JP6120817B2 - 紫外線硬化性樹脂組成物、その硬化物及び摺動部材 - Google Patents

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本発明は、無潤滑滑り軸受のような摺動部材の自己潤滑性ライナーを形成するための紫外線硬化性樹脂組成物及びその硬化物、並びに自己潤滑性ライナーを備えた摺動部材に関する。
回転運動や並進運動の軸を摺動面にて保持する滑り軸受は広範な用途に使用されており、特に、摺動面に潤滑油を使用しない無潤滑滑り軸受は、低摩擦係数、高耐久性、高耐荷重性、高耐熱性、高耐油性などが要求される船舶や航空機等の用途に使用されている。
このような無潤滑滑り軸受として、特許文献1には、凹状の第1の軸受面を有する外輪部材と、第1の軸受面に対して摺動可能である凸状の第2の軸受面とを有する内輪部材とを備える、高荷重用途のための球面滑り軸受けが開示されている。この球面滑り軸受は、外輪部材及び内輪部材の一方の部材がチタン合金製であり、その表面に物理的気相成長法(PVD)により形成された窒化チタンの軸受面を有している。他方の部材の軸受面は、樹脂で形成された潤滑ライナーを有している。潤滑ライナーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とポリアラミドの繊維からなり且つフェノール樹脂組成で飽和しているファブリックで構成されている。
特許文献2には、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート20重量%以上及びポリテトラフルオロエチレン等の固体潤滑剤10重量%以上を含む熱硬化性アクリル系組成物からなる自己潤滑コーティングが開示されている。この自己潤滑コーティングには、トリエチレングリコールジメタクリレート20重量%以上及びアラミドパルプ1重量%以下を添加してもよいとされている。この文献には、さらに、自己潤滑コーティングをライナーとして外輪の内周面に施したスリーブ軸受も開示されている。
本出願人による特許文献3は、航空機等の用途に適した滑り軸受を開示している。この滑り軸受は、摺動面に形成された自己潤滑性ライナーを有し、その自己潤滑性ライナーは、ポリエーテルケトン系樹脂を60〜80重量%、PTFEを10〜30重量%、炭素繊維を5〜15重量%、アラミド繊維を15重量%以下で混合した自己潤滑性樹脂組成物からなり、炭素繊維とアラミド繊維の合計含有量が10〜25重量%であり、自己潤滑性ライナーを形成する金属面は、表面粗度Ra(中心線平均粗さ)4.0μm以上かつRmax(最大高さ)30.0μm以上である。
本出願人による特許文献4も、航空機等の用途に適した滑り軸受を開示している。この滑り軸受は、摺動面に形成された自己潤滑性ライナーを有し、その自己潤滑性ライナーは、イソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレート化合物を20重量%〜90重量%、PTFEを10〜50重量%で混合した自己潤滑性樹脂組成物からなる。
特開2007−255712号公報 米国特許第6180574号公報 特開2011−247408号公報 国際公開第2013/161402号
特許文献1〜4に開示された無潤滑滑り軸受は、航空機等に組み込まれて使用されるため、前述のように低摩擦係数、高耐荷重性、耐熱性、耐油性などが要求されるが、さらに、機体メーカー側からは、スリーブ軸受のような滑り軸受を組み込む工程において、滑り軸受の摺動面を研削または切削によって寸法調整を行うことにより、軸側の寸法調整を行わずに嵌め合い調整を行いたいという要望がある。
しかしながら、特許文献1の繊維状の潤滑ライナーは、後加工を行うと繊維が切断されてライナーとして機能しなくなってしまうので、研削または切削によって寸法調整を行うことができない。
また、特許文献2の自己潤滑コーティングは熱硬化性アクリル樹脂をベースとするために、硬化に時間が掛かるという理由から生産性が低いという問題がある。また、時間を節約するために未硬化状態でハンドリングしようとすると、未硬化樹脂が流動して形状を維持できなくなるのでハンドリングが困難であった。
特許文献3の自己潤滑性ライナーは、熱可塑性樹脂であるポリエーテルケトン系樹脂をベースとするため、生産性の高い射出成型法を用いて製造することができるが、ライナーの外輪内周面の密着性を向上させるために外輪内周面の表面粗さを粗くするブラスト処理を予め必要とする。さらに、ポリエーテルケトン系樹脂のような熱可塑性樹脂に固体潤滑剤であるPTFEを配合する際に、含有量を30重量%未満に制限する必要がある。これは次のような理由による。樹脂混錬時及び射出成形時には、PTFEが高温と高圧に曝されて融点以上に加熱されるため、分解ガスを発生する。このような分解ガスは安全性の見地から回避する必要がある。このためPTFE添加量(含有量)を抑制している。しかしながら、ライナーの潤滑性を向上させるためには、PTFEの含有量を増やすことが望ましい。
一方、特許文献4には、紫外線硬化樹脂をベースとした自己潤滑性ライナーを有し、スウェジ加工を経て製造される摺動部材(球面滑り軸受け)が開示されている。特許文献4によれば、まず、球面滑り軸受けの外輪の内周面に紫外線硬化樹脂組成物を塗布し、紫外線を照射して樹脂組成物を半硬化(一次硬化)させる。そして、樹脂組成物が半硬化した状態で外輪に内輪を挿入し、スウェジ加工により外輪を内輪の外周面に倣うようにプレスで塑性変形させる。スウェジ加工後、半硬化状態の樹脂組成物を完全硬化(二次硬化)させ、自己潤滑性ライナーを有する摺動部材(球面滑り軸受け)を完成させる。特許文献4において、樹脂組成物が半硬化した状態でスウェジ加工を行うのは、完全硬化後の樹脂組成物(自己潤滑性ライナー)に対してスウェジ加工を行うと自己潤滑性ライナーに割れが発生する虞があるからである。しかし、スウェジ加工を行うための樹脂組成物の半硬化(一次硬化)は、硬化の程度の設定や制御が困難であった。したがって、製造工程の簡素化の観点からは、樹脂組成物を完全硬化させて自己潤滑性ライナーを完成させた後に、スウェジ加工が行えることが望ましい。
上記のような状況の下、十分なPTFEの含有量を安全に確保でき、且つ、下地面を粗面化する処理を必須としない自己潤滑性ライナー用の樹脂組成物が要望されていた。更に、製造工程の簡素化の観点から、完全硬化した樹脂組成物(自己潤滑性ライナー)に対してスウェジ加工を行っても、割れが生じない自己潤滑性ライナー用の樹脂組成物が要望されていた。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明は、低摩擦係数、高耐久性、高耐荷重性、高耐熱性、高耐油性を有するとともに、硬化後は研削または切削によって寸法調整を行うことが可能であり、下地面を粗面化する処理を必要としない自己潤滑性ライナーを形成するための樹脂組成物であって、製造工程のハンドリングが容易な樹脂組成物を提供することを目的とする。更に、本発明は、完全硬化した樹脂組成物(自己潤滑性ライナー)に対してスウェジ加工を行っても割れが生じ難い自己潤滑性ライナー用の樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、そのような樹脂組成物よりなる自己潤滑性ライナーを有する摺動部材を提供することをも目的とする。
本発明の第1の態様に従えば、紫外線硬化性樹脂組成物であって、下記一般式(1)で表されるイソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレート化合物と、
Figure 0006120817
(一般式(1)中、Xはアクリロイル基を含み、かつC、H及びOのみからなる基であり、YとZは、C、H及びOのみからなる基である)
固体潤滑剤としてポリテトラフルオロエチレン樹脂と、シリコンアクリレート、アクリル基を導入したポリロタキサン及び架橋ポリロタキサンを有するポリウレタン系エラストマー材料の中から選ばれる可とう性付与剤とを含み、前記イソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレート化合物の前記紫外線硬化性樹脂組成物中の含有量が20重量%〜80重量%であり、前記ポリテトラフルオロエチレン樹脂の前記紫外線硬化性樹脂組成物中の含有量が10重量%〜50重量%であり、前記可とう性付与剤が前記シリコンアクリレートである場合には、前記可とう性付与剤は、前記紫外線硬化性樹脂組成物中に0.3重量%〜6重量%含まれ、前記可とう性付与剤が前記アクリル基を導入したポリロタキサン又は前記架橋ポリロタキサンを有するポリウレタン系エラストマー材料である場合には、前記可とう性付与剤は、前記紫外線硬化性樹脂組成物中に0.2重量%〜15重量%含まれることを特徴とする紫外線硬化性樹脂組成物が提供される。
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物において、前記イソシアヌル酸環を有するアクリレート化合物が、ジ-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート及びε‐カプロラクトン変性トリス‐(2‐アクリロキシエチル)イソシアヌレートのいずれか、ジ‐(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートとトリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートの混合物であってもよい。
前記シリコンアクリレートは、シリコンジアクリレート及びシリコンヘキサアクリレートの少なくとも一方を含んでもよい。
前記アクリル基を導入したポリロタキサンは、アクリル基が導入された複数のシクロデキストリン類と、前記複数のシクロデキストリン類に串刺し状に包接されるポリエチレングリコール鎖と、前記ポリエチレングリコール鎖の両末端に配置されるアダマンタン基とを有してもよい。また、前記ポリエチレングリコール鎖の分子量は、20,000〜40,000であってもよい。
前記架橋ポリロタキサンを有するポリウレタン系エラストマー材料は、水酸基導入ポリロタキサンと、イソシアネート基を有する架橋剤とを含み、前記水酸基導入ポリロタキサンが、水酸基が導入された複数のシクロデキストリンと、前記複数のシクロデキストリンに串刺し状に包接されるポリエチレングリコール鎖と、前記ポリエチレングリコール鎖の両末端に配置されるアダマンタン基とを有してもよい。
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、固体潤滑剤として、メラミンシアヌレートを30重量%以下で含んでもよい。
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、さらに、熱硬化剤、ビスフェノールA型エポキシアクリレートのような耐薬品性剤、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたはイソボルニル(メタ)アクリレートのような接着性向上剤、ペンタエリトリトールトリアクリレート及びジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレートのような硬化促進剤、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートのような架橋促進剤、ヒュームドシリカ、ガラス繊維を単独でまたは組み合わせて含んでもよい。
本発明の第2の態様に従えば、第1の態様の紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物が提供される。
本発明の第3の態様に従えば、本発明の第1の態様の紫外線硬化性樹脂組成物による自己潤滑性ライナーが摺動面に形成されていることを特徴とする摺動部材が提供される。前記摺動部材は、滑り軸受または球面滑り軸受になり得る。また、前記自己潤滑性ライナーのヤング率は0.4GPa〜1.0GPaであってもよい。
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、摺動面に塗布し、その後に紫外線照射によって短時間で硬化させることできる。硬化の際には熱可塑性樹脂を用いる場合のような高温・高圧条件も不要であるので、例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を高圧下で融点以上に加熱して分解ガスを発生させるような心配が無く、固体潤滑剤として比較的多量のポリテトラフルオロエチレン樹脂を安全に添加することができる。更に、硬化した樹脂組成物の被塗布面(下地面)への接着が極めて強固であるので、予め被塗布面を粗面化する処理は省略することも可能である。もちろん、より高い接着硬度が求められる場合は、被塗布面を粗面化してから本発明の紫外線硬化性樹脂組成物を塗布して硬化させてもよい。これらのことより、作業の安全性及び省電力性を向上し、設備コストも安価にすることができる。また、硬化した樹脂組成物は容易に切削または研削ができるために、寸法調整などの後加工が可能であるマシナブルライナーを提供することができる。更に、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、完全硬化した樹脂組成物(自己潤滑性ライナー)に対してスウェジ加工を行っても割れが生じ難いため、スウェジ加工前に紫外線照射時間を調整し易くなり、摺動部材の製造工程を容易できる。本発明の摺動部材の製造方法によって、内輪部材と外輪部材との摺動面に自己潤滑性ライナーを備える球面滑り軸受のような軸受を、容易に、低コストで且つ高精度で製造することが可能となる。
本発明の樹脂組成物で形成した自己潤滑性ライナーを有する球面滑り軸受の構造を示す断面図である。 図2(a)〜(c)は、本発明の樹脂組成物で形成した自己潤滑性ライナーを有する球面滑り軸受の製造プロセスを説明する図である。 実施例で調製した樹脂組成物中の可とう性付与剤の含有量と該樹脂組成物から得られた自己潤滑性ライナーのヤング率との関係を示すグラフである。 実施例で製造した球面滑り軸受をセットしたラジアル方向試験治具の断面構造を示す図である。 実施例で製造した球面滑り軸受をセットしたアキシャル方向試験治具の断面構造を示す図である。 図6(a)及び(b)は、本発明に従う球面滑り軸受を組み込んだロッドエンド球面滑り軸受の縦断面図及び横断面図である。
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物及びそれにより形成された自己潤滑性ライナーを有する摺動部材について以下に説明する。
<摺動部材>
最初に、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物により形成された自己潤滑性ライナーを有する摺動部材の例を図1を参照しながら説明する。図1に示す球面滑り軸受20は、凹球面状の内周面22aを有する外輪(レース)22と、凸球面状の外周面26aを有する内輪(ボール)26と、内周面22aと外周面26aとの間に形成された自己潤滑性ライナー層24を有する。外輪(レース)22及び内輪(ボール)26は、軸受鋼、ステンレス鋼、ジュラルミン材、チタン合金などの金属から形成され、自己潤滑性ライナー層24は自己潤滑性を有する樹脂層であり、以下に記載する本発明の紫外線硬化性樹脂組成物を外輪22の内周面に塗布し、硬化させることで形成される。自己潤滑性ライナーは、切削および/または研削により寸法調整が容易であり、この意味で適宜「マシナブルライナー」(加工可能なライナー)と呼ぶことがある。なお、摺動部材は、少なくともその一部に摺動面を有する部材であれば特に限定されない。したがって、球面滑り軸受のみならず、回転運動や並進(直動)運動に使用されるスリーブ軸受などの種々の摺動部材が包含され、これらの摺動部材もまたは本発明の対象である。
<紫外線硬化性樹脂組成物>
紫外線硬化性樹脂組成物(以下、適宜、単に「樹脂組成物」と記載する)は、主に樹脂を構成する成分として、下記一般式(1)で表されるイソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレート化合物を含む。
Figure 0006120817
一般式(1)中、Xはアクリロイル基を含み、且つC、H及びOのみからなる基であり、YとZは、それぞれ、C、H及びOのみからなる基である。YとZは、アクリロイル基を含んでも、含まなくともよい。Xは、好ましくは、アクリロキシエチル基またはε-カプロラクトンで変性されたアクリロキシエチル基であり、Y及びZは、好ましくは、Xと同一の基である。なお、本願において用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
一般式(1)で表されるイソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレート化合物(以下、単に、イソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレートという)は、紫外線硬化性を有することに加えて耐熱性が非常に優れているため、摺動部材の自己潤滑性ライナーなどに好適となる。特に、航空機に組み込まれる摺動部材として使われるためには、163℃以上の耐熱性が要求されるが、このような用途にもイソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレートが好適となる。
このようなイソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレートのうち、樹脂組成物として摺動面に塗布できて、硬化後に摩耗の少ない自己潤滑性ライナーを形成できるものであることが好ましい。このような観点から、ビス(アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ジ-(2-(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス-(2-(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどが好ましい。イソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレートは、単独で、または二種類以上を組み合わせて用いてもよい。特に、ジ-(2-(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス-(2-(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート及びε−カプロラクトン変性トリス-(2‐アクリロキシエチル)イソシアヌレートのいずれか、またはジ-(2-(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレートとトリス-(2-(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレートの混合物が好ましい。
イソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレートは、本発明の樹脂組成物中、20重量%〜80重量%含有され、特に、30重量%〜70重量%含有され得る。20重量%未満であると樹脂の流動性が不足し、塗布することが困難となり、ライナー強度も不足する傾向がある。80重量%を超えると後述する固体潤滑剤の含有量が少なくなるために潤滑性が低下する傾向がある。
紫外線硬化性樹脂組成物は、可とう性付与剤として、シリコンアクリレート、アクリル基を導入したポリロタキサン及び架橋ポリロタキサンを有するポリウレタン系エラストマー材料のいずれか1つを含む。これらの可とう性付与剤は、樹脂組成物の硬化によって得られる自己潤滑性ライナーに適度な可とう性を付与すると共に、自己潤滑性ライナーの重要な特性である低摩擦係数、高耐久性、高耐荷重性、高耐熱性、高耐油性に影響を及ぼさない。したがって、例えば、図1に示す球面滑り軸受20は、スウェジ加工を経て製造する場合、樹脂組成物を完全硬化させて自己潤滑性ライナー層24を完成させた後にスウェジ加工を行っても、自己潤滑性ライナー層24が適度な可とう性を有するため、自己潤滑性ライナー層24の割れを抑制できる。
可とう性付与剤として用いるシリコンアクリレートは、任意のものを用いることができ、例えば、シリコンジアクリレート、シリコンヘキサアクリレート、(メタ)アクリル系シランカップリング剤等を挙げることができるが、中でも、ベースポリマーであるイソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレートとの重合あるいは架橋反応の観点から複数のアクリル基を有するものが好ましく、特にシリコンジアクリレート、シリコンヘキサアクリレートが好ましい。シリコンアクリレートは、紫外線照射により硬化する。シリコンアクリレートの硬化物は柔軟性、耐衝撃性を有するため、樹脂組成物の硬化によって得られる自己潤滑性ライナーに適度な可とう性を付与することができる。可とう性付与剤として用いるシリコンアクリレートは、1種類の化合物を単独で用いても、複数の化合物を混合して用いもよい。
可とう性付与剤として用いるアクリル基を導入したポリロタキサン(以下、適宜「アクリル基導入ポリロタキサン」と記載する)について説明する。ポリロタキサンとは、複数の環状分子と、複数の環状分子に串刺し状に包接される1本の直鎖状分子(軸分子)と、直鎖状分子から環状分子が脱離しないように直鎖状分子の両末端に配置される封鎖基を有する化合物である。そして、本発明で用いるアクリル基導入ポリロタキサンは、ポリロタキサンの環状分子に、アクリル基を含む側鎖が導入された化合物である。
アクリル基導入ポリロタキサンは、紫外線照射によって、環状分子に導入されたアクリル基を介してアクリル基導入ポリロタキサン同士で、又は、他の(メタ)アクリレート化合物等と架橋して硬化する。環状分子は直鎖状分子上を自由に動くことができるため、環状分子に設けられた架橋点は直鎖状分子を動く滑車のように作用し(滑車効果:Pulley Effect)、硬化物のテンションを均一にする。これにより、アクリル基導入ポリロタキサンの硬化物は柔軟性、耐衝撃性を有し、樹脂組成物の硬化によって得られる自己潤滑性ライナーに適度な可とう性を付与することができる。
アクリル基導入ポリロタキサンの環状分子としては、例えばシクロデキストリン類(例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、ジメチルシクロデキストリン及びグルコシルシクロデキストリン、これらの誘導体または変性体等)、クラウンエーテル類、ベンゾクラウン類、ジベンゾクラウン類、及びジシクロヘキサノクラウン類、ならびにこれらの誘導体または変性体が挙げられる。なお、種々の環状分子の中では、水酸基が多く存在し、該水酸基の修飾が容易であること等の点から、特にα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンが好ましく、被包接性等の点からはα−シクロデキストリンがより好ましい。上述のように環状分子には、アクリル基を含む側鎖が導入されているが、アクリル基は、環状分子上に直接導入されていてもよいし、また、他の基を介して間接的に導入されていてもよい。
アクリル基導入ポリロタキサンの直鎖状分子としては、特に限定されるものではなく、ポリアルキレン類、ポリカプロラクトン等のポリエステル類、ポリエチレングリコール等のポリエーテル類、ポリアミド類、ポリアクリル類及びベンゼン環を有する直鎖状分子等が挙げられる。特に、環状分子の包接し易さ等の点から、ポリエチレングリコールが好ましい。直鎖状分子の分子量としては、1,000〜1,000,000とすることが好ましい。直鎖状分子の分子量が1,000未満であると、環状分子による滑車効果が十分に得られなくなって部材の弾性変形量が少なくなり、形状の自己復元性や有効な耐摩耗性が得られなくなることがある。分子量が1,000,000を超えると、原材料の粘度が高くなりすぎて、合成時に均一撹拌が行いにくくなり、安定した化合物が得られにくくなる。本発明の自己潤滑性ライナー用の樹脂組成物に用いるアクリル基導入ポリロタキサンにおいては、直鎖状分子の分子量は20,000〜40,000が特に好ましい。
アクリル基導入ポリロタキサンの封鎖基としては、アダマンタン基類、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、トリチル基類、フルオレセイン類及びピレン類、置換ベンゼン類、置換されていてもよい多核芳香族類等が挙げられる。これらの中でも、化合物の安全性、紫外線により硬化させるので非着色性等の点からアダマンタン基が好ましい。
アクリル基導入ポリロタキサンとしては、例えば、下記一般式(2)で表される化合物を用いることができる。
Figure 0006120817
一般式(2)で表されるアクリル基導入ポリロタキサンは、複数のシクロデキストリン類(環状分子)と、複数のシクロデキストリン類に串刺し状に包接されるポリエチレングリコール鎖(直鎖状分子)と、ポリエチレングリコール鎖からシクロデキストリン類が脱離しないように直鎖状分子の両末端に配置されるアダマンタン基(封鎖基)とを有し、シクロデキストリン類には、ヒドロキシプロピル基、カプロラクトン鎖等を介してアクリル基が導入されている。また、可とう性付与剤として用いるアクリル基導入ポリロタキサンは、1種類の化合物を単独で用いても、複数の化合物を混合して用いもよい。
次に、可とう性付与剤として用いる架橋ポリロタキサンを有するポリウレタン系エラストマー材料(以下、適宜「エラストマー材料」と記載する)について説明する。本発明に用いるエラストマー材料は、上述したポリロタキサンの環状分子に水酸基を含む側鎖が導入された化合物(以下、適宜「水酸基導入ポリロタキサン」)と、イソシアネート基を有する架橋剤とを含有する一液型の熱硬化性のエラストマー材料(生地)である。このエラストマー材料を加熱することにより、水酸基導入ポリロタキサンの水酸基と、架橋剤のイソシアネートとがウレタン結合し、架橋されたポリロタキサンを有するポリウレタン系エラストマーが生成する。生成するポリウレタン系エラストマーは、上述したアクリル基導入ポリロタキサンの硬化物と同様の滑車効果を有し、本発明の樹脂組成物の硬化によって得られる自己潤滑性ライナーに適度な可とう性を付与することができる。尚、エラストマー材料は加熱されることにより架橋反応が生じてエラストマーを生成するため、本発明の樹脂組成物が可とう性付与剤としてエラストマー材料を含有する場合には、本樹脂組成物に紫外線を照射すると共に加熱を行って自己潤滑性ライナーを製造する。
エラストマー材料に含まれる水酸基導入ポリロタキサンは、アクリル基の代わりに水酸基を含む側鎖が環状分子に導入されている以外は、上述したアクリル基導入ポリロタキサンと同様の構造の化合物を用いることができる。水酸基導入ポリロタキサンとしては、例えば、下記一般式(3)で表される化合物を用いることができる。
Figure 0006120817
一般式(3)で表される水酸基導入ポリロタキサンは、複数のシクロデキストリン類(環状分子)と、複数のシクロデキストリン類に串刺し状に包接されるポリエチレングリコール鎖(直鎖状分子)と、ポリエチレングリコール鎖からシクロデキストリン類が脱離しないように直鎖状分子の両末端に配置されるアダマンタン基(封鎖基)を有し、シクロデキストリンには、ヒドロキシプロピル基、カプロラクトン鎖が導入されている。
エラストマー材料に含まれる架橋剤は、イソシアネート基を2つ以上有する化合物であれば、特に限定されるものではなく例えば脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジシアネート、ブロック化ジシアネート等を用いることができる。保存安定性の観点からは、ブロック化ジイソシアネートが好ましい。
エラストマー材料において、水酸基導入ポリロタキサンと、イソシアネート基を有する架橋剤との重量比率は、熱硬化後に適切な特性を有するエラストマーを生成できる範囲内であれば任意の重量比率とすることができる。また、可とう性付与剤として用いるエラストマー材料は、1種類の材料を単独で用いても、複数の材料を混合して用いもよい。
可とう性付与剤がシリコンアクリレートである場合には、シリコンアクリレートは、紫外線硬化性樹脂組成物中に0.3重量%〜6重量%含まれ、可とう性付与剤がアクリル基を導入したポリロタキサン又は架橋ポリロタキサンを有するポリウレタン系エラストマー材料である場合には、アクリル基を導入したポリロタキサン又は架橋ポリロタキサンを有するポリウレタン系エラストマー材料は、前記紫外線硬化性樹脂組成物中に0.2重量%〜15重量%含まれる。樹脂組成物がいずれかの可とう性付与剤をこの範囲で含有することにより、樹脂組成物の硬化によって得られる自己潤滑性ライナーに適度な可とう性を付与できる。また、シリコンアクリレート、アクリル基導入ポリロタキサン及び架橋ポリロタキサンを有するポリウレタン系エラストマー材料のいずれか1種の可とう性付与剤を上述の範囲で含有する樹脂組成物は、該樹脂組成物の硬化によって得られる自己潤滑性ライナーのヤング率が、0.4〜1.0GPaであることが好ましい。自己潤滑性ライナーのヤング率がこの範囲であれば、自己潤滑性ライナーは十分な可とう性を有しており、例えば、完全硬化した樹脂組成物(自己潤滑性ライナー)に対してスウェジ加工を行っても割れが生じ難い。
次に、本発明の樹脂組成物が含有することができる、イソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレート化合物について説明する。
イソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレートの他に、金属との接着性向上剤として、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートを単独で、または二種類以上を紫外線硬化性樹脂組成物に10重量%〜30重量%含有させて良い。
イソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレートの他に、硬化後の強度及び耐熱性を損なわず硬化速度を促進させるために、すなわち硬化促進剤として、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールポリアクリレートの単独または二種類以上を15重量%以下で紫外線硬化性樹脂組成物に含有させて良い。それらの硬化促進剤の含有量が15重量%を超えると硬化が早くなりすぎるため、製造時のハンドリングが難しくなる。
イソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレートの他に、硬化後の強度を損なわず耐薬品性能を付与するために、すなわち耐薬品性剤として、変性ビスフェノールA型エポキシアクリレートまたはビスフェノールA型エポキシ変性アクリレートを20重量%以下で紫外線硬化性樹脂組成物に含有させても良い。ビスフェノールA型エポキシ変性アクリレートは剛直なため、20重量%を超えて含有させると樹脂硬化物に割れが生じてしまうおそれがある。
イソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレートのUV照射の架橋反応の補助剤として、架橋性モノマーを単独で、または二種類以上を5重量%以下で紫外線硬化性樹脂組成物に含有させて良い。架橋性モノマーとしては反応性の等しい不飽和結合を2個以上有するモノマーであり、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は固体潤滑剤を含む。固体潤滑剤は、樹脂組成物の硬化用または重合用に紫外線が照射されるときにも紫外線の透過性を損ねないものがよい。このような点から、有機白色固体潤滑剤のポリテトラフルオロエチレン樹脂(以下、適宜「PTFE」と略する)を用いる。
PTFEは、樹脂組成物全量に対して10〜50重量%、特には、30〜50重量%含有させることができる。PTFEは、粉末状や繊維状など任意の形態のものを単独または組み合わせて使ってもよい。PTFE粉末の粒子または繊維は、その表面をナトリウムナフタレンでエッチング後にエポキシ変性アクリレートで被覆する表面処理を施してもよい。このような表面処理を施すことで、イソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレートより生成するアクリル樹脂との親和性が高まり、アクリル樹脂との結合がより強固となる。これにより、本発明の樹脂組成物を自己潤滑性ライナーとして用いた時に、摺動時にPTFE粒子及び繊維が自己潤滑性ライナーから脱落するのを抑制することができ、自己潤滑性ライナーの摩耗量を少なくすることができる。
本発明ではPTFE以外の固体潤滑剤を用いることもできる。たとえば、メラミンシアヌレートや六方晶窒化ホウ素を含んでもよい。PTFEと共にメラミンシアヌレートを用いることにより、PTFEを単独で用いたときよりも、樹脂組成物硬化後の摩擦係数を低減することができる。この場合、メラミンシアヌレートは樹脂組成物全量に対して30重量%以下で含有させることが望ましい。メラミンシアヌレートの含有量が30重量%を超えると、自己潤滑性ライナーの摩擦係数は下がるが、摩耗量は増える傾向がある。メラミンシアヌレートの構造は6員環構造のメラミン分子とシアヌル酸分子が水素結合で結合して平面状に配列し、その平面が互いに弱い結合で層状に重なり合い、へき開性を有する構造となっている。このような構造が固体潤滑性に貢献していると考えられる。
紫外線によるイソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレートの重合反応を促進させるために、光重合開始剤をイソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレートの重量に対して0.01〜5重量%含有させることが望ましい。光重合開始剤は、例えば、以下のものを単独または複数組み合わせて使用してもよいが、特にこれらに限定されるものではない。ベンゾフェノン、4,4‐ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6‐トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエート、4‐フェニルベンゾフェノン、t‐ブチルアントラキノン、2‐エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐フェニルプロパン‐1‐オン、ベンジルジメチルケタール、1‐ヒドロキシシクロヘキシル‐フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2‐メチル‐〔4‐(メチルチオ)フェニル〕‐2‐モルホリノ‐1‐プロパノン、2‐ベンジル‐2‐ジメチルアミノ‐1‐(4‐モルホリノフェニル)ブタノン‐1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6‐ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2‐ヒドロキシ‐1‐[4‐〔4‐(2‐ヒドロキシ‐2‐メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル]‐2‐メチルプロパン‐1‐オン、メチルベンゾイルホルメート。
本発明の樹脂組成物には、自己潤滑性ライナーの強度を向上させる目的で、ガラス繊維を添加してもよい。ガラス繊維としては、断面形状が円形の円形断面ガラス繊維を用いてもよいし、断面形状が円形ではない異形断面ガラス繊維を用いてもよい。尚、本発明の樹脂組成物は、ガラス繊維の以外にも、強化繊維として、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウムウィスカーのような無機系繊維を含有してもよい。
本発明の樹脂組成物は、更にリン酸塩を含んでもよい。リン酸塩は、樹脂組成物を自己潤滑性ライナーとして用いたときに初期馴染み性を向上し、リン酸塩無添加の場合よりも早期に摩擦係数を安定させることができる。リン酸塩は、樹脂組成物中、1〜5重量%で含むことが好ましい。リン酸塩としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の第三リン酸塩、第二リン酸塩、ピロリン酸塩、亜リン酸塩またはメタリン酸塩が挙げられる。具体的には、リン酸三リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸水素ナトリウム、ピロリン酸リチウム、リン酸三カルシウム、リン酸一水素カルシウム、ピロリン酸カルシウム、メタリン酸リチウム、メタリン酸マグネシウム、メタリン酸カルシウムなどが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、ヒュームドシリカを含んでもよい。ヒュームドシリカは、チクソ性を付与するために使用される。樹脂組成物は、チクソ性が不足すると摺動面に塗布した際に液だれしてライナー成形が困難となる。このため、ヒュームドシリカを添加してチクソ性を調整することができる。ヒュームドシリカは、樹脂組成物の5重量%以下で含むことが好ましい。ヒュームドシリカの含有量が5重量%を超えると、ライナーの摩耗量が増えるので好ましくない。
本発明の樹脂組成物は、室温において液状であることが望ましい。これにより、摺動部材の摺動面に容易に塗布することができ、塗布後、紫外線を照射することで硬化させることができる。航空機用途の場合は、後述するAS81820規格の耐熱性要求を満足する必要があるということと、特許文献3(特開2011−247408号公報)のポリエーテルケトン系樹脂系ライナーと同程度以上の耐熱性を確保したいという理由から本発明の樹脂組成物のガラス転位転Tgは150℃以上であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物の用途によっては、樹脂組成物にさらに熱硬化剤を添加して、紫外線照射と共に、加熱して樹脂組成物を硬化させてもよい。これにより、耐摩耗性が向上する。熱硬化剤としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスジエチルバレロニトリル等のアゾ化合物などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
本発明の樹脂組成物には、その他、熱硬化剤、酸化防止剤、光安定剤、重合禁止剤、保存安定剤などの各種添加剤を必要に応じて添加することができる。これらの添加剤と熱硬化剤との添加総量は、樹脂組成物全体の5重量%以下であることが望ましい。
本発明の樹脂組成物は、液状の紫外線硬化性樹脂を樹脂のベースとして用いているので、PTFEを含む固体潤滑剤を混合することが容易であり且つ、熱可塑性樹脂を樹脂ベースとした場合では配合できなかった30〜50重量%という高配合量でPTFEを添加することができるので、より低摩擦で摩耗の少ない自己潤滑性ライナーを製造することができる。
本発明では、一般式(1)で表されるイソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレート化合物と固体潤滑剤であるPTFEとを含む紫外線硬化性樹脂組成物を前記摺動部材の摺動面に塗布し、紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させることで自己潤滑性ライナーが形成された摺動部材の製造方法もまた提供される。この自己潤滑性ライナーは、所望の寸法に切削および/または研削により後加工することができるマシナブルライナーとなる。
本発明の摺動部材は、凹状の第1軸受面を有する外輪部材と第1軸受面上を摺動可能な凸状の第2軸受面を有する内輪部材とを備える球面滑り軸受になり得る。このような球面滑り軸受を製造する場合、最初に、本発明に従う紫外線硬化性樹脂組成物を摺動面としての第1軸受面または第2軸受面に塗布する。次いで、第1軸受面または第2軸受面に塗布された紫外線硬化性樹脂組成物に紫外線を照射して硬化させる。その後、外輪部材に内輪部材を挿入して、外輪部材をプレスして内輪部材の凸面に沿うように塑性変形させることにより前記自己潤滑性ライナーを形成することができる。また、可とう性付与剤として架橋ポリロタキサンを有するポリウレタン系エラストマー材料を用いる場合、紫外線を照射すると共に加熱することにより、紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させることが好ましい。また、紫外線硬化性樹脂組成物に熱硬化剤を含ませて、紫外線を照射すると共に加熱することにより、紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させてもよい。
本発明の樹脂組成物及びそれより形成した自己潤滑性ライナーを備える摺動部材を実施例により説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
<紫外線硬化樹脂組成物の製造>
[実施例1]
イソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレート化合物として、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート(A−9300−1CL、新中村化学工業社製)と、可とう性付与剤としてシリコンジアクリレート(EBECRYL350、ダイセル・オルネクス社製)、固形潤滑剤としてメラミンシアヌレート(MELAPUR MC25、BASF社製)及びPTFE(KT−60、喜多村社製)と、光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(DAROCURE1173、BASF社製)と、ガラス繊維(平均繊維長80μm×平均径φ11μm、PT80E−401、日東紡社製)と、ヒュームドシリカ(AEROSIL R972、日本アエロジル社製)と、添加剤を、それぞれ、表1に記載の組成となるように混合して液状の樹脂組成物を調合した。添加剤として、熱硬化剤、酸化防止剤、光安定剤、重合禁止剤、保存安定剤をそれぞれ微量で含み、その総含有量を表1に示した。
[実施例2]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、シリコンジアクリレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表1に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例3]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、シリコンジアクリレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表1に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例4]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、シリコンジアクリレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表1に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例5]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、シリコンジアクリレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表1に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例6]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、シリコンジアクリレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表1に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例7]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、シリコンジアクリレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表1に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例8]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、シリコンジアクリレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表1に記載の重量%で用い、メラミンシアヌレートを用いなかった以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例9]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、シリコンジアクリレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、添加剤とを表1に記載の重量%で用い、ヒュームドシリカを用いなかった以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例10]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、シリコンジアクリレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表1に記載の重量%で用い、ガラス繊維を用いなかった以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例11]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、シリコンジアクリレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、添加剤とを表1に記載の重量%で用い、ガラス繊維及びヒュームドシリカを用いなかった以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例12]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、シリコンジアクリレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表1に記載の重量%で用い、さらに、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(EBECRYL3700、ダイセル・オルネクス社製)を10重量%で添加した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例13]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、シリコンジアクリレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表1に記載の重量%で用い、さらに、ビスフェノールA型エポキシアクリレートを5重量%、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート(A−DPH、新中村化学工業社製)を5重量%、イソボルニルメタクリレート(ライトエステルIB−X、共栄社化学社製)を4重量%、ヒドロキシエチルメタクリレート(ライトエステルHO−250(N)、共栄社化学社製)を4重量%、エチレングリコールジメタクリレート(1G、新中村化学工業社製)を2重量%で添加した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例14]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、シリコンジアクリレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表2に記載の重量%で用い、さらに、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレートを5重量%、ペンタエリトリトールトリアクリレート(ライトアクリレートPE-3A、共栄社化学社製)を5重量%、ヒドロキシエチルメタクリレートを5重量%で添加した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例15]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、シリコンジアクリレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表2に記載の重量%で用い、さらに、ペンタエリトリトールトリアクリレートを5重量%、エチレングリコールジメタクリレートを5重量%で添加した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例16]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートの代わりに、ジ−(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート及びトリス−(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート(FA−731AT、日立化成社製)をそれぞれ22.5重量%及び22.5重量%で用い、シリコンジアクリレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表2に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例17]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートの代わりに、ジ−(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート(M―215、東亞合成社製)を45重量%で用い、シリコンジアクリレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表2に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例18]
シリコンジアクリレートの代わりに、シリコンヘキサアクリレート(EBECRYL1360、ダイセル・オルネクス社製)を0.5重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表2に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例19]
シリコンジアクリレートの代わりに、シリコンヘキサアクリレートを3重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表2に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例20]
シリコンジアクリレートの代わりに、シリコンヘキサアクリレートを6重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表2に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例21]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、シリコンジアクリレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表2に記載の重量%で用い、さらに、シリコンヘキサアクリレートを1.5重量%で添加した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例22]
シリコンジアクリレートの代わりに、一般式(2)で表されるアクリル基導入ポリロタキサン(直鎖状分子の分子量:35,000)(SA3400C、アドバンスト・ソフトマテリアルズ社製)を0.5重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表2に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例23]
シリコンジアクリレートの代わりに、一般式(2)で表されるアクリル基導入ポリロタキサン(直鎖状分子の分子量:35,000)を1重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表2に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例24]
シリコンジアクリレートの代わりに、一般式(2)で表されるアクリル基導入ポリロタキサン(直鎖状分子の分子量:35,000)を3重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表2に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例25]
シリコンジアクリレートの代わりに、一般式(2)で表されるアクリル基導入ポリロタキサン(直鎖状分子の分子量:35,000)を6重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表2に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例26]
シリコンジアクリレートの代わりに、一般式(2)で表されるアクリル基導入ポリロタキサン(直鎖状分子の分子量:35,000)を10重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表2に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例27]
シリコンジアクリレートの代わりに、一般式(2)で表されるアクリル基導入ポリロタキサン(直鎖状分子の分子量:35,000)を15重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表3に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例28]
シリコンジアクリレートの代わりに、一般式(2)で表されるアクリル基導入ポリロタキサン(直鎖状分子の分子量:20,000)(SA2400C、アドバンスト・ソフトマテリアルズ社製)を0.5重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表3に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例29]
シリコンジアクリレートの代わりに、一般式(2)で表されるアクリル基導入ポリロタキサン(直鎖状分子の分子量:20,000)を6重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表3に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例30]
シリコンジアクリレートの代わりに、一般式(2)で表されるアクリル基導入ポリロタキサン(直鎖状分子の分子量:20,000)を10重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表3に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例31]
シリコンジアクリレートの代わりに、一般式(2)で表されるアクリル基導入ポリロタキサン(直鎖状分子の分子量:20,000)を15重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表3に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例32]
シリコンジアクリレートの代わりに、一般式(2)で表されるアクリル基導入ポリロタキサン(直鎖状分子の分子量:35,000)を3重量%及び一般式(2)で表されるアクリル基導入ポリロタキサン(直鎖状分子の分子量:20,000)を3重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表3に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例33]
シリコンジアクリレートの代わりに、一般式(3)で表される化合物を含む架橋ポリロタキサンを有するウレタン系エラストマー材料(SH3400M、アドバンスト・ソフトマテリアルズ社製)を0.5重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表3に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例34]
シリコンジアクリレートの代わりに、一般式(3)で表される化合物を含む架橋ポリロタキサンを有するウレタン系エラストマー材料を1重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表3に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例35]
シリコンジアクリレートの代わりに、一般式(3)で表される化合物を含む架橋ポリロタキサンを有するウレタン系エラストマー材料を3重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表3に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例36]
シリコンジアクリレートの代わりに、一般式(3)で表される化合物を含む架橋ポリロタキサンを有するウレタン系エラストマー材料を6重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表3に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例37]
シリコンジアクリレートの代わりに、一般式(3)で表される化合物を含む架橋ポリロタキサンを有するウレタン系エラストマー材料を10重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表3に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[実施例38]
シリコンジアクリレートの代わりに、一般式(3)で表される化合物を含む架橋ポリロタキサンを有するウレタン系エラストマー材料を15重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表3に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[比較例1]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表4に記載の重量%で用い、シリコンジアクリレートを用いなかった以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[比較例2]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、シリコンジアクリレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表4に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[比較例3]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、シリコンジアクリレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表4に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[比較例4]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、シリコンジアクリレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表4に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[比較例5]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、シリコンジアクリレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表4に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[比較例6]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、シリコンジアクリレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表4に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[比較例7]
ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、シリコンジアクリレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表4に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[比較例8]
シリコンジアクリレートの代わりに、シリコンヘキサアクリレートを10重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表4に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[比較例9]
シリコンジアクリレートの代わりに、一般式(2)で表されるアクリル基導入ポリロタキサン(直鎖状分子の分子量:35,000)を20重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表4に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[比較例10]
シリコンジアクリレートの代わりに、一般式(2)で表されるアクリル基導入ポリロタキサン(直鎖状分子の分子量:20,000)を20重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表4に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
[比較例11]
シリコンジアクリレートの代わりに、一般式(3)で表される化合物を含む架橋ポリロタキサンを有するウレタン系エラストマー材料を20重量%で用い、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートと、メラミンシアヌレートと、PTFEと、光重合開始剤と、ガラス繊維と、ヒュームドシリカと、添加剤とを表4に記載の重量%で用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調合した。
Figure 0006120817
Figure 0006120817
Figure 0006120817
Figure 0006120817
表1〜表4に示す紫外線硬化性樹脂組成物中に含まれる化合物は以下である。

CTAI:ε‐カプロラクトン変性トリス‐(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート
DATIC:ジ‐(2‐アクリロキシエチル)イソシアヌレート
TAEIC:トリス‐(2‐アクリロキシエチル)イソシアヌレート
可とう性付与剤A:シリコンアクリレート
可とう性付与剤B:アクリル基導入ポリロタキサン
可とう性付与剤C:架橋ポリロタキサンを有するポリウレタン系エラストマー材料
SDA:シリコンジアクリレート
SHA:シリコンヘキサアクリレート
AP3:一般式(2)で表されるアクリル基導入ポリロタキサン(直鎖状分子の分子量:35,000)
PA2:一般式(2)で表されるアクリル基導入ポリロタキサン(直鎖状分子の分子量:20,000)
PoEr:一般式(3)で表される化合物を含む架橋ポリロタキサンを有するウレタン系エラストマー材料
BEA:ビスフェノールA型エポキシアクリレート
DPHA:ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート
PETA:ペンタエリトリトールトリアクリレート
IBXMA:イソボルニルメタクリレート
HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート
EGDM:エチレングリコールジメタクリレート
MC:メラミンシアヌレート樹脂
PTFE:ポリテトラフルオロエチレン樹脂
光重合剤:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン
GF:ガラス繊維
FS:ヒュームドシリカ
添加剤:熱硬化剤、酸化防止剤、光安定剤、重合禁止剤、保存安定剤
<自己潤滑性ライナーの製造>
SUS630ステンレス鋼をH1150条件で熱処理した材料を用いて図1に示すような球面状の滑り軸受20を作製した。球面状の滑り軸受20において、レース外径22b:25.4mm、ボール内径26b:12.7mm、レース幅22c:9.9mm、ボール幅26c:12.7mm、ライナー24の厚み:0.25mmとした。
球面滑り軸受20は、図2(a)〜図2(c)に示すようなスウェジ加工によるプロセスで製造した。最初に、外輪22の内周面22aに実施例1〜38及び比較例1〜11で調製した樹脂組成物を塗布してマシナブルライナー24を形成した。その後、外輪22に内輪26を挿入した(図2(a))。次に、スウェジ加工によって外輪22を内輪26の外周面に倣うようにプレスで塑性変形させた(図2(b))。次いで、切削加工によって外輪22の外側の仕上げを行い、球面滑り軸受20を完成させた(図2(c))。こうして実施例1〜38及び比較例1〜11で調製した樹脂組成物、及び該樹脂組成物よりなるマシナブルライナーについて性能評価を行った。
<スウェジ加工に関するシミュレーション>
スウェジ加工により割れが発生せず、航空機用の球面滑り軸受として使用可能なマシナブルライナーのヤング率の範囲を有限要素解析(FEA)により検討した。
実際のスウェジ加工によるマシナブルライナーの割れは、マシナブルライナーの端部(エッジ部)付近で生じる場合がある。ライナーの端部は一面が拘束されていないため、三軸応力状態となるライナーの中央付近よりも低い圧縮応力で割れると推測される。そこで、ヤング率1.1GPaの従来のマシナブルライナーがスウェジ加工で割れた時の状態を有限要素解析(FEA)で再現し、マシナブルライナーのエッジ部の最大圧縮応力を求めた。その結果、マシナブルライナーのエッジ部の最大圧縮応力は、300MPaであった。一方、航空機用球面すべり軸受の規格であるAS81820規格によると、航空機用のライナータイプ球面滑り軸受のコンフォミティの最大許容値は0.076mmである。コンフォミティとは、スウェジ加工で外輪
(レース)を塑性変形させた後のライナー厚みの最大と最小の差である。以上から、スウェジ加工で割れが生じず、航空機用の球面滑り軸受として使用可能なマシナブルライナーの条件は、スウェジ加工時のマシナブルライナーのエッジ部の圧縮応力が300MPa未満であり、コンフォミティが0.076mm以下であることがわかった。
次に、有限要素解析(FEA)により、マシナブルライナーのヤング率を変化させた際のエッジ部の最大圧縮応力の変化及びコンフォミティの変化をシミュレーションした。更に、シミュレーション結果から、以下の判断基準に基づき、上述の航空機用の球面滑り軸受として使用可能なマシナブルライナーの条件に合致するか否か判断した。結果を表5に示す。
シミュレーション結果の判断基準:
○:スウェジ加工時のマシナブルライナーのエッジ部の圧縮応力が300MPa未満であり、コンフォミティが0.076mm以下である。
×:スウェジ加工におけるマシナブルライナーのエッジ部の圧縮応力が300MPa以上であるか、またはコンフォミティが0.076mmを超える。
Figure 0006120817
表5から、スウェジ加工により割れが発生せず、航空機用の球面滑り軸受として使用可能なマシナブルライナーのヤング率は、0.4〜1.0GPaであることがわかった。
<マシナブルライナーの性能評価>
1.ヤング率の測定
次に、実施例1〜4、22〜27、33〜38、比較例1、6、7、9及び11で調製した樹脂組成物から得られた試料でヤング率を測定した。ヤング率の測定は、JIS7161の測定方法にしたがって、各実施例及び比較例の樹脂組成物から試験片としてダンベル状3号を作製して引張り試験機で実施し、得られた測定値をマシナブルライナーのヤング率とした。表6に、実施例1〜4、22〜27、33〜38、比較例1、6、7、9及び11における樹脂組成物中の可とう性付与剤の含有量及び測定したヤング率を示す。実施例1〜4、比較例6及び7は、可とう性付与剤としてシリコンアクリレートであるシリコンジアクリレートを用い、実施例22〜27及び比較例9は、可とう性付与剤としてアクリル基導入ポリロタキサン(直鎖状分子の分子量:30,000)を用い、実施例33〜38及び比較例11は、可とう性付与剤として架橋ポリロタキサンを有するポリウレタン系エラストマー材料を用いた例である。そして、比較例1は、樹脂組成物中に可とう性付与剤を含んでいない例である。尚、表6に記載した全ての実施例及び比較例では、樹脂組成物中において、イソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレートと可とう性付与剤との合計含有量は51重量%とした。
Figure 0006120817
図3に、表6に示す樹脂組成物中の可とう性付与剤の含有量と、各樹脂組成物から得られたマシナブルライナーのヤング率との関係を可とう性付与剤の種類ごとに示す。図3に示すように、樹脂組成物中のシリコンアクリレートの含有量が0.3〜6重量%であるとき、アクリル基導入ポリロタキサンの含有量が0.2〜15重量%であるとき、及び架橋ポリロタキサンを有するポリウレタン系エラストマー材料の含有量が0.2〜15重量%であるとき、マシナブルライナーのヤング率は、0.4〜1.0GPaであった。この結果から、シリコンアクリレート、アクリル基導入ポリロタキサン及び架橋ポリロタキサンを有するポリウレタン系エラストマー材料のいずれか1種の可とう性付与剤が樹脂組成物中に含まれ、樹脂組成物中のシリコンアクリレートの含有量が0.3〜6重量%、アクリル基導入ポリロタキサンの含有量が0.2〜15重量%、または架橋ポリロタキサンを有するポリウレタン系エラストマー材料の含有量が0.2〜15重量%であるとき、スウェジ加工により割れが発生せず、航空機用の球面滑り軸受として使用可能なマシナブルライナーが得られることがわかった。
2.スウェジ加工性及びコンフォミティの評価
まず、実施例1〜38及び比較例1〜11で調製した樹脂組成物から得られたマシナブルライナーのスウェジ加工性を以下の評価基準に従って判断した。結果を表7〜9に示す。
スウェジ加工性の評価基準:
A :スウェジ加工により、マシナブルライナーに割れが発生しなかった。
B1:スウェジ加工により、マシナブルライナーに割れが発生した。
B2:スウェジ加工時に、マシナブルライナーが変形して外輪の外へ飛び出した。
次に、スウェジ加工性が良好(評価結果:A)であった実施例及び比較例について、コンフォミティを測定した。結果を表7〜9に示す。
更に、以下の評価基準に従って、スウェジ加工性及びコンフォミティの総合評価を行った。結果を表7〜9に示す。
スウェジ加工性及びコンフォミティの総合評価基準:
○:スウェジ加工性が良好(評価結果:A)であり、コンフォミティがAS81820規格要求を満たした(0.076mm以下であった)。
△:スウェジ加工性が良好(評価結果:A)であったが、コンフォミティがAS81820規格要求を満たさなかった(0.076mmを超えた)。
×:スウェジ加工性が不良であった(評価結果:B1またはB2)
Figure 0006120817
Figure 0006120817
Figure 0006120817
表7及び8に示すように、樹脂組成物中のシリコンアクリレートの含有量が0.3〜6重量%、アクリル基導入ポリロタキサンの含有量が0.2〜15重量%、または架橋ポリロタキサンを有するポリウレタン系エラストマー材料の含有量が0.2〜15重量%である全ての実施例1〜38は、総合評価が良好であり(総合評価結果:○)、スウェジ加工によりマシナブルライナーに割れが発生せず、航空機用の球面滑り軸受として使用可能なマシナブルライナーが得られることがわかった。
一方、表9に示すように、樹脂組成物中に可とう性付与剤を含有していない比較例1では、スウェジ加工によりマシナブルライナーに割れが発生した(総合評価結果:×)。また、樹脂組成物中のイソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレートの含有量が80重量%を超え、且つポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)の含有量が10重量%未満である比較例2、アクリル基を導入したポリロタキサンの含有量が15重量%を超えている比較例9及び10では、スウェジ加工性が良好であったが、得られたマシナブルライナーのコンフォミティが0.076mmを越えてAS81820規格基要求を満たさなかった(総合評価結果:△)。また、樹脂組成物中のイソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレートの含有量が20重量%未満である比較例3、PTFEの含有量が50重量%を超えている比較例4、シリコンアクリレートの含有量が6重量%を超え、且つメラミンシアヌレート樹脂(MC)の含有量が30重量%を超えている比較例5、シリコンアクリレートの含有量が6重量%を超える比較例6〜8、及び架橋ポリロタキサンを有するポリウレタン系エラストマー材料の含有量が15重量%を超える比較例11では、スウェジ加工時にマシナブルライナーが変形して外輪の外へ飛び出してしまった(総合評価結果:×)。比較例3〜8及び11のマシナブルライナーは、ヤング率が低く柔らかいため、スウェジ加工時に大きく変形したものと推測される。
次に、スウェジ加工性及びコンフォミティの総合評価が良好(評価結果:○)であった全ての実施例1〜38のマシナブルライナーについて、以下に説明するラジアル静的限界荷重(静荷重試験)、アキシャル静的限界荷重(静荷重試験)、ラジアル荷重下での揺動試験及び耐油性確認試験を行った。
3.ラジアル静的限界荷重(静荷重試験)
この試験におけるAS81820規格要求を表10に示す。AS81820規格は、ポリテトラフルオロエチレン含有ライナーを備えた航空機用球面すべり軸受の規格であり、表10の左欄に示すように、球面状の滑り軸受の材料(アルミ合金とステンレス鋼)及び内径寸法ごとにラジアル静的限界荷重を定めている。実施例1〜38で用いた球面状の滑り軸受の材料及び寸法からすれば、表10に記載の型式番号MS14104−8に相当するので、最大試験荷重は80kN(17900lb)とした。
Figure 0006120817
まず、図4に示すように球面すべり軸受20を試験治具T1にセットする。試験治具T1は、軸部材32を支持する断面H字状の基部40と、軸部材32が挿入された球面状の滑り軸受20のラジアル方向に負荷をかけるためのハウジング41と、基部40の下方に設置されたダイヤルゲージ42を有する。球面すべり軸受20の内輪の内径に、炭素鋼製の軸部材32を嵌合させ、ラジアル方向に荷重を負荷する。荷重はラジアル静的限界荷重値80kN(17900lb)まで徐々に増加させ、限界荷重値に達したら徐々に除荷させる。試験中はダイヤルゲージ42で変位を測定し、荷重をゼロに戻したときの永久歪量を荷重−変位曲線から読み取る。AS81820規格要求によると、このときの永久歪量(ラジアル静的限界荷重負荷後の最大許容永久歪量)は、0.076mm(0.003in)以下でなければならない。実施例1〜38で調製した樹脂組成物から得られた自己潤滑性ライナーは、80kNの負荷時における歪量がいずれも0.38mm以下であった。また、負荷後の永久歪量は、実施例1〜38のいずれの例の自己潤滑性ライナーでも0.076mm以下であった。評価結果を表11及び表12に示す。
4.アキシャル静的限界荷重(静荷重試験)
まず、図5に示すように球面滑り軸受20を試験治具T2にセットする。試験治具T2は、球面滑り軸受20を外輪(レース)の端部で支持する段付きの断面中空状軸の基部70と、球面滑り軸受20のアキシャル方向に負荷をかけるための段付きシャフト71と、基部70の下方に設置されたダイヤルゲージ72を有する。球面すべり軸受20の内輪の内径に、段付きシャフト71を嵌合させ、アキシャル方向に荷重を負荷する。荷重は、表10の右欄に記載される規格上のアキシャル静的限界荷重値9.3kN(2,100lb)まで徐々に増加させ、限界荷重値に達したら徐々に除荷させる。試験中はダイヤルゲージ72で変位を測定し、荷重をゼロに戻したときの永久歪量を荷重−変位曲線から読み取る。AS81820規格要求によると、このときの永久歪量(アキシャル静的限界荷重負荷後の最大許容永久歪量)は、0.127mm(0.005in)以下でなければならない。負荷後の永久歪量は、実施例1〜38のいずれの例の自己潤滑性ライナーでも0.127mm以下であった。評価結果を表11及び表12に示す。
5.ラジアル荷重下での揺動試験
揺動試験は、常温、温度163℃(+6℃/−0℃)の高温及び温度−54℃以下の低温の3つの温度条件下で行われる。この試験におけるAS81820規格要求は、常温揺動試験における許容可能なライナー摩耗量の上限値は、1,000サイクル後0.089mm(0.0035in)、5,000サイクル後0.102mm(0.0040in)、25,000サイクル後0.114mm(0.0045in)である。高温揺動試験における25,000サイクル後の摩耗量の上限値は0.152mm(0.0060in)である。また、低温揺動試験における25,000サイクル後の摩耗量の上限値は0.203mm(0.0080in)である。
(a)常温揺動試験
図4のように球面滑り軸受20を試験治具T1にセットして、表10の右欄に記載された規格上の要求荷重46.3kN(10,400lb)をラジアル方向に掛けて静的に15分間保持する。15分経過後ダイヤルゲージ42の変位量をゼロにセットして軸部材32の揺動を開始する。軸部材32は±25°の角度範囲で揺動させる。角度位置0°から+25°まで行って0°へ戻り、次に−25°まで行って再度0°へ戻るまでを1サイクルとし、揺動速度は毎分10サイクル(10CPM)以上とする。今回の試験では毎分20サイクルとした。揺動試験中はダイヤルゲージ42から摩耗量を読み取り、記録する。常温揺動試験25000サイクル後の摩耗量は、実施例1〜38のいずれの例の自己潤滑性ライナーでも0.114mm以下であった。評価結果を表11及び表12に示す。
(b)高温揺動試験
図4の試験治具T1において軸部材32とライナーを温度163℃〜169℃に保った以外は、常温揺動試験と同様の方法で、揺動荷重46.3kNの一定方向ラジアル荷重下で±25°揺動(10CPM以上)させる高温揺動試験を行った。高温揺動試験25000サイクル後の摩耗量は、実施例1〜38のいずれの例の自己潤滑性ライナーでも0.152mm以下であった。評価結果を表11及び表12に示す。
(c)低温揺動試験
図4の試験治具T1において軸部材32とライナーを温度−54℃以下の低温に保ち、ラジアル荷重を常温揺動試験の75%の34.7kNとし、揺動速度を毎分5サイクル(5CPM)以上とした以外は、常温揺動試験と同様の方法で、揺動荷重34.7kNの一定方向ラジアル荷重下で±25°揺動(5CPM以上)させる低温揺動試験を行った。低温揺動試験25000サイクル後の摩耗量は、実施例1〜38のいずれの例の自己潤滑性ライナーでも0.203mm以下であった。評価結果を表11及び表12に示す。
6.耐油性確認試験
この試験におけるAS81820規格要求は、耐油性確認試験後の許容可能なライナー磨耗量上限値が0.152mm(0.0060in)である。上記のようにして作製したマシナブルライナーを有する球面滑り軸受20を温度71℃±3℃で、下記に示す6種類の油剤a〜fにそれぞれ24時間浸漬させた後、油剤から取り出して30分以内に上記の常温揺動試験を行った。ただし、油剤bについては温度43℃±3℃で、24時間浸漬させた。また、油剤eについては上記の揺動試験の75%の面圧条件とした。
油剤a.Skydrol(商標)500B作動液
油剤b.MIL−DTL−5624タービン燃料油JP4またはJP5
油剤c.MIL−PRF−7808潤滑油
油材d.MIL−PRF−5606油圧作動油
油剤e.AS8243凍結防止剤
油剤f.MIL−PRF−83282作動液
上記試験の結果、油剤fに24時間浸漬させた後の揺動試験において、全実施例1〜38のいずれの例の自己潤滑性ライナーも、25,000サイクル後のライナー摩耗量が0.152mm以下であった。評価結果を表11及び表12に示す。尚、油剤fを用いた耐油性確認試験は、油剤a〜油剤fを用いた試験の中で最も過酷な条件の試験である。油剤a〜油剤eを用いた耐油性確認試験においても、油剤fを用いた試験と同様、ライナー摩耗量はAS81820規格要求を満たした。
Figure 0006120817
Figure 0006120817
スウェジ加工によりマシナブルライナーに割れが生じず、航空機用の球面滑り軸受として使用可能である実施例1〜38のマシナブルライナーは、表11及び表12に示すように、高耐久性、高耐荷重性、高耐熱性、高耐油性を有することが確認された。
上記実施例では、本発明の樹脂組成物を図1に示すような形状の球面滑り軸受20に適用したが、それに限らず種々の形状及び構造の摺動部材に適用することができる。
<ロッドエンド球面滑り軸受>
上記球面滑り軸受20をロッドエンドボディ50に組み込んだロッドエンド球面滑り軸受60の例を図6に示す。ロッドエンドボディ50は、球面滑り軸受20を組み込む貫通穴52aを有する頭部52と、メネジまたはオネジ56を設けた軸部54からなる。軸部54は頭部52から貫通穴52aの半径方向に延在する略円筒体である。球面滑り軸受20は貫通穴52aに挿入された後、貫通穴52aの縁に形成されているV溝(不図示)をカシメることによってロッドエンドボディ50に固定される。
本発明を実施例により説明してきたが、本発明はそれらに限定されることなく、特許請求の範囲内において種々に形態または態様で具現化することができる。例えば、前記具体例においては、球面滑り軸受及びロッドエンド球面滑り軸受の外輪の内周面に自己潤滑性ライナーを形成したが、内輪の外周面に自己潤滑性ライナーを形成してもよい。また、摺動部材として、球面滑り軸受及びロッドエンド球面滑り軸受例に挙げて説明したが、本発明はそれらに限らず自己潤滑性ライナーを有する摺動部材であれば任意の摺動部材に適用することができる。特に、上記実施形態では、部材やパーツの回転運動に使用される摺動部材を例に挙げて説明したが、本発明の摺動部材は、回転運動に限らず、部材やパーツの並進(直動)運動、揺動運動、それらの組み合わせ運動など任意の方向の摺動運動に使用される摺動部材も包含している。
以上説明してきたように、本発明の樹脂組成物は、摺動部材の摺動面に塗布して紫外線照射によって硬化させることで自己潤滑性ライナーとして利用することができる。樹脂組成物の硬化のために高温・高圧プロセスは不要であり、さらに、硬化した樹脂組成物の被塗布面(下地面)への接着が極めて強固であるので、被塗布面を粗面化する処理は省略可能となる。それゆえ、作業の安全性を確保しつつ比較的多量のPTFEを含有させることができ、設備コストも安価にすることができる。このように形成した自己潤滑性ライナーは、スリーブ軸受及び球面滑り軸受などの滑り軸受を含む各種の摺動部材に形成することができる。また、本発明の樹脂組成物により形成された自己潤滑性ライナーを摺動部材が備えることによって、ライナー面の切削や研削などが可能となり、エンドユーザ側で軸を組み付ける際に軸受の内径寸法の微調整が可能となる。それゆえ、本発明の樹脂組成物及びそれより形成される自己潤滑性ライナーを備える摺動部材は、船舶、航空機、自動車、電子製品、家電などの広範な分野で極めて有用となる。
20 球面滑り軸受
22 外輪
24 マシナブルライナー
26 内輪
40,70 基部
50 ロッドエンドボディ
60 ロッドエンド球面滑り軸受
T1,T2 試験冶具

Claims (17)

  1. 紫外線硬化性樹脂組成物であって、下記一般式(1)で表されるイソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレート化合物と、
    Figure 0006120817
    (一般式(1)中、Xはアクリロイル基を含み、かつC、H及びOのみからなる基であり、YとZは、C、H及びOのみからなる基である)
    固体潤滑剤としてポリテトラフルオロエチレン樹脂と、
    シリコンアクリレート、アクリル基を導入したポリロタキサン及び架橋ポリロタキサンを有するポリウレタン系エラストマー材料の中から選ばれる可とう性付与剤とを含み、
    前記イソシアヌル酸環を有する(メタ)アクリレート化合物の前記紫外線硬化性樹脂組成物中の含有量が20重量%〜80重量%であり、
    前記ポリテトラフルオロエチレン樹脂の前記紫外線硬化性樹脂組成物中の含有量が10重量%〜50重量%であり、
    前記可とう性付与剤が前記シリコンアクリレートである場合には、前記可とう性付与剤は、前記紫外線硬化性樹脂組成物中に0.3重量%〜6重量%含まれ、
    前記可とう性付与剤が前記アクリル基を導入したポリロタキサン又は前記架橋ポリロタキサンを有するポリウレタン系エラストマー材料である場合には、前記可とう性付与剤は、前記紫外線硬化性樹脂組成物中に0.2重量%〜15重量%含まれることを特徴とする紫外線硬化性樹脂組成物。
  2. 前記イソシアヌル酸環を有するアクリレート化合物が、ジ-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート及びε‐カプロラクトン変性トリス‐(2‐アクリロキシエチル)イソシアヌレートのいずれか、ジ‐(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートとトリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  3. 前記イソシアヌル酸環を有するアクリレート化合物が、ジ-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートとトリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレートの混合物またはε‐カプロラクトン変性トリス(2‐アクリロキシエチル)イソシアヌレートであることを特徴とする請求項1又は2に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  4. 前記可とう性付与剤が前記シリコンアクリレートであり、
    前記シリコンアクリレートが、シリコンジアクリレート及びシリコンヘキサアクリレートの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  5. 前記可とう性付与剤が前記アクリル基を導入したポリロタキサンであり、
    前記アクリル基を導入したポリロタキサンが、
    アクリル基が導入された複数のシクロデキストリン類と、
    前記複数のシクロデキストリン類に串刺し状に包接されるポリエチレングリコール鎖と、
    前記ポリエチレングリコール鎖の両末端に配置されるアダマンタン基とを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  6. 前記ポリエチレングリコール鎖の分子量が、20,000〜40,000であることを特徴とする請求項5に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  7. 前記可とう性付与剤が前記架橋ポリロタキサンを有するポリウレタン系エラストマー材料であり、
    前記架橋ポリロタキサンを有するポリウレタン系エラストマー材料が、水酸基導入ポリロタキサンと、イソシアネート基を有する架橋剤とを含み、
    前記水酸基導入ポリロタキサンが、水酸基が導入された複数のシクロデキストリンと、前記複数のシクロデキストリンに串刺し状に包接されるポリエチレングリコール鎖と、前記ポリエチレングリコール鎖の両末端に配置されるアダマンタン基とを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  8. 前記紫外線硬化性樹脂組成物が、前記固体潤滑剤として、メラミンシアヌレートを30重量%以下で含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  9. さらに、熱硬化剤を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  10. さらに、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート及びジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  11. さらに、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートを含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  12. さらに、ヒュームドシリカまたはガラス繊維の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物。
  14. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の紫外線硬化性樹脂組成物による自己潤滑性ライナーが摺動面に形成されていることを特徴とする摺動部材。
  15. 前記摺動部材が、滑り軸受であることを特徴とする請求項14に記載の摺動部材。
  16. 前記滑り軸受が、球面滑り軸受であることを特徴とする請求項15に記載の摺動部材。
  17. 前記自己潤滑性ライナーのヤング率が0.4GPa〜1.0GPaであることを特徴とする請求項14〜16のいずれか一項に記載の摺動部材。
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