以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<1.第1実施形態>
<1−1.システム構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る印刷システム1の構成を示す概略図である。図1に示されるように、印刷システム1は、複数のプリンタ(印刷出力装置とも称する)10(ここでは4つのプリンタ10a,10b,10c,10d)と当該複数のプリンタを制御する印刷制御装置50とを備える。
各プリンタ10と印刷制御装置50とは、ネットワークNWを介して互いに接続される。ネットワークNWは、LAN(Local Area Network)およびインターネットなどによって構成される。また、ネットワークNWに対する接続態様は、有線接続であってもよく、或いは無線接続であってもよい。
<1−2.プリンタの構成>
図2は、プリンタ10の機能ブロックを示す図である。ここでは、プリンタ10として、MFP(マルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi-Functional Peripheral))を例示する。図2においては、MFP10の機能ブロックが示されている。
MFP10は、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能およびボックス格納機能などを備える装置(複合機とも称する)である。具体的には、MFP10は、図2の機能ブロック図に示すように、画像読取部2、印刷出力部3、通信部4、格納部5、操作部6およびコントローラ9等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。
画像読取部2は、MFP10の所定の位置に載置された原稿を光学的に読み取って(すなわちスキャンして)、当該原稿の画像データ(原稿画像なしいスキャン画像とも称する)を生成する処理部である。この画像読取部2は、スキャン部であるとも称される。
印刷出力部3は、印刷対象に関するデータに基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力する出力部である。
通信部4は、公衆回線等を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。さらに、通信部4は、ネットワークNWを介したネットワーク通信を行うことも可能である。このネットワーク通信では、たとえば、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)等の各種のプロトコルが利用される。当該ネットワーク通信を利用することによって、MFP10は、所望の相手先(たとえば、印刷制御装置50)との間で各種のデータを授受することが可能である。通信部4は、各種データを送信する送信部4aと各種データを受信する受信部4bとを有する。
格納部5は、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置で構成される。
操作部6は、MFP10に対する操作入力を受け付ける操作入力部6aと、各種情報の表示出力を行う表示部6bとを備えている。このMFP10においては、略板状の操作パネル部6c(図1参照)が設けられ、当該操作パネル部6cは、その正面側にタッチパネル25(図1参照)を有している。タッチパネル25は、液晶表示パネルに圧電センサ等が埋め込まれて構成され、各種情報を表示するとともに操作者からの操作入力を受け付けることが可能である。たとえば、タッチパネル25においては、メニュー画面等の各種の画面(ボタン画像等を含む)等が表示される。操作者は、タッチパネル25内に仮想的に配置されるボタン(ボタン画像で表現されるボタン)を押下することによって、MFP10の各種設定内容(たとえばMFP10の各用紙トレイ内に収容されている用紙の材質および色に関する情報等)を変更することなどが可能である。タッチパネル25は、操作入力部6aの一部としても機能するとともに、表示部6bの一部としても機能する。
コントローラ9は、MFP10に内蔵され、MFP10を統括的に制御する制御装置である。コントローラ9は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ9は、CPUにおいて、ROM(例えば、EEPROM)内に格納されている所定のソフトウエアプログラム(以下、単にプログラムとも称する)PM1を実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、当該プログラムPM1は、USBメモリなどの可搬性の記録媒体、あるいはネットワークNW等を介してMFP10にインストールされてもよい。
具体的には、図2に示すように、コントローラ9は、プログラムPM1の実行により、通信制御部11と入力制御部12と表示制御部13と印刷出力制御部15とを含む各種の処理部を実現する。
通信制御部11は、他の装置(印刷制御装置50等)との間の通信動作を制御する処理部である。たとえば、通信制御部11は、通信部4等と協働して、印刷制御装置50からの印刷指令等を受信する。
表示制御部13は、表示部6bにおける表示動作を制御する処理部である。表示制御部13は、MFP10を操作するための操作画面等を表示部6bに表示させる。
入力制御部12は、操作入力部6aに対する操作入力動作を制御する制御部である。たとえば、入力制御部12は、操作画面に対する操作入力を受け付ける動作を制御する。
印刷出力制御部15は、MFP10における印刷出力動作を制御する制御部である。印刷出力制御部15は、印刷制御装置50からの指令および操作者による操作指示等に応じて、MFP10における印刷出力動作を制御する。
この実施形態においては、4つのプリンタ10(10a〜10b)のうち、一のプリンタ10aのみが、用紙挿入部(用紙挿入機あるいはペーパーインサータとも称する)31(31a)を有している(図1および図7参照)。この用紙挿入部31aは、手差し式の2つのトレイ(ペーパーインサータトレイとも称する)PT1,PT2を有する。
この用紙挿入部31は、当該用紙挿入部31のトレイPT1,PT2に載置された用紙をプリンタ10aにおける印刷出力物の搬送経路上に送出し、当該用紙を最終的な印刷出力物の所定のページ位置に挿入することが可能である。後述するように、複数のページで構成される印刷出力物が生成される際に、たとえば、各ページの用紙種類等によって分類された複数のサブジョブSBが複数のプリンタ10で分担して印刷出力されるとともに、一部のサブジョブSBに係る印刷出力物がプリンタ10aの用紙挿入部31を用いて最終的な印刷出力物の所望のページ位置に配置されることが可能である。
<1−3.印刷制御装置50の構成>
図3は、印刷制御装置50の機能ブロックを示す図である。
次に、図3を参照しながら、印刷制御装置50の構成について説明する。
印刷制御装置50は、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置により構成される。
印刷制御装置50は、図3の機能ブロック図に示すように、通信部54、格納部55、操作部56およびコントローラ59等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。
通信部54は、ネットワークNWを介したネットワーク通信を行うことが可能である。このネットワーク通信では、たとえば、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)等の各種のプロトコルが利用される。当該ネットワーク通信を利用することによって、印刷制御装置50は、所望の相手先(プリンタ10等)との間で各種のデータを授受することが可能である。通信部54は、各種データを送信する送信部54aと各種データを受信する受信部54bとを有する。
格納部55は、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置で構成される。格納部55には、各プリンタ10に向けて送信すべき印刷出力用のデータが一時的に格納される。
操作部56は、印刷制御装置50に対する操作入力を受け付ける操作入力部56aと、各種情報の表示出力を行う表示部56bとを備えている。操作部56は、各種の印刷ジョブを受け付ける受付部であるとも表現される。
図3のコントローラ59は、印刷制御装置50に内蔵され、印刷制御装置50を統括的に制御する制御装置である。コントローラ59は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM)等を備える。コントローラ59は、CPUにおいて、記憶部(半導体メモリ等)内に格納されている所定のソフトウエアプログラム(以下、単にプログラムとも称する)PM5を実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、当該プログラムPM5は、CD−ROMおよびUSBメモリなどの可搬性の記録媒体、あるいはネットワークNW等を介して印刷制御装置50にインストールされるようにしてもよい。
コントローラ59は、プログラムPM5の実行により、通信制御部61と入力制御部62と表示制御部63と印刷制御部64と情報取得部65と分類部66と算出部67と決定部68とを含む各種の処理部を実現する。
通信制御部61は、通信部54等と協働して、プリンタ10等との通信動作を制御する処理部である。たとえば、通信制御部61は、通信部54等と協働して、各プリンタ10への印刷指令の送信動作等を制御する。
入力制御部62は、操作入力部56aに対する操作入力動作を制御する制御部である。たとえば、入力制御部62は、操作部56と協働して、プリンタ10a〜10dで行われるべき各種の印刷ジョブに関する実行指示を受け付ける。
表示制御部63は、表示部56bにおける表示動作を制御する処理部である。表示制御部63は、ジョブの受付画面等の表示動作を制御する。
印刷制御部64は、プリンタ10による印刷出力動作を制御する処理部である。
情報取得部65は、複数のプリンタ10のそれぞれにおいて各用紙トレイTRに収容されている用紙に関する用紙情報MPと、複数のプリンタ10のそれぞれにおける用紙挿入部(ペーパーインサータ)31に関する情報(構成情報とも称する)MSとを各プリンタ10から取得する処理部である。具体的には、用紙情報MPは、複数のプリンタのそれぞれにおいて各用紙トレイに収容されている用紙の情報(具体的には、用紙の材質(いわゆる「紙種」)、用紙色および用紙サイズに関する用紙種類情報)を有している。また、構成情報MSは、複数のプリンタのそれぞれにおける用紙挿入部31のトレイ数(ペーパーインサータトレイの数)に関する情報を含む。情報取得部65は、各プリンタ10と通信して、各プリンタ10に関する情報MP,MS等を取得する。
ここにおいて、「用紙種類」は、(広義の)用紙の種類を意味し、「紙種」は、狭義の用紙の種類(具体的には、用紙の材質(「普通紙」および「厚紙」等))を意味するものとする。本願における「用紙種類」は、「用紙の材質」(いわゆる紙種)、「用紙色」および「用紙サイズ」の3つの要素のうちの少なくとも1つの分類対象要素で分類される。当該「用紙種類」は、当該分類対象要素が同一の内容を有するか否かで区別される。この実施形態では、これら3つの要素の全てが分類対象要素である場合(換言すれば、当該3つの要素が同一であるときに同一種類であると判定される場合)を例示する。ただし、これに限定されず、当該3つの要素の中から分類対象要素として必要に応じて選択された1つ又は2つの要素の同一性に応じて、同一種類であるか否かが判定されるようにしてもよい。たとえば、「用紙サイズ」および「用紙の材質」の2つの要素が同一種類であるときに、同一種類の用紙である旨が判定されるようにしてもよい。
分類部66は、印刷ジョブにおける各ページの印刷対象用紙の用紙情報(具体的には、「用紙の材質」、「用紙色」、「用紙サイズ」)に基づき、印刷ジョブJBを、同一の用紙情報を有する複数のサブジョブSBに分類する処理部である。
算出部67は、印刷ジョブJBの実行に関する諸要素の複数の組み合わせCBi(後述)に対して、各組み合わせCBiにおける作業者の作業の手間を評価した評価値EVi(後述)をそれぞれ算出する処理部である。印刷ジョブJBの実行に関する諸要素としては、たとえば、「用紙トレイ」および「ペーパーインサータトレイ」が挙げられる。具体的には、複数のサブジョブのうちの要印刷サブジョブを複数のプリンタ10に設けられた複数の用紙トレイのうちの何れの用紙トレイを用いて実行し且つ複数のプリンタ10のうちの少なくとも1つのプリンタに設けられた少なくとも1つのペーパーインサータをどのように用いて出力物のページ順序を揃えるかに関する複数の組み合わせが考慮される。なお、要印刷サブジョブは、印刷出力を伴うサブジョブである。換言すれば、要印刷サブジョブは、印刷出力を伴わないサブジョブ(たとえば「合紙」に関するサブジョブ)以外のサブジョブである。
決定部68は、複数の組み合わせCBiに対する各評価値EViに基づき、当該複数の組み合わせCBiの中から、作業者の手間が最小化された最適な組み合わせを決定する処理部である。
また、表示制御部63は、算出部67および決定部68等によって決定された最適動作に係る最適な組み合わせ等を表示部56bに表示してユーザに提示する動作を制御する。
さらに、通信制御部61は、当該最適な組み合わせに基づく印刷動作の実行指令を複数のプリンタ10に送出する動作を制御する。
<1−4.印刷ジョブ>
つぎに、この実施形態の印刷対象に係る印刷ジョブJBについて説明する。
図4は、印刷ジョブJBの一例を示す図である。印刷ジョブJBは、印刷制御装置50の操作画面等を用いて入力される。図4の印刷ジョブJBは、合計50ページの印刷対象ページを有する。ここでは、用紙の種類(具体的には、用紙の材質(紙種)、色(用紙色)、サイズ(用紙サイズ))に応じて、ページ順の「11」個の小グループSG1〜SG11に分類された状態で、印刷ジョブJBが入力される。なお、用紙の「色」については、特に必要な場合にのみ示すものとする。
11個の小グループのうち、第1の小グループSG1は、印刷ジョブJBの第1ページに対応し、「厚紙」(紙種)且つ「A4」(サイズ)の1枚の用紙に対する印刷出力が行われるグループである。
第2の小グループSG2は、印刷ジョブJBの第2ページ〜第4ページに対応し、「普通紙」(紙種)且つ「A4」(サイズ)の3枚の用紙に対する印刷出力が行われるグループである。
第3の小グループSG3は、印刷ジョブJBの第5ページに対応するグループである。小グループSG3は、「A4」サイズの1枚の用紙「合紙」を印刷ジョブJBの第5ページの用紙として挿入することを示すグループである。ここにおいて、「合紙(あいし)」は、章末等に配置され区切りを付ける用紙であり、通常、印刷出力を伴わない用紙(あるいは何らかの印刷が既に施された用紙)である。少なくとも、印刷ジョブJBにおいては、「合紙」に対する印刷出力は行われない。また、「合紙」は、厳密には用紙の材質自体を表すものではないが、ここでは、「合紙」は「用紙の材質」(紙種)の1つである、とみなす。
第4の小グループSG4は、印刷ジョブJBの第6ページ〜第25ページに対応し、「普通紙」(紙種)且つ「A4」(サイズ)の20枚の用紙に対する印刷出力が行われるグループである。
第5の小グループSG5は、印刷ジョブJBの第26ページ〜第30ページに対応し、「色紙(グリーン)」(紙種および用紙色)且つ「A4」(サイズ)の5枚の用紙に対する印刷出力が行われるグループである。
第6の小グループSG6は、印刷ジョブJBの第31ページに対応するグループである。小グループSG6は、「A4」サイズの1枚の用紙「合紙」を印刷ジョブJBの第31ページの用紙として挿入することを示すグループである。
第7の小グループSG7は、印刷ジョブJBの第32ページ〜第41ページに対応し、「普通紙」(紙種)且つ「A4」(サイズ)の10枚の用紙に対する印刷出力が行われるグループである。
第8の小グループSG8は、印刷ジョブJBの第42ページに対応するグループである。小グループSG8は、「A4」サイズの1枚の用紙「合紙」を印刷ジョブJBの第42ページの用紙として挿入することを示すグループである。
第9の小グループSG9は、印刷ジョブJBの第43ページ〜第45ページに対応し、「普通紙」(紙種)且つ「A3」(サイズ)の3枚の用紙に対する印刷出力が行われるグループである。
第10の小グループSG10は、印刷ジョブJBの第46ページ〜第49ページに対応し、「色紙(イエロー)」(紙種および用紙色)且つ「A3」(サイズ)の4枚の用紙に対する印刷出力が行われるグループである。
第11の小グループSG11は、印刷ジョブJBの第50ページ(最終ページ)に対応し、「厚紙」(紙種)且つ「A4」(サイズ)の1枚の用紙に対する印刷出力が行われるグループである。
<1−5.印刷動作>
つぎに、印刷ジョブJBを用紙種類ごとに分割して印刷する印刷動作(クラスタ印刷とも称する)について説明する。
<サブジョブへの分類>
図9は、第1実施形態に係る動作を示すフローチャートである。図9に示すように、まずステップS11において、処理対象の印刷ジョブJBが、各印刷対象ページの用紙情報等に基づいて、複数のサブジョブSBに分割される。詳細には、印刷制御装置50の分類部66は、印刷ジョブJBにおける各ページの印刷対象用紙の情報(用紙の材質(紙種)、用紙色および用紙サイズ等)に基づき、印刷ジョブJBを複数のサブジョブSBに分類する(図5および図6参照)。なお、図5は、複数のサブジョブSBを示す図であり、図6は、複数のサブジョブSBへの分類の様子を示す図である。
具体的には、同一の用紙情報を有する小グループSGが同じサブジョブSBに分類される。逆に言えば、異なる用紙情報を有する小グループSGは互いに異なるサブジョブSBに分類される。用紙情報の同一性は、用紙種類の同一性(たとえば、用紙の材質(紙種)、用紙色および用紙サイズの3要素が全て同一であるか否か)に基づいて判定されればよい。なお、印刷ジョブJBにおいて用紙色が明示されていない小グループSGは、互いに同一の用紙色を有する、とみなすものとする。
図5および図6においては、印刷ジョブJB(詳細には、11個の小グループSG1〜SG11で構成される印刷ジョブJB)が6個のサブジョブSB(SB1〜SB6)に分類される様子が示されている。
詳細には、サブジョブSB1は、出力対象用紙の紙種が「普通紙」であり且つ当該用紙のサイズが「A4」であるページで構成される。より具体的には、紙種「普通紙」且つサイズ「A4」を有する3つの小グループSG2,SG4,SG7が纏められてサブジョブSB1に分類される。サブジョブSB1は、第2ページ〜第4ページ、第6ページ〜第25ページ、第32ページ〜第41ページの合計33ページで構成される。
また、サブジョブSB2は、出力対象用紙の紙種が「色紙」であり且つ用紙色が「グリーン」であり且つサイズが「A4」であるページで構成される。具体的には、紙種「色紙」且つ用紙色「グリーン」且つサイズ「A4」を有する1つの小グループSG5がサブジョブSB2に分類される。サブジョブSB2は、第26ページ〜第30ページの合計5ページで構成される。
また、サブジョブSB3は、出力対象用紙の紙種が「色紙」であり且つ用紙色が「イエロー」であり且つサイズが「A3」であるページで構成される。具体的には、紙種「色紙」且つ用紙色「イエロー」且つサイズ「A3」を有する1つの小グループSG10がサブジョブSB3に分類される。サブジョブSB3は、第46ページ〜第49ページの合計4ページで構成される。
また、サブジョブSB4は、出力対象用紙の紙種が「普通紙」であり且つサイズが「A3」であるページで構成される。具体的には、紙種「普通紙」且つサイズ「A3」を有する1つの小グループSG9がサブジョブSB4に分類される。サブジョブSB4は、第43ページ〜第45ページの合計3ページで構成される。
また、サブジョブSB5は、出力対象用紙の紙種が「合紙」であり且つ当該用紙のサイズが「A4」であるページで構成される。具体的には、紙種「合紙」且つサイズ「A4」を有する3つの小グループSG3,SG6,SG8が纏められてサブジョブSB5に分類される。サブジョブSB5は、第5ページ、第31ページ、第42ページの合計3ページで構成される。
また、サブジョブSB6は、出力対象用紙の紙種が「厚紙」であり且つ当該用紙のサイズが「A4」であるページで構成される。具体的には、紙種「厚紙」且つサイズ「A4」を有する2つの小グループSG1,SG11が纏められてサブジョブSB6に分類される。サブジョブSB6は、第1ページおよび第50ページの合計2ページで構成される。
これらの複数のサブジョブSBは、複数のプリンタ10で分担されて実行される。
<情報取得>
ステップS12においては、印刷制御装置50の情報取得部65は、複数のプリンタ10のそれぞれにおいて各用紙トレイTRに収容されている用紙に関する情報(用紙情報)MPを取得する。また、情報取得部65は、複数のプリンタ10のそれぞれにおける用紙挿入部(ペーパーインサータ)31に関する情報(構成情報)MSをも取得する。さらに、情報取得部65は、複数のプリンタ10のそれぞれにおける印刷速度に関する情報(印刷速度情報とも称する)MQをも取得する。これらの情報は、各プリンタ10との通信によって取得される。
図7は、用紙情報MP、構成情報MSおよび印刷速度情報MQの一例を示す図である。
具体的には、まず図7の左端から2つ目の欄には、4つのプリンタ(MFP)10a〜10dの印刷速度情報MQが記述されている。具体的には、プリンタ10aの印刷速度が「100」ppm(ページ毎分)であり、プリンタ10bの印刷速度が「80」ppm(ページ毎分)であることが示されている。また、プリンタ10cの印刷速度が「60」ppm(ページ毎分)であり、プリンタ10dの印刷速度が「40」ppm(ページ毎分)であることが示されている。
また、図7の左端から3つ目の欄には、4つのプリンタ10a〜10dのそれぞれに設けられた用紙挿入部31のトレイ数(ペーパーインサータトレイの数)が記載されている。具体的には、プリンタ10aにおけるペーパーインサータトレイの数が「2」個であり、プリンタ10bにおけるペーパーインサータトレイの数が「0」個であることが示されている。また、プリンタ10c,10dにおけるペーパーインサータトレイの数がいずれも「0」個であることも示されている。すなわち、4つのプリンタ10a〜10dのうち、プリンタ10aに2個のペーパーインサータトレイが設けられており、他の3つのプリンタ10b〜10dにはペーパーインサータトレイ(およびペーパーインサータ)が設けられていない、ことが示されている。
また、図7の右端側の4つの欄には、4つのプリンタ10a〜10dのそれぞれにおいて各用紙トレイTR1〜TR4に収容されている用紙の情報MP(具体的には、「紙種(カラー)/サイズ」)が記述されている。
具体的には、プリンタ10aの用紙トレイTR1,TR2のそれぞれには「普通紙/A4」の用紙が収容されており、且つ、プリンタ10aの用紙トレイTR3,TR4のそれぞれには「普通紙/B4」の用紙が収容されていること、が記述されている。
また、プリンタ10bの用紙トレイTR1には「普通紙/A4」の用紙が収容されており、プリンタ10bの用紙トレイTR2には「普通紙/B4」の用紙が収容されており、プリンタ10bの用紙トレイTR3には「厚紙/A4」の用紙が収容されており、プリンタ10bの用紙トレイTR4には「厚紙/B4」の用紙が収容されていること、が記述されている。
さらに、プリンタ10cの用紙トレイTR1には「普通紙/A4」の用紙が収容されており、プリンタ10cの用紙トレイTR2には「厚紙/A4」の用紙が収容されており、プリンタ10cの用紙トレイTR3には「色紙(イエロー)/A4」の用紙が収容されており、プリンタ10cの用紙トレイTR4には「色紙(グリーン)/A4」の用紙が収容されていること、が記述されている。
また、プリンタ10dの用紙トレイTR1には「普通紙/A3」の用紙が収容されており、プリンタ10dの用紙トレイTR2には「厚紙/A3」の用紙が収容されており、
プリンタ10dの用紙トレイTR3には「色紙(イエロー)/A3」の用紙が収容されており、プリンタ10dの用紙トレイTR4には「色紙(グリーン)/A3」の用紙が収容されていること、が記述されている。
ステップS12においては、このような情報(用紙情報MP、構成情報MSおよび印刷速度情報MQ)が取得される。
<各組み合わせに関する評価>
次のステップS13においては、印刷制御装置50の算出部67は、印刷ジョブの実行に関する諸要素の複数の組み合わせCBを生成する。組み合わせCBは、印刷動作例などとも表現される。各組み合わせCBは、用紙情報MP、構成情報MSおよび印刷速度情報MQ等に基づいて求められる。
また、印刷制御装置50の算出部67は、印刷ジョブの実行に関する諸要素の複数の組み合わせCBiについて、当該複数の組み合わせCBiのそれぞれにおける作業者の作業の手間を評価した評価値EViを算出する。
評価値EViは、たとえば、図8に示されるような評価基準に基づいて算出される。具体的には、各作業に対して規定された評価点を加算することによって評価値EV(EVi)が算出される。なお、図8においては、各作業に対応する評価点を規定するデータテーブルが示されている。当該データテーブルは、印刷制御装置50の格納部55に予め格納されている。
ここでは、作業者の作業として、
・ペーパーインサータトレイPTへの挿入作業MAと、
・用紙トレイ(給紙トレイ)TRにおける収容用紙の入替作業MBと、
・用紙トレイTRにおける収容用紙の用紙情報に関する設定変更作業MCと、
を考慮する。なお、作業MBおよび作業MCは、用紙トレイの収容用紙に関する変更作業であると、包括的に表現される。
詳細には、ペーパーインサータトレイPTの挿入作業MAは2種類の作業MA1,MA2に分類され、各作業に対してそれぞれ評価点が付与される。具体的には、合紙等をペーパーインサータトレイPTに挿入する作業MA1に対しては、「1」点の評価点が付与される。また、或るプリンタでの出力物を当該プリンタの排紙トレイから取り出して(同一もしくは別のプリンタの)ペーパーインサータトレイPTに挿入する作業MA2に対しては、「2」点の評価点が付与される。「取り出し」と「挿入」との2つの手間が発生していることを反映して、作業MA1に対する評価点の2倍の評価点が付与される。
また、用紙トレイ(給紙トレイ)TRにおける収容用紙の入替作業MBは、3種類の作業MB1,MB21,MB22に分類され、各作業に対してそれぞれ評価点が付与される。
具体的には、用紙トレイTRに収容されていた用紙を当該用紙トレイTRから取り出して、代わりに新たな用紙(新たな紙種および/または新たなサイズ等の用紙)を当該用紙トレイTRに挿入する作業MB1に対しては、「2」点の評価点が付与される。作業MB1に関しては、用紙トレイに収容されていた入替前の用紙を取り出す作業(「取り出し作業」)と入替後の収容用紙を用紙トレイに収容(配置)する作業(「挿入作業」ないし「載置作業」)との2つの手間が発生していることを反映して、作業MA1に対する評価点の2倍の評価点が付与される。
また、用紙入替に伴って用紙トレイTR内の用紙ガイド(案内部材)の位置を変更する作業MB2(詳細には、MB21,MB22)に対しては、「2」点あるいは「1」点の評価点が付与される。
詳細には、たとえばA4サイズからA3サイズへの変更時(用紙サイズ規格に関する同じ系列内(「A」系列内等)での用紙変更時)においては、縦方向の用紙ガイドと横方向の用紙ガイドとのうちの一方の用紙ガイド(たとえば横方向)のみの位置を変更すればよい。このように単一の用紙ガイドの位置変更を伴う作業MB22に対しては、「1」点の評価点が付与される。
これに対して、2つの用紙ガイドの位置変更を伴う作業MB21に対しては、「2」点の評価点が付与される。たとえばA4サイズからB4サイズへの変更時(異なる系列相互間(たとえば「A」系列と「B」系列との相互間)での用紙変更時)においては、縦方向の用紙ガイドと横方向の用紙ガイドとの双方のガイドの位置が変更される。このように、2つの用紙ガイドの位置変更を伴う作業MB21に対しては、2つの用紙ガイドの位置を変更する手間が発生していることを反映して、単一の用紙ガイドの位置を変更する作業MB21に対する評価点の2倍の評価点が付与される。
さらに、当該入替作業MBに伴って、各プリンタ10の操作パネル部6cを用いた設定変更作業MCが発生し得る。この設定変更作業MC、具体的には、用紙トレイTRにおける収容用紙の用紙情報に関する設定変更作業MCは、2種類の作業MC1,MC2に分類され、各作業に対してそれぞれ評価点が付与される。具体的には、用紙の「紙種」の設定変更作業MC1に対して「2」点の評価点が付与され、用紙の「色」の設定変更作業MC2に対しても「2」点の評価点が付与される。これらの設定変更作業は、タッチパネル25におけるメニュー画面遷移を辿ってそれぞれの設定画面を表示させ、当該設定画面を用いて行われる設定変更作業(設定変更操作)である。このような作業は、その操作の手間が比較的大きい作業であるとして、比較的大きな評価点が当該作業に対して付与される。
以上のように、算出部67は、ペーパーインサータトレイへの挿入作業MAの手間と用紙トレイの収容用紙に関する変更作業(MB,MC)の手間とを反映させて、評価値EVを算出する。
なお、ペーパーインサータトレイPTに挿入する作業MA2に対しては2点が付与される。一方、用紙トレイの収容用紙に関する変更作業(MB,MC)の手間は、用紙トレイにおける収容用紙の入替作業MBの手間と(当該入替作業MBに伴う)設定変更作業MCの手間との和であり、最低でも3点が当該変更作業(MB,MC)に対して付与される。このように、ペーパーインサータトレイへの挿入作業MA2の手間は、用紙トレイの収容用紙に関する変更作業(MB,MC)の手間よりも小さな手間であると評価されるので、実際の手間に見合った評価がより適切に行われ得る。換言すれば、比較的簡易な作業MA2を伴う組み合わせが最適解として決定され易くなる。
<組み合わせ列挙>
また、算出部67は、印刷ジョブの実行に関する諸要素の複数の組み合わせを生成して列挙する。具体的には、複数のサブジョブSBのうちの要印刷サブジョブを複数のプリンタ10のうちのいずれのプリンタのいずれの用紙トレイを用いて実行し且つ複数のプリンタ10のうちの少なくとも1つのプリンタに設けられた少なくとも1つのペーパーインサータのうちのいずれのペーパーインサータを用いてページ順序を揃えるかに関する複数の組み合わせが考慮される。
具体的には、用紙トレイおよびペーパーインサータトレイPTの利用法に関して、「総当たり方式」等で複数の組み合わせが生成されればよい。なお、複数の組み合わせの生成に際して、同じ用紙情報(紙種およびサイズ)を有する用紙トレイTRが複数のプリンタに存在する場合には、処理の高速化の観点から、比較的高速のプリンタの用紙トレイが利用対象トレイとして優先的に選択されることが好ましい。
算出部67によって得られた該複数の組み合わせの中には、たとえば、次述する4つの組み合わせCB1〜CB4が含まれる。
以下では、これらの代表的な組み合わせCB1〜CB4およびそれぞれの評価値EVについて説明する。
<組み合わせCB4>
まず、図16の第4の組み合わせCB4について説明する。
用紙トレイの収容用紙に関する変更作業を最小化する観点からは、各プリンタ10の各用紙トレイTRに現在収容されている用紙を入れ替えることなく、印刷ジョブが実行されることが好ましい。図16の第4の組み合わせCB4は、そのような組み合わせを示す図である。また、この組み合わせCB4においては、或るペーパーインサータトレイを複数回利用することによってページ順序を揃えることが許容される。
この組み合わせCB4においては、まず、サブジョブSB1は、最も高速なプリンタ10aの用紙トレイTR1に対応付けられる。(比較的低速の)プリンタ10b,10cにも「普通紙/A4」を収容する用紙トレイが存在するものの、ここでは、最も高速なプリンタ10aの用紙トレイTR1が選択される。なお、プリンタ10aの用紙トレイTR2も「普通紙/A4」の用紙を収容するため、当該用紙トレイTR2が選択されてもよいが、ここでは、プリンタ10aの用紙トレイTR1が選択されるものとする。このようにして、プリンタ10aの用紙トレイTR1に収容された「普通紙/A4」の用紙を用いてサブジョブSB1が印刷出力されるべき旨が(暫定的に)決定される。
同様にして、サブジョブSB6(「厚紙/A4」)は、プリンタ10bの用紙トレイTR3に対応付けられる。また、サブジョブSB2は、プリンタ10cの用紙トレイTR4に対応付けられ、サブジョブSB3は、プリンタ10dの用紙トレイTR3に対応付けられ、サブジョブSB4は、プリンタ10dの用紙トレイTR1に対応付けられる。
また、サブジョブSB5(「合紙/A4」)は、印刷出力を伴わないジョブであり、プリンタ10aのペーパーインサータトレイ(ここではPT2)に対応付けられる。
この組み合わせCB4においては、或るペーパーインサータトレイを複数回利用することによってページ順序を揃えることが許容され、次のような印刷手順(図16の下段参照)で印刷ジョブJBが実行される。なお、図16の下段においては、図16の上段の動作が時系列順に上から並べ替えられて示されている。
まず、プリンタ10cの用紙トレイTR4を用いてサブジョブSB2に関する印刷出力が行われるとともに、プリンタ10dの用紙トレイTR1,TR3を用いてサブジョブSB4,SB3に関する印刷出力がそれぞれ行われる。なお、このとき、各プリンタにおいては、印刷ジョブJBの最終的なページ順序に従って印刷出力が行われる。他の印刷出力動作においても同様である。
そして、プリンタ10cの印刷出力物がプリンタ10cの排紙トレイから取り出された後にプリンタ10aのペーパーインサータトレイPT1に載置され、且つ、プリンタ10dの印刷出力物がプリンタ10dの排紙トレイから取り出された後にプリンタ10aのペーパーインサータトレイPT2に載置される(図16の太線矢印参照)。この状態でプリンタ10aの用紙挿入部31等が動作することによって、サブジョブSB2〜SB4に関する印刷出力物が所定のページ順序に配列されてプリンタ10aの排紙トレイに排出される。
また、プリンタ10bの用紙トレイTR3を用いてサブジョブSB6に関する印刷出力が行われる。
続いて、プリンタ10aの印刷出力物がプリンタ10aの排紙トレイから取り出された後にプリンタ10aのペーパーインサータトレイPT1に載置され、プリンタ10bの印刷出力物がプリンタ10bの排紙トレイから取り出された後にプリンタ10aのペーパーインサータトレイPT2に載置される(図16の太線矢印参照)。この状態でプリンタ10aの用紙挿入部31等が動作することによって、サブジョブSB2〜SB4,SB6に関する印刷出力物が所定のページ順序に配列されてプリンタ10aの排紙トレイに排出される。
さらに、プリンタ10aの印刷出力物がプリンタ10aの排紙トレイから取り出されてプリンタ10aのペーパーインサータトレイPT1に載置される(図16の太線矢印参照)とともに、プリンタ10aのペーパーインサータトレイPT2にサブジョブSB5に関する用紙が載置される。この状態でプリンタ10aの用紙トレイTR1を用いてサブジョブSB1に関する印刷出力が行われるとともにプリンタ10aの用紙挿入部31等が動作することによって、プリンタ10aの排紙トレイに、印刷ジョブJB(全サブジョブSB1〜SB6)に関する印刷出力物が排出される。
このようにして、所望のページ順序に配列された50枚の印刷出力物(印刷ジョブJBに関する印刷出力物)が生成される。
つぎに、印刷制御装置50の算出部67は、この組み合わせCB4における作業者の作業(操作)の手間を評価した評価値EV(EV4)を算出する。この実施形態では、大きな手間を要する作業(煩雑な作業等)に対して比較的大きな値が評価値として付与される場合を例示する。
さて、再び図16を参照する。図16の組み合わせCB4に対しては、図8等に示す評価手法に基づき、次のような評価値が付与される(図17参照)。
具体的には、或るプリンタでの出力物を当該プリンタの排紙トレイから取り出して(同一もしくは別のプリンタの)ペーパーインサータトレイPTに挿入する作業MA2(「2」点)が「5」回発生している(図16の太線矢印参照)ことに応じて、「10」点(=2×5)の評価点が付与される。また、サブジョブSB5に関して「合紙」をペーパーインサータトレイPTに挿入する作業MA1が1回発生していることに応じて、「1」点の評価点が付与される。なお、組み合わせCB4では用紙トレイの収容用紙に関する変更作業は発生していないため、作業MB,MCに関する評価点は付与されない。
この結果、合計「11」(=10+1)点が組み合わせCB4の評価値EV(EV4)として算出される(図17参照)。
<組み合わせCB1〜CB3>
一方、ペーパーインサータトレイPTへの挿入作業を最小化する観点から、或るペーパーインサータトレイを複数回利用してページ順序を揃えることを許容しない組み合わせとしては、たとえば次の3つの組み合わせCB1〜CB3が主に例示される。
ここにおいて、4台のプリンタ10a〜10dのうちプリンタ10aにのみペーパーインサータが設けられ、且つ当該プリンタ10aのペーパーインサータのトレイ数は「2」である。さらに、サブジョブSB5の「合紙」は、プリンタ10aの一方のペーパーインサータトレイ(たとえばPT2)に挿入されることから、他の処理に使えるのは2つのペーパーインサータトレイPTのうちの他方のペーパーインサータトレイPT(たとえばPT1)のみである。そして、当該他方のペーパーインサータトレイPTに対して、プリンタ10a以外の単一のプリンタ10の印刷出力物を挿入することによれば、ペーパーインサータトレイPTへの挿入作業が最小化される。
このように、ペーパーインサータトレイPTへの挿入作業を最小化する観点からは、プリンタ10aとそれ以外の1つプリンタ10との合計2つのプリンタ10のみを用いることが好ましい。
また、2つのプリンタ10のみを用いることを前提に用紙トレイの収容用紙に関する変更作業を最小化する観点からは、プリンタ10a以外の3つのプリンタ10b〜10dのうちプリンタ10dが用いられることが好ましい。
具体的には、プリンタ10dにおいては、用紙トレイの収容用紙に関する変更作業を伴うことなく、サブジョブSB4とサブジョブSB3との2つのサブジョブが実行され得る。より詳細には、サブジョブSB4が用紙トレイTR1を用いて実行可能であり、サブジョブSB3が用紙トレイTR3を用いて実行可能である。
一方、その他のプリンタ10b,10cにおいては、用紙トレイの収容用紙に関する変更作業を伴わないことを前提とすると、それぞれ、最大で1つのサブジョブのみが実行され得る。
このように、プリンタ10a以外の3つのプリンタ10b〜10dのうち、用紙トレイTRに現在収容されている用紙を入れ替えることなく最も多くのサブジョブを実行することが可能なプリンタは、プリンタ10dである。すなわち、プリンタ10dを他の1つのプリンタ10として用いることが好ましいことが判る。
また、プリンタ10a,10dを用いて6つのサブジョブSB1〜SB6を実行するに際して、当該6つのサブジョブSBのうちの4つのサブジョブSB1,SB3,SB4,SB5は、用紙トレイの収容用紙に関する変更作業を伴うことなく実行可能である。具体的には、サブジョブSB1はプリンタ10a(用紙トレイTR1)を用いて実行され、サブジョブSB5はプリンタ10a(ペーパーインサータトレイPT2)を用いて実行される。また、サブジョブSB3はプリンタ10d(用紙トレイTR3)を用いて実行され、サブジョブSB4はプリンタ10d(用紙トレイTR1)を用いて実行される。
一方、残りの2つのサブジョブSB2,SB6をプリンタ10a,10dのいずれかで実行する際には、用紙トレイの収容用紙に関する変更作業を伴うことを要する。
これらのサブジョブSB2,SB6をプリンタ10a,10dのいずれで実行するかに関して3つのパターンが存在する。すなわち、
・2つのサブジョブSB2,SB6を各プリンタ10a,10dでそれぞれ実行するパターン、
・サブジョブSB2,SB6の双方をプリンタ10aで実行するパターン、
・サブジョブSB2,SB6の双方をプリンタ10dで実行するパターン、
の3つのパターンが存在する。
これらの3つのパターンに応じて、次述する3つの組み合わせCB1〜CB3が考慮される。なお、これらの組み合わせCB1〜CB3においては、プリンタ10a以外のプリンタ10で2つ〜4つの処理を行った結果(印刷出力物)がプリンタ10aのペーパーインサータトレイPT(PT1)に挿入される。
<組み合わせCB1>
図10は、組み合わせCB1を示す図である。なお、図10の上段には、各プリンタ10の用紙トレイTR等に対するサブジョブSBの割り当てが示されており、図10の下段には、図10の上段の動作が時系列順に上から並べ替えられて示されている。
図10に示すように、この組み合わせCB1においては、サブジョブSB2(「色紙(グリーン)/A4」(図6参照))はプリンタ10dの用紙トレイTR4(TR4d)を用いて実行される。具体的には、サブジョブSB2は、用紙トレイTR4dに収容されていた用紙「色紙(グリーン)/A3」(図7参照)を用紙「色紙(グリーン)/A4」に変更することによって実行される。
また、サブジョブSB6(「厚紙/A4」(図6参照))はプリンタ10aの用紙トレイTR2(TR2a)を用いて実行される。具体的には、サブジョブSB6は、用紙トレイTR2aに収容されていた用紙「普通紙/A4」(図7参照)を用紙「厚紙/A4」に変更することによって実行される。
より具体的には、まず、上述のような用紙の変更が行われる。そして、図10の下段に示すように、プリンタ10dにおいて、サブジョブSB4,SB3,SB2が実行される。具体的には、(プリンタ10dの)用紙トレイTR1,TR3,TR4を用いて、サブジョブSB4,SB3,SB2に関する印刷出力物が所定のページ順序に配列されてプリンタ10dの排紙トレイに排出される。
次に、プリンタ10dの排紙トレイに排出された印刷出力物がプリンタ10aのペーパーインサータトレイPT1に挿入され(図10の太線矢印参照)、サブジョブSB5に係る「合紙/A4」がペーパーインサータトレイPT2に挿入される。そして、この状態でプリンタ10aの用紙トレイTR1,TR2を用いてサブジョブSB1,SB6に関する印刷出力動作が実行されるとともに、ペーパーインサータトレイPT1,PT2に挿入されていた用紙が用紙挿入部31によって適時に挿入されることによって、所定のページ順序に配列された印刷出力物がプリンタ10aの排紙トレイに排出される。
このようにして、所望のページ順序に配列された50枚の印刷出力物(印刷ジョブJB(全サブジョブSB1〜SB6)に関する印刷出力物)が生成される。
つぎに、印刷制御装置50の算出部67は、この組み合わせCB1における作業者の作業(操作)の手間を評価した評価値EV(EV1)を算出する。図10の組み合わせCB1に対しては、図8等に示す評価手法に基づき、次のような評価値が付与される(図11参照)。
まず、サブジョブSB2に関して、プリンタ10dの用紙トレイTR4において収容用紙に関する変更作業(詳細には収容用紙の入替作業MB)が発生しており、この入替作業MBに対して、「3」点が付与される。なお、ここでは用紙サイズは自動判定されるため、タッチパネルを用いた設定変更作業MCは発生しない。
具体的には、プリンタ10dの用紙トレイTR4に収容されていた用紙「色紙(グリーン)/A3」(図7参照)を当該用紙トレイTR4から取り出して、代わりに新たな用紙「色紙(グリーン)/A4」を当該用紙トレイTR4に挿入する作業MB1に対して、まず「2」点の評価点が付与される。さらに、A3サイズからA4サイズへの変更に伴い、縦方向の用紙ガイドと横方向の用紙ガイドとのうちの一方の用紙ガイド(たとえば横方向)のみの位置を変更する位置変更を伴う作業MB22に対して、「1」点の評価点がさらに付与される。このようにして合計「3」点の評価点が付与される。
また、サブジョブSB6に関して、プリンタ10aの用紙トレイTR2において収容用紙に関する変更作業(詳細には収容用紙の入替作業MB、および当該収容用紙の用紙情報に関する設定変更作業MC)が発生し、この変更作業に対して「4」点が付与される。
具体的には、プリンタ10aの用紙トレイTR2に収容されていた用紙「普通紙/A4」(図7参照)を当該用紙トレイTR2から取り出して、代わりに新たな用紙「厚紙/A4」を当該用紙トレイTR2に挿入する作業MB1に対して、まず「2」点の評価点が付与される。さらに、この作業MB1に伴って発生する操作パネル部6cの設定変更作業MC、詳細には、用紙の「紙種」情報を「普通紙」から「厚紙」に変更する設定変更作業MC1に対して「2」点の評価点が付与される。このようにして合計「4」点の評価点が付与される。
また、サブジョブSB5に関して、プリンタ10aのペーパーインサータトレイPT2に合紙を挿入する作業MA1に対して、「1」点の評価点が付与される。
さらに、プリンタ10dでの出力物を、当該プリンタ10dの排紙トレイから取り出してプリンタ10aのペーパーインサータトレイPT1に挿入する作業MA2(図10の太線矢印参照)に対して、「2」点の評価点が付与される。
以上のようにして、組み合わせCB1の評価値EV(EV1)として、合計「10」(=3+4+1+2)点が算出される。
<組み合わせCB2>
図12は、組み合わせCB2を示す図である。
この組み合わせCB2においては、サブジョブSB2(「色紙(グリーン)/A4」(図6参照))はプリンタ10a用紙トレイTR2(TR2a)を用いて実行される。具体的には、サブジョブSB2は、用紙トレイTR2aに収容されていた用紙「普通紙/A4」(図7参照)を用紙「色紙(グリーン)/A4」に変更することによって実行される。
また、サブジョブSB6(「厚紙/A4」(図6参照))はプリンタ10aの用紙トレイTR3(TR3a)を用いて実行される。具体的には、サブジョブSB6は、用紙トレイTR3aに収容されていた用紙「普通紙/B4」(図7参照)を用紙「厚紙/A4」に変更することによって実行される。
より具体的には、まず、上述のような用紙の変更が行われる。そして、。そして、図12の下段に示すように、プリンタ10dにおいて、サブジョブSB4,SB3が実行される。具体的には、(プリンタ10dの)用紙トレイTR1,TR3を用いて、サブジョブSB4,SB3に関する印刷出力物が所定のページ順序に配列されてプリンタ10dの排紙トレイに排出される。
次に、プリンタ10dの排紙トレイに排出された印刷出力物がプリンタ10aのペーパーインサータトレイPT1に挿入され(図12の太線矢印参照)、サブジョブSB5に係る「合紙/A4」がペーパーインサータトレイPT2に挿入される。そして、この状態でプリンタ10aの用紙トレイTR1,TR2,TR3を用いてサブジョブSB1,SB2,SB6に係る印刷出力動作が実行されるとともに、ペーパーインサータトレイPT1,PT2に挿入されていた用紙が用紙挿入部31によって適時に挿入されることによって、所定のページ順序に配列された印刷出力物がプリンタ10aの排紙トレイに排出される。
このようにして、所望のページ順序に配列された50枚の印刷出力物(印刷ジョブJBに関する印刷出力物)が生成される。
つぎに、印刷制御装置50の算出部67は、この組み合わせCB2における作業者の作業(操作)の手間を評価した評価値EV(EV2)を算出する。図12の組み合わせCB2に対しては、図8等に示す評価手法に基づき、次のような評価値が付与される(図13参照)。
まず、サブジョブSB2に関して、プリンタ10aの用紙トレイTR2(TR2a)において収容用紙に関する変更作業(詳細には収容用紙の入替作業MBおよびタッチパネルを用いた設定変更作業MC)が発生しており、この入替作業MBおよび設定変更作業に対して、「4」点が付与される。
具体的には、用紙トレイTR2aに収容されていた用紙「普通紙/A4」(図7参照)を当該用紙トレイTR2aから取り出して、代わりに新たな用紙「色紙(グリーン)/A4」を当該用紙トレイTR2aに挿入する作業MB1に対して、まず「2」点の評価点が付与される。さらに、用紙の「色」を(「通常」あるいは「白」等から)「グリーン」に変更する設定変更作業MC2に対しても「2」点の評価点がさらに付与される。このようにして合計「4」点の評価点が付与される。
また、サブジョブSB6に関して、プリンタ10aの用紙トレイTR3(TR3a)において収容用紙に関する変更作業(詳細には収容用紙の入替作業MB、および当該収容用紙の用紙情報に関する設定変更作業MC)が発生し、この変更作業に対して「6」点が付与される。
具体的には、用紙トレイTR3aに収容されていた用紙「普通紙/B4」(図7参照)を当該用紙トレイTR3aから取り出して、代わりに新たな用紙「厚紙/A4」を当該用紙トレイTR3aに挿入する作業MB1に対して、まず「2」点の評価点が付与される。また、B4サイズからA4サイズへの変更に伴い、縦方向の用紙ガイドと横方向の用紙ガイドとの双方の用紙ガイドの位置を変更する位置変更を伴う作業MB21に対して、「2」点の評価点がさらに付与される。さらに、この作業MB1に伴って発生する操作パネル部6cの設定変更作業MC、詳細には、用紙の紙種情報を「普通紙」から「厚紙」に変更する設定変更作業MC1に対して「2」点の評価点が付与される。このようにして合計「6」点の評価点が付与される。
さらに、サブジョブSB5に関して、プリンタ10aのペーパーインサータトレイPT2に合紙を挿入する作業MA1に対して、「1」点の評価点が付与される。
また、プリンタ10dでの出力物を、当該プリンタ10dの排紙トレイから取り出してプリンタ10aのペーパーインサータトレイPT1に挿入する作業MA2(図12の太線矢印参照)に対して、「2」点の評価点が付与される。
以上のようにして、組み合わせCB2の評価値EV(EV2)として、合計「13」(=4+6+1+2)点が算出される。
<組み合わせCB3>
図14は、組み合わせCB3を示す図である。
この組み合わせCB3においては、サブジョブSB2(「色紙(グリーン)/A4」(図6参照))はプリンタ10dの用紙トレイTR4(TR4d)を用いて実行される。具体的には、サブジョブSB2は、用紙トレイTR4dに収容されていた用紙「色紙(グリーン)/A3」(図7参照)を用紙「色紙(グリーン)/A4」に変更することによって実行される。
また、サブジョブSB6(「厚紙/A4」(図6参照))はプリンタ10dの用紙トレイTR2(TR2d)を用いて実行される。具体的には、サブジョブSB6は、用紙トレイTR2dに収容されていた用紙「厚紙/A3」(図7参照)を用紙「厚紙/A4」に変更することによって実行される。
より具体的には、まず、上述のような用紙の変更が行われる。そして、図14の下段に示すように、プリンタ10dにおいて、サブジョブSB4,SB6,SB3,SB2が実行される。具体的には、(プリンタ10dの)用紙トレイTR1,TR2,TR3,TR4を用いて、サブジョブSB4,SB6,SB3,SB2に関する印刷出力物が所定のページ順序に配列されてプリンタ10dの排紙トレイに排出される。
次に、プリンタ10dの排紙トレイに排出された印刷出力物がプリンタ10aのペーパーインサータトレイPT1に挿入され(図14の太線矢印参照)、サブジョブSB5に係る「合紙/A4」がペーパーインサータトレイPT2に挿入される。そして、この状態でプリンタ10aの用紙トレイTR1を用いてサブジョブSB1に係る印刷出力動作が実行されるとともに、ペーパーインサータトレイPT1,PT2に挿入されていた用紙が用紙挿入部31によって適時に挿入されることによって、所定のページ順序に配列された印刷出力物がプリンタ10aの排紙トレイに排出される。
このようにして、所望のページ順序に配列された50枚の印刷出力物(印刷ジョブJBに関する印刷出力物)が生成される。
つぎに、印刷制御装置50の算出部67は、この組み合わせCB3における作業者の作業(操作)の手間を評価した評価値EV(EV3)を算出する。図14の組み合わせCB3に対しては、図8等に示す評価手法に基づき、次のような評価値が付与される(図15参照)。
まず、サブジョブSB2に関して、プリンタ10dの用紙トレイTR4において収容用紙に関する変更作業(詳細には収容用紙の入替作業MB)が発生しており、この入替作業MBに対して、「3」点が付与される。なお、ここでは用紙サイズは自動判定されるため、タッチパネルを用いた設定変更作業MCは発生しない。
具体的には、プリンタ10dの用紙トレイTR4(TR4d)に収容されていた用紙「色紙(グリーン)/A3」(図7参照)を当該用紙トレイTR4dから取り出して、代わりに新たな用紙「色紙(グリーン)/A4」を当該用紙トレイTR4に挿入する作業MB1に対して、まず「2」点の評価点が付与される。さらに、A3サイズからA4サイズへの変更に伴い、縦方向の用紙ガイドと横方向の用紙ガイドとのうちの一方の用紙ガイド(たとえば横方向)のみの位置を変更する位置変更を伴う作業MB22に対して、「1」点の評価点がさらに付与される。このようにして合計「3」点の評価点が付与される。
また、サブジョブSB6に関して、プリンタ10dの用紙トレイTR2において収容用紙に関する変更作業(詳細には収容用紙の入替作業MB)が発生しており、この入替作業MBに対して、「3」点が付与される。
具体的には、プリンタ10dの用紙トレイTR2(TR2d)に収容されていた用紙「厚紙/A3」(図7参照)を当該用紙トレイTR2dから取り出して、代わりに新たな用紙「厚紙/A4」を当該用紙トレイTR2dに挿入する作業MB1に対して、まず「2」点の評価点が付与される。さらに、A3サイズからA4サイズへの変更に伴い、縦方向の用紙ガイドと横方向の用紙ガイドとのうちの一方の用紙ガイド(たとえば横方向)のみの位置を変更する位置変更を伴う作業MB22に対して、「1」点の評価点がさらに付与される。このようにして合計「3」点の評価点が付与される。
さらに、サブジョブSB5に関して、プリンタ10aのペーパーインサータトレイPT2に合紙を挿入する作業MA1に対して、「1」点の評価点が付与される。
また、プリンタ10dでの出力物を、当該プリンタ10dの排紙トレイから取り出してプリンタ10aのペーパーインサータトレイPT1に挿入する作業MA2(図14の太線矢印参照)に対して、「2」点の評価点が付与される。
以上のようにして、組み合わせCB3の評価値EV(EV3)として、合計「9」(=3+3+1+2)点が算出される。
<最適な組み合わせの決定等>
次のステップS14において、決定部68は、複数の組み合わせCB(CBi)に対する各評価値EV(EVi)に基づき、当該複数の組み合わせCBiの中から、作業者の手間が最小化された最適な組み合わせを決定する。
具体的には、最も小さな評価値EViに対応する組み合わせCBiが最適な組み合わせとして決定される。たとえば、上記の組み合わせCB1〜CB4の評価値EV1〜EV4を含む複数の評価値EViのうち最も小さな評価値EV3(「9」)に対応する組み合わせCB3(図14および図15参照)が、最適な組み合わせとして決定される。
また、ステップS15においては、ステップS14で決定された最適解(最適な組み合わせ)に関する動作(換言すれば、ユーザへの推奨動作)がユーザに提示される。具体的には、表示制御部63は、印刷制御装置50の表示部56bに画面SC(図18)を表示する。図18の画面SCにおいては、組み合わせCB2に関する動作内容が記載されている。
具体的には、「(1)プリンタ4号機(プリンタ10d)の用紙トレイTR2の用紙を「厚紙/A4」に変更する。(2)プリンタ4号機の用紙トレイTR4の用紙を用紙「色紙(グリーン)/A4」に変更する。(3)プリンタ4号機のスタートボタンを押して印刷を実行する。(4)プリンタ4号機の排紙トレイから印刷出力物を取り出して、プリンタ1号機(プリンタ10a)のペーパーインサータトレイPT1に配置する。(5)プリンタ1号機のペーパーインサータトレイPT2に「合紙/A4」を配置する。(6)プリンタ1号機のスタートボタンを押して印刷を実行する。」との文言(印刷手順を説明する文言)等が画面SCに表示される。
このような画面SCでOKボタンが押下されると、ステップS16に進む。なお、キャンセルボタンが押下されると、本ルーチンは終了する。
ステップS16においては、画面SCで表示された推奨動作を実行するためのジョブ情報(印刷指令)が印刷制御装置50から各プリンタ10へと送信される。以後、各プリンタ10は、印刷制御装置50から受信したジョブ情報等に基づいて印刷出力動作を実行する。これにより、組み合わせCB3に対応する印刷動作が実行されて、印刷ジョブJBに係る印刷出力物が生成される。
以上のような動作によれば、複数の組み合わせCBiに対する各評価値EViに基づき、複数の組み合わせCBiの中から、作業者の手間が最小化された最適な組み合わせが決定される。たとえば、図14の組み合わせが最適な組み合わせとして決定される。したがって、効率的な印刷を容易に実行することが可能である。特に、このような最適な組み合わせに係る動作により印刷ジョブJBが実行されれば、作業者の手間を最小化することが可能である。
また、上記のような態様においては、プリンタ10aに設けられたペーパーインサータ(より詳細にはその各ペーパーインサータトレイPT1,PT2)を用いて出力物のページ順序が揃えられている。したがって、プリンタとは別個に製本機を設ける場合に比べて、コストを抑制することが可能である。また、プリンタとは別個に設けた製本機を用いてページ順序を揃える場合には、各プリンタによる印刷出力が全て終わった後でないと製本機による製本が開始できないという問題が存在するのに対して、上記の態様によれば、各プリンタによる印刷出力が全て終わることを待つことを要しない。
<2.第2実施形態>
<2−1.概要>
第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図19は、第2実施形態に係る印刷システム1(1B)の構成を示す図である。図20は、図7と同様の図であり、第2実施形態に係る、用紙情報MP、構成情報MSおよび印刷速度情報MQの一例を示す図である。
この第2実施形態においても、第1実施形態と同様の印刷ジョブJB(図4〜図6参照)が実行される。ただし、図19および図20に示すように、第2実施形態においては、プリンタ10bも用紙挿入部31(31b)を有している。換言すれば、プリンタ10aのみならずプリンタ10bも2つのペーパーインサータトレイPT1,PT2を有している。なお、その他の構成は、第1実施形態と同様である。
第2実施形態においても、図9のフローチャートの動作(ステップS11〜S16)と同様の動作が実行される。
ただし、ステップS12では、プリンタ10bも2つのペーパーインサータトレイPTを有する旨の情報が取得される。また、ステップS13においては、次述するような組み合わせCB11〜13を含む複数の組み合わせCBiに関する評価値EViが算出される。ステップS14においては、同一の評価値EVを有する2以上の組み合わせのうち比較的短い印刷所要時間を有する組み合わせが最適な組み合わせとして決定される。なお、ステップS11,S15,S16においては、第1実施形態と同様の各動作がそれぞれ実行される。
<2−2.各組み合わせに関する評価値の算出動作>
次に、第2実施形態に係る評価値の算出動作等について説明する。
第2実施形態に係るステップS13においても、複数の組み合わせCBiに関する評価値EViが取得される。ただし、第2実施形態においては、図22〜図24に示されるような3つの組み合わせCB11〜CB13を含む複数の組み合わせCBiに関して、それぞれにおける作業者の作業の手間を評価した評価値EViが算出される。
図21は、3つの組み合わせCB11〜CB13に関する共通部分を示す図である。
3つの組み合わせCB11〜CB13のそれぞれは、図21のような印刷処理を有する。図21では、用紙トレイTRの収容用紙に関する変更作業を伴わずに各プリンタ10を用いることによって印刷ジョブJBが実行されることが示されている。換言すれば、各プリンタ10の用紙トレイTRに現在収容されている用紙(図20参照)を変更することなく、印刷ジョブJBが実行される。
詳細には、サブジョブSB1(「普通紙/A4」)はプリンタ10aの用紙トレイTR1を用いて実行され、サブジョブSB2(「色紙(グリーン)/A4」)はプリンタ10cの用紙トレイTR4を用いて実行され、サブジョブSB3(「色紙(イエロー)/A3」)はプリンタ10dの用紙トレイTR3を用いて実行される。また、サブジョブSB4(「普通紙/A3」)はプリンタ10dの用紙トレイTR1を用いて実行され、サブジョブSB6(「厚紙/A4」)はプリンタ10bの用紙トレイTR3を用いて実行される。なお、サブジョブSB5(「合紙/A4」)は、何れかのプリンタ10のペーパーインサータトレイPTを用いて実行される。また、各プリンタ10による印刷出力物が同一あるいは別のプリンタ10のペーパーインサータトレイPTに挿入されて、最終的に所望のページ順序に配列された50枚の印刷出力物(印刷ジョブJBに関する印刷出力物)が生成される。
3つの組み合わせCB11〜CB13は、プリンタ10のペーパーインサータトレイPTをどのように用いるかの点において、互いに異なっている。
図22〜図24は、それぞれ、組み合わせCB11〜CB13に関する印刷処理を示す図である。以下、図22〜図24をそれぞれ参照しながら、組み合わせCB11〜CB13について順次説明する。
<組み合わせCB11>
図22は、組み合わせCB11に関する処理を示す図である。なお、図22の上段には、各プリンタ10の用紙トレイTR等に対するサブジョブSBの割り当てが示されており、図22の下段には、図22の上段の動作が時系列順に上から並べ替えられて示されている。
図22(特にその下段)に示すように、組み合わせCB11においては、まず、プリンタ10dの用紙トレイTR1を用いてサブジョブSB4(3枚)(図5参照)に関する印刷出力が行われるとともに、プリンタ10dの用紙トレイTR3を用いてサブジョブSB3(4枚)に関する印刷出力が行われ、プリンタ10dの排紙トレイに印刷出力物(7枚)が排出される。また、プリンタ10cの用紙トレイTR4を用いてサブジョブSB2(5枚)に関する印刷出力が行われ、プリンタ10cの排紙トレイに印刷出力物(5枚)が排出される。
その後、プリンタ10c,10dの各印刷出力物(5枚、7枚)が各プリンタ10c,10dの排紙トレイから取り出されてプリンタ10bのペーパーインサータトレイPT1,PT2にそれぞれ載置(挿入)されるとともに、プリンタ10bの用紙トレイTR3を用いてサブジョブSB6(2枚)に関する印刷出力が行われる。これに応じて、サブジョブSB2,SB3,SB4,SB6に関してページ順序が整えられた出力物(14枚)がプリンタ10bの排紙トレイに排出される。
続いて、プリンタ10bの出力物(14枚)がプリンタ10aのペーパーインサータトレイPT1に載置され且つプリンタ10aのペーパーインサータトレイPT2にサブジョブSB5に関する用紙(3枚)が載置されるとともに、プリンタ10aの用紙トレイTR1を用いてサブジョブSB1(33枚)に関する印刷出力が行われる。これに応じて、サブジョブSB1〜SB6に関してページ順序が整えられた出力物(50枚)がプリンタ10aの排紙トレイに排出される。
この組み合わせCB11においては、プリンタ10bのペーパーインサータトレイPT1,PT2に対して「12(=5+7)」枚の出力物が挿入され、プリンタ10aのペーパーインサータトレイPT1,PT2に対して「17(=14+3)」枚の出力物が挿入される。したがって、合計「29(=12+17)」枚の出力物がペーパーインサータトレイPTに対して挿入される。
<組み合わせCB12>
図23は、組み合わせCB12に関する処理を示す図である。
図23(特にその下段)に示すように、組み合わせCB12においては、まず、プリンタ10cの用紙トレイTR4を用いてサブジョブSB2(5枚)に関する印刷出力が行われて、プリンタ10cの排紙トレイに印刷出力物(5枚)が排出される。
また、プリンタ10dの用紙トレイTR1を用いてサブジョブSB4(3枚)に関する印刷出力が行われ、プリンタ10dの用紙トレイTR3を用いてサブジョブSB3(4枚)に関する印刷出力が行われ、プリンタ10dの排紙トレイに印刷出力物(7枚)が排出される。これに応じて、サブジョブSB3,SB4に関してページ順序が整えられた印刷出力物(7枚)がプリンタ10dの排紙トレイに排出される。
さらに、プリンタ10cの印刷出力物(5枚)がプリンタ10cの排紙トレイから取り出されてプリンタ10bのペーパーインサータトレイPT1に載置(挿入)され且つサブジョブSB5に関する用紙(3枚)がプリンタ10bのペーパーインサータトレイPT2に載置されるとともに、プリンタ10bの用紙トレイTR3を用いてサブジョブSB6(2枚)に関する印刷出力が行われる。これに応じて、サブジョブSB2,SB5,SB6に関してページ順序が整えられた出力物(10枚)がプリンタ10bの排紙トレイに排出される。
その後、プリンタ10b,10dの各印刷出力物(10枚、7枚)が各プリンタ10b,10dの排紙トレイから取り出されてプリンタ10aのペーパーインサータトレイPT1,PT2にそれぞれ載置(挿入)されるとともに、プリンタ10aの用紙トレイTR1を用いてサブジョブSB1(33枚)に関する印刷出力が行われる。これに応じて、サブジョブSB1〜SB6に関してページ順序が整えられた出力物(50枚)がプリンタ10aの排紙トレイに排出される。
組み合わせCB12においては、プリンタ10bのペーパーインサータトレイPT1,PT2に対して「8(=5+3)」枚の出力物が挿入され、プリンタ10aのペーパーインサータトレイPT1,PT2に対して「17(=10+7)」枚の出力物が挿入される。したがって、合計「25(=8+17)」枚の出力物がペーパーインサータトレイPTに対して挿入される。
<組み合わせCB13>
図24は、組み合わせCB13に関する処理を示す図である。
図24(特にその下段)に示すように、組み合わせCB13においては、まず、プリンタ10dの用紙トレイTR1を用いてサブジョブSB4(3枚)に関する印刷出力が行われるとともに、プリンタ10dの用紙トレイTR3を用いてサブジョブSB3(4枚)に関する印刷出力が行われる。プリンタ10dの印刷処理によって、サブジョブSB3,SB4に関してページ順序が整えられた出力物(7枚)がプリンタ10dの排紙トレイに排出される。
また、プリンタ10cの用紙トレイTR4を用いてサブジョブSB2(5枚)に関する印刷出力が行われて、プリンタ10cの排紙トレイに印刷出力物(5枚)が排出される。
さらに、プリンタ10dの印刷出力物(7枚)がプリンタ10dの排紙トレイから取り出されてプリンタ10bのペーパーインサータトレイPT1に載置(挿入)され且つサブジョブSB5に関する用紙(3枚)がプリンタ10bのペーパーインサータトレイPT2に載置されるとともに、プリンタ10bの用紙トレイTR3を用いてサブジョブSB6(2枚)に関する印刷出力が行われる。これに応じて、サブジョブSB3,SB4,SB5,SB6に関してページ順序が整えられた出力物(12枚)がプリンタ10bの排紙トレイに排出される。
その後、プリンタ10b,10cの各印刷出力物(12枚、5枚)が各プリンタ10b,10cの排紙トレイから取り出されてプリンタ10aのペーパーインサータトレイPT1,PT2にそれぞれ載置(挿入)されるとともに、プリンタ10aの用紙トレイTR1を用いてサブジョブSB1(33枚)に関する印刷出力が行われる。これに応じて、サブジョブSB1〜SB6に関してページ順序が整えられた出力物(50枚)がプリンタ10aの排紙トレイに排出される。
組み合わせCB13においては、プリンタ10bのペーパーインサータトレイPT1,PT2に対して「10(=7+3)」枚の出力物が挿入され、プリンタ10aのペーパーインサータトレイPT1,PT2に対して「17(=12+5)」枚の出力物が挿入される。したがって、合計「27(=10+17)」枚の出力物がペーパーインサータトレイPTに対して挿入される。
<最適な組み合わせの決定等>
さて、これらの各組み合わせCB11〜CB13は、それぞれ、入替作業MBおよび設定変更作業MCを行うことを要しないため、最適解の有力な候補である。
各組み合わせCB11〜CB13においては、サブジョブSB5に関して用紙「合紙/A4」をペーパーインサータトレイPTに挿入する1回の作業MA1と、或るプリンタでの出力物を当該プリンタの排紙トレイから取り出して(同一もしくは別のプリンタの)ペーパーインサータトレイPTに挿入する3回の作業MA2とが発生する。
算出部67は、第1実施形態と同様の基準で評価値を算出する。具体的には、1回の作業MA1に対して「1」点が付与され、3回の作業MA2に対して合計「6」(=2×3)点が付与される。最終的に、各組み合わせCB11〜CB13の評価値EV(EV11〜EV13)は、それぞれ「7」(=1+6)点である。ここでは、このような評価値EV11〜EV13が、多数の組み合わせCBiの評価値EViのうち最も小さな評価値であると判定されるものとする。
この第2実施形態では、さらに、同一の評価値を有する複数の組み合わせ(CB11〜CB13)のうち、最も短い印刷時間を有する組み合わせが、最終的な組み合わせ(最終的な最適解)として決定されるものとする。より具体的には、ペーパーインサータトレイPTに載置する用紙枚数が最も小さな組み合わせが、最も短い印刷時間を有する組み合わせであると判定されて、最終的な最適解(最適な組み合わせ)として決定される。
上述のように、各組み合わせCB11、CB12,CB13におけるペーパーインサータトレイPTへの載置枚数は、それぞれ、「29枚」,「25枚」,「27枚」である。したがって、最も少ない枚数「25」に対応する組み合わせCB12が最終的な最適解であるとして決定される。
以上のような態様によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能である。また、2以上の組み合わせCB11〜CB13に関する評価値EVが互いに同一(且つ最適値(最小値))である場合には、さらにペーパーインサータトレイPTへの載置枚数(挿入枚数)にも基づいて最終的な最適解が決定される。換言すれば、同一の評価値EVを有する2以上の組み合わせが最適な組み合わせの候補として存在するときには、決定部68は、比較的短い印刷所要時間を有する組み合わせを「最適な組み合わせ」として決定する。これによれば、印刷ジョブJBの完了に要する時間を最適化(最短化)するスケジュールを求めることが可能である。
<3.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
たとえば、上記各実施形態においては、ステップS11の処理の次にステップS12の処理が行われているが、これに限定されず、逆に、ステップS12の処理の次にステップS11の処理が行われてもよい。
また、上記各実施形態においては、用紙トレイにおける収容用紙の入替作業MB1と、或るプリンタでの出力物を当該プリンタの排紙トレイから取り出して(同一もしくは別のプリンタの)ペーパーインサータトレイPTに挿入する作業MA2とに対して、同一の点数「2」が付与されているが、これに限定されない。たとえば、当該作業MA2に対して作業MB1よりも大きな点数(たとえば、2.5点)が付与されてもよい。あるいは、逆に、当該作業MA2に対して作業MB1よりも小さな点数(たとえば、1.5点)が付与されてもよい。
また同様に、図8において同一の点数が付与されていた作業に対して、それぞれ、異なる点数が付与されるようにしてもよい。たとえば、作業MB21,MC1,MC2に対してそれぞれ異なる点数が付与されるようにしてもよい。なお、これらの場合には、作業者の負担程度に応じた適宜の点数が付与されることが好ましい。
また、上記各実施形態においては、用紙挿入部31が手差し式のペーパーインサータトレイを有しているが、これに限定されず、用紙挿入部31は引き出し式のトレイ(ペーパーインサータトレイ)を有していてもよい。引き出し式のペーパーインサータトレイが用いられる場合には、手差し式のペーパーインサータトレイが用いられる場合よりも比較的大きな手間を要するものとして上記の評価値EVが算出されるようにしてもよい。
また、上記各実施形態のように、用紙種類の同一性は、用紙の材質(紙種)、用紙色および用紙サイズの3要素が全て同一であるか否かに基づいて判定されてもよいが、これに限定されず、3要素のうち任意性が許容される要素に関しては、当該要素の同一性を問わないようにしてもよい。たとえば、「用紙色」に任意性が許容される場合には、(異なる用紙色且つ)同一紙種且つ同一サイズを有する複数の小グループが同一のサブジョブに分類されるようにしてもよい。
また、上記各実施形態においては、用紙トレイの入替作業MBに関して、各用紙トレイの用紙残量が考慮されない態様を例示したが、これに限定されず、各用紙トレイの用紙残量がさらに考慮されるようにしていもよい。たとえば、比較的多い用紙残量を有する用紙トレイの入れ替えは、比較的大きな手間を有する作業であると評価されるようにしてもよい。より詳細には、比較的多い用紙残量を有する用紙トレイの入れ替えに対しては比較的大きな評価点が付与されて、評価値が算出されるようにしてもよい。