JP2016126251A - 画像形成装置 - Google Patents

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Yuichiro Uematsu
勇一郎 植松
悟士 金子
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悟士 金子
平井 秀二
Hideji Hirai
秀二 平井
赤津 慎一
Shinichi Akatsu
慎一 赤津
哲也 武藤
Tetsuya Muto
哲也 武藤
桂太 後藤
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桂太 後藤
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Abstract

【課題】画像形成条件を高周波数で周期変動させることによるコストアップを回避することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】プリンタ部100によって形成した中間転写ベルト10上に形成したテストトナー像の感光体表面移動方向における画像濃度の経時変動波形をトナー付着量センサー310によるトナー付着量の検知結果に基づいて把握し、把握結果に基づいて、感光体回転周期で発生する周期的な画像濃度変動を抑えるための現像バイアス変動パターンデータを構築する構成において、前記経時変動波形に含まれる所定の周波数を超える周期変動成分を除去するために、前記経時変動波形を所定の近似変換アルゴリズムに基づいて近似波形に変換し、前記近似波形に基づいて前記変動パターンデータを構築するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は画像形成装置に関するものである。
従来より、画像形成手段に具備される回転体の回転周期で発生してしまう周期的な画像濃度変動を抑えるために、回転体の回転姿勢を検知した結果と、所定の変動パターンデータとに基づいて画像形成条件を周期変動させる画像形成装置が知られている。
例えば、特許文献1に記載の画像形成装置は、回転体としての感光体の回転振れや感度誤差に起因する感光体の回転周期で発生してしまう周期的な画像濃度変動を抑えるために、感光体の回転姿勢を回転姿勢検知センサーによって検出している。そして、所定のタイミングで画像濃度ムラ検知用のテストトナー像を形成し、そのテストトナー像において感光体の回転周期で発生している画像濃度変動を検知した結果と、感光体の回転姿勢を検知した結果とに基づいて、変動パターンデータを構築する。この変動パターンデータは、感光体の回転振れ等によって発生してしまう画像濃度変動を、画像形成条件としての現像バイアスの周期変動による画像濃度変動で相殺するためのものである。画像を形成する際には、感光体の回転姿勢を検知した結果と、その変動パターンデータとに基づいて現像バイアスを周期変動させることで、感光体の回転振れ等に起因して発生してしまう周期的な画像濃度変動を抑えることができる。
しかしながら、この画像形成装置においては、現像バイアス等の画像形成条件を高周波数で周期変動させることによってコストアップを引き起こしてしまうおそれがあった。
上述した課題を解決するために、本発明は、像担持体の表面に作像したトナー像を転写体に転写して前記転写体に画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段に具備される回転体の回転姿勢を検知する回転姿勢検知手段と、前記画像形成手段によって形成されたトナー像のトナー付着量を検知する付着量検知手段と、前記画像形成手段によって形成したテストトナー像の回転体表面移動方向における画像濃度の経時変動波形を前記付着量検知手段による検知結果に基づいて把握し、把握結果に基づいて、前記回転体の回転周期で発生する周期的な画像濃度変動を前記画像形成手段の画像形成条件の変動によって抑えるための変動パターンデータを構築するパターンデータ構築手段と、ユーザーの命令に基づく画像を前記画像形成手段によって形成するときに、前記回転姿勢検知手段による検知結果及び前記変動パターンデータに基づいて前記画像形成条件を周期変動させる周期変動手段とを備える画像形成装置において、前記経時変動波形に含まれる所定の周波数を超える周期変動成分を除去するために、前記経時変動波形を所定の近似変換アルゴリズムに基づいて近似波形に変換し、前記近似波形に基づいて前記変動パターンデータを構築するように、前記パターンデータ構築手段を構成したことを特徴とするものである。
本発明によれば、画像形成条件を高周波数で周期変動させることによるコストアップを回避することができるという優れた効果がある。
実施形態に係る複写機の概略構成図。 同複写機における画像形成部の説明図。 黒(K)色のテストトナー像を検知するための黒トナー付着量センサの一例を示す説明図。 黒色以外の色(Y、M、C)のテストトナー像を検知するためのカラートナー付着量センサの一例を示す説明図。 同複写機の制御系の要部構成の一例を示すブロック図。 実施形態に係る複写機の制御部によって実施される画像形成条件決定処理の流れを示すフローチャート。 各色のテストトナー像を異なるトナー付着量センサで検出する例を示す説明図。 各色のテストトナー像を単一のトナー付着量センサで検出する例を示す説明図。 テストトナー像を検知したトナー付着量センサの出力信号と、感光体の回転姿勢を検出するフォトインタラプタからの出力信号との関係の一例を示す説明図。 測定誤差に起因した1周目から3週目の画像濃度変動情報の違いを示すグラフ。 テストトナー像を形成したときの回転姿勢検出信号と、トナー付着量検知信号と、画像形成条件決定処理によって決定される変動パターンデータとの関係を示す説明図。 画像濃度の経時変動波形の近似波形を示すグラフ。 画像濃度の経時変動波形と、これとのフィティング率が高い近似波形とを示すグラフ。 画像濃度の経時変動波形と、これとのフィティング率が低い近似波形とを示すグラフ。 第一実施例に係る複写機の制御部によって実施される画像形成条件決定処理の流れを示すフローチャート。 第二実施例に係る複写機の制御部によって実施される画像形成条件決定処理の流れを示すフローチャート。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、タンデム型のカラーレーザー複写機(以下、単に複写機という。)の一実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る複写機の概略構成図である。同図において、符号100はプリンタ部であり、符号200はそれを載せる給紙装置であり、符号300はプリンタ部100上に取り付けるスキャナであり、符号400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。この複写機は、タンデム型で中間転写(間接転写)方式を採用する電子写真複写機である。
プリンタ部100には、その中央に、無端状ベルトからなる像担持体としての中間転写体である中間転写ベルト10が設けられている。この中間転写ベルト10は、3つの支持回転体としての支持ローラ14,15,16に掛け渡されており、第3支持ローラ16を駆動ローラとして図中時計回り方向に回転移動する。また、3つの支持ローラのうち、第1支持ローラ14と第2支持ローラ15との間に張り渡したベルト部分には、各色に対応した4つの画像形成部が対向配置されている。具体的には、ベルト移動方向に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成部18Y,18M,18C,18Kが並べて配置されたタンデム型画像形成部20が対向配置されている。タンデム型画像形成部20の上方には、露光手段としての露光装置21が設けられている。
図2は、実施形態に係る画像形成部18Y,18M,18C,18Kの説明図である。画像形成部18Y,18M,18C,18Kは、それぞれ、像担持体としてのドラム状の感光体40Y,40M,40C,40Kを有している。各感光体40Y,40M,40C,40Kの周りには、後述する帯電手段としての帯電装置、現像手段としての現像装置、電位検知手段としての電位センサ70、クリーニング手段、除電装置などがそれぞれ配置されている。
画像形成部18Y,18M,18C,18Kと対向する中間転写ベルト10の内周面側には、4つの一次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kがそれぞれ中間転写ベルト10に接触するように配設されている。一次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kは、電源から一次転写バイアスが印加される。この一次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kにより、画像形成部18Y,18M,18C,18Kで形成された各トナー像を中間転写ベルト10上に順次転写する。そして、中間転写ベルト10上には多重トナー像たる合成カラートナー像が形成される。
中間転写ベルト10を挟んでタンデム型画像形成部20の反対側には、第2の転写手段としての二次転写装置22が設けられている。この二次転写装置22においては、2つのローラ231,232間に記録材搬送部材としての無端状ベルトである二次転写ベルト24が掛け渡されている。この二次転写ベルト24は、中間転写ベルト10を介して第3支持ローラ16に押し当てられるように設けられている。この二次転写装置22により、中間転写ベルト10上のトナー像を記録材である記録シートSに転写する。
また、中間転写ベルト10の移動方向で二次転写装置22よりも下流である第2支持ローラ15の図中左側には、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置17が設けられている。
また、一次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kによる転写位置よりも中間転写ベルト回転方向下流で二次転写装置22よりも上流に、中間転写ベルト10上のトナー像のトナー付着量を検出する光学的検知手段を設けている。光学的検知手段としては、反射型の光学センサであるトナー付着量センサ310を用いている。また、中間転写ベルト10を挟んで、トナー付着量センサ310に対向する位置に、光学センサ対向ローラ311が設けられている。
また、二次転写装置22の図中左方には、記録シートS上に転写されたトナー像を定着する定着装置25が設けられている。この定着装置25は、加熱される無端状ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27が押し当てられた構成となっている。上述した二次転写装置22には、トナー像を中間転写ベルト10から記録シートSに転写後の記録シートSをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備わっている。もちろん、二次転写装置22としては、転写ローラや非接触の転写チャージャを使用してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて持たせることが難しくなる。また、本実施形態では、このような二次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム型画像形成部20と平行に、記録シートSの両面に画像を記録すべく記録シートSを反転するシート反転装置28も設けられている。
複写機を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。その後、スタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動する。
他方、コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動する。次いで、第1走行体33および第2走行体34を走行させる。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
この原稿読み取りに並行して、駆動源である駆動モータで駆動ローラ16を回転駆動させる。これにより、中間転写ベルト10が図中時計回り方向に移動するとともに、この移動に伴って残り2つの支持ローラ(従動ローラ)14,15が連れ回り回転する。
また、これと同時に、個々の画像形成部18Y,18M,18C,18Kにおいて感光体40Y,40M,40C,40Kを回転させている。この回転させている各感光体40Y,40M,40C,40K上に、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の色別の画像情報を用いてそれぞれ露光現像し、各色のトナー像(顕像)を形成する。そして、各感光体40Y,40M,40C,40K上のトナー像を中間転写ベルト10上に互いに重なり合うように順次転写して、中間転写ベルト10上に合成カラートナー像を形成する。
このような画像形成に並行して、給紙装置200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つから記録シートSを繰り出す。繰り出した記録シートSを、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送してプリンタ部100内の給紙路に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上の記録シートSを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。その後、中間転写ベルト10上の合成カラートナー像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト10と二次転写装置22との間に記録シートSを送り込む。そして、二次転写装置22で転写して記録シートS上にカラートナー像を転写する。
トナー像転写後の記録シートSは、二次転写ベルト24で搬送されて定着装置25へと送り込まれ、定着装置25で定着ベルト26と加圧ローラ27とによって熱と圧力とが加えられて転写トナー像が定着される。その後、転写トナー像が定着された記録シートSを、切換爪55で切り替えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り替えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
そして、トナー像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写ベルトクリーニング装置17で、トナー像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム型画像形成部20による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
厚紙を選択してコピーした場合には、感光体40Y,40M,40C,40Kや、中間転写ベルト10等の駆動速度が半分とする半速モードとしてもよい。駆動する順序などは同一となるが、駆動速度のみ半速となる。
次に、上述したタンデム型画像形成部20の画像形成部18Y,18M,18C,18Kについて詳しく説明する。なお、4つの画像形成部18Y,18M,18C,18Kは、それぞれ扱うトナーの色が異なる点の他はほぼ同様の構成になっているので、以下、添字を省略して説明する。
画像形成時には、感光体40は、駆動モータによって矢印A方向に回転駆動される。そして、感光体40は、その表面を帯電装置60によって一様帯電された後、露光装置21からの前述の原稿等の画像データを書込露光Lによって露光されて静電潜像が形成される。スキャナ300からの画像データに基づくカラー画像信号は、画像処理部で色変換処理などの画像処理が施され、Y、M、C、Kの各色の画像信号として露光装置21へ出力される。露光装置21は、画像処理部からの画像信号を光信号に変換し、この光信号に基づいて一様に帯電された感光体40の表面を走査して露光することで静電潜像を形成する。
現像装置61は、内部に収容されるキャリアとトナーからなる二成分現像剤を表面に担持して、感光体40との対向部まで搬送する現像剤担持体としての現像スリーブ61aを備えている。現像スリーブ61aには、電源より現像バイアスが印加されており、感光体40上の静電潜像と、現像スリーブ61aとの間に電位差である現像ポテンシャルが生じる。この現像ポテンシャルによる現像電界の作用で、現像スリーブ61a上の現像剤からのトナーが感光体40の静電潜像に転移し、静電潜像が現像されてトナー像が形成される。また、現像装置61内に収容された現像剤を攪拌搬送する現像剤搬送スクリュ61bを備えている。また、現像装置61のケースには、現像スリーブ61aから離れた側の現像剤搬送スクリュ61bの下方にトナー濃度検出手段としてのトナー濃度センサ312が配設されており、随時トナー濃度を検出することができる。
現像装置61により、感光体40上に形成されたトナー像は、上述のように中間転写ベルト10上に一次転写される。感光体40は、トナー像転写後に感光体クリーニング装置63によって残留トナーがクリーニングされ、除電装置により除電されて次の画像形成に備えられる。
また、実施形態では、回転体である感光体40の回転姿勢を検知する回転姿勢検知手段や、現像スリーブ61aの回転姿勢を検知する回転姿勢検知手段を備えている。これらの回転姿勢検知手段は、感光体40又は現像スリーブ61aの回転と一体的に周回移動する被検知体と、これが検知領域を通過するのを検知するフォトインタラプタ71とを具備している。被検知体が検知領域を通過するときの感光体40又は現像スリーブ61aの回転姿勢(位相基準回転姿勢)は予め決まっているので、被検知体がフォトインタラプタ71によって検知されたタイミングに基づいて感光体40又は現像スリーブ61aの回転姿勢が位相基準回転姿勢に位置していることを把握することができる。
実施形態の複写機には、形成する画像の色がフルカラーのときにはすべての感光体40Y,40M,40C,40Kを中間転写ベルト10表面に接触させておくフルカラーモードを備えている。さらに、黒単色のときにはK色以外の感光体40Y,40M,40Cを中間転写ベルト10の表面から離間させるモノクロモードも備えている。また、本実施形態の複写機には、スキャナで読み取った原稿画像がモノクロ画像かカラー画像かを検知して、自動的にモノクロモードとフルカラーモードとに切替るオートカラーチェンジモードも備えている。
次に、画像濃度変動を低減させるための画像形成条件を決定する画像形成条件決定処理に関する構成及び動作について説明する。
図3は、黒(K)色のテストトナー像を検知するための黒トナー付着量センサ310Kの一例を示す説明図である。同図において、黒トナー付着量センサ310Kは、発光ダイオード(LED)等からなる発光素子310aと、正反射光を受光する受光素子310bとから構成されている。発光素子310aは、中間転写ベルト10の外周面上に光を照射し、この照射光は中間転写ベルト10で反射される。受光素子310bは、この反射光のうちの正反射光を受光する。
図4は、黒色以外の色(Y、M、C)のテストトナー像を検知するためのカラートナー付着量センサ310Y,310M,310Cの一例を示す説明図である。同図において、カラートナー付着量センサ310Y,310M,310Cは、発光ダイオード(LED)等からなる発光素子310aと、正反射光を受光する受光素子310bと、拡散反射光を受光する受光素子310cとから構成されている。発光素子310aは、黒トナー付着量センサ310Kの場合と同様、中間転写ベルト10の外周面上に光を照射し、この照射光は、中間転写ベルト10で反射される。正反射受光素子310bは、この反射光のうちの正反射光を受光し、拡散反射光受光素子310cは、反射光のうち拡散反射光を受光する。
実施形態では、発光素子として、発光される光のピーク波長が950nmであるGaAs赤外発光ダイオードを用いており、受光素子としては、ピーク受光感度が800nmであるSiフォトトランジスタなどを用いているが、ピーク波長およびピーク受光感度がこれと異なるものでも構わない。また、黒トナー付着量センサ310K及びカラートナー付着量センサ310Y,310M,310Cは、中間転写ベルト10の外周面との間に5mm程度の距離(検出距離)を設けて配設されている。
実施形態では、トナー付着量センサ310Y,310M,310C,310Kを中間転写ベルト10のおもて面に対向配設し、中間転写ベルト10に形成されたテストトナー像のトナー付着量を検出し、この検出結果に基づいて作像条件を決定する。なお、感光体40Y,40M,40C,40Kや二次転写ベルト24上にテストトナー像を形成して、これを検出するように配設されていても構わない。
トナー付着量センサ310Y,310M,310C,310Kからの出力信号は、所定の付着量変換アルゴリズムによってトナー付着量に変換され、後述の制御部へ送られる。
図5は、実施形態に係る複写機における制御系の要部構成の一例を示すブロック図である。
実施形態の複写機は、例えばマイクロコンピュータ等のコンピュータ装置で構成された制御部500を備えている。制御部500は、入力される画像情報に応じて、各画像形成部18Y,18M,18C,18Kの駆動制御を行うとともに、後述する変動パターンデータを構築するパターンデータ構築手段や、周期変動手段として機能する。
制御部500は、例えばCPU(Central Processing Unit)501と、CPU501にバスライン502を介して接続された記憶手段としてのROM(Read Only Memory)503及びRAM(Random Access Memory)504と、I/Oインターフェース部505とを備えている。CPU501は、予め組み込まれているコンピュータプログラムである制御プログラムを実行することにより、各種演算や各部の駆動制御を実行する。ROM503は、コンピュータプログラムや制御用のデータ等の固定的データを予め記憶する。RAM504は、各種データを書き換え自在に記憶するワークエリア等として機能する。
制御部500には、I/Oインターフェース部505を介して、プリンタ部100のトナー付着量センサ310、トナー濃度センサ312、電位センサ70等の各種センサが接続されている。ここで、プリンタ部100のトナー付着量センサ310、トナー濃度センサ312、電位センサ70等の各種センサは、各センサで検出した情報を制御部500に送り出す。また、制御部500には、I/Oインターフェース部505を介して、帯電装置60に所定の帯電バイアスを印加する帯電バイアス設定部(帯電バイアス電源)330と、現像装置61の現像スリーブ61aに所定の現像バイアスを印加する現像バイアス設定部(現像バイアス電源)340とが接続されている。更に、制御部500には、I/Oインターフェース部505を介して、一次転写装置(一次転写ローラ)62Y,62M,62C,62Kに所定の一次転写バイアスを印加する一次転写バイアス設定部(一次転写バイアス電源)350と、露光装置21の光源に所定の電圧を印加したり所定の電流を供給したりする露光設定部(光源電源部)360とが接続されている。更に、制御部500には、I/Oインターフェース部505を介して、給紙装置200、スキャナ300、原稿自動搬送装置400が接続されている。制御部500は、画像形成条件(例えば、帯電バイアス、現像バイアス、露光量、一次転写バイアスなど)の制御目標値に基づいて、各部を制御する。
ROM503又はRAM504には、例えば、トナー濃度センサ312の出力値に対する単位面積当りのトナー付着量への換算に関する情報を記憶した換算テーブル(図示せず)が格納されている。また、ROM503又はRAM504には、実施形態に係る複写機における画像形成部18Y,18M,18C,18Kの画像形成条件(例えば、帯電バイアス、現像バイアス、露光量、一次転写バイアス)の制御目標値が格納されている。
なお、制御部500は、マイクロコンピュータ等のコンピュータ装置ではなく、例えば実施形態の複写機における制御用に作製された半導体回路素子としてのICなどを用いて構成してもよい。
図6は、制御部500によって実施される画像形成条件決定処理の流れを示すフローチャートである。なお、以下、感光体周期の画像濃度変動を低減する場合を例に挙げて説明するが、現像スリーブ等の他の回転体の周期で生じる周期的な画像濃度変動を低減する場合でも同様である。
実施形態における画像形成条件決定処理では、画像形成部18Y,18M,18C,18Kにより予め決められた画像濃度変動検出用のテストトナー像を中間転写ベルト10上に形成し、そのトナー付着量をトナー付着量センサ310で検出する。その後、その検出結果に基づいて感光体40Y,40M,40C,40Kの回転周期で発生する周期的な画像濃度変動の情報を測定する。そして、測定した画像濃度変動の情報に基づいて当該画像濃度変動を低減させる画像形成条件を決定する。
具体的に説明すると、まず、所定の画像形成条件決定処理を実行する条件が満たされたときに処理実行フラグを立て(S1)、これにより画像形成条件決定処理が開始される。この条件が満たされるタイミング、すなわち、処理実行フラグを立つタイミングとしては、例えば、感光体を初めて装着したタイミング、既装着の感光体に代えて新しい感光体を装着したタイミング、既装着の感光体を一旦取り外して再び装着したタイミングなどが挙げられる。また、上述した回転姿勢検知手段が検知する感光体40Y,40M,40C,40Kの回転姿勢が既定値以上変化したタイミングや、温度センサ等の環境情報検知手段の検知結果が既定値以上変化したタイミングなどであってもよい。
処理実行フラグを立つと(S1のYes)、まず、4つの画像形成部18Y,18M,18C,18Kをすべて用いて、中間転写ベルト10上に画像濃度変動検出用のテストトナー像を形成する(S2)。各画像形成部18Y,18M,18C,18Kが形成するテストトナー像は、その副走査方向長さが、少なくとも感光体40の周長よりも長い帯状のベタ画像で構成される。実施形態では、各色のテストトナー像TPY,TPM,TPC,TPKの副走査方向長さが、感光体周長の2倍以上に設定されている。
実施形態では、図7に示されるように、色ごとに異なるトナー付着量センサ310Y,310M,310C,310Kを主走査方向に沿って配置し、各色のテストトナー像TPY,TPM,TPC,TPKを並行して検出することができる。したがって、図8に示されるように、単一のトナー付着量センサ310により各色のテストトナー像TPY,TPM,TPC,TPKを順次検出する構成と比較して、テストトナー像の形成及び検出に要する時間を短くすることができる。ただし、トナー付着量センサの数が多いので、部品コストの面では、図8に示される構成の方が有利である。
制御部は、各色のテストトナー像TPY,TPM,TPC,TPKのトナー付着量を反映するトナー付着量センサ310Y,310M,310C,310Kからの出力値を所定の時間間隔でサンプリングしていく(S3)。各色のテストトナー像TPY,TPM,TPC,TPKは、それぞれ、その副走査方向先端から後端にかけて一様なベタ画像となるように形成されたものである。感光体40Y,40M,40C,40Kに回転振れが存在したり、感光体の副走査方向感度ムラが存在したりすると、感光体の回転周期で、テストトナー像に周期的な画像濃度変動が表れる。この画像濃度変動は、トナー付着量センサ310Y,310M,310C,310Kの検出結果から把握することができる。
制御部は、テストトナー像TPY,TPM,TPC,TPKのトナー付着量検出と並行して、感光体40Y,40M,40C,40Kの回転姿勢(位相基準回転姿勢)を、フォトインタラプタ71Y,71M,71C,71Kによって検出する(S40)。
図9は、テストトナー像を検知したトナー付着量センサ310の出力信号と、感光体40の回転姿勢を検出するフォトインタラプタ71からの出力信号との関係の一例を示す説明図である。図9の例では、感光体周長の3周期分の信号例を示している。同図において、トナー付着量センサ310の出力信号は、感光体回転姿勢を示すフォトインタラプタ71の出力信号の周期と同じ周期で変動している。ここでは、感光体周期の画像濃度変動を例に挙げているが、現像スリーブ61a等の他の回転体の周期の画像濃度変動の場合も同様である。この場合、現像スリーブ61aの被検部を検知するフォトインタラプタを具備する回転姿勢検知手段からの出力を参照する。
実施形態では、トナー付着量センサ310Y,310M,310C,310Kで検出したテストトナー像TPY,TPM,TPC,TPKの画像濃度変動の情報が制御部500に送られる。また、フォトインタラプタ71Y,71M,71C,71Kによって検出した感光体40Y,40M,40C,40Kの回転姿勢の情報も制御部500に送られる。制御部500は、感光体回転姿勢の情報を用いて、画像濃度変動情報(トナー付着量検出結果)を、感光体周期ごとに切り分ける処理を行う(S5)。例えば、図9の例において、フォトインタラプタ71の出力信号が立ち下がるタイミングを基準にして、感光体一周期の時間に相当する信号を取り出すと、感光体周長周期の画像濃度変動の情報を3周分取得することができる。
このようにして得られる複数周期分の画像濃度変動情報は、図10に示されるように、様々な要因に基づく測定誤差が含まれ、各周期の画像濃度変動情報における位相や振幅は一致しない。制御部500は、感光体周期ごとに切り分けた画像濃度変動情報(トナー付着量検出結果)について、それぞれの振幅A,A,A及び位相θ,θ,θを算出する(S6)。これらの算出は、例えば、直交検波処理や高速フーリエ変換(FFT)処理などを利用して実行すればよい。
制御部500は、このようにして算出される複数周期分の振幅A,A,A,・・・及び位相θ,θ,θ,・・・の情報を画像濃度変動情報としてRAM504に記憶する。そして、これら複数周期分の振幅A,A,A,・・・間のばらつきσ、及び、これら複数周期分の位相θ,θ,θ,・・・間のばらつきσを、後述するように、それぞれ算出する(S7)。
図7に示される例では、感光体一周期分の画像濃度変動情報を一測定単位とし、3回測定した画像濃度変動情報(振幅及び位相の情報)のばらつきσ,σを算出することになるが、複数周期分の画像濃度変動情報を一測定単位とし、複数回測定した画像濃度変動情報のばらつきを算出するようにしてもよい。例えば、感光体1周目〜3周目のトナー付着量検出結果から直行検波処理によって1組目の振幅情報A及び位相情報θを算出し、感光体4周目〜6周目のトナー付着量検出結果から同様にして2組目の振幅情報A及び位相情報θを算出するといった処理を繰り返して、複数個の画像濃度変動情報(A,A,A,・・・、θ,θ,θ,・・・)を取得しても良い。この場合、より高精度な画像濃度変動情報を得ることが可能である。ただし、テストトナー像の副走査方向長さを長くする必要があり、処理時間の増大やトナー消費量の増大などの面で不利になる。
なお、画像濃度変動情報としては、トナー付着量センサ310の出力信号を用いてもよいし、これをトナー付着量に変換した後の情報を用いてもよい。
複数周期分の振幅情報A,A,A,・・・間のばらつきσは、例えば、各振幅情報の差(|A−A|,|A−A|,|A−A|,・・・)を計算し、その最大値をばらつきσと定義することができる。このほかにも、例えば、各振幅情報の平均値からのズレや、分散又は標準偏差などを、ばらつきσとして用いることができる。複数周期分の位相情報θ,θ,θ,・・・間のばらつきσについても同様である。
制御部500は、このようにして求めたばらつきσ,σを、予め設定されていた閾値と比較する(S8)。そして、振幅情報のばらつきσ、位相情報のばらつきσの両方ともそれぞれに対応する閾値以下であれば(S8でNo)、画像濃度変動情報の波形(検出した経時変動波形)を後述する近似波形に変換し、その近似波形に基づいて変動パターンデータを構築する。更に、その変動パターンデータをそれまでのものから新たに構築したものに更新する(S9)。このとき、同時に、周期変動フラグをオンにする。一方、振幅情報のばらつきσ、位相情報のばらつきσのいずれか一方がそれぞれに対応する閾値を超えている場合には(S8のYes)、変動パターンデータを更新しない(S10)。このとき、同時に、周期変動フラグをオフにする。その後、ユーザーの命令に基づく画像を形成する場合には、周期変動フラグがオンになっている場合だけ、変動パターンデータに基づいて現像バイアスを周期変動させる。周期変動フラグがオフになっている場合には変動パターンデータに基づく現像バイアスの周期変動を実施しない。
次に、画像形成条件決定制御の内容について説明する。
図11は、出力信号と、トナー付着量検出結果と、画像形成条件の変動パターンデータとの関係を示す説明図である。出力信号は、画像濃度変動検出用のテストトナー像を形成したときの感光体回転姿勢を示すフォトインタラプタ71の出力信号(回転姿勢検出信号)である。また、トナー付着量検知結果は、テストトナー像のトナー付着量を検出した結果である。また、変動パターンデータは、画像形成条件としての現像バイアスを周期的に変動させるためのデータである。図11には、感光体2周期分についての例が示されている。
図11に示されるように、トナー付着量検知信号は、回転姿勢検出信号の周期と同じ周期で変動している。画像形成条件決定制御では、このトナー付着量検知信号(画像濃度変動情報)に基づいて、このトナー付着量検知信号とは逆位相の関係になる付着量変動を発生させることが可能な現像バイアスの周期的な変動パターンデータ決定される。なお、現像バイアスの値の符号はマイナスであったり、その絶対値が大きくなるとトナー付着量が減る関係にあったりするので、単純に“逆位相”と表現するのは適切ではない。しかし、ここでは、逆位相のトナー付着量変動を作り出す制御テーブルを作成するという意味で、“逆位相”と表現している。
現像バイアスの変動パターンデータを決定する際のゲイン(トナー付着量検知信号の変動量[V]に対して、現像バイアスの変動量を何[V]にするか)については、理想的には理論値から求められる。実際には、理論値を元にして実際の複写機で検証した実験データから、最終的なゲインを決定するのが好ましい。このようにして決められたゲインを用いて作成された変動パターンデータは、回転姿勢検出信号に対して図11に示されるタイミングの関係を持っている。変動パターンデータとしては、データテーブル形式のデータを例示することが可能である。回転姿勢検知手段が感光体について所定の回転姿勢になったことを検知したタイミングを基準にして、それから所定の時間間隔経過毎のバイアス出力値をテーブル形式で並べたものである。現像領域からトナー付着量センサ310の検出領域までのトナー像移動距離を考慮して、データテーブルを適用するタイミングが決められる。もし、現像領域からトナー付着量センサ310の検出領域までのトナー像移動距離が、ちょうど感光体周長の整数倍になっている場合には、回転姿勢検出信号のタイミングに合わせて、制御テーブルの先頭から現像バイアス制御に適用すれば良い。一方、現像領域からトナー付着量センサ310の検出領域までのトナー像移動距離が感光体周長の整数倍から外れている場合には、そのズレの距離分だけタイミングをずらして、データテーブルを適用すれば良い。
なお、画像形成条件決定制御によって決定される画像形成条件は、現像バイアスでなくてもよく、露光パワーや帯電バイアスなどであってもよい。例えば露光パワーを制御する場合、画像形成条件決定制御によりトナー付着量検知信号が示すトナー付着量変動を打ち消すような露光パワー変動データテーブルを作成する。そして、露光位置からトナー付着量センサ310の検出領域までの像移動距離を考慮して、制御テーブルを適用するタイミングを決定する。同様に、例えば帯電バイアスを制御する場合は、画像形成条件決定制御によりトナー付着量検知信号が示すトナー付着量変動を打ち消すような帯電バイアス変動データテーブルを作成する。そして、帯電位置からトナー付着量センサ310の検出領域までの像移動距離を考慮して、制御テーブルを適用するタイミングを決定する。
制御部500は、感光体が初めて装着されたタイミング(初期セット時)、既装着の感光体に代えて新しい感光体が装着されたタイミング(感光体交換時)、既装着の感光体が一旦取り外して再び装着されたタイミングなどで、画像形成条件決定処理を実施する。これは、感光体40を装着したときは、それまでの感光体周期での画像濃度変動の発生状況が変化する可能性が高いからである。また、感光体装着前における感光体(被検知体)とフォトインタラプタ71との位置関係がずれてしまうという理由もある。また、変動パターンデータが構築されていない感光体の初期セット時には、まず、画像形成条件決定処理を行って変動パターンデータを構築する必要がある。また、感光体交換時には、新しい感光体の回転振れや感度ムラの特性がそれまでに使用していた感光体とは異なったものとなるので、新しい感光体に対応した新たな変動パターンデータを構築する必要がある。また、メンテナンス等のために単に感光体を脱着した場合においても、感光体脱着に伴う感光体の取り付け状況変化(感光体軸と回転軸のずれ方の変化)が生じる可能性がある。更には、感光体の回転振れや感度ムラとフォトインタラプタ71の位置との関係(位相関係)がずれてしまうため、変動パターンデータを再構築する必要がある。
以上のような理由により、感光体が装着された直後には、画像形成条件決定処理を行う必要がある。ただし、画像形成条件決定処理では、上述したように、画像濃度の経時変動波形を検出し、その波形を打ち消すような現像バイアスを決定するところ、経時変動波形の測定誤差が大きい場合には、かえって画像濃度変動を増大させる結果を招くおそれがある。例えば、検出した経時変動波形の位相情報の測定誤差が180°であった場合に、その経時変動波形に基づいて構築した変動パターンデータを用いて現像バイアスを周期変動させたとする。すると、トナー付着量が多い箇所に対しては更にトナー付着量を多くし、トナー付着量が少ない箇所に対しては更にトナー付着量が少なくなる結果となり、画像濃度変動を増大させてしまう。
制御部500は、複数回測定した経時変動波形(画像濃度変動情報)のばらつきσ,σが閾値を超えた場合には(S8のYes)、変動パターンデータを更新せずに、周期変動フラグをオフにする。経時変動波形(A,A,A,・・・、θ,θ,θ,・・・)に含まれる測定誤差の大きさは、その複数個の一周期波形(A,A,A,・・・、θ,θ,θ,・・・)のばらつきσ,σの大きさと高い相関をもって表れる。したがって、個々の一周期波形(A,A,A,・・・、θ,θ,θ,・・・)のばらつきσ,σが大きい場合には、その経時変動波形に含まれる測定誤差が大きい蓋然性が高い。したがって、実施形態に係る複写機によれば、測定誤差が大きい画像濃度の経時変動波形に基づいて変動パターンデータが更新されることがない。よって、そのような変動パターンデータを用いて現像バイアスを周期変動させることによる画像濃度変動の悪化を回避することができる。
また、複写機内の温度や湿度などの環境条件が一定以上変化した場合にも、画像形成条件決定処理を行うのが好ましい。特に複写機内の温度条件が一定以上変化した場合には、感光体素管が持っている熱膨張係数に応じて感光体素管が膨張、収縮する。そのため、感光体の外形プロファイルが変化し、現像ギャップ変動状況が変化し、画像濃度変動の発生状況が変化する可能性がある。この変化に対応するため、温度センサ等の環境情報検知手段の検知結果が既定値以上変化したタイミングで、画像形成条件決定処理を行い、画像濃度変動を低減するための変動パターンデータを構築することが好ましい。具体的には、例えば、前回の画像形成条件決定処理時と比較して、今回の画像形成条件決定処理時における温度がN[deg]以上の変化している場合に、画像形成条件決定処理を行うようにする。
上述したように感光体回転周期で発生する画像濃度の経時変動波形だけでなく、現像スリーブ回転周期で発生する画像濃度の経時変動波形も検出し、現像スリーブ回転周期の画像濃度変動を低減させることも可能である。現像スリーブ回転周期で発生する画像濃度変動は、感光体回転周期の画像濃度変動に比べて周期が短く、変動波形の振幅も小さい。そのため、経時変動波形から現像スリーブ回転周期ごとに一周期波形を切り分けても、現像スリーブ回転周期の画像濃度変動が感光体回転周期の画像濃度変動に埋もれてしまい、現像スリーブ回転周期の経時変動波形の測定誤差が大きくなる可能性がある。そのような場合には、現像スリーブ回転周期の画像濃度の経時変動波形を検出する際に、まず、検出した経時変動波形から感光体回転周期の変動成分を取り除き、その後に、現像スリーブ回転周期の変動成分を抽出するようにしてもよい。
次に、実施形態に係る複写機の特徴的な構成について説明する。
制御部500は、各色のテストトナー像についてトナー付着量センサ(310K,310Y,310M,310C)からの出力値を所定の時間間隔でサンプリングした結果に基づいて、画像濃度の経時変動波形を把握したら、それを近似波形に変換する。このような変換を行うのは、以下に説明する理由による。即ち、画像濃度の経時変動波形については、スリーブ回転周期の20倍の周期で変動する正弦波を複数重ね合わせることでほぼ完全に再現することが可能である。しかし、現像バイアスの変動に伴う画像濃度変動は、バイアス変動周波数が高くなると追従性が悪くなる。
追従性が悪くなる理由について具体的に説明する。感光体上の静電潜像の現像は、静電潜像が現像領域の範囲内に存在するときに行われる。静電潜像が現像領域に進入してから現像領域を抜け出るまでの通過時間内において、現像バイアスの出力値を微妙に変化させても、その変化に追従させて静電潜像の画像濃度を微妙に変化させることは非常に困難である。通過時間内の平均的なバイアス値が静電潜像の画像濃度に大きく影響し、瞬時のバイアス変化は画像濃度にそれほど影響しないからである。この現象を避けるために現像領域を小さくし過ぎると必要な現像能力が得られなくなることから、現像バイアスの変動によって抑えることが可能な画像濃度の周期変動成分の周波数には上限がある。
このような理由から、実施形態に係る複写機では、スリーブ回転周期の3倍の周波数を、抽出する周期変動成分の周波数の上限にしている。即ち、スリーブ回転周期の3倍の周期で変動する正弦波を複数重ね合わせることで近似波形を得るようになっている。図9に示されるトナー付着量の変動波形は、実際に検出された高周波成分を含むものではなく、実施に検出された経時変動波形を近似した近似波形である。制御部500は、この近似波形に基づいて、現像バイアスの変動パターンデータを構築する。
構築方法の具体的手順は、次の通りである。まず、制御部500は、実際に検出した経時変動波形に対して周波数解析を行う。周波数解析については、フーリエ変換(FFT)によって行ってもよいし、直交検波によって行ってもよい。第一実施例に係る複写機では、直交検波によって行うようになっている。
画像濃度の経時変動波形は、次式で示されるように、スリーブ回転周期の整数倍の周波数で周期変動する正弦波の重ね合わせによって表現される。なお、次式において、xは、前記正弦波の変動周波数の上限値である。
f(t)=A×sin(ωt+θ)+A×sin(2×ωt+θ)+A×sin(3×ωt+θ)+・・・+A×sin(x×ωt+θ
この式は、次の式に変化することが可能である。
f(t)=ΣA×sin(i×ωt+θ
:但し、i=1〜xの自然数
なお、各記号で示されるパラメータは次の通りである。
・f(t):トナー付着変動量の切り出し波形の平均波形[10−3mg/cm
・A:正弦波の振幅[10−3mg/cm
・ω:スリーブ又は感光体の角速度[rad/s]
・θ:正弦波の位相[rad]
・t:時間[s]
実施形態に係る複写機では、直交検波にてAおよびθを算出して、周波数毎の濃度ムラ成分を算出する。そして、変動パターンデータを構築するための近似波形を、次式に基づいて構築する。
1/2(t)=ΣA×sin(i×ωt+θ
:但しi=1〜3
i=1は、スリーブ一回転周期である。
かかる構成では、画像濃度変動の高周波成分を含む経時変動波形を、高周波成分を含まない近似波形に変換し、その結果に基づいて変動パターンデータを構築する。これにより、変動パターンデータとして、現像バイアスを高周波数で変動させないものを構築することで、現像バイアスを変化させる電源として、現像バイアスを高周波数で変動させ得る高性能のものを用いる必要がなくなる。これにより、現像バイアスを必要以上に高周波数で周期変動させることによる無駄なコストアップを回避することができる。
次に、実施形態に係る複写機に、より特徴的な構成を付加した各実施例の複写機について説明する。なお、以下に特筆しない限り、各実施例に係る複写機の構成は、実施形態と同様である。
[第一実施例]
制御部500は、回転姿勢検知手段からの出力信号に基づいて、トナー付着量検知信号波形(画像濃度の経時変動波形)を感光体の周回毎に切り分ける。例えば、図9において、感光体の回転姿勢信号の検知開始部(出力が落ち始めたところ)を基準にして、感光体一周期分の信号を取り出して画像濃度の経時変動波形を周回毎に切り分ける。そして、その経時変動波形を、図12に示されるように近似波形に変換する。このようにして得られた感光体の複数周回分における画像濃度の近似波形には、図12に示されるような測定誤差が含まれ、波形の位相や振幅が各周回でばらついている。
そこで、制御部は、図12に示される近似波形の各周回における振幅A、A、A及び、位相θ、θ、θを算出する。これらの算出は、例えば、直交検波手段や高速フーリエ変換(FFT)を用いて実行すればよい。そして、その結果に基づいて変動パターンデータを構築する。構築にあたっては、例えば、各周の振幅平均値をA、位相平均値をθとすると、Asin(ωt+θ)としても良い。ωは対象とする回転体周期の角速度、tは時間である。
感光体一回転周期分の画像濃度の経時変動波形を近似した近似波形から、画像濃度変動の位相情報、振幅情報を取得する例を示したが、感光体について複数周回分の出力の平均をとり、一周期分のデータに加工して位相情報等を取得しても良い。なお、経時変動波形については、トナー付着量センサからの出力電圧の経時変動をそのまま波形化したものを用いてもよいし、出力電圧をトナー付着量に変換したものの経時変動を波形化したものを用いてもよい。また、本複写機では、感光体の回転周期の画像濃度変動を抑えることに加えて、現像スリーブの回転周期の画像濃度変動についても同様にして抑えるようになっている。
現像スリーブの回転周期で発生する画像濃度変動は、感光体の回転周期で発生するものに比べて周期が短く、変動波形の振幅も小さい。そのため、現像スリーブの回転周回毎に画像濃度変動の波形を切り出しても、現像スリーブの回転周期で発生する画像濃度変動の波形は、感光体の回転周期で発生する画像濃度変動の波形に埋もれてしまい、検出誤差が大きくなるおそれがある。そこで、現像スリーブの回転周期で発生する画像濃度変動を検出する際には、上述した近似波形から、感光体の回転周期で発生している画像濃度の周期変動成分を除去し、除去後の波形に基づいてスリーブ回転周期の画像濃度変動を検出してもよい。
第一実施例に係る複写機の制御部500は、図6に示される制御におけるS7〜S10の処理フローを実施する代わりに、以下のような処理を実施するようになっている。即ち、まず、画像濃度について、実際に検出した経時変動波形と近似波形とのフィッティング率を算出する。フィッティング率は、例えば、次式で定義される相関係数Rのような、画像濃度の経時変動波形と近似波形との相関を数値化したものである。
R=Σ[(X−Xave)×(Y−Yave)]/[√(X−Xave×√(Y−Yave
:但し、Xは実際に検出した経時変動波形のデータ、Xaveはその平均値、Yは近似波形のデータ、Yaveはその平均値である。
次に、制御部500は、算出したフィッティング率を予め設定されていた閾値と比較し、それが閾値よりも大きい場合だけ、近似波形に基づいて現像バイアスの変動パターンデータを構築及び更新する。このとき、同時に、上述した周期変動フラグをオンにする。一方、フィッティング率が閾値以下である場合には、変動パターンデータを構築しない。このとき、同時に、上述した周期変動フラグをオフにする。これにより、画像濃度変動の測定誤差によって変動パターンデータが正しく機能しないにもかかわらず、それに基づいて現像バイアスを周期変動させて画像濃度変動を却って悪化させてしまうことを回避することができる。
図13に示されるように、フィッティング率が閾値を超える場合には、画像濃度について実際に検出した経時変動波形とそれを低周波数の正弦波の重ね合わせで近似した近似波形とが非常に似通ったものになる。この場合、制御部500は、近似波形について、経時変動波形を良好に再現しているものであって、現像バイアスの周期変動によって周期的な画像濃度変動を良好に抑え得るものであると判断する。そこで、近似波形に基づいて現像バイアスの変動パターンデータを構築及び更新し、周期変動フラグをオンにする。
一方、図14に示されるように、感光体の回転周期で発生する画像濃度変動の振幅が比較的小さく、感光体の回転周期ではない突発的なノイズを検知した場合に、図示のように、そのノイズをも含めた近似波形を求めてしまうことがある。この場合、実際に発生している経時変動波形の振幅は図示のように非常に小さい、即ち、周期的な画像濃度変動が非常に小さいにもかかわらず、図示の近似波形のように、それよりも大きな画像濃度変動が発生しているものと誤検知してしまう。そして、その近似波形に基づいて現像バイアスの変動パターンデータを構築してしまうと、感光体の回転周期で発生している画像濃度変動を却って悪化させてしまう。
そこで、制御部500は、算出したフィッティング率が閾値以下である場合には、近似直線に基づく変動パターンデータの構築を行わないとともに、周期変動フラグをオフにする。これにより、ノイズを実際の画像濃度変動と誤検知することによる画像濃度変動の悪化を回避することができる。
なお、実施形態に係る複写機では、濃度ムラの振幅A、A・・・、位相θ、θ・・・のばらつきに基づいて周期変動フラグのオンオフを行うようになっているが、かかる構成では、次のような不具合がある。即ち、突発的なノイズを検出したことによって近似波形の振幅を実際の経時変動波形の振幅よりも大きくしてしまった場合に、偶然にも、各周の振幅A、A・・・、位相θ、θ・・・のばらつきが小さくなることがある。すると、近似波形について実際の経時変動波形を良好に再現しているものと誤認して変動パターンデータを更新してしまい画像濃度変動を却って悪化させてしまう。
このような悪化を抑え得る方法として、テストトナー像としてかなり長いものを形成し、その画像濃度変動を例えば感光体の数十周回分にも渡って検知した結果における各周回の波形の平均波形を求める方法がある。数十周回分もの平均であることから、ノイズの検知による近似波形の不適切化を抑えて、近似波形の不適切化による画像濃度変動の悪化を抑えることができるのである。しかしながら、テストトナー像の形成や、その画像濃度変動の検知に長時間を要することから、装置のダウンタイムを増やしたり、トナー消費量を増加させたりという不具合がある。
図15は、第一実施例に係る複写機の制御部500によって実施される画像形成条件決定処理の流れを示すフローチャートである。なお、このフローチャートにおけるS1〜S6の工程については、図6と同じであるので、図15ではS1〜S6の工程の図示を省略している。
制御部500は、テストトナー像の画像濃度について実際に検出した経時変動波形と近似波形とのフィッティング率を算出すると(S7)、算出結果について、所定の閾値よりも大きいか否かを判定する(S8)。そして、所定の閾値よりも大きい場合(S8でYes)、即ち、近似波形が経時変動波形を良好に再現したものである場合には、近似波形に基づいて変動パターンデータを更新する(S9)。同時に、ユーザーの命令に基づく画像を形成する際に、変動パターンデータに基づいて現像バイアスを周期変動させるために、周期変動フラグをオンにする。一方、フィッティング率が閾値以下である場合(S8でNo)には、変動パターンデータを更新しない(S10)。同時に、ユーザーの命令に基づく画像を形成する際に、変動パターンデータに基づく現像バイアスの周期変動を実行しないように、周期変動フラグをオフにする。
[第二実施例]
実施形態に係る複写機では、感光体の回転周期で発生する画像濃度変動と、現像スリーブの回転周期で発生する画像濃度変動とを抑えるようになっているが、それらの回転周期に近い周期の回転体の画像濃度変動が同時に発生する場合があり得る。例えば、一次転写ローラの回転周期が現像スリーブの回転周期に近い場合に、一次転写ローラの周方向の電気抵抗ムラに起因して一次転写ローラの回転周期で変動する画像濃度変動が発生するなどである。この場合、一次転写ローラの回転周期の画像濃度変動を、現像スリーブの回転周期の画像濃度として誤検知して、変動パターンデータに反映してしまうおそれがある。
例えば、一次転写ローラの回転周期が121[ms]であり、現像スリーブの回転周期が126[ms]であり、それら回転周期のうち、一次転写ローラの回転周期の画像濃度変動だけが発生しているとする。テストトナー像のトナー付着量を検知した結果に基づく画像濃度の経時変動について現像スリーブの回転周期である126[ms]で直交検波処理を行うと、理論的には、現像スリーブの一回転毎に約14[°]ずつ位相がずれていくとになる。そして、テストトナー像の長さが現像スリーブの周長の3倍であり、制御実行判定に用いる位相のばらつきσの閾値が50[deg]であるとすると、位相のばらつきσが約42[deg]になる。この場合、変動パターンデータに基づく現像バイアスの周期変動制御を実行してしまう。この周期変動制御は、一次転写ローラの回転姿勢とは関係なく、現像スリーブの回転姿勢を検知した結果に基づいて実行されることから、画像濃度変動を却って悪化させてしまうことになる。
かかる不具合の発生を防ぐ方法として、濃度ムラ検知用のテストトナー像の長さを大きくし、トナー付着量のサンプリング回数を増やして検知精度を向上させる方法があるが、この方法では、装置のダウンタイムやトナー消費量を増加させてしまうことになる。また、先に例示した各数値は、他のノイズ等によってばらついてしまうため、理論値から前記閾値や濃度ムラ検知用のテストトナー像の長さを定めることも難しい。
また、前述の不具合の発生を防ぐ他の方法として、一次転写ローラの回転周期の画像濃度変動を検知した結果と、一次転写ローラの回転姿勢を検知した結果とに基づいて変動パターンデータを構築し、それに基づいて現像バイアス等を周期変動させる方法がある。しかしながら、この方法では、一次転写ローラの回転姿勢を検知する回転姿勢検知手段が必要になることから、コストアップを引き起こしてしまう。
そこで、第二実施例に係る複写機の制御部は、変動パターンデータを構築するにあたり、一次転写ローラの回転周期など、誤検知を引き起こし易い所定の周期の周期変動成分を画像濃度の経時変動波形から抽出する。その周期変動成分を発生させる原因になっている回転体(例えば一次転写ローラ)の回転姿勢については検知していないことから、その回転姿勢に基づいて周期の起点を定めることはできないが、適当なタイミングを起点として位相情報等を取得すればよい。
制御部は、次に、前述の周期変動成分の波形に基づいて、感光体や現像スリーブの回転周期で発生している画像濃度変動の波形について前者の波形の影響を受けているか否かを判定する。例えば、現像スリーブの回転周期と一次転写ローラの回転周期との差が小さいことを理由として、一次転写ローラの回転周期を所定の周期とした場合に、一次転写ローラの回転周期の周期変動成分の存否を判定する。具体的には、現像スリーブの回転周期で画像濃度変動情報を直交検波して得た位相のばらつきσと、一次転写ローラの回転周期で画像濃度変動情報を直交検波して得た位相のばらつきとを比較する。そして、一次転写ローラの回転周期のばらつきが小さければ、一次転写ローラ回転周期の周期変動成分の影響を受けていると判定すればよい。もしくは、一次転写ローラの回転周期で画像濃度変動情報を直交検波して得た位相のばらつきがある閾値を下回っている場合に、一次転写ローラ回転周期の周期変動成分の影響を受けていると判定してもよい。
制御部は、画像濃度の経時変動波形について、所定回転周期の周期変動成分の影響を受けていると判定した場合には、経時変動波形から、所定回転周期の周期変動成分を除去する。そして、除去後の経時変動波形を近似した近似波形に基づいて変動パターンデータを構築する。
なお、一次転写ローラの回転周期で発生している画像濃度の変動波形の位相ばらつきと、現像スリーブの回転周期で発生している画像濃度の変動波形の位相ばらつきとがほぼ同じになることがあり得る。また、一次転写ローラの回転周期で発生している画像濃度の変動波形の位相ばらつきが閾値に近い値になることもあり得る。これらの場合には、一次転写ローラ回転周期の周期変動成分の存否を判断することが困難になる。一次転写ローラの回転周期で発生している画像濃度変動と、現像スリーブの回転周期で発生している画像濃度変動とが同時に存在していることから、前者の画像濃度変動を直交検波する際に、後者の画像濃度変動が干渉してしまうためである。
そこで、前述した理由によって一次転写ローラ回転周期の周期変動成分の存否を判断することが困難な場合には、画像濃度ムラ検知用のテストトナー像の形成と、画像濃度の経時変動波形の取得とを再び行うようにすることが望ましい。このとき、テストトナー像の長さについては、通常のテストトナー像の長さよりも大きくすることが望ましい。より詳しくは、理論上、一次転写ローラの回転周期で発生する画像濃度変動と、現像スリーブの回転周期で発生する画像濃度変動とを良好に分離し得る長さである。必要な場合にだけ、通常よりも長いテストトナー像を形成することで、装置のダウンタイムやトナー消費量の増加を抑えることができる。更に、通常よりも長いテストトナー像を形成しても、一次転写ローラの回転周期で発生する周期変動成分の存否を判定することが困難であった場合には、次のようにすることが望ましい。即ち、変動パターンデータの更新を実施しないとともに、変動パターンデータに基づく現像バイアス等の周期変動制御を実施しないようにするのである。
なお、一次転写ローラの回転周期と、現像スリーブの回転周期との差が小さい場合を例にして説明したが、一次転写ローラとは異なる回転体の回転周期と、現像スリーブ等の回転周期との差が小さい場合にも、同様にして本発明を適用することが可能である。
図16は、第二実施例に係る複写機の制御部500によって実施される画像形成条件決定処理の流れを示すフローチャートである。なお、このフローチャートにおけるS1〜S6の工程については、図6と同じであるので、図16ではS1〜S6の工程の図示を省略している。
制御部500は、テストトナー像の画像濃度について実際に検出した経時変動波形について、所定回転周期の周期変動成分の存否を確認する(S7)。そして、存在する場合には(S8でYes)、経時変動波形から所定回転周期の周期変動成分を除去した後に(S9)、経時変動波形を近似波形に変換する(S10)。一方、存在すると断定できない場合(S8でNo)には、存否の判定について困難であるか否かを判定し(S13)、困難でない場合には(S13でNo)、S10の工程に進んで経時変動波形を近似波形に変換する。また、存否の判定が困難である場合には(S13でYes)、再検フラグについてオンであるか否かを判定する(S14)。そして、オンでない場合には(S14でNo)、再検フラグをオンした後に、テストトナー像の形成とトナー付着量の検知とを実施して、S7の工程に戻る(S17、S18、S19)。また、再検フラグがオンである場合には(S14でYes)、テストトナー像の再形成を既に実施済みであることから、変動パターンデータを更新せずに、同期変動フラグをオフして(S16)、一連の処理フローを終了する。
制御部は、画像濃度の経時変動波形を近似波形に変化した場合には、近似波形に基づいて変動パターンデータを構築、更新した後に(S11)、周期変動フラグをオンしてから8S12)、一連の処理フローを終了する。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
態様Aは、像担持体の表面に作像したトナー像を転写体(例えば中間転写ベルト10)に転写して前記転写体に画像を形成する画像形成手段(例えばプリンタ部100)と、前記画像形成手段に具備される回転体(例えば感光体40、現像スリーブ61a)の回転姿勢を検知する回転姿勢検知手段と、前記画像形成手段によって形成されたトナー像のトナー付着量を検知する付着量検知手段(例えばトナー付着量センサ310)と、前記画像形成手段によって形成したテストトナー像の回転体表面移動方向における画像濃度の経時変動波形を前記付着量検知手段による検知結果に基づいて把握し、把握結果に基づいて、前記回転体の回転周期で発生する周期的な画像濃度変動を前記画像形成手段の画像形成条件の変動によって抑えるための変動パターンデータを構築するパターンデータ構築手段(例えば制御部500)と、ユーザーの命令に基づく画像を前記画像形成手段によって形成するときに、前記回転姿勢検知手段による検知結果及び前記変動パターンデータに基づいて前記画像形成条件を周期変動させる周期変動手段(例えば制御部500)とを備える画像形成装置において、前記経時変動波形に含まれる所定の周波数を超える周期変動成分を除去するために、前記経時変動波形を所定の近似変換アルゴリズムに基づいて近似波形に変換し、前記近似波形に基づいて前記変動パターンデータを構築するように、前記パターンデータ構築手段を構成したことを特徴とするものである。
本発明者らは、次に説明する検討を行った結果、態様Aの発明を完成させるに至った。即ち、画像形成装置における種々の画像形成条件の中には、その条件の変動に対する画像濃度変動の応答性が良好でないものがある。例えば、現像バイアスもその1つである。感光体上の静電潜像は、感光体の回転に伴って現像装置の現像スリーブに対向する現像領域に進入してから現像領域を抜け出るまでの間(以下、通過時間内という)に、現像スリーブ上のトナーが付着せしめられて現像される。その通過時間内に、現像バイアスが高周波数で変動しても、画像を構成する個々のドットがその高周波変動に敏感に応答して画像濃度を高周波数で変動させることはなく、ドットは通過時間内における平均的な現像バイアスの値に相当する画像濃度で現像される。このため、テストトナー像の周期的な画像濃度変動を検知した結果に忠実に従って、現像バイアスを高周波数で周期変動させても、高周波の画像濃度変動成分については除去することが困難である。にもかかわらず、現像バイアスを高周波数で周期変動させるために、現像バイアスを出力する電源として、出力を高周波数で変動させることが可能な高性能のものを用いると、無駄なコストアップを引き起こしてしまうのである。画像形成条件として現像バイアスを周期変動させる場合に限らず、感光体を帯電させる帯電手段に印加する帯電バイアスなどを周期変動させる場合にも、同様の不具合が生じ得る。
そこで、態様Aでは、画像濃度の経時変動波形を、所定の周波数を超える周期変動成分が除去された近似波形に変換し、近似波形に基づいて変動パターンデータを構築するようになっている。かかる構成では、高周波成分を含まない近似波形に基づいて、変動パターンデータとして、画像形成条件を高周波数で変動させないものを構築する。これにより、画像形成条件を変化させる装置(例えば電源)として、画像形成条件を高周波数で変動させ得る高性能のものを用いる必要を無くすことで、画像形成条件を必要以上に高周波数で周期変動させることによる無駄なコストアップを回避することができる。
[態様B]
態様Bは、態様Aにおいて、前記経時変動波形と前記近似波形との差に基づいて、前記変動パターンデータを新たに構築するか否かを決定するように、前記パターンデータ構築手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、近似波形が経時変動波形から大きくかけ離れたものになった場合に、変動パターンデータを新たに構築することを中止して、実状にそぐわない変動パターンデータを構築してしまうことを防止することができる。
[態様C]
態様Cは、態様Bにおいて、前記パターンデータ構築手段によって新たな前記変動パターンデータを構築しないことが決定された場合には、既に記憶している前記変動パターンデータに基づく画像形成条件の周期変動を発生させないように、前記周期変動手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、第一実施例で説明したように、前記経時変動波形と前記近似波形との差に基づいて、近似波形について、ノイズ成分を含むものであるか否かを判定することができる。
[態様D]
態様Dは、態様B又はCにおいて、前記差が所定の閾値よりも大きい場合、あるいは前記差が前記閾値以上である場合には、前記変動パターンデータを新たに構築しないという決定をする一方で、前記差が前記閾値以下である場合、あるいは前記差が前記閾値未満である場合には、前記変動パターンデータを新たに構築するという決定をするように、前記パターンデータ構築手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、経時変動波形にノイズが含まれていたことにより、経時変動波形と近似波形との差が比較的大きくなった場合には、変動パターンデータに基づく画像形成条件の周期変動を実施しない。これにより、ノイズの混入に起因して実状にそぐわない変動パターンデータを用いて画像形成条件を周期変動させることによる画像濃度変動の悪化を回避することができる。
[態様E]
態様Eは、態様B、C、又はDにおいて、前記差として、前記経時変動波形と前記近似波形とのフィッティング率を求めるように、前記パターンデータ構築手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、フィッティング率に基づいて、近似波形について、ノイズ成分を含むものであるか否かを判定することができる。
[態様F]
態様A〜Eの何れかにおいて、前記画像形成手段として、前記回転姿勢検知手段によって回転姿勢が検知される前記回転体である検知回転体(例えば感光体40、現像スリーブ61a)の他に、前記回転姿勢検知手段によって回転姿勢が検知されず且つ前記検体対象回転体とは異なる周期で回転する回転体である非検知回転体(例えば一次転写ローラ62)を有するものを用い、前記経時変動波形について前記非検知回転体の回転周期で発生する画像濃度変動を含むものであるか否かを判定し、含むものである場合には、前記経時変動波形から前記画像濃度変動を除去した波形に基づいて前記変動パターンデータを構築するように、前記パターンデータ構築手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、第二実施例で説明したように、非検知回転体の回転周期で発生している画像濃度の周期変動成分を検知回転体の回転周期で発生している周期変動成分であると誤検知することに起因する画像濃度変動の悪化を回避することができる。
[態様G]
態様Gは、態様Fにおいて、前記検知回転体の回転周期で発生する周期変動成分波形を前記経時変動波形から抽出した結果と前記経時変動波形との差である第一差分と、前記非検知回転体の回転周期で発生する周期変動成分波形を前記経時変動波形から抽出した結果と前記経時変動波形との差である第二差分とに基づいて、前記経時変動波形について前記非検知回転体の回転周期で発生する画像濃度変動を含むものであるか否かを判定するように、前記パターンデータ構築手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、第二差分と第一差分との大小関係に基づいて、経時変動波形について非検知回転体の回転周期で発生する周期変動成分の影響を受けているか否かを精度良く判定することができる。
[態様H]
態様Hは、態様Gにおいて、前記第一差分が前記大差分よりも大きくなった場合に、前記経時変動波形について前記非検知回転体の回転周期で発生する画像濃度変動を含むものであると判定するように、前記パターンデータ構築手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、第二差分について第一差分よりも大きいか否かを判定することで、経時変動波形について非検知回転体の回転周期で発生する周期変動成分の影響を受けているか否かを精度良く判定することができる。
[態様I]
態様Iは、態様G又はHにおいて、前記テストトナー像として、前記回転体表面移動方向における長さが前記検知回転体の周長の二倍以上であるものを形成し、前記経時変動波形として前記検知回転体の二周期以上に渡る画像濃度の経時変動を示すものを把握し、前記検知回転体の回転周期で変動する一周期分の周期変動成分波形を前記経時変動波形から複数抽出し、それら周期変動成分波形の平均波形に基づいて前記第一差分を算出するように、前記パターンデータ構築手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、検知回転体の画像濃度の経時変動をその一回転周期分だけ検出する場合に比べて、画像濃度の経時変動波形を精度良く検出することができる。
[態様J]
態様Jは、態様A〜Iの何れかにおいて、前記画像形成手段として、回転可能な潜像担持体(例えば感光体40)と、回転可能な現像剤担持体に担持した現像剤によって前記潜像担持体上の潜像を現像してトナー像を得る現像手段(例えば現像装置)と、前記潜像担持体上のトナー像を前記転写体に転写する転写手段(例えば一次転写ローラ62)とを有するものを用い、且つ、前記回転姿勢検知手段に対して回転体としての前記現像剤担持体(例えば現像スリーブ61a)又は潜像担持体の回転姿勢を検知させるようにしたことを特徴とするものである。
10:中間転写ベルト(転写体)
100:プリンタ部(画像形成手段)
40:感光体(検知回転体、潜像担持体)
61a:現像スリーブ(検知回転体、現像剤担持体)
62:一次転写ローラ(非検知回転体)
310:トナー付着量センサ(付着量検知手段)
500:制御部(パターンデータ構築手段、周期変動手段)
特開2014−119713号公報

Claims (10)

  1. 像担持体の表面に作像したトナー像を転写体に転写して前記転写体に画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段に具備される回転体の回転姿勢を検知する回転姿勢検知手段と、前記画像形成手段によって形成されたトナー像のトナー付着量を検知する付着量検知手段と、前記画像形成手段によって形成したテストトナー像の回転体表面移動方向における画像濃度の経時変動波形を前記付着量検知手段による検知結果に基づいて把握し、把握結果に基づいて、前記回転体の回転周期で発生する周期的な画像濃度変動を前記画像形成手段の画像形成条件の変動によって抑えるための変動パターンデータを構築するパターンデータ構築手段と、ユーザーの命令に基づく画像を前記画像形成手段によって形成するときに、前記回転姿勢検知手段による検知結果及び前記変動パターンデータに基づいて前記画像形成条件を周期変動させる周期変動手段とを備える画像形成装置において、
    前記経時変動波形に含まれる所定の周波数を超える周期変動成分を除去するために、前記経時変動波形を所定の近似変換アルゴリズムに基づいて近似波形に変換し、前記近似波形に基づいて前記変動パターンデータを構築するように、前記パターンデータ構築手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1の画像形成装置において、
    前記経時変動波形と前記近似波形との差に基づいて、前記変動パターンデータを新たに構築するか否かを決定するように、前記パターンデータ構築手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項2の画像形成装置において、
    前記パターンデータ構築手段によって新たな前記変動パターンデータを構築しないことが決定された場合には、既に記憶している前記変動パターンデータに基づく画像形成条件の周期変動を発生させないように、前記周期変動手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項2又は3の画像形成装置において、
    前記差が所定の閾値よりも大きい場合、あるいは前記差が前記閾値以上である場合には、前記変動パターンデータを新たに構築しないという決定をする一方で、前記差が前記閾値以下である場合、あるいは前記差が前記閾値未満である場合には、前記変動パターンデータを新たに構築するという決定をするように、前記パターンデータ構築手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項2、3又は4の画像形成装置において、
    前記差として、前記経時変動波形と前記近似波形とのフィッティング率を求めるように、前記パターンデータ構築手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1乃至5の何れかの画像形成装置において、
    前記画像形成手段として、前記回転姿勢検知手段によって回転姿勢が検知される前記回転体である検知回転体の他に、前記回転姿勢検知手段によって回転姿勢が検知されず且つ前記検体対象回転体とは異なる周期で回転する回転体である非検知回転体を有するものを用い、
    前記経時変動波形について前記非検知回転体の回転周期で発生する画像濃度変動を含むものであるか否かを判定し、含むものである場合には、前記経時変動波形から前記画像濃度変動を除去した波形に基づいて前記変動パターンデータを構築するように、前記パターンデータ構築手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項6の画像形成装置において、
    前記検知回転体の回転周期で発生する周期変動成分波形を前記経時変動波形から抽出した結果と前記経時変動波形との差である第一差分と、前記非検知回転体の回転周期で発生する周期変動成分波形を前記経時変動波形から抽出した結果と前記経時変動波形との差である第二差分とに基づいて、前記経時変動波形について前記非検知回転体の回転周期で発生する画像濃度変動を含むものであるか否かを判定するように、前記パターンデータ構築手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項7の画像形成装置において、
    前記第一差分が前記大差分よりも大きくなった場合に、前記経時変動波形について前記非検知回転体の回転周期で発生する画像濃度変動を含むものであると判定するように、前記パターンデータ構築手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項7又は8の画像形成装置において、
    前記テストトナー像として、前記回転体表面移動方向における長さが前記検知回転体の周長の二倍以上であるものを形成し、前記経時変動波形として前記検知回転体の二周期以上に渡る画像濃度の経時変動を示すものを把握し、前記検知回転体の回転周期で変動する一周期分の周期変動成分波形を前記経時変動波形から複数抽出し、それら周期変動成分波形の平均波形に基づいて前記第一差分を算出するように、前記パターンデータ構築手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項1乃至9の何れかの画像形成装置において、
    前記画像形成手段として、回転可能な潜像担持体と、回転可能な現像剤担持体に担持した現像剤によって前記潜像担持体上の潜像を現像してトナー像を得る現像手段と、前記潜像担持体上のトナー像を前記転写体に転写する転写手段とを有するものを用い、
    且つ、前記回転姿勢検知手段に対して回転体としての前記現像剤担持体又は前記潜像担持体の回転姿勢を検知させるようにしたことを特徴とする画像形成装置。
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