以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施例1)
<インクジェット印刷装置の全体構成>
本発明の一実施例であるインクジェット印刷装置1の構成について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例であるインクジェット印刷装置1の構成を示す構成図である。
図1に示すように、インクジェット印刷装置1は、サイド給紙部10と、内部給紙部20と、印刷部30と、排紙部40と、反転部50とを備えている。
サイド給紙部10は、用紙Pが積層される給紙台11と、この給紙台11から最上位置の用紙Pのみを給紙搬送路FR上へ搬送させるピックアップ給紙部12と、このピックアップ給紙部12によって搬送された用紙Pを斜行補正して、所定の搬送タイミングで循環搬送路CR上へ搬送するレジスト部14とを備えている。搬送方向におけるレジスト部14の手前には、レジストセンサ141が設けられており、搬送される用紙Pの先端又は後端を検出する。
内部給紙部20は、用紙Pが積層される給紙台21aと、この給紙台21aから最上位置の用紙Pのみを給紙搬送路FR上へ搬送させるピックアップ給紙部22aと、用紙Pが積層される給紙台21bと、この給紙台21bから最上位置の用紙Pのみを給紙搬送路FR上へ搬送させるピックアップ給紙部22bと、用紙Pが積層される給紙台21cと、この給紙台21cから最上位置の用紙Pのみを給紙搬送路FR上へ搬送させるピックアップ給紙部22cと、用紙Pが積層される給紙台21dと、この給紙台21dから最上位置の用紙Pのみを給紙搬送路FR上へ搬送させるピックアップ給紙部22dとを備えている。
このように、レジスト部14には、サイド給紙部10及び内部給紙部20から用紙Pが搬送され、さらに、後述する反転部50からも用紙Pが搬送される。
そのため、搬送方向におけるレジスト部14の手前には、給紙された用紙Pの搬送経路と、一方の面が印刷された用紙が循環して搬送されてくる経路とが合流する合流地点が存在する。この合流地点を基準に、給紙機構側の経路を給紙搬送路FRと称し、それ以外の経路を循環搬送路CRと称している。
印刷部30は、複数の印字ヘッドが組み込まれたインクジェットユニット31と、インクジェットユニット31の対向面に設けられた環状の搬送ベルト133とを備えており、レジスト部14により給紙された用紙Pは、環状の搬送ベルト133内に、用紙の搬送路面の裏面に対応して設置された吸引ファン131によって搬送ベルト133上に吸引され、所定の搬送速度で搬送されながら、インクジェットユニット31から吐出されたインクにより用紙Pに印刷される。
印刷部30により印刷された用紙Pは、循環搬送路CR上に配置された搬送ローラ等によって筐体内を循環搬送路CR上を搬送される。循環搬送路CR上には、循環搬送路CR上を搬送された用紙Pを排紙部40へ誘導するか、又は循環搬送路CR上を再循環させるかを切り替える切り替え機構43が備えられている。
切り替え機構43は、用紙Pを、後述する排紙部40又は反転部50のいずれか1方へ誘導するために、切り替える。
排紙部40は、インクジェット印刷装置1の筐体から突出したトレイ形状をした排紙台41と、排紙台41に用紙Pを誘導する一対の排紙ローラ42とを有している。そして、切り替え機構43により排紙部40に誘導された用紙Pは、排紙ローラ42により排紙台41に搬送され、排紙台41に印刷面を下にして積載される。
反転部50は、用紙Pを反転させる反転台51と、循環搬送路CRから反転台51へ用紙Pを搬送し、又は反転台51から循環搬送路CR上へ用紙Pを搬送する反転ローラ52とを備えている。
切り替え機構43により反転部50に誘導された用紙Pは、反転ローラ52により循環搬送路CRから反転台51に搬送され、所定時間経過後、反転台51から循環搬送路CRへ搬送されることにより、循環搬送路CRに対して表裏が反転する。そして、表裏が反転された用紙Pは、循環搬送路CR上に設けられた搬送ローラ53等の複数のローラにより循環搬送路CR上を印刷部30へ向かって搬送される。
また、インクジェット印刷装置1の全体を制御する制御部80を有している。この制御部80は、サイド給紙部10と、内部給紙部20と、印刷部30と、排紙部40と、反転部50とを制御することにより、印刷ジョブに基づいて印刷処理を実行する。
図2は、本発明の一実施例であるインクジェット印刷装置1が備えるインクジェットユニット31の平面図である。
インクジェットユニット31は、主走査方向、即ち用紙Pの搬送方向と直交する方向に2列のノズルが配列されたライン型の複数のインクジェットヘッド110,112,114を有する。
そして、インクジェットユニット31の下部を用紙Pが副走査方向(用紙Pの搬送方向)に搬送されながら、複数のインクジェットヘッド110,112,114からインクが吐出されることにより印刷される。
インクジェットユニット31は、ブラック(K)のインクを貯留したインクジェットヘッド110a〜110fと、シアン(C)及びマゼンダ(M)のインクを貯留したインクジェットヘッド112a〜112fと、イエロー(Y)のインクを貯留したインクジェットヘッド114a〜114fとを備えている。なお、インクジェットヘッド110a〜110fと、インクジェットヘッド112a〜112fと、インクジェットヘッド114a〜114fとは、吐出されるインク色が異なるが、同一の物理構造を有している。
インクジェットヘッド110a〜110fは、主走査方向に対して平行になるように、300dpiの解像度を実現するピッチ間隔でノズルが配列された上流側のノズル列121と、300dpiの解像度を実現するピッチ間隔でノズルが配列された下流側のノズル列123とが配置されている。2列のノズル列121,123は、主走査方向のノズルの位置がそれぞれずらして設けられており、2列のノズル列121,123から同色(ここでは、ブラック)のインクが吐出されることにより、600dpiの解像度を実現する。
また、インクジェットヘッド110a〜110fには、ブラック(K)のインクを収容するインク室が設けられており、このインク室内にはピエゾ素子が配置されている。そして、供給された駆動信号に基づいて、ピエゾ素子にインクが吐出する駆動電圧が印加されることにより、インク室に連通するノズルからブラック(K)のインクを、ドロップ単位で吐出する。
このように、主走査方向に2列に配置されたノズル列121,123からブラック(K)のインクが吐出されることにより、600(dpi)の解像度で印字することができる。また、ノズル列121,123の一方のノズル列からブラック(K)のインクが吐出されることにより、300(dpi)の解像度で印字することもできる。
一方、インクジェットヘッド112a〜112fは、主走査方向に対して平行になるように、300dpiの解像度を実現するピッチ間隔でノズルが配列されシアン(C)のインクを吐出する上流側のノズル列124と、300dpiの解像度を実現するピッチ間隔でノズルが配列されマゼンダ(M)のインクを吐出する下流側のノズル列125とが1列づつ配置されている。
また、インクジェットヘッド112a〜112fには、それぞれシアン(C)のインクを収容するインク室と、マゼンダ(M)のインクを収容するインク室とが設けられており、このインク室内にはピエゾ素子が配置されている。そして、駆動信号に基づいてピエゾ素子にインクを吐出する駆動電圧が印加されることにより、シアン(C)、マゼンダ(M)それぞれのインク室に連通するノズルからシアン(C)、マゼンダ(M)それぞれのインクがドロップ単位で吐出される。
このように、主走査方向に2列に配置されたノズル列124,125のうち、上流側のノズル列124からシアン(C)のインクが吐出され、下流側のノズル列125からマゼンダ(M)のインクが吐出されることにより、シアン(C)、マゼンダ(M)がそれぞれ300(dpi)の解像度で印字される。
インクジェットヘッド114a〜114fは、300dpiの解像度を実現するピッチ間隔でノズルが配列されたノズル列が、主走査方向に対して平行になるように2列に配列されており、上流側にはイエロー(Y)のインクを吐出するノズル列127が配置され、下流側には、予備インクのノズル列128が配置されている。
また、インクジェットヘッド114a〜114fには、イエロー(Y)のインクを収容するインク室と、予備インクを収容するインク室とが設けられており、このインク室内にはピエゾ素子が配置されている。そして、駆動信号に基づいてピエゾ素子にインクを吐出する駆動電圧が印加されることにより、イエロー(Y)、予備インク色それぞれのインク室に連通するノズルからイエロー(Y)、予備インク色それぞれのインクがドロップ単位で吐出される。なお、図示しないが、インクジェットヘッド114a〜114fには、それぞれインクの温度を測定する温度計が備えられている。
このように、主走査方向に2列に配置されたノズル列のうち、上流側のノズル列127からイエロー(Y)のインクが吐出され、下流側のノズル列128から予備インクが吐出されることにより、イエロー(Y)、予備インク色がそれぞれ300(dpi)の解像度で印字される。
なお、予備インクは、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)でも良いし、ライトシアン(LC)やライトマゼンダ(LM)であっても良い。
<インクジェット印刷装置1の機能構成>
次に、本発明の一実施例であるインクジェット印刷装置1の機能構成について説明する。
図3は、本発明の一実施例であるインクジェット印刷装置1の機能構成を示した図である。
図3に示すように、インクジェット印刷装置1は、サイド給紙部10と、内部給紙部20と、印刷部30と、排紙部40と、反転部50と、操作パネル部70と、制御部80とを備える。これらの構成のうち、サイド給紙部10と、内部給紙部20と、印刷部30と、排紙部40と、反転部50とについては、上述したので、説明を省略する。
制御部80は、CPU81と、CPU81の動作プログラムや各種テーブル等を格納したROM82と、画像読取り部(図示せず。)が読取った画像データまたはコンピュータ装置(図示せず。)等が送信してきた画像データ、さらには操作パネル部70またはコンピュータ装置(図示せず。)からの各種印刷条件を含む印刷ジョブを記憶するRAM83を有している。
図3にしめすように、CPU81は、ROM82に格納された動作プログラムを実行することにより、本装置全体、すなわちサイド給紙部10と、内部給紙部20と、印刷部30と、排紙部40と、反転部50と、操作パネル部70と等の動作を制御する。
また、CPU81は、モード設定部81aと、吐出搬送制御部81bとを実装する。
モード設定部81aは、印刷ジョブに含まれる印刷条件に基づいて、画像データを高解像度モードで印刷するか、又は低解像度モードで印刷するかを設定する。ここで、高解像度モードとは、インクジェットヘッド110a〜110fにおいて、主走査方向に2列に配置されたノズル列121,123からブラック(K)のインクを吐出することにより、600(dpi)の解像度で印字するモードのことであり、低解像度モードとは、インクジェットヘッド110a〜110fにおいて、ノズル列121,123のうちいずれか一方のノズル列からブラック(K)のインクを吐出することにより、300(dpi)の解像度で印字するモードのことである。
なお、低解像度モードには、インクジェットヘッド110a〜110fにおいて、ノズル列121からブラック(K)のインクを吐出した後、300(dpi)分、即ち、84(μm)だけ用紙Pを搬送したのち、ノズル列123からブラック(K)のインクを吐出することにより、300(dpi)の解像度で印字するモードも含まれる。
なお、高解像度モード及び低解像度モードいずれの場合においても、インクジェットヘッド112a〜112fは、上流側のノズル列124からシアン(C)のインクが吐出し、下流側のノズル列125からマゼンダ(M)のインクが吐出することにより、それぞれ300(dpi)の解像度で印字する。
インクジェットヘッド114a〜114fについても同様に、高解像度モード及び低解像度モードいずれの場合においても、上流側のノズル列127からイエロー(Y)のインクを吐出し、下流側のノズル列128から予備インクを吐出することにより、それぞれ300(dpi)の解像度で印字する。
吐出搬送制御部81bは、モード設定部81aにより低解像度モードが設定された場合、搬送ベルト133により搬送される用紙Pの用紙間隔が第1用紙間隔となるようにレジスト部14を制御する。さらに、吐出搬送制御部81bは、主走査方向に2列に配置されたノズル列121,123のうち、いずれか1列のノズル列からインクを吐出するようにインクジェットヘッド110a〜110fを制御する。
また、吐出搬送制御部81bは、モード設定部81aにより高解像度モードが設定された場合、搬送ベルト133により搬送される用紙Pの用紙間隔が第1用紙間隔より狭い第2用紙間隔となるようにレジスト部14を制御する。さらに、吐出搬送制御部81bは、主走査方向に2列に配置されたノズル列121,123からインクを吐出するように、インクジェットヘッド110a〜110fを制御する。
図4は、本発明の一実施形態であるインクジェット印刷装置1が備える吸引ファンの吸引により発生する気流を模式的に説明した図である。(a)は、本発明の一実施形態であるインクジェット印刷装置1において、低解像度モードが設定された場合の用紙間隔を示した模式図であり、(b)は、本発明の一実施形態であるインクジェット印刷装置1において、高解像度モードが設定された場合の用紙間隔を示した模式図である。
図4(a)に示すように、循環搬送路CRには、用紙Pを搬送するプラテンベルト160と、プラテンベルト160を支持するプラテン200及びプラテンプレート300と、プラテンプレート300の下面において負圧を発生させる吸引手段である吸引ファン131とが備えられている。
プラテンベルト160は、用紙Pを吸着させるベルト穴165を一定間隔で多数有しており、用紙Pを吸着しながら搬送する無端状のベルト部材である。このプラテンベルト160は、プラテン200及びプラテンプレート300に支持され、搬送方向に直交させて配置された一対のローラ(図示しない)に掛け回されて搬送方向に周回され、プラテン200の上面において摺動される。
プラテン200は、プラテンベルト160を摺動可能に支持するとともに、ベルト穴165が通過する箇所に貫通された吸引穴211を多数有する板状のプレート部材である。このプラテン200は、吸引穴301を多数有する板状のプレート部材であるプラテンプレート300に固定されている。
プラテンプレート300の下方には、ベルト穴165、吸引穴211、及び吸引穴301を通じて、プラテンベルト160上の用紙Pを吸着するための負圧を発生させる吸引手段である吸引ファン131が備えられている。
このように、プラテンベルト160には、複数のベルト穴165が設けられており、プラテンベルト160上の用紙Pがない領域においては、インクジェットヘッド110方向からベルト穴165、吸引穴211、及び吸引穴301を通り、吸引ファン131方向に導かれる気流F1や気流F2が発生する。
このとき、インクジェットヘッド110のノズル列121から吐出されたインクの液滴は尾を引く形で飛翔し、この飛翔する液滴の先頭部分と後尾部分との間に時間差や速度差が生じることにより、先行する主たる液滴201に付随して、サテライトである不要な微小液滴203が発生する。この微小液滴203は、近傍を流れる気流F1に同伴して用紙Pに着弾する場合があり、微小液滴203の量が多いと印刷品質を低下させることになる。
モード設定部81aにより低解像度モードが設定された場合、高解像度モードが設定された場合と比較して、単位面積当たりに吐出するドット数が少ないので、その分サテライトは少ない。そのため、安定的に用紙Pを搬送するため、吐出搬送制御部81bは、搬送ベルト133により搬送される用紙Pの用紙間隔が、広い用紙間隔である第1用紙間隔L1となるようにレジスト部14を制御する。
一方、図4(b)に示すように、モード設定部81aにより高解像度モードが設定された場合、低解像度モードが設定された場合と比較して、単位面積当たりに吐出するドット数が多いので、その分サテライトは増加する。具体的には、インクジェットヘッド110の上流側のノズル列121から吐出されたインクの主たる液滴205に付随して、サテライトである不要な微小液滴206が発生する。同様に、インクジェットヘッド110の下流側のノズル列123から吐出されたインクの主たる液滴208に付随して、サテライトである不要な微小液滴209が発生する。
この微小液滴206と微小液滴209とを合わせた液滴量は、図4(a)に示した微小液滴203の液適量より多くなるので、近傍を流れる気流F3に同伴して用紙Pに着弾すると、印刷品質の低下への影響が大きくなる。
そこで、吐出搬送制御部81bは、モード設定部81aにより高解像度モードが設定された場合、搬送ベルト133により搬送される用紙Pの用紙間隔が第1用紙間隔L1より狭い第2用紙間隔L2となるようにレジスト部14を制御する。
これにより、図4(a)に示した気流F1より、図4(b)に示す気流F3の流量が小さくなる。そのため、微小液滴206と微小液滴209が近傍を流れる気流F3に同伴する量が少なくなり、結果的に、用紙Pに着弾する量が少なくなり、印刷品質の低下を防止することができる。
なお、ここでは、モード設定部81aにより高解像度モードが設定された場合、吐出搬送制御部81bが、搬送ベルト133により搬送される用紙Pの用紙間隔が第1用紙間隔L1より狭い第2用紙間隔L2となるようにレジスト部14を制御したが、さらに、下記の(数式1)に示すとおり、第2用紙間隔L2が、“0”より大きく、かつ用紙Pの搬送方向におけるベルト穴165の径L3より小さくなるように、レジスト部14を制御してもよい。
0<L2<L3<L1 ・・・(数式1)
このように、第2用紙間隔L2が用紙Pの搬送方向におけるベルト穴165の径L3より狭くなるように制御することにより、プラテンベルト160上で吸引ファン131によって吸引される気流F3が発生することになる。
これにより、吸引ファン131によって吸引される空気の流量を小さくすることができるので、より確実に、微小液滴206と微小液滴209が近傍を流れる気流F3に同伴する量が少なくすることができ、結果的に、用紙Pに着弾する量が少なくなり、印刷品質の低下を防止することができる。
なお、第2用紙間隔L2を“0”以下とすると、搬送される用紙Pの後続用紙の先端を検出できず、印刷するタイミングを取得できないので、印刷が適切に実行されないなどの不具合が生じる場合がある。そこで、第2用紙間隔L2が“0”より大きくなるようにレジスト部14を制御する。
<用紙間隔の制御>
次に、本発明の一実施例であるインクジェット印刷装置1の吐出搬送制御部81bによる用紙間隔の制御について説明する。ここでは、用紙Pの間隔を第2用紙間隔L2とするように制御する場合について説明する。
図5は、本発明の一実施例であるインクジェット印刷装置1の吐出搬送制御部81bによる用紙間隔の制御を説明した説明図である。(a)は、レジストセンサ141により搬送中の用紙P1の後端が検出された状態を示した図であり、(b)は、次の用紙P2が搬送されレジスト部14に突き当てられた状態を示した図であり、(c)は、用紙P2がレジスト部14により搬送された状態を示している。
図6は、本発明の一実施例であるインクジェット印刷装置1のレジスト部14の回転数(搬送速度)を示している。
図5(a)に示すように、1枚目の用紙Pである用紙P1が搬送ベルト133により搬送され、図6に示すt0時点において、搬送中の用紙P1の後端がレジストセンサ141により検出されると、ピックアップ給紙部12により2枚目の用紙Pである用紙P2が循環搬送路CRで搬送される。
そして、図5(b)に示すように、循環搬送路CR上で搬送された用紙P2が、レジスト部14に到達すると、用紙P2はレジスト部14に突き当てられた状態で待機し、図6のt0時点から所定の時間DT1だけ経過したt1時点において、レジスト部14は用紙P2の搬送を開始する。レジスト部14は、用紙P1の搬送速度、即ち搬送ベルト133による搬送速度V2より速い速度である搬送速度をV1となるように、用紙P2の搬送速度を加速する。
そして、t2時点において、搬送速度がV1に達すると、用紙P1の後端から用紙P2の先端までの距離が第2用紙間隔L2となるように、t2時点からDT2時間経過したt3時点から用紙P2の搬送速度をV2になるまでレジスト部14を減速させる。
これにより、t4時点において、用紙P2の搬送速度がV2に達すると、図5(c)に示すように、用紙P1の後端から用紙P2の先端までの距離が第2用紙間隔L2となり、用紙P2の搬送速度はV2となっているので、用紙P2は、搬送ベルト133により搬送速度V2で搬送される。
その後、t5時点において、用紙P2の後端がレジスト部14を通過すると、レジスト部14は、搬送速度を減速する。
このように、吐出搬送制御部81bは、t1時点からt2時点まで、用紙P1の搬送速度V2より速い速度である搬送速度をV1となるように用紙P2の搬送速度を加速し、DT1時間だけ搬送速度V1で搬送するようにレジスト部14を制御するので、用紙P1と用紙P2との用紙間隔を第2用紙間隔L2まで縮めることができる。
即ち、吐出搬送制御部81bは、DT2時間の長さを長くするような搬送タイミングとすることにより、用紙P1と用紙P2との用紙間隔を短くすることができ、DT2時間の長さを短くするような搬送タイミングとすることにより、用紙P1と用紙P2との用紙間隔を長くすることができる。これにより、吐出搬送制御部81bは、解像度に応じて、用紙P1と用紙P2との用紙間隔を第2用紙間隔L2又は第1用紙間隔L1になるように、搬送タイミングを設定することができる。
以上のように、本発明の一実施例であるインクジェット印刷装置1によれば、モード設定部81aにより低解像度モードが設定された場合に、搬送ベルト133により搬送される用紙間隔が第1用紙間隔となるようにレジスト部14を制御すると共に、2列のノズル列121,123のうち、いずれか1列のノズル列からインクを吐出するようにインクジェットヘッド110a〜110fを制御し、モード設定部81aにより高解像度モードが設定された場合に、搬送ベルト133により搬送される用紙間隔が第1用紙間隔より狭い第2用紙間隔となるようにレジスト部14を制御すると共に、2列のノズル列121,123からインクを吐出するようにインクジェットヘッド110a〜110fを制御するので、解像度に応じてサテライト発生を低減して印刷を行うことができる。
なお、本発明の一実施例では、吐出搬送制御部81bが、モード設定部81aにより高解像度モードが設定された場合、搬送ベルト133により搬送される用紙Pの用紙間隔が第1用紙間隔L1より狭い第2用紙間隔L2となるようにレジスト部14を制御するインクジェット印刷装置1を例に挙げて説明したが、これに限らない。
仮に、搬送ベルト133により搬送される用紙Pの用紙間隔を第2用紙間隔L2とし、t4時点以降に搬送ベルト133により搬送される搬送速度をV2としたときに、例えば、搬送タイミングの誤差が発生する等の影響により用紙搬送特性が悪化した場合、t4時点以降に搬送ベルト133により搬送される搬送速度をV2より遅い速度であるV3として搬送するようにしてもよい。これにより、生産性は低下するものの、より安定して用紙Pを搬送することができる。
また、本発明の一実施例では、それぞれ2列に配置されたノズル列を有するインクジェットヘッド110,112,114を備えたインクジェット印刷装置1を例に挙げて説明したが、ノズル列は2列に限らず、3列以上であってもよい。
また、解像度モードにかかわらず、吐出搬送制御部81bが、搬送ベルト133により搬送される用紙Pの用紙間隔がL3になるように制御してもよい。