以下、本実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、エンジンとモータジェネレータ(MG)とを動力源とするハイブリッド車両を対象とした車両制御システムとして具体化している。このシステムでは、モータジェネレータとして第1のモータジェネレータ(MG1)及び第2のモータジェネレータ(MG2)とが搭載されている。また、当該システムは、エンジンとMGとが同一の車両駆動軸(以下、単に駆動軸ともいう。)に動力を出力可能にパワートレイン及び動力伝達経路が構成されている。本システムの全体概略図を図1に示す。
図1において、エンジン10は、燃焼による熱エネルギを運動エネルギに変換する動力装置である。本実施形態においてエンジン10は、例えば多気筒ガソリンエンジンであり、図示しない燃料噴射弁により気筒内に供給された燃料と吸気との混合気の燃焼によりエンジン10の出力軸15を回転させる。エンジン出力軸15付近には、エンジン出力軸15の回転角度を検出するクランク角センサ27が取り付けられている。クランク角センサ27により検出されるエンジン出力軸15の回転角度に基づいて、エンジン10の回転速度が算出される。
エンジン出力軸15には動力分配装置14が接続されている。動力分配装置14は、シングルピニオン形式の遊星歯車機構を主体として構成されている。具体的には、動力分配装置14は、エンジン出力軸15と同軸上に配置されたサンギヤ16と、サンギヤ16と同軸上に配置されたリングギヤ17と、サンギヤ16及びリングギヤ17に噛合する複数のピニオンギヤ18を自転かつ公転自在に保持したキャリア19とを備えている。キャリア19にはエンジン出力軸15が機械的に連結されており、エンジン出力軸15とキャリア19との間での動力伝達が可能になっている。また、サンギヤ16には、第1のモータジェネレータ11(MG1)の回転軸21が機械的に連結されており、サンギヤ16とMG1との間で動力伝達が可能になっている。また、リングギヤ17には、第2のモータジェネレータ12(MG2)の回転軸22及び駆動軸28が機械的に連結されており、リングギヤ17とMG2とでの動力伝達が可能になっている。これにより、エンジン出力軸15とMG1とリングギヤ17(MG2及び駆動軸28)とのうち、2つの回転速度が決まれば残りの1つの回転速度が一義的に決まる機構となっている。また、駆動軸28には、車軸を介して車輪13が接続されている。
MG1は、主に発電機として機能するとともに、エンジン10の始動時においてエンジン出力軸15に初期回転を付与するための電動機として機能する。MG1が発電機として機能する場合には、エンジン10の出力(回転エネルギ)が動力分配装置14を介してMG1の回転軸21に伝達され、回転軸21が回転することにより発電が行われる。一方、MG1が電動機として機能する場合には、MG1の動力が動力分配装置14を介してエンジン出力軸15に伝達され、出力軸15に初期回転が付与される。MG1は、回転軸21の回転によりモータ内部を冷却する冷却機構として、回転軸21が回転することによって冷却媒体(本実施形態では潤滑油)がモータ内部を循環して各部品を冷却するとともに、循環するオイルによって各部品の劣化を防ぐ機構を有するものとなっている。
MG2は、主に電動機として機能するとともに、車両の減速時において発電機として機能する。MG2が電動機として機能する場合には、MG2の動力が駆動軸28から車軸を介して車輪13に伝達され、車両の走行動力源となる。
MG1及びMG2のそれぞれには、モータジェネレータの内部の温度を検出する温度センサ31,32や、モータ回転軸21,22の回転速度を検出する回転センサ(MG1回転センサ33、MG2回転センサ34)、MG1及びMG2にて授受する電力量又はトルクを計測するセンサ等が設けられている。
本システムには、MG1、MG2と電力を授受可能な高圧バッテリ(二次電池)23が設けられている。MG1と高圧バッテリ23との間の回路内には、インバータ24(INV1)及び昇圧コンバータ26が配置されており、MG1で発電した電力がインバータ24及び昇圧コンバータ26を介して高圧バッテリ23に充電可能になっている。また、MG2と高圧バッテリ23との間の回路内には、インバータ25(INV2)及び昇圧コンバータ26が配置されており、回生によりMG2で発電した電力が、インバータ25及び昇圧コンバータ26を介して高圧バッテリ23に充電可能になっている。なお、本システムでは、MG1とMG2とが高圧バッテリ23を介さずに電力授受を行うことも可能である。
本システムの車両の制御系統について説明する。本システムは、モータ電子制御装置(MG−ECU)40、バッテリ電子制御装置(VT−ECU)50、エンジン電子制御装置(エンジンECU)60、ハイブリッド電子制御装置(HV−ECU)70等の各種制御装置を備えている。各種制御装置は、それぞれCPU、ROM、RAM等よりなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROMに記憶された各種制御プログラムを実行する。HV−ECU70は、MG−ECU40、VT−ECU50及びエンジンECU60のそれぞれと互いに双方向通信が可能になっており、更にエンジンECU60とMG−ECU40とが互いに双方向通信可能になっている。
MG−ECU40は、MG1及びMG2を駆動制御するインバータ24,25を操作する制御装置である。具体的には、MG−ECU40は、MG1回転センサ33、MG2回転センサ34等から検出信号を入力し、その検出信号に基づきインバータ24,25を制御することによりMG1及びMG2のトルク等を制御する。また、MG−ECU40は、MG1及びMG2で発電される電力を昇圧コンバータ26により降圧し、降圧した電力を高圧バッテリ23に充電する。さらに、高圧バッテリ23から放電された電力を昇圧コンバータ26により昇圧し、昇圧した電力をMG1及びMG2に供給する。
VT−ECU50は、高圧バッテリ23の電力の授受を制御する制御装置である。具体的には、VT−ECU50は、図示しない電圧センサにより検出される高圧バッテリ23の電圧値を逐次取得し、その取得した電圧値に基づいて昇圧コンバータ26を制御する。これにより、高圧バッテリ23が過充電状態や過放電状態にならないように高圧バッテリ23の残容量(SOC)を管理する。
エンジンECU60は、エンジン10の燃焼制御に必要な各種アクチュエータの駆動を制御する制御装置である。具体的には、エンジンECU60は、HV−ECU70から入力した指令信号(燃料噴射量や点火時期等)に基づいて、図示しない燃料噴射弁や点火装置の駆動を制御する。
HV−ECU70は、システム全体を制御する制御装置であり、MG−ECU40、VT−ECU50及びエンジンECU60に対して指令信号を出力して車両の駆動に対する各種制御を実行させる。具体的には、HV−ECU70は、上述した各種センサやその他のセンサ(例えば、アクセルセンサ、車両勾配センサ、高圧バッテリ23の残容量を検出するセンサなど)等の検出信号を入力し、その入力した検出信号に基づいて、エンジン10の各種アクチュエータを駆動するための制御量や、MG1及びMG2を駆動するための制御量、高圧バッテリ23の充放電を行うための制御量等を算出する。そして、その算出した制御量に基づく各種指令信号をMG−ECU40、VT−ECU50及びエンジンECU60のそれぞれに出力する。なお、本実施形態では、MG−ECU40、VT−ECU50、エンジンECU60及びHV−ECU70を備える構成としたが、これら各制御装置の一部又は全部が一体型であるシステムとしてもよい。
本システムでは、エンジン10及びモータジェネレータの特性を考慮して、車両走行モード及び車両停止モードがそれぞれ複数ずつ設定されている。HV−ECU70は、車両走行時には、上述した各種センサ等の検出信号に基づいて、予め設定された複数の車両走行モードから1つを選択して、車両走行中におけるエンジン10、MG1及びMG2の駆動を制御する。また、車両停止時には、予め設定された複数の車両停止モードから1つを選択して、車両停止中におけるエンジン10、MG1及びMG2の駆動を制御する。
詳しくは、本システムでは、車両走行モードとして、「EV走行モード」、「負荷運転モード」及び「自立運転モード」の3つのモードが設定されている。これらのうち、「EV走行モード」は、エンジン10の運転を停止して、高圧バッテリ23に蓄えられた電力をMG2に供給してMG2の動力のみで車輪13を回転させる走行モードである。「負荷運転モード」は、エンジン10を運転させてキャリア19にトルクを伝達し、MG1にて動力分配装置14に負荷をかけて発電させ、その反力でリングギヤ17を回転させて車輪13を回転させるとともに、MG2の動力を加えて車輪13を回転させる走行モードである。「自立運転モード」は、エンジン10を運転させるが、MG1にて動力分配装置14に負荷をかけず、MG2の動力のみで車輪13を回転させる走行モードである。この自立運転モードでは、MG1で発電は行われておらず、エンジン10は無負荷状態での運転となっている。
なお、車両走行中の「負荷運転モード」では、ドライバが要求する駆動力と高圧バッテリ23の残容量とに応じて、高圧バッテリ23に蓄えられた電力又はMG1にて発電した電力、あるいはその両方を用いてMG2のトルクを出力している。その分配量は、各種センサから入力した情報を基にHV−ECU70にて演算している。また、自立運転モードでは、クランク角センサ27の検出値に基づき算出される実回転速度と、目標回転速度との偏差に基づくフィードバック制御によりエンジン回転速度が制御される。
また、車両停止モードとしては、「完全停止モード」、「自立運転モード」及び「充電モード」の3つのモードが設定されている。これらのうち、「完全停止モード」は、車両と共にエンジン10を運転停止した状態にするモードである。「自立運転モード」は、エンジン10を運転させておくが、MG1にて動力分配装置14に負荷をかけず、発電を行わないモードである。「充電モード」は、エンジン10を運転させてキャリア19にトルクを伝達し、MG1にて動力分配装置14に負荷をかけて発電させることで、高圧バッテリ23の充電を行うモードである。なお、自立運転モードでは、MG1にて発電は行われておらず、エンジン10は無負荷状態で運転している。
車両走行モード及び車両停止モードにおけるエンジン出力軸15の回転速度(エンジン回転速度)、MG1の回転軸21の回転速度(MG1回転速度、NMG)及びリングギヤ17の回転速度の関係について、図2〜4の共線図を用いて更に説明する。図2は車両停止中、図3は車両の低速走行時、図4は車両の高速走行時をそれぞれ示している。なお、リングギヤ17の回転速度は車輪13の回転速度(車速)に対応する。
まず、車両停止中について図2を用いて説明する。車両停止中(車速=0)において、エンジン10が停止している場合には、図2に実線で示すように、MG1回転速度(NMG)も0となる。この状態において、MG1にてエンジン10の回転速度を引き上げた後、エンジン10を運転した状態とした場合には、図2に破線で示すように、MG1回転速度は正となる。このとき、エンジン10が無負荷状態となる自立運転モードでは、MG1でトルクはかけず、よって発電は行われない。一方、エンジン10が有負荷状態となる充電モードでは、MG1にて図2の矢印の方向にトルクをかけてエンジン10の回転速度を押さえつけることで、MG1で発電が行われる。
図3の実線は、エンジン10の運転を停止したまま車両を低速でEV走行させた場合を示す。この場合、MG1の回転速度は車輪13の回転速度に依存する。また、図3の破線は、図3の実線の状態からエンジン10を運転させた場合を示している。このとき、エンジン10が無負荷状態となる自立運転モードでは、MG1でトルクはかけず、よって発電は行われない。また、エンジン10が有負荷状態となる負荷運転モードでは、MG1にて図3の矢印の方向にトルクをかけてエンジン10の回転速度を押さえつけることで発電を行う。なお、図3中の「NMGE」は、エンジン10を運転させた状態でのMG1回転速度を表す。また、「NELO」は、エンジン10の回転を継続させるために必要な最低回転速度を表し、本実施形態では、動力分配装置14を含めた回転機構及びエンジン10の共振帯を考慮して、例えば1,000rpm付近に設定されている。
図4は、高車速で走行している場合を示しており、実線は、エンジン10の運転を停止させてEV走行する「EV走行モード」、破線は、エンジン10の運転を行っている場合を示している。この場合も図3と同様に、自立運転モードでは、MG1でトルクはかけず、発電は行われない。一方、負荷運転モードでは、MG1にて図4の矢印の方向にトルクをかけてエンジン10の回転速度を押さえ付け、発電を行う。
ところで、車両の高負荷走行が続くと、MG1の内部温度が高温になることがある。また、MG1の内部温度が高温の状態で車両及びエンジン10が停止した場合、車両及びエンジン10の停止に伴いMG1の回転が停止し、MG1の内部で熱のこもりが生じる結果、MG1内部温度が高くなり過ぎるおそれがある。特に、車両停止かつエンジン停止の状態はエンジンルーム内の温度が上昇しやすく、MG1の内部温度が上昇しやすい環境といえる。また、MG1内部温度が高くなりすぎると、モータ性能が低下したり故障を招いたりするおそれがある。
そこで本実施形態では、MG1の温度が高くなった場合には、MG1の冷却を積極的に行うようにしている。具体的には、MG1の内部温度が所定の高温判定値よりも高く、かつエンジン10に対する出力要求が発生していない場合には、エンジン10を無負荷状態で運転させることによりMG1の回転軸21を積極的に回転させる(MG1冷却制御)。これにより、冷却媒体としてのオイルがMG1内部を循環し、MG1内部の放熱を促進させるようにしている。以下に、本実施形態のMG1冷却制御について以下説明する。
本実施形態では、MG1冷却制御の基本処理としてエンジン基本処理及びHV基本処理が実行される。エンジン基本処理は、エンジンECU60のマイコンにより実行される処理であり、HV基本処理は、HV−ECU70のマイコンにより実行される処理である。
まず、エンジン基本処理について図5を用いて説明する。図5において、ステップS1ではプログラムの初期化を行い、ステップS2では、MG1内部温度を基にMG1冷却判定処理を実行する。このMG1冷却判定処理は、MG1内部温度を直接計測又は推定した結果を基に冷却要否を判定する。ステップS3では、MG1冷却制御の実行をHV−ECU70に要求する信号を作成する処理、ステップS4では、HV−ECU70から冷却要求が許可された場合にMG1冷却制御を実行する処理である。また、ステップ5では、MG1冷却制御の実施中にエンジン無負荷状態での各種学習を実行するか否かを判定する処理(エンジン自立学習制御)を行う。そして、エンジン自立学習制御が終了した場合は、ステップS2〜S5の処理を繰り返し実行する。
次に、HV基本処理について図6のフローチャートを用いて説明する。図6において、S6ではプログラムの初期化を行い、ステップS7では、アクセルセンサ、車両勾配センサ及び高圧バッテリ23の充電量を検出するセンサ等の各種センサからの信号、並びにエンジンECU60から送信されるMG1冷却制御の実行を要求する信号を基に、MG1冷却制御の実行可否を示す信号を生成する処理(MG1冷却許可判定処理)を行う。そして、MG1冷却許可判定処理が終了した場合にはステップS7の処理を繰り返し実行する。
以下、上記基本処理における各処理について詳述する。
まず、エンジン基本処理におけるステップS2のMG1冷却判定処理について図7を用いて説明する。この処理は、クランク角センサ27から検出信号を入力する毎に(例えば6℃A毎に)、エンジンECU60のマイコンにより実行される。
図7において、まずステップS201では、CAN通信等にてHV−ECU70やMG−ECU40から送信される、エンジン10に要求されるパワー(又はトルク)PWR、MG1内部温度THMG、エンジンECU60の内部信号であるMG1冷却判定XMGCOOLを読み込む。なお、MG1内部温度THMGは、温度センサ31により直接計測した値を用いてもよいし、MG1内部温度THMGと相関のあるパラメータに基づき算出した推定値を用いてもよい。
ステップS202では、読み込んだエンジン要求パワーPWRが0か否かを判定する。エンジン要求パワーPWRが0でない場合は、車両としてエンジン10にトルク要求(出力要求)が来ているため、MG1冷却制御へ移行すべきではないと判断し、ステップS207にてMG1冷却判定フラグXMGCOOLを0とし、本ルーチンを終了する。MG1冷却判定フラグXMGCOOLは、MG1を冷却する必要があるか否かの判定結果を示すフラグであり、0の場合にはMG1冷却制御の必要なし、1の場合にはMG1冷却制御の必要ありであることを示す。
一方、エンジン要求パワーPWRが0の場合には、ステップS203〜205へ進み、MG1内部温度THMGに基づいてMG1冷却制御への移行の有無を判定する。具体的には、まずステップS203では、MG1冷却判定フラグXMGCOOLが0であるか否かを判定する。XMGCOOL=0の場合には、ステップS204へ進み、MG1内部温度THMGが所定の高温判定値αよりも高いか否かを判定する。この高温判定値αは、MG1が要求されている性能を満たせなくなる温度の下限値γよりも更に低温側に設定された値である(γ≧α)。このように高温判定値αを設定することで、MG1の性能が低下する温度γになる前にMG1を早期に冷却し、MG1の発熱によるシステム出力への影響を未然に防ぐようにしている。
ステップS204でTHMG>αの場合には、ステップS206へ進み、MG1冷却判定フラグXMGCOOLを1とする。また、THMG≦αの場合には、ステップS207へ進み、XMGCOOL=0のままとして本ルーチンを終了する。
ステップS203でXMGCOOL=1の場合には、ステップS205へ進み、高温判定値αよりも小さく設定したヒステリシスβを用い、MG1内部温度THMGと判定値(α−β)との比較結果に基づいて、MG1冷却判定フラグXMGCOOLを0にするか1にするかを決定する。すなわち、本処理では、MG1内部温度THMGが高温判定値αを上回ってMG1冷却判定フラグXMGCOOLが成立したとしても、ヒステリシスβ分を減算した温度以下になるまでMG1冷却制御を実行し続けることで、MG1冷却制御のON−OFFが繰り返されてハンチングを起こすのを防止するようにしている。
具体的には、ステップS205でTHMG>(α−β)である場合には、ステップS206へ進み、MG1冷却判定フラグXMGCOOLを1のままにする。一方、THMG≦(α−β)である場合には、ステップS207へ進み、MG1冷却判定フラグXMGCOOLを0にする。そして本ルーチンを終了する。
次に、MG1冷却要求処理について図8のフローチャートを用いて説明する。図8において、まずステップS301では、MG1冷却判定フラグXMGCOOLが1であるか否かを判定する。XMGCOOL=1と判定された場合にはステップS302へ進み、車速SPDとMG1回転速度NMGとを読み込む。本実施形態では、車速SPDについては、車速センサにより検出した値をHV−ECU70からCAN通信にて受信し、MG1回転速度NMGについては、MG1回転センサ33により検出した値をMG−EUC40からCAN通信にて受信することとしている。ただし、MG1回転速度NMGは、車速SPD及びエンジン回転速度NEに基づいて算出してもよい。エンジン回転速度NEは、エンジン10に取り付けられたクランク角センサ27の検出信号を基に演算する。
続くステップS303では、車速SPDが0か否かを判定する。SPD=0の場合にはステップS308に進み、MG1冷却要求フラグXTOHV_IDLRQを1にする。このMG1冷却要求フラグXTOHV_IDLRQは、MG1冷却制御の実施の許可をHV−ECU70に要求するためにHV−ECU70に送信する信号であり、0の場合にはMG1冷却制御の実施を許可する要求がないことを示し、1の場合にはMG1冷却制御の実施を許可してほしい旨の要求があることを示す。
一方、車速SPDが0でない場合にはステップS304へ進み、現在の車速SPD及び最低回転速度NELOに基づいて、現在の車速SPDにてエンジン10を無負荷状態でかつ最低回転速度NELOで運転させた場合のMG1回転速度として推定回転速度NMGE_RP1を算出する。また、現在の車速にてエンジン10が運転停止した状態でのMG1回転速度として実回転速度NMG_RP2を算出する。推定回転速度NMGE_RP1については、図9の破線に示す共線図上の関係を用いることにより算出する。また、実回転速度NMG_RP2については、図9の実線に示す共線図上の関係を用いることにより算出してもよいし、MG1回転センサ33により検出した値を用いてもよい。
続くステップS305では、推定回転速度NMGE_RP1の絶対値と、実回転速度NMG_RP2の絶対値とを比較する。ここで、本システムにて実行されるMG1冷却制御は、MG1を発電しない状態で(無負荷状態で)回転させることにより、内部オイルを循環させ、MG1内部温度を早期に低下させるようにするものである。したがって、MG1の回転軸21を高速で回すほど、MG1内部を速やかに冷却できると言える。また、MG1回転速度は、車速及びエンジン回転速度が決まれば一義的に定まる。
図9に、車速とエンジン回転速度とMG1回転速度との関係を表す共線図を示す。なお、図9では低車速で走行している場合を想定している。車速が所定の低車速SPD_LOWで走行中にエンジン10の運転が停止されると、図9に実線で示すように、MG1回転速度NMGはNMG_RP2となる。一方、エンジン10を無負荷運転かつ最低回転速度NELOの状態とした場合には、図9に破線で示すように、MG1回転速度NMGEは、NMG_RP2よりも高速回転側のNMGE_RP1となる(|NMGE_RP1|>|NMG_RP2|)。つまり、図9の場合には、エンジン10の運転を停止させておくよりも無負荷状態で運転させた方が、MG1を高速で回転可能となる。したがって、このような場合には、エンジン10を運転停止状態から無負荷運転状態に移行させる。一方、推定回転速度NMGE_RP1の絶対値よりも実回転速度NMG_RP2の絶対値の方が高速回転となる場合には、エンジン10を無負荷運転させなくてもMG1が十分に回転しており、MG1内部の冷却を効率よく行うことが可能である。したがって、この場合にはエンジン10を運転停止させたままにしておく。
図8の説明に戻り、ステップS305でNMGE_RP1の絶対値の方が大きい場合にはステップS308へ進み、MG1冷却要求フラグXTOHV_IDLRQを1にして本ルーチンを終了する。つまり、エンジン10を無負荷状態で運転した方がMG1を効率よく冷却できるため、エンジン10を無負荷運転させるべくMG1の冷却要求を送信する。
一方、ステップS305で、NMG_RP2の絶対値の方が大きい場合にはステップS306へ進み、NMG_RP2の絶対値からヒステリシスδを差し引いた値と、NMGE_RP1の絶対値とを比較する。なお、ヒステリシスδは制御ハンチングを防ぐために設定されている。そして、後者の方が大きければステップS308へ進み、MG1冷却要求フラグXTOHV_IDLRQを1にして本ルーチンを終了する。
NMG_RP2の絶対値からヒステリシスδを差し引いた値が、NMGE_RP1の絶対値よりも大きい場合には、ステップS307へ進み、自立運転継続要求フラグXIDLKEEPRQが0であるか否かを判定する。この自立運転継続要求フラグXIDLKEEPRQは、車両停止中のエンジン10の無負荷運転(自立運転)を継続させる要求があるか否かを示すフラグであり、0の場合に当該要求がないことを示し、1の場合に当該要求があることを示す。なお、自立運転継続要求フラグXIDLKEEPRQは、後述する図12のEng自立学習制御で0及び1が切り替えられる。
ステップS307で自立運転継続要求フラグXIDLKEEPRQが1である場合には、ステップS308へ進み、MG1冷却要求フラグXTOHV_IDLRQを1にする。一方、自立運転継続要求フラグXIDLKEEPRQが0である場合には、ステップS309へ進み、MG1冷却要求フラグXTOHV_IDLRQを0にし、本ルーチンを終了する。
次に、MG1冷却制御について図10を用いて説明する。この処理は、HV−ECU70から入力した信号を基に、エンジン10を始動させてMG1を回転させることによりMG1を冷却する処理である。
図10において、ステップS401では、エンジン無負荷運転許可信号XHV_IDLを読み込む。この信号XHV_IDLは、図12のMG1冷却許可判定処理によりHV−ECU70からCAN通信等にて送信される信号である。XHV_IDL=0の場合には、HV−ECU70によってエンジン無負荷運転の実施が許可されていないことを示し、XHV_IDL=1の場合にはエンジン無負荷運転の実施が許可されていることを示す。
続くステップS402では、XHV_IDL=1か否かを判定し、XHV_IDL=1であればステップS403に進む。ステップS403では、エンジン10がMG1にてクランキングされているかを判定し、クランキングされていると判定した場合、ステップS404に進み、エンジン10を始動させる制御に移行する。その後、ステップS405へ進み、エンジン10が完爆して安定した状態になったか否かを判定する。なお、クランキングされているか否かの判定及びエンジンが完爆して安定した状態になったか否かの判定は、クランク角センサ27により検出されるエンジン回転速度に基づいて行う。また、エンジン10の始動制御は図示しない別ルーチンにより実行する。
エンジン10が完爆して安定した状態になったと判定された場合には、ステップS406へ進み、エンジン10を無負荷状態にて運転させる制御に移行するとともに、エンジン10が無負荷状態であることを示すフラグ(無負荷状態フラグXISCON)を1にする。また、エンジン10が完爆して安定した状態になる前であれば、ステップS405で否定判定され、ステップS412へ進み、無負荷状態フラグXISCONを0にしてステップS403に戻る。なお、エンジン10の無負荷状態の運転制御は図示しない別ルーチンにより実行する。
無負荷状態フラグXISCONを1にした後、ステップS407では、車速SPDが0か否かを判定する。車速SPD=0の場合には、ステップS408にて、MG1内部温度THMGに応じたエンジン回転速度TNMGSPD0を設定し、これをMG1冷却要求エンジン回転速度NET_NMGに格納する。ここで、MG1冷却要求エンジン回転速度NET_NMGは、MG1の冷却制御の実行時におけるMG1回転速度の目標値である。本実施形態では、事前に設定しておいたマップ又はテーブルを参照することにより、MG1冷却要求エンジン回転速度NET_NMGを設定する。
図11に、MG1冷却要求エンジン回転速度NET_NMGの設定用マップの一例を示す。同マップでは、MG1内部温度THMGが高いほど、エンジン回転速度TNMGSPD0が高回転側の値になっている。これは、MG1内部温度THMGが高く、車両システムに影響を及ぼす可能性がある場合には、エンジン10の無負荷運転時のエンジン回転速度を高くしてMG1内部温度THMGを早期に冷却するためである。具体的には、MG1の性能が低下する可能性がある温度γでは、それよりも低温側の温度αよりもエンジン回転速度TNMGSPD0を高く設定している。
また、図11では、エンジン10の回転速度領域の上限値をNEMX、下限値をNEMNと表した場合に、NEMN≦TNMGSPD0<NEMXの関係を満たすようにエンジン回転速度TNMGSPD0が設定されている。なお、上限値NEMX及び下限値NEMNは、動力分配装置14やMG1を考慮したエンジン出力軸15の許容回転速度の上限値(NEHI)及び下限値(NELO)に対応しており、MG1や動力分配装置14内の歯車の過回転防止や、共振点を回避するための要件などに基づき設定されている。
また、車速SPDが0でない場合には、ステップS407で否定判定されてステップS409へ進む。ステップS409では、MG1内部温度THMG及び車速SPDに基づいてエンジン回転速度MNMGSPDを設定し、これをMG1冷却要求エンジン回転速度NET_NMGに格納する。本実施形態では、車速SPDとMG1内部温度THMGとエンジン回転速度MNMGSPDとの関係を事前に設定しておいたマップを参照することにより、MG1冷却要求エンジン回転速度NET_NMGを設定する。マップを持たせておくのは、MG1や動力分配装置14内の歯車が過回転を防止するための上下限値が車速SPDに応じて異なるため、MG1内部温度THMGのみでは一義的に定めることができないからである。
MG1冷却要求エンジン回転速度NET_NMGにマップ値又はテーブル値を格納した後、ステップS410では、エンジン10の無負荷運転時における目標回転速度NETにNET_NMGを格納する。そして本ルーチンを終了する。
ステップS402でエンジン無負荷運転許可信号XHV_IDLが0であると判定された場合、又はステップS403でMG1にてクランキングされていないと判定された場合には、ステップS411へ進む。ステップS411では、エンジン10の停止制御に移行するとともに、エンジン10の目標回転速度NETに下限値NEMNを格納する。また、無負荷状態フラグXISCONを0とする。そして本ルーチンを終了する。なお、エンジン10の停止制御は図示しない別ルーチンにより実行される。
次に、エンジン10が無負荷運転している場合に実施するエンジン制御に関する各種学習の実行処理について、図12のフローチャートにて説明する。
図12において、ステップS501では、無負荷状態フラグXISCONが1か否かを判定する。無負荷状態フラグXISCON=1であれば、ステップS502へ進み、エンジン10の無負荷状態で実施可能なエンジン10の制御パラメータの学習の実行要求があるか否かを判定する。当該学習としては、例えばISC学習やVVTの最遅角位置の学習等が挙げられる。
エンジン10の学習要求ありと判定された場合には、ステップS503にて学習領域か否かを判定し、学習領域であればステップS504にてエンジン10の各種学習を実施する。なお、学習領域か否かは各種学習に応じて異なるため、今回実施の要求がある学習内容に応じて判断する。
その後、ステップS505にて学習が継続中か否かを判定し、継続中であれば無負荷状態継続要求フラグXIDLKEEPRQを1にする。これにより、エンジン10を無負荷状態にする要求がなくなった場合でも(MG1冷却要求XMGCOOL=0となった場合にも)、図8のMG1冷却要求制御において、HV−ECU70に送信するMG1冷却要求フラグXTOHV_IDLRQを成立させ続けることになる。ハイブリッド車両では、燃費向上などの理由でエンジン10を無負荷状態で運転する機会が少なく、エンジン10の制御パラメータについての学習の頻度を確保することが難しいといった問題がある。この点、上記構成とすることにより、MG1冷却制御によるエンジン10の無負荷運転を利用して学習を実施できるとともに、エンジン10にて各種学習が一旦開始すれば、学習が完了するまでエンジン10を無負荷状態にしておくことが可能となる。その後、本ルーチンを終了する。
一方、ステップS501〜503及び505のいずれかで否定判定された場合、ステップS507へ進み、無負荷状態継続要求XIDLKEEPRQを0とし、本ルーチンを終了する。
次に、HV−ECU70により実行されるMG1冷却許可判定処理について、図13のフローチャートを用いて説明する。図13において、ステップS701では、MG1冷却要求フラグXTOHV_IDLRQを読み込む。この信号は、CAN通信等にてエンジンECU60から送信される。
続くステップS702では、読み出したMG1冷却要求フラグXTOHV_IDLRQが1か否かを判定し、XTOHV_IDLRQ=1の場合、ステップS703へ進み、MG1冷却制御によるMG1冷却の実施の許否を判定する。例えば、ドライバが燃費優先モードを選択可能なシステムにおいて、同モードが選択されていなければMG1冷却の実施を許可し、同モードが選択されていればその実施を禁止する。ステップS704では、ステップS703の判定結果を参照し、MG1冷却の実施が許可されている場合にはステップS705へ進み、エンジン無負荷運転許可信号XHV_IDLを1にする。一方、MG1の冷却の実施が禁止されている場合にはステップS706へ進み、エンジン無負荷運転許可信号XHV_IDLを0にする。なお、この信号XHV_IDLは、エンジンECU60にCAN通信等にて送信されることとなる(図10のステップS401参照)。
最後に、本実施形態のMG1冷却制御の具体的態様を図14のタイムチャートを用いて説明する。このタイムチャートは、高負荷走行が続き、MG1内部温度THMGが所定の高温判定値αを超えて走行している場合を想定している。
図14において、時刻t1までの期間は、車両が負荷運転モードで走行している。この期間では、エンジン10の要求パワーPWRが0でないため、MG1冷却制御は実施されない。その後、時刻t1にて、例えばアクセルオフとなることでエンジン要求パワーPWRが0となり、エンジン10の燃焼が停止される。また、MG1冷却判定フラグXMGCOOLが1になる。ただし、時刻t1の時点では、車速SPDが0でなく、MG1の回転が継続しており、エンジン10を無負荷運転させるよりも高い冷却性能が見込める。したがって、ここでは、MG1冷却要求フラグXTOHV_IDLRQは0のままとし、MG1冷却制御を実施しない。
なお、本実施形態では、時刻t1でエンジン10の燃焼を停止した後、エンジン回転速度がゼロになるまでの途中で一旦、エンジン回転速度が最低回転速度NELO又はその近傍で維持されるよう制御している。これは、エンジン10のピストン停止位置制御やVVTのロックピンを入れる制御のためである。ただし、時刻t1でエンジン10の燃焼を停止した後において、エンジン回転速度を最低回転速度NELOに維持せず、エンジン回転速度をゼロにしてもよい。また、本実施形態では、機構上、エンジン10を燃焼停止した場合にMG1回転速度NMGが一時的に高速回転側に変化するようになっている。
車速SPDが低下すると共にMG1の回転が次第に緩慢になり、エンジン10を無負荷状態で運転した方がMG1を高速で回転させることが可能な状態になると、その時刻t2で、MG1冷却要求フラグXTOHV_IDLRQが1になる。また、HV−ECU70側でMG1冷却制御の実施が許可されると、時刻t3でMG1冷却許可判定フラグXHV_IDLが1になる。これに伴い、MG1にてエンジン10がクランキングされて無負荷運転が行われる。また、エンジン10が無負荷運転となることにより、MG1の回転軸21が回転して、MG1内部のオイルが循環することによりMG1が冷却される。車両の高負荷運転によりMG1が過昇温となった場合には、エンジン要求パワーがゼロとなり、かつ車速ゼロとなる状態を利用して、MG1を一旦しっかりと冷却してやるようにする。
このエンジン無負荷運転の際、エンジン10における各種学習の実行要求がある場合には、その要求に対応する学習を実施する。図14では、(i)及び(j)に示すように、VVT最遅角位置学習の実行要求があり、同要求に基づいてVVT最遅角位置学習を実行する。また、学習完了後の時刻t4にて、MG1内部温度THMGが、高温判定値αよりもβ分だけ低い温度まで低下すると、その時点でエンジン10の燃焼を停止し、MG1冷却制御を終了する。
以上詳述した本実施形態によれば、次の優れた効果が得られる。
MG1内部温度が所定の高温判定値αよりも高く、かつエンジン10の要求パワーPWR=0の場合に、エンジン10を無負荷状態で運転して回転軸21を回転させることによりMG1を冷却するモータ冷却制御を実施する構成とした。この構成によれば、MG1の回転によりMG1内部のオイルが循環し、MG1内部の放熱を促進させることができる。これにより、MG1内部温度を早期に低下させることができ、その結果、過昇温に起因するMG1の性能低下や故障を防ぐことができる。
車速ゼロの状態において少なくともMG1冷却制御を実施する構成とした。車両走行中にMG1内部温度が高温になり、その高温の状態のままエンジン停止及び車両停止の状態となった場合、エンジン10及び車両の停止に伴いMG1の回転が停止した状態となり、モータ内部で熱がこもりやすくなる。特に、エンジン10及び車両が停止した状態では、エンジンルーム内の温度の上昇が続き(デッドソーク)、MG1の周囲環境が高温状態になりやすい。この点、上記構成によれば、MG1内部温度が上昇しやすい状況下でMG1の冷却を積極的に行うことができる。
現車速にてエンジン10を無負荷状態で運転した場合のMG1回転速度の推定値(推定回転速度NMGE_RP1)を算出し、現車速にてエンジン停止した状態でのMG1回転速度(実回転速度NMG_RP2)と比較することにより、MG1冷却制御を開始するか否かを判定する構成とした。具体的には、NMGE_RP1の絶対値>NMG_RP2の絶対値となる場合にMG1冷却制御を開始する構成とした。NMGE_RP1の絶対値よりもNMG_RP2の絶対値の方が大きい場合には、エンジン10を始動させなくてもMG1が十分な速度で回転しており、MG1内部の熱のこもりは生じにくい。したがって、この場合には、MG1冷却のためのエンジン始動を行わないことにより、燃料をできるだけ消費しないようにする。一方、NMG_RP2の絶対値よりもNMGE_RP1の絶対値の方が大きい場合には、エンジン10を積極的に運転させることにより、MG1の冷却を積極的に行い、MG1の性能低下や故障を防ぐようにする。すなわち、上記構成によれば、無駄な燃料消費を回避しつつMG1の冷却を速やかに行うことができる。
推定回転速度NMGE_RP1として、エンジン10の回転を継続可能な最低回転速度NELOでエンジン10を無負荷運転させた場合のMG1回転速度を算出し、推定回転速度NMGE_RP1と実回転速度NMG_RP2とを比較する構成とした。車速がゼロ近傍の低車速域となっている場合には、エンジン回転速度が低いほどMG1回転速度が低回転側となる(図9参照)。したがって、最低回転速度NELOでエンジン無負荷運転を行うとした場合のモータMG1回転速度と、実回転速度NMG_RP2とを比較する構成によれば、エンジン10を無負荷状態で運転させた方がMG1を高速で回転可能であることが確実な状況下でエンジン10の無負荷運転を行わせるようにすることができる。
温度センサ31により検出したMG1内部温度に基づいて、MG1冷却制御によりエンジン10を無負荷状態で運転するときのエンジン10の目標回転速度NETを可変に設定する構成とした。MG1内部温度が高いほどMG1の性能に及ぼす影響が大きく、MG1をより早期に冷却する必要がある。この点を考慮して上記構成とすることにより、都度のMG1内部温度に応じて、MG1の冷却に必要な回転速度でエンジン10の無負荷運転を実施することができる。またこれにより、MG1の冷却のための燃料消費を抑えつつMG1の冷却を実施することができる。
MG1冷却制御によりエンジン10を無負荷状態で運転している期間に、エンジン10の無負荷運転時に実施可能なエンジン10の制御パラメータの学習(例えば、ISC学習、VVTの最遅角位置学習)を実施する構成とした。動力源としてエンジン10とモータとを備えるハイブリッド車両では、エンジン10を無負荷状態で運転する機会が減少し、エンジン10の制御パラメータの学習頻度を確保することが難しい。この点に鑑み、上記構成とすることにより、MG1冷却制御によるエンジン10の無負荷運転を利用して学習を実施することができる。
また、MG1冷却制御の実施によりエンジン10の無負荷運転を利用してエンジン10の各種学習を開始した場合には、学習が完了するまでMG1冷却制御を継続し、エンジン10を無負荷状態にしておく構成としたことから、エンジン10の無負荷状態で実施する必要がある学習についても確実に学習を完了させることができる。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
・上記実施形態では、MG1の回転軸21の回転に伴い、各部品の劣化防止や冷却のために用いられる潤滑油(オイル)をMG1内部で循環させることによりMG1の冷却を促進させたが、回転軸21の回転に伴い冷却水が循環することによりMG1内部を冷却する水冷式の冷却機構を備え、エンジン10を始動させて回転軸21を回転させることによりMG1を冷却する構成としてもよい。あるいは、回転軸21に冷却ファンを取り付け、回転軸21の回転に伴い冷却ファンが回転することによりMG1を冷却する空冷式の冷却機構を備える構成としてもよい。
・上記実施形態では、推定回転速度NMGE_RP1と実回転速度NMG_RP2とを比較した結果に応じてMG1冷却制御を開始する構成としたが、車速がゼロになるのを待ってからMG1冷却制御を開始してもよい。具体的には、図8のMG1冷却要求制御において、ステップS303でSPD=0でないと判定された場合には、ステップS304〜S306の処理を行わず、ステップS307の処理へ移行してもよい。
・上記実施形態では、制御ハンチングを防ぐためにヒステリシスを設けたが(S205、S306)、ヒステリシスは任意であり、ヒステリシスを設けない構成としてもよい。
・上記実施形態では、内燃機関としてガソリンエンジンを備えるシステムについて説明したが、ガソリンエンジンに限らず、ディーゼルエンジンやガスエンジンを備えるシステムに適用してもよい。また、2つのモータジェネレータを備える車両に適用する場合について説明したが、モータジェネレータの数は2つに限らず、1つでもよい。
・本発明が適用される車両としては、上記実施形態に例示したものに限らない。例えば、図15に示すように、エンジン10の出力軸15と、モータジェネレータ11の回転軸21とが動力分配装置14を介さずに連結された車両に本発明を適用してもよい。なお、図15における符号81,82は、動力の遮断及び伝達を行うクラッチ装置である。また、減速機構や変速装置を介してリングギヤ17と駆動軸28とが接続される車両に本発明を適用してもよい。