JP6123434B2 - カートリッジの取付構造 - Google Patents

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Description

本発明は、本体に対し交換可能に設けられたカートリッジの取付構造に関するものである。
従来、本体に対し交換可能に設けられたカートリッジを差し込むことによりカートリッジの容器体の内部の内容物が蓋体に密閉された密封姿勢を解除し、内容物を使用し得る状態とするカートリッジの取付構造が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながらカートリッジを差し込んだ後の蓋体の動作位置によっては蓋体自体が内容物の移動を妨げる障害となってしまい、内容物を好適に利用し得ないという不具合も起こり得る。
特許文献1はカートリッジの取付構造を筆記具のインクカートリッジの取り付けに関する構造に適用したものである。かかる文献に記載の構造においては、本体側に設けられた差し込み時に蓋体に接する開封体による押圧動作によっては、蓋体が単に平行移動してしまってインクが外側へ流通されずに筆記ができなくなるという不具合の招来が懸念される。
特許第4820704号公報
本発明は、このような不具合に着目したものであり、カートリッジの開封時に容器体の蓋が内容物の移動の妨げとならない姿勢に維持することができるカートリッジの取付構造を提供することを目的としている。
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
すなわち本発明に係るカートリッジの取付構造は本体に対しカートリッジをねじ送り動作により取り付けるカートリッジの取付構造であって、カートリッジが内容物を収納する容器体と、容器体とともに内容物を密封する密封姿勢をとる蓋体とを有し、前記本体が前記ねじ送り動作により前記蓋体の縁部近傍を押圧して密封姿勢から蓋体を動作させる開封体と、前記ねじ送り動作の動作終端で前記蓋体を密封状態から直交する起立姿勢で位置決めする位置決め体とを有していることを特徴とする。
このようなものであれば、蓋体を起立姿勢で位置決めすることにより密封姿勢から解除された蓋体が容器体から外へ移動しようとする内容物の移動を妨げるといった不具合を解消し、内容物の安定した利用に資する。
蓋体をより確実に起立姿勢とし得るようにするためには、ねじ送り動作により前記開封体が蓋体に接触する押圧開始姿勢から90°以上回転した状態で動作終端となる構成を適用することが望ましい。
開封体による蓋体への押圧が速やかに蓋体の姿勢変更へと導き得るようにするためには、前記開封体と前記本体側の側壁との間の寸法を前記容器体の側壁の厚み寸法に略等しく設定することが好ましい。
開封体の強度をより高め蓋体の姿勢変更をよりスムーズに行わせるためには、前記開封体と前記位置決め体とを一体に構成することが望ましい。
上記の如く開封時にスムーズな姿勢変更を担保しつつ密封状態での内容物の漏出を確実に防止するためには、前記内容物を密封すべく前記蓋体が容器体に挿入される挿入時に前記容器体及び蓋体の何れか一方が他方に対して摺接せずに前記他方に密着する非摺接密着面を有し、この非摺接密着面により内容物を密封している構成を適用することが望ましい。
非摺接密着面の一態様としては、蓋体が複数の密封突条を有し、容器体の所定位置に設けられた蓋止突条を内外から挟持した状態で密封している構成を挙げることができる。
より確実な密封を実現するための具体的な構成としては、前記密封突条が挿入時に先に挿入される第一突条と後に挿入される第二突条とを有するものであり、前記第一突条において挿入方向後側に形成した後側傾斜面と第二突条の挿入方向前側に形成した前側傾斜面とを前記蓋止突条に密着する前記非摺接密着面としている構成を挙げることができる。
挿入時の確実な挿入と密封姿勢での確実な挿入を実現するためには、前記第二突条の突出寸法を前記第一突条の突出寸法よりも大きく設定して置くことが望ましい。
本発明に係るカートリッジの取付構造を適用する好適な一態様としては、前記内容物が筆記具のインクであるものとして、カートリッジ交換式の筆記具に適用する態様を挙げることができる。
本発明によれば、カートリッジの開封時に蓋体が内容物の移動の妨げとならない姿勢に維持することができるカートリッジの取付構造を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る斜視図。 同他の斜視図。 同構成説明図。 同中央正断面図。 図4に係る動作説明図。 同実施形態に係る要部の説明図。 同実施形態に係る作用説明図。 同要部の断面図。 図8に係るA部分拡大図。 同実施形態に係る動作説明図。 同上。 同実施形態に係る作用説明図。
本発明の一実施形態について、図1〜図12を参照しつつ以下に示す。
本実施形態の筆記具は、ホワイトボードマーカーとして好適に用いられるもので、図1〜図6に示すように、先端部にペン先5を支持させてなる筆記具本体1と、この筆記具本体1に螺着され内部にインクを貯蔵可能なインクカートリッジ2と、このインクカートリッジ2を被覆可能であり筆記具本体1に螺着されるカバー3とを備えている。
筆記具本体1は、先端部にペン先5を支持させてなり前記インクカートリッジ2の一部を内部に収納可能な胴部4と、この胴部4の内部に収納してなり前記インクカートリッジ2と前記ペン先5との間に設けられる中綿6と、前記インクカートリッジ2内のインクをその中綿6を介して前記ペン先5に供給するための供給管7とを備えている。
また、この筆記具は、筆記具として使用しない際にペン先5を被覆しておくための胴部4に対して着脱可能なキャップ8も備えている。
前記インクカートリッジ2は、図2、図3〜図6、図8〜図12に示すように、内部にインクを貯蔵可能で先端側に向かって開口する容器体たるカートリッジ本体21と、このカートリッジ本体21の開口を閉塞可能な円盤状の蓋体22とを備えている。
前記カートリッジ本体21は、ペン先5寄りの部位に鍔部211を有し、この鍔部211からペン先5と反対側に向かって駆動突起212を有する。また、このカートリッジ本体21には、前記供給管7に設けた雌ねじ74に螺合可能な雄ねじ213が設けられている。すなわち、供給管7に設けた雌ねじ74にインクカートリッジ2の雄ねじ213を螺合させることにより供給管7にインクカートリッジ2が螺着される。そして、このカートリッジ本体21の内部には、蓋体22を係止しておくための蓋止突条たる蓋係止リブ214を設けている。この蓋係止リブ214は図9〜図12に示すように、カートリッジ本体21の内面21aにおいて周方向全域に亘って円環状に延びる。この蓋係止リブ214は断面視山形形状をなすことにより、ペン先5側には外側傾斜面216が、その反対側には内側傾斜面215が形成される。この内側傾斜面215が本発明に係る非接触密着面Xを構成するが、この点については後に詳述する。
一方、前記蓋体22は、カートリッジ本体21内部にインクを満たした状態のインクカートリッジ2単体で流通している際には、図4、図8、図9及び図12に示すようにカートリッジ本体21の蓋係止リブ214に配された密封姿勢(P)で該カートリッジ本体21の開口を密封している。そして蓋体22は、前記蓋係止リブ214に係り合うために複数の突条、すなわち第一突条221と、第一突条221よりもペン先5側に位置する第二突条222とを有している。そして密封姿勢(P)においてこれら第一突条221及び第二突条222が、カートリッジ本体21の開口端付近に設けられた蓋係止リブ214を内外から挟持した状態で密封する。第一突条221は断面視山形形状で突出しており、ペン先5側に位置する後側傾斜面224と、反対側に位置する前側傾斜面223とを有している。第二突条222は第一突条221よりも例えば0.1mmといった所定寸法大きく突出してなる。この第二突条222は断面視台形形状に形成されており、ペン先5側に位置しカートリッジ本体21の内面21aに密着し得る頂面226と、この頂面226からペン先5の反対側に連続する前側傾斜面225とを有している。本実施形態では、この蓋体22側では図12に示すように、後側傾斜面224及び第二突条222の前側傾斜面225が、当該蓋体22が内容物たる図示しないインクを密封すべく挿入される挿入時にカートリッジ本体21に対して摺接せずに密着する非摺接密着面Xを構成するようにしている。かかる態様については後に詳述する。
この蓋体22は、該カートリッジ本体21の前記雄ねじ213を前記供給管7に設けた雌ねじ74に螺合させて取り付ける際に、前記供給管7に設けた蓋開けリブ75に衝き当たって移動し、図5及び図7に示すように該カートリッジ本体21の開口を開放する起立姿勢(Q)をとる。そして、このインクカートリッジ2は、筆記具を使用する際にはカバー3により被覆されている。
前記カバー3は、図1〜図5に示すように、略円筒形をなし、先端側には胴部4に設けた雌ねじ44に螺合可能な雄ねじ31を有するとともに、基端部は半球状をなしている。すなわち、胴部4に設けた雌ねじ44にカバー3の雄ねじ31を螺合させることにより胴部4にカバー3が螺着される。また、このカバー3の先端面には、前記インクカートリッジ2の駆動突起212と凹凸係合可能な駆動凹部32を設けている。この駆動凹部32は、胴部4にカバー3を螺着させるべく胴部4に設けた雌ねじに前記雄ねじ31を螺合させる際に前記駆動突起212を押圧して螺着操作力をインクカートリッジ2に伝達するための起立面と、胴部4からカバー3を離脱させるべく胴部4に設けた雌ねじ44と前記雄ねじ213との螺合を解除させる際に離脱操作力をインクカートリッジ2に伝達せず前記駆動突起212から離間する方向に案内するためのカム面とを備えている。すなわち、前記駆動突起212と前記駆動凹部32とは、このカバー3を前記筆記具本体1を構成する胴部4に螺着させる際にその螺着操作力を前記インクカートリッジ2に伝達して該インクカートリッジ2をも前記筆記具本体1を構成する供給管7に螺着させ、前記カバー3を前記筆記具本体1から離脱させるための離脱操作力は前記インクカートリッジ2に伝達しない機能を備えた連動機構を構成している。
前記ペン先5は、上述したように、また、図3〜図5に示すように、前記筆記具本体1を構成する胴部4の先端部に内周に設けたペン先保持リブ42によって保持され、この種の筆記具に用いられるペン先5として周知のものと同様の構成を有する。また、このペン先5と前記ペン先保持リブ42との間には、図4、図5に示すように、空気を流通可能にすべく空気流通路91を設けている。
前記胴部4は、図1〜図5に示すように、略円筒状をなし、一端部に前記ペン先5を支持するための他の部位と比較して小径なペン先支持部41を有する。このペン先支持部41の内面には、例えばそれぞれ90°ずつ周方向に離間する4本のペン先保持リブ42を設けており、このペン先保持リブ42がペン先5を保持する。また、この胴部4の前記ペン先支持部41に隣接する部位の内面には例えばそれぞれ45°ずつ周方向に離間する8本の中綿保持リブ43を設けており、この中綿保持リブ43が中綿6を保持する。これら中綿保持リブ43のうち4本は、前記ペン先保持リブ42と略連続しており、他の4本のリブと比較して長尺である。また、この胴部4のペン先支持部41と反対側の端部の内面には、図4及び図5に示すように、前述したカバー3の雄ねじ31と螺合させてこのカバー3を胴部4に取り付けるための雌ねじ44を設けている。加えて、この胴部4と前記カバー3との間には、これらを位置決めするための位置決め部を設けている。この位置決め部は、胴部4の雌ねじ44のねじ山の一部を切り欠いて設けた図示しない位置決め凹部と、カバー3の雄ねじ31のねじ山から連続させて設けられた前記位置決め凹部に係合可能な位置決め突起33とを係合させてなる。
前記中綿6は、この種の筆記具に用いられる中綿6として周知のものと同様の構成を有する。すなわち、図5及び図6に想像線で示すように、この筆記具の長手方向に延伸する多数の繊維からなる中綿本体と、この中綿本体を内部に収納する樹脂製の中綿カバーとを備えている。この中綿6は、図6に示すように、胴部4の内部に挿入された状態で該胴部4の中綿保持リブ43によって保持されている。そして、この中綿6の長手方向両端から、ペン先5及び供給管7がそれぞれこの中綿6の内部に挿入される。
前記供給管7は、図3〜図6に示すように、ペン先5側が前記中綿6に挿入される一本の供給管本体71と、この供給管本体71の外方に設けられ該供給管本体71と前記インクカートリッジ2とを接続するための外筒体72とを備えている。この供給管本体71は、ペン先5側端面に中綿6に挿入されることによって該中綿6の内部にインクを導入する突出部71aを有するとともに、内部にインク及び空気を流通させるための一本の供給路71cを有する。この供給路71cのペン先5側の開口端は、前記突出部71aから非突出部71bに亘って開口している。また、この供給管本体71は、横断面形状が楕円形をなしている。一方、前記外筒体72のペン先5側には、前記胴部4の長尺な中綿保持リブ43と係合してこの供給管7の回り止めを行うための回り止め凹部72aを設けている。
特に図6に示すように、前記外筒体72のペン先5と反対側の端部の内方には内壁73を設けていて、この内壁73と前記外筒体72との間に前記インクカートリッジ2の先端部を挿入するようにしている。また、この供給管7のペン先5と反対側の端部の内面には、前記インクカートリッジ2の雄ねじ213と螺合させてこのインクカートリッジ2を供給管7に取り付けるための雌ねじ74を設けているとともに、前記蓋体22に衝き当たって蓋体22を押圧して開放させるための蓋開けリブ75を内壁73に一体に設けている。すなわち後述する開封体たる開封板76を有している蓋開けリブ75と筆記具本体1側の側壁たる外筒体72との間の寸法を前記インクカートリッジ2の側壁の厚み寸法に略等しく設定される。そして、このペン先5と反対側の端部は隣接する部位と比較して小径となっており、この端部と前記胴部4に設けた突条とが係り合うことによりこの供給管7の抜け止めを図るようにしている。
しかして本実施形態では図6に示すように、この筆記具本体1側の蓋開けリブ75が、インクカートリッジ2及びカバー3のねじ送り動作により前記蓋体22の縁部近傍を相対的に押圧して密封姿勢(P)から蓋体22を動作させる開封板76と、この開封板76に一体に設けられ前記ねじ送り動作の動作終端で前記蓋体22を密封状態(P)から直交する起立姿勢(Q)で位置決めする位置決め体たる位置決め板77とを有している。また図6に示すように、前記開封板76は、前記蓋体22に接するべく周囲よりも突出して形成された先端面78を有している。
ここで、本実施形態のインクカートリッジ2及びカバー3の筆記具本体1への着脱の際の手順及び各部の作用について述べる。
インクカートリッジ2及びカバー3を筆記具本体1にねじ送り動作により取り付ける際には、まず、カバー3の内部にインクカートリッジ2の基端側の部分を挿入させた状態で、カバー3の駆動凹部32とインクカートリッジ2の駆動突起212とを凹凸係合させる。それから、カバー3の雄ねじ31と筆記具本体1の胴部4の雌ねじ44とを螺合させるべくねじ送り動作により螺着操作力を加える。このとき、前記駆動凹部32の進行方向前方に駆動突起212が位置しているので、これら駆動凹部32及び駆動突起212が衝き当たってカバー3からインクカートリッジ2に螺着操作力が伝達され、インクカートリッジ2の雄ねじ213と筆記具本体1の供給管7の雌ねじ74とが螺合する。このようにして、カバー3が胴部4に、インクカートリッジ2が供給管7にそれぞれ螺着される。
しかして上記のインクカートリッジ2の取り付けの際には上記の作用に平行して、供給管7の蓋開けリブ75に対しインクカートリッジ2が回転しながら近接することで、蓋体22は密封姿勢(P)から起立姿勢(Q)への動作を行う。このときの蓋開けリブ75及び蓋体22の一連の動作を図7に示して詳述する。
まずカバー3のねじ送り動作を初めてまもなく図4及び図7左端に模式的に示すように蓋体22が近接し、開封板76の先端面78と蓋体22の任意の縁部近傍の部分とが接触する押圧開始姿勢をとる。そしてそのままねじ送り動作を進めると、同図左端から二番目に示すように蓋体22は前記任意の縁部近傍の部分とは90°角度位相を異ならせた対向する2点を結ぶ仮想の軸線を中心とした回転動作を開始する。さらにねじ送り動作を進めると同図左端から三番目に示すように先端面78の位置が前記仮想の軸線へと漸次近接していくことにより蓋体22は開封板の76の端部76a及び位置決め板77の端部77aに当たりながら傾斜度合いを増してさらに回転を進めていく。そして前記押圧開始姿勢から90°程度ねじ送りされた動作終端で同図右端に示すように、開封板76は前記仮想の軸線2点に到達するか或いは前記仮想の軸線を超えることにより位置決め板77が端部77aのみならず蓋体22を起立姿勢(Q)とした状態で面接触するようになる。場合によっては、この蓋体22はこの起立姿勢(Q)で位置決め板77に押圧されることによりカートリッジ本体21の内面21aに起立姿勢(Q)で押しつけられながら維持される。このように蓋体22が起立姿勢(Q)をとることにより、内容物であるインクは蓋体22が障害物となることもなく安定して外筒体72から供給管本体71を経て、中綿6へ到達し得る。
また、本実施形態では、インクカートリッジ2が内容物を密閉する性能を高めるよう、インクカートリッジ2の製造工程おいて前記蓋体22が内容物たるインクを密封すべく挿入される挿入時にカートリッジ本体21及び蓋体22の何れか一方が他方に対して摺接せずに前記他方に密着し、インクを密封する非摺接密着面Xを有している。以下に、図8〜図12を参照しつつ、カートリッジ本体21及び蓋体22に予め設けられた非摺接密着面Xについて詳述する。
図8及び図9に示すように、蓋体22に第一突条221及び第二突条222を設けるとともに容器体たるカートリッジ本体21に封止突条たる蓋係止リブ214を設け、第一突条221及び第二突条222が蓋係止リブ214を挟持した状態で密封する。これにより、蓋体22とカートリッジ本体21との間では、ペン先5の反対側から内側傾斜面215と後側傾斜面224との間、外側傾斜面216と前側傾斜面225との間、そして頂面226と外側傾斜面216に隣接するカートリッジ本体21の内面21aとの間の3箇所において全周に亘って連続して密着されている。換言すれば前記3箇所において3重に密封している。そのうち、内側傾斜面215、後側傾斜面224及前側傾斜面225は、インクカートリッジ2に内容物たるインクを封入すべく蓋体22を密封姿勢(P)とする工程において他方側には摺接することなく密封姿勢(P)では他方と密着する非摺接密着面Xとなっている。
次に図10〜図12を参照しつつ、インクカートリッジ2に内容物たるインクを封入すべく蓋体22を密封姿勢(P)とする工程における各部の動作について説明する。図10に示すように、蓋体22の第一突条221を蓋係止リブ214へ近接させる方向へ移動させると、第二突条222の突出高さが第一突条221よりも0.1mm大きいため、主に頂面226のみがカートリッジ本体21の内面21aに摺接し、この時点では第一突条221はカートリッジ本体21側に触れることはない。そして図11に示すように、第一突条221が蓋係止リブ214を乗り越えるとき、蓋係止リブ214の外側傾斜面216と第一突条221の前側傾斜面223とが経過的に摺接する。しかしこの時点においても第一突条221の後側傾斜面224及び第二突条222の前側傾斜面225はカートリッジ本体21の何れの部位にも接していない。そして第一突条221が蓋係止リブ214の頂点を乗り越えた瞬間、図12に示す密封姿勢(P)となる。このとき、蓋係止リブ214の内側傾斜面215と第一突条221の後側傾斜面224とが互いに初めて密着することになる。併せて第二突条222の前側傾斜面225が蓋係止リブ214の外側傾斜面216に対して初めて密着する。これにより、蓋係止リブ214の内側傾斜面215、第一突条221の後側傾斜面224、及び第二突条222の前側傾斜面225が、非摺接密着面Xとなった状態で密封姿勢(P)となる。
なお、図11及び図12に示しているように、第一突条221よりも高く形成されている第二突条222の頂面226は、蓋体22が密封姿勢(P)となるときに、カートリッジ本体21の蓋係止リブ214よりもペン先5側の内面21aに密着する。よって内面21aにおける頂面226に接する箇所も非摺接密着面Xに該当する。
以上のような構成とすることにより、本実施形態によれば、蓋体22を起立姿勢(Q)で位置決めすることにより密封姿勢(P)から解除された蓋体22がカートリッジ本体21から外へ移動しようとするインクの移動を妨げるといった不具合を解消し、インクの安定した利用が実現される。
蓋体22をより確実に起立姿勢(Q)とし得るようにするために本実施形態では、ねじ送り動作により前記開封板76が蓋体22に接し押圧に接触する押圧開始姿勢から90°以上回転した状態で動作終端となる構成を適用している。すなわち蓋体22において開封板に押圧された箇所の係り合いが解除されるとき、蓋体22は前記押圧された箇所と当該箇所から90°角度位相が異なる2箇所を結ぶ仮想の軸線周りに回転動作を行う。つまり開封板が蓋体を90°以上相対回転しながら押圧すれば順次前記軸線へ向けて近接しながら押圧し、当該軸線まですることになる。その結果、蓋体22を確実に起立姿勢(Q)まで動作させることができる。
特に本実施形態では、開封板76による蓋体22への押圧が速やかに蓋体22の姿勢変更へと導き得るようにするため、前記開封板76との供給管7の外筒体72間の寸法を前記容器体たるカートリッジ本体21の側壁の厚み寸法に略等しく設定している。これによりねじ送り動作時のカートリッジ本体21側の変形を抑えることで、開封板76に蓋体22が押された箇所周辺の、蓋体22側と蓋係止リブ214と係り合いを確実に解除し、その後の蓋体22のスムーズな回転動作を促している。
そして開封板76の強度をより高め蓋体22の姿勢変更をよりスムーズに行わせるために本実施形態では、前記開封板76と前記位置決め板77とを一体に構成し、開封板76の強度をより高めることにより押圧開始姿勢から速やかに蓋体22の密封姿勢(P)を解除することで、その後のスムーズな蓋体22の動作に寄与せしめている。
上記の如き構成を実現することにより開封時の蓋体22のスムーズな姿勢変更を担保しつつ、その一方で、密封状態(P)での内容物たるインクの漏出を確実に防止するために本実施形態では、前記カートリッジ本体21及び蓋体22の何れか一方が内容物を密封すべく挿入される挿入時に他方に対して摺接せずに前記他方に密着する非摺接密着面Xを有している構成としている。
すなわち、上記特許文献1のような構成に示されたような従来のカートリッジでは、容器体に対し蓋体を挿入する際に互いに摺接することによって出来る微細なキズや凹凸や生じた箇所をそのまま押圧させることで内容物を密封しようとしていた。これが原因となり、前記微細なキズや凹凸の位置から内容物が漏れ出したり、或いは漏れ出すことを回避するために無理に蓋体の径を大きく設定したりしていた。しかしながら前記微細なキズや凹凸がある以上蓋を容器に対し強く密着させても毛細管現象が起こる等により内容物の漏れは完全には回避出来ない。しかも無理に蓋体の径を大きくして必要以上に蓋を容器に押しつけた状態とすれば、前記微細なキズや凹凸はより顕著に形成されるのみならずカートリッジの使用時に蓋体を安定して開くことができず、これが使用時において内容物の移動に蓋体が干渉し、内容物が正常に利用できなくなる原因ともなっていた。そこで本実施形態では上記非摺接密着面Xを設けることに初めて着想することにより、かかる不具合を解消した。
加えて本実施形態では、蓋体22が複数の密封突条たる第一突条221及び第二突条222を有し、カートリッジ本体21の所定位置に設けられた蓋止突条たる蓋係止リブ214を内外から挟持した状態で密封するようにしている。これにより、カートリッジ本体21の径方向のみならず、長手方向からも密封のための作用力を付与し、より確実な密封に寄与している。
より確実な密封を実現するために本実施形態では、前記第一突条221において挿入方向後側に形成した後側傾斜面224と第二突条222の挿入方向前側に形成した前側傾斜面225とを前記蓋止突条たる蓋係止リブ214に密着する前記非摺接密着面Xとした。
また本実施形態では、挿入時の確実な挿入と密封姿勢(P)での確実な密封を実現するために、前記第二突条222の突出寸法を前記第一突条221の突出寸法よりも大きく設定した。これにより、挿入時の第一突条221と蓋係止リブ214との擦れを回避しつつ、蓋係止リブ214及び第一突条221前記非摺接密着面Xを形成して密封度合いを有効に高めるとともに、密封姿勢(P)での第二突条222のカートリッジ本体21に対する押圧強度を有効に高めることで第二突条222及び蓋係止リブ214による密封度合いも有効に高めている。
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
例えば、上記実施形態では上記実施形態では蓋体における第二突条を第一突条よりも大きく突出させた態様のみを開示したが勿論、両突条が同じ突出寸法を有している態様や、第一突条をより大きく突出させた態様を適用してもよい。また上記実施形態ではカートリッジの取付構造を筆記具におけるインクカートリッジの取付構造に適用した態様を開示したが、勿論、カートリッジに内容物を密封しておくことが必要な種々のものに適用してもよい。例えば内容物としてインキや塗料のような筆記や塗布に関するものではなく、飲料や食料品を密封したカートリッジの開封や、気体を密封したカートリッジの開封の際に適用されるものであってもよい。またカートリッジや当該カートリッジを取り付ける本体側の具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明は本体に対し交換可能に設けられたカートリッジの取付構造として利用することができる。
1…本体(筆記具本体)
2…カートリッジ(インクカートリッジ)
21…容器体(カートリッジ本体)
214…蓋止突条(蓋係止リブ)
22…蓋体
221…第一突条
222…第二突条
76…開封体(開封板)
77…位置決め体(位置決め板)
P…密封姿勢
Q…起立姿勢
X…非摺接密着面

Claims (9)

  1. 本体に対しカートリッジをねじ送り動作により取り付けるカートリッジの取付構造であって、
    カートリッジが内容物を収納する容器体と、この容器体とともに内容物を密封する密封姿勢をとる蓋体とを有し、
    前記本体が前記ねじ送り動作により前記蓋体の縁部近傍を押圧して密封姿勢から蓋体を動作させる開封体と、前記ねじ送り動作の動作終端で前記蓋体を密封状態から直交する起立姿勢で位置決めする位置決め体とを有していることを特徴とするカートリッジの取付構造。
  2. 前記ねじ送り動作により前記開封体が蓋体に接触する押圧開始姿勢から90°以上回転した状態で前記動作終端となる請求項1記載のカートリッジの取付構造。
  3. 前記開封体と前記本体側の側壁との間の寸法を前記容器体の側壁の厚み寸法に略等しく設定している請求項1又は2記載のカートリッジの取付構造。
  4. 前記開封体と前記位置決め体とを一体に構成している請求項1、2又は3記載のカートリッジの取付構造。
  5. 前記内容物を密封すべく前記蓋体が容器体に挿入される挿入時に前記容器体及び蓋体の何れか一方が他方に対して摺接せずに前記他方に密着する非摺接密着面を有し、この非摺接密着面により内容物を密封している請求項1、2、3又は4記載のカートリッジの取付構造。
  6. 前記蓋体が複数の密封突条を有し、容器体の所定位置に設けられた蓋止突条を内外から挟持した状態で密封している請求項5記載のカートリッジの取付構造。
  7. 前記密封突条が挿入時に先に挿入される第一突条と後に挿入される第二突条とを有するものであり、前記第一突条において挿入方向後側に形成した後側傾斜面と第二突条の挿入方向前側に形成した前側傾斜面とを前記蓋止突条に密着する前記非摺接密着面としている請求項6記載のカートリッジの取付構造。
  8. 前記第二突条の突出寸法を前記第一突条の突出寸法よりも大きく設定している請求項7記載のカートリッジの取付構造。
  9. 前記内容物が筆記具のインクである請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のカートリッジの取付構造。
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