御部によって半導体レーザー(図示せず)を駆動して書込光を出射する。そして、その書込光により、各作像ユニット18Y,18C,18M,18Kに設けられた潜像担持体たるドラム状の感光体20Y,20C,20M,20Kを露光走査して感光体に静電潜像を形成する。なお、書込光の光源としては、レーザーダイオードに限るものではなく、例えばLEDであってもよい。
図3は、4つの作像ユニット18Y,18C,18M,18Kのうちの2つを示す拡大構成図である。なお、4つの作像ユニット18Y,18C,18M,18Kは、使用するトナーの色が互いに異なる点の他はほぼ同様の構成になっているので、同図においては、各部材の符号の末尾に付すY,C,M,Kという添字を省略している。また、以下の説明においても、これら添字を必要に応じて適宜省略する。
作像ユニット18には、感光体20の周囲に、帯電装置60、現像装置61、感光体クリーニング装置63及び除電装置64が設けられている。また、感光体20に対して中間転写ベルト10を介して対向する位置には、1次転写装置62が設けられている。
帯電装置60は、帯電ローラを採用した接触帯電方式のものであり、感光体20に接触して電圧を印加することにより感光体20の表面を一様に帯電する。この帯電装置60には、非接触のスコロトロンチャージャなどを採用した非接触帯電方式のものも採用できる。
現像装置61では、磁性キャリアと非磁性トナーからなる二成分現像剤を使用している。なお、現像剤としては一成分現像剤を使用してもよい。この現像装置61は、現像ケース70内に設けられた攪拌部66と現像部67とに大別できる。攪拌部66では、二成分現像剤(以下、単に「現像剤」という)が攪拌されながら搬送されて現像剤担持体としての後述する現像スリーブ65上に供給される。この攪拌部66は、平行な2本のスクリュー68が設けられており、2本のスクリュー68の間には、両端部で互いが連通するように仕切るための仕切り板が設けられている。また、現像ケース70には現像装置61内の現像剤のトナー濃度を検出するためのトナー濃度センサ71が取り付けられている。
一方、現像部67には、自らの周面の一部を現像ケース70の開口を通じて感光体20に対して所定の間隙を介して対向させながら回転駆動する現像スリーブ65が配設されている。現像スリーブ65内には、図示しないマグネットローラが現像スリーブ65に連れ回らないように固定配設されている。また、現像スリーブ65の表面に対しては、ドクターブレード73がその先端を近接させている。
現像装置61内においては、現像剤を2本のスクリュー68で攪拌しながら搬送循環し、現像スリーブ65に供給する。現像スリーブ65に供給された現像剤は、現像スリーブ65内に配設されたマグネットローラの発する磁力によってスリーブ表面に汲み上げられる。現像スリーブ65に汲み上げられた現像剤は、現像スリーブ65の回転に伴って搬送され、ドクターブレード73によって適正な量に規制される。なお、規制された現像剤は攪拌部66に戻される。
現像スリーブ65によって感光体20と対向する現像領域まで搬送された現像剤は、マグネットローラの発する磁力によって穂立ち状態となり、磁気ブラシを形成する。現像領域では、現像スリーブ65に印加されている現像バイアスにより、現像剤中のトナーを感光体20上の静電潜像部分に移動させる現像電界が形成される。これにより、現像剤中のトナーは、感光体20上の静電潜像部転移して静電潜像を現像する。
現像領域を通過した現像剤は、マグネットローラの磁力が弱い部分まで搬送されることで現像スリーブ65から離れて攪拌部66に戻される。このような動作の繰り返しにより、攪拌部66内のトナー濃度が薄くなると、それをトナー濃度センサ71が検出し、その検出結果に基づいて攪拌部66にトナーが補給される。
1次転写装置62としては、1次転写ローラを採用しており、中間転写ベルト10を挟んで感光体20に押し当てるようにして設置している。1次転写装置62は、ローラ形状のものでなくても、導電性のブラシ形状のものや、非接触のコロナチャージャなどを採用してもよい。
感光体クリーニング装置63は、先端を感光体20に押し当てられるように配置されたクリーニングブレード75を備えている。また、感光体20に接触する導電性のファーブラシ76も備えている。クリーニングブレード75やファーブラシ76によって感光体20から除去されたトナーは、感光体クリーニング装置63の内部に収容される。
除電ランプ等からなる除電装置64は、光を照射して感光体20の表面電位を初期化する。作像ユニット18には、感光体20に対向する電位センサ120が設けられている。この電位センサ120は、感光体20に対向するように設けられ、感光体20表面電位を検出する。
帯電装置60により、感光体20の表面は例えば−700[V]に一様帯電せしめられ、レーザー書込装置21によってレーザー光が照射された静電潜像部分の電位は、例えば−150[V]となる。これに対して、現像バイアスは例えば−500[V]であり、静電潜像と現像スリーブとの間に350[V]の現像ポテンシャルが作用する。
図1において、作像ユニット18は、感光体20の回転とともに、まず帯電装置60で感光体20の表面を一様に帯電せしめる。次いで、スキャナ300により読み取られた画像情報に基づいてレーザー書込装置21がレーザーによる書込光を発射して感光体20の表面を露光走査する。これにより、感光体20の表面に静電潜像が形成される。その後、現像装置61が静電潜像を現像してトナー像を得る。このトナー像は、1次転写装置62によって中間転写ベルト10上に1次転写される。1次転写後に感光体20の表面に残留した転写残トナーは、感光体クリーニング装置63によって除去され、その後、感光体20の表面は、除電装置64により除電されて、次の画像形成に供される。
図2において、3つの支持ローラのうち、第3支持ローラ16に対向する位置には、2次転写装置である2次転写ローラ24が設けられている。そして、中間転写ベルト10上のトナー像が記録紙5上に2次転写される際には、2次転写ローラ24が第3支持ローラ16に巻回された中間転写ベルト10部分に押し当てられて2次転写ニップを形成する。この2次転写ローラ24には、2次転写ローラ24に付着したトナーをクリーニングするローラクリーニング部91が当接している。なお、2次転写装置としては2次転写ローラ24を用いた構成でなくても、例えば転写ベルトや非接触の転写チャージャを用いた構成としてもよい。
2次転写ローラ24の記録紙5搬送方向下流側には、2つのローラ23a,23bによって張架されている無端ベルト状の搬送ベルト22が配設されている。また、搬送ベルト22のさらに搬送方向下流側には、トナー像を記録紙5に定着させるための定着装置25が設けられている。定着装置25は、加熱ローラ26に加圧ローラ27を押し当てた構成となっている。また、中間転写ベルト10の支持ローラのうち、第2支持ローラ15に対向する位置には、ベルトクリーニング装置17が設けられている。このベルトクリーニング装置17は、記録紙5に中間転写ベルト10上のトナー像を転写した後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去するためのものである。
プリント部100には、図1に示したように、給紙装置200から給紙された記録紙5を、2次転写ローラ24を介して排紙トレイ7に案内する搬送路48が設けられている。また、この搬送路48に沿う位置に、搬送ローラ49a、レジストローラ49b、排出ローラ56などが設けられている。搬送路48の下流側には、転写後の記録紙5の搬送方向を排紙トレイ7又は用紙反転装置93に切り替える切替爪55が設けられている。用紙反転装置93は、記録紙5を反転させて再び2次転写ローラ24に向けて送り出すものである。
プリント部100には、手差しトレイ6から搬送路48へ合流する手差し給紙路53も設けられ、この手差し給紙路53の上流側には、手差しトレイ6にセットされた記録紙5を一枚ずつ給紙するための給紙ローラ50及分離ローラ51が設けられている。
給紙装置200は、記録紙5を収納する複数の給紙カセット44、これらの給紙カセット44に収納された記録紙を一枚ずつ送り出す給紙ローラ42及び分離ローラ45、送り出された記録紙を給紙路46に沿って搬送する搬送ローラ47などを有している。給紙路46は、プリント部100の搬送路48に接続している。
スキャナ300は、コンタクトガラス31上に載置される原稿(図示せず)の読み取り走査を行うために、原稿照明用光源とミラーを搭載した第1及び第2の走行体33,34を往復移動させる。これらの走行体33,34により走査された画像情報は、結像レンズ35によってその後方に設置されている読取センサ36の結像面に集光され、読取センサ36によって画像信号として読込まれる。
本複写機を用いて原稿のコピーをとる場合、まず、原稿自動搬送装置400の原稿台30に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス31上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。その後、ユーザーが図示しないスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときには、原稿がコンタクトガラス31上に搬送される。そして、スキャナ300が駆動して第1走行体33および第2走行体34が走行を開始する。これにより、第1走行体33からの光がコンタクトガラス31上の原稿で反射し、その反射光が第2走行体34のミラーで反射されて、結像レンズ35を通じて読取センサ36に案内される。このようにして原稿の画像情報を読み取る。
また、ユーザーによりスタートスイッチが押されると、図示しない駆動モータが駆動し、支持ローラ14,15,16のうちの1つが回転駆動して中間転写ベルト10が回転駆動する。また、これと同時に、各作像ユニット18Y,18C,18M,18Kの感光体20Y,20C,20M,20Kも回転駆動する。その後、スキャナ300の読取センサ36で読み取った画像情報に基づいて、レーザー書込装置21から、各作像ユニット18Y,18C,18M,18Kの感光体20Y,20C,20M,20K上に書込光がそれぞれ照射される。これにより、各感光体20Y,20C,20M,20Kには、それぞれ静電潜像が形成され、現像装置61Y,61C,61M,61Kにより可視像化される。そして、各感光体20Y,20C,20M,20K上には、それぞれ、Y,C,M,Kトナー像が形成される。
このようにして形成された各色トナー像は、各1次転写ローラ62Y,62C,62M,62Kにより、順次中間転写ベルト10上に重なり合うようにそれぞれ1次転写される。これにより、中間転写ベルト10上には、各色トナー像が重なり合った合成トナー像が形成される。なお、2次転写後の中間転写ベルト10上に残留した転写残トナーは、ベルトクリーニング装置17により除去される。
また、ユーザーによりスタートスイッチが押されると、ユーザーが選択した記録紙5に応じた給紙装置200の給紙ローラ42が回転し、給紙カセット44の1つから記録紙5が送り出される。送り出された記録紙5は、分離ローラ45で1枚に分離して給紙路46に入り込み、搬送ローラ47によりプリント部100内の搬送路48まで搬送される。このようにして搬送された記録紙5は、レジストローラ49bに突き当たったところで止められる。
レジストローラ49bは、上述のようにして中間転写ベルト10上に形成されたトナー像が2次転写ローラ24に対向する2次転写部に搬送されるタイミングに合わせて回転を開始する。レジストローラ49bにより送り出された記録紙5は、中間転写ベルト10と2次転写ローラ24との間に送り込まれ、2次転写ローラ24によって中間転写ベルト10上のトナー像が記録紙5上に2次転写される。その後、記録紙5は、2次転写ローラ24に吸着した状態で定着装置25まで搬送され、定着装置25において熱と圧力によってトナー像が定着せしめられる。
定着装置25を通過した記録紙5は、排出ローラ56により排紙トレイ7に排出されスタックされる。なお、トナー像が定着された面の裏面にも画像形成を行う場合には、定着装置25を通過した記録紙5の搬送方向を切替爪55によって切り換えてから、用紙反転装置93に送り込む。記録紙5は、そこで反転して再び2次転写ローラ24に案内される。
以上の構成において、感光体20の真円度が低かったり、感光体20が偏心していたりすると、感光体20の回転に伴って感光体20と現像スリーブ65との間の現像ギャップが変動する。これにより、感光体20の回転周期に同期する周期的な画像濃度ムラが発生してしまう。
次に、実施形態に係る複写機の特徴的な構成について説明する。
図2において、本複写機は、作像手段たる作像ユニット18Y,18C,18M,18Kによって形成されたY,C,M,Kトナー像の画像濃度を検知する画像濃度検知手段たる光学センサユニット150を備えている。この光学センサユニット150は、中間転写ベルト10の周方向における全域のうち、第1支持ローラ14に対する掛け回し箇所に対し、ベルトおもて面側から所定の間隙を介して対向している。
実施形態に係る複写機は、後述する補正データ構築処理において、濃度ムラ検知用のYテストトナー像,Cテストトナー像,Mテストトナー像,Kテストトナー像を中間転写ベルト10の表面に形成する。
図4は、中間転写ベルト10と、ベルトの表面に形成された各色のテストトナー像とを示す平面図である。なお、この平面図は、鉛直方向下方から上方に向けて見上げた状態の中間転写ベルト10を示している。光学センサユニット150は、ベルト幅方向に所定の距離をおいて並ぶKフォトセンサ154Kとカラーフォトセンサ154Caとを有している。
Kテストトナー像Kpgは、中間転写ベルト10のベルト幅方向における全域のうち、Kフォトセンサ154Kに対向する領域に形成される。ベルト周方向に延在する細長い形状になっており、その長さは感光体周長よりも大きくなっている。
Yテストトナー像Ypg,Cテストトナー像Cpg,Mテストトナー像Mpgは、それぞれ、中間転写ベルト10のベルト幅方向における全域のうち、カラーフォトセンサ154Caに対向する領域に形成される。それぞれ、互いにベルト周方向のずれた位置において、ベルト周方向に延在する細長い形状で形成され、その長さは感光体周長よりも大きくなっている。
図5は、光学センサユニット(150)のKフォトセンサ154Kを中間転写ベルト10とともに示す拡大構成図である。正反射型光学センサからなるKフォトセンサ154Kは、光源たる発光素子154aKと、正反射受光素子154bKとを有している。そして、発光素子154aKから発した後、中間転写ベルト10上に形成されたKテストトナー像Kpgの表面で正反射した正反射光を、正反射受光素子154bKによって受光しながら、受光量に応じた電圧を正反射受光素子154bKから出力する。図示しない制御部は、正反射受光素子154bKからの出力電圧値の変化に基づいて、Kテストトナー像の画像濃度を検知する。
図6は、光学センサユニット(150)のカラーフォトセンサ154Caを中間転写ベルト10とともに示す拡大構成図である。マルチ反射型光学センサからなるカラーフォトセンサ154Caは、光源たる発光素子161Caと、正反射受光素子162Caと、拡散反射受光素子163Caとを有している。発光素子161Caから発した後、中間転写ベルト10上に形成されたYテストトナー像Ypg,Cテストトナー像Cpg,Mテストトナー像Mpgの表面で正反射した正反射光を、正反射受光素子162Yによって受光する。そして、正反射光の受光量に応じた電圧を正反射受光素子162Yから出力する。また、発光素子161Caから発した後、中間転写ベルト10上のYテストトナー像Ypg,Cテストトナー像Cpg,Mテストトナー像Mpgの表面で拡散反射した拡散反射光を、拡散反射受光素子163Caによって受光する。そして、拡散反射光の受光量に応じた電圧を拡散反射受光素子163Caから出力する。図示しない制御部は、正反射受光素子162Caからの出力電圧値と、拡散反射受光素子163Caからの出力電圧値とに基づいて、中間転写ベルト10上に形成されたYテストトナー像Ypg,Cテストトナー像Cpg,Mテストトナー像Mpgの画像濃度を把握する。
何れのフォトセンサ(154K,154Ca)においても、発光素子としては、発光される光のピーク波長が950[nm]であるGaAs赤外発光ダイオードが用いられている。また、受光素子としては、ピーク受光感度が800[nm]であるSiフォトトランジスタなどが用いられている。ピーク波長およびピーク受光感度はこれらに限られるものではない。フォトセンサとベルト表面との距離は5[mm]程度である。
テストトナー像の画像濃度の検知については、本複写機のように、中間転写ベルト10上で検知する態様に限られるものではない。感光体20上で検知してもよいし、記録紙上で検知してもよい。受光素子からの出力電圧値に基づいて画像濃度をどのように求めるのかについては、特開2007−33770号公報に詳しく開示されているので、説明を省略する。
図7は、Kテストトナー像について、Kフォトセンサ154Kからの出力に基づいて算出された画像濃度と、経過時間との関係を示すグラフである。図示のように、所定の期間だけ、かなり高い画像濃度が検出されているが、この期間にKテストトナー像KpgがKフォトセンサ154Kとの対向位置を通過している。つまり、前述の期間内において、Kテストトナー像Kpgのベルト移動方向における各部の画像濃度が検出されているのである。なお、図7のグラフは、次のような実験条件で得られた結果に基づいて作成されたものである。即ち、感光体20として直径100[mm]のものを用い、プロセス線速を440[mm/s]に設定し、感光体地肌部の電位を−700[V]にし、現像バイアスを500[V]に設定し、且つレーザー書込パワーを70[%]に設定した条件である。
図8は、Kテストトナー像の画像濃度と経過時間との関係を示すグラフである。図示のように、Kテストトナー像の画像濃度の検知結果は経時的に変動している。これは、Kテストトナー像の画像濃度が感光体20Kの周方向において変動していることを意味している。このような画像濃度の変動が起こるのは、感光体20Kの偏心に起因して、感光体20Kの回転角度姿勢の変化に応じて現像ギャップが変化するからである。
Kトナー像の画像濃度ムラについて説明したが、Yトナー像,Cトナー像,Mトナー像においても、感光体20Y,20C,20Mの偏心に起因してそれぞれ感光体回転周期に同期する画像濃度ムラが発生する。感光体20Y,20C,20M,20Kの偏心に起因する感光体1回転あたりの現像ギャップの変動パターンは、作像ユニット18Y,18C,18M,18Kが交換されない限り同じである。ところが、作像ユニット18Y,18C,18M,18Kが交換されると、感光体20Y,20C,20M,20Kの偏心量が交換前とは変わることから、感光体1回転あたりの現像ギャップの変動パターンが変化する。
そこで、本複写機は、作像ユニット18Y,18C,18M,18Kについてそれぞれ交換されたことを検知する交換検知手段を個別に備えている。この交換検知手段としては、例えば、作像ユニット18Y,18C,18M,18Kに搭載されたICタグのID情報を読み取るものなどを例示することができる。
また、本複写機においては、感光体20Y,20C,20M,20Kに対して、その回転軸部材に固定されて感光体と一体的に回転する図示しない感光体ギヤを介して回転駆動力を付与するようになっている。そして、感光体ギヤの回転方向における全域のうち、所定の領域にスリット又は反射鏡を設けている。また、感光体ギヤの回転周囲における所定の領域に、スリット又は反射鏡を検知するための透過型フォトセンサ又は反射型フォトセンサを配設している。そして、感光体ギヤのスリット又は反射鏡と、前述の透過型フォトセンサ又は反射型フォトセンサとの組み合わせを、感光体20Y,20C,20M,20Kについてそれぞれ所定の回転角度姿勢になったことを検知する回転角度姿勢検知手段たる感光体HP(ホームポジション)センサとして機能させている。Y,C,M,K用の感光体HPセンサは、回転する感光体20Y,20C,20M,20Kが1回転内における所定の回転角度姿勢になったときに、前述のスリット又は反射鏡を検知する。これにより、感光体20Y,20C,20M,20Kについて所定の回転角度姿勢になったタイミングを検知して、検知信号を制御部に送る。
なお、各色の感光体HPセンサとして、ロータリーエンコーダーを用いることも可能であるが、ロータリーエンコーダーは高価なものである。一方、実施形態に係る複写機に搭載されているY,C,M,K用の感光体HPセンサは、何れも、感光体20について所定の回転角度姿勢になったことだけを検知するように構成されている。かかる感光体HPセンサは、ロータリーエンコーダーに比べて安価である。
また、本複写機においては、現像スリーブ65Y,65C,65M,65Kに対して、その回転軸部材に固定されて感光体と一体的に回転する図示しないスリーブギヤを介して回転駆動力を付与するようになっている。そして、スリーブギヤの回転方向における全域のうち、所定の領域にスリット又は反射鏡を設けている。また、スリーブギヤの回転周囲における所定の領域に、スリット又は反射鏡を検知するための透過型フォトセンサ又は反射型フォトセンサを配設している。そして、スリーブギヤのスリット又は反射鏡と、前述の透過型フォトセンサ又は反射型フォトセンサとの組み合わせを、現像スリーブ65Y,65C,65M,65Kについてそれぞれ所定の回転角度姿勢になったことを検知する回転角度姿勢検知手段たるスリーブHPセンサとして機能させている。Y,C,M,K用のスリーブHPセンサは、回転する現像スリーブ65Y,65C,65M,65Kが1回転内における所定の回転角度姿勢になったときに、前述のスリット又は反射鏡を検知する。これにより、現像スリーブ65Y,65C,65M,65Kについて所定の回転角度姿勢になったタイミングであるスリーブHPタイミングを検知して、検知信号を制御部に送る。
なお、各色のスリーブ体HPセンサとして、ロータリーエンコーダーを用いることも可能であるが、上述したように、ロータリーエンコーダーは高価なものである。一方、実施形態に係る複写機に搭載されているY,C,M,K用のスリーブHPセンサは、何れも、現像スリーブについて所定の回転角度姿勢になったことだけを検知するように構成されている。かかるスリーブHPセンサは、ロータリーエンコーダーに比べて安価である。
図9は、本複写機における電気回路の一部を示すブロック図である。同図において、制御部190は、演算手段たるCPU190aと、制御プログラムなどを記憶しているROM190cと、各種データを一時的に記憶するRAM190bと、各種データを消去可能に記憶するフラッシュメモリー180dとを有している。この制御部190には、I/Oインターフェース191を介して、レーザー書込装置の制御を専用に司る光書込制御回路192、光学センサユニット150の各フォトセンサ、D/A変換器181などが接続されている。また、Y,C,M,K用の感光体HPセンサ(180Y,C,M,K)や、Y,C,M,K用の交換検知手段(183Y,C,M,K)なども接続されている。また、Y,C,M,K用のスリーブHPセンサ(189Y,C,M,K)も接続されている。
Y交換検知手段183Yは、作像ユニット18Yの交換を検知するものである。また、C交換検知手段183C,M交換検知手段183M,K交換検知手段183Kは、作像ユニット18C,18M,18Kの交換を検知するものである。
デジタルデータをアナログデータに変換するためのD/A変換器181には、Y現像電源182Y、C現像電源182C、M現像電源182M及びK現像電源182Kが接続されている。これら現像電源は、Y,C,M,K用の現像スリーブ65Y,65C,65M,65Kに対して現像バイアスをそれぞれ個別に出力するものである。
制御部190の記憶手段たるフラッシュメモリー190dには、Y現像電源182Yからの現像バイアスの出力を補正するための第1Y補正データテーブルが記憶されている。また、C現像電源182C、M現像電源182M、K現像電源182Kからの現像バイアスの出力をそれぞれ個別に補正するための第1C補正データテーブル、第1M補正データテーブル、第1K補正データテーブルも記憶されている。これらの補正データテーブルは、例えば図8に示される感光体回転周期やその整数倍の周期で発生する画像濃度ムラとは逆位相の濃度変化を発生させるための現像バイアスの出力変動パターンを発現させるためのデータを格納したものである。予めの実験により、感光体回転周期やその整数倍の周期で発生する画像濃度ムラの波形を調べた結果に基づいて構築されたものである。
回転駆動中の感光体20Yが所定の回転角度姿勢になると、Y感光体HPセンサ180Yがそのことを検知してホームポジション検知信号を制御部190に出力する。同様に、感光体20C,20M,20Kが所定の回転角度姿勢になると、C感光体HPセンサ180C、M感光体HPセンサ180M、K感光体HPセンサ180Kがそのことを検知してホームポジション検知信号を制御部190に出力する。以下、このようにホームポジション検知信号が発生するタイミングを、感光体HPタイミングという。
制御部190は、Y感光体HPセンサ180Yからホームポジション検知信号が送られてくると、Y補正データテーブルにおけるテーブル番号1の補正データを読み込んで、その結果に対応する第1テーブル用制御信号をY現像電源182Yに向けて出力する。出力された第1テーブル用制御信号はアナログ信号に変換されてから、Y現像電源182Yに入力される。そして、Y現像電源182Yは、現像スリーブ65Yに対して出力する現像バイアスの標準値を第1テーブル用制御信号に応じた値に更新する。
例えば、感光体20Yの感光体HPタイミングでは、現像ギャップが標準値よりも広がることから、−500[V]の現像バイアスの条件では画像濃度が目標濃度よりも低くなるとする。そして、その値を目標濃度にするためには、作像ユニット18Yの現像能力を変化させ得る所定の制御パラメータである現像バイアスを−490[V]にしなければならないことが予めの実験によって判明しているとする。この場合、第1Y補正テーブルのテーブル番号1には、Y現像電源182Yからの現像バイアスの標準値を−490[V]に更新するための補正データが格納されている。このため、制御部190がその補正データに基づいて第1テーブル用制御信号を出力すると、Y現像電源182Yにおける現像バイアスの標準値の設定が−490[V]に更新される。Y現像電源182Yは、現像バイアスの標準値に対して、後述する第2テーブル用制御信号で示される補正量だけシフトさせた値の現像バイアスを出力する。このため、後述する第2テーブル用制御信号で示される補正量がゼロである場合には、標準値と同じ値の現像バイアスを出力する。
また、制御部190は、Y感光体HPセンサ180Yからホームポジション検知信号が送られてきたことに基づいてY補正データテーブルにおけるテーブル番号1の補正データに対応する第1テーブル用制御信号を出力したら、次のような処理を行う。即ち、所定の時間間隔で、第1Y補正データテーブルにおける読み込みデータのテーブル番号を1つずつずらしながら補正データを読み込んで、その結果に対応する第1テーブル用制御信号をY現像電源182Yに向けて出力する。これにより、感光体回転周期で発生するY画像濃度ムラとは逆位相の濃度変化を発生させるための現像バイアスの出力変動パターンをY用の現像装置61Yで発現させる。
本複写機において、感光体20としては直径50[mm]のものが用いられている。そして、感光体20を300[mm/s]の線速で回転駆動している。このような条件で、制御部190は、1[ms]の周期で第1の補正データテーブル(例えば第1Y補正データテーブル)における読み込みデータのテーブル番号を1つずつずらしながら補正データを読み込んでいく。よって、第1の補正データテーブルには、テーブル番号1〜テーブル番号523の補正データが格納されている。
制御部190のフラッシュメモリー190dには、Y現像電源182Yからの現像バイアスの出力を補正するための第2Y補正データテーブルも記憶されている。また、C現像電源182C、M現像電源182M、K現像電源182Kからの現像バイアスの出力をそれぞれ個別に補正するための第2C補正データテーブル、第2M補正データテーブル、第2K補正データテーブルも記憶されている。これらの補正データテーブルは、現像スリーブの部品精度誤差に起因してスリーブ回転周期やその整数倍の周期で発生する画像濃度ムラとは逆位相の濃度変化を発生させるための現像バイアスの出力変動パターンを発現させるためのデータを格納したものである。予めの実験により、スリーブ回転周期やその整数倍の周期で発生する画像濃度ムラの波形を調べた結果に基づいて構築されたものである。
制御部190は、YスリーブHPセンサ189Yからホームポジション検知信号が送られてくると、第2Y補正データテーブルにおけるテーブル番号1の補正データを読み込んで、その結果に対応する第2テーブル用制御信号をY現像電源182Yに向けて出力する。出力された第2テーブル用制御信号はアナログ信号に変換されてから、Y現像電源182Yに入力される。そして、Y現像電源182Yは、現像スリーブ65Yに対して出力する現像バイアスの値をその第2テーブル用制御信号で示される補正量だけシフトさせる。
例えば、現像スリーブ65YのスリーブHPタイミングでは、現像ギャップが標準値よりも広がることから、−500[V]の現像バイアスの条件では画像濃度が目標濃度よりも低くなるとする。そして、その値を目標濃度にするためには、作像ユニット18Yの現像能力を変化させ得る所定の制御パラメータである現像バイアスを−1[V]だけシフトさせなければならないことが予めの実験によって判明しているとする。この場合、第2Y補正テーブルのテーブル番号1には、Y現像電源182Yからの現像バイアスの出力を−1[V]だけシフトさせるための補正データが格納されている。このため、制御部190がその補正データに基づいて第2テーブル用制御信号を出力すると、Y現像電源182Yにおける現像バイアスの出力値が標準値よりも第2テーブル用制御信号に応じた補正量だけシフトした値になる。
制御部190は、Y感光体HPセンサ180Yからホームポジション検知信号が送られてきたことに基づいて第2Y補正データテーブルにおけるテーブル番号1の補正データに対応する第2テーブル用制御信号を出力したら、次のような処理を行う。即ち、所定の時間間隔で、第2Y補正データテーブルにおける読み込みデータのテーブル番号を1つずつずらしながら補正データを読み込んで、その結果に対応する第2テーブル用制御信号をY現像電源182Yに向けて出力する。これにより、スリーブ回転周期で発生するY画像濃度ムラとは逆位相の濃度変化を発生させるための現像バイアスの出力変動パターンをY用の現像装置61Yで発現させる。
本複写機において、現像スリーブ65としては直径20[mm]のものが用いられている。そして、現像スリーブ65を450[mm/s]の線速で回転駆動している。このような条件で、制御部190は、1[ms]の周期で第2の補正データテーブル(例えば第2Y補正データテーブル)における読み込みデータのテーブル番号を1つずつずらしながら補正データを読み込んでいく。よって、第2の補正データテーブルには、テーブル番号1〜テーブル番号139の補正データが格納されている。
なお、第1の補正データテーブルに基づいて現像バイアスの出力を変化させる第1出力制御処理と、第2の補正データテーブルに基づいて現像バイアスの出力を変化させる第1出力制御処理とは、互いに独立して実行される。
Y用の現像バイアスの制御について説明したが、C,M,K用の現像バイアスについても制御部190は同様の第1出力制御処理を行う。なお、制御信号としてPWM信号を送信させるように制御部190を構成した場合には、D/A変換器181を省略することが可能である。但し、この場合、第1テーブル用制御信号や第2テーブル用制御信号を現像電源に出力する代わりに、次のようにする必要がある。即ち、標準値に対し、第1の補正データテーブルに基づく補正量と、第2の補正データテーブルに基づく補正量とを加算した量でシフトさせた値を、PWM信号として出力させるように、制御部190を構成する必要がある。
制御部190は、Y,M,C,Kの各色についてそれぞれ、作像ユニット(18Y,C,M,K)の交換が検知されると、補正データ構築処理を実施するようになっている。図10は、制御部190によって実施される補正データ構築処理の処理フローの一部を示すフローチャートである。補正データ構築処理は、各色についてそれぞれ個別に行われる。例えば、Y用の作像ユニット18Yの交換がY交換検知手段183Yによって検知された場合、制御部190は、第1Y補正データテーブル及び第2Y補正データテーブルを新たに構築するための補正データ構築処理を実施する。
補正データ構築処理では、作像ユニットの交換が検知されるまで待機される(ステップ1でN:以下、ステップをSと記す)。そして、作像ユニットの交換が検知されると(S1でY)、中間転写ベルト10上にテストトナー像を形成する(S2)。このテストトナー像の形成開始タイミングは、感光体HPタイミングから所定時間だけ遅れたタイミングに決定される。これにより、例えば、感光体HPタイミングで、テストトナー像の長手方向における全域のうち、先端部が現像領域に進入して現像される。
制御部190は、次に、フォトセンサ(154K、154Ca)からの出力に基づいて、テストトナー像の長手方向における各部の画像濃度を把握してその結果をRAM190bに一時記憶する。これにより、感光体HPタイミングを基準にする感光体回転周期の画像濃度ムラパターンを得たら、その画像濃度ムラと逆位相の濃度ムラを発現させるための現像バイアスの出力変動パターンを解析する。そして、解析結果に基づいて、第1の補正データテーブルを構築して(S4)、フラッシュメモリー190d内の第1の補正データテーブルを新たに構築したものに更新する(S5)。
このようにして第1の補正データテーブルを構築したら、次に、第2の補正データテーブルを構築する。具体的には、新たに構築した第1の補正データテーブルと、感光体HPタイミングとに基づいて現像バイアスの第1出力制御処理を行いながら、中間転写ベルト10上にテストトナー像を形成する。このテストトナー像は、現像スリーブ65の周長よりも若干長めの大きさで形成される。また、このテストトナー像の形成開始タイミングは、スリーブHPタイミングから所定時間だけ遅れたタイミングに決定される。これにより、例えば、スリーブHPタイミングで、テストトナー像の長手方向における全域のうち、先端部が現像領域に進入して現像される。
制御部190は、次に、フォトセンサ(154K、154Ca)からの出力に基づいて、テストトナー像の長手方向における各部の画像濃度を把握してその結果をRAM190bに一時記憶する。これにより、スリーブHPタイミングを基準にするスリーブ回転周期の画像濃度ムラパターンを得たら、その画像濃度ムラと逆位相の濃度ムラを発現させるための現像バイアスの出力変動パターンを解析する。そして、解析結果に基づいて、第2の補正データテーブルを構築して、フラッシュメモリー190d内の第2の補正データテーブルを新たに構築したものに更新する。
かかる構成においては、第1補正データテーブルや第2補正データテーブルから読み込んだ補正データに従って、現像バイアスの出力を感光体20の回転角度姿勢と現像スリーブ65の回転角度姿勢との両方に対応する値に制御する。これにより、感光体20の回転周期で発生する周期的な画像濃度ムラと、現像スリーブ65の回転周期で発生する画像濃度ムラとの両方を抑えることができる。
また、実施形態に係る複写機においては、作像手段18の交換によって感光体20及び現像スリーブ65が交換された場合であっても、補正データ構築処理の実施により、補正データテーブルを適切なものに更新する。具体的には、第1の補正データテーブルを交換後の感光体20の部品精度誤差に対応したものに更新する。また、第2の補正データテーブルを交換後の現像スリーブ65の部品精度誤差に対応したものに更新する。よって、交換後にも、交換前の感光体20の部品精度誤差に対応する第1の補正データテーブルや、交換前の現像スリーブ65の部品精度誤差に対応する第2の補正データテーブルを使い続けることに起因して現像バイアスを不適切に制御してしまうことによる画像濃度ムラの悪化を回避することができる。
感光体20の偏心に起因する周期的な画像濃度ムラは、感光体1回転周期で1周期分のサインカーブを描く波形で発生するものであり、これは、感光体20の部品精度の誤差に起因する周期的な画像濃度ムラの1つにすぎない。感光体20の部品精度の誤差に起因する周期的な画像濃度ムラとしては、その他に、感光体20の真円度の誤差に起因するものなどがある。そして、それらは、感光体20の回転周期の2倍、3倍、4倍・・・・n倍の周期で1周期分のサインカーブを描く波形で発生する。
また、現像スリーブ65の偏心に起因する周期的な画像濃度ムラは、現像スリーブ1回転周期で1周期分のサインカーブを描く波形で発生するものであり、これは、現像スリーブ65の部品精度の誤差に起因する周期的な画像濃度ムラの1つにすぎない。現像スリーブ65の部品精度の誤差に起因する周期的な画像濃度ムラとしては、その他に、現像スリーブ65の真円度の誤差に起因するものなどがある。そして、それらは、現像スリーブ65の回転周期の2倍、3倍、4倍・・・・n倍の周期で1周期分のサインカーブを描く波形で発生する。
上述した補正データ構築処理において、1つ目のテストトナー像について検出される濃度変動パターンの波形は、次のような複数の波形が重畳されたものである。即ち、感光体20の部品精度誤差に起因して感光体回転周期の1倍〜n倍の周期で発生する画像濃度ムラの波形や、現像スリーブ65の部品精度誤差に起因して現像スリーブ回転周期の1倍〜n倍の周期で発生する画像濃度ムラの波形などが重畳されたものである。
また、2つ目のテストトナー像について検出される濃度変動パターンの波形は、次のような複数の波形が重畳されたものである。即ち、現像スリーブ65の部品精度誤差に起因して現像スリーブ回転周期の1倍〜n倍の周期で発生する画像濃度ムラの波形が重畳されたものである。
本複写機において、感光体20の回転位相と、現像スリーブ65の回転位相とは、互いに全く無関係であり、それら回転位相の関係はプリントジョブ毎に異なったものになる。例えば、あるプリントジョブでは、それら2つの回転位相が所定の関係にあるとする。しかし、そのプリントジョブが終了する際には、感光体20と現像スリーブ65とが互いに微妙に異なったタイミングで回転停止する。そして、次のプリントジョブ開始時には、感光体20と現像スリーブ65とが互いに異なった加速度で回転を開始することから、それらの回転位相の関係は先のプリントジョブにおける関係とは異なってくる。このため、作像ユニットが交換されていなくても、1つ目のテストトナー像について検出される濃度変動パターンの波形は、感光体20と現像スリーブ65との回転位相の関係に応じて異なったものになる。
制御部190は、感光体20の部品精度誤差に起因して感光体回転周期の1倍〜n倍の周期で発生する画像濃度ムラの波形を、次のようにして抽出するようになっている。即ち、1つ目のテストトナー像について検出された濃度変動パターンの波形にFFT処理(高速フーリエ変換処理)を施すことで、その波形から感光体回転周期の1倍〜n倍の周期で発生する画像濃度ムラの波形を抽出する。
図11は、補正データ構築処理にて1つ目のテストトナー像について検出された濃度変動パターンの波形の一例を示すグラフである。この波形に対してFFT処理を施して、感光体回転周期の1倍〜5倍の周期で発生する画像濃度ムラの波形を抽出すると、図12に示されるようになる。図12のグラフの例では、感光体回転周期の1倍〜5倍の周期の波形だけを抽出しているが、それらに加えて、6倍以上の周期の波形を抽出することも可能である。但し、高周波の波形は、現像電源(182Y,C,M,K)によって再現することが困難である。
具体的には、現像電源(182Y,C,M,K)に対して、所定のタイミング(以下、基準タイミング)を基準にして、現像バイアスの出力を所定の周期でサインカーブ状に変化させるための制御信号を連続的に出力したとする。この制御信号を受けた現像電源からの出力値が、サインカーブ状の波形の基準位置を基準タイミングで発生させるパターンになれば、入力信号と出力信号との位相誤差はゼロである。入力信号のサインカーブの周期が比較的長い場合には、その位相誤差をほぼゼロにすることが可能である。ところが、入力信号のサインカーブの周期が短くなるにつれて、その位相誤差(基準タイミングと波形の基準位置とのずれ量)が大きくなっていく。
また、制御信号が現像バイアスの変動パターンの波形の振幅をAにするものである場合に、実際に現像電源から出力される現像バイアスの変動パターンの波形の振幅であるA’がAと全く同じ値であたったとする。この場合、入力信号の振幅に対する出力信号の振幅の再現率(A’/A×100)は100[%]である。入力信号のサインカーブの周期が比較的長い場合には、再現率をほぼ100[%]にすることが可能である。ところが、入力信号のサインカーブの周期が短くなるにつれて、再現率が徐々に低下していく。つまり、狙いの振幅に対して、実際の出力の振幅が小さくなっていく。
図13は、本発明者らが行った実験によって得られた再現率[%]と位相誤差[°]と次数との関係を示すグラフである。次数は、サインカーブの周期の感光体回転周期に対する倍数である。図示のように、入力信号のサインカーブの周期が感光体回転周期の5倍を超えると、位相誤差が急激に大きくなり始めることがわかる。このような特性において、感光体周期の6倍以上の周期の濃度変動パターンも低減しようとすると、入力信号の高周波領域の位相誤差が大きくなり過ぎて、画像濃度ムラを却って悪化させてしまうおそれがでてくる。なお、画像形成装置の種類によっては、位相誤差が急激に大きくなり始める周期が、感光体回転周期の5倍以下、あるいは、6倍以上になることもあり得る。
制御部190は、図13に示されるグラフに鑑みて、次のような処理を行う。即ち、補正データ構築処理にて1つ目のテストトナー像について検出された濃度変動パターンの波形に対するFFT処理によって得られた感光体回転周期の1倍〜n倍の周期で発生する画像濃度ムラの波形のうち、1倍〜5倍(K=5)の周期の波形だけを採用する。そして、それらの波形を重畳した合成波形に対して、その逆位相の関係になるパターンで濃度変動を発現させるための第1の補正データテーブルを構築する。
かかる構成では、感光体回転周期で発生する画像濃度ムラに加えて、感光体回転周期の2,3,4,5倍の周期で発生する画像濃度ムラも抑えることで、感光体20の部品精度誤差に起因する画像濃度ムラをより効果的に抑えることができる。更には、感光体回転周期の6倍以上の周期で発生する画像濃度ムラについては許容することで、入力信号に高周波成分の波形を含めてしまうことに起因する位相誤差や再現率低下による画像濃度ムラの悪化の発生を回避することができる。
また、制御部190は、補正データ構築処理にて2つ目のテストトナー像について検出された濃度変動パターンの波形に基づいて、次のような処理を行う。即ち、その波形に対するFFT処理によって得られたスリーブ回転周期の1倍〜n倍の周期で発生する画像濃度ムラの波形のうち、1倍〜K倍の周期の波形だけを採用する。そして、それらの波形を重畳した合成波形に対して、その逆位相の関係になるパターンで濃度変動を発現させるための第2の補正データテーブルを構築する。
かかる構成では、スリーブ回転周期で発生する画像濃度ムラに加えて、スリーブ回転周期の2・・・K倍の周期で発生する画像濃度ムラも抑えることで、現像スリーブ65の部品精度誤差に起因する画像濃度ムラをより効果的に抑えることができる。更には、スリーブ回転周期のK倍を超える周期で発生する画像濃度ムラについては許容することで、入力信号に高周波成分の波形を含めてしまうことに起因する位相誤差や再現率低下による画像濃度ムラの悪化の発生を回避することができる。
補正データ構築処理において、濃度変動パターンの波形を相殺し得る現像バイアスの出力変動パターンのアルゴリズムは、次式によって表すことができる。
「Vb=Vbofs+{A1・sin(θ+φ1)+A2・sin(2θ+φ2)+・・・+An・sin(n・θ+φn)}」
この式において、Vbは、現像バイアスの標準値を示している。また、Vbofsは現像バイアスの補正量を示している。また、A1、A2・・・Anは、感光体回転周期の1、2、・・・n倍の周期で発生する濃度変動パターンの波形の振幅を示している。また、φ1、φ2、・・・φnは、感光体回転周期の1、2、・・・n倍の周期で発生する濃度変動パターンの波形の位相を示している。θは、感光体20の回転角度を示している。
振幅Aは、周期に応じて再現率の特性が異なるため、その特性に応じた補正を行う必要がある。この補正を反映させた現像バイアスVbの関係式は、次のようになる。
「Vb=Vbofs+{G1・A1・sin(θ+φ1)+G2・A2・sin(2θ+φ2)+・・・+Gn・An・sin(n・θ+φn)}」
この式において、G1、G2、G3は、感光体回転周期の1、2、・・・n倍の周期で発生する濃度変動パターンの波形の振幅に応じた振幅制御ゲインを示している。
また、重畳変動パターンの振幅に応じた特性を反映させるための補正も加えた現像バイアスの関係式は、次のようになる。
「Vb=Vbofs+Gb・{G1・A1・sin(θ+φ1)+G2・A2・sin(2θ+φ2)+・・・+Gn・An・sin(n・θ+φn)}」
この式において、Gbは、重畳変動パターンの振幅に応じた現像バイアスゲインを示している。
制御部190は、この式に基づいて、第1の補正データテーブルや第2の補正データテーブルを構築するようになっている。かかる構成では、制御補正分全体にゲインを乗算して補正データテーブルを構築することにより、最適な補正条件で現像バイアスを変調制御して画像濃度ムラを低減することができる。
図14は、第1の補正データテーブル(例えば第1Y補正データテーブル)を示す模式図である。制御部190は、図示のように、感光体HPタイミングで第1の補正データテーブルにおけるテーブル番号1の補正データを読み込む。そして、その結果に基づいて現像バイアスの第1テーブル用制御信号を出力する。この処理が第1の補正データテーブルを用いる第1出力制御処理である。
図15は、第2の補正データテーブル(例えば第2Y補正データテーブル)を示す模式図である。制御部190は、図示のように、スリーブHPタイミングで第2の補正データテーブルにおけるテーブル番号1の補正データを読み込む。そして、その結果に基づいて現像バイアスの第2テーブル用制御信号を出力する。この処理が第2の補正データテーブルを用いる第1出力制御処理である。
第2の補正データテーブルを用いる第1出力制御処理において、回転駆動中の現像スリーブ65の各周回においてスリーブホームポジション信号が適切に検知されているとする。この場合、図16に示されるように、各周回において、スリーブHPタイミングの直前のタイミングで最終のテーブル番号139の補正データが読み込まれて現像バイアスの出力が補正される。そして、その直後のスリーブHPタイミングで最初のテーブル番号0の補正データが読み込まれて現像バイアスの出力が補正される。このように、各周回でスリーブホームポジション信号が適切に検知されている場合には、テーブル番号0、1、2、3・・・139、0、1、2、3・・・139、という順で補正データが適切に読み込まれていく。
これに対し、回転駆動中の現像スリーブ65における何れかの周回において、ノイズなどの突発的な原因によってスリーブホームポジション信号が検知されなかったとする。例えば、図17に示されるように、2周目のスリーブホームポジション信号が検知されなかったとする。この場合、2周目の現像バイアスの補正が全くなされずに、テーブル番号139の補正データに対応する値の現像バイアスが出力され続けることになる。つまり、2周目において、現像スリーブ65の部品精度誤差に起因する画像濃度ムラを抑えることができなくなってしまう。
そこで、制御部190は、図18に示されるように、現像スリーブ65の回転駆動中に所定姿勢タイミングたるスリーブHPタイミングを検知しない期間が所定の第1閾値を超えた場合には、スリーブHPタイミングについて検知されたものとみなす。そして、仮想検知タイミングを設定し、第1出力制御処理の代わりに、その仮想検知タイミング及び第2の補正データテーブルに基づいて現像バイアスの出力を制御する第2出力制御処理を実施する。
また、第1の補正データテーブルについても、同様の第2出力制御処理を実施する。具体的には、感光体20の回転駆動中に所定姿勢タイミングたる感光体HPタイミングを検知しない期間が所定の第1閾値を超えた場合には、感光体HPタイミングについて検知されたものとみなして仮想検知タイミングを設定する。そして、第1出力制御処理の代わりに、その仮想検知タイミング及び第1の補正データテーブルに基づいて現像バイアスの出力を制御する。
なお、上述したように、感光体回転周期(523msec)はスリーブ回転周期(139msec)よりも長いことから、感光体に対応する第1の補正データテーブルの第1閾値は、現像スリーブに対応する第2の補正データテーブルの第1閾値よりも長く設定されている。具体的には、例えば第1の補正データテーブルの第1閾値は525[msec]に設定されているのに対し、第2の補正データテーブルの第2閾値は141[msec]に設定されている。
実施形態に係る複写機では、感光体20についての回転角度姿勢検知手段として、感光体20について所定の回転角度姿勢になったことだけを検知する感光体HPセンサを用いる。これにより、高価なロータリーエンコーダーを用いる構成に比べて安価なコストで、感光体20の部品精度誤差に起因する周期的な画像濃度ムラの発生を抑えることができる。
また、実施形態に係る複写機では、現像スリーブ65についての回転角度姿勢検知手段として、現像スリーブ65について所定の回転角度姿勢になったことだけを検知するスリーブHPセンサを用いる。これにより、高価なロータリーエンコーダーを用いる構成に比べて安価なコストで、現像スリーブ65の部品精度誤差に起因する周期的な画像濃度ムラの発生を抑えることができる。
また、実施形態に係る複写機においては、突発的な原因によって感光体20又は現像スリーブ65についてHPタイミングが検知されなかった周回が発生すると、HPタイミングを検知しない期間が所定の第1閾値を超えることから、仮想検知タイミングが設定される。この仮想検知タイミングは、所定周期毎に発生するHPタイミングよりも少し遅れたタイミングになる。仮想検知タイミングが設定されると、現像バイアスの出力を制御する処理が第1出力制御処理から第2出力制御処理に切り替えられる。そして、第2出力制御処理では、HPタイミングよりも少し遅れた仮想検知タイミングを基準にして補正データテーブルの読み込みが開始されることから、現像バイアスの出力を補正するタイミングが適正タイミングよりも少し遅れる。但し、出力を全く補正しない場合よりは、感光体20や現像スリーブ65の部品精度誤差に起因する周期的な画像濃度ムラの発生を抑えることが可能である。よって、HPタイミングを検知できなかった周回が発生しても、その周回における周期的な画像濃度ムラを低減することができる。
突発的な原因によってHPタイミングを検出することができなかった周回が、単発で発生する場合には、上述した第2出力制御処理の実施によってその周回における周期的な画像濃度ムラを有効に低減することができる。しかしながら、HPタイミングを検出することができなかった周回が連続して発生する場合には、それら連続する周回で第2出力制御処理を実施し続けると、周期的な画像濃度ムラを却って悪化させてしまうおそれがでてくる。これは、周回を重ねていく毎に、補正データを読み込むタイミングの適正タイミングからのずれ量が大きくなっていくからである。
第2出力制御処理において、周回を重ねていく毎に、補正データを読み込むタイミングの適正タイミングからのずれ量が大きくなっていく理由について詳述する。300[mm/s]の線速で回転駆動される直径50[mm]の感光体20の回転周期は、523.6[ms]である。また、450[mm/s]の線速で回転駆動される直径20[mm]の現像スリーブ65の回転周期は、139.6[ms]である。これらに対し、感光体20に対応する第1の補正データテーブルや、現像スリーブ65に対応する第2の補正データテーブルを用いた出力制御処理において、補正データの読み込み周期は1[ms]である。よって、感光体20の回転周期や、現像スリーブ65の回転周期は、補正データの読み込み周期で割り切れない。
このように、回転周期が読み込み周期で割り切れない場合には、HPタイミングが適切に検出されると、最後のテーブル番号の補正データと、初めのテーブル番号の補正データとの間において、読み込み周期が本来の1[ms]よりも短くなる。例えば、第1の補正データテーブルでは、感光体HPタイミングから約523[ms]経過後に、テーブル番号523の補正データが読み込まれる。その後、約1[ms]が経過するよりも前のタイミングで、感光体HPタイミングが発生することから、1[ms]の周期よりも短いタイミングでテーブル番号0の補正データが読み込まれる。また、第2の補正データテーブルにおいては、同様の理由により、テーブル番号139の補正データと、テーブル番号0の補正データとの間で、読み込み周期が1[ms]よりも短くなる。ところが、複数の周回に渡って第2出力制御処理を連続して実施すると、最後のテーブル番号の補正データと、最初のテーブル番号の補正データとが1[ms]の周期で読み込まれることから、本来の1[ms]の周期との誤差が加算されていく。これにより、周回を重ねていく毎に、補正データを読み込むタイミングの適正タイミングからのずれ量が大きくなっていくのである。
そこで、制御部190は、第1の補正データテーブルについて、感光体HPタイミングを検知しない期間が上述した第1閾値よりも大きい第2閾値を超えた場合には、第2出力制御処理の代わりに、第3出力制御処理を実施する。第2閾値としては、感光体回転周期の2.25倍の値(1178.1ms)が設定されている。第3出力制御処理では、現像電源に対し、第1テーブル用制御信号として、現像バイアスを一定にするためのものを出力する。これにより、第1の補正データテーブルについての処理が第2出力制御処理から第3出力制御処理に切り替えられると、現像電源において現像バイアスの標準値が一定の値に設定され続ける。
また、制御部190は、第2の補正データテーブルについて、スリーブHPタイミングを検知しない期間が上述した第1閾値よりも大きい第2閾値を超えた場合にも、第2出力制御処理の代わりに、第3出力制御処理を実施する。第2閾値としては、スリーブ回転周期の2.25倍の値(314.1ms)が設定されている。第3出力制御処理では、第2テーブル用制御信号として、補正量=ゼロを示すものを現像電源に出力する。このため、第2の補正データテーブルについての処理が第2出力制御処理から第3出力制御処理に切り替えられると、第2テーブル用制御信号による補正が行われていない標準値の現像バイアスが現像電源から出力される。
かかる構成においては、多くの周回に渡って第2出力制御処理を実施し続けることによる周期的な画像濃度ムラの悪化を回避することができる。
図19は、制御部190によって実施される現像バイアスの出力制御の処理フローを示すフローチャートである。プリントジョブがスタートすると、制御部190はこの処理フローを開始する。そして、まず、ホームポジション検知信号を検知しない期間であるHP不検知期間T0について、第1閾値T1を超えているか否かを判断する(S1)。そして、超えていない場合には(S1でN)、第1出力制御処理によって補正データテーブルの補正データを読み込んで、その結果に基づいて制御信号(第1テーブル用制御信号、第2テーブル用制御信号)を出力する(S2)。その後、プリントジョブについて終了したか否かを判断し(S3)、終了していない場合には(S3でN)、処理フローを上記S1にループさせる。また、終了している場合には(S3でY)、一連の処理フローを終了する。
一方、上記S1において、HP不検知期間T0が第1閾値T1を超えている場合には(S1でY)、次に、HP不検知期間T0について、第2閾値T2を超えているか否かを判断する(S4)。そして、超えていない場合には(S4でN)、第2出力制御処理によって補正データテーブルの補正データを読み込んで、その結果に基づいて制御信号(第1テーブル用制御信号、第2テーブル用制御信号)を出力する(S5)。その後、処理フローを上記S3に進める。
また、上記S4において、HP不検知期間T0が第2閾値T2を超えている場合には(S4でY)、第3出力制御処理によって制御信号(第1テーブル用制御信号、第2テーブル用制御信号)を出力する(S6)。その後、処理フローを上記S3に進める。
ところで、感光体20や現像スリーブ65は、それぞれ所定の駆動速度で回転駆動させていても、実際の回転速度が設計値から大きくずれてしまうことがある。これのズレには、駆動伝達系の劣化や、温度変化による部材の伸長などが関与している。感光体20の回転速度が設計値からずれると、それに伴って感光体HPタイミングの検知周期も設計値からずれることになる。また、現像スリーブ65の回転速度が設計値からずれると、それに伴ってスリーブHPタイミングの検知周期も設計値からずれることになる。
図20は、感光体20(又は現像スリーブ65)が適切な回転速度で回転している場合における感光体HP検知信号(又はスリーブHP検知信号)の出現周期Taと設計周期Tとの関係を示すグラフである。図示のように、感光体20(又は現像スリーブ65)が適切な回転速度で回転している場合には、感光体HP検知信号(又はスリーブHP検知信号)の出現周期Taと設計周期Tとが完全に同じになる。このため、第1の補正データテーブル(又は第2の補正データテーブル)の補正データが適切なタイミングで読み込まれる。
図21は、感光体20(又は現像スリーブ65)が設計値よりも速い回転速度で回転している場合における感光体HP検知信号(又はスリーブHP検知信号)の出現周期Taと設計周期Tとの関係を示すグラフである。図示のように、感光体20(又は現像スリーブ65)が設計値よりも速い回転速度で回転している場合には、感光体HP検知信号(又はスリーブHP検知信号)の出現周期Taが設計周期Tよりも短くなる。すると、第1の補正データテーブル(又は第2の補正データテーブル)のテーブル数や各補正データが実情にそぐわないものになってしまう。
図22は、感光体20(又は現像スリーブ65)が設計値よりも遅い回転速度で回転している場合における感光体HP検知信号(又はスリーブHP検知信号)の出現周期Taと設計周期Tとの関係を示すグラフである。図示のように、感光体20(又は現像スリーブ65)が設計値よりも遅い回転速度で回転している場合には、感光体HP検知信号(又はスリーブHP検知信号)の出現周期Taが設計周期Tよりも長くなる。すると、第1の補正データテーブル(又は第2の補正データテーブル)のテーブル数や各補正データが実情にそぐわないものになってしまう。
そこで、制御部190は、感光体20を所定の駆動速度で回転駆動しているときにおける感光体HPタイミングの出現周期Taと設計周期Tとの差が所定の閾値(△T1、△T2)を超えた場合には、補正データ構築処理を実施する。そして、その補正データ構築処理で、感光体20の表面に感光体周長以上の長さのテストトナー像を形成し、そのテストトナー像の画像濃度ムラを検知した結果に基づいて第1の補正データテーブルを再構築する。この際、第1の補正データテーブルのテーブル数を出現周期Taに応じた値に設定する。よって、出現周期Taが比較的長い場合には、最終のテーブル番号が523よりも大きくなることもある。また、出現周期Taが比較的短い場合には、最終のテーブル番号が523よりも小さくなることもある。
また、制御部190は、現像スリーブ65を所定の駆動速度で回転駆動しているときにおけるスリーブHPタイミングの出現周期Taと設計周期Tとの差が所定の閾値(△T1、△T2)を超えた場合にも、補正データ構築処理を実施する。そして、その補正データ構築処理で、現像スリーブ65の表面にスリーブ周長以上の長さのテストトナー像を形成し、そのテストトナー像の画像濃度ムラを検知した結果に基づいて第2の補正データテーブルを再構築する。この際、第2の補正データテーブルのテーブル数を出現周期Taに応じた値に設定する。よって、出現周期Taが比較的長い場合には、最終のテーブル番号が139よりも大きくなることもある。また、出現周期Taが比較的短い場合には、最終のテーブル番号が139よりも小さくなることもある。
かかる構成において、駆動伝達系の劣化や、温度変化による部材の伸長などによって感光体20や現像スリーブ65の回転速度が設計値からずれたとする。このようなずれが生じたことで、第1の補正データテーブルや第2の補正データテーブルが実情にそぐわないものになってしまった場合には、それを検知して補正データ構築処理を実施する。これにより、感光体20や現像スリーブ65の回転速度の変化によって実情にそぐわなくなってしまった補正データテーブルを使用することによる画像濃度ムラの悪化を回避することができる。
[第1実施例]
次に、実施形態に係る複写機に、より特徴的な構成を付加した第1実施例の複写機について説明する。
図23は、各種の電位を説明するための模式図である。帯電バイアスは、帯電ローラに印加されるバイアスである。感光体の地肌部(一様帯電後の非露光部)の電位(感光体地肌部電位Vd)は、帯電バイアスよりも少しだけ絶対値が小さくなった値になる。感光体の地肌部における全域のうち、ベタ部の静電潜像を担持させる領域に対しては、比較的強い強度のレーザー書込が行われる。これにより、感光体におけるベタ部潜像電位は、感光体地肌部電位Vdから大きく減衰してその絶対値がかなり小さくなる。また、感光体の地肌部における全域のうち、中間調の静電潜像を担持させる領域に対しては、比較的弱い強度のレーザー書込が行われる。これにより、感光体における中間調部潜像電位は、その絶対値がベタ部潜像電位の絶対値よりも大きく且つ現像バイアスVbの絶対値よりも小さい値になる。
感光体の地肌部と、現像バイアスVbとの電位差である非現像ポテンシャルが比較的小さな値から比較的大きな値に急激に変化すると、地肌部に現像剤中の磁性キャリアを付着させるキャリア付着を引き起こすおそれがある。また、非現像ポテンシャルが比較的大きな値から比較的小さな値に急激に変化すると、地肌部にトナーを付着させる地汚れを引き起こすおそれがある。
現像バイアスVbの出力を第1出力制御処理や第2出力制御処理によって制御しているときには、図中の現像バイアスVbを経時的に変化させている。その変化は、感光体回転周期やスリーブ回転周期にならった比較的緩やかなものである。このため、第1出力制御処理や第2出力制御処理によって現像バイアスVbを経時的に変化させても、現像バイアスVbの急激な変化に起因するキャリア付着や地汚れは発生しない。
ところが、第2出力制御処理から第3出力制御処理に切り替える際には、現像バイアスVbを急激に変化させてキャリア付着や地汚れを発生させるおそれがある。とくに、現像バイアスVbとして、第2出力制御処理で周期的な変動幅のピーク値を出力させている状態から、第3出力制御処理で標準値を出力させる状態に切り替わると、現像バイアスVbを急激に変化させることから、キャリア付着や地汚れを発生させる可能性が高くなる。キャリア付着や地汚れを画像中で発生させると、非常に目立ってしまう。
そこで、第1実施例の複写機の制御部190は、先行する画像の後端の現像を終了してから、後続の画像の先端の現像を開始する前のタイミングで、第2出力制御処理から第3出力制御処理に切り替える処理を実施するように、制御部190を構成している。かかる構成では、第2出力制御処理から第3出力制御処理への切り替えに起因する画像中でのキャリア付着や地汚れの発生を回避することができる。
[第2実施例]
次に、実施形態に係る複写機に、より特徴的な構成を付加した第2実施例の複写機について説明する。
図24は、第1の補正データテーブルと、第2の補正データテーブルとのうち、何れか一方だけに基づいて第2出力制御処理を実行した際の現像バイアスの経時変化を示す波形である。中央値を境にして片側と反対側とにそれぞれ振幅Aで振れるサインカーブ状の波形である。この振幅Aは、感光体20又は現像スリーブ65の偏心量に相関するものであり、波形の周期は感光体回転周期又はスリーブ回転周期と同期している。
第2出力制御処理から第3出力制御処理に切り替わると、現像バイアスの経時変化はなくなって、現像バイアスが図示の波形の中央値で安定する。このときのタイミングにより、切り替わり前後の現像バイアスの差が大きく異なってくる。
例えば、図25に示されるように、第2出力制御処理を実施しているときの現像バイアスが上記中央値になったタイミングt0で、第2出力制御処理から第3出力制御処理に切り替わったとする。この場合、切り替わり前の現像バイアス=中央値、切り替わり後の現像バイアス=中央値、になることから、切り替わり前後の現像バイアスの差がゼロになる。よって、現像バイアスの急激な変化によるキャリア付着や地汚れを引き起こすことがない。
一方、図26に示されるように、第2出力制御処理を実施しているときの現像バイアスがピーク値になったタイミングt1で、第2出力制御処理から第3出力制御処理に切り替わったとする。この場合、切り替わり前の現像バイアス=ピーク値、切り替わり後の現像バイアス=中央値、になることから、切り替わり前後の現像バイアスの差が非常に大きくなる。よって、現像バイアスの急激な変化によるキャリア付着や地汚れを引き起こす可能性がでてくる。
このような事情から、現像バイアスの急激な変化によるキャリア付着や地汚れを回避するという観点からすれば、図25に示されるように、タイミングt0で第2出力制御処理から第3出力制御処理に切り替えることが望ましい。しかしながら、タイミングt0が経過した直後に、第2出力制御処理から第3出力制御処理への切り替えの必要性が発覚した場合、ほぼ一周期に渡って、切り替えのタイミングを待つことになる。この間、第2出力制御処理を実施することによる画像濃度ムラの悪化を発生させ続けるおそれがある。
そこで、制御部190は、図27に示されるように、第2出力制御処理による現像バイアスの出力値と、上記中央値(一定の出力値)との差が、所定の閾値△Aを下回るタイミングで第2出力制御処理から第3出力制御処理に切り替える処理を実施するようになっている。かかる構成では、第2出力制御処理から第3出力制御処理への切り替えに起因する画像中でのキャリア付着や地汚れの発生を回避することができる。更には、前記差がゼロにたるタイミングで切り替える場合よりも、より迅速なタイミングで切り替えて、第2出力制御処理を実施することによる画像濃度ムラの悪化をより速いタイミングで解消することができる。
これまで、制御パラメータとして、現像バイアスを変化させて現像能力を安定化させる例について説明したが、他の制御パラメータを変化させて現像能力を安定化させてもよい。例えば、レーザー書込強度や帯電バイアスなどを変化させて現像能力を安定化させてもよい。
また、回転体たる現像スリーブ65の部品精度誤差に起因するスリーブ回転周期の画像濃度ムラを抑えるようにした例について説明したが、現像スリーブ65とは異なる回転体の部品精度誤差に起因する回転体回転周期の画像濃度ムラを抑えるようにしてもよい。この場合、スリーブHPセンサ(189Y,C,M,K)に代えて、回転体について所定の回転角度姿勢になったことを検知する回転体HPセンサを設ける必要がある。
[第1変形例]
次に、第1実施例又は第2実施例に係る複写機の第1変形例について説明する。なお、以下に特筆しない限り、第1変形例に係る複写機の構成は、第1実施例又は第2実施例に係る複写機と同様である。
第1変形例に係る複写機は、スリーブHPセンサ(189Y,C,M,K)の代わりに、回転体たる各色の帯電ローラについてそれぞれ所定の回転角度姿勢になったことだけを検知する図示しないY,M,C,K用の帯電ローラHPセンサを設けている。そして、各色の第2の補正データテーブルについては、それぞれ現像スリーブ65に対応するものではなく、帯電ローラに対応するものを記憶手段としてのフラッシュメモリー190dに記憶させている。
制御部190は、第1の補正データテーブルを用いた第1出力制御処理では、第1実施例や第2実施例と同様に、現像バイアスの出力を制御する。これに対し、第2の補正データテーブルを用いた第1出力制御処理については、次のような処理を行う。即ち、帯電ローラHPセンサから帯電ローラHP検出信号が発生したタイミングである帯電ローラHPタイミングに基づいて、帯電バイアスの出力を制御する。
[第2変形例]
次に、実施形態に係る複写機に対して構成の変形を加えた第2変形例について説明する。なお、以下に特筆しない限り、第2変形例に係る複写機の構成は、実施形態に係る複写機と同様である。
第2変形例に係る複写機は、スリーブHPセンサ(189Y,C,M,K)を設けていない。また、第2の補正データテーブルについては、フラッシュメモリー190dに記憶させておらず、補正データ構築処理を制御部190に実施させない。即ち、第2変形例に係る複写機では、感光体20の部品精度誤差に起因する感光体回転周期の画像濃度ムラだけを低減するようになっている。
第1の補正データテーブルとしては、帯電バイアス用の第1の補正データテーブル、及び現像バイアス用の第1の補正データテーブル、をフラッシュメモリー190dに記憶させている。第1出力制御処理において、制御部190は、感光体HPタイミングに基づいて現像バイアス用の第1の補正データテーブルから読み込んだ補正データに基づいて現像バイアスの出力を制御する。更に、感光体HPタイミングに基づいて帯電バイアス用の第1の補正データテーブルから読み込んだ補正データに基づいて帯電バイアスの出力を制御する。
また、制御部190は、第2出力制御処理において、仮想検知タイミングに基づいて現像バイアス用の第1の補正データテーブルから読み込んだ補正データに基づいて現像バイアスの出力を制御する。更に、仮想検知タイミングに基づいて帯電バイアス用の第1の補正データテーブルから読み込んだ補正データに基づいて帯電バイアスの出力を制御する。
図3において、感光体20は反時計回り方向に回転する。帯電装置30の帯電ローラと感光体20とが当接する帯電ニップは、現像スリーブ65と感光体20とが対向する現像領域よりも感光体回転方向の上流側に位置している。このため、帯電ニップで一様に帯電せしめられた感光体箇所が、感光体20の回転に伴って現像領域に進入するまでにはある程度の時間を要する。以下、この時間を「移動時間」という。
図28は、第2変形例に係る複写機における第2出力制御処理から第3出力制御処理への切り替えタイミングを説明するためのグラフである。制御部190は、感光体HPタイミングを検出しない期間が第2閾値を超えた場合、帯電バイアスの出力の制御を直ちに第2出力制御処理から第3出力制御処理に切り替える。以下、この切り替えのタイミングを「帯電処理切り替えタイミング」という。一方、制御部190は、現像バイアスの出力の制御については、「帯電処理切り替えタイミング」の後、「移動時間」が経過した時点で、第2出力制御処理から第3出力制御処理に切り替える。これにより、第2出力制御処理で出力された帯電バイアスによって帯電せしめられた感光体箇所に対し、第3出力制御処理で出力された現像バイアスの条件で現像処理を施してしまうといった事態の発生が回避される。つまり、第2出力制御処理で出力された帯電バイアスによって帯電せしめられた感光体箇所に対しては、第2出力制御処理で出力された現像バイアスの条件で現像処理が施される。また、第3出力制御処理で出力された帯電バイアスによって帯電せしめられた感光体箇所に対しては、第3出力制御処理で出力された現像バイアスの条件で現像処理が施される。
制御部190は、第1の補正データテーブルを用いた第1出力制御処理では、第1実施例や第2実施例と同様に、現像バイアスの出力を制御する。これに対し、第2の補正データテーブルを用いた第1出力制御処理については、次のような処理を行う。即ち、帯電ローラHPセンサから帯電ローラHP検出信号が発生したタイミングである帯電ローラHPタイミングに基づいて、帯電バイアスの出力を制御する。
[第3変形例]
次に、第1実施例に係る複写機に対して構成の変形を加えた第3変形例について説明する。なお、以下に特筆しない限り、第3変形例に係る複写機の構成は、第1実施例に係る複写機と同様である。
第3変形例に係る複写機も、スリーブHPセンサ(189Y,C,M,K)を設けていない。また、第2の補正データテーブルについては、フラッシュメモリー190dに記憶させておらず、補正データ構築処理を制御部190に実施させない。即ち、第2変形例に係る複写機では、感光体20の部品精度誤差に起因する感光体回転周期の画像濃度ムラだけを低減するようになっている。
第1の補正データテーブルとしては、帯電バイアス用の第1の補正データテーブル、及び現像バイアス用の第1の補正データテーブル、をフラッシュメモリー190dに記憶させている。第1出力制御処理において、制御部190は、感光体HPタイミングに基づいて現像バイアス用の第1の補正データテーブルから読み込んだ補正データに基づいて現像バイアスの出力を制御する。更に、感光体HPタイミングに基づいて帯電バイアス用の第1の補正データテーブルから読み込んだ補正データに基づいて帯電バイアスの出力を制御する。
また、制御部190は、第2出力制御処理において、仮想検知タイミングに基づいて現像バイアス用の第1の補正データテーブルから読み込んだ補正データに基づいて現像バイアスの出力を制御する。更に、仮想検知タイミングに基づいて帯電バイアス用の第1の補正データテーブルから読み込んだ補正データに基づいて帯電バイアスの出力を制御する。
図29は、第3変形例に係る複写機における第2出力制御処理から第3出力制御処理への切り替えタイミングを説明するためのグラフである。このグラフにおいては、横軸は、感光体20の周面方向における位置を示している。但し、この横軸の目盛については、時間と同じサイズの目盛を採用している。帯電バイアスのグラフは、現像バイアスにグラフに対して「移動時間」の分だけ位相差をもたせて示している。これにより、縦軸方向において、帯電バイアスのグラフにおける感光体の位置と、現像バイアスのグラフにおける感光体の位置とを一致させている。
制御部190は、感光体HPタイミングを検出しない期間が第2閾値を超えた場合、帯電ニップに対して感光体20における画像間領域が進入するまで待機する。以下、この待機に要した時間を「待機時間」という。制御部190は、感光体HPタイミングを検出しない期間が第2閾値を超えたタイミングから、「待機時間」が経過した後に、帯電バイアスの出力の制御を第2出力制御処理から第3出力制御処理に切り替える。これにより、画像間が帯電ニップに進入するタイミングで帯電バイアスの制御を第2出力制御処理から第3出力制御処理に切り替える。
一方、制御部190は、現像バイアスの出力の制御については、「帯電処理切り替えタイミング」の後、「待機時間」及び「移動時間」の合計が経過した時点で、第2出力制御処理から第3出力制御処理に切り替える。これにより、画像間が現像領域に進入するタイミングで現像バイアスの制御を第2出力制御処理から第3出力制御処理に切り替える。また、第2出力制御処理で出力された帯電バイアスによって帯電せしめられた感光体箇所に対し、第3出力制御処理で出力された現像バイアスの条件で現像処理を施してしまうといった事態の発生が回避される。つまり、第2出力制御処理で出力された帯電バイアスによって帯電せしめられた感光体箇所に対しては、第2出力制御処理で出力された現像バイアスの条件で現像処理が施される。また、第3出力制御処理で出力された帯電バイアスによって帯電せしめられた感光体箇所に対しては、第3出力制御処理で出力された現像バイアスの条件で現像処理が施される。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
態様Aは、回転駆動される潜像担持体(例えば感光体20)、潜像書込手段(例えばレーザー書込装置21)、及び現像手段(例えば現像装置61)を具備する作像手段(例えば作像ユニット18)を備える画像形成装置において、前記潜像担持体について、様々な回転角度姿勢のうち、所定の回転角度姿勢になったことだけを検知する回転角度姿勢検知手段(例えば感光体HPセンサ180)と、前記作像手段の現像能力を変化させ得る所定の制御パラメータ(例えば現像バイアス)について、前記潜像担持体の回転周期で発生する画像濃度ムラを低減するための補正データを記憶する記憶手段(例えばフラッシュメモリー190d)とを設けるとともに、前記潜像担持体について前記所定の回転角度姿勢になったことが検知されたタイミングである所定姿勢タイミング、及び前記補正データに基づいて、画像形成動作中における前記制御パタメータの出力を制御する第1出力制御処理を実施し、且つ、前記潜像担持体の回転駆動中に前記所定姿勢タイミングを検知しない期間が所定の閾値を超えた場合には、前記所定姿勢タイミングについての仮想検知タイミングを設定し、前記第1出力制御処理の代わりに、前記仮想検知タイミング及び前記補正データに基づいて前記制御パラメータの出力を制御する第2出力制御処理を実施する制御手段(例えば制御部190)を設けたことを特徴とするものである。
[態様B]
態様Bは、潜像担持体、潜像書込手段、及び現像手段を具備する作像手段と、前記潜像担持体に接触又は対向した状態で回転する回転体(例えば現像スリーブ65)と、前記回転体の回転角度姿勢を検知する回転角度姿勢検知手段(例えばスリーブHPセンサ189)と、前記作像手段の現像能力を変化させ得る所定の制御パラメータについて、前記回転体の回転周期で発生する画像濃度ムラを低減するための補正データを記憶する記憶手段と、前記回転角度姿勢検知手段による検知結果、及び前記補正データに基づいて、画像形成動作中における前記制御パタメータの出力を制御する制御手段とを備える画像形成装置において、前記回転角度姿勢検知手段として、前記回転体について、様々な回転角度姿勢のうち、所定の回転角度姿勢になったことだけを検知するものを用いるとともに、前記回転角度姿勢検知手段によって前記所定の回転角度姿勢になったことが検知されたタイミングである所定姿勢タイミングと、前記補正データとに基づいて前記制御パラメータの出力を制御する第1出力制御処理を実施し、且つ、前記回転体の回転駆動中に前記所定姿勢タイミングを検知しない期間が所定の閾値を超えた場合には、前記所定姿勢タイミングについての仮想検知タイミングを設定し、前記第1出力制御処理の代わりに、前記仮想検知タイミング及び前記補正データに基づいて前記制御パラメータの出力を制御する第2出力制御処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
[態様C]
態様Cは、態様Aにおいて、前記潜像担持体として、回転駆動されながら自らの表面に潜像を担持するものを用い、前記潜像書込手段として、前記潜像担持体の表面に静電潜像を書き込むものを用い、且つ、前記現像手段として、前記潜像担持体(例えば現像スリーブ65)に対して所定の間隙を介して対向する自らの表面に担持した現像剤によって前記潜像を現像してトナー像を得る現像剤担持体を具備するものを用いたことを特徴とするものである。
[態様D]
態様Dは、態様Bにおいて、前記潜像担持体として、自らの表面に潜像を担持するものを用い、前記潜像書込手段として、前記潜像担持体の表面に静電潜像を書き込むものを用い、且つ、前記現像手段として、前記潜像担持体上の潜像を現像してトナー像を得るものを用いたことを特徴とするものである。
[態様E]
態様Eは、態様C又はDにおいて、前記所定姿勢タイミングを検知しない期間が前記第1閾値よりも大きい第2閾値を超えた場合には、前記第2出力制御処理の代わりに、一定の出力値を示す一定出力データに基づいて前記制御パラメータの出力を制御する第3出力制御処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、既に説明したように、多くの周回に渡って第2出力制御処理を実施し続けることによる周期的な画像濃度ムラの悪化を回避することができる。
[態様F]
態様Fは、態様Eにおいて、先行する画像の後端の現像を終了してから、後続の画像の先端の現像を開始する前のタイミングで、前記第2出力制御処理から前記第3出力制御処理に切り替える処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、既に説明したように、第2出力制御処理から第3出力制御処理への切り替えに起因する画像中でのキャリア付着や地汚れの発生を回避することができる。
[態様G]
態様Gは、態様Eにおいて、前記補正データに基づく前記制御パラメータの出力値と前記一定の出力値との差が所定の閾値を下回るタイミングで、前記第2出力制御処理から前記第3出力制御処理に切り替える処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、既に説明したように、第2出力制御処理から第3出力制御処理への切り替えに起因する画像中でのキャリア付着や地汚れの発生を回避することができる。更には、第2出力制御処理による現像バイアスの出力値と、上記中央値(一定の出力値)との差がゼロにたるタイミングで切り替える場合よりも、より迅速なタイミングで切り替えて、第2出力制御処理を実施することによる画像濃度ムラの悪化をより速いタイミングで解消することができる。
[態様H]
態様Hは、態様A〜Gの何れかにおいて、前記作像手段によって形成されたトナー像の画像濃度を検知する画像濃度検知手段(例えば光学センサユニット150)を設けるとともに、所定の駆動速度で前記潜像担持体又は前記回転体を回転駆動しているときにおける前記所定姿勢タイミングの出現周期と設計周期との差が所定の閾値を超えた場合に、前記潜像担持体の表面にテストトナー像を前記潜像担持体又は前記回転体の周長以上の長さで形成し、前記テストトナー像にて前記潜像担持体又は前記回転体の回転方向に発生する周期的な画像濃度ムラを前記画像濃度検知手段によって検知した結果に基づいて前記補正データを再構築する補正データ構築処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、既に説明したように、潜像担持体又は回転体の回転速度の変化によって実情にそぐわなくなってしまった補正データテーブルを使用することによる画像濃度ムラの悪化を回避することができる。