JP6133693B2 - 農業用タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ赤道線からトレッド端まで延びる複数の幅方向陸部と、タイヤ周方向において互いに隣接する幅方向陸部の間に設けられる幅方向溝部とを備える農業用タイヤに関する。
従来、タイヤ赤道線からトレッド端までタイヤ幅方向に沿って延びる複数の幅方向陸部と、タイヤ周方向において互いに隣接する幅方向陸部の間に設けられる幅方向溝部とを備える農業用タイヤが知られている。農業用タイヤのトラクションは、土のせん断強度による推進力、表面摩擦力による推進力及び走行抵抗によって表されることが知られている(例えば、特許文献1)。
特開2010−274861号公報
ところで、一般的には、農業用タイヤの設計は、シミュレーション等の手法が用いられる。しかしながら、実際の路面(圃場)で農業用タイヤを用いた場合に、シミュレーションによって予測された性能が得られないことがある。
このような状況を踏まえて、発明者らは、鋭意検討を行った結果、路面の摩擦係数(μ)の大きさ及び路面の硬さに応じて、農業用タイヤのトラクションに寄与する部位が異なることを見出した。
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、摩擦係数(μ)の大きさ及び硬さが異なる様々路面において、適切なトラクションを発揮することを可能とする農業用タイヤを提供することを目的とする。
第1の特徴に係る農業用タイヤは、タイヤ赤道線からトレッド端まで延びる複数の幅方向陸部と、タイヤ周方向において互いに隣接する幅方向陸部の間に設けられる幅方向溝部とを備える。前記幅方向陸部の表面は、タイヤ幅方向において前記トレッド端と前記タイヤ赤道線との中間点を構成する1/4点を有する。前記タイヤ赤道線から前記1/4点までの部位がセンター部である。前記1/4点から前記トレッド端までの部位は、ショルダー部である。前記幅方向陸部は、前記センター部に形成されたセンター陸部と、前記センター陸部に連続しており、前記ショルダー部に形成されたショルダー陸部とによって構成される。前記幅方向溝部は、前記センター部に形成されたセンター溝部と、前記センター溝部に連続しており、前記ショルダー部に形成されたショルダー溝部とによって構成される。タイヤ径方向において前記1/4点から前記トレッド端までの落差がdsであり、前記タイヤ幅方向においてトレッドの全幅がTWである場合において、ds/(TW/4)≦20%の条件が満たされる。前記ショルダー陸部の延長線方向に直交する方向における前記ショルダー陸部の陸部幅がTsであり、前記ショルダー部において前記タイヤ周方向における前記農業用タイヤの全周長がCsである場合に、Ts/Cs≦1.00%の条件が満たされる。
第1の特徴において、前記ショルダー陸部は、前記ショルダー陸部の延長線方向に直交する方向及び前記ショルダー溝部の底面に対する垂線方向に沿った断面において、踏み込み側に設けられたショルダー側踏み込み壁を有する。前記ショルダー陸部の延長線方向に直交する方向及び前記ショルダー溝部の底面に対する垂線方向に沿った断面において、前記ショルダー溝部の底面に対する垂線方向と前記ショルダー側踏み込み壁とによって形成されるテーパ角は、20°以下である。
第1の特徴において、前記ショルダー溝部の延長線方向に直交する方向における前記ショルダー溝部の溝幅がUsである場合に、Ts/Us≧22%の条件が満たされる。
第1の特徴において、前記タイヤ幅方向に対する前記ショルダー陸部の傾きは、35°以上である。
第1の特徴において、前記ショルダー陸部は、前記ショルダー陸部の延長線方向に直交する方向及び前記ショルダー溝部の底面に対する垂線方向に沿った断面において、蹴り出し側に設けられたショルダー側蹴り出し壁を有する。前記ショルダー陸部の延長線方向に直交する方向及び前記ショルダー溝部の底面に対する垂線方向に沿った断面において、前記ショルダー溝部の底面に対する垂線方向と前記ショルダー側蹴り出し壁とによって形成されるテーパ角は、15°以下である。
第1の特徴において、前記幅方向陸部の表面は、前記タイヤ赤道線を通る頂点を有する。前記タイヤ径方向において前記頂点から前記1/4点までの落差がdcである場合に、dc/(TW/4)≧10%の条件が満たされる。
第1の特徴において、前記タイヤ幅方向に対する前記センター陸部の傾きは、40°以下である。
第1の特徴において、前記センター陸部は、前記センター陸部の延長線方向に直交する方向及び前記センター溝部の底面に対する垂線方向に沿った断面において、踏み込み側に設けられたセンター側踏み込み壁を有する。前記センター陸部の延長線方向に直交する方向及び前記センター溝部の底面に対する垂線方向に沿った断面において、前記センター溝部の底面に対する垂線方向と前記センター側踏み込み壁とによって形成されるテーパ角は、15°以下である。
第1の特徴において、前記センター陸部の延長線方向に直交する方向における前記センター陸部の陸部幅がTcであり、前記センター部において前記タイヤ周方向における前記農業用タイヤの全周長がCcである場合に、Tc/Cc≦1.00%の条件が満たされる。
本発明によれば、摩擦係数(μ)の大きさ及び硬さが異なる様々路面において、適切なトラクションを発揮することを可能とする農業用タイヤを提供することができる。
図1は、第1実施形態に係る農業用タイヤ100を示す図である。 図2は、第1実施形態に係るショルダー部10Sの断面を示す図である。 図3は、第1実施形態に係るセンター部10Cの断面を示す図である。 図4は、第1実施形態に係る農業用タイヤ100のトラクションのメカニズムを説明するための図である。 図5は、変更例1に係る農業用タイヤ100を示す図である。
以下において、本発明の実施形態に係る農業用タイヤについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
[実施形態の概要]
実施形態に係る農業用タイヤは、タイヤ赤道線からトレッド端まで延びる複数の幅方向陸部と、タイヤ周方向において互いに隣接する幅方向陸部の間に設けられる幅方向溝部とを備える。前記幅方向陸部の表面は、タイヤ幅方向において前記トレッド端と前記タイヤ赤道線との中間点を構成する1/4点を有する。前記タイヤ赤道線から前記1/4点までの部位がセンター部である。前記1/4点から前記トレッド端までの部位は、ショルダー部である。前記幅方向陸部は、前記センター部に形成されたセンター陸部と、前記センター陸部に連続しており、前記ショルダー部に形成されたショルダー陸部とによって構成される。前記幅方向溝部は、前記センター部に形成されたセンター溝部と、前記センター溝部に連続しており、前記ショルダー部に形成されたショルダー溝部とによって構成される。タイヤ径方向において前記1/4点から前記トレッド端までの落差がdsであり、前記タイヤ幅方向においてトレッドの全幅がTWである場合において、ds/(TW/4)≦20%の条件が満たされる。前記ショルダー陸部の延長線方向に直交する方向における前記ショルダー陸部の陸部幅がTsであり、前記ショルダー部において前記タイヤ周方向における前記農業用タイヤの全周長がCsである場合に、Ts/Cs≦1.00%の条件が満たされる。
発明者等は、鋭意検討の結果、(a)摩擦係数(μ)が閾値よりも小さく、硬さが閾値よりも小さい路面、(b)摩擦係数(μ)が閾値よりも小さく、硬さが閾値よりも大きい路面、(c)摩擦係数(μ)が閾値よりも大きく、硬さが閾値よりも小さい路面、(d)摩擦係数(μ)が閾値よりも大きく、硬さが閾値よりも大きい路面に路面を分類して、各特性を有する路面の全てを考慮して、農業用タイヤのトラクションを最適化するパラメータを見出した。
このような検討結果を受けて、実施形態では、ds/(TW/4)≦20%の条件が満たされる。すなわち、ショルダー部の形状が路面に対してフラットに近くなる。従って、ショルダー陸部が路面に食い込みやく、摩擦係数(μ)が小さく、かつ、硬さが大きい路面において、優れたトラクションが得られる。また、ショルダー陸部と路面との接地圧の均一化が図られ、摩擦係数(μ)が大きい路面においても、優れたトラクションが得られる。
実施形態では、Ts/Cs≦1.00%の条件が満たされる。すなわち、ショルダー陸部の陸部幅が小さいため、ショルダー陸部が路面に食い込みやすい。従って、特に、摩擦係数(μ)が小さく、硬さが小さい路面において、優れたトラクションが得られる。
[第1実施形態]
(農業用タイヤ)
以下において、第1実施形態に係る農業用タイヤについて説明する。図1は、第1実施形態に係る農業用タイヤ100を示す図である。以下において、タイヤの回転方向について、タイヤ周方向TCと称し、トレッドの幅方向について、タイヤ幅方向TWと称し、タイヤの半径方向について、タイヤ径方向TRと称することに留意すべきである。
図1に示すように、農業用タイヤ100は、複数の幅方向陸部20と、複数の幅方向溝部30とを有する。幅方向陸部20は、タイヤ幅方向TWに沿って延びており、タイヤ赤道線CLからトレッド端10Eまで延びる陸部である。幅方向溝部30は、タイヤ幅方向TWに沿って延びており、タイヤ周方向TCにおいて互いに隣接する幅方向陸部20の間に設けられる溝部である。
幅方向陸部20の表面は、タイヤ幅方向TWにおいて、トレッド端10Eとタイヤ赤道線CLとの中間点を構成する1/4点10Q(1/4点10Qを通ってタイヤ周方向TCに沿って延びる1/4線)を有する。タイヤ赤道線CLから1/4点10Qまでの部位がセンター部10Cであり、1/4点10Qからトレッド端10Eまでの部位がショルダー部10Sである。
幅方向陸部20は、センター部10Cに形成されたセンター陸部20Cと、前記センター陸部に連続しており、ショルダー部10Sに形成されたショルダー陸部20Sとによって構成される。
幅方向溝部30は、センター部10Cに形成されたセンター溝部30Cと、前記センター溝部に連続しており、ショルダー部10Sに形成されたショルダー溝部30Sとによって構成される。
第1実施形態では、タイヤ周方向TCにおいて1/4点10Qからトレッド端10Eまでの落差がdsであり、タイヤ幅方向TWにおいてトレッドの全幅(1対のトレッド端10Eの間の幅)がTWである場合において、ds/(TW/4)≦20%の条件が満たされる。ds/(TW/4)≦20%の条件が満たされることによって、ショルダー部10Sの形状が路面に対してフラットに近くなる。従って、ショルダー陸部20Sが路面に食い込みやいため、摩擦係数(μ)が小さく、かつ、硬さが大きい路面において、優れたトラクションが得られる。また、ショルダー陸部20Sと路面との接地圧の均一化が図られ、摩擦係数(μ)が大きい路面においても、優れたトラクションが得られる。
ここで、ds/(TW/4)の下限は特に限定されるものではないが、ds/(TW/4)≧5%の条件が満たされることが好ましい。これによって、農業用タイヤ100の重量の増大が抑制される。
第1実施形態では、ショルダー陸部20Sの延長線方向Lsに直交する方向におけるショルダー陸部20Sの陸部幅がTsであり、ショルダー部10Sにおいてタイヤ周方向TCにおける農業用タイヤ100の全周長がCsである場合に、Ts/Cs≦1.00%の条件が満たされる。Ts/Cs≦1.00%の条件が満たされることによって、ショルダー陸部20Sの陸部幅が小さくなるため、ショルダー陸部20Sが路面に食い込みやすい。従って、特に、摩擦係数(μ)が小さく、硬さが小さい路面において、優れたトラクションが得られる。
ここで、Ts/Csの下限は特に限定されるものではないが、Ts/Cs≧0.05%の条件が満たされることが好ましい。これによって、ショルダー陸部20Sの剛性低下が抑制され、ショルダー陸部20Sが倒れてトラクションが得られないという事態が抑制される。
第1実施形態では、ショルダー溝部30Sの延長線方向Lsに直交する方向におけるショルダー溝部30Sの溝幅がUsである場合に、Ts/Us≧22%の条件が満たされることが好ましい。Ts/Us≧22%の条件が満たされることによって、ショルダー陸部20Sと路面との接地圧の均一化が図られ、摩擦係数(μ)が大きい路面においても、優れたトラクションが得られる。
ここで、Ts/Usの上限は特に限定されるものではないが、Ts/Us≦40%の条件が満たされることが好ましい。これによって、ショルダー陸部20Sの踏み込み側壁によって生じるせん断力が減少して、硬さが小さい路面におけるトラクションの低下が抑制される。
第1実施形態では、ショルダー溝部30Sの溝幅Usは、図2に示すように、ショルダー溝部30Sに隣接する1対のショルダー陸部20S(頂面)の間隔である。一方で、ショルダー陸部20Sの陸部幅Tsは、図2に示すように、ショルダー陸部20Sの頂面の幅である。図2は、後述するように、ショルダー陸部20S(又は、ショルダー溝部30S)の延長線方向Lsに直交する方向及びショルダー溝部30Sの底面に対する垂線方向に沿ったショルダー部10Sの断面を示す図である。
第1実施形態では、幅方向陸部20の表面は、タイヤ赤道線CLを通る頂点10Tを有する。タイヤ径方向TRにおいて頂点10Tから1/4点10Qまでの落差がdcである場合に、dc/(TW/4)≧10%の条件が満たされることが好ましい。dc/(TW/4)≧10%の条件が満たされることによって、頂点10Tから1/4点10Qまでの落差dcが大きくなるため、農業用タイヤ100の軽量化を図ることができる。
第1実施形態では、タイヤ周方向TCに対するセンター陸部20Cの傾きθ1は、40°以下であることが好ましい。言い換えると、センター陸部20Cの延長線方向Lcとタイヤ周方向TCとによって形成される角度θ1は、40°以下であることが好ましい。同一の陸部幅を有するセンター陸部を形成すると想定した場合において、傾きθ1が40°以下であることによって、傾きθ1が40°よりも大きいケースと比べて、センター陸部20Cの体積が減少する。従って、農業用タイヤ100の軽量化を図ることができる。
第1実施形態では、センター陸部20Cの延長線方向に直交する方向におけるセンター陸部20Cの陸部幅がTcであり、センター部10Cにおいてタイヤ周方向TCにおける農業用タイヤ100の全周長がCcである場合に、Tc/Cc≦1.00%の条件が満たされることが好ましい。Tc/Cc≦1.00%の条件が満たされることによって、センター陸部20Cの陸部幅が小さくなるため、農業用タイヤ100の軽量化を図ることができる。
センター陸部20Cの陸部幅Tcは、図3に示すように、センター陸部20Cの頂面の幅である。図3は、後述するように、センター陸部20Cの延長線方向Lsに直交する方向及びセンター溝部30Cの底面に対する垂線方向に沿ったセンター部10Cの断面を示す図である。
(ショルダー部)
以下において、第1実施形態に係るショルダー部について説明する。図2は、ショルダー陸部20S(又は、ショルダー溝部30S)の延長線方向Lsに直交する方向及びショルダー溝部30Sの底面に対する垂線方向に沿ったショルダー部10Sの断面を示す図である。
図2に示すように、ショルダー陸部20Sは、踏み込み側に設けられたショルダー側踏み込み壁21Sと、蹴り出し側に設けられたショルダー側蹴り出し壁22Sとを有する。
ここで、ショルダー溝部30Sの底面に対する垂線方向とショルダー側踏み込み壁21Sとによって形成されるテーパ角θ2は、20°以下であることが好ましい。テーパ角θ2が20°以下であることによって、踏み込み側において、ショルダー陸部20Sのエッジ効果が得られやすく、ショルダー陸部20Sが同時に路面に食い込みやすい。従って、特に、摩擦係数(μ)が小さく、硬さが小さい路面において、優れたトラクションが得られる。
なお、テーパ角θ2の下限は特に限定されるものではないが、テーパ角θ2は、5°以上であることが好ましい。これによって、ショルダー側踏み込み壁21Sによって生じるせん断力の低下が抑制される。
また、ショルダー溝部30Sの底面に対する垂線方向とショルダー側蹴り出し壁22Sとによって形成されるテーパ角θ3は、15°以下であることが好ましい。ショルダー陸部20Sの陸部幅が同一であると想定した場合において、テーパ角θ3が15°以下であることによって、ショルダー陸部20Sの体積が小さくなるため、農業用タイヤ100の軽量化を図ることができる。
(センター部)
以下において、第1実施形態に係るセンター部について説明する。図3は、センター陸部20Cの延長線方向Lsに直交する方向及びセンター溝部30Cの底面に対する垂線方向に沿ったセンター部10Cの断面を示す図である。
図3に示すように、センター陸部20Cは、踏み込み側に設けられたセンター側踏み込み壁21Cと、蹴り出し側に設けられたセンター側蹴り出し壁22Cとを有する。
ここで、センター溝部30Cの底面に対する垂線方向とセンター側踏み込み壁21Cとによって形成されるテーパ角θ4は、15°以下であることが好ましい。センター陸部20Cの陸部幅が同一であると想定した場合において、テーパ角θ4が15°以下であることによって、センター陸部20Cの体積が小さくなるため、農業用タイヤ100の軽量化を図ることができる。
また、センター溝部30Cの底面に対する垂線方向とセンター側蹴り出し壁22Cとによって形成されるテーパ角θ5は、15°以下であることが好ましい。センター陸部20Cの陸部幅が同一であると想定した場合において、テーパ角θ5が15°以下であることによって、センター陸部20Cの体積が小さくなるため、農業用タイヤ100の軽量化を図ることができる。
(トラクション)
以下において、第1実施形態に係る農業用タイヤのトラクションのメカニズムについて説明する。図4は、第1実施形態に係る農業用タイヤ100のトラクションのメカニズムを説明するための図である。
図4に示すように、農業用タイヤ100のトラクションは、幅方向溝部30の底面が路面と接することによって生じる接地力F1、幅方向陸部20の頂面が路面と接することによって生じる接地力F2、幅方向陸部20の踏み込み側壁が路面と接することによって生じるせん断力F3、幅方向陸部20の頂面の踏み込み側端によって生じるエッジ力F4によって得られる。
ここで、摩擦係数(μ)が閾値よりも小さい路面では、農業用タイヤ100のタイヤに対して、せん断力F3及びエッジ力F4の寄与度は、接地力F1及び接地力F2の寄与度よりも大きい。また、路面の硬さが大きいほど、エッジ力F4の寄与度が増大する。一方で、路面の硬さが大きいほど、接地力F1の寄与度が減少する。
一方で、摩擦係数(μ)が閾値よりも小さい路面では、農業用タイヤ100のタイヤに対して、接地力F1及び接地力F2の寄与度は、せん断力F3及びエッジ力F4の寄与度よりも大きい。また、路面の硬さが大きいほど、接地力F2の寄与度が増大する。一方で、路面の硬さが大きいほど、接地力F1の寄与度が減少する。
(作用及び効果)
第1実施形態では、ds/(TW/4)≦20%の条件が満たされる。すなわち、ショルダー部の形状が路面に対してフラットに近くなる。従って、ショルダー陸部20Sが路面に食い込みやいため、摩擦係数(μ)が小さく、かつ、硬さが大きい路面において、優れたトラクションが得られる。また、ショルダー陸部20Sと路面との接地圧の均一化が図られ、摩擦係数(μ)が大きい路面においても、優れたトラクションが得られる。
実施形態では、Ts/Cs≦1.00%の条件が満たされる。すなわち、ショルダー陸部20Sの陸部幅が小さいため、ショルダー陸部20Sが路面に食い込みやすい。従って、特に、摩擦係数(μ)が小さく、硬さが小さい路面において、優れたトラクションが得られる。
[変更例1]
以下において、第1実施形態の変更例1について説明する。以下においては、第1実施形態に対する相違点について主として説明する。
図5に示すように、変更例1では、タイヤ周方向TCに対するショルダー陸部20Sの傾きθ6は、35°以上である。言い換えると、ショルダー陸部20Sが延びる方向Lsとタイヤ周方向TCとによって形成される角度θ6は、35°以上であることが好ましい。傾きθ6が35°以上であることによって、ショルダー陸部20Sと路面との接地圧の均一化が図られ、摩擦係数(μ)が大きい路面において、優れたトラクションが得られる。
ここで、傾きθ6の上限については特に限定されるものではないが、傾きθ6は、50°以下であることが好ましい。これによって、ショルダー陸部20Sのショルダー側蹴り出し壁22Sによって生じるせん断力の低下が抑制される。
[評価結果]
以下において、評価結果について説明する。具体的には、“ds/(TW/4)”、“Ts/Cs”、“θ2”、“Ts/Us”、“θ6”、“θ3”、“dc/(TW/4)”、“θ1”、“θ4”、“Tc/Cc”の値が異なるサンプルについて、トラクション性能及びラグ重量について評価を行った。
ここで、(a)摩擦係数(μ)が閾値よりも小さく、硬さが閾値よりも小さい路面、(b)摩擦係数(μ)が閾値よりも小さく、硬さが閾値よりも大きい路面、(c)摩擦係数(μ)が閾値よりも大きく、硬さが閾値よりも小さい路面、(d)摩擦係数(μ)が閾値よりも大きく、硬さが閾値よりも大きい路面について、トラクション性能の評価を行った。
各サンプルのパラメータ及び評価結果については、表1及び表2に示す通りである。
Figure 0006133693
Figure 0006133693
(1)ds/(TW/4)≦20%の条件が満たされている実施例1〜実施例5では、ds/(TW/4)≦20%の条件が満たされていない比較例1と比べて、摩擦係数(μ)が小さく、かつ、硬さが大きい路面において、トラクション性能が改善することが確認された。一方で、実施例1〜実施例5では、比較例1と比べて、摩擦係数(μ)が大きい路面において、トラクション性能が改善することが確認された。
(2)Ts/Cs≦1.00%の条件が満たされている実施例1〜実施例5では、Ts/Cs≦1.00%の条件が満たされていない比較例2と比べて、摩擦係数(μ)が小さく、かつ、硬さが大きい路面において、トラクション性能が改善することが確認された。また、実施例1〜実施例5では、摩擦係数(μ)が小さく、かつ、硬さが小さい路面において、トラクション性能が大幅に改善することが確認された。なお、実施例1〜実施例5では、比較例2と比べて、摩擦係数(μ)が大きい路面において、トラクション性能が低下するが、全路面を考慮した場合には、比較例2よりも良好なトラクション性能が得られることが確認された。
(3)ショルダー溝部30Sの底面に対する垂線方向とショルダー側踏み込み壁21Sとによって形成されるテーパ角θ2が20°以下である実施例6〜実施例8では、テーパ角θ2が20°よりも大きい実施例1〜実施例5と比べて、摩擦係数(μ)が小さく、かつ、硬さが小さい路面において、トラクション性能が大幅に改善することが確認された。一方で、実施例6〜実施例8では、実施例1〜実施例5と比べて、摩擦係数(μ)が大きい路面において、同程度のトラクション性能が得られることが確認された。
(4)Ts/Us≧22%の条件が満たされる実施例9〜実施例11では、Ts/Us≧22%の条件が満たされていない実施例1〜実施例5と比べて、摩擦係数(μ)が小さく、かつ、硬さが小さい路面において、トラクション性能が大幅に改善することが確認された。一方で、実施例9〜実施例11では、実施例1〜実施例5と比べて、摩擦係数(μ)が大きい路面においても、トラクション性能が改善することが確認された。
(5)タイヤ周方向TCに対するショルダー陸部20Sの傾きθ6が35°以上である実施例12〜実施例14では、傾きθ6が35未満である実施例1〜実施例5と比べて、摩擦係数(μ)が大きい路面において、トラクション性能が改善することが確認された。一方で、実施例12〜実施例14では、実施例1〜実施例5と比べて、摩擦係数(μ)が小さく、かつ、硬さが小さい路面において、同程度のトラクション性能が得られることが確認された。
(6)ショルダー溝部30Sの底面に対する垂線方向とショルダー側蹴り出し壁22Sとによって形成されるテーパ角θ3が15°以下である実施例15、dc/(TW/4)≧10%の条件が満たされる実施例16、タイヤ周方向TCに対するセンター陸部20Cの傾きθ1が40°以下である実施例17、センター溝部30Cの底面に対する垂線方向とセンター側踏み込み壁21Cとによって形成されるテーパ角θ4が15°以下である実施例18、Tc/Cc≦1.00%の条件が満たされる実施例19では、これらの実施例と類似するパラメータを有する実施例9と比べて、ラグ重量が低下することが確認された。
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
CL…タイヤ赤道線、TC…タイヤ周方向、TR…タイヤ径方向、TW…タイヤ幅方向、10C…センター部、10E…トレッド端、10Q…1/4点、10S…ショルダー部、10T…頂点、20…幅方向陸部、20C…センター陸部、20S…ショルダー陸部、21C…センター側踏み込み壁、21S…ショルダー側踏み込み壁、22C…センター側蹴り出し壁、22S…ショルダー側蹴り出し壁、30…幅方向溝部、30C…センター溝部、30S…ショルダー溝部、100…農業用タイヤ

Claims (9)

  1. タイヤ赤道線からトレッド端まで延びる複数の幅方向陸部と、タイヤ周方向において互いに隣接する幅方向陸部の間に設けられる幅方向溝部とを備える農業用タイヤであって、
    前記幅方向陸部の表面は、タイヤ幅方向において前記トレッド端と前記タイヤ赤道線との中間点を構成する1/4点を有しており、
    前記タイヤ赤道線から前記1/4点までの部位がセンター部であり、
    前記1/4点から前記トレッド端までの部位は、ショルダー部であり、
    前記幅方向陸部は、前記センター部に形成されたセンター陸部と、前記センター陸部に連続しており、前記ショルダー部に形成されたショルダー陸部とによって構成されており、
    前記幅方向溝部は、前記センター部に形成されたセンター溝部と、前記センター溝部に連続しており、前記ショルダー部に形成されたショルダー溝部とによって構成されており、
    タイヤ径方向において前記1/4点から前記トレッド端までの落差がdsであり、前記タイヤ幅方向においてトレッドの全幅がTWである場合において、ds/(TW/4)≦20%の条件が満たされており、
    前記ショルダー陸部の延長線方向に直交する方向における前記ショルダー陸部の頂面での陸部幅がTsであり、前記ショルダー部において前記タイヤ周方向における前記農業用タイヤの全周長がCsである場合に、Ts/Cs≦1.00%の条件が満たされることを特徴とする農業用タイヤ。
  2. 前記ショルダー陸部は、前記ショルダー陸部の延長線方向に直交する方向及び前記ショルダー溝部の底面に対する垂線方向に沿った断面において、踏み込み側に設けられたショルダー側踏み込み壁を有しており、
    前記ショルダー陸部の延長線方向に直交する方向及び前記ショルダー溝部の底面に対する垂線方向に沿った断面において、前記ショルダー溝部の底面に対する垂線方向と前記ショルダー側踏み込み壁とによって形成されるテーパ角は、20°以下であることを特徴とする請求項1に記載の農業用タイヤ。
  3. 前記ショルダー溝部の延長線方向に直交する方向における前記ショルダー溝部の開口端での溝幅がUsである場合に、Ts/Us≧22%の条件が満たされることを特徴とする請求項1に記載の農業用タイヤ。
  4. 前記タイヤ幅方向に対する前記ショルダー陸部の傾きは、35°以上であることを特徴する請求項1に記載の農業用タイヤ。
  5. 前記ショルダー陸部は、前記ショルダー陸部の延長線方向に直交する方向及び前記ショルダー溝部の底面に対する垂線方向に沿った断面において、蹴り出し側に設けられたショルダー側蹴り出し壁を有しており、
    前記ショルダー陸部の延長線方向に直交する方向及び前記ショルダー溝部の底面に対する垂線方向に沿った断面において、前記ショルダー溝部の底面に対する垂線方向と前記ショルダー側蹴り出し壁とによって形成されるテーパ角は、15°以下であることを特徴とする請求項1に記載の農業用タイヤ。
  6. 前記幅方向陸部の表面は、前記タイヤ赤道線を通る頂点を有しており、
    前記タイヤ径方向において前記頂点から前記1/4点までの落差がdcである場合に、dc/(TW/4)≧10%の条件が満たされることを特徴とする請求項1に記載の農業用タイヤ。
  7. 前記タイヤ幅方向に対する前記センター陸部の傾きは、40°以下であることを特徴する請求項1に記載の農業用タイヤ。
  8. 前記センター陸部は、前記センター陸部の延長線方向に直交する方向及び前記センター溝部の底面に対する垂線方向に沿った断面において、踏み込み側に設けられたセンター側踏み込み壁を有しており、
    前記センター陸部の延長線方向に直交する方向及び前記センター溝部の底面に対する垂線方向に沿った断面において、前記センター溝部の底面に対する垂線方向と前記センター側踏み込み壁とによって形成されるテーパ角は、15°以下であることを特徴とする請求項1に記載の農業用タイヤ。
  9. 前記センター陸部の延長線方向に直交する方向における前記センター陸部の頂面での陸部幅がTcであり、前記センター部において前記タイヤ周方向における前記農業用タイヤの全周長がCcである場合に、Tc/Cc≦1.00%の条件が満たされることを特徴とする請求項1に記載の農業用タイヤ。
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