JP6130820B2 - シートパッド - Google Patents

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Description

本発明はシートパッドに関し、特に座り心地を快適にできるシートパッドに関するものである。
車両や船舶、航空機等の乗物に装備される座席や家具等の椅子などの基材であるシートパッドは、一般に、金属製のワイヤ(線状体)がパッド本体に埋設されており、そのワイヤに取り付けられた表皮材によりパッド本体の表面が覆われる(特許文献1)。特許文献1には、複数のワイヤを分割し、分割したワイヤを加工(屈曲)して屈曲部を形成すると共に、屈曲部を有するワイヤをパッド本体に埋設する技術が開示されている。特許文献1ではワイヤを分割して非連続にしたので、線状体が連続する場合と比較して、シートパッドを撓み易くすることができ、座り心地を良くすることができる。
特開2012−176667号公報
しかしながら上述した従来の技術では、座り心地に改善の余地があり、さらにワイヤ(線状体)を加工(屈曲)するための大きな工数を要するという問題点がある。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、線状体を加工する工数を削減できると共に座り心地を快適にできるシートパッドを提供することを目的としている。
課題を解決するための手段および発明の効果
この目的を達成するために請求項1記載のシートパッドによれば、パッド本体は表皮材が装着される表面およびその反対側の裏面を有し、パッド本体の表面に形成される溝部に、表面に装着される表皮材の一部が引き込まれる。溝部とパッド本体の裏面とを貫通する貫通孔がパッド本体に設けられるので、貫通孔が設けられていない場合と比較して、貫通孔によってパッド本体のばね感を低減させることができる。
また、溝部のうちの深さの大きい深底部に露出する部分で、溝部に引き込まれた表皮材を係止する線状体は、パッド本体に埋設されると共に貫通孔に一部が露出するので、貫通孔を避けるように線状体を屈曲させなくて良い。よって、線状体を加工する工数を削減できる効果がある。
さらに、可撓性を有する合成樹脂製の線状体は、貫通孔に一部を露出させつつ溝部に沿って埋設されているので、線状体が溝部の両側のパッド本体の変形の妨げになることを防止できる。合成樹脂製の線状体は金属製のワイヤと比較して曲げ剛性を小さくできるので、シートパッドを撓み易くすることができる。
線状体は、少なくとも貫通孔に露出する部分が、貫通孔の深さ方向における線状体の厚さに対して幅の大きい形状である。少なくとも貫通孔に露出する線状体の厚さ方向の曲げ剛性を幅方向の曲げ剛性より小さくできるので、貫通孔に露出する線状体を貫通孔の深さ方向に曲げ変形させ易くできる。よって、パッド本体の変形を線状体が阻害することを防ぎ、貫通孔の部分でシートパッドを撓み易くできる効果がある。よって、座り心地を快適にできる効果がある。
請求項2記載のシートパッドによれば、線状体は、長手方向に亘って連続して外周面から突出する凸部を備えているので、凸部のアンカー効果によってパッド本体との密着性を向上させることができる。線状体が露出する貫通孔の境目におけるパッド本体と線状体との密着性も向上できるので、貫通孔の境目におけるパッド本体の傷みを抑制できる効果がある。凸部は、長繊維が合成樹脂により被覆されて形成されているので、線状体の曲げ強さを向上できる。よって、溝部におけるシートパッドの腰の強さ(曲げ弾性力)と撓み易さとを両立できる効果がある。
請求項3記載のシートパッドによれば、線状体は、貫通孔に露出する部分が、貫通孔の深さ方向または幅方向に屈曲する屈曲部を備えているので、屈曲部によって貫通孔に露出する線状体の自由長を長くすることができる。そのため、貫通孔に露出する線状体を曲げ変形させ易くできる。よって、パッド本体の変形を線状体が阻害することを防ぎ、貫通孔の部分でシートパッドを撓み易くできる効果がある。
請求項記載のシートパッドによれば、パッド本体は乗員の上体背部に中央部が対面し、中央部の左右両側に連設される左右の側部が、乗員の上体側部に対面する。中央部と左右の側部との境界に左右の縦溝が形成され、貫通孔は左右の縦溝にそれぞれ断続的に形成されている。中央部は、乗物に設置された左右のフレームに連結部材を介して後退移動可能に連結される受圧部材が後面側に設けられる。貫通孔は、シート幅方向において受圧部材と左右のフレームとの間に配置される。
乗物が他の乗物に追突されたり、後退する乗物の後部が他の乗物や構造物に衝突したりする乗物の後面衝突時に、乗員の上体からシートパッドに後退移動荷重が作用すると、シートパッドと共に受圧部材がフレームに対して後退移動することで、乗員の上体がシートパッドに沈み込む。線状体は貫通孔に一部を露出させつつ縦溝に沿って埋設されているので、線状体が中央部の変形の妨げになることを防止できる。よって、シートパッドの中央部は、貫通孔が断続的に形成された縦溝を境界として、左右の側部に対して容易に撓み、十分に後退移動する。特に、貫通孔が受圧部材と左右のフレームとの間に配置されることで、シートパッドの撓みが、これらの部材によって妨げられることを防ぎ、シートパッドをより効果的に撓ませることができる。その結果、乗員の上体を湾曲させてシートパッドに効果的に沈み込ませることができる。従って、請求項1から3のいずれかの効果に加え、乗物の後面衝突時に、慣性によって乗員の頭部が後傾することを抑制し、頭部の後傾の反動としての頸部に加わる衝撃を緩和できる効果がある。
さらに、受圧部材と左右のフレームとの間においては、シートパッドを十分に厚くすることができるので、表皮材を線状体に取り付けたときのシートパッド及び線状体の変形を低減できる効果がある。
請求項記載のシートパッドによれば、貫通孔は、左右の縦溝の各々に複数個が形成されており、縦溝の長さに対する貫通孔の長さの複数個の合計長さが1/20以上なので、乗物の後面衝突時に、断続的にされた縦溝を境界として、左右の側部に対して中央部を十分に後退移動させることができる。さらに、縦溝の長さに対する貫通孔の長さの複数個の合計長さが1/2未満なので、中央部のばね感が乏しくなることを防止できる。よって、請求項からのいずれかの効果に加え、乗物の後面衝突時に乗員の頸部へ加わる衝撃の緩和効果を確保しつつ、中央部のばね感を確保できる効果がある。
第1実施の形態におけるシートパッドを基材として形成されたシートの斜視図である。 シートパッドの正面図である。 (a)は図2のIIIaで示す部分を拡大して示した深底部の正面図であり、(b)は図2のIIIbで示す部分を拡大して示した貫通孔の正面図である。 図2のIV−IV線におけるシートパッドの断面図である。 シートパッドを成形する成形型の断面図である。 成形型のうち第1型の平面図である。 (a)は図6のVIIaで示す部分を拡大して示した係止部の平面図であり、(b)は図6のVIIbで示す部分を拡大して示した第1凸起部の平面図である。 (a)は図7(a)のVIIIa−VIIIa線における突条部および係止部の断面図であり、(b)は図7(b)のVIIIb−VIIIb線における突条部および第1凸起部の断面図である。 脱型時の成形型の断面図である。 シートパッドが装着されるシートフレームの正面図である。 第2実施の形態におけるシートパッドの正面図である。 (a)は図11のXIIa−XIIa線におけるシートパッドの断面図であり、(b)は第3実施の形態におけるシートパッドの断面図である。 (a)は第4実施の形態におけるシートパッドの断面図であり、(b)は図13(a)の矢印XIIIb方向視におけるシートパッドの正面図である。 (a)は第5実施の形態におけるシートパッドの断面図であり、(b)は図14(a)の矢印XIVb−XIVb線におけるシートパッドの断面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。まず図1から図4を参照して第1実施の形態におけるシートパッド10について説明する。図1はシートパッド10を基材の一部として形成された車両用シート1の斜視図であり、図2はシートパッド10の正面図である。図3(a)は図2のIIIaで示す部分を拡大して示した深底部14の正面図であり、図3(b)は図2のIIIbで示す部分を拡大して示した貫通孔15の正面図であり、図4は図2のIV−IV線におけるシートパッド10の断面図である。
図1に示すように車両用シート1は、乗員が腰掛けるシートクッション2と、乗員の背中を支えるシートバック3と、ヘッドレスト5とを備えている。シートバック3は、ポリウレタンフォーム等の発泡合成樹脂製のシートパッド10と、シートパッド10の正面側の表面16(図4参照)に被せられる表皮材4とを備えている。なお、図示は省略するが、シートクッション2もシートバック3とほぼ同様に構成されている。
図2に示すようにシートパッド10は、弾力性のある軟質ポリウレタンフォーム等の合成樹脂製の発泡成形体から構成されるパッド本体11と、パッド本体11に埋設される合成樹脂製の線状体20,21とを備えている。パッド本体11は、乗員の上体背部に対面する中央部11aと、乗員の上体側部に対面するように中央部11aの左右両側から斜め前方に拡がって張り出す左右の側部11b,11bとが連続する形状を有している。パッド本体11は、中央部11aと左右の側部11b,11bとの境界に、上下方向に延びる左右一対の縦溝12が設けられている。
縦溝12は、パッド本体11の下端部(図2下方)から上端部(図2上方)へ向かうにつれて左右両側へ広がるように形成されている。パッド本体11は、左右の縦溝12の上部側同士を連結するように左右方向(幅方向)に延びる2本の横溝13が設けられている。縦溝12及び横溝13により全体として梯子状の溝がパッド本体11の表面に凹設されている。
パッド本体11は、合成樹脂製の線状体20,21(棒状フレーム)が、それぞれ縦溝12及び横溝13に沿って縦溝12及び横溝13の略全長に亘って連続して埋設されている。線状体20,21は、シートパッド10を覆う表皮材4(図1参照)を係止するための合成樹脂製の棒状の部材であり、可撓性を有している。線状体20,21を構成する合成樹脂は、材質が特に制限されるものではなく、機械的強度等を考慮して適宜選択される。例えばポリプロピレン等のポリオレフィンが用いられる。また、線状体20,21として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミッド繊維、ポリエステル繊維等の繊維で強化された繊維強化樹脂を選択することも当然可能である。
図3(a)、図3(b)及び図4に示すように、線状体20,21は、縦溝12及び横溝13の溝底の下方(図2紙面奥側)近傍に埋設されると共に、長手方向が断続的に縦溝12及び横溝13内に露出した状態にされる。縦溝12は、長手方向の複数箇所において深さの大きい深底部14と、パッド本体11の表面16に形成された縦溝12の底部とパッド本体11の裏面17とを貫通する貫通孔15とが断続的に設けられており、線状体20は、深底部14及び貫通孔15に露出する。また、横溝13は、長手方向の複数箇所において深さの大きい深底部14が断続的に設けられており、線状体21は、深底部14に露出する。
線状体20,21は、インサート成形によりパッド本体11の成形時に埋設され一体化される。パッド本体11に埋設される線状体20,21を深底部14及び貫通孔15で露出させ、深底部14に露出した線状体20,21に固定具(図示せず)を介して表皮材4(図1参照)が連結される。その結果、縦溝12及び横溝13に表皮材4の一部が引き込まれて、表皮材4がパッド本体11に固定される。
なお、縦溝12(図3(b)参照)の幅、即ち貫通孔15の幅Dは8〜15mmであり、貫通孔15の長さLは20〜60mmである。縦溝12に沿ってパッド本体10に埋設される線状体20は、幅d及び厚さ(図3(b)紙面垂直方向寸法)がいずれも3〜5mmに設定される。貫通孔15は、縦溝12の長手方向に間隔をあけて各縦溝12に複数個(本実施の形態では2個)が形成される。貫通孔15は、縦溝12の長さに対する貫通孔15の長さLの複数個の合計長さが1/20以上かつ1/2未満に設定される。
次に図5を参照して、シートパッド10を成形する成形型30について説明する。図5はシートパッド10を成形する成形型30の断面図である。図5に示すようにシートパッド10は、合成樹脂材料(軟質フォームの液状原料)が成形型30の内部で発泡することにより成形される。成形型30は、パッド本体11の表面16(図4参照)側を成形する成形面32が形成された下型(第1型)31と、下型31の一辺に配設されたヒンジ部37を介して下型31に対して回動可能に構成される上型38とを備えている。上型38は、シートパッド10の背面側を成形する型であり、上型38と下型31との間に中型(第2型)39が配置されている。
中型39は、パッド本体11の裏面17(図4参照)側を成形する型であり、コア部40が突設されている。コア部40は、シートパッド10に中空部18(図4参照)を形成するための部位である。中空部18は、シートパッド10をシートフレーム50(図10参照)に装着するときに、シートフレーム50が挿入される部位である。中型39(第2型)は、上型38に設けられた駆動装置42により上型38に対して相対移動可能に設けられており、駆動装置42を駆動させることにより上型38から着脱される。
下型(第1型)31は、突条状に形成された突条部33,34が成形面32に設けられている。突条部33,34は、パッド本体11に縦溝12及び横溝13(図2参照)を形成するための部位であり、中型39へ向かって突出する係止部35が設けられている。係止部35は、線状体20,21を係止して突条部33,34に沿って線状体20,21を固定するための部位である。また、突条部33は、中型39へ向かって突出する第1凸起部36が設けられている。第1凸起部36は、中型39に凸起状に設けられた第2凸起部41と当接してパッド本体11に貫通孔15(図4参照)を形成するための部位である。
次に図6を参照して下型31について説明する。図6は成形型30のうち下型31(第1型)の平面図である。なお、図6は係止部35及び第1凸起部36にそれぞれ形成される対向面35a,36aの図示が省略される。
図6に示すように下型31は、略水平に配置されてパッド本体11の表面16を形成する成形面32と、成形面32に突設される左右一対の突条部33と、その突条部33を連結する突条部34とを備えている。
突条部33は、前後方向に延びる突条であり、シートパッド10の縦溝12(図2参照)を形成するための部位である。突条部33は、前方(図6上側)へ向かうにつれて平面視において左右両側へ広がるように屈曲形成されている。突条部34は、左右方向に延びて両端部が突条部33に繋がる突条であり、シートパッド10の横溝13(図2参照)を形成するための部位である。
突条部33,34は、突条部33,34の長手方向において互いに適当な間隔をあけて複数箇所に係止部35が設けられている。係止部35は、線状体20,21(図2参照)を保持すると共にシートパッド10の深底部14を形成するための部位である。係止部35は、それぞれ突条部33,34の上面に突設されている。
突条部33は、係止部35を避けて第1凸起部36が設けられている。第1凸起部36は、線状体20(図2参照)を受け入れると共に、第2凸起部41(図5参照)と共同してパッド本体11に貫通孔15を形成するための部位である。第1凸起部36は突条部33の上面に突設されている。
次に図7及び図8を参照して、線状体20が係止される係止部35及び線状体20が収装される第1凸起部36の構成について説明する。図7(a)は図6のVIaで示す部分を拡大して示した係止部35の平面図であり、図7(b)は図6のVIbで示す部分を拡大して示した第1凸起部36の平面図である。図8(a)は図7(a)のVIIIa−VIIIa線における突条部33及び係止部35の断面図であり、図8(b)は図7(b)のVIIIb−VIIIb線における突条部33及び第1凸起部36の断面図である。
図7(a)に示すように、係止部35は略円柱状に形成される部位であり、平面視における中心を挟んで両側に、互いに対向する一対の対向面35aが形成される。対向面35aは、平面視において突条部33の長手方向(図7(a)上下方向)に沿って互いに略平行となるように平坦面状に形成される。なお、対向面35aの間隔(図7(a)左右方向寸法)は、線状体20の径方向寸法より少し小さめに設定されている。
図7(b)に示すように第1凸起部36は、平面視における中心を挟んで両側に、互いに対向する一対の対向面36a(凹部)が形成される。対向面36aは、平面視において突条部33の長手方向(図7(b)上下方向)に亘って同一の間隔となるように突条部33に沿って形成される。なお、対向面36aの間隔(図7(b)左右方向寸法)は、線状体20の径方向寸法(幅)より少し小さめに設定されている。
図8(a)及び図8(b)に示すように、係止部35の対向面35a及び第1凸起部36の対向面36aの高さHは、線状体20の径方向寸法(厚さ)と同一に設定される。なお、線状体20は、パッド本体11(図2参照)の厚さ方向(図2紙面垂直方向)における線状体20の厚さ(図3(b)紙面垂直方向寸法)に対して幅(図3(b)左右方向寸法)の大きな断面楕円形状に形成されている。第1凸起部36は、型閉じ時に第1凸起部41が当接する。
次に図5及び図9を参照してシートパッド10の製造方法について説明する。図9は脱型時の成形型30の断面図である。シートパッド10を製造するには、まず、成形型30(図5参照)を型開きし、駆動装置42を駆動して中型39を上型38から離脱させる。補強布(図示せず)を中型39に被せて固定する。次いで、駆動装置42を駆動して上型に中型39を密着させる。また、線状体20を係止部35及び第1凸起部36に係止し、線状体21を係止部35に係止する(固定工程)。次に、下型31に合成樹脂材料(液状原料、図示せず)を注入した後、下型31に対して上型38を型閉じする。合成樹脂材料を成形型30内で発泡させ、所定の時間キュアすることで、縦溝12及び横溝13(図2参照)に沿って線状体20,21が埋設一体化されたシートパッド10が成形される(埋設工程)。
図9に示すように、シートパッド10の成形後、下型31に対して上型38を型開きし、駆動装置42を駆動して中型39を上型38から離脱させる。次いで、中型39から引き抜いて脱型することによりシートパッド10が得られる。
次に図10を参照して、シートパッド10が装着されるシートフレーム50について説明する。図10はシートパッド10が装着されるシートフレーム50の正面図である。シートフレーム50は、パイプ材で形成された一対の横フレーム51と、横フレーム51の上下とそれぞれ結合する下フレーム52及び上フレーム53とを備え、枠状に形成されている。上フレーム53は、ヘッドレスト5の下部から突出する一対のステー(図示せず)が装着される一対のブラケット54が結合されている。シートフレーム50の内側には、乗員の上体を後退移動可能に支持するための受圧部材55が配置されている。
受圧部材55は合成樹脂製の板状部材であり、上部連結ワイヤ56の中央部が受圧部材55の上部に固定され、下部連結ワイヤ57の中央部が受圧部材55の下部に固定される。上部連結ワイヤ56及び下部連結ワイヤ57は、弾性を有するばね鋼により形成されている。上部連結ワイヤ56は横フレーム51に両端が結合され、下部連結ワイヤ57は、横フレーム51に上端が結合したトグル機構58の下端に結合される。トグル機構58に設けられた引張コイルばねは、下部連結ワイヤ57の両端部に所定値以上の後退移動荷重が作用したときに揺動できるように張力が設定されている。
なお、上部連結ワイヤ56及び下部連結ワイヤ57は、弾性変形を可能にするため、受圧部材55と横フレーム51との間に適度な自由長が確保される。また、上フレーム53と受圧部材55との間の空間に、横フレーム51に両端が結合したクロスメンバ59が設置される。クロスメンバ59は、乗員の着座姿勢を安定させるため、上部連結ワイヤ56より剛性の大きいロッドを屈曲させて形成されている。
シートパッド10は、受圧部材55の前面側に中央部11aが配置され、横フレーム51の前面側に側部11bが配置される。シートパッド10は、乗員の上体が後退移動するときにその後退移動荷重をシートパッド10の中央部11aから受圧部材55の全体に伝達するため、縦溝12及び貫通孔15が、受圧部材55を回避して受圧部材55の左右方向の外側、且つ、横フレーム51の左右方向の内側に配置される。これにより、車両用シート1に着座した乗員の上体から所定値以上の後退移動荷重がシートバック3に作用したときに、受圧部材55は、中央部11aの荷重を受けて円滑に後退移動する。シート幅方向(図10左右方向)において、貫通孔15が受圧部材55と横フレーム51との間に配置されるので、シートパッド10の撓みが、これらの部材(受圧部材55や横フレーム51)によって妨げられることを防止できる。よって、シートパッド10をより効果的に撓ませることができる。
なお、シートパッド10は合成樹脂製の線状体20,21が埋設されているので、金属製の線状体(ワイヤ)が埋設されたシートパッドと比較して線状体の質量を小さくできる。よって、その質量分だけシートパッド10を軽量化できる。また、リサイクル時には、パッド本体11から線状体20,21を引き抜かなくても、パッド本体11に線状体20,21が埋設された状態でシートパッド10を粉砕できる。よって、リサイクル時に金属製のワイヤを取り除く付帯作業を削減できる。さらに、合成樹脂製の線状体20,21は金属製のワイヤと比較して撓みやすいので、線状体20,21が埋設されたシートパッド10の縦溝12及び横溝13の近傍を撓みやすくできる。よって、座り心地を快適にできる。
また、第1凸起部36及び第2凸起部41(図5参照)により、パッド本体11の裏面17と縦溝12とを貫通する貫通孔15がパッド本体11に形成されるので、貫通孔15が設けられていない場合と比較して、パッド本体11のばね感を低減させることができる。よって、パッド本体11を撓み易くすることができ、座り心地を快適にできる。
また、受圧部材55と横フレーム51との間においては、受圧部材55や横フレーム51に制約を受けることなくシートパッド10を十分に厚くすることができる。その結果、受圧部材55と横フレーム51との間に位置する部位(シートパッド10)の剛性を確保できる。よって、表皮材4(図1参照)を線状体20に取り付けたときのシートパッド10及び線状体20の変形を低減できる。
ここで、車両用シート1が搭載された車両が他の車両に追突されたり、後退する車両の後部が他の車両や構造物に衝突したりする車両の後面衝突時に、乗員の上体からシートパッド10に後退移動荷重が作用すると、シートパッド10と共に受圧部材55が横フレーム51に対して後退移動することで、乗員の上体がシートパッド10に沈み込む。線状体20は貫通孔15に一部を露出させつつ縦溝12に沿ってパッド本体11に埋設されているので、線状体20が中央部11aの変形の妨げになることを防止できる。よって、シートパッド10の中央部11aは、貫通孔15が断続的に形成された縦溝12を境界として、左右の側部11bに対して容易に撓み、十分に後退移動する。その結果、乗員の上体をエビのように湾曲させてシートパッド10に沈み込ませることができる。それに伴い、乗員の頭部が速やかにヘッドレスト5に近づくので、ヘッドレスト5で頭部が受け止められ、慣性によって頭部が後傾することを抑制できる。頭部の後傾の反動としての頸部に加わる衝撃を緩和できる。
また、第1凸起部36に設けられた対向面36a間に線状体20の一部が収装されるので、線状体20の一部を貫通孔15に露出させることができる。貫通孔15を避けるように線状体20を屈曲しなくて良いので、線状体20を加工(屈曲)する工数を削減できる。
なお、貫通孔15を避けるように線状体20を屈曲した場合には、線状体20の屈曲した部分がパッド本体11の中央部11aや側部11bに埋設されるので、線状体20の曲げ剛性が中央部11aや側部11bのばね感に影響を与える。即ち、線状体20が中央部11aや側部11bのばね感を向上させるので、中央部11aや側部11bが撓み変形し難くなる。これに対し本実施の形態によれば、線状体20は縦溝12に沿って埋設されるので、線状体20が中央部11aや側部11bのばね感を向上させることを防止できる。
また、貫通孔15を避けるように線状体20を屈曲する場合には、縦溝12に対する貫通孔15の位置や大きさに応じて線状体20の屈曲位置を決めなくてはならない。しかし、本実施の形態では、線状体20を屈曲させることなく線状体20の一部を貫通孔15に露出させるので、直線状の線状体20を共通部品化しながら貫通孔15の位置や大きさを任意に変えることができる。
また、線状体20は、貫通孔15の深さ方向における線状体20の厚さに対して幅d(図3(b)参照)の大きい楕円形状の断面を有している。そのため、貫通孔15に露出する線状体20を、貫通孔15の深さ方向に曲げ変形させ易くできる。よって、パッド本体11の変形(中央部11aの撓み変形による後退移動)を線状体20が阻害することを防ぎ、貫通孔15の部分でシートパッド10を撓み易くできる。
なお、貫通孔15は、縦溝12(図3(b)参照)の幅、即ち貫通孔15の幅Dは8〜15mmであり、貫通孔15の長さLは20〜60mmである。貫通孔15の長さLが20mmより小さいと、縦溝12を境界として側部11bに対して中央部11aを撓ませ易くする効果が得られ難くなり、長さLが60mmを超えると、乗員の着座安定性が低下する傾向がみられる。
また、縦溝12の長さに対する貫通孔15の長さLの複数個(本実施の形態では2個)の合計長さが1/20未満であると、縦溝12を境界として側部11bに対して中央部11aを撓ませ易くする効果が得られ難くなる。一方、縦溝12の長さに対する貫通孔15の長さLの複数個の合計長さが1/2以上であると、乗員の着座安定性が低下する傾向がみられる。なお、線状体20は幅d及び厚さが3〜5mmに設定されるので、縦溝12内に吊り込まれた表皮材4を固定する剛性と、パッド本体11の変形に伴って弾性変形する可撓性とを両立できる。
次に図11及び図12(a)を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、線状体20が直線状に形成される場合について説明した。これに対し第2実施の形態では、線状体120が部分的に屈曲される場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図11は第2実施の形態におけるシートパッド110の正面図であり、図12(a)は図11のXIIa−XIIa線におけるシートパッド110の断面図(貫通孔15の軸方向断面図)である。
図11に示すようにシートパッド110は、合成樹脂製の線状体120,21がパッド本体11に埋設されている。線状体120は、パッド本体11に形成された深底部14及び貫通孔15に露出する。線状体120は、長手方向と直交する断面が円形状に形成されている。
図12(a)に示すように線状体120は、縦溝12の底部12aの近傍に埋設される埋設部121と、貫通孔15に露出すると共に埋設部121から貫通孔15の深さ方向(図12(a)上下方向)へ向かって傾斜する屈曲部122と、屈曲部122に連設される略直線状の連設部123とを備えている。
これにより、屈曲部122によって貫通孔15に露出する線状体120の自由長を長くすることができる。屈曲部122によって貫通孔15に露出する線状体120を曲げ変形させ易くできるので、パッド本体11の変形を線状体120が阻害することを防ぎ、貫通孔15の部分でシートパッド110を変形し易くできる。その結果、受圧部材55(図10参照)の後方への移動をスムーズにできる。
次に図12(b)を参照して第3実施の形態について説明する。第2実施の形態では、線状体120の貫通孔15に露出する部分に屈曲部122が2箇所形成される場合について説明した。これに対し第3実施の形態では、さらに多くの屈曲部142が線状体140に形成される場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図12(b)は第3実施の形態におけるシートパッド130の断面図(貫通孔15の軸方向断面図)である。
図12(b)に示すようにシートパッド130は、合成樹脂製の線状体140がパッド本体11に埋設されている。線状体140は、パッド本体11に形成された貫通孔15に露出する。線状体140は長手方向と直交する断面が円形状に形成されており、縦溝12の底部12aの近傍に埋設される埋設部141と、貫通孔15に露出すると共に貫通孔15の深さ方向(図12(b)上下方向)へ向かって傾斜する複数の屈曲部142と、屈曲部142に連設される複数の略円弧状の連設部143とを備えている。
屈曲部142及び連設部143が複数形成されているので、貫通孔15に露出する線状体140の自由長をより長くできる。そのため、第2実施の形態と比較して線状体120の曲げ変形をより容易にできる。よって、パッド本体11の変形を線状体140が阻害することを防ぎ、受圧部材55(図10参照)の後方への移動をよりスムーズにできる。
次に図13を参照して第4実施の形態について説明する。第1実施の形態から第3実施の形態では、線状体20,120,140は、長手方向に直交する断面の形状が、長手方向に亘って略同一に設定される場合について説明した。これに対し第4実施の形態では、線状体160の長手方向に直交する断面の形状が、長手方向に沿って部分的に異なる場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図13(a)は第4実施の形態におけるシートパッド150の断面図(貫通孔15の軸方向断面図)であり、図13(b)は図13(a)の矢印XIIIb方向視におけるシートパッド150の正面図である。
図13(a)及び図13(b)に示すようにシートパッド150は、合成樹脂製の線状体160がパッド本体11に埋設されている。線状体160は、パッド本体11に形成された貫通孔15に露出する。線状体160は、縦溝12の底部12aの近傍に埋設される埋設部161と、貫通孔15に露出する露出部162とを備えている。埋設部161は、貫通孔15の深さ方向の厚さT1が、貫通孔15の幅方向の幅D1より大きく設定されている。埋設部161は、長手方向に直交する断面が、貫通孔15の深さ方向に長い略長円状に形成されている。露出部162は、貫通孔15の深さ方向の厚さT2が、貫通孔15の幅方向の幅D2より小さく設定されている。露出部162は、長手方向に直交する断面が、貫通孔15の幅方向に長い略長円状に形成されている。露出部162の扁平形状は、線状体160を押出成形により成形した後、部分的な加熱プレスにより成形できる。
線状体160は、貫通孔15に露出する部分(露出部162)が、貫通孔15の深さ方向における線状体160の厚さT2に対して幅D2の大きい形状に設定されているので、露出部162を貫通孔15の深さ方向に曲げ変形させ易くできる。よって、パッド本体11の変形を線状体160が阻害することを防ぎ、貫通孔15の部分でシートパッド150を撓み易くできる。よって、受圧部材55(図10参照)の後方への移動をスムーズにできる。
次に図14を参照して第5実施の形態について説明する。第5実施の形態では、断面が不定形の線状体180の場合について説明する。図14(a)は第5実施の形態におけるシートパッド170の断面図であり、図14(b)は図14(a)の矢印XIVb−XIVb線におけるシートパッド170の断面図であり、図14(a)の一部を拡大して示した線状体180の拡大断面図である。
図14(a)及び図14(b)に示すようにシートパッド170は、合成樹脂製の線状体180がパッド本体11に埋設されている。線状体180は、パッド本体11に形成された貫通孔15に露出する。線状体180は、断面が略円形状に形成されたコア部181と、コア部181の外周面から突出する凸部182とを備えている。
凸部182は、線状体180の長手方向(図14(b)紙面垂直方向)に亘って連続しており、ポリエステル繊維製の長繊維が合成樹脂により被覆されて複数形成されている。押出成形によって凸部182はコア部181と一体に成形されており、線状体180は全体として外周面が凹凸状に形成されている。線状体180は、凸部182のアンカー効果によってパッド本体11との密着性を向上させることができる。線状体180が露出する貫通孔15の境目におけるパッド本体11と線状体180との密着性も向上できるので、貫通孔15の境目におけるパッド本体11の傷みや線状体180からのパッド本体11の剥離を抑制できる。
凸部182は、ポリエステル繊維製の長繊維が合成樹脂により被覆されて形成されているので、線状体180の曲げ強さを向上できる。よって、溝部12におけるシートパッド170の腰の強さ(曲げ弾性力)と撓み易さとを両立できる。なお、凸部182は複数である必要はなく、少なくとも1つあれば良い。
線状体180は、貫通孔15の深さ方向の厚さTが、貫通孔15の幅方向の幅Dより小さく設定されている。なお、厚さT及び幅Dは、貫通孔15の深さ方向および幅方向における定方向最大径である(図14(b)参照)。その結果、線状体180の厚さ方向の曲げ剛性を幅方向の曲げ剛性より小さくできるので、溝部12近傍のシートパッド170、及び、貫通孔15に露出する線状体180を貫通孔15の深さ方向に曲げ変形させ易くできる。よって、パッド本体11の変形を線状体180が阻害することを防ぎ、貫通孔15の部分でシートパッド170を撓み易くできる。よって、受圧部材55(図10参照)の後方への移動をスムーズにできる。
なお、線状体180は厚さTに対する幅Dの倍率が1.1倍〜3倍の範囲で設定されると良い。厚さTに対する幅Dの倍率が1.1倍以上であると、厚さ方向の曲げ剛性を小さくする効果を確保できる。倍率が3倍以下であると、線状体180の線径にもよるが、貫通孔15の内壁を形成するパッド本体11と線状体180とが干渉し難くなり、異音を防止できる。なお、線状体180の厚さTと幅Dとの関係は、他の実施の形態における線状体20,21,120,140,160にも適用できる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施の形態で挙げた貫通孔15の形状や数、貫通孔15の位置や大きさは一例であり、他の形状や数、位置、大きさを採用することは当然可能である。また、上記各実施の形態では、縦溝12に貫通孔15が形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、横溝13に貫通孔15を形成することは当然可能である。
上記各実施の形態では、シートパッド10がシートバック3の基材(バックパッド)であるものを説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、シートクッション2の基材となるクッションパッド等、他のシートパッドに適用することは当然可能である。シートパッドの用途としては、車両用シートの他、船舶、航空機等の乗物に装備される座席や家具等の椅子が例示される。
上記各実施の形態では、シートクッション2、シートバック3及びヘッドレスト5が別々に形成されるシートについて説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、シートクッション2、シートバック3及びヘッドレスト5が一体に構成されたバケットタイプのシートとすることは当然可能である。
上記各実施の形態では、シートパッド10がポリウレタンフォーム等の発泡合成樹脂製の場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の材質のシートパッドに適用することは当然可能である。他の材質のシートパッドとしては、例えば、合成樹脂製等の繊維をウレタン等のバインダで硬化(結合)したもの、合成樹脂製の繊維を熱で溶融して互いに溶着させたもの等が挙げられる。
上記第2実施の形態および第3実施の形態では、屈曲部122,142が、貫通孔15の深さ方向に傾斜するように形成される場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、貫通孔15の幅方向に屈曲するように屈曲部を形成することは当然可能である。この場合も、貫通孔15に露出する線状体の自由長を屈曲部によって大きくできるので、線状体を曲げ変形させ易くできる。また、貫通孔15の幅方向に屈曲することで、屈曲部の屈曲形状を成形型30の成形面32(図5参照)と略平行にできる。そのため、線状体の成形型30への取り付け作業の作業性を向上できる。
上記各実施の形態では説明を省略したが、線状体20の太さを長手方向に亘って同一にするのではなく、線状体20の第1の端部(図2下側)から第2の端部(図2上側)に向かうにつれて次第に細くなるように設定することは当然可能である。この線状体20は、押出成形のときの押出し速度を変えることで成形できる。第1の端部から第2の端部に向かうにつれて次第に細くなるように線状体20を設定することで、シートパッド10を撓み変形させ易くすることができ、受圧部材55(図10参照)の後方への移動をさらにスムーズにできる。
上記実施の形態では、シートパッド10,110,130,150,170が装着されるシートフレーム50は、一対の横フレーム51に結合された上部連結ワイヤ56及び下部連結ワイヤ57(ばね鋼)によって受圧部材55が弾性支持される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。受圧部材55を省略すると共に、横フレーム51間や下フレーム52と上フレーム53との間にばね鋼製のワイヤを結合して、そのワイヤによってシートパッド10,110,130,150,170を支持することは当然可能である。この場合もフレーム51,52,53によってシートパッド10,110,130,150,170の外周部分(側部11b)が支持されるので、パッド本体11を変形させて側部11bに対して中央部11aを後方へ移動させることができる。
4 表皮材
10,110,130,150,170 シートパッド
11 パッド本体
11a 中央部
11b 側部
12 縦溝(溝部の一部)
13 横溝(溝部の一部)
14 深底部
15 貫通孔
16 表面
17 裏面
20,21,120,140,160,180 線状体
51 横フレーム(左右のフレーム)
55 受圧部材
56 上部連結ワイヤ(連結部材の一部)
57 下部連結ワイヤ(連結部材の一部)
122,142 屈曲部
182 凸部

Claims (5)

  1. 表皮材が装着される表面およびその反対側の裏面を有するパッド本体と、
    前記パッド本体の表面に形成されると共に前記表面に装着される前記表皮材の一部が引き込まれる溝部と、
    前記溝部のうちの深さの大きい深底部と、
    前記深底部以外の前記溝部の底部と前記パッド本体の裏面とを貫通する貫通孔と、
    前記貫通孔および前記深底部に一部が露出すると共に前記溝部に沿って前記パッド本体に埋設される可撓性を有する合成樹脂製の線状体とを備え
    前記線状体は、前記深底部に露出する部分が、前記溝部に引き込まれた前記表皮材を係止し、少なくとも前記貫通孔に露出する部分が、前記貫通孔の深さ方向における前記線状体の厚さに対して幅の大きい形状であることを特徴とするシートパッド。
  2. 表皮材が装着される表面およびその反対側の裏面を有するパッド本体と、
    前記パッド本体の表面に形成されると共に前記表面に装着される前記表皮材の一部が引き込まれる溝部と、
    前記溝部のうちの深さの大きい深底部と、
    前記深底部以外の前記溝部の底部と前記パッド本体の裏面とを貫通する貫通孔と、
    前記貫通孔および前記深底部に一部が露出すると共に前記溝部に沿って前記パッド本体に埋設される可撓性を有する合成樹脂製の線状体とを備え
    前記線状体は、前記深底部に露出する部分が、前記溝部に引き込まれた前記表皮材を係止し、
    前記線状体は、長手方向に連続する合成樹脂製のコア部と、長手方向に連続する長繊維が合成樹脂により被覆されると共に前記コア部の外周面から突出する凸部と、を備え、全体として外周面が凹凸状に形成された前記コア部および前記凸部の一体成形品であることを特徴とするシートパッド。
  3. 表皮材が装着される表面およびその反対側の裏面を有するパッド本体と、
    前記パッド本体の表面に形成されると共に前記表面に装着される前記表皮材の一部が引き込まれる溝部と、
    前記溝部のうちの深さの大きい深底部と、
    前記深底部以外の前記溝部の底部と前記パッド本体の裏面とを貫通する貫通孔と、
    前記貫通孔および前記深底部に一部が露出すると共に前記溝部に沿って前記パッド本体に埋設される可撓性を有する合成樹脂製の線状体とを備え
    前記線状体は、前記深底部に露出する部分が、前記溝部に引き込まれた前記表皮材を係止し、前記貫通孔に露出する部分が、前記貫通孔の深さ方向または幅方向に屈曲する屈曲部を備え、
    前記屈曲部は、前記パッド本体の裏面側または前記貫通孔の側面側に凸であることを特徴とするシートパッド。
  4. 前記パッド本体は、乗員の上体背部に対面する中央部と、前記中央部の左右両側に連設されると共に乗員の上体側部に対面する左右の側部とを備え、
    前記中央部は、乗物に設置された左右のフレームに連結部材を介して後退移動可能に連結される受圧部材が後面側に設けられ、
    前記溝部は、前記中央部と前記左右の側部との境界に形成される左右の縦溝を備え、
    前記貫通孔は、前記左右の縦溝にそれぞれ断続的に形成され、シート幅方向において前記受圧部材と前記左右のフレームとの間に配置されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のシートパッド。
  5. 前記貫通孔は、前記左右の縦溝の各々に複数個が形成されており、前記縦溝の長さに対する前記貫通孔の長さの複数個の合計長さが1/20以上かつ1/2未満であることを特徴とする請求項からのいずれかに記載のシートパッド。
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