以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態における画像形成装置1の概略構成図を示す図である。以下、本発明を適用した画像形成装置1として、電子写真方式のフルカラー複写機(以下、「複写機」という。)の実施形態について説明する。
まず、実施形態に係る複写機の基本的な構成について説明する。図1において、複写機は、記録シートに画像を形成する画像形成部100、画像形成部100に対して記録シート5を供給する給紙装置200、原稿の画像を読み取るスキャナ300等を備えている。また、スキャナ300の上部に取り付けられた原稿自動搬送装置(ADF)400等も備えている。画像形成部100には、記録シート5を手差しでセットするための手差しトレイ6及び画像形成済みの記録シート5をスタックするためのスタックトレイ7等が設けられている。
図1において、作像ユニット18Y,18C,18M,18Kの上方には、レーザ書込装置21が設けられている。レーザ書込装置21は、スキャナ300で読み取られた原稿の画像情報、あるいは外部のパーソナルコンピューターから送られてくる画像情報に基づいて、書込光を出射する。具体的には、画像情報に基づいて、レーザ制御部によって半導体レーザを駆動して書込光が出射される。そして、当該書込光により、各作像ユニット18Y、18C、18M、18Kに設けられた潜像担持体たるドラム状の感光体20Y、20C、20M、20Kを露光走査して感光体に静電潜像を形成する。なお、書込光の光源としては、レーザダイオードに限るものではなく、例えばLED(light emitting diode)であってもよい。
図1において、画像形成部100には、給紙装置200又は手差しトレイ6から給送されてくる記録シート5を、二次転写ニップ、後述する定着装置25、排出ローラ対56に順次搬送するための搬送路48が設けられている。また、給紙装置200から画像形成部100に給送された記録シート5を、搬送路48の入口まで搬送するための給送路49も設けられている。なお、搬送路48の入口には、レジストローラ対47が配設されている。
プリントジョブが開始されると、給紙装置200又は手差しトレイ6から繰り出された記録シート5が搬送路48に向けて搬送されて、レジストローラ対47に突き当たる。そして、レジストローラ対47は、適切なタイミングで回転駆動を開始することで、記録シート5を二次転写ニップに向けて送り込む。二次転写ニップでは、中間転写ベルト10上の4色重ね合わせトナー像が記録シート5に密着する。そして、二次転写電界又はニップ圧の作用により、4色重ね合わせトナー像が記録シート5の表面に二次転写されてフルカラートナー像になる。
二次転写ニップを通過した記録シート5は、搬送ベルト24によって定着装置25に向けて搬送される。そして、定着装置25内で加圧及び加熱されることで、その表面にフルカラートナー像が定着せしめられる。その後、記録シート5は、定着装置25から排出された後、排出ローラ対56を経由してスタックトレイ7上にスタックされる。
図2は、画像形成装置1の画像形成部100を拡大して示す拡大構成図である。画像形成部100には、転写体たる無端状の中間転写ベルト10を具備する転写ユニットが設けられている。転写ユニットの中間転写ベルト10は、3つの支持ローラ14,15,16に張架された状態で、それら支持ローラの何れか1つの回転駆動により、図中時計回り方向に無端移動せしめられる。支持ローラ14,15,16のうちの第1支持ローラ14と第2支持ローラ15との間で移動するベルト部分のおもて面には、イエロー(Y),シアン(C),マゼンタ(M),ブラック(K)の4つの作像ユニットが対向している。また、第2支持ローラ15と第3支持ローラ16との間で移動するベルト部分のおもて面には、中間転写ベルト10上に形成されたトナー像の画像濃度(単位面積あたりのトナー付着量)を検知するための光学センサユニット150が対向している。
図2において、4つの作像ユニット18Y,18C,18M,18Kは、使用するトナーの色が異なる点の他が、互いにほぼ同様の構成になっている。Yトナー像を作像するY用の作像ユニット18Yを例にすると、これは、感光体20Y、帯電装置70Y、現像装置80Y等を有している。感光体20Yの表面は、帯電装置60によって負極性に一様帯電せしめられる。このようにして一様に帯電した感光体20Yの表面のうち、レーザ書込装置21によってレーザ光が照射された部分は、電位を減衰させて静電潜像となる。
また、図2において、中間転写ベルト10のループ内側には、Y,C,M,K用の一次転写ローラ62Y,62C,62M,62Kが配設されており、Y,C,M,K用の感光体20Y,20C,20M,20Kとの間に中間転写ベルト10を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト10のおもて面と、Y,C,M,K用の感光体20Y,20C,20M,20Kとが当接するY,C,M,K用の一次転写ニップが形成されている。そして、一次転写バイアスが印加されるY,C,M,K用の一次転写ローラ62Y,62C,62M,62Kと、感光体20Y,20C,20M,20Kとの間には、それぞれ一次転写電界が形成されている。
中間転写ベルト10のおもて面は、ベルトの無端移動に伴ってY,C,M,K用の一次転写ニップを順次通過していく。その過程で、感光体20Y,20C,20M,20K上のYトナー像,Cトナー像,Mトナー像,Kトナー像が中間転写ベルト10のおもて面に順次重ね合わせて一次転写される。これにより、中間転写ベルト10のおもて面には4色重ね合わせトナー像が形成される。
中間転写ベルト10の下方には、第1張架ローラ22と第2張架ローラ23とによって張架される無端状の搬送ベルト24が配設されており、何れか一本の張架ローラの回転駆動に伴って図中反時計回り方向に無端移動せしめられる。そして、そのおもて面を、中間転写ベルト10の全域のうち、第3支持ローラ16に対する掛け回し箇所に当接させて二次転写ニップを形成している。この二次転写ニップの周辺においては、接地された第2張架ローラ23と、二次転写バイアスが印加される第3支持ローラ16との間に二次転写電界が形成されている。
図3は、Y用の感光体20Y及び帯電装置70Yを拡大して示す拡大構成図である。帯電装置70Yは、感光体20Yに当接して連れ回る帯電ローラ71Yと、帯電ローラ71Yに当接して連れ回る帯電クリーニングローラ75Yと、後述する回転姿勢検知センサとを有している。
図3において、帯電装置70Yの帯電クリーニングローラ75Yは、導電性の芯金、これの周面に被覆された弾性層等を具備している。弾性層は、メラミン樹脂を微細発泡させたスポンジ状の部材からなり、帯電ローラ(71Y)に当接しながら回転する。そして、回転に伴って、帯電ローラ71Yに付着している残トナー等のゴミを本体部から除去することで、異常画像の発生を抑えている。
図4は、Y用の感光体20Yを拡大して示す拡大斜視図である。感光体20Yは、円柱状の本体部20aY、本体部20aYの回転軸線方向の両端側にそれぞれ配設された大径のフランジ部20bY、軸受けに回転自在に支持される回転軸部20cY等を有している。
2つのフランジ部20bYの端面からそれぞれ突出している回転軸部材20cYの一方は、感光体回転センサ76Yを貫いており、感光体回転センサ76Yから突出している部分が軸受けによって受けられている。感光体回転センサ76Yは、回転軸部材20cYに固定されて回転軸部材20cYと一体的に回転する遮光部材77Y又は透過型フォトセンサ78Y等を具備している。遮光部材77Yは、回転軸部材20cYの周面における所定の箇所において法線方向に突出する形状になっており、感光体20Yが所定の回転姿勢になったときに、透過型フォトセンサ78Yの発光素子と受光素子との間に介在する。これにより、受光素子が受光しなくなることで、透過型フォトセンサ78Yからの出力電圧値が大きく低下する。つまり、透過型フォトセンサ78Yは、感光体20Yが所定の回転姿勢になると、そのことを検知して出力電圧値を大きく低下させる。
図5は、Y用の感光体回転センサ76Yからの出力電圧の経時変化を示すグラフである。なお、感光体回転センサ76Yからの出力電圧は、具体的には、透過型フォトセンサ78Yからの出力電圧のことである。図5に示されるように、感光体20Yが回転しているとき、大半の時間は、感光体回転センサ76Yから6[V]の電圧が出力される。但し、感光体20Yが一周するごとに、感光体回転センサ76Yからの出力電圧が一瞬だけ0[V]付近まで大きく低下する。これは、感光体20Yが一周するごとに、遮光部材77Yが透過型フォトセンサ76Yの発光素子と受光素子との間に介在して、受光素子が光を受光しなくなるからである。このように出力電圧が大きく低下するタイミングは、感光体20Yが所定の回転姿勢になったタイミングである。以下、このタイミングを基準姿勢タイミングという。
図6は、Y用の現像装置80YをY用の感光体20Yの一部と共に示す構成図である。現像装置80Yは、磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を用いて現像を行う二成分現像方式のものであるが、磁性キャリアを含有しない一成分現像剤を用いる一成分現像方式のものを採用してもよい。現像装置80Yは、現像ケース内に設けられた攪拌部と現像部とを具備している。攪拌部においては、二成分現像剤(以下、「現像剤」という。)が三本のスクリュー部材によって攪拌搬送されて現像部に供給される。現像部では、自らの周面の一部を、現像装置本体ケースの開口を通じて感光体20Yに対して所定の現像ギャップGを介して対向させながら回転駆動する現像スリーブ81Yが配設されている。現像剤担持体たる現像スリーブ81Yは、マグネットローラを自らに連れ回らせないように内包している。
攪拌部の供給スクリュー84Y、回収スクリュー85Y及び現像部の現像スリーブ81Yは、互いに水平方向に延在する姿勢で平行配設されている。これに対し、攪拌部の撹拌スクリュー86Yは、同図の紙面に直交する方向における手前側から奥側に向けて上り勾配となる傾斜姿勢になるように配設されている。
攪拌部の供給スクリュー84Yは、自らの回転に伴って、現像剤を図の紙面の直交する方向における奥側から手前側に向けて搬送しながら現像部の現像スリーブ81Yに供給する。現像スリーブ81Yに供給されずに現像装置内における前記方向の手前側の端部まで搬送されてきた現像剤は、供給スクリュー84Yの直下に配設された回収スクリュー85Y上に落とされる。
攪拌部の供給スクリュー84Yによって現像スリーブ81Yに供給された現像剤は、スリーブに内包されるマグネットローラの発する磁力の作用によって現像スリーブ81Yの表面に汲み上げられる。現像スリーブ81Yの表面に汲み上げられた現像剤は、マグネットローラの発する磁力によって穂立ち状態となって磁気ブラシを形成する。そして、現像スリーブ81Yの回転に伴って、規制ブレード87Yの先端と現像スリーブ81Yとの間に形成された規制ギャップを通過して層厚が規制された後に、感光体20Yに対向する現像領域まで搬送される。
現像領域では、現像スリーブ81Yに印加されている現像バイアスにより、現像剤中のトナーのうち、感光体20Y上の静電潜像に対向するトナーに対し、静電潜像に向かう静電気力を付与する現像ポテンシャルが作用する。また、現像剤中のトナーのうち、感光体20Y上の地肌部に対向するトナーに対し、スリーブ表面に向かう静電気力を付与する地肌ポテンシャルが作用する。これらの結果、トナーが感光体20上の静電潜像に転移して静電潜像を現像する。このようにして、感光体20Y上にYトナー像が形成される。このYトナー像は、感光体20Yの回転に伴って、後述するY用の一次転写ニップに進入する。
現像スリーブ81Yの回転に伴って現像領域を通過した現像剤は、マグネットローラの磁力の弱まる領域まで搬送されることで、現像スリーブ81Yの表面から離れて攪拌部の回収スクリュー85Y上に戻される。回収スクリュー85Yは、現像スリーブ81Yから回収した現像剤を、自らの回転に伴って同図の紙面に直交する方向の奥側から手前側に向けて搬送する。そして、現像装置内の同方向における手前側の端部まで搬送した現像剤を、撹拌スクリュー86Yに受け渡す。
回収スクリュー85Yから撹拌スクリュー86Yに受け渡された現像剤は、回収スクリュー86Yの回転に伴って、前記方向の手前側から奥側に向けて搬送される。その過程で、透磁率センサからなるトナー濃度センサ(後述する図7における82Y)によってトナー濃度が検知され、その検知結果に応じて適量のトナーが補給される。この補給は、後述する制御部がトナー濃度センサによる検知結果に応じてトナー補給装置を駆動させることによって行われる。適量のトナーが補給された現像剤は、前記方向における奥側の端部まで搬送されて供給スクリュー84に受け渡される。
現像領域のスリーブ回転方向の長さである現像領域長さLは、現像スリーブ81Yの直径、現像ギャップG、規制ギャップ等によって変化する。現像領域長さLが大きくなるほど現像領域で感光体20Y上の静電潜像にトナーが接触する機会が増えるため、現像効率が上昇する。このため、現像領域長さLを大きくすることで、高速印刷に対応できるようになるが、大きくし過ぎるとトナー飛散、トナー固着、感光体回転ロック等の不具合を引き起こす可能性が高くなる。そのため、現像領域長さLについては、装置仕様の特性に応じた適切な値に設定することが望ましい。
Y用の作像ユニット18YにおけるYトナー像の作像について説明したが、C,M,K用の作像ユニット18C,M,Kにおいては、Yと同様のプロセスにより、感光体20C、20M、20Kの表面にCトナー像,Mトナー像,Kトナー像が形成される。
図7は、画像形成装置1の電気回路の要部を示すブロック図である。図7において、制御手段としての制御部110は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、不揮発性メモリ等を有している。制御部110には、Y、C、M、K用の現像装置80Y、80C、80M、80Kのトナー濃度センサ82Y、82C、82M、82Kが電気的に接続されている。これにより、制御部110は、Y、C、M、Kの現像装置80Y、80C、80M、80Kに収容されているY現像剤,C現像剤,M現像剤,K現像剤のトナー濃度を把握することができる。
制御部110には、Y,C,M,K用のユニット脱着センサ17Y,17C,17M,17Kも電気的に接続されている。脱着検知手段としてのユニット脱着センサ17Y,17C,17M,17Kは、作像ユニット18Y,18C,18M,18Kが画像形成部100から取り外されたことを検知したり、画像形成部100に装着されたことを検知したりすることができる。これにより、制御部110は、画像形成部100に対する作像ユニット18Y,18C,18M,18Kの脱着があったことを把握することができる。
また、制御部110には、Y,C,M,K用の現像電源11Y,11C,11M,11Kも電気的に接続されている。制御部110は、現像電源11Y,11C,11M,11Kに制御信号をそれぞれ個別に出力することで、現像電源11Y,11C,11M,11Kから出力される現像バイアスの値を個別に調整することができる。つまり、Y,C,M,K用の現像スリーブ81Y,81C,81M,81Kに印加する現像バイアスの値をそれぞれ個別に調整することができる。
また、制御部110には、Y,C,M,K用の帯電電源12Y,12C,12M,12Kも電気的に接続されている。制御部110は、帯電電源12Y,12C,12M,12Kに対して制御信号をそれぞれ個別に出力することで、帯電電源12Y,12C,12M,12Kから出力される帯電バイアスにおける直流電圧の値を個別に制御することができる。つまり、Y,C,M,K用の帯電ローラ71Y,71C,71M,71Kに印加する帯電バイアスの直流電圧の値をそれぞれ個別に調整することができる。
また、制御部110には、Y,C,M,K用の感光体20Y,20C,20M,20Kについてそれぞれ所定の回転姿勢になったことを個別に検知するための感光体回転センサ76Y,76C,76M,76Kも電気的に接続されている。制御部110は、感光体回転センサ76Y,76C,76M,76Kからの出力に基づいて、Y,C,M,K用の感光体20Y,20C,20M,20Kについてそれぞれ所定の回転姿勢になったことを個別に把握することができる。
また、制御部110には、現像装置80Y,80C,80M,80Kのスリーブ回転センサ83Y,83C,83M,83Kも電気的に接続されている。回転姿勢検知手段たるスリーブ回転センサ83Y,83C,83M,83Kは、感光体回転センサ76Y,76C,76M,76Kと同様の構成により、現像スリーブ81Y,81C,81M,81Kについて所定の回転姿勢になったことを検知するものである。つまり、制御部110は、スリーブ回転センサ83Y,83C,83M,83Kからの出力に基づいて、現像スリーブ81Y,81C,81M,81Kについて所定の回転姿勢になったタイミングを個別に把握することができる。
また、制御部110には、書込制御部125、環境センサ124、光学センサユニット150、プロセスモーター120、転写モーター121、レジストモーター122、給紙モーター123等も電気的に接続されている。環境センサ124は、機内の温度又は湿度を検知するものである。また、プロセスモーター120は、作像ユニット18Y,18C,18M,18Kの駆動源になっているモーターである。また、転写モーター121は、中間転写ベルト10の駆動源になっているモーターである。また、レジストモーター122は、レジストローラ対47の駆動源になっているモーターである。また、給紙モーター123は、給紙装置200の給紙カセット201から記録シート5を送り出すためのピックアップローラ202の駆動源になっているモーターである。また、書込制御部125は、画像情報に基づいてレーザ書込装置21の駆動を制御するものである。なお、光学センサユニット150の役割については後述する。
本複写機においては、環境変動等にかかわらず画像濃度を長期間に渡って安定化させるために、所定のタイミングでプロセスコントロール処理と呼ばれる制御を定期的に実施する。プロセスコントロール処理では、Y用の感光体20Yに複数のパッチ状Yトナー像からなるYパッチパターン像を作像し、それを中間転写ベルト10に転写する。複数のパッチ状Yトナー像のそれぞれは、Yトナー付着量を検知するためのトナー付着量検知用トナー像である。制御部110は、感光体20C,20M,20Kにも、同様にしてC,M,Kパッチパターン像を作像してそれらを重ね合わさないように中間転写ベルト10に転写する。そして、それらのパッチパターン像における各トナー像のトナー付着量を、光学センサユニット150によって検知する。次いで、それらの検出結果に基づいて、作像ユニット18Y,18C,18M,18Kについてそれぞれ現像バイアスVbの基準値である現像バイアス基準値等の作像条件を個別に調整する。
光学センサユニット150は、中間転写ベルト10のベルト幅方向に所定の間隔をおいて並ぶ4つの反射型フォトセンサを有している。それぞれの反射型フォトセンサは、中間転写ベルト10又は中間転写ベルト10上のパッチ状トナー像の光反射率に応じた信号を出力する。4つの反射型フォトセンサのうち、3つは、Yトナー付着量,Cトナー付着量,Mトナー付着量に応じた出力をするように、ベルト表面上における正反射光及び拡散反射光の両方をとらえて、それぞれの光量に応じた出力を行う。
図8は、光学センサユニット150に搭載されたY用の反射型フォトセンサ151Yを示す拡大構成図である。Y用の反射型フォトセンサ151Yは、光源としてのLED152Yと、正反射光を受光する正反射型受光素子153Yと、拡散反射光を受光する拡散反射型受光素子154Yとを具備している。正反射型受光素子153Yは、Yパッチ状トナー像の表面で得られる正反射光の光量に応じた電圧を出力する。また、拡散反射型受光素子154Yは、Yパッチ状トナー像の表面で得られる拡散反射光の光量に応じた電圧を出力する。制御部110は、それらの電圧に基づいて、Yパッチ状トナー像のYトナー付着量を算出することができる。Y用の反射型フォトセンサ151Yについて説明したが、C,M用の反射型フォトセンサ151C,151Mも、Y用と同様の構成になっている。
図9は、光学センサユニット150に搭載されたK用の反射型フォトセンサ151Kを示す拡大構成図である。K用の反射型フォトセンサ151Kは、光源たるLED152Kと、正反射光を受光する正反射型受光素子153Kとを具備している。正反射型受光素子153Kは、Kパッチ状トナー像の表面で得られる正反射光の光量に応じた電圧を出力する。制御部110は、その電圧に基づいて、Kパッチ状トナー像のKトナー付着量を算出することができる。
LED(152Y,C,M,K)としては、発光される光のピーク波長が950nmであるGaAs赤外発光ダイオードを用いている。また、正反射受光素子(153Y,C,M,K)又は拡散反射受光素子(154Y,C,M)としては,ピーク受光感度が800nmであるSiフォトトランジスタ等を用いている。但し、ピーク波長又はピーク受光感度は前述した値に限られるものではない。
4つの反射型フォトセンサと、中間転写ベルト10のおもて面との間には、5[mm]程度のギャップが設けられている。
図7に示される制御部110は、主電源の投入時、所定時間経過した後の待機時、所定枚数以上のプリントを出力したあとの待機時等、所定のタイミングで、プロセスコントロール処理を実施する。そして、プロセスコントロール処理を開始すると、まず、通紙枚数、印字率、温度、湿度等の環境情報を取得した後、作像ユニット18Y,18C,18M,18Kにおけるそれぞれの現像特性を把握する。具体的には、それぞれの色について、現像γと現像開始電圧を算出する。より詳しくは、感光体20Y,20C,20M,20Kを回転させながらそれぞれを一様に帯電せしめる。この帯電については、帯電電源12Y,12C,12M,12Kから出力する帯電バイアスとして、通常のプリント時とは異なるものを出力する。詳しくは、重畳バイアスからなる帯電バイアスの直流電圧及び交流電圧のうち、直流電圧の絶対値を一様な値ではなく、徐々に大きくしていく。このような条件で帯電させた感光体20Y,20C,20M,20Kに対し、レーザ書込装置21によるレーザ光の走査を施して、パッチ状Yトナー像,パッチ状Cトナー像、パッチ状Mトナー像、パッチ状Kトナー像用の静電潜像を複数形成する。それらを現像装置80Y,80C,80M,80Kによって現像することで、感光体20Y,20C,20M,20K上にY,C,M,Kパッチパターン像を作像する。なお、現像の際に、制御部110は、各色の現像スリーブ81Y,81C,81M,81Kに印加する現像バイアスの絶対値もそれぞれ徐々に大きくしていく。このとき、各パッチ状トナー像における静電潜像電位と、現像バイアスとの差分を現像ポテンシャルとしてRAMに記憶する。
Y,C,M,Kパッチパターン像は、図10に示されるように、中間転写ベルト10上で重なり合わないように、ベルト幅方向に並んでいる。具体的には、Yパッチパターン像YPPは、中間転写ベルト10の幅方向における一端部に転写される。また、Cパッチパターン像CPPは、ベルト幅方向において、Yパッチパターン像よりも少し中央側にずれた位置に転写される。また、Mパッチパターン像MPPは、中間転写ベルト10の幅方向における他端部に転写される。また、Kパッチパターン像KPPは、ベルト幅方向において、Kパッチパターン像よりも少し中央側にずれた位置に転写される。
光学センサユニット150は、互いにベルト幅方向の異なる位置でベルトの光反射特性を検知するY用の反射型フォトセンサ151Yを有している。また、C用の反射型フォトセンサ151C、K用の反射型フォトセンサ151K、M用の反射型フォトセンサ151Mも有している。
Y用の反射型フォトセンサ151Yは、中間転写ベルト10の幅方向の一端部に形成されたYパッチパターン像YPPのYパッチ状トナー像のYトナー付着量を検知する位置に配設されている。また、第C用の反射型フォトセンサ151Cは、ベルト幅方向において、Yパッチパターン像YPPの近くに位置するCパッチパターン像CPPのCパッチ状トナー像のCトナー付着量を検知する位置に配設されている。また、M反射型フォトセンサ151Mは、中間転写ベルト10の幅方向の他端部に形成されたMパッチパターン像MPPのMパッチ状トナー像のMトナー付着量を検知する位置に配設されている。また、K用の反射型フォトセンサ150cは、ベルト幅方向において、Mパッチパターン像MPPの近くに位置するKパッチパターン像KPPのKパッチ状トナー像のKトナー付着量を検知する位置に配設されている。
図7に示される制御部110は、光学センサユニット150の4つの反射型フォトセンサから順次送られてくる出力信号に基づいて、各色のパッチ状トナー像の光反射率を演算し、演算結果に基づいてトナー付着量を求めてRAMに格納していく。なお、中間転写ベルト10の走行に伴って光学センサユニット150との対向位置を通過した各色のパッチパターン像は、クリーニング装置によってベルトおもて面からクリーニングされる。
図7に示される制御部110は、次に、RAMに格納したトナー付着量と、それとは別にRAMに格納した各パッチトナー像における潜像電位のデータと現像バイアスVbのデータとに基づいて、直線近似式(Y=a×Vp+b)を算出する。具体的には、図11に示されるように、y軸をトナー付着量とし、且つx軸を現像ポテンシャルとする2次元座標における両者の関係を示す近似直線式である。そして、近似直線式に基づいて、目標のトナー付着量を実現する現像ポテンシャルVpを求め、その現像ポテンシャルVpを実現する現像バイアスVbである現像バイアス基準値および帯電バイアス基準値、(およびLDパワー)を求める。それらの結果については、不揮発メモリに記憶される。このような現像バイアス基準値、並びに帯電バイアス基準値(及びLDパワー)の算出及び記憶を、Y,C,M,Kの各色についてそれぞれ行ってプロセスコントロール処理を終了する。その後、プリントジョブにおいては、Y,C,M,Kについてそれぞれ、不揮発性メモリに記憶されている現像バイアス基準値に基づいた値の現像バイアスVbを、現像電源11Y,11C,11M,11Kから出力させる。また、不揮発性メモリに記憶している帯電バイアス基準値に基づいた値の帯電バイアスVdを、帯電電源12Y,12C,12M,12Kから出力させたり、LDパワーをレーザ書込装置21から出力させたりする。
このようなプロセスコントロール処理を実施して目標のトナー付着量を実現する現像バイアス基準値、帯電バイアス基準値(及び光書込強度(後述するLDP))を決定することで、Y,C,M,Kの各色についてそれぞれ、画像全体の画像濃度を長期間に渡って安定化させることができる。しかしながら、感光体20Y,20C,20M,20Kと、現像スリーブ81Y,81C,81M,81Kとの間の現像ギャップの変動(以下、ギャップ変動という)に起因する頁内での周期的な画像濃度ムラを引き起こしてしまう。
この画像濃度ムラは、感光体20Y,20C,20M,20Kの回転周期で発生するものと、現像スリーブ81Y,81C,81M,81Kの回転周期で発生するものとが重畳されたものになる。具体的には、感光体20Y,20C,20M,20Kの回転軸が偏心していると、それに起因して、感光体一周あたりでサインカーブ状の変動曲線となるギャップ変動が生ずる。これにより、感光体20Y,20C,20M,20Kと、現像スリーブ81Y,81C,81M,81Kとの間に形成される現像電界にも、感光体一周あたりでサインカーブ状の変動曲線となる電界強度変動が生ずる。そして、この電界強度変動により、感光体一周あたりでサインカーブ状の変動曲線となる画像濃度ムラが発生する。また、感光体表面の外形には、少なからず歪みがある。この歪みに応じた感光体一周あたりで同じパターンとなる特性の周期的なギャップ変動に起因する画像濃度ムラも発生する。更には、現像スリーブ81Y,81C,81M,81Kの偏心又は外形歪みによるスリーブ回転周期のギャップ変動に起因する周期的な画像濃度ムラも発生する。特に、感光体20Y,20C,20M,20Kよりも小径な現像スリーブ81Y,81C,81M,81Kの偏心又は外形歪みによる画像濃度ムラは比較的短い周期で発生することから、目立ってしまう。
そこで、図7に示される制御部110は、プリントジョブ時において、Y,C,M,Kの各色についてそれぞれ、以下のような出力変化処理を実施する。即ち、制御部110は、Y,C,M,Kの各色についてそれぞれ、感光体回転周期で発生する画像濃度ムラを相殺することが可能な現像電界強度変動を生じせしめるための現像バイアスの出力パターンデータを不揮発性メモリに記憶させている。また、制御部110は、現像スリーブ回転周期で発生する画像濃度ムラを相殺することが可能な現像電界強度変動を生じせしめるための現像変動パターンデータも不揮発性メモリに記憶させている。以下、前者の現像変動パターンデータを感光体周期用の現像変動パターンデータという。また、後者の現像変動パターンデータをスリーブ周期用の現像変動パターンデータという。
Y,M,C,Kのそれぞれに個別に対応する4つの感光体周期用の現像変動パターンデータは、感光体一回転周期分のパターンであって、且つ感光体20Y,20C,20M,20Kの基準姿勢タイミングを基準にしたパターンを表している。それらの現像変動パターンデータは、プロセスコントロール処理で決定されたY,C,M,K用の現像バイアス基準値を基準にして現像電源(11Y,11C,11M,11K)からの現像バイアスの出力を変化させるためのものである。例えば、データテーブル方式のデータである場合には、基準姿勢タイミングから一周期分の期間内において、所定の時間間隔ごとの現像バイアス出力差分を示すデータ群を格納したものになっている。そのデータ群の先頭のデータが基準姿勢タイミングにおける現像バイアス出力差分を示しており、二番目、三番目、四番目・・・のデータが以降における所定の時間間隔ごとの現像バイアス出力差分を示している。0、−5、−7、−9・・・というデータ群からなる出力パターンは、基準姿勢タイミングから所定の時間間隔ごとの現像バイアス出力差分を0[V]、−5[V]、−7[V]、−9[V]・・・にすることを表している。感光体回転周期で発生する画像濃度ムラを抑えるだけであれば、それらの値を現像バイアス基準値に重畳した値の現像バイアスを現像電源から出力させればよい。但し、本複写機では、現像スリーブ回転周期で発生する画像濃度ムラも抑えるので、感光体回転周期の画像濃度ムラを抑えるための現像バイアス出力差分と、現像スリーブ回転周期の画像濃度ムラを抑えるための現像バイアス出力差分とを重畳するようになっている。
Y,C,M,Kのそれぞれに個別に対応する4つのスリーブ周期用の現像変動パターンデータは、現像スリーブ一回転周期分のパターンであって、且つ現像スリーブ81Y,81C,81M,81Kの基準姿勢タイミングを基準にしたパターンを表している。それらの現像変動パターンデータは、基準値決定処理としてのプロセスコントロール処理で決定されたY,C,M,K用の現像バイアス基準値を基準にして現像電源(11Y,11C,11M,11K)からの現像バイアスの出力を変化させるためのものである。データテーブル方式のデータの場合には、そのデータ群の先頭のデータが基準姿勢タイミングにおける現像バイアス出力差分を示しており、二番目、三番目、四番目・・・のデータが以降における所定の時間間隔ごとの現像バイアス出力差分を示している。その時間間隔は、感光体周期用の現像変動パターンデータのデータ群が反映している時間間隔と同じになっている。
図7に示される制御部110は、作像処理のときには、Y,C,M,Kのそれぞれに個別に対応する感光体周期用の現像変動パターンデータからのデータの読み込みを所定の時間間隔ごとで行う。同時に、Y,C,M,Kのそれぞれに個別に対応するスリーブ周期用の現像変動パターンデータからのデータの読み込みも同じ時間間隔ごとで行う。なお、感光体周期用の現像変動パターンデータからのデータ読み込みについては、感光体回転センサ(76Y,76C,76M,76K)から基準姿勢タイミング信号が送られてきたタイミングを基準姿勢タイミングとする。また、スリーブ周期用の現像変動パターンデータからのデータ読み込みについては、スリーブ回転センサ(83Y,83C,83M,83K)から基準姿勢タイミング信号が送られてきたタイミングを基準姿勢タイミングとする。
Y,C,M,Kについてそれぞれ、このようなデータの読み込みを行う過程で、感光体周期用の現像変動パターンデータから読み込んだデータと、スリーブ周期用の現像変動パターンデータから読み込んだデータとを加算して重畳値を求める。例えば、感光体周期用の現像変動パターンデータから読み込んだデータが−5[V]であり、スリーブ周期用の現像変動パターンデータから読み込んだデータが2[V]であった場合には、−5[V]と2[V]とを加算して重畳値を−3[V]として求める。そして、例えば現像バイアス基準値が−550[V]である場合には、重畳値の加算によって求められる−553[V]を現像電源から出力させる。このような処理を、Y,C,M,Kについてそれぞれ、所定の時間間隔ごとに行う。
これにより、感光体20Y,20C,20M,20Kと、現像スリーブ81Y,81C,81M,81Kとの間の現像電界に、次の2つの電界強度変動を重畳した電界強度変動を相殺し得る電界強度変動を発生させる。即ち、感光体20Y,20C,20M,20Kの偏心又は外形歪みによる感光体回転周期で発生するギャップ変動に起因する電界強度変動、及び現像スリーブ81Y,81C,81M,81Kの偏心又は外形歪みによるスリーブ回転周期で発生する電界強度変動である。このようにすることで、感光体20Y,20C,20M,20K又は現像スリーブ81Y,81C,81M,81Kの回転姿勢にかかわらず、ほぼ一定の現像電界を感光体と現像スリーブとの間に形成する。これにより、感光体回転周期で発生する画像濃度ムラと、スリーブ回転周期で発生する画像濃度ムラとの両方を抑えることができる。
Y,C,M,Kのそれぞれに個別に対応する4つの感光体周期用の現像変動パターンデータ又は4つのスリーブ周期用の現像変動パターンデータについては、構築処理を所定のタイミングで実施することによって構築される。この所定のタイミングは、工場出荷後の初めのプリントジョブに先立つタイミング(以下、初期起動タイミングという)、及び作像ユニット18Y,18C,18M,18Kの交換を検知したタイミング(以下、交換検知タイミングという)である。初期起動タイミングでは、Y,C,M,Kの全色についてそれぞれ、感光体周期用の現像変動パターンデータを構築する。また、スリーブ周期用の現像変動パターンデータも構築する。これに対し、交換検知タイミングでは、交換が検知された作像ユニットについてだけ、感光体周期用の現像変動パターンデータとスリーブ周期用の現像変動パターンデータとを構築する。このような構築が可能になるように、図7に示されるように、作像ユニット18Y,18C,18M,18Kの交換をそれぞれ個別に検知するためのユニット着脱センサ17Y,17C,17M,17Kが設けられている。
初期起動タイミングにおける構築処理では、まず、Yベタトナー像からなるYベタ濃度ムラ検知用トナー像が感光体20Y上に作像される。また、Cベタトナー像,Mベタトナー像,Kベタトナー像からなるCベタ濃度ムラ検知用トナー像,Mベタ濃度ムラ検知用トナー像,Kベタ濃度ムラ検知用トナー像が、感光体20C,感光体20M,感光体20K上に作像される。そして、それらのベタ濃度ムラ検知用トナー像は、図12に示されるように、中間転写ベルト10に一次転写される。図12において、Yベタ濃度ムラ検知用トナー像YITは、感光体20Yの回転周期で発生する画像濃度ムラを検知するためのものであるので、ベルト移動方向において、感光体20Yの周長よりも大きな長さで形成される。同様に、Cベタ濃度ムラ検知用トナー像CIT,Mベタ濃度ムラ検知用トナー像MIT,Kベタ濃度ムラ検知用トナー像KITも、ベルト移動方向の長さが感光体20C,20M,20Kの周長よりも大きくなっている。
なお、図12では、便宜上、4つのベタ濃度ムラ検知用トナー像(YIT,CIT,MIT,KIT)をベルト幅方向に一直線上に並べて形成した例を示している。しかし、実際には、個々の濃度ムラ検知用トナー像のベルト上における形成位置は、ベルト移動方向において最大で感光体周長と同じ値ほどずれる場合がある。これは、例えば、各色についてそれぞれ、ベタ濃度ムラ検知用トナー像の先端位置と、感光体の周方向における基準位置(基準姿勢タイミングで現像領域に進入する感光体表面位置)とを一致させるように、ベタ濃度ムラ検知用トナー像の作像が開始されるからである。つまり、各色のベタ濃度ムラ検知用トナー像は、その先端を感光体の周方向における基準位置に一致させるように作像される。
濃度ムラ検知用トナー像として、ベタトナー像に代えて、中間調トナー像が形成されてもよい。例えばドット面積率が70[%]である中間調トナー像が形成されてもよい。
また、図7に示される制御部110は、構築処理をプロセスコントロール処理とセットで行うようになっている。具体的には、制御部110は、構築処理を実施する直前でプロセスコントロール処理を実施して各色についてそれぞれ現像バイアス基準値を決定しておく。そして、プロセスコントロール処理の直後に実施する構築処理において、制御部110は、各色についてそれぞれ、プロセスコントロール処理で決定しておいた現像バイアス基準値の条件でベタ濃度ムラ検知用トナー像を現像する。このため、理論的には、ベタ濃度ムラ検知用トナー像は目標トナー付着量になるように作像されるが、実際には現像ギャップ変動によって微妙な濃度ムラが出現してしまう。
ベタ濃度ムラ検知用トナー像の作像を開始してから(静電潜像の書き込みを開始してから)、ベタ濃度検知用トナー像の先端を光学センサユニット150の反射型フォトセンサによる検知位置に進入させるまでのタイムラグは、各色ごとに異なった値である。但し、同じ色であれば、経時的に一定の値である(以下、この値を書込−検知タイムラグという)。
図7に示される制御部110は、各色についてそれぞれ書込−検知タイムラグを不揮発性メモリに予め記憶させている。そして、各色についてそれぞれ、ベタ濃度ムラ検知用トナー像の作像を開始した後、書込−検知タイムラグが経過した時点から、制御部110は、反射型フォトセンサからの出力のサンプリングを開始する。このサンプリングについては、感光体回転一周期に渡って、所定の時間間隔ごとに繰り返し行われる。その時間間隔は、出力変化処理において用いる出力パターンデータにおける個々のデータを読み込む時間間隔と同じ値である。制御部110は、各色についてそれぞれ、サンプリングデータに基づいて、トナー付着量(画像濃度)と時間(又は感光体表面位置)との関係を示す濃度ムラグラフを構築し、その濃度ムラグラフから、二つのベタ濃度ムラパターンを抽出する。一つ目は、感光体回転周期で発生しているベタ濃度ムラパターンである。二つ目は、現像スリーブ回転周期で発生しているベタ濃度ムラパターンである。
図7に示される制御部110は、各色についてそれぞれ、上述したサンプリングデータに基づいて、感光体回転周期で発生しているベタ濃度ムラパターンを抽出すると、トナー付着量平均値(画像濃度平均値)を算出する。このトナー付着量平均値は、感光体回転一周期における現像ギャップの変動の平均値をほぼ反映した値になる。そこで、制御部110は、そのトナー付着量平均値を基準にして、感光体回転周期のベタ濃度ムラパターンを相殺するための感光体周期出力パターンデータを構築する。具体的には、ベタ濃度パターンに含まれる複数のトナー付着量データにそれぞれ個別に対応するバイアス出力差分を算出する。そのバイアス出力差分は、トナー付着量平均値を基準にするものである。トナー付着量平均値と同じ値のトナー付着量データに対応するバイアス出力差分については、ゼロとして算出する。
また、トナー付着量平均値よりも大きいトナー付着量データに対応するバイアス出力差分については、そのトナー付着量とトナー付着量平均値との差分に応じたプラス極性の値として算出される。プラス極性のバイアス出力差分であるので、マイナス極性の現像バイアスを現像バイアス基準値よりも低い値(絶対値の小さい値)に変化させるデータである。
また、トナー付着量平均値よりも小さいトナー付着量データに対応するバイアス出力差分については、そのトナー付着量とトナー付着量平均値との差分に応じたマイナス極性の値として算出される。マイナス極性のバイアス出力差分であるので、マイナス極性の現像バイアスを現像バイアス基準値よりも高い値(絶対値の大きい値)に変化させるデータである。
このようにして、制御部110は、個々のトナー付着量データに対応するバイアス出力差分を求め、それらを順に並べたデータを出力パターンデータたる感光体周期出力パターンデータとして構築する。
また、制御部110は、各色についてそれぞれ、上述したサンプリングデータに基づいて、現像スリーブ回転周期で発生しているベタ濃度ムラパターンを抽出すると、トナー付着量平均値(画像濃度平均値)を算出する。このトナー付着量平均値は、現像スリーブ回転一周期における現像ギャップの変動の平均値をほぼ反映した値になる。そこで、制御部110は、そのトナー付着量平均値を基準にして、現像スリーブ回転周期の濃度ムラパターンを相殺するためのスリーブ周期出力パターンデータを構築する。その具体的なやり方については、感光体回転周期の濃度ムラパターンを相殺するための感光体周期出力パターンデータを構築する方法と同様である。
図13は、ベタ濃度ムラ検知用トナー像のトナー付着量の周期変動と、スリーブ回転センサ出力と、感光体回転センサ出力との関係を示すグラフである。グラフの縦軸はトナー付着量[10−3mg−cm2]を示しており、これは、光学センサユニット150の反射型フォトセンサ151からの出力電圧を、所定の変換式に基づいてトナー付着量に換算した数値である。ベタ濃度ムラ検知用トナー像には、中間転写ベルト移動方向において周期的な濃度ムラが発生していることがわかる。
スリーブ周期用の現像変動データを構築するにあたっては、まず、スリーブ周期とは異なる周期変動成分を除去するために、トナー付着量の経時変動のデータをスリーブ一回転周期ごとに切り出して平均化処理が行われる。具体的には、ベタ濃度ムラ検知用トナー像の長さは、現像スリーブ周長の十倍以上の値になっていることから、トナー付着量の経時変動のデータは、現像スリーブ十周期分以上に渡って取得される。そのデータに基づく変動波形は、スリーブ基準姿勢タイミングを先頭にしてスリーブ一周期分ごとに切り出されていく。これにより、十個分の切り出し波形を得たら、図14に示されるようにスリーブ基準姿勢タイミングを同期させる状態で、制御部110は、それら切り出し波形を重ねて平均化処理を行って平均波形を解析する。十個分の切り出し波形を平均化した平均波形は、図14において太線で示されている。個々の切り出し波形はスリーブ回転周期とは異なる周期変動成分を含んで揺れているが、平均波形をその揺れが低減されている。なお、本複写機では、十個分の切り出し波形で平均化処理を行っているが、スリーブ回転周期の変動成分が抽出できれば、他の方法を採用してもよい。
本複写機では、感光体周期用の現像変動データについても、スリーブ周期用のものと同様に、感光体周期で切り出した切り出し波形によって平均化処理を行い、その結果に基づいて構築している。平均波形に基づく現像変動データの構築については、次のようなアルゴリズムを用いてトナー付着量を現像バイアス変動量に変換することで実現することが可能である。即ち、例えば図15に示されるように、トナー付着量の検出波形に対して逆位相となる変動制御波形を与える現像バイアス変動を発生させることができるアルゴリズムである。
以上のように、各色についてそれぞれ、構築処理において構築した感光体周期出力パターンデータ及びスリーブ周期出力パターンデータを用いて、出力変化処理において現像バイアスVbの現像電源(11Y,11C,11M,11K)から出力を変化させる。具体的には、図16に示されるように、現像電源11は、感光体周期用の現像変動パターンデータによる現像バイアス変動波形と、スリーブ周期用の現像変動パターンデータによる現像バイアス変動波形とを重畳した重畳波形に従って現像バイアスを周期変動させる。これにより、感光体回転周期で発生するベタ画像濃度ムラ又は現像スリーブ回転周期で発生するベタ画像濃度ムラの発生を抑えることができる。
次に、本複写機において、濃度補正に使用する濃度ムラパターンを生成する構成例について説明する。
帯電変動パターンデータに基づいて帯電バイアスの出力を周期変動させても、中間調部において周期的な濃度変動が引き起こされてしまうことがある。以下、その濃度変動を残留周期変動という。また、現像バイアス又は帯電バイアスを周期変動させることに加えて、レーザ書込装置21による潜像書込強度、即ち、書込光量を周期変動させることで、残留周期変動を抑え得る。
そこで、本複写機においては、ユーザーからの命令に基づく画像を形成する際に、現像バイアス及び帯電バイアスに加えて、潜像の書込光量も周期変動させる制御を実施するように、制御部110及び書込制御部125の組み合わせを構成している。これにより、残留周期変動を従来よりも抑えることができる。
図17は、スリーブ回転周期で切り出した切り出し波形の平均波形及び再現用に変換した再現波形におけるトナー付着変動量の経時変化を示すグラフである。同図において、平均波形は、スリーブ周期用の現像変動パターンデータを構築するために、濃度ムラパターンデータからスリーブ回転周期で切り出した十個の切り出し波形を平均化したものである。この平均波形については、スリーブ回転周期の20倍の周期で変動する正弦波を複数重ね合わせることでほぼ完全に再現することが可能である。しかし、現像バイアスの変動に伴う画像濃度変動は、バイアス変動周波数が高くなると追従性が悪くなる。
その理由について説明する。感光体上の静電潜像の現像は、静電潜像が図6に示される現像領域長さLの範囲内に存在するときに行われる。静電潜像が現像領域に進入してから現像領域を抜け出るまでの時間内において、現像バイアスの出力値を微妙に変化させても、その変化に追従させて静電潜像の画像濃度を微妙に変化させることは非常に困難である。前記時間内の平均的なバイアス値が静電潜像の画像濃度に大きく影響し、瞬時のバイアス変化は画像濃度にそれほど影響しないからである。この現象を避けるために現像領域長さLを小さくし過ぎると、必要な現像能力が得られなくなることから、現像バイアスの変動によって抑えることが可能な画像濃度の周期変動成分の周波数には上限がある。
このような理由から、本複写機では、スリーブ回転周期の3倍の周波数を、抽出する周期変動成分の周波数の上限にしている。即ち、スリーブ回転周期の3倍の周期で変動する正弦波を複数重ね合わせることで平均波形を再現するようになっている。図16に示される再現波形は、そのような再現によって得られたものである。制御部110は、この再現波形に基づいて、感光体周期用の現像変動パターンデータ又はスリーブ周期用の現像変動パターンデータを構築する。
構築方法の具体的手順は、次の通りである。まず、制御部110は、平均波形に対して周波数解析を行う。周波数解析については、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)によって行ってもよいし、直交検波によって行ってもよい。本複写機では、直交検波によって行う。
図14に示される平均波形は、次式で示されるように、スリーブ回転周期の整数倍の周波数で周期変動する正弦波の重ね合わせによって表現される。なお、次式において、xは、前記正弦波の変動周波数の上限値である。
f(t)=A1×sin(ωt+θ1)+A2×sin(2×ωt+θ2)+A3×sin(3×ωt+θ3)+・・・+Ax×sin(x×ωt+θx)
この式は、次の式に変化することが可能である。
f(t)=ΣAi×sin(i×ωt+θi)
:但し、i=1〜xの自然数
なお、各記号で示されるパラメータは次の通りである。
・f(t):トナー付着変動量の切り出し波形の平均波形[10−3mg/cm2]
・Ai:正弦波の振幅[10−3mg/cm2]
・ω:スリーブ又は感光体の角速度[rad/s]
・θi:正弦波の位相[rad]
・t:時間[s]
本複写機では、直交検波にてAiおよびθiを算出して、周波数ごとの濃度ムラ成分を算出する。そして、スリーブ周期用の現像変動パターンデータを構築するための再現波形又は感光体周期用の現像変動パターンデータを構築するための再現波形を、次式に基づいて構築する。
f1/2(t)=ΣAi×sin(i×ωt+θi)
:但しi=1〜3
例えば、Ai×sin(i×ωt+θi)は、i=1の場合、スリーブ又は感光体の一回転周期と同じ周期の正弦波となる。
現像変動パターンデータの構築について説明したが、帯電変動パターンデータについても、同様にして構築する。
図18は、書込光量を変化させるための潜像変動パターンデータを構築する際に参照される平均波形又はこれを再現用に変換した再現波形におけるトナー付着変動量の経時変化を示すグラフである。本複写機では、プリントジョブ中に、潜像変動パターンデータに基づいて、感光体に対する書込光量を変化させることで、画像濃度の残留周期変動を抑えるようになっている。現像変動パターンデータを構築するために作像したベタ濃度ムラ検知用トナー像の濃度ムラパターンに基づいて、潜像変動パターンデータを構築する。現像変動パターンデータや帯電変動パターンデータについては、既に述べたように、スリーブ回転周期の3倍の周波数の周期変動成分までを抽出した再現波形に基づいて構築している。このため、画像濃度ムラとして、高周波数の周期変動成分が残ってしまう。これが、本複写機の画像濃度の残留周期変動である。この残留周期変動のパターンについては、現像変動パターンデータを構築するために作像したベタ濃度ムラ検知用トナー像の濃度ムラパターンに基づいて把握することが可能である。書込光量の変動による画像濃度変動については、1ドット単位で発生させることが可能であることから、高周波数の周期で発生する周期変動成分を相殺するための有効な手段として用いることが可能である。そこで、制御部110は、スリーブ周期用の潜像変動パターンデータを構築するための再現波形や、感光体周期用の潜像変動パターンデータを構築するための再現波形を、次式に基づいて構築する。
f3(t)=ΣAi×sin(i×ωt+θi)
:但し、i=4〜20の自然数
このようにして構築された再現波形が図18に示されている。この再現波形に基づいて、スリーブ周期用の潜像変動パターンデータや、感光体周期用の潜像変動パターンデータを構築する。それらのデータは、書込光量(光書込強度LDP(レーザダイオードパワー)[%])を反映するデータである。書込光量に適宜ゲインを乗じ、狙いの画像濃度における高周波成分を低減できるようにすればよい。本発明における露光強度:LDパワーは、図13の太線で示す高周波数成分を打ち消すように周期的に変化させる。
ユーザーの命令に基づく画像を形成する際には、感光体周期用の潜像変動パターンデータと、スリーブ周期用の潜像変動パターンデータと、感光体基準姿勢タイミングと、スリーブ基準姿勢タイミングとに基づいて、次のような重畳変動パターンデータを構築する。 即ち、感光体回転周期の潜像変動波形(書込光量変動波形)と、スリーブ回転周期の潜像変動波形とを重畳した重畳変動波形を発生させる重畳変動パターンデータである。そして、その重畳変動パターンデータを制御部110から書込制御部125に逐次送信する。 書込制御部125は、重畳変動パターンデータに基づいて書込光量を周期変動させる。 このような処理をY,C,M,Kの各色でそれぞれ個別に行う。
かかる構成では、現像バイアスや帯電バイアスを周期変動させてもなお残ってしまう高周波数の残留周期変動を有効に抑えることができる。加えて、次のような効果も奏することができる。即ち、図19に示されるように、感光体の光減衰特性により、高画像濃度領域では電界変動が小さくなるため、補正できる幅に限界がある。潜像電位が変動し難いことから、トナー付着量の補正幅が狭くなるからである。一般に、スリーブ回転周期や感光体回転周期で発生する画像濃度の周期変動の振幅は、低周波成分ほど大きく、高周波成分になるほど小さくなる。本複写機では、大きな振幅を確保することが可能な低周波数の周期変動成分を現像バイアスや帯電バイアスの周期変動によって低減する。一方で、比較的振幅の小さい高周波数の周期変動成分を書込光量によって補正する。これにより、高い画像濃度領域でも、書込光量を上限で飽和させることなく、狙い通りの潜像電位の変動幅を確保することができる。
図20は、画像形成装置1の制御手段(制御部110及び書込制御部125)によって実施される制御の処理フローを示すフローチャートである。制御手段は、まず、ベタ濃度ムラ検知用トナー像を形成する(ステップ1:以下、ステップをSと記す)。このとき、現像バイアス、帯電バイアス、書込光量についてはそれぞれ一定の値とする。次に、制御手段は、ベタ濃度ムラ検知用トナー像の濃度ムラパターンを検知した後(S2)、その濃度ムラパターン等に基づいて現像変動パターンデータを構築する(S3)。その後、制御手段は、現像変動パターンデータ等に基づいて現像バイアスを周期変動させながら中間調濃度ムラ検知用トナー像を形成した後(S4)、その中間調濃度ムラ検知用トナー像の濃度ムラパターンを検知する(S5)。更に、制御手段は、その濃度ムラパターン等に基づいて帯電変動パターンデータを構築した後(S6)、上記S2で検知しておいたベタ濃度ムラ検知用トナー像の濃度ムラパターンに基づいて潜像変動パターンデータを構築する(S7)。最後に、この制御を開始する直前まで記憶していた現像変動パターンデータ、帯電変動パターンデータ、潜像変動パターンデータのそれぞれを、この制御によって求めた新たなデータに更新する(S8)。このような一連の処理フローを、Y,C,M,Kのそれぞれについて個別に実施する。実施については、一色だけの処理を順に行ってもよいし、二色以上の処理を並行して行ってもよい。
図21は、本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の一部の構成例を示す図である。図21は、本発明の第1の実施の形態における主要な機能である、トナー濃度センサ値の読み取りからアナログデジタル変換及び補正を実施するブロックを説明するために、図7に示される画像形成装置1の電気回路の要部を示すブロック図から、作像ユニット18及び制御部110で必要なブロックを抜き出した図である。作像ユニット18は、トナー濃度センサ181、感光体回転センサ182及び現像スリーブ回転センサ183を有する。制御部110は、補正部500、ADC(Analog to Digital Converter)550、CPU、不揮発性メモリ、ROM、RAMを有する。
現像変動パターン、帯電変動パターン及び潜像変動パターンの各変動パターンをトナー濃度センサで読み取った値をアナログデジタル変換するためにADC550を配置し、トナー濃度値を補正処理する補正部を配置している。
図22は、本発明の第1の実施の形態における補正部の機能構成例を示す図である。図22は、図21に示される補正部500のさらに詳細なブロック図である。補正部500は、データ入力部501、補正演算部508、データ格納部1_515、データ格納部2_512〜514、割り込み制御/エラー処理516及びCPU IF部517を有する。データ入力部501は、ADCIF502、センサIF503、バッファ感光体even504、バッファ感光体odd505、バッファ現像even506及びバッファ現像odd507を有する。補正演算部508は、平均化部509、付着量変換部510及び直交検波部511を有する。
データ入力部501は、ADC550から送信されるトナー濃度値を、ADCIF502を介して取得し、感光体回転センサ182又は現像スリーブ回転センサ183から出力されるHP検出信号を、センサIF503を介してホームポジション信号(以下、「HP信号」という。)として取得する。補正部500は、HP信号を受信してから、次のHP信号を受信するまでの期間を、感光体又は現像スリーブを構成する回転体が実際に1回転した周期として特定できる。
トナー濃度値はシリアルデータとして入力されるため、シリアルパラレル変換を行う。また、トナー濃度値は取得タイミングごとに順次連続して入力されるため、データを貯めるバッファを持たせる。このバッファは各回転体ごと、さらに各回転体の偶数周(0,2,4,,,,周)、奇数周(1,3,5,,,,周)ごとに準備される。
バッファに貯めるデータは、順次連続してADC550から入力されるデータを各回転体の1周期単位で切り出して回転体ごとに準備されたバッファに保存する。すなわち、順次連続し入力されるデータは、各回転体のHP信号のタイミングで切り出し各バッファに入力されるものとする。
補正演算部508では、上述した平均化処理を行う平均化部509、平均化部509が出力するデータに対してトナー付着量の算出を行うための変換を行う付着量変換部510、直交検波部511を各回転体ごと、さらに各回転体の偶数周(0,2,4,,,,周)、奇数周(1,3,5,,,,周)ごとに実施する。なお、補正演算部508では、偶数周及び奇数周の演算を、並行して実行することが可能である。すなわち、補正演算部508は、偶数周又は奇数周の演算を実行する回路をそれぞれ独立して有してもよい。
データ格納部1_515は、補正演算部508からの演算結果を格納する。所定の演算が終了し演算結果を格納すると、データ格納部1_515は、割り込み制御/エラー処理516へ終了割り込みを出す。CPU IF部517は、補正部500とCPUとのインタフェースを行う。割り込み制御/エラー処理516からの終了割込みがCPUに検知されると、CPUはCPU IF部517を介してデータ格納部1_515の演算結果データを読み取る。データ格納部2及びモード選択信号については後述する。
図23は、本発明の第1の実施の形態におけるデータ格納部2の詳細を説明するための図である。補正演算部508の中間演算結果を格納するデータ格納部2_512〜514について説明する。以下、データ格納部2_512〜514のそれぞれを区別しない場合、データ格納部2という。データ格納部2は、それぞれADC取得データ、平均化データ、付着量変換値を入力として貯えCPUへ転送する役目を担うブロックである。データ格納部2は、偶数周回データ格納部、奇数周回データ格納部、読み出し制御部、読み出し選択部及び割り込みタイミング生成部を有する。
図23に示されるように、データ格納部2は、上述のデータがADCからのデータ取得中は順次連続して偶数周又は奇数周ごとに生成されるため、それぞれを偶数周回データ格納部又は奇数周回データ格納部へ格納する。ここで、メモリとしてはFIFO(first in first out:先に入れたものを先に出す方式のメモリ)を配置し、メモリがフルになる前に読み出す制御を入れる。FIFOの利点としては、転送したい総転送量に対して、複数の読み出し転送に分けることで総転送量のメモリを備える必要がないため、メモリ容量の低減が可能である。以下、必要な処理ごとにデータ格納部2を使用する実施例を説明する。
第一の実施例では、プロセスコントロール補正を行う。プロセスコントロール補正においては、複数の補正処理がありそれぞれ、ADC取得データ、平均化データ、付着量変換値を必要とするものがある。本発明では必要なデータについてのデータ格納部2をそれぞれ設けることにより、ADC取得データ、平均化データ、付着量変換値が任意にCPUへ転送される構成とする。転送されたデータに基づいて、CPU側で任意に複数の補正処理を実施することができ、補正演算処理の自由度及び拡張性の向上を図ることができる。
第二の実施例では、直交検波を伴わない補正を行う。直交検波を伴わない補正の場合、回転体の回転むらを考慮する必要はないので、HP信号の起点に同期したデータ取得は必要ない。そのため回転体ごと、周期ごとにデータ格納部2の処理を行う必要はない。すなわち1系統のデータがあればよいので、いずれか一方(例えば偶数周のみ)のデータを使用すればよい。
第三の実施例では、直交検波を伴う補正を行う。本発明の実施の形態では、直交検波を実装する構成となっているが、直交検波の入力となる付着量変換値をCPUが読み出せる構成にもなっている。つまり、直行検波を伴う補正の場合には、実装された直行検波で処理すれば演算速度を重視したハード処理が選択でき、付着量変換値をCPUで読み出して直交検波演算をソフトで実行することも可能であり、この場合は補正演算処理の自由度・拡張性を享受することができる構成となっている。
第四の実施例では、補正演算の立ち上げを行う。補正演算の立ち上げにはパラメータ設計が必要である。パラメータ設計におけるデバッグ時には、チューニングのため演算途中のデータを参照する必要がある。本発明の実施の形態の構成では、データ格納部1又は2を備えているため、演算途中又は演算結果のデータを、CPUは任意に読み出すことが可能になっており、効率よくパラメータ設計を実施することができる。
なお、第三の実施例又は第四の実施例の場合には、偶数周回格納部及び奇数周回格納部を使用する。このときの、HP信号を起点とする同期データに対する、各周回格納部の格納するタイミング、読み出し制御部、読み出し選択部及び割り込みタイミング生成部については図30で後述する。
図24は、本発明の第1の実施の形態におけるHP信号の周期が理論値よりも短い場合について説明するための図である。平均化データとHP検出時間とを用いて、回転体(感光体/現像スリーブ)の周期単位で直交検波演算を行う。回転体の周期変動等により、HP位置検出から次のHP位置検出までの周期(1回転に要した実際の時間)と、理論値とが一致するとは限らない。演算部では、偶数周と奇数周とを独立させる回路構成とする。実際のHP周期が、理論値と異なる場合では、それぞれで有効データ範囲が異なる。以下に、HP周期が理論値より短い場合と、HP周期が理論値より長い場合について説明する。
図24に示されるように、はHP周期が理論値より短い場合は、図22に示される各バッファに貯める1周期分のデータ数は、予め演算に必要なデータ数が設定される。取得される1周期分のデータ数が、設定値に達するよりも早いタイミングで、2周目のHP(HP2)が検出された場合、HP2を検出した時点から2周目としての測定を開始しなければならない。また、HP2を検出した後も1周期分のデータ取得が設定数に満たない場合は、設定数までデータを取り続ける。そのため1周期目のデータと2周期目のデータに重なる部分が存在する(斜線部分)。補正部500は、重なる部分がある場合でも、図24に示されるように1周目データ、2周目データとしてそれぞれ管理する。
図25は、本発明の第1の実施の形態におけるHP信号の周期が理論値よりも長い場合について説明するための図である。図25に示されるように、1周期分のデータを取得し終わっても2周目のHP(HP2)が検出されない場合でも、補正部500は、HP2を検出するまで超過分のデータ取得を続ける。取得データは、1周期分のデータ数を超えた部分(斜線部分)については破棄される。
図26は、本発明の第1の実施の形態におけるHP周期が理論値より短い場合又は長い場合を説明した内容を補足する図である。図26は、図24のHP周期が理論値より早い場合及び図25のHP周期が理論値より遅い場合に説明した内容を補足するものである。感光体で説明しているが、現像スリーブでも考え方は同様である。
図26(a)は、理想状態のHP周期の場合であり、感光体1周期あたり624個のデータ数が取得される。
図26(b)は、1周目のHP周期が理論値より長い場合に1周目の不要データの切捨てを行い、さらに2周目及び3周目のHP周期が理想状態であった場合の3周トータルのデータ数は、「理想状態の3周トータルデータ数」+「1周目の不要データの切捨てデータ数」となることを示している。
図26(c)は、1周目のHP周期が理論値より短い場合に、1周目と2周目のデータ取得と、2周目及び3周目のHP周期が理想状態の場合、3周トータルのデータ数は、理想状態の「3周トータルデータ数」−「1周目及び2周目で重複して取得したデータ数」となることを示している。
図27は、本発明の第1の実施の形態における感光体のHP信号から偶数周又は奇数周を識別するHPイネーブル信号とスタート信号(パルス)を生成するタイミングチャートである。図27に示されるevenスタート信号又はoddスタート信号は、HP信号のアサートを検知して作られるパルスである。HPイネーブル信号は、予め設定される周回ごとのデータ数の間Hとなる信号である。それぞれの信号の起点を偶数周又は奇数周とするため、evenとoddの2本が用意される。また、イネーブル信号は予め設定される数値、すなわち1周回の理想データ数に基づいて生成される。そのため、イネーブル信号のイネーブル期間は、ずれを持つHP信号の周期より長かったり、短かったりすることがある。なお、現像スリーブも感光体とは周期は異なるが、同様に信号が生成される。
図28は、本発明の第1の実施の形態におけるHP周期が理論値より短い場合のデータ単位での信号のタイミングチャートである。図28において、ADC取得データは、周期ごとのデータとして取得される部分を示している。図28のeven HPイネーブル信号が、イネーブルであるときのADC取得データをデータ0、データ1、、、データ623(データ数624の場合)とする。
2周目データの取得は、odd HPイネーブル信号がイネーブルのときのADC取得データをデータ0、データ1、、、データ623(データ数624の場合)としていく。すなわち、各周回でのデータ取得を、各even又はoddスタート信号を起点としてデータ0とし、所定のデータ数までの取得とすることで、周回の重ね合わせ部分での周回ごとのデータ取得が実行される。
図29は、本発明の第1の実施の形態におけるHP周期が理論値より長い場合のデータ単位での信号のタイミングチャートである。図28に示されるデータの取得と同様に、各周回でのデータ認識を各even又はoddスタート信号を起点としてデータ0とし、所定のデータ数までのデータを取得することで、周期間のすきまのデータは破棄される。
図30は、本発明の第1の実施の形態におけるHP信号を起点とする同期データに対する各周格納部のタイミングを示す説明するための図である。図23に示される第三の実施例、第四の実施例の場合には、偶数周回格納部及び奇数周回格納部を使用する。第三の実施例又は第四の実施例の場合に、HP信号を起点とする同期データが、偶数周回格納部又は奇数周回格納部に格納されるタイミングを示す説明をしたものが図30である。図30は、偶数周から奇数周へまたがる部分についてのものであり、奇数周から偶数周へまたがる場合も同様の動作となる。
図30に示されるように、1周回の周回データ数と、CPUがリードする読み出し転送データ数として、リードレベルを補正処理開始前にCPUより設定し、一連の補正処理中は変更されない固定値にする。また、実装するFIFOは偶数周又は奇数周に対して1つずつになるが、FIFOのサイズは、周回データ数より大きくする。
偶数周回データ格納部は、データの格納数がリードレベルに達すると、リードレベル割り込みを発生する。発生した割り込みは、図22に示される割り込み制御/エラー処理516を経由しCPUへ通知される。CPUは、リードレベル割り込みを受けるとデータ格納部2に対してデータリードを実施し、リードレベルに設定したデータ数をリードする。この間も順次データが書き込まれていくので、図23に示される割り込みタイミング生成部は、データ残量が再びリードレベルに達すると割り込みを発生し、CPUは割り込み通知を受けるとデータ格納部2からリードする。以上の動作が、設定された周回データ数に達するまで繰り返される。ここで、データ書き込みとデータリードの結果としてのFIFOのデータ残量が、常にFIFOの容量を超えないように制御する必要がある。
さらに、このときの周回の切り替わりの部分においての動作を説明する。上記の様に周回データ格納部及びリードレベルごとのデータリードが実施されるが、周回の切り替わり部分においては、周回データ数、リードレベルデータ数の設定によっては、データリードは周回をまたがる(図30に示される斜線部分)。図30は、理想のタイミングより早くHP信号が検出され、偶数周と奇数周に重なりが生じている場合であり、データ格納部2は、偶数データは周回データ数に達するまで格納を続ける(図30に示されるaの後端)。一方、奇数側はHP信号の検出を受け、データ格納が開始される。
図23に示されるデータ格納部2の割り込みタイミング生成部は、偶数周回データ格納数と奇数周回データ格納数との合計が、リードレベルに達したタイミング(a+b=リードレベル数)で割り込みを発行する。
図23に示されるデータ格納部2の読み出し制御部は、偶数周回データ格納部がリードされた総データ数をカウントし、設定された周回データ数に達する(図30に示されるaの後端)まで、偶数周データ選択信号を、図23に示されるデータ格納部2の読み出し選択部へ出力し、読み出し選択部は、割り込み通知によるCPUからのデータリードに対して、偶数周データを出力する。
一方、読み出し制御部は、奇数周データ選択信号を読み出し選択部へ出力し、読み出し選択部は、割り込み通知によるCPUからのデータリードに対して、前記偶数周リードに連続して奇数周データを出力する(図30に示されるb)。
バスを介して図22に示されるCPUから補正部500のCPU IF部517へモード選択レジスタを設け、直交検波を実施する/実施しないを設定するモード選択信号を補正演算部508及びデータ入力部501に入力する。
直交検波を実施する場合は、HP信号からのスタート信号を起点にデータ取得を行い回転体ごと、周期の偶数奇数ごとに処理を行い、結果をデータ格納部1に格納する。
直交検波を実施しない(プロセスコントロールを実施する)場合は、HP信号は使用せず、図22に示されるバッファ感光体even204の系統を使用してデータ格納部2へ格納する。
したがって、本構成は、直交検波を伴う補正及び直交補正を伴わないプロセスコントロールの双方に対応することができる構成である。
図31は、本発明の第1の実施の形態における補正処理を実施するフローチャートである。
ステップS100において、補正部500に対する動作設定として、CPUは、必要な演算モード、ADC、濃度センサ設定、演算パラメータ等をセットする。続いて、CPUは、ADC割込みマスクを解除して(S101)、ADCの転送モード等の設定を実施し(S102)、ADCの設定が終了した場合(S103のYES)、ステップS105に進む。ADCの設定が完了していない場合(S103のNO)、ステップS102に戻り、ADCの設定を行う。
続いて、ソフトリセット(S105)で回路の初期化を実施し、各種マスクを解除した後(S106)、CPUから演算起動を行う(S107)。HP検出する(S108のYES)又はHP検出しない(S108のNO)判断のあと、ADCよりトナー濃度データをリードし(S110)、平均化処理(S111)、付着量変換(S113)各演算を実施する。CPUは必要なデータ(バッファデータ(S112のYES)、平均化(S114のYES)、付着量変換(S115のYES))が存在する場合、引き取りフローへ進む。付着量変換後、直交検波が実施され(S116)、完了割り込みが発行される(S117)。続いて、CPUは、全割り込みのマスクを行い(S118)、演算結果をデータ格納部2からリードして引き取り(S119)、全要因をクリアして(S120)、フローを終了する。
引き取りフローが開始される(S200)と、リードレベル割り込みが発生するまで待機(S201のNO)し、リードレベル割り込みが発生した(S201のYES)場合、CPUは、全割り込みのマスクを行い(S202)、演算結果をデータ格納部2からリードして引き取り(S203)、全要因をクリアして(S204)、フローを終了する。なお、フローの各項目の設定・順番は一例であり演算を実施する目的より、設定・順番は一意ではない。
上述のように、本発明の第1の実施の形態によれば、画像形成装置1は、濃度補正処理における濃度センサの保存及び読み出しにおいて、周回ごとに決められた数の取得すべきデータを、偶数周又は奇数周ごとに独立した構成で取得、保存又は読み出しする。したがって、画像形成装置1は、感光体又は現像スリーブの回転体の偏心等による周期ずれがあっても、1周期の設定されたデータ数に関する情報と、ホームポジション信号の割込み周期による実際の1回転の読み出しデータ数に関する情報とに基づいて、現周回の最後の読み出しについては、上記の2情報より、現周回と次周回とで重複する、又は間隙となるデータ数を算出して把握することで、周期の重複又は間隙が生じた場合であっても、正しい間隔でのデータの読み出し及び読み出しタイミングを通知する割込みが実現できる。
すなわち、濃度補正処理に係る濃度センサデータの保存及び読み出しにおいて、感光体等の回転体の偏心等による周期ずれがあっても、周回ごとに決められた取得データ数を過不足なく格納し読み取り可能にすることで、周期ずれによる影響を受けない濃度補正処理を実現することができる。
また、本発明の第1の実施の形態によれば、画像形成装置1は、補正演算部508における演算の中間段階で生じる濃度ムラ補正以外の補正処理に使用可能なデータを、データ格納部2に記憶させてCPUに出力することで、濃度ムラ補正と並行してその他の補正処理を実行することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では第1の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第1の実施の形態と同様でもよい。
図32は、本発明の第2の実施の形態における補正演算に必要なデータの位置ずれについて説明するための図である。
上述したように、濃度ムラの補正を行う過程において、濃度ムラ検知用トナー像を任意の周期でサンプリングし複数周期分の波形を重ねて平均化処理が行われる。平均化処理には、感光体や現像スリーブの回転基準位置を開始位置として、サンプリング周期と感光体又は現像スリーブの回転速度等で決まるサンプリングデータ数が必要になる。
感光体又は現像スリーブは、回転時の偏心により、1回転周期が理想位置よりも早くなったり遅くなったりすることがある。図32は、補正演算に使用するデータの開始位置のずれを示している。図32に示される四角枠は濃度ムラ検知用トナー像を意味している。(a)は感光体の偏心が発生せずに理想的な回転周期が得られた場合を示している。理想的とは、1回転周期の平均処理に必要なサンプリングデータの取得が完了する際に、次の周回の回転基準位置が検出されることを意味する。
実際には偏心により回転基準位置の検知タイミングが前後する場合がある。(b)は回転基準位置が、理想位置より早い場合と遅い場合の例を示している。図(b)において、実際は(a)と同じ濃度ムラ検知用トナー像をサンプリングするが、サンプリング基準位置のずれを明示するために、便宜上1回転目〜3回転目の濃度ムラ検知用トナー像の四角枠を分割して記載している。すなわち、回転基準位置が理想位置より早い場合、1回転目終盤のサンプリングデータは2回転目の補正演算にも使用される。回転基準位置が、理想位置より遅い場合は、回転基準位置検知以降のデータを補正演算に使用し、回転基準位置検知前のデータは無視する。上記では感光体を例に示したが、現像スリーブでも同様である。
このように、偏心により補正演算に必要なデータが変動するため、従来の方法では、濃度ムラの補正処理を実施する際にサンプリングした濃度ムラ検知用トナー像の測定データを全て保存し、別途データを取得している感光体又は現像スリーブの回転基準位置データとの紐付け処理を行って必要なデータの切り出す必要があった。補正には複数周回分のデータが必要にもなるため、補正演算に必要な総データ数が多くなりメモリ容量が大きくなってしまう問題があった。また、画像形成装置1の生産性向上のために、濃度ムラ補正処理の補正演算をソフト処理ではなく、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等に回路を実装することでハード処理に変更することも考えられる。FPGA等の電子部品は、コストグレードによって論理セル又はRAMの容量が段階的に制限されるため、メモリ容量の増加がFPGAコストの増加にもつながってしまう。
図33は、本発明の第2の実施の形態における制御部の濃度ムラ補正演算回路の構成例を示す図である。濃度ムラ補正演算回路600は、図7に示される制御部110に含まれており、濃度データ受信部601、回転基準位置検知部602、感光体用濃度ムラ演算部603a、現像スリーブ用濃度ムラ演算部603b、光量補正値算出部607及び補正値格納部608を有する。感光体用濃度ムラ演算部603aは、付着量演算部(偶数周)604a、付着量演算部(奇数周)605a及び濃度ムラ周期抽出部606aを有する。現像スリーブ用濃度ムラ演算部603bは、付着量演算部(偶数周)604b、付着量演算部(奇数周)605b及び濃度ムラ周期抽出部606bを有する。以下、感光体用と現像スリーブ用を区別しない場合、濃度ムラ演算部603、付着量演算部604、付着量演算部605、濃度ムラ周期抽出部606と記載する。
回転基準位置検知部602は、感光体回転センサ及びスリーブ回転センサから回転基準位置データ(各センサの電圧値)を受信する。受信した回転基準位置データの電圧値の高低の変化によって、各回転体が回転基準位置に到達したことを検知して濃度データ受信部に通知する。なお、回転基準位置検知部602が受信する回転基準位置データは、ノイズの影響を受けて一時的に電圧値の高低が変化してしまうことがあるため、後述する濃度データ受信部のサンプリング周期より早い周期で回転基準位置データを複数回モニタして、電圧値の高低の変化が発生した場合は、複数回同じ電圧値となることを確認する。複数回連続で同じ電圧値になった場合、回転基準位置が到達したと判断する。
濃度データ受信部601は、回転基準位置検知部602から各回転体の基準位置検知の通知を受信したタイミングから、トナー濃度センサからトナー濃度データを任意のサンプリング周期で取得を開始して付着量演算部604a、605a、604b、605bに出力する。
濃度データ受信部601の後段には、濃度ムラ周期を演算するための演算回路として感光体用濃度ムラ演算部603aと現像スリーブ用濃度ムラ演算部603bの2つが配置されており、感光体と現像スリーブの濃度ムラ周期演算は独立して行われる構成になっている。各演算回路には付着量演算部604/605と濃度ムラ周期抽出部606が配置されていて、付着量演算部は受信したトナー濃度データからトナー付着量を算出して濃度ムラ周期抽出部に出力する。濃度ムラ周期抽出部606は、受信した濃度ムラ検知用トナー像の付着量データから、濃度ムラ検知用トナー像に含まれる濃度ムラ周期を抽出する。抽出方法としては、例えば直交検波又は高速フーリエ変換(FFT)等が挙げられる。本実施の形態では、直交検波を実施するものとする。なお、演算回路の付着量演算部は各回転体の奇数周演算用605と偶数周演算用604に分かれており、1周期分のデータを回転体の奇数周と偶数周で独立して演算処理が行えるようになっている。すなわち、濃度データ受信部601は、回転基準位置検知部602から受信する回転基準位置通知を契機に奇数周と偶数周の切り替わりを判別し、付着量演算部604/605に対する出力先を切り替えるようになっている。
例えば、濃度データ受信部601は、感光体の回転基準位置を検知したときにトナー濃度センサから受信したトナー濃度データを奇数周演算用のデータ変換部に出力開始し、濃度ムラ補正に必要な1回転周期分のデータを出力し続ける。同様に、濃度データ受信部601は、次の回転基準位置を検知した場合は偶数周演算用のデータ変換部にトナー濃度データを出力する。このとき、感光体の偏心により回転基準位置が理想位置より早く到来した場合は、奇数周データと偶数周データをパラレルで出力する。図32(b)を例に説明すると、濃度データ受信部601は、初回の回転基準位置を検知して1回転目のトナー濃度データを奇数周側の付着量演算部605に出力する。2回転目は回転基準位置が理想位置より早く到来したので、1回転目のデータを奇数周側の付着量演算部605に出力しつつ、2回転目のデータを偶数周側の付着量演算部604に出力する。すなわち、1回転目と2回転目の重複部分は、同じトナー濃度データを奇数周側と偶数周側それぞれの付着量演算部604/605に対してパラレルでデータを出力している。続いて、1回転目と2回転目の周回データのサンプリングが完了し、付着量演算部604/605へのデータ出力は一度停止する。その後、3回転目の回転基準位置が理想位置より遅れて到来する。濃度データ受信部601は、3回転目の回転基準位置を検知すると、奇数周側の付着量演算部605にトナー濃度データを出力開始して1周回分のサンプリングデータを出力する。
上記のように偶数周と奇数周で演算回路を分離して各周回の回転基準位置からデータを取得することで、各1回転周期の演算に必要なデータのみ抽出することが可能になり、従来のように全てのトナー濃度データをメモリに取得して後から回転基準位置データと紐付けて必要なデータを切り出す必要がなくなるため、メモリの容量を削減できる。
光量補正値算出部607は、濃度ムラ周期抽出部606で抽出された濃度ムラの周期特性を元に、潜像の書込光量を調節するための補正値を各回転体ごとに算出して補正値格納部608に格納する。
CPUは光量補正値算出部607からの図示しない割り込み通知信号により、光量補正値の算出が完了したことを把握して補正値格納部608から光量補正値を取得する。また、CPUは取得した補正値を図示しないレーザ書込装置に反映する。以上の制御により、潜像の書込光量を周期変動させることで残留周期変動を抑えることができる。
なお、補正値格納部608には最終的な演算結果を格納するだけではなく、演算途中の中間値を格納できるようにしても良い。例えば、付着量演算部604/605の計算結果又は濃度ムラ周期演算結果等を補正値格納部608に格納しておき、他の補正処理を行う際に演算データ及び中間値を利用できるようにしてもよい。
図34は、本発明の第2の実施の形態における濃度ムラ周期抽出部の構成例を示す図である。濃度ムラ周期抽出部606は、付着量演算部604/605と同様に、奇数周演算用と偶数周演算用の回路を備えている。
直交検波前処理部は、付着量演算部からトナー付着量データを受信して直交検波の前処理を行う。詳細は省略するが、残留周期が含まれるトナー濃度データの波形は感光体又は現像スリーブの回転周期の整数倍の周波数で周期変動する正弦波の重ね合わせによって表現される。
ΣAi×sin(i×ωt+θi)
i=1〜xの自然数
Ai:正弦波の振幅
ω:現像スリーブ又は感光体の角速度
θi:正弦波の位相
直交検波前処理部では、あるサンプリング間隔で取得されたトナー付着量データと、回転体基準位置をt=0として以降tをサンプリング間隔分増加させた正弦波の積を随時計算し、計算結果をデータ加算部に出力する。なお、濃度ムラを精度良く補正するためには、感光体又は現像スリーブの角速度を整数倍した高周波成分を含むことが望ましいため、本実施例では1次〜3次の角速度で演算を実施することとする。
データ加算部は、直交検波前処理部から受信したデータを順次加算してRAMに格納する。加算方法については後述する。また、データ加算部はRAMに格納したデータ数をカウントしており、演算に必要なデータ数をRAMに格納完了すると、直交検波後処理部にデータ出力の準備が出来たことを通知し、データの出力が認められればRAMからデータを読み出して出力する。
直交検波後処理部は、奇数周用演算回路と偶数周用演算回路からデータ出力準備完了通知を受信すると奇数周用回路と偶数周用回路から交互にデータを受信し、周回データをマージし、直交検波の後処理演算を実施してAiとθiを算出し、周波数ごとの濃度ムラ成分を算出する。そして算出結果を光量補正値算出部に出力する。また、上記は、感光体と現像スリーブで、同様の制御及び処理が行われる。
図35は、本発明の第2の実施の形態におけるデータ加算部の加算動作について説明するための図である。図35の左右方向は、時間軸を意味する。
データ加算部は直交検波演算式ΣAi×sin(i×ωt+θi)における、Σの加算処理を行う。上述したように、本実施例では、1次〜3次までの角速度で直交検波を行うが、以下の説明では、1次の演算を例に説明する。
データ加算部は、直交検波前処理部からサンプリング間隔で決まる任意の時間間隔でトナー付着量データを受信する(t0、t1、t2、t3)。
データ加算部は、トナー付着量データを受信する度にRAMの任意のアドレス(アドレス0)からデータ(r0、r1、r2、r3)を取得してトナー付着量データと加算する。(初回のRAMリードデータr0は0とする。)加算した結果は、再度RAMの同アドレスにライトする。上記の制御を、トナー付着量データを受信する度に繰り返す。すなわち、t0+r0=r1、t1+r1=r2、t2+r2=r3、t3+r3=s0のように、RAMからのデータリードとトナー付着量データの加算を順次繰り返すことで、RAMアドレス0の最終的な格納データs0が感光体1周期分のデータを加算した値となる。
データ加算部は、以上の加算制御を感光体1周期ごとに実施する。なお、加算結果を書き込むRAMのアドレスは、1周期分の加算処理が完了する度に変更される。図35では、RAMのアドレスは、アドレス0からアドレス1に変更されている。
上述したように、奇数周と偶数周で演算を実施する回路を分けているため、図35に示される1周目と3周目は奇数周演算回路で演算され(図35の白色で示される範囲)、2周目と4周目は偶数周演算回路で演算される(図12の網掛けで示される範囲)。このため、感光体の偏心により回転基準位置が理想位置とずれた場合、特に回転基準位置が理想位置よりも早くなり演算に必要なデータが各周期間で重複した場合でも演算を独立して行うことが可能となる。
上記の方法によれば、直交検波前処理部から受信したデータt0、t1、、、をRAMに全て保存する必要がなく、データ受信時に毎回算出される加算結果を周回数ごとに格納できる領域があれば良いのでメモリ容量が削減可能になる。また、上記は感光体を例に示したが、現像スリーブの場合も同様である。
図36は、本発明の第2の実施の形態におけるRAMに格納されたデータとアドレスの関係について説明するための図である。
濃度ムラ補正演算に必要なデータを全て取得完了したときには、奇数周側と偶数周側それぞれのRAMの各アドレスに1周期の加算結果のみが格納されている。補正値算出部はデータ加算部から任意の順番にデータを取得可能であるため、補正演算に必要な周回データの加算結果のみ取得して最終的な補正値を算出する。例えば、感光体1〜3周目のデータを用いて補正演算を実施する場合には、奇数周RAMのアドレス0−>偶数周RAMのアドレス0−>奇数周RAMのアドレス1の順にアクセスすれば良いし、感光体2〜4周目のデータを用いて補正演算を実施する場合には、偶数周RAMのアドレス0−>奇数周RAMのアドレス1−>偶数周RAMのアドレス1の順にアクセスすれば良い。また、上記は制御部における感光体を例に示したが現像スリーブの場合も同様である。
図37は、本発明の第2の実施の形態における濃度ムラ周期抽出部の他の構成例を示す図である。図34において、直交検波前処理部とデータ加算部を偶数周と奇数周に分割した構成を示したが、加算処理を行う時間間隔(サンプリング間隔)に対して加算処理2回分の演算時間が十分に早い場合は、偶数周と奇数周の重複が発生した場合でも加算処理を行う時間間隔中に偶数周の加算処理と奇数周の加算処理を完了することができるため、データ加算部とRAMは偶数と奇数で分割せずに共有する構成にすることで回路規模を削減することができる。この構成においては、加算演算時にアクセスするRAMのアドレスは、周回ごとにインクリメントされるようにマッピングすると、アドレス0から順に奇数周と偶数周をマージした状態で加算データが格納されることになるため扱いやすくなる。
偶数周と奇数周の重複が発生しない場合は、図35で示した加算処理を随時行えば良い。偶数周と奇数周の重複が発生した場合は、データ加算部に対して偶数周データと奇数周データが同じタイミングで入力される。データ加算部は内部で偶数周用のRAMアクセスアドレスと奇数周用のRAMアクセスアドレスを個別に管理しており、一意に決定した順番で加算処理を実施する(本実施の形態ではRAMアクセスアドレス初期値は奇数周を0、偶数周を1とする。)。
例えば、偶数周と奇数周の重複が発生した場合、まず奇数周のデータを先に取得し、奇数周用のRAMアクセスアドレスを参照して加算処理を行う。当該加算処理で奇数周1周分の加算処理が完了した場合は奇数周用のRAMアクセスアドレスを+2加算する。奇数周データの1回の加算処理が完了したら続いて偶数周のデータを取得し、偶数周用のRAMアドレスを参照して加算処理を行う。当該の加算処理で偶数周データの加算処理が完了した場合は偶数周用のRAMアクセスアドレスを+2加算する。
上記の処理を補正演算に必要なデータが揃うまで繰り返すとデータ取得完了した時点で、アドレス0から順に奇数周と偶数周が交互に格納された状態、すなわち時間軸上で連続した状態となる。本構成によれば、RAM1つで全ての周回加算データを管理できるため、後段の直交検波後処理部のデータ取得制御を簡素化することができる。
上述のように、本発明の第2の実施の形態によれば、感光体又は現像スリーブの各回転体のデータサンプリングを行うとき、偶数周と奇数周とで独立してサンプリングデータを取得可能な構成とし、補正演算の平均処理実行時は、サンプリングデータを取得したタイミングでメモリから取得した前回の加算結果と、新規に取得したサンプリングデータを加算した後に再度加算結果をメモリに格納する処理を繰り返し、最後に総データ数で除算する構成とする。偶数周と奇数周とを独立してサンプリングするため、回転体の基準位置情報とサンプリングデータの紐付けが不要になり、演算に必要なデータをすべてメモリに保存することなく平均処理が実行可能になる。したがって、画像濃度の周期的変動を抑える技術において、補正値算出処理に必要となるメモリ容量を抑制することができる。
なお、本発明の実施の形態において、感光体又は現像スリーブは、回転体の一例である。感光体回転センサ182又は現像スリーブ回転センサ183は、検知部の一例である。データ入力部501は、取得部の一例である。補正演算部508又はデータ加算部は、算出部又は演算部の一例である。
以上、本発明の実施形態又は実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。