JP6130776B2 - 空気圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、空気圧縮機の圧縮機本体構造に関するものである。
本技術分野の背景技術として、特開2003−161250号公報(特許文献1)がある。この公報には、対向するピストンを連結部材によって一体で構成し、連接棒によってピストンを往復運動させる圧縮機の構造が記載されている。
特開2003−161250号公報
特許文献1に記載の構造においては、対向するピストンが交互に圧縮運動するため、従来のピストン構造とは異なり、ピストンと連接棒とを接続するピストンピンには圧縮荷重が一方向ではなく両方向から交互にかかることになる。
このためピストンピンを従来のピストン構造と同様にピストンの軸方向下側からボルトで固定すると、一方向の圧縮荷重についてはピストンピンが直接受けるが、反対方向の圧縮荷重はボルトを介して受けることとなるため、ボルトの信頼性を確保することが困難となり、ピストンピンとピストンとは焼嵌めによって固定するのが確実である。
しかし、例えば、釘打ち機用空気圧縮機に本構造を採用した場合、製品の小型軽量化、高効率化を図ることが可能となるが、焼嵌めでのピストンピンの固定は非常に組立性が悪く、また、釘打ち機用空気圧縮機は定期的にメンテナンスを行うため、その際にピストンと連接棒が分解できないため、連接棒とピストンのアセンブリー交換となり、メンテナンス費用が高額となってしまうという課題が挙げられる。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、回転軸に接続され、偏心運動する大端部を有し、揺動運動する連接棒と、第1のシリンダ内を往復動する第1のピストンと、第2のシリンダ内を往復動する第2のピストンと、前記第1のピストン本体と前記第2のピストン本体とを連結する連結部材と、前記連接棒と前記連結部材とに挿通するピストンピンとを備え、前記ピストンピンは、前記連接棒の揺動方向から締結部材にて前記連結部材または前記連接棒に固定されるように構成する。
本発明によれば、組立性やメンテナンス性、信頼性を損なうことなく、小型軽量で高効率化な空気圧縮機が提供可能となる。
本発明に係る実施例1の圧縮機本体の断面図である。 本発明に係る実施例1の圧縮機本体の横断面図である。 本発明に係る実施例2の連接棒の小端部側のピストンの圧縮工程時に発生する力を説明する図である。 本発明に係る実施例2の連接棒の小端部側とは反対側のピストンの圧縮工程時に発生する力を説明する図である。 本発明に係る実施例2の圧縮機本体の横断面図である。 本発明に係る実施例3の圧縮機本体の断面図である。
以下、本発明の各実施例に係る空気圧縮機の圧縮機本体構造を、添付図面を参照して詳細に説明する。
まず、本発明に係る実施例1の圧縮機本体構造を、図1、図2を参照し以下に説明する。
圧縮機本体は図1に示すように、クランクケース1に互いに対向するようにシリンダ2、5、空気弁3、6、シリンダヘッド4、7が取付けられている。また、クランクケース1にはベアリング8、9によって回転可能なように支持されたクランクシャフト10が貫通するように取付けられており、そのクランクシャフト10の片側端部にはクランクシャフト10を回転させるためのモータ11が取付けられている。更には、クランクケース1に取付けられた対向する各々のシリンダ2、5内には、空気を吸込み、圧縮吐出しするためのピストン12、13が備えられており、それらピストン12、13は連結部材14によって一体で構成されている。
クランクケース1内の回転軸であるクランクシャフト10には、連接棒15が大端部のベアリング16を介して取付けられており、連接棒15の小端部はニードルベアリング17とピストンピン18によって連結部材14に接続されている。すなわち、ピストンピン18は連接棒15と連結部材14とに挿通されて接続されている。
モータ11が回転するとクランクシャフト10によって前記大端部は偏心運動し、連接棒15は、ピストン12、13の圧縮方向と直交する方向の揺動方向に揺動しながら、ピストン12、13の圧縮方向である上下方向に上下運動する。これにより、ニードルベアリング17とピストンピン18と連結部材14を介して一体に構成されたピストン12、13を往復運動させることで、対向したピストン12、13は交互に空気弁3、6、シリンダヘッド4、7を通じて空気を吸込み、圧縮吐出する。
ここで図2に、図1の圧縮機本体を紙面横方向から見た構造図を示す。図2の上図は、紙面の左側から、ピストンピン18をボルト19によって固定した構成を示しており、図2の下図は、紙面の右側から、ピストンピン18をボルト19によって固定した構成を示している。上述したように、連接棒15は、クランクシャフト10によって揺動しながら上下運動するが、図2において、連接棒15の紙面左右方向を揺動方向とすると、上図、下図共通して、ピストンピン18は、連接棒15の揺動方向(左側または右側)から連結部材14へボルト19で固定されている。
これにより、ピストン12、13が空気を圧縮する際、圧縮方向に対してボルト19が直交する方向となるため、圧縮荷重はボルト19を介さずピストンピン18が直接受けることとなる。よって、ボルト19への荷重を低減することができ、ボルトの信頼性を確保することが容易となる。
なお、本実施例において、ボルトによってピストンピンを連結部材へ固定するとしたが、ボルト以外のトメネジやピン等の締結部材としても良い。また、ボルトによって連結部材へピストンピンを固定するとしたが、連接棒にピストンピンを固定して、連結部材とは回転可能に接続するようにしても良い。
以上のように、本実施例によれば、回転軸に接続され、偏心運動する大端部を有し、揺動運動する連接棒と、第1のシリンダ内を往復動する第1のピストンと、第2のシリンダ内を往復動する第2のピストンと、前記第1のピストン本体と前記第2のピストン本体とを連結する連結部材と、前記連接棒と前記連結部材とに挿通するピストンピンとを備え、前記ピストンピンは、前記連接棒の揺動方向から締結部材にて前記連結部材または前記連接棒に固定される空気圧縮機とすることで、締結部材への荷重を低減することができ、締結部材の信頼性を確保することが容易となる。よって、組立性やメンテナンス性、信頼性を損なうことなく、小型軽量で高効率化な空気圧縮機を提供可能となる。
次に、本発明に係る実施例2の圧縮機本体構造を、図3〜5を参照して説明する。本実施例では実施例1と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施例は、図5に示すように、実施例1に対してピストンピン18を、連接棒14の小端部側のピストン12の圧縮行程において連接棒14の大端部が揺動する側から連接部材14へボルト19で固定したことを特徴とする。
まず、圧縮工程でピストンに発生する力について説明する。
本圧縮構造は、前述の通り、一体に構成された対向するピストン12、13を、連接棒15によって交互に往復運動させることで、空気を吸込み、圧縮吐出を行う。この連接棒15はクランクシャフト10の回転に伴い揺動し、ピストン12、13の軸に対して傾くため、圧縮工程において連接棒15に発生する力の鉛直方向成分が圧縮荷重となり、その水平方向成分がピストン12、13をシリンダ2,5に押しつける力となって発生する。
例えば、図3に示すように、連接棒15の小端部側のピストン12の圧縮工程、すなわち、ピストンがシリンダ内を往復運動するときのピストンが最下位となる下死点から最上位となる上死点までの工程、において、連接棒15に発生する力Fは、圧縮荷重Fyとピストン12、13をシリンダ2、5に押し付ける力Fxに分解される。このときピストン12、13をシリンダ2、5に押し付ける力Fxは、ピストン12の圧縮工程における連接棒15の大端部の揺動する側との反対方向に発生する。すなわち、連接棒15の大端部の揺動する側とは、ピストンと連接棒とが一直線になる位置から揺動方向に揺動する側であり、図3では、揺動方向において、ピストンと連接棒とが一直線になる位置より左側であり、それとは反対方向に、Fxが発生する。
一方、図4に示すように、連接棒15の小端部側とは反対側のピストン13の圧縮工程においては、ピストン12、13をシリンダ2、5に押し付ける力Fxは、連接棒15の大端部の揺動する側、図4では、揺動方向において、ピストンと連接棒とが一直線になる位置より右側、と同方向に発生する。
つまり、圧縮工程で発生するピストン12、13をシリンダ2、5に押し付ける力Fxの方向は、ピストン12、13の圧縮方向に係らずクランクシャフトとモータの回転方向によって決まり、連接棒の大端部に対してピストンピン側のピストン(図3ではピストン12)を上にしたとき、回転方向と同じ揺動方向側となる。すなわち、回転方向が右であれば揺動方向の右側となる。
ここで、ピストンピン18は、圧縮荷重Fyだけでなくこのピストンをシリンダに押し付ける力Fxも受けることとなる。
したがって、図5に示すように、連接棒の大端部に対してピストンピン側のピストン12の圧縮行程において連接棒14の大端部が揺動する側からボルト19でピストンピン18を固定すれば、圧縮荷重Fyだけでなくピストン12、13をシリンダ2、5に押し付ける力Fxもボルト19を介さずピストンピン18が直接受けることとなる。そのため、実施例1に対して、よりボルト19への荷重を低減することができ、ボルトの信頼性を確保することが更に容易となる。
また、言い換えれば、連接棒の大端部に対してピストンピン側のピストンを上にしたとき、モータによるクランクシャフトの回転方向、すなわち、連接棒の大端部が偏心運動する回転方向と逆の連接棒の大端部が揺動する搖動方向側、例えば、回転方向が右であれば左側、回転方向が左であれば右側、からボルトでピストンピンを固定すれば、圧縮荷重Fyだけでなくピストンをシリンダに押し付ける力Fxもボルトを介さずピストンピンが直接受けることとなる。そのため、実施例1に対して、よりボルトへの荷重を低減することができ、ボルトの信頼性を確保することが更に容易となる。
以上のように、本実施例によれば、連接棒の大端部に対してピストンピン側のピストンの圧縮行程において連接棒が揺動する側からピストンピンが締結部材にて連結部材または連接棒に固定される空気圧縮機とすることで、より締結部材への荷重を低減することができ、締結部材の信頼性を確保することが更に容易となる。また、言い換えれば、ピストンピンが、連接棒の大端部が偏心運動する回転方向と逆の連接棒の大端部が揺動する側から締結部材にて連結部材または連接棒に固定される空気圧縮機とすることで、締結部材の信頼性を確保することが容易となる。
次に、本発明に係る実施例3の圧縮機本体構造を、図6を参照して説明する。本実施例では実施例1および実施例2と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施例は、図6に示すように、実施例1または実施例2に対し、ピストン12を大気から空気を吸込み、圧縮・吐出しする1段目のピストンとし、ピストン13を連通配管20を通じてピストン12が吐出した圧縮空気を吸込み、再度圧縮・吐出する2段目のピストンとした2段圧縮構造であることを特徴とする。
なお、本実施例において、ピストン12を1段目、ピストン13を2段目として説明したが、ピストン13を1段目、ピストン12を2段目としても良い。
以上のように、本実施例によれば、実施例1または実施例2の空気圧縮機を用い、第1のピストンと第2のピストンのいずれかを1段目とし、もう一方のピストンを2段目とした2段圧縮構造の空気圧縮機とすることで、締結部材の信頼性を確保しつつ、高圧縮が可能な空気圧縮機を提供することが出来る。
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
1 クランクケース
2、5 シリンダ
3、6 空気弁
4、7 シリンダヘッド
8、9 ベアリング
10 クランクシャフト
11 モータ
12、13 ピストン
14 連結部材
15 連接棒
16 大端部ベアリング
17 小端部ニードルベアリング
18 ピストンピン
19 ボルト
20 連通配管
F 連接棒に掛かる荷重
Fx ピストンをシリンダに押し付ける力
Fy 圧縮荷重

Claims (4)

  1. 回転軸に接続され、偏心運動する大端部を有し、揺動運動する連接棒と、
    第1のシリンダ内を往復動する第1のピストンと、
    第2のシリンダ内を往復動する第2のピストンと、
    前記第1のピストンと前記第2のピストンとを連結する連結部材と、
    前記連接棒と前記連結部材とに挿通するピストンピンとを備え、
    前記ピストンピンは、前記連接棒の大端部に対して前記ピストンピン側のピストンの圧縮行程において前記連接棒が揺動する側から締結部材にて前記連結部材または前記連接棒に固定されることを特徴とする空気圧縮機。
  2. 回転軸に接続され、偏心運動する大端部を有し、揺動運動する連接棒と、
    第1のシリンダ内を往復動する第1のピストンと、
    第2のシリンダ内を往復動する第2のピストンと、
    前記第1のピストンと前記第2のピストンとを連結する連結部材と、
    前記連接棒と前記連結部材とに挿通するピストンピンとを備え、
    前記ピストンピンは、前記連接棒の大端部に対して前記ピストンピン側のピストンを上にしたとき、 前記偏心運動する回転方向と逆の前記連接棒の大端部が揺動する揺動方向側から締結部材にて前記連結部材または前記連接棒に固定されることを特徴とする空気圧縮機。
  3. 請求項1または2に記載の空気圧縮機であって、
    前記第1のピストンと前記第2のピストンのいずれかを1段目とし、もう一方のピストンを2段目とした2段圧縮構造であることを特徴とする空気圧縮機。
  4. 請求項1から3の何れか1項に記載の空気圧縮機であって、
    前記締結部材はボルトであることを特徴とする空気圧縮機。
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