以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
尚、実施形態の用語として、用紙等の記録媒体上の画像の濃度を「画像濃度」と称し、用紙以外の中間転写ベルト上等での画像の濃度を「トナー画像濃度」と称する。但し、「トナー画像濃度」は、単位面積あたりのトナー付着量を意味するものとする。
また「トナー画像濃度」のムラを「濃度変動」、「画像濃度」のムラを「画像濃度ムラ」と称する。
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態の画像形成装置の構成の一例を示す図である。
画像形成装置1は、画像形成部100と、供給装置200と、スキャナー300と、原稿自動搬送装置(ADF;Auto Document Feeder)とを有する。
画像形成部100は、用紙等の記録シートに画像を形成する。給紙装置200は、画像形成部100に対して記録シートを供給する。スキャナー300は原稿台に載置された原稿の画像を読み取る。原稿自動搬送装置400は、スキャナー300の上部に取り付けられ、スキャナー300に対して記録シートを自動的に連続して搬送する。
また画像形成装置1は、記録シートを手差しでセットするための手差しトレイ6と、画像形成済みの記録シートをスタックするためのスタックトレイ7等を有する。図1では、スタックトレイ7には、記録シート5がスタックされている。
図2は、本実施形態の画像形成部の構成の一例を示す図である。
画像形成部100は、転写体たる無端状の中間転写ベルト10を具備する転写ユニットを有する。転写ユニットの中間転写ベルト10は、3つの支持ローラ14~16に張架される。支持ローラ14~16のうちの何れか1つの支持ローラの回転駆動により、張架された状態で、図中時計回り方向に無端移動される。
支持ローラ14~16のうちの第1支持ローラ14と第2支持ローラ15との間で移動するベルト部分のおもて面には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4つの作像ユニットが対向する。また第1支持ローラ14と第3支持ローラ16との間で移動するベルト部分のおもて面には、中間転写ベルト10上に形成されたトナー像のトナー画像濃度を検知するための光学センサーユニット150が対向する。尚、以下では、イエローをY、シアンをC、マゼンタをM、ブラックをKのみで表示する場合がある。
作像ユニット18Y、18C、18M、及び18Kの上方には、レーザー書込装置21が配置される。レーザー書込装置21は、スキャナー300で読み取られた原稿の画像データ、或いは外部のパーソナルコンピューター等から送られてくる画像データに基づいて、書込光を出射する。具体的には、画像データに基づいて、レーザー制御部によって半導体レーザーを駆動して書込光を出射する。
書込光は、各作像ユニット18Y、18C、18M、及び18Kに設けられた潜像担持体であるドラム状の感光体20Y、20C、20M、及び20Kを露光走査する。これにより感光体20Y、20C、20M、及び20Kに静電潜像を形成する。書込光の光源としては、レーザーダイオードに限るものではなく、例えばLEDであってもよい。
4つの作像ユニット18Y、18C、18M、及び18Kは、使用するトナーの色が異なる点の他が、互いにほぼ同様の構成になっている。Yトナー像を作像するY用の作像ユニット18Yを例にすると、作像ユニット18Yは、感光体20Yと、帯電装置70Yと、現像装置80Yとを有している。上記のように、4つの作像ユニットは互いにほぼ同様の構成であるため、以降はイエロー(Y)を例に説明する。
図3は、本実施形態のY用の感光体20Y及び帯電装置70Yの一例を拡大して示す拡大構成図である。帯電装置70Yは、帯電ローラ71Yと、帯電クリーニングローラ75Yと、後述する回転姿勢検知センサーとを有する。帯電ローラ71Yは感光体20Yに当接して連れ回る。帯電クリーニングローラ75Yは帯電ローラ71Yに当接して連れ回る。
帯電装置70Yは、感光体20Yの表面を負極性に一様帯電する。このようにして一様に帯電した感光体20Yの表面のうち、レーザー書込装置21(図2参照)によってレーザー光が照射された部分は、電位を減衰させて静電潜像となる。
帯電クリーニングローラ75Yは、導電性の芯金、これの周面に被覆された弾性層などを具備する。弾性層は、メラミン樹脂を微細発泡させたスポンジ状の部材からなり、帯電ローラ71Yに当接しながら回転する。弾性層は、回転に伴って帯電ローラ71Yに付着する残トナーなどのゴミを本体部から除去することで、異常画像の発生を抑える。
図4は、本実施形態の感光体の一例を示す図である。感光体20Yは、円柱状の本体部20aYと、本体部20aYの回転軸線方向の両端側にそれぞれ配設された大径のフランジ部20bYと、軸受けに回転自在に支持される回転軸部20cYとを有する。フランジ部20bYは、本体部20aYの回転軸線方向の両端側にそれぞれ配設される。回転軸部20cYは軸受けに回転自在に支持される。
2つのフランジ部20bYの端面からそれぞれ突出している回転軸部20cYの一方は、感光体回転センサー76Yを貫いており、感光体回転センサー76Yから突出する部分が軸受けによって受けられる。
感光体回転センサー76Yは、回転軸部20cYに固定されて回転軸部20cYと一体的に回転する遮光部材77Yや、透過型フォトセンサー78Y等を具備する。遮光部材77Yは、回転軸部20cYの周面における所定の箇所において、法線方向に突出する形状である。遮光部材77Yは、感光体20Yが所定の回転姿勢になったときに、透過型フォトセンサー78Yの発光素子と受光素子との間に介在する。これにより、受光素子が受光しなくなることで、透過型フォトセンサー78Yからの出力電圧値が大きく低下する。つまり、透過型フォトセンサー78Yは、感光体20Yが所定の回転姿勢になると、そのことを検知して出力電圧値を大きく低下させる。
図5は、Y用の感光体回転センサー76Yからの出力電圧の時間変化の一例を示す図である。感光体20Yが回転している時の感光体回転センサー76Yからの出力電圧の時間変化が示されている。尚、感光体回転センサー76Yからの出力電圧は、具体的には、透過型フォトセンサー78Yからの出力電圧のことである。
図示されるように、感光体20Yが回転しているとき、大半の時間は、感光体回転センサー76Yから電圧が出力される(例えば6V)。但し、感光体20Yが一周する毎に、感光体回転センサー76Yからの出力電圧が一瞬だけ0[V]付近まで大きく低下する。これは、感光体20Yが一周する毎に、遮光部材77Yが透過型フォトセンサー78Yの発光素子と受光素子との間に介在して、受光素子が光を受光しなくなるからである。このように出力電圧が大きく低下するタイミングは、感光体20Yが所定の回転姿勢になったタイミングである。以下、このタイミングを基準姿勢タイミングという。
図6は、本実施形態のY用の現像装置80Yの一例をY用の感光体20Yの一部とともに示す図である。現像装置80Yは、磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を用いて現像を行う。所謂二成分現像方式のものであるが、磁性キャリアを含有しない一成分現像剤を用いる一成分現像方式のものを採用してもよい。現像装置80Yは、「現像手段」の一例である。
現像装置80Yは、現像ケース内に設けられた攪拌部と現像部とを具備している。攪拌部においては、二成分現像剤(以下、単に現像剤という)が三本のスクリュー部材によって攪拌搬送されて現像部に供給される。現像部では、自らの周面の一部を、現像装置本体ケースの開口を通じて感光体20Yに対して所定の現像ギャップGを介して対向させながら回転駆動する現像スリーブ81Yが配設される。
現像スリーブ81Yは、マグネットローラを自らに連れ回らせないように内包する。攪拌部の供給スクリュー84Y、回収スクリュー85Y、及び現像部の現像スリーブ81Yは、互いに水平方向に延在する姿勢で平行配設される。
これに対し、攪拌部の撹拌スクリュー86Yは、同図の紙面に直交する方向における手前側から奥側に向けて上り勾配となる傾斜姿勢になるように配設される。攪拌部の供給スクリュー84Yは、自らの回転に伴って、現像剤を図の紙面の直交する方向における奥側から手前側に向けて搬送しながら現像部の現像スリーブ81Yに供給する。
現像スリーブ81Yに供給されずに現像装置内における前記方向の手前側の端部まで搬送されてきた現像剤は、供給スクリュー84Yの直下に配設された回収スクリュー85Y上に落とされる。攪拌部の供給スクリュー84Yによって現像スリーブ81Yに供給された現像剤は、スリーブに内包されるマグネットローラの発する磁力の作用によって現像スリーブ81Yの表面に汲み上げられる。
現像スリーブ81Yの表面に汲み上げられた現像剤は、マグネットローラの発する磁力によって穂立ち状態となって磁気ブラシを形成する。そして、現像スリーブ81Yの回転に伴って、規制ブレード87Yの先端と現像スリーブ81Yとの間に形成された規制ギャップを通過して層厚が規制された後に、感光体20Yに対向する現像領域まで搬送される。
現像領域では、現像スリーブ81Yに印加されている現像バイアスにより、現像剤中のトナーのうち、感光体20Y上の静電潜像に対向するトナーに対し、静電潜像に向かう静電気力を付与する現像ポテンシャルが作用する。また、現像剤中のトナーのうち、感光体20Y上の地肌部に対向するトナーに対し、スリーブ表面に向かう静電気力を付与する地肌ポテンシャルが作用する。これらの結果、トナーが感光体20上の静電潜像に転移して静電潜像を現像する。静電潜像はトナー画像として可視化される。
このようにして、感光体20Y上にYトナー像が形成される。このYトナー像は、感光体20Yの回転に伴って、後段のY用の一次転写ニップに進入する。現像スリーブ81Yの回転に伴って現像領域を通過した現像剤は、マグネットローラの磁力の弱まる領域まで搬送されることで、現像スリーブ81Yの表面から離れて攪拌部の回収スクリュー85Y上に戻される。
回収スクリュー85Yは、現像スリーブ81Yから回収した現像剤を、自らの回転に伴って同図の紙面に直交する方向の奥側から手前側に向けて搬送する。そして、現像装置内の同方向における手前側の端部まで搬送した現像剤を、撹拌スクリュー86Yに受け渡す。
回収スクリュー85Yから撹拌スクリュー86Yに受け渡された現像剤は、回収スクリュー85Yの回転に伴って、前記方向の手前側から奥側に向けて搬送される。その過程で、透磁率センサーからなるトナー濃度センサーによってトナー濃度が検知され、その検知結果に応じて適量のトナーが補給される。この補給は、後述する制御部がトナー濃度センサーによる検知結果に応じてトナー補給装置を駆動させることによって行われる。適量のトナーが補給された現像剤は、前記方向における奥側の端部まで搬送されて供給スクリュー84に受け渡される。
現像領域のスリーブ回転方向の長さである現像領域長さLは、現像スリーブ81Yの直径、現像ギャップG、規制ギャップなどによって変化する。現像領域長さLが大きくなるほど現像領域で感光体20Y上の静電潜像にトナーが接触する機会が増える。そのため現像効率が上昇するが、大きくし過ぎるとトナー飛散、トナー固着などの不具合を引き起こす可能性が高くなる。このため、現像領域長さLについては、装置仕様の特性に応じた適切な値に設定することが望ましい。
ここで、図2に戻り、中間転写ベルト10のループ内側には、Y、C、M、及びK用の一次転写ローラ62Y、62C、62M、及び62Kが配設される。一次転写ローラ62Y、62C、62M、及び62Kは、感光体20Y、20C、20M、及び20Kとの間に中間転写ベルト10を挟み込む。これにより、中間転写ベルト10のおもて面と、感光体20Y、20C、20M、及び20Kとが当接し、Y、C、M、及びK用の一次転写ニップが形成される。
一次転写ローラ62Y、62C、62M、及び62Kには一次転写バイアスが印加される。一次転写ローラ62Yと感光体20Yとの間、一次転写ローラ62Cと感光体20Cとの間、一次転写ローラ62Mと感光体20Mとの間、及び一次転写ローラ62Kと感光体20Kとの間には、それぞれ一次転写電界が形成される。
中間転写ベルト10のおもて面は、ベルトの無端移動に伴ってY、C、M、及びK用の一次転写ニップを順次通過する。その過程で、感光体20Y上のYトナー像、感光体20C上のCトナー像、感光体20M上のMトナー像、及び感光体20K上のKトナー像が中間転写ベルト10のおもて面に順次重ね合わせて一次転写される。これにより、中間転写ベルト10のおもて面には4色重ね合わせトナー像が形成される。
中間転写ベルト10の下方には、第1張架ローラ22と第2張架ローラ23とによって張架される無端状の搬送ベルト24が配設される。何れか一本の張架ローラの回転駆動に伴って図中反時計回り方向に無端移動される。搬送ベルト24のおもて面は、中間転写ベルト10の全域のうち、第3支持ローラ16に対する掛け回し箇所に当接され、二次転写ニップが形成される。二次転写ニップの周辺においては、接地された第2張架ローラ23と、二次転写バイアスが印加される第3支持ローラ16との間に二次転写電界が形成される。
ここで図1に戻り、画像形成部100は、給紙装置200や手差しトレイ6から給送されてくる記録シート5を、二次転写ニップ、定着装置25、及び排出ローラ対56に順次搬送するための搬送路48を有する。また、給紙装置200から画像形成部100に給送された記録シート5を、搬送路48の入口まで搬送するための給送路49を有する。
プリントジョブが開始されると、給紙装置200又は手差しトレイ6から繰り出された記録シート5が搬送路48に向けて搬送されて、レジストローラ対47に突き当たる。そして、レジストローラ対47は、適切なタイミングで回転駆動を開始することで、記録シート5を二次転写ニップに向けて送り込む。
二次転写ニップでは、中間転写ベルト10上の4色重ね合わせトナー像が記録シート5に密着する。そして、二次転写電界やニップ圧の作用により、4色重ね合わせトナー像が記録シート5の表面に二次転写されてフルカラートナー像になる。
二次転写ニップを通過した記録シート5は、搬送ベルト24によって定着装置25に向けて搬送される。そして、定着装置25内で加圧及び加熱されることで、その表面にフルカラートナー像が定着される。その後、記録シート5は、定着装置25から排出された後、排出ローラ対56を経由してスタックトレイ7上にスタックされる。
尚、感光体20Y、20C、20M、及び20Kは、それぞれ「像担持体」の一例であり、現像スリーブ81Y、81C、81M、及び81Kは、それぞれ「現像剤担持体」の一例である。
次に、図7は、本実施形態の制御部のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図7において、制御部110は、CPU(Central Processing Unit)111と、RAM(Random Access Memory)112と、ROM(Read Only Memory)113と、不揮発性メモリ114とを有する。これらはシステムバスを介して相互に接続されている。
CPU111は、画像形成装置1の動作及び処理を統括的に制御する。CPU111は、RAM113をワークエリア(作業領域)として、ROM112等に格納されたプログラムを実行することで、制御及び処理を実行し、後述する各種機能を実現する。
尚、CPU111の有する機能の一部、又は全部を、ASIC(application specific integrated circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)といったワイヤードロジックによるハードウェアにより実現させてもよい。
制御部110には、Y用の現像装置80Yのトナー濃度センサー82Yと、C用の現像装置80Cのトナー濃度センサー82Cと、M用の現像装置80Mのトナー濃度センサー82Mと、K用の現像装置80Kのトナー濃度センサー82Kとが電気的に接続されている。これにより、制御部110は、現像装置80Yに収容されるY現像剤のトナー濃度と、現像装置80Cに収容されるC現像剤のトナー濃度と、現像装置80Mに収容されるM現像剤のトナー濃度と、現像装置80Kに収容されるK現像剤のトナー濃度とを把握することができる。
制御部110には、Y用の現像電源11Yと、C用の現像電源11Cと、M用の現像電源11Mと、K用の現像電源11Kとが電気的に接続されている。制御部110は、現像電源11Yに制御信号を出力して、現像電源11Yから出力される現像バイアスの値を調整でき、現像電源11Cに制御信号を出力して、現像電源11Cから出力される現像バイアスの値を調整できる。また制御部110は、現像電源11Mに制御信号を出力して、現像電源11Mから出力される現像バイアスの値を調整でき、現像電源11Kに制御信号を出力して、現像電源11Kから出力される現像バイアスの値を調整できる。つまり、Y、C、M、及びK用の現像スリーブ81Y、81C、81M、及び81Kに印加する現像バイアスの値をそれぞれ個別に調整することができる。
制御部110には、Y用の帯電電源12Yと、C用の帯電電源12Cと、M用の帯電電源12Mと、K用の帯電電源12Kとが電気的に接続されている。制御部110は、帯電電源12Yに対して制御信号を出力して、帯電電源12Yから出力される帯電バイアスにおける直流電圧の値を制御でき、帯電電源12Cに対して制御信号を出力して、帯電電源12Cから出力される帯電バイアスにおける直流電圧の値を制御できる。また帯電電源12Mに対して制御信号を出力して、帯電電源12Mから出力される帯電バイアスにおける直流電圧の値を制御でき、帯電電源12Kに対して制御信号を出力して、帯電電源12Kから出力される帯電バイアスにおける直流電圧の値を制御できる。つまり、Y、C、M、及びK用の帯電ローラ71Y、71C、71M、及び71Kに印加する帯電バイアスの直流電圧の値をそれぞれ個別に調整することができる。
制御部110には、Y用の感光体20Yが所定の回転姿勢になったことを検知するための感光体回転センサー76Yと、C用の感光体20Cが所定の回転姿勢になったことを検知するための感光体回転センサー76Cが電気的に接続されている。また制御部110には、M用の感光体20Mが所定の回転姿勢になったことを検知するための感光体回転センサー76Mと、K用の感光体20Kが所定の回転姿勢になったことを検知するための感光体回転センサー76Kが電気的に接続されている。
制御部110は、感光体回転センサー76Yからの出力に基づいて、感光体20Yが所定の回転姿勢になったことを把握でき、感光体回転センサー76Cからの出力に基づいて感光体20Cが所定の回転姿勢になったことを把握できる。また制御部110は、感光体回転センサー76Mからの出力に基づいて、感光体20Mが所定の回転姿勢になったことを把握でき、感光体回転センサー76Kからの出力に基づいて、感光体20Kが所定の回転姿勢になったことを把握できる。
制御部110には、現像装置80Yのスリーブ回転センサー83Yと、現像装置80Cのスリーブ回転センサー83Cと、現像装置80Mスリーブ回転センサー83Mと、現像装置80Kのスリーブ回転センサー83Kが電気的に接続されている。
スリーブ回転センサー83Y、83C、83M、及び83Kは、回転姿勢検知手段の一例である。スリーブ回転センサー83Yは、感光体回転センサー76Yと同様の構成により、現像スリーブ81Yが所定の回転姿勢になったことを検知し、スリーブ回転センサー83Cは、感光体回転センサー76Cと同様の構成により、現像スリーブ81Cが所定の回転姿勢になったことを検知する。スリーブ回転センサー83Mは、感光体回転センサー76Mと同様の構成により、現像スリーブ81Mが所定の回転姿勢になったことを検知し、スリーブ回転センサー83Kは、感光体回転センサー76Kと同様の構成により、現像スリーブ81Kが所定の回転姿勢になったことを検知する。つまり、制御部110は、スリーブ回転センサー83Y、83C、83M、及び83Kからの出力に基づいて、現像スリーブ81Y、81C、81M、及び81Kについて所定の回転姿勢になったタイミング
を個別に把握することができる。
制御部110には、書込制御部125と、環境センサー124と、光学センサーユニット150と、プロセスモーター120と、転写モーター121と、レジストモーター122と、給紙モーター123等が電気的に接続されている。
環境センサー124は、機内の温度や湿度を検知する。プロセスモーター120は、作像ユニット18Y、18C、18M、及び18Kの駆動源になるモーターである。転写モーター121は、中間転写ベルト10の駆動源になるモーターである。レジストモーター122は、レジストローラ対47の駆動源になるモーターである。
給紙モーター123は、給紙装置200の給紙カセット201から記録シート5を送り出すためのピックアップローラ202の駆動源になるモーターである。書込制御部125は、画像情報に基づいてレーザー書込装置21の駆動を制御する。光学センサーユニット150の役割については、以下のプロセスコントロール処理の説明の中で述べる。
画像形成装置1は、環境変動などに関わらず画像濃度を長期間に渡って安定化させるために、所定のタイミングでプロセスコントロール処理と呼ばれる制御を定期的に実施する。
プロセスコントロール処理では、制御部110は、感光体20Yに複数のパッチ状Yトナー画像からなるYパッチパターン画像を作像し、それを中間転写ベルト10に転写する。複数のパッチ状Yトナー画像のそれぞれは、Yトナー画像濃度を検知するためのトナー画像である。
制御部110は、同様にして、感光体20CにCパッチパターン画像を作像し、感光体20MにMパッチパターン画像を作像し、感光体20KにKパッチパターン画像を作像する。制御部110はそれらを重ね合わさないように中間転写ベルト10に転写する。
光学センサーユニット150は、各トナー画像パターンにおけるトナー画像濃度を検出する。制御部110は、検出結果に基づいて、作像ユニット18Y、18C、18M、及び18Kについてそれぞれ現像バイアスVbの基準値である現像バイアス基準値等の作像条件を個別に調整する。
光学センサーユニット150は、中間転写ベルト10のベルト幅方向に所定の間隔をおいて並ぶ複数の反射型フォトセンサーを有する。各反射型フォトセンサーは、中間転写ベルト10や中間転写ベルト10上のトナー画像パターンの光反射率に応じた信号を出力する。複数の反射型フォトセンサーに関して、4つの作像色のうち、YはYトナー画像濃度,CはCトナー画像濃度、MはMトナー画像濃度に応じた出力をするように、ベルト表面上における正反射光及び拡散反射光の両方をとらえて、それぞれの光量に応じた出力を行う。K色は、Kトナー画像濃度に応じた出力をするようにベルト表面上における正反射光をとらえて光量に応じた出力を行う。
制御部110は、主電源の投入時や、所定時間経過した後の待機時、所定枚数以上のプリントを出力したあとの待機時など、所定のタイミングで、プロセスコントロール処理を実施する。
制御部110はプロセスコントロール処理を開始すると、まず、通紙枚数、印字率、温度、及び湿度等の環境情報を取得した後、作像ユニット18Y、18C、18M、及び18Kの各現像特性を把握する。具体的には、それぞれの色について、現像γと現像開始電圧を算出する。より詳しくは、感光体20Y、20C、20M、及び20Kを回転させながらそれぞれを一様に帯電させる。この帯電では、帯電電源12Y、12C、12M、及び12Kから出力する帯電バイアスとして、通常のプリント時とは異なるものを出力する。詳しくは、重畳バイアスからなる帯電バイアスの直流電圧及び交流電圧のうち、直流電圧の絶対値を一様な値ではなく、徐々に大きくしていく。このような条件で帯電させた感光体20Y、20C、20M、及び20Kに対し、レーザー書込装置21によるレーザー光の走査を施して、Yパッチパターン画像、Cパッチパターン画像、Mパッチパターン画像、及びKパッチパターン画像用の静電潜像を複数形成する。
現像装置80YはYトナー画像パターンの潜像を現像し、感光体20Y上にYパッチパターン画像を作像する。現像装置80CはCパッチパターン画像の潜像を現像し、感光体20C上にCパッチパターン画像を作像する。現像装置80MはMパッチパターン画像の潜像を現像し、感光体20M上にMパッチパターン画像を作像する。現像装置80KはKパッチパターン画像の潜像を現像し、感光体20K上にKパッチパターン画像を作像する。
尚、現像の際に、制御部110は、各色の現像スリーブ81Y、81C、81M、及び81Kに印加する現像バイアスの絶対値をそれぞれ徐々に大きくしていく。このとき、各トナー画像パターンにおける静電潜像電位と、現像バイアスとの差分を現像ポテンシャルとしてRAM113に記憶する。
光学センサーユニット150は、互いにベルト幅方向の異なる位置に反射型フォトセンサーを設置するため、各反射型フォトセンサーの設置位置で光反射特性を検知可能である。しかし本実施形態では、設置位置毎に対応する色を固定するのではなく、制御部110からの設定で、設置位置毎に対応する色を変更可能とする。つまり、反射型フォトセンサーの位置毎に色を固定することや、ベルト幅方向全ての反射型フォトセンサーを1色に対応させることを可能とする。
制御部110は、光学センサーユニット150の反射型フォトセンサーから順次送られてくる出力信号に基づいて、各色のトナー画像パターンの光反射率を演算し、演算結果に基づいてトナー画像濃度を求めてRAM113に格納する。
制御部110は、次に、RAM113に格納されたトナー画像濃度と、それとは別にRAM113に格納された各パッチパターン画像における潜像電位のデータと現像バイアスVbのデータとに基づき直線近似式を算出する。制御部110は、近似直線式に基づいて、目標のトナー画像濃度を実現する現像ポテンシャルVpを求め、その現像ポテンシャルVpを実現する現像バイアスVbである現像バイアス基準値及び帯電バイアス基準値、並びに光書込強度を求める。これらの結果については、不揮発性メモリ114に格納する。
制御部110は、このような現像バイアス基準値及び帯電バイアス基準値、並びに光書込強度の算出と格納を、Y、C、M、及びKの各色で行い、プロセスコントロール処理を終了する。
プリントジョブでは、制御部110は、色毎に不揮発性メモリ114に格納された現像バイアス基準値に基づいた値の現像バイアスVbを、現像電源11Y、11C、11M、及び11Kから出力させる。また、制御部110は、色毎に不揮発性メモリ114に格納された帯電バイアス基準値に基づいた値の帯電バイアスVdを、帯電電源12Y、12C、12M、及び12Kから出力させる。或いは、制御部110は、光書込強度の算出値に基づいたLDパワーをレーザー書込装置21から出力させる。
このようなプロセスコントロール処理を実行して目標のトナー画像濃度を実現する現像バイアス基準値、帯電バイアス基準値、及び光書込強度を決定することで、画像全体における各色の画像濃度を長期間に渡って安定化させることができる。
ところで、図7では電気回路の構成と画像濃度の安定化処理について述べたが、画像形成装置1が形成する画像は、濃度が一定にならないことがある。例えば、色毎での感光体と現像スリーブとの間の現像ギャップの変動に起因して、頁内での周期的な画像濃度ムラが発生する場合がある。ギャップ変動は、感光体20Yと現像スリーブ81Y、感光体20Cと現像スリーブ81C、感光体20Mと現像スリーブ81M、及び感光体20Kと現像スリーブ81Kそれぞれの現像ギャップの変動である。現像ギャップの変動を、以下では、ギャップ変動と称する場合がある。
また以下では説明を簡略化するためにY色を例に説明する場合があるが、上述したように、4つの作像ユニットは互いにほぼ同様の構成であるため、他の色でも同様である。
画像濃度ムラは、感光体20Yの回転周期で発生するものと、現像スリーブ81Yの回転周期で発生するものが重畳されて発生する。具体的には、感光体20Yの回転軸が偏心していると、感光体20Yの1回転(1周期)あたりでサインカーブ状の変動曲線となるギャップ変動が生ずる。感光体20Yの回転周期は、「第1の周期」の一例であり、現像スリーブ81Yの回転周期は、「第2の周期」の一例である。
図8は、このような現像ギャップの変動を説明する図である。(a)は現像ギャップを模式的に説明する図である。(b)の上段のグラフは、感光体20Yの回転に伴う感光体回転センサー76Yの検出信号を示している。(b)の中段のグラフは、感光体20Yの回転軸が偏心している場合に、感光体20Yの回転に伴い、光学センサーユニット150で検出される電圧信号の時間変化を示している。(b)の下段のグラフは、(b)の電圧信号の時間変化から抽出した周期変動成分を示している。
ギャップ変動により、感光体20Yと、現像スリーブ81Yとの間に形成される現像電界にも、感光体20Yの1回転でサインカーブ状の変動曲線となる電界強度変動が生ずる。電界強度変動により、感光体1回転あたりでサインカーブ状の変動曲線となる画像濃度ムラが発生する。
また、感光体20Yの表面の外形には、少なからず歪みがある。この歪みに応じ、感光体20Yの1回転あたりで、上記と同様な特性の周期的なギャップ変動に起因する画像濃度ムラが発生する。更には、現像スリーブ81Yの偏心や外形歪みにより、現像スリーブ81Yの1回転のギャップ変動に起因する周期的な画像濃度ムラが発生する。
画像濃度ムラには、感光体20Yの偏心及び歪みと、現像スリーブ81Yの偏心及び歪みによるギャップ変動に起因するものが重畳される。
制御部110は、このような画像濃度ムラを抑制するために、プリントジョブ時において、以下のような補正処理を実行する。即ち、制御部110は、感光体20Yの回転周期で発生する画像濃度ムラを相殺することが可能な現像電界強度変動を生じせしめるための現像変動補正データを不揮発性メモリ114に格納する。また、現像スリーブ81Yの回転周期で発生する画像濃度ムラを相殺することが可能な現像電界強度変動を生じせしめるための現像変動補正データを不揮発性メモリ114に格納する。
以下、前者の現像変動補正データを感光体周期用の現像変動補正データと称する。また、後者の現像変動補正データをスリーブ周期用の現像変動補正データと称する。
感光体周期用の現像変動補正データは、感光体20Yの1回転周期分の現像変動補正データであって、且つ感光体20Yの基準姿勢タイミングを原点とする現像変動データを表している。現像変動データは、プロセスコントロール処理で決定されたY用の現像バイアス基準値を基準にして現像電源11Yからの現像バイアスの出力を補正するためのものである。
例えば、データテーブル方式のデータである場合には、基準姿勢タイミングから1周期分の期間内において、所定の時間間隔毎の現像バイアス出力差分を示すデータ群が格納されている。そのデータ群の先頭のデータが基準姿勢タイミングにおける現像バイアス出力差分を示し、二番目、三番目、四番目・・・のデータが以降における所定の時間間隔毎の現像バイアス出力差分を示す。
0、-5、-7、-9・・・というデータ群からなる現像変動補正データは、基準姿勢タイミングから所定の時間間隔毎の現像バイアス出力差分を0[V]、-5[V]、-7[V]、-9[V]・・・にすることを表している。感光体回転周期で発生する画像濃度ムラを抑えるだけであれば、これらの値を現像バイアス基準値に重畳した値の現像バイアスを、現像電源11Yから出力させればよい。
しかし本実施形態では、現像スリーブ回転周期で発生する画像濃度ムラも併せて抑制する。そのため、感光体回転周期の画像濃度ムラを抑えるための現像バイアス出力差分と、現像スリーブ回転周期の画像濃度ムラを抑えるための現像バイアス出力差分とを重畳させる。
Y用のスリーブ周期用の現像変動補正データは、現像スリーブ81Yの1回転周期分のデータであって、且つ現像スリーブ81Yの基準姿勢タイミングを基準にした現像変動補正データを表している。これらの現像変動補正データは、基準値を決定する処理であるプロセスコントロール処理で決定されたY用の現像バイアス基準値を基準にして、現像電源11Yからの現像バイアスの出力を補正するためのものである。
データテーブル方式のデータの場合には、そのデータ群の先頭のデータが基準姿勢タイミングにおける現像バイアス出力差分を示しており、二番目、三番目、四番目・・・のデータが以降における所定の時間間隔毎の現像バイアス出力差分を示している。その時間間隔は、感光体周期用の現像変動補正データのデータ群が反映している時間間隔と同じになっている。
制御部110は、作像処理において、Yに対応する感光体周期用の現像変動補正データから所定の時間間隔でデータを読み込む。データの読み込みにおいて、データ群の最後まで読み込んでも基準姿勢タイミングに到来しない場合には、基準姿勢タイミングに到来するまでデータを、最後に読み込んだデータと同じ値にする。また、データ群の最後まで読み込む前に基準姿勢タイミングが到来した場合には、基準姿勢タイミングのデータを、最初に読み込んだデータと同じ値にする。
尚、感光体周期用の現像変動補正データからのデータ読み込みでは、感光体回転センサー76Yから基準姿勢タイミング信号が送られてきたタイミングを、基準姿勢タイミングとする。また、スリーブ周期用の現像変動補正データからのデータ読み込みでは、スリーブ回転センサー83Yから基準姿勢タイミング信号が送られてきたタイミングを、基準姿勢タイミングとする。
このようなデータの読み込みを行う過程で、感光体周期用の現像変動補正データから読み込んだデータと、スリーブ周期用の現像変動補正データから読み込んだデータとを加算して重畳値を求める。例えば、感光体周期用の現像変動補正データから読み込んだデータが-5[V]であり、スリーブ周期用の現像変動補正データから読み込んだデータが2[V]であった場合には、-5[V]と2[V]とを加算して重畳値を-3[V]として求める。そして、例えば現像バイアス基準値が-550[V]である場合には、重畳値の加算によって求められる-553[V]を現像電源から出力させる。
このような処理を所定の時間間隔毎に行う。これにより、感光体20Yと現像スリーブ81Yとの間の現像電界に、次の2つの電界強度変動を重畳した電界強度変動を相殺し得る電界強度変動を発生させる。即ち、1つ目は、感光体20Yの偏心や外形歪みによる感光体回転周期で発生するギャップ変動に起因する電界強度変動である。2つ目が、現像スリーブ81Yの偏心や外形歪みによるスリーブ回転周期で発生する電界強度変動である。
このようにすることで、感光体20Yや、現像スリーブ81Yの回転姿勢にかかわらず、ほぼ一定の現像電界を感光体20Yと現像スリーブ81Yとの間に形成する。これにより、感光体回転周期で発生する画像濃度ムラと、スリーブ回転周期で発生する画像濃度ムラとの両方が補正され、抑制される。
各色の感光体周期用の現像変動補正データと、各色のスリーブ周期用の現像変動補正データは、所定の時期に構築される。この所定の時期は、工場出荷後の初めのプリントジョブを実行する時期、すなわち初期起動時期である。また作像ユニット18Yの交換を検知した時期、すなわち交換検知時期である。
初期起動時期では、4つの作像ユニット18Y、18C、18M、及び18Kにおいて、感光体周期用の現像変動補正データが構築される。また、全ての色について、スリーブ周期用の現像変動補正データが構築される。
一方、交換検知時期では、4つの作像ユニット18Y、18C、18M、及び18Kのうち、交換が検知された作像ユニットについてのみ、感光体周期用の現像変動補正データとスリーブ周期用の現像変動補正データとが構築される。作像ユニットの交換を検知するために、作像ユニット18Yにはユニット着脱センサー17Y、作像ユニット18Cにはユニット着脱センサー17Cが設けられている。また作像ユニット18Mにはユニット着脱センサー17M、作像ユニット18Kにはユニット着脱センサー17Kが設けられている(図7参照)。
初期起動時期における構築処理では、制御部110は、先ずYトナー像からなるY濃度変動検知用トナー画像を感光体20Y上に作像する。次にそれらの濃度変動検知用トナー画像を中間転写ベルト10に一次転写する。このとき、Y濃度変動検知用トナー画像は、感光体20Yの回転周期で発生するトナー画像濃度変動を検知するために、ベルト移動方向において、感光体20Yの周長よりも大きな長さで形成される。
ところで、各色の濃度変動検知用トナー画像の中間転写ベルト10上の形成位置は、中間転写ベルト10の移動方向において最大で感光体20Yの周長と同じ値ほどずれる場合がある。これは、例えば、制御部110は各色でそれぞれ、濃度変動検知用トナー画像の先端位置と感光体の周方向における基準位置(基準姿勢タイミングで現像領域に進入する感光体表面位置)とを一致させるように、濃度変動検知用トナー画像の作像を開始するためである。つまり、各色の濃度変動検知用トナー画像は、その先端を感光体の周方向における基準位置に一致させるように作像される。なお、濃度変動検知用トナー画像は、例えば、ベタトナー画像、或いは中間調トナー画像等として形成される。
また、制御部110は、構築処理をプロセスコントロール処理とセットで行う。具体的には、構築処理を実行する直前にプロセスコントロール処理を実行して現像バイアス基準値を決定しておく。プロセスコントロール処理の直後に実行する構築処理において、プロセスコントロール処理で決定した現像バイアス基準値の条件で各色の濃度変動検知用トナー画像を現像する。
このため、理論的には、各色の濃度変動検知用トナー画像は目標トナー画像濃度になるように作像されるが、実際には現像ギャップ変動によって微妙な濃度変動が出現してしまう。各色の濃度変動検知用トナー画像の作像を開始してから(静電潜像の書き込みを開始してから)、各色の濃度変動検知用トナー画像の先端を光学センサーユニット150の反射型フォトセンサーによる検知位置に進入させるまでのタイムラグは、色毎に異なった値である。但し、同じ色であれば、経時的に一定の値である(以下、この値を書込-検知タイムラグという)。
制御部110は、色毎にそれぞれ書込-検知タイムラグを不揮発性メモリ114に予め格納する。そして、色毎にそれぞれ濃度変動検知用トナー画像の作像を開始した後、書込-検知タイムラグが経過した時点から、反射型フォトセンサーからの出力のサンプリング、すなわちトナー画像濃度の検出データの取得を開始する。トナー画像濃度の検出では、感光体回転の1周期に渡って、所定の時間間隔毎に繰り返し行う。時間間隔は、出力調整処理で用いる現像変動補正データの個々のデータを読み込む時間間隔と同じである。
制御部110は、色毎にそれぞれ、トナー画像濃度の検出データに基づいて、トナー画像濃度と時間(又は感光体表面位置)との関係を示す検出データの時間変化のグラフを作成し、その検出データの時間変化から、二つの濃度変動データを抽出する。一つ目は、感光体の回転周期で発生する第1の濃度変動データである。二つ目は、現像スリーブの回転周期で発生する第2の濃度変動データである。
制御部110は、色毎にそれぞれ、上述の検出データに基づいて、第1の濃度変動データを抽出すると、トナー画像濃度平均値を算出する。このトナー画像濃度平均値は、感光体回転一周期における現像ギャップの変動の平均値をほぼ反映した値になる。
次に制御部110は、トナー画像濃度平均値を基準にして、感光体回転周期の濃度変動を相殺するための感光体周期用の現像変動補正データを構築する。
具体的には、濃度変動に含まれる複数のトナー画像濃度データにそれぞれ個別に対応するバイアス出力差分を算出する。そのバイアス出力差分は、トナー画像濃度平均値を基準にするものである。トナー画像濃度平均値と同じ値のトナー画像濃度データに対応するバイアス出力差分については、ゼロとして算出する。
また、トナー画像濃度平均値よりも大きいトナー画像濃度データに対応するバイアス出力差分については、そのトナー画像濃度とトナー画像濃度平均値との差分に応じたプラス極性の値として算出する。プラス極性のバイアス出力差分であるので、マイナス極性の現像バイアスを現像バイアス基準値よりも低い値(絶対値の小さい値)に変化させるデータである。
トナー画像濃度平均値よりも小さいトナー画像濃度データに対応するバイアス出力差分については、そのトナー画像濃度とトナー画像濃度平均値との差分に応じたマイナス極性の値として算出する。マイナス極性のバイアス出力差分であるので、マイナス極性の現像バイアスを現像バイアス基準値よりも高い値(絶対値の大きい値)に変化させるデータである。
このようにして、個々のトナー画像濃度データに対応するバイアス出力差分を求め、それらを順に並べたデータを感光体周期用の現像変動補正データとして構築する。
また、制御部110は、色毎にそれぞれ、上述の検出データに基づいて、第2の濃度変動データを抽出すると、トナー画像濃度平均値を算出する。このトナー画像濃度平均値は、現像スリーブ回転一周期における現像ギャップの変動の平均値をほぼ反映した値になる。
次に制御部110は、トナー画像濃度平均値を基準にして、現像スリーブ回転周期の濃度変動を相殺するためのスリーブ周期用の現像変動補正データを構築する。その具体的な構築方法は、感光体周期用の現像変動補正データを構築する方法と同様である。
上述したように感光体や現像スリーブの偏心に起因する濃度ムラを補正する際には、光学センサーユニット150による検出データからトナー画像濃度を算出し、トナー画像濃度平均値を基準とした差分値を算出して補正を行う。光学センサーユニット150による検出データからトナー画像濃度を算出する際は、ノイズ等の影響で検出値が変動するため、複数の連続する検出データの平均値からトナー画像濃度を算出してノイズの影響を抑制する。或いは注目点の前後N点の検出データから中央値をトナー画像濃度として算出することで、ノイズの影響を抑制する。これらは一般的な方法として行われている。
図9は、トナー画像濃度算出時の誤差を示す図である。一例として、注目点と、その前後N点の検出データの中間値を注目点のデータとして置換したとする。図中の×印は、ノイズの影響により発生した突出した検出データを示す。図中の灰色の○は、置換後の検出データである。図示されているように、検出データを取得する時間間隔に対してノイズによる検出データの変動レベルが大きい場合は、注目点の前後の検出データにノイズが含まれる。この場合、上記方法で中間値に置換してもノイズの影響を効果的に除去できない場合がある。
このようなノイズは、トナー画像濃度平均値を算出する際にはデータとして丸められるため影響は小さい。しかし感光体周期の現像変動補正データやスリーブ周期の現像変動補正データを構築する場合には、トナー画像濃度平均値を基準とした各時点でのトナー画像濃度差分値の算出において、誤差として影響が出やすい。そのため効果的な濃度補正が出来ない場合がある。
複数の連続する検出データの平均値を使用する場合においても同様に、検出データを取得する時間間隔に対してノイズによる検出データの変動レベルが大きい場合は、ノイズの影響を効果的に除去できない場合がある。
そこで、本実施形態の制御部110は、光学センサーユニット150による検出データから、感光体や現像スリーブの偏心等による周期的な濃度変動を表す疑似データを生成する。疑似データと検出データを比較し、差分が大きい場合は疑似データに近づける方向に検出データを置換する。以下にこの詳細を説明する。
図10は、本実施形態の制御部110の構成要素を機能ブロックで示す図である。
尚、図10に示される各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部又は一部を、任意の単位で機能的又は物理的に分散・結合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU111にて実行されるプログラムにて実現され、或いはワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
制御部110は、検知用トナー画像形成部125と、検出データ取得部126と、周波数解析部127と、疑似データ生成部128と、データ置換部129と、画像濃度ムラ補正部130とを有する。
検知用トナー画像形成部125は、所定の時期に中間転写ベルト10上に、各色の濃度変動検知用トナー画像を形成する。検知用トナー画像形成部125は、「検知用トナー画像形成手段」の一例である。
検出データ取得部126は、光学センサーユニット150が検出した濃度変動検知用トナー画像のトナー画像濃度を所定の時間間隔で取得する。取得された検出データはRAM113に格納される。検出データ取得部126は、「検出データ取得手段」の一例である。
周波数解析部127は、光学センサーユニット150により検出され、RAM113に格納された検出データを取得する。周波数解析部127は、検出データの時間変化を周波数解析し、検出データの周期成分における位相データと振幅データを算出する。算出された位相データと振幅データは、それぞれ疑似データ生成部128に出力される。尚、周波数解析の方法としては、例えば、フーリエ変換や直交検波等の手法が挙げられる。検出データには感光体の回転周期の成分と現像スリーブの回転周期成分とが含まれるが、周波数解析により各成分を独立して抽出することができる。
疑似データ生成部128は、入力された位相データ及び振幅データと、取得された検出データとに基づき、疑似データを生成する。疑似データは、疑似データと検出データの比較により、一定条件下で検出データを置換するために使用される。周波数解析部127及び疑似データ生成部128は、「疑似データ生成手段」の一例である。
疑似データは、濃度変動の振幅データ及び位相データで表現される波形と、検出データから算出されるトナー画像濃度平均値の足し合わせで表現される。生成されたデータはRAM113に格納される。
データ置換部129は、RAM113を参照して、検出データと疑似データを取得する。またデータ置換部129は、不揮発性メモリ114を参照し、検出データの置換の際に用いる閾値を取得する。閾値は、「規定値」の一例である。
データ置換部129は、所定の時間間隔のタイミング毎に、検出データと疑似データの差分を算出し、差分が閾値より大きい場合は、検出データと疑似データの差分が小さくなる方向に検出データを置換する。置換された検出データは、RAM113に格納される。データ置換部129は、「置換手段」の一例である。
画像濃度ムラ補正部130は、置換された検出データを用いて周期的な濃度ムラを補正するパラメータを算出する。このパラメータは、濃度ムラの補正のために、現像バイアス基準値、帯電バイアス基準値、及び光書込強度等を設定するための値である。画像濃度ムラ補正部130は、算出されたパラメータに応じて、現像バイアス基準値、帯電バイアス基準値、及び光書込強度等を設定し、濃度ムラを補正する。画像濃度ムラ補正部130は、「補正手段」の一例である。
尚、これらの機能は、上述したようにROM112に格納されたプログラムを、CPU111が実行することで実現可能であり、またワイヤードロジックによるハードウェアでも実現可能である。CPU111により実現する場合、回路規模を削減可能という効果が得られる。
図11は、本実施形態の制御部110による処理を示すフローチャートである。
先ず、検知用トナー画像形成部125は、所定の時期に中間転写ベルト10上に、各色の濃度変動検知用トナー画像を形成する(ステップS100)。所定の時期とは、主電源の投入時や、所定時間経過した後の待機時、所定枚数以上のプリントを出力した後の待機時などである。
濃度変動検知用トナー画像を形成するタイミングで、感光体回転センサー76Yは感光体20の基準姿勢タイミングを検知する。同様に、感光体回転センサー76Cは感光体20Cの基準姿勢タイミングを、感光体回転センサー76Mは感光体20Mの基準姿勢タイミングを、感光体回転センサー76Kは感光体20Kの基準姿勢タイミングを検知する。
またスリーブ回転センサー83Yは現像スリーブ81Yの基準姿勢タイミングを検知する。同様に、スリーブ回転センサー83Cは現像スリーブ81Cの基準姿勢タイミングを、スリーブ回転センサー83Mは現像スリーブ81Mの基準姿勢タイミングを、スリーブ回転センサー83Kは現像スリーブ81Kの基準姿勢タイミングを検知する。
基準姿勢タイミングを検出した時点から、検出データ取得部126は、光学センサーユニット150が検出した濃度変動検知用トナー画像のトナー画像濃度を所定の時間間隔で取得する(ステップS101)。検出データ取得部126は、検出データをRAM113に格納する。
尚、光学センサーユニット150は、中間転写ベルト10の主走査方向に複数個配置される。そのため、光学センサーユニット150は、主走査方向の配置位置毎でトナー画像濃度データを検出することができる。
次に、制御部110は、トナー画像濃度データの検出において、感光体20Y、20C、20M、及び20Kと、現像スリーブ81Y、81C、81M、及び81Kのそれぞれが、N(任意の整数)周回転したかを判断する(ステップS102)。
濃度変動検知用トナー画像は、感光体と現像スリーブのうち、口径の大きい方の1周分の周長以上の長さで形成される必要がある。トナー画像濃度データの検出の際は、感光体と現像スリーブの回転ムラや検出ノイズ等の影響を受ける場合があるため、感光体と現像スリーブを複数周回転させて検出データを取得し、平均化することが望ましい。そのため、N周の回転が完了するまでトナー画像濃度データの検出が行われる。
N周回転していないと判断された場合(ステップS102、No)、ステップS101に戻り、濃度変動検知用トナー画像の検出が継続される。
N周回転したと判断された場合(ステップS102、Yes)、周波数解析部127は、RAM113を参照して検出データを取得し、周波数解析処理を実行する。周波数解析部127は、周波数解析により検出データの時間変化における位相データと振幅データを算出する。感光体20Yと現像スリーブ81Y、感光体20Cと現像スリーブ81C、感光体20Mと現像スリーブ81M、及び感光体20Kと現像スリーブ81Kのそれぞれの位相データと振幅データが算出される(ステップS103)。
複数周分の検出データの周毎で、位相データと振幅データがそれぞればらつく場合がある。そのため、本実施形態では、周毎の検出データの時間変化に対して、周波数解析処理を実行し、振幅データA1、A2、・・・、Anと、位相データθ1、θ2、・・・、θnを算出する。尚、振幅Aと位相θの添え字は周回数を意味する。
次に、疑似データ生成部128は、振幅データA1、A2、・・・、Anと、位相データθ1、θ2、・・・、θnを用いて、感光体20Yと現像スリーブ81Y、感光体20Cと現像スリーブ81Cのそれぞれの濃度変動を表す疑似データを生成する。同様に、疑似データ生成部128は、感光体20Mと現像スリーブ81M、及び感光体20Kと現像スリーブ81Kのそれぞれの濃度変動を表す疑似データを生成する(ステップS104)。疑似データは、濃度変動の振幅データ及び位相データで表現される時間変化波形と、検出データから算出されるトナー画像濃度平均値の足し合わせで表現される。これらは、RAM113に格納される。
次に、データ置換部129は、RAM113を参照して、検出データと疑似データを取得し、時間間隔毎に差分を算出する(ステップS105)。つまり検出データの時間変化と、疑似データの時間変化において、時間間隔毎に両者の差分を算出する。またデータ置換部129は、不揮発性メモリ114を参照して閾値を取得する。
次に、データ置換部129は、差分が閾値より大きいかを判断する(ステップS106)。
差分が閾値より大きい場合(ステップS106、Yes)は、データ置換部129は、検出データの時間変化における検出データを置換する(ステップS107)。データ置換部129は検出データと疑似データの差分が小さくなる方向に検出データを置換する。置換された検出データは、RAM113に再格納される。検出データを置換する手法についてはここでは問わない。
一方、閾値より小さい場合(ステップS106、No)は、検出データを置換しない。
尚、閾値は、データ置換処理の間で一定としても良いし、可変としても良い。例えば、感光体や現像スリーブの1周ごとの検出データから得られるトナー画像濃度平均値の所定の割合(何%か)を閾値とし、1周毎に閾値を変更しても良い。上述したように、感光体や現像スリーブは回転ムラ等によって周毎に振幅データ及び位相データがばらつくため、1周毎に閾値を変えることが望ましい。
次に、制御部110は、N周分の濃度変動検知用トナー画像の検出データについて、ステップS105~S107の処理が実行されたかを判断する(ステップS108)。
N周分実行されたと判断された場合(ステップS108、Yes)、周波数解析部127は、RAM113を参照してデータ置換後のN周分の検出データを取得する。周波数解析部127は、再度周波数解析処理を実行し、振幅データと位相データを算出する(ステップS109)。
具体的には、感光体や現像スリーブの基準姿勢タイミングを先頭にして一周期分毎に検出データを切り出す。N周分の切り出した検出データの時間変化を得たら、基準姿勢タイミングを同期させる状態で、切り出した検出データの時間変化を重ねて平均化処理を行って平均的な検出データの時間変化を求める。この平均的な検出データの時間変化に対して周波数解析処理を実行し、振幅データと位相データを算出する。個々の切り出し検出データの時間変化は、ノイズとして回転周期と異なる周期変動成分を含んでいるが、平均化処理により、このようなノイズは低減される。
一方、N周分実行されていないと判断された場合(ステップS108、No)、制御部110は、ステップS105~S107の処理を継続して実行する。
次に、画像濃度ムラ補正部130は、置換された検出データを用いて周期的な濃度ムラを補正するパラメータを算出する。画像濃度ムラ補正部130は、算出されたパラメータに応じて、現像バイアス基準値、帯電バイアス基準値、及び光書込強度等を設定し、濃度ムラを補正する(ステップS110)。
このようにして、画像濃度ムラの補正精度を確保することができる。
ここで、図12は、第1の実施形態の検出データの置換結果の一例を示す図である。図9の説明と同様に、図中の×印はノイズの影響により発生した突出した検出データを示す。図中の灰色の○は、置換後の検出データである。図11に示した処理を実行することで、疑似データとの差分が閾値より大きい検出データは、疑似データに近付ける方向に置換される。
疑似データは、検出データの時間変化における平均的なデータを示しているといえるため、この置換により、平均的なデータから外れた検出データが平均的なデータに近付けられる。これにより検出の時間間隔に対して変動レベルの大きいノイズの影響が抑制される。
画像濃度ムラ補正部130は、ノイズの影響が抑制された検出データを使用して補正パラメータを算出し、画像濃度ムラを補正することで、画像濃度ムラの補正精度を確保することができる。
ところで、ステップS100の説明で述べたように、上記の処理は所定の時期に実行される。例えば、第1の時期として、画像形成装置1の電源ON後に画像形成装置1が出力するトナーの濃度調整やトナーの出力位置調整等が実施される時期である。この場合は、感光体や現像スリーブ複数周回分の濃度変動検知用トナー画像が取得され、画像濃度ムラの補正処理が実行されることで、補正精度が向上する。
第2の時期としては、画像形成装置1が規定の数だけ画像形成を行った時期である。第2の時期では、規定の数だけ画像形成され、その後も継続して画像形成する必要が有る場合がある。この場合、画像形成中の画像は全て排紙まで完了してから、感光体や現像スリーブの複数周回分の濃度変動検知用トナー画像が形成されて検出され、画像濃度ムラの補正後、画像形成が再開される。そのため、画像形成が行なえない時間、所謂ダウンタイムが長くなる。
このようなダウンタイムを抑制して画像濃度ムラを補正する場合は、画像形成装置1は、画像形成中における1つの画像を形成し、次の画像を形成するまでの間、所謂ページ間において、図11に示した処理を実行する。その場合は、1周分(N=1)の濃度変動検知用トナー画像に対して処理が実行される。
以上説明してきたように、本実施形態によれば、検出データの周波数解析で求めた疑似データを用いて、検出データのうち、ノイズとしての変動レベルが大きい検出データを、検出データと疑似データの差分が小さくなる方向に置換する。置換された検出データを用いて画像濃度ムラを補正する。これによりノイズの影響を抑制し、画像濃度ムラの補正精度を確保することができる。
本実施形態によれば、データ置換部129は、感光体、又は現像スリーブの回転周期毎に異なる閾値を用いて検出データを置換する。これにより、感光体、又は現像スリーブの回転ムラにより振幅が変動しても、変動に応じた閾値を用いて検出データを置換することができ、補正パラメータ算出に使用するデータの誤差を小さくすることができる。
本実施形態によれば、周波数解析部127と、疑似データ生成部128と、データ置換部129と、画像濃度ムラ補正部130の有する機能を、ROM112に格納されたプログラムを、CPU111が実行することで実現する。これにより回路規模を削減することができる。
尚、上記では、検出データから求めた疑似データと検出データとを比較して、検出データを置換する処理を例示したが、これに限定されず、以下のように処理してもよい。
即ち、検出データ取得部126は、取得された検出データに基づいて、感光体の回転周期に応じた第1の濃度変動データと、現像スリーブの回転周期に応じた第2の濃度変動データとを算出する。疑似データ生成部128は、第1の濃度変動データに基づき、第1の疑似データを生成し、第2の濃度変動データに基づき、第2の疑似データを生成する。
データ置換部129は、第1の濃度変動データと第1の疑似データの差分に基づいて第1の濃度変動のデータを置換し、第2の濃度変動データと第2の疑似データの差分に基づいて第2の濃度変動のデータを置換する。
これによれば、感光体の濃度変動と現像スリーブの濃度変動のそれぞれで濃度変動データを置換して画像濃度ムラを補正することで、画像濃度ムラの補正精度を確保することができる。
この場合、データ置換部129は、第1の濃度変動と第1の疑似データの差分に対しては第1の規定値を参照し、第2の濃度変動と第2の疑似データの差分に対しては第2の規定値を参照してもよい。これにより周期の異なる濃度変動に対して閾値を適正化でき、画像濃度ムラの補正精度を確保することができる。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態の画像形成装置の一例を、図13~15を参照して説明する。尚、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
第2の実施形態では、トナーの濃度調整を実施する例を示す。
尚、トナーの濃度調整とは、第1の実施形態で述べたような感光体や現像スリーブの偏心によって生じる周期的な濃度ムラの補正とは異なる。すなわち、画像データの入力値(Y、C、M、K)に対して、規定された出力値(濃度値)で出力されるようなトナー濃度の調整テーブルを更新する処理である。このような調整テーブルは、ガンマ補正テーブルと呼ばれるため、以下ではガンマ補正テーブルと称する。
ガンマ補正テーブルの更新では、Y、C、M、及びKのそれぞれの色について、トナー画像濃度が最小から最大まで順次変化する濃度調整用トナー画像が中間転写ベルト10上に形成される。
本実施形態の画像形成装置1aにおける光学センサーユニット150は、中間転写ベルト10上の濃度調整用トナー画像を検出する。入力データに対する出力データ、すなわち光学センサーユニット150が取得した検出データが、期待するトナー画像濃度になっているかが確認される。
入力データに対して出力データが期待するトナー画像濃度とずれている場合、画像形成装置1aは、トナー画像濃度が期待する出力データの値に近づくように、ガンマ補正テーブルを更新する。
図13は、光学センサーユニット150が取得した濃度調整用トナー画像の検出データの一例を示す図である。図13において、濃度調整用トナー画像は、時刻t0でトナー画像濃度が最大であり、時刻t1にかけて徐々にトナー画像濃度を薄くなり、時刻t1でトナー画像濃度は最小になる。また時刻t2にかけて徐々にトナー画像濃度が濃くなり、時刻t2で最大になる。
ガンマ補正テーブルの更新において、理想的には濃度調整用トナー画像のトナー画像濃度は線形に変化し、トナー画像濃度毎で、入力データに対する出力データが確認できることが望ましい。しかし、感光体や現像スリーブの偏心等で周期的な濃度変動が発生すると、濃度調整用トナー画像に濃度変動が重畳される。図中の実線は理想的な出力特性が得られている場合を示し、破線は濃度変動が重畳した場合を示している。
図示されているように、濃度変動が重畳すると、トナー画像濃度の単調減少中に一部増加したり、大きく減少したりする。このような検出データが取得された場合、検出データの信頼性が低いため、ガンマ補正テーブルの更新処理が中止される。また、中止せず更新処理を実行した場合は、誤ったガンマ補正テーブルが作成されてしまう。
本実施形態では、濃度調整用トナー画像に濃度変動が重畳された場合、濃度変動を相殺することで、より精度が高いガンマ補正テーブルを取得し、ガンマ補正テーブルを更新する。
図14は、本実施形態の制御部110aの構成要素を機能ブロックで示す図である。
制御部110aは、濃度調整用トナー画像形成部131と、減算処理部132と、ガンマ補正テーブル更新部133とを有する。
濃度調整用トナー画像形成部131は、所定の時期に中間転写ベルト10上に、各色の濃度調整用トナー画像を形成する。
減算処理部132は、検出データから入力データを減算し、RAM113に出力する。
ガンマ補正テーブル更新部133は、濃度変動を相殺する振幅データと位相データに基づき、濃度変動を相殺するための相殺波形データを生成する。相殺波形データを検出データに加算することで、検出データに含まれる濃度変動を除去する。また、ガンマ補正テーブル更新部133は、濃度変動が除去された検出データに基づき、ガンマ補正テーブルの更新処理を実行する。
図15は、本実施形態の制御部110aによる処理の一例を示すフローチャートである。
先ず、濃度調整用トナー画像形成部131は、所定の時期に中間転写ベルト10上に、各色の濃度調整用トナー画像を形成する(ステップS200)。所定の時期とは、主電源の投入時や、所定時間経過した後の待機時、所定枚数以上のプリントを出力した後の待機時等である。
尚、本実施形態では、感光体や現像スリーブの偏心に起因する濃度ムラ周期を抽出するために、濃度調整用トナー画像は、副走査方向(用紙の搬送方向)に感光体や現像スリーブ1周分以上の長さを有する。
検出データ取得部126は、光学センサーユニット150が検出した濃度調整用トナー画像を所定の時間間隔で取得する(ステップS201)。取得された検出データはRAM113に格納される。
感光体回転センサー76Yは感光体20の基準姿勢タイミングを検知する。同様に、感光体回転センサー76Cは感光体20Cの基準姿勢タイミングを、感光体回転センサー76Mは感光体20Mの基準姿勢タイミングを、感光体回転センサー76Kは感光体20Kの基準姿勢タイミングを検知する。
またスリーブ回転センサー83Yは現像スリーブ81Yの基準姿勢タイミングを検知する。同様に、スリーブ回転センサー83Cは現像スリーブ81Cの基準姿勢タイミングを、スリーブ回転センサー83Mは現像スリーブ81Mの基準姿勢タイミングを、スリーブ回転センサー83Kは現像スリーブ81Kの基準姿勢タイミングを検知する。
濃度調整用トナー画像の検出と同じ時間間隔で感光体回転センサー76Y、76C、76M、及び76Kと、スリーブ回転センサー83Y、83C、83M、及び83Kの出力値もRAM113に格納される。
次に、減算処理部132は、RAM113を参照して検出データを取得する。減算処理部132は、検出データから入力データを減算する(ステップS202)。濃度調整用トナー画像の入力データは、前述したようにトナー画像濃度が最小から最大に変化するような入力データが予め用意される。
本実施形態では、不揮発性メモリ114に上記の入力データが予め格納されている。減算処理部132は、不揮発性メモリ114を参照して入力データを取得し、減算処理を実行する。減算処理された後の検出データ、すなわち減算後データでは、入力データの線形特性が取り除かれ、周期的な濃度変動ムラが含まれている。減算後データは、検出データとは別に、RAM113に格納される。
次に、周波数解析部127は、RAM113を参照し、減算後データを取得する。周波数解析部127は、減算後データを使用して、感光体と現像スリーブの回転周期に基づき周波数解析を行い、感光体と現像スリーブの偏心等による濃度変動の位相データと振幅データを算出する(ステップS203)。
次に、疑似データ生成部128は、算出された振幅データと位相データに基づき、感光体と現像スリーブによる濃度変動の疑似データを生成してRAM113に格納する(ステップS204)。尚、疑似データは、濃度変動の振幅データ及び位相データで表現される時間変化波形と、減算後データから算出される濃度平均値の足し合わせで表現される。
次に、データ置換部129は、RAM113を参照して、減算後データと疑似データを取得し、時間間隔毎に差分を算出する(ステップS205)。つまり減算後データの時間変化と、疑似データの時間変化において、時間間隔毎に両者の差分を算出する。またデータ置換部129は、不揮発性メモリ114を参照して閾値を取得する。
次に、データ置換部129は、差分が閾値より大きいかを判断する(ステップS206)。
差分が閾値より大きい場合(ステップS206、Yes)は、データ置換部129は、減算後データの時間変化における減算後データを置換する(ステップS207)。データ置換部129は減算後データと疑似データの差分が小さくなる方向に減算後データを置換する。置換された検出データは、RAM113に再格納される。減算後データを置換する手法についてはここでは問わない。
一方、閾値より小さい場合(ステップS206、No)は、減算後データを置換しない。
尚、閾値は、データ置換処理の間で一定としても良いし、可変としても良い。例えば、感光体や現像スリーブの1周ごとの検出データから得られるトナー画像濃度平均値の所定の割合(何%か)を閾値とし、周毎に閾値を変更しても良い。上述したように、感光体や現像スリーブは回転ムラ等によって周毎に振幅データ及び位相データがばらつくため、1周ごとに閾値を変えることが望ましい。
周波数解析部127は、RAM113を参照してデータ置換後の減算後データを取得する。周波数解析部127は、再度、周波数解析処理を実行し、振幅データと位相データを算出する(ステップS208)。
続いて疑似データ生成部128は、濃度変動を相殺する振幅データと位相データに基づき、濃度変動の相殺波形データを生成し、ガンマ補正テーブル更新部133に出力する(ステップS209)。ガンマ補正テーブル更新部133は、相殺波形データを検出データに加算することで、検出データに含まれた濃度変動を除去する。
尚、上述したように、RAM113には、濃度調整用トナー画像の検出と同じ時間間隔で感光体回転センサー76Y、76C、76M、及び76Kと、スリーブ回転センサー83Y、83C、83M、及び83Kの出力値が格納されている。
そのため、ガンマ補正テーブル更新部133は、RAM113を参照することで、濃度調整用トナー画像のどのタイミングで感光体と現像スリーブの基準姿勢タイミングが来たかを把握することができる。ガンマ補正テーブル更新部133は、相殺波形データを検出データに加算する際は、感光体及び現像スリーブの基準姿勢タイミングと、相殺波形データの開始タイミングを一致させて位相を合わせた上で加算する。
次に、ガンマ補正テーブル更新部133は、濃度変動が除去された検出データに基づき、ガンマ補正テーブルの更新処理を実行する。
このようにして、制御部110aは、ガンマ補正テーブルの更新処理を行うことができる。
以上説明してきたように、本実施形態によれば、濃度調整用トナー画像に濃度変動が重畳された場合であっても、濃度変動を相殺することで、より精度が高いガンマ補正テーブルを取得し、ガンマ補正テーブルを更新することができる。
尚、上記以外の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
以上、実施形態に係る画像形成装置、プログラム、画像濃度補正方法、及びトナー画像濃度調整方法について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。