JP6120132B2 - 高純度ガス用の金属製筒状濾過体の製造方法 - Google Patents

高純度ガス用の金属製筒状濾過体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、筒状の多孔性金属濾過体として、特に半導体や太陽電池等の先端製造分野で使用される高腐食性ガス中に含まれる超微細不純物をより効果的かつ高純度で濾過処理する為の高純度ガス用の筒状濾過体に関する。
従来から、液体やガス気体中に含まれる微細不純物粒子の除去は、所定の濾過精度を持つ種々フィルター製品で濾過処理されており、そのフィルター製品について、用途や使用環境などを考慮した種々形態のものが採用されている。
また、特に最近では、その使用分野は半導体や太陽電池をはじめとする先端分野を対象として、その濾過精度も例えば0.01μm程度以下の超微細パーティクルを効率よく、ほぼ完全に除去する高純度フィルターが求められている状況に鑑み、本出願人は次の特許文献を提案している。
特許文献1は、例えば数μm程度の微細粒子や金属短繊維を懸濁した懸濁液中に比較的粗大な空孔を持つ金属製支持体を浸漬してその一面から吸引することで、該支持体の他面側に前記微細粒子を所定厚さ堆積させ、これを濾過層として最後に焼結処理し成形される。この方法によれば、該濾過層は必要最小限の厚さで形成でき、濾過体全体としての圧力損失を低減できるとともに、円筒状等の複雑形状にも容易に適応でき、また十分な濾材強度を備える等、多々利点を有する。
特許文献2乃至4は、その効果を活かし単位容積当たりにおける濾過面積の増大を図ったもので、前者文献2は、濾材表面に所定のピッチ間隔で凹凸形成した筒状のプリーツ形状にしたもの、同文献3は、その筒状プリーツ濾材の内叉は外部に第二の濾過体を嵌合配置したもの、同様に特許文献4は、2つの異形濾過体同士を各々隣接配置し、その隣接面同士に前記凹凸状のプリーツを形成することで、ろ過面積の増大を図り、濾過効率を向上することを提案している。
更に、特許文献5は、濾材の支持体として、多孔性金属の長尺帯体を用いてこれを多層渦巻き状に巻取りして得た円形状の成形板材を用いることを開示している。この円形板材は、前記帯体の幅寸法が実質的な厚さ寸法となるもので、対圧縮性に優れることから、その成形面上に所定の濾過層を設ける場合は耐圧性に優れる利点がある。そして同文献5は、その一形態として、これをドーナツ円環状にしてその多数枚の濾材同士を重ね合わせ、隣接する2枚の内周側同士と次の外周側同士というように、順次溶接することでジャバラ状に連結し組立したものを開示し、所定の設置面積内に於ける濾過面積を増大する濾過装置として提案している。また用途については、高腐食性のF2ガスを用いる例えばフォトマスクの加工技術であるエキシマレーザー用として、前記多孔性金属はNi金属で構成するとしている。
特許2857494号公報 特許3177512号公報 特許4065132号公報 特許5006865号公報 特開2001−314716号公報
しかしながら、これら前記各特許文献による高純度用フィルターは、その支持体として所定の金属粉末を用いるもので、比較的小形のフィルター製品には採用可能であるものの、例えば濾過面性を数十cm2以上の大容積を必要とするものではその製造処理に過大な設備や手間を要し、また得られる製品もその全体を通じて均一性に優れた空孔精度を持つ製品としては満足し難く、製造設備や関連作業技術に関する高度の技量が求められるなど、改善すべき課題がある。
また、仮にそのような技術改善によって目標の大型フィルター製品が得られたとしても、その支持体は前記金属粉末によるものである為、重量的に大きくなることは避けられず、その取扱いに相当の注意を払う必要もある。
本発明は、かかる課題を解決し得る筒状濾過体を改善する筒状濾過体の提供を目的とする。
すなわち本願請求項1に係る発明は、
金属製の多孔シートの同軸多層巻きと加圧焼結で一体に構成された筒状巻体の濾過体であって、
該濾過体は、前記多孔シートにより調整された所定の空孔特性を持つ濾過部と、その少なくとも一端側に前記濾過部から連続的に高密度化した圧密構造部を備え、
該圧密構造部は、前記筒状巻体の外面側をその軸心方向に向かい、かつ前記濾過部厚さの5〜30%の厚さへの押圧による前記高密度化によって、前記多孔シートの巻端部が前記筒状巻体の長手方向に緊張するとともに、焼結処理を行って前記濾過体を結合一体化することで該巻端部における前記多孔シートのメクレ剥離を防止することを特徴とする高純度ガス用の金属製筒状濾過体の製造方法である。
また請求項2に係る発明は、前記多孔シートは、平均空隙率80〜95%を持つNi又はNi合金製の海綿状発泡構造体でなるものであること、請求項3に係る発明は、前記濾過体は、前記多孔シートを保護層としてその内面及び外面に配置され、かつ該保護層の間に該濾過体の濾過精度を保証するより微細空孔の第二濾過層をサンドイッチした複合濾材でなることを特徴とする。
そして、該第二濾過層に係る請求項4の発明は、前記第二濾過層は、前記いずれか保護層の片面上に予め加圧焼結された、平均繊維径(d)20μm以下で、繊維長さ(L)に対するアスペクト比(L/d)が20〜500の針直状のNi短繊維でなり、かつ自由な三次元方向の配向により形成されるものであり、請求項5に係る発明は、前記第二濾過層は、該濾過体の横断面視で、その円周方向に沿って所定間隔で起伏する段差部を備えるものであることを各々特徴とする高純度ガス用の金属製筒状濾過体の製造方法である。
更に請求項6に係る発明は、腐食性フッ素含有ガスの濾過処理に用いられるものである高純度ガス用の金属製筒状濾過体の製造方法である。
こうして、本発明の筒状濾過体に関する請求項1及び2の発明によれば、前記多孔シートの多層巻きと加圧焼結で筒状に形成され、所定空孔の濾過特性を持つ濾過部と、その端部に連続的に高密度化した圧密構造部を設けることで、多孔質なシート材料の巻体における密度変化を勾配的に徐々に生じさせており、高密度化に伴う加工歪の集中を防ぎ疲労破壊が防止される。
また、前記圧密構造部は、前記濾過体の表面層側を押圧成形することで形成され、それに伴って表面側に位置する前記多孔シートの巻端縁部をその筒状巻体の長手方向に緊張し、該多孔シートのメクレ剥離を防止することを可能とする。したがって、該濾過体の取扱いや使用時における被処理流体の流動に伴い端部の剥離が改善される。
また、請求項3乃至5の発明によれば、該濾過体の実質的な精度保証はより微細な濾過特性を持つ第二濾過層で得られることから、濾過体全体として、一方では多孔シートの剥離防止の為の高密度化を容易にするとともに、他方ではより微細な空孔精度を備える汎用型のフィルター濾過製品をもたらし、特に該濾材をNi金属で構成することで、腐食性のフッ素ガス用のエキシマレーザー用の濾過製品として有効に用い得る。
本発明に係る筒状濾過体の縦断面図で、図1Aは全体をカップ型とするもの、図1Bは両端に開口を持つ第二の形態を示す断面図である。 図1BのA−A‘断面を拡大して示す横断面図である。 前記第二形態の筒状濾過体の横断面を拡大し示す顕微鏡写真の一例である。 圧密構造部の顕微鏡写真の一例である 筒状濾過体の製造方法を示す斜視図である。 前記第二形態のプロセスとして、第二濾過層の積層プロセスを説明する概要図である。 発泡金属でなる多孔シートの平面拡大図である。 実施例に基づく試験結果の一例である。
発明を実施すめための形態
以下、本発明の実施の一形態として、次の実施例及び図面に基づき説明される。
筒状濾過体(以下、単に「濾過体」ともいう)1は、図1A乃至図3に見られるように、例えば断面円形で所定長さを有する筒状の多孔質構造体でなり、本発明は所定の空孔特性を持つ多孔シート材料10を多層に巻回し焼結によって一体化してなるものを対象とする。その構造は、該多孔シート材料10により実質的に所定の空孔特性を持ち濾過処理する濾過部2と、少なくともその一端側に、該濾過部2に続いて連続的に徐々に高密度化した圧密構造物3を備える筒状体で、内部には処理流体の流通乃至濾過室の為の内孔4を備える。
図1Aの第一形態では、前記圧密構造部3をその一端側に設けるとともに、該構造部3には別製の取付金具(例えば、中空状の付設ボルト)5を付設し、他端側には該内孔4を封止するための端板6を配して各々溶接W乃至拡散結合によって一体化している。該取付金具5はこれを介して前記濾過体1を所定の機械装置に設置するもので、その先端の外表面上にネジ部5Aを設け、その螺入によって付設可能としている。一方、他端側の端板6は、同様にリークなく取り付けることで、濾過処理される被処理流体の流通が該濾過体1を介して行うものとなり、これらは外方に配した所定のハウジング容器7で被包することで、外界と遮断隔離する濾過装置を構成する。
これによって、被処理流体は例えば同図1Aの→印方向に沿って、左方向から送給され、前記濾過体1の多孔質層2Aで濾過処理した後、内部の内孔4を経て次工程に送給されるOUT−IN方式、逆に該内孔4側から供給し、濾過体1で濾過処理されるIN−OUT方式の濾過要素として用い得る。本発明では、前記取付金具5や端板6、ハウジング容器7は必須ではなく、可能ならば前記濾過体1のみを単体で用いることもできる。
濾過体1は、例えば図5に示すように、金属製の多孔質構造を持つ所定の多孔シート10を素材として、これを予め設定した所定太さを持つ巻軸上に多層に巻回し得られる積層構造体を基本とする。巻回は、例えばその巻回密度を均一に密巻きするよう広幅な成形ローラー11、及びその両端にはより緻密な前記圧密構造部3を成形するための押圧手段12,12を備える装置によって連続的に行うことができる。なお、成形ローラー11及び押圧手段12での加圧/押圧の負荷強度は、求める濾過体1の特性及び用途によって適宜調整される。
また濾過体1として、多孔シート10の巻回構造やその大きさについても何ら限定するものではなく、これを使用する目的や被処理流体の種類、設置スペースなどに応じて設定可能であるが、一般的には例えば外径10〜300mm,長さ30〜1000mm程度の大きさになるように多層巻きされてなる。またその巻回数は例えば3〜30巻き程度とし、全体として所定の空孔特性を備えるように調整されてなる筒状品で、その巻回形状は、図2のような断面円形のものの他、全体的に丸味形成した三角状や四角状、楕円状のものなど種々の非円形形状とすることができる。
濾過体1は、後記する多孔性シート材料10の巻回により所定の空孔特性を持つように調整された濾過部2と、少なくともその一端側を連続的に高密度化した前記圧密構造部3を備える。該圧密構造部3は、該濾過体1の外面側から軸芯方向に向かって任意幅の領域を強圧することで構成され、図1Bに示すように、その最も押圧された厚さt1が元の濾過部2の厚さtoの5〜30%になるようにして固体化しており、その顕微鏡写真の一例を図4に示している。
その押圧が5%未満の強加工では、その加工処理に高度の技術を必要とし、加工割れが生じやすく、その解消に加工後の歪除却熱処理を行うなど、工数増加や歩留低下の要因となる。また30%を超える程度の軽加工のものでは、前記多孔シート10の緊縮が不十分で巻端部Xのメクレ剥離を防止する効果が期待され難く、また前記金属部材との溶接において熱収縮による不具合をもたらすなどの問題もあり、好ましくは8〜20%、更に好ましくは10〜15%とする。
そして、このような薄肉厚さt1を濾過体1の内周側に設けることで、同図に見るように外面側に向かう程多孔シート10の形成層は大きく湾曲されることができ、それに伴ってその近傍の該多孔シート10は図5の矢印T方向に各々引張られ緊張状態でその下層を押し付けることとなり、該シート10の巻端部Xが、例えば被処理流体での供給圧力や取扱い時の不注意で剥離することが軽減し、また前記取付金具5等との溶接や拡散結合に伴う熱影響によるトラブルを解消する。
前記多孔シート10には、例えばステンレス鋼やニッケル乃至ニッケル合金、クロム乃至クロム合金、チタン乃至チタン合金などの種々金属材料でなる金属繊維や金属短繊維を用いた不織布焼結シート、金属粉末を用いた粉末焼結シート、更には図7に見られるような発泡構造を持つ発泡金属シートが好適し、該発泡シートは例えばセルメット(登録商標)の商品名で知られている。その空孔の分布状態を図7に示す。
濾過体1の用途を前記エキシマレーザー用とする場合、被処理流体として例えばArFガスやKrFガスのようなフッ素を含む高腐食性ガスが対象となり、前記多孔シート10をNi金属で構成した前記発泡多孔性のシート材料を用いることが推奨される。エキシマレーザーは、半導体の分野で、フッ化アルゴンなどの特殊ガスに強い電圧をかけ、励起状態から光を増幅させることで分子間結合を解離させ強いエネルギーをもったレーザーを取り出すことができるもので、その生成波長によって使用ガスが選択されている。
そうした特殊ガスの高純度化を達成するよう、用いる多孔シート10の構成厚さを例えば0.5〜5mm程度とし、かつその巻数を比較的高めたNi金属性の多孔性シートが採用できる。その場合、必要以上の多層巻にすることは、それに伴って濾材全体の圧力損失を高め、濾過効率を減じる原因になることから、より好ましくは6〜10回巻きとする。
これら発泡金属シートや前記不織布金属焼結シートは非常に柔軟で、かつ微細空孔を持ちながらも空隙率が大きく設定できることから、本発明のように巻回して筒状構造体にしたり、またその端部を押圧して圧密構造部3を成形する過酷な塑性加工に好適する。
次に本発明の第二形態として、前記濾過体1の多孔シートを保護層として、その層間により微細な空孔形成を可能とする第二の濾過層をサンドイッチして形成する最良形態を説明する。
図1B,図2,図3及び図6にその一例を示し、図2は図1BのA−A‘を示すものである。
この第二形態では、例えば図1Bのように前記多孔シート10を保護層1Aとしてこれを濾過体1の内・外面側に各々数巻きづつ配置し、その間に、実質的に濾過精度を保証するより微細空孔を持つ第二の濾過層1Bを挟持して一体に焼結した積層構造を示し、全体の構成層の積層数は例えば6層としている。
該濾過層1Bの配置深さや、構成厚さ、濾過特性などは任意に設定可能であるが、特に図6に示すように、該保護層1Aよりも微細な空孔特性をもたらし得る金属短繊維SFを用い、これを自由に所定密度で分布させてなる多孔質焼結体を示す。一般的に金属短繊維は、直針状で繊維同士の絡み合いが少なくその単体では均一な分布させた状態では取扱いが困難なことから、予め焼結乃至接着したシート材料が採用される。その形態は、同図に見るように予め前記保護層1Aのほぼ1巻き分に相当する定寸にカットされた支持用の保護層を用い、その表面上に前記短繊維SFを層状にを所定密度で形成した積層品を加圧焼結したものを用いている。
前記金属短繊維SFには、例えば平均繊維径d:20μm以下とし、繊維長さLに対するアスペクト比(L/d)が20〜500の針直状の形態を持つものが好適し、その金属材料には、前記多孔シートの場合と同様に、例えばNi,Ti等の耐食性金属材料が選択される。
得られる空孔精度は、有効濾過径1〜20μm(好ましくは3〜10μm)で、空隙率80〜95%(好ましくは90〜95%)程度の精密特性を可能として、低圧損で円滑な濾過処理を可能とする。特に本発明に係るガスの濾過処理では、被処理ガス中に含まれる微細粒子を該濾材に吸着し分離濾過することを可能にするもので、前記濾過精度のものでも十分に利用可能である。
なお、該第二濾過層1Bを形成する場合、その巻回の両端部同士が符号Yで示すように確実に重なり合うように調整することが好ましく、例えば予めその重なり幅Z,Z‘でベース支持用の保護層1Aを切除しておくことが提案される。そうすることで、筒状でリークのない濾過体が可能となる。
具体的には、前記保護層1A(又は第二濾過層1B)の一端辺側Z,Z‘を、これを所定巻径で巻回しても該第二濾過層1B同士が重なり合うに十分な周長を持つ長さの範囲で予め切除剥離し、その切除部がY点で重なり合うことで、通常の筒状濾材を構成する。したがって、この形態の筒状濾過体では、下層側の支持層1Aを所定巻き数で巻回した後、図6の積層シート層1Bと、更にその外面上に外装用支持層1Aを巻回せしめ、その複合濾材を所定厚さに全体調整しながら、焼結処理や圧密構造部3を形成してなる。可能ならば、前記長尺の多孔シート10の所定部分に直接、金属短繊維SFを分布積層してそのまま巻回、押圧、焼結することも好ましい。
また本発明では、その積層状態での押圧成形加工を例えば20%以上の圧縮率で行う場合、図3に見るように、該第二濾過層1Bが所定の間隔でその円周方向に沿って段差部Dの形成が確認され、これによって少なからず濾過面積を増加がもたらされる。その要因は、強圧縮によって巻径が減少し、周長が小さくなることによるもので、より好ましくは前記圧縮率は30〜60%の範囲で行うことが推奨される。
試験例1
多孔性シートとして、セルメット(登録商標)の商品名で市販されている、厚さ1.4mm,幅300mmの長尺状の発泡Niシートを選定し、これを用いた濾過体を次の内容で製造した。 そのシート材料の多孔構造を画像回析で計測したところ、平均空孔径0.45mmで98%の高い空隙率を備え、耐圧縮強度は2〜9N/mm2で、十分な塑性加工性を有し可撓性に優れるものであった。
そこで、このNiシート材料の先端部を外径50mmの丸棒芯材に取付けて、シートの破断強度の10%以下の張力を付加しながら積層巻きし、かつその巻回表面を長尺ローラーで各層間の隙間を解消しながら多層巻きし、最終的に合計10層の筒状多層構造体を得た。その構造体は、全体厚さ5mmに加工され、その合計圧縮率は35%であるが、この段階では各層間の結合はなされてはいない。
次にその構造筒体の両端部に、各々幅10mmの幅ロールをセットして外周側から軸心方向に向かって押圧し、合計厚さ0.6mmに強圧して密度を高めた圧密構造部を得た。その押圧比は、該筒体の濾過部厚さの12%で、圧密構造部は、図4のようにその近傍の未加圧部分から徐々に軸芯側に向かって薄肉化し、その最薄肉部では空隙率20%以下の高密度に圧縮され、非常に高い剛性を持つように固体化されたもので、通常の金属材料と実質的に同様に用い得るものであった。
このような強圧加工によって、該筒体の中央部分(未加圧部分)の外層側においてより強く引張りながらその下層側に押し付けており、一方、該圧密部ではその強度の塑性加工によって拡散現象をもたらし、その加工状態でも該シートの巻き緩みなどはなく、加工成形品として容易に取扱いできるものであった。
しかし、その結合は完全ではなく、濾過体として使用に適する為には更に結合一体化が必要であり、次の条件で焼結処理を行った。
《焼結条件》
加熱温度 1100℃
加熱時間 60分
雰囲気 真空加熱
こうして得られた濾過体は、平均空孔径20μm,空孔率85%を持つ濾過部と、その両端には各々前記圧密構造部を備えるとともに、外面側の巻端部Xもその下層としっかりと結合しており、その層間を引き離そうとしてもメクレ剥離は生じなかった。また、該圧密構造部3に別製の取り付け金具を当接し溶接加工を行ったが、多孔質体との溶接ではあるものの十分に圧縮されている為、熱収縮等の影響もなく溶接処理を行うことができた。
試験例2
前記試験例1で用いた多孔シート(幅200mm,厚さ1.4mm,長さ300mm)の表面に、Ni金属の短繊維(繊維径12μm、平均アスペクト比30倍)を目付け量400g/m2で均一分布させ、これを厚さ0.3mmに圧縮して、温度1050℃の真空加熱炉で焼結成形した。
そして、その一端側の縁部Zの2cmの幅で、図6のようにベースの多孔シートのみを部分剥離し切除した定常品を作り、これを別製の前記多孔長尺シートの所定位置に重ねて、外径48mmのシャフトに外面を押圧しながら巻回し、巻き外径60mm、長さ27cmの筒状体を得た。その状態で、前記短繊維層は実質的に前記切除部がその他方側の端辺と重なり合いリークのない中間濾過層にすることができ、その筒状濾過体は平均空孔径4μmで、かつ短繊維層が厚さ0.3mmで薄箔化するとともに、その周長方向に約10mm間隔で図3のような段差部の形成が認められた。
次に、その成形品の両端をその外面側から幅5mmの加圧ロールで各々強圧して、厚さ1.8mmに圧縮した圧密構造部を成形し、これによって多孔シートの巻端縁Xでは両側に引張られ滑らかに厚さ変化して、その前記厚さ比は未加圧部(濾過部)厚さの30%に相当するものであった。その空孔特性は、有効濾過面積409cm2、空隙率92.5%を有し、そのまま温度1100℃、時間60分で焼結処理した。
こうして得た本発明に係る筒状濾過体は、前記圧密構造部での巻端部の引張りと焼結処理によってメクレ剥離することなく、また微細空孔を持つ前記短繊維層は、その中間層に位置することから、通常の濾過体と同様に取扱いすることができるものであった。
比較例1
前記試験例2の濾過体の濾過特性を比較する為、次の仕様の比較品と性能比較を行った。
支持体として、特開平4−11058号により繊維径20μm、空隙率97%、厚さ2mmの長尺Niシートを用い、これを幅2mmにカットした帯体を円盤状に巻回成形して、外径70mmの成形円板を作り、焼結したものを用いた。
そして、その支持体の上面に繊維径4μm、長さ0.5mmのNi短繊維を厚さ0.5mmで堆積させ、焼結によって濾過精度0.3μmの円板状濾材を得た。その合計13枚を用いて、各々リーフ型になるよう、内周側と外周側同士を各々重ねて順次溶接し、ジャバラ状に連結したフィルター要素を作り、これを比較品とした。その空孔特性は、空孔径4μm、空隙率83.9%で、有効濾過面積400cm2を有する。
試験例3
各濾過体について、圧力損失と初期のバプルポイント圧を求めた。
圧力損失は、濾過面積当たりにおける前記一次側圧力で示し、バプルポイント圧は1次側から前記キャリアガスを流して、濾過体からバブルが発生したときの圧力を求めたもので、その結果を表1に示し、ほぼ同等の特性を有するものであった。
《濾過寿命》
次に、その2つの濾過体について濾過寿命試験を行い、その結果を図8に示す。
試験は、各濾過体について、中位径0.5μmのアルミナ系標準粒子を含有する商品名ウルトラホワイト90で、キャリアガスには窒素ガスを用い、30SLMで15秒間流した後の一次側圧力測定を1サイクルとし、サイクル回数と閉塞による圧力上昇を求めた。この結果から、本試験品2が長寿命であることが分かる。
産業上の利用分野
本発明の濾過体は、製造性及び取扱い性に優れるとともに、濾過特性においても高い有効濾過面積を有することから、これを耐食性の金属材料で構成することで、種々の半導体用や太陽電池の製造過程で用いられる種々のガス用濾過体として応用でき、特にエキシマレーザー用のフッ素や塩素を含む高腐食性ガスに有効である。
1 濾過体
2 濾過部
3 圧密構造部
4 内孔
10 多孔シート
1A 支持層
1B 第二濾過層
X 巻端部

Claims (6)

  1. 金属製の多孔シートの同軸多層巻きと加圧焼結で一体に構成された筒状巻体の濾過体であって、
    該濾過体は、前記多孔シートにより調整された所定の空孔特性を持つ濾過部と、その少なくとも一端側に前記濾過部から連続的に高密度化した圧密構造部を備え、
    該圧密構造部は、前記筒状巻体の外面側をその軸心方向に向かい、かつ前記濾過部厚さの5〜30%厚さへの押圧による前記高密度化によって、前記多孔シートの巻端部が前記筒状巻体の長手方向に緊張するとともに、焼結処理を行って前記濾過体を結合一体化することで該巻端部における前記多孔シートのメクレ剥離を防止することを特徴とする高純度ガス用の金属製筒状濾過体の製造方法。
  2. 前記濾過部を構成する前記多孔シートの平均空隙率が、80〜95%を持つNi又はNi合金製の海綿状発泡構造体でなるものである請求項1に記載の高純度ガス用の金属製筒状濾過体の製造方法。
  3. 前記濾過体は、前記多孔シートを保護層としてその内面及び外面に配置され、かつ該保護層の間に該濾過体の濾過精度を保証するより微細空孔の第二濾過層をサンドイッチした複合濾材でなる、請求項2に記載の高純度ガス用の金属製筒状濾過体の製造方法。
  4. 前記第二濾過層は、前記いずれかの保護層の片面上に予め加圧焼結された、平均繊維径(d)20μm以下で、繊維長さ(L)に対するアスペクト比(L/d)が20〜500の針直状のNi短繊維でなり、かつ自由な三次元方向の配向により形成されるものである、請求項3に記載の高純度ガス用の金属製筒状濾過体の製造方法。
  5. 前記第二濾過層は、該濾過体の横断面視で、その円周方向に沿って所定間隔で起伏する段差部を備えるものである請求項3又は4に記載の高純度ガス用の金属製筒状濾過体の製造方法。
  6. 腐食性フッ素含有ガスの濾過処理に用いられるものである請求項1〜5のいずれかに記載の高純度ガス用の金属製筒状濾過体の製造方法。
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