JP2001314716A - 積層金属濾材とその製造方法、並びに該濾材によるフィルターエレメント - Google Patents

積層金属濾材とその製造方法、並びに該濾材によるフィルターエレメント

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JP2001314716A
JP2001314716A JP2000136174A JP2000136174A JP2001314716A JP 2001314716 A JP2001314716 A JP 2001314716A JP 2000136174 A JP2000136174 A JP 2000136174A JP 2000136174 A JP2000136174 A JP 2000136174A JP 2001314716 A JP2001314716 A JP 2001314716A
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Hideomi Ishibe
英臣 石部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規な積層構造を持つ積層金属濾材とその製
造方法、並びに該濾材によるフィルターエレメントを提
供する。 【解決手段】 多孔性の金属支持体と、該支持体の平均
空孔径より微細な空孔を持つ濾過層とを焼結によって一
体にしてなる積層金属濾材であって、濾材の前記支持体
は、多孔性金属の帯体を多層に重ね合わせるとともに該
帯体の幅が厚さ方向となる板状とし、かつその成形面上
に前記濾過層を固着することによって、濾過層と前記帯
体とが面方向で交差する方向に向けて配置したことを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な積層構造を
持つ積層金属濾材とその製造方法、並びに該濾材による
フィルターエレメントに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、液体や気体などの被処理流体
中に含まれる微粒子を除去する方法として、各種フィル
ターを介して捕獲し清浄化する濾過処理が広く行われて
おり、技術の進歩とともに濾過精度や濾過特性の向上が
図られてきた。
【0003】その一例として、例えば特公昭59−33
009号公報は繊維不織布を比較的厚く構成し、厚さ効
果によって粒子の捕獲機会を高めることを開示してお
り、また、実公平2−31129号公報は、単体では濾
過圧に耐えない金属繊維の濾過層と、これを支持する比
較的強固な金属焼結体とを積み重ね構成したポリマー用
リーフフィルターを示している。
【0004】また近年、飛躍的な技術革新が図られてい
る半導体製造で使用されるプロセスガスの濾過について
見れば、最近の半導体LSIは高容量化、多機能化によ
って内部配線間隔を極限(例えば0.1μm)状態にま
で狭く設計されていることから、配線間の短絡などのト
ラブルを防ぐ為に、半導体を製造する際に使用されるガ
ス中の不純物粒子についても、例えば0.01μm程度
のものまで完全に、しかも効率よく除去することが必要
となってきた。
【0005】本出願人は、この半導体用ガスを高精度か
つ高効率で濾過処理するフィルターとして、微細粒子を
懸濁させた懸濁液中に金属製の多孔質支持体を浸漬し、
該支持体を介して吸引することによってその表面上に所
定厚さの濾過層を生成させた積層濾材を提案し(特許2
857494号公報)、この吸引成形法により、半導体
製造用ガスの濾過精度、濾過効率とともに長寿命化を果
たすという当初目的を達成することとしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来のフィルターはいずれも濾材が濾過圧などによって
変形や破損することがないよう、所定の機械的強度を備
える必要があり、その為に、前者公報では濾材自体に十
分な厚さを持たせ、また後二者公報では、微薄濾材を濾
過圧から保護する支持体として強固な粉末焼結体などを
用いることとしている。
【0007】この場合、前者公報による厚肉濾材では緻
密な通路が濾材全厚さに渡って形成されることとなり、
不純物粒子の捕獲機会は高まる。しかし、緻密構造の距
離が長いことから内部を流下する流体が受ける抵抗、す
なわち圧力損失が大きくなって濾過効率を低下させると
いう問題がある。
【0008】一方、後二者公報による積層構造の濾材は
いずれも表面濾過層を薄くし、さらに補強の為に支持体
を用いる点で共通するものではあるが、ここで用いる支
持体とは、粗大空孔を形成させる目的から例えば金属ア
トマイズド粉末などを焼結成形した金属焼結体としてい
るが、このような粉末焼結体は重量的に重いばかりでな
く、それ自体の空隙率はせいぜい30%程度に留まるも
のである。したがって、このような焼結体を支持体とす
るフィルターでは圧力損失を抑制し、濾過効率を高める
という点では未だ不十分である。
【0009】また、最後者公報では、空隙率を比較的大
きくできる支持体として、例えば金属繊維焼結体などに
より成形したものも開示しているが、このような金属繊
維による支持体とは、通常、金属繊維を平面上に集積し
所定厚さに加圧焼結したものであって、この場合の各繊
維は平面的に分布するものとなり、したがって濾過圧な
どのように面方向にかかる圧力に対して十分な強度とは
いえず、たわみによる変形や破損を起こしやすいという
問題がある。
【0010】ところで、この最後者の積層濾材は半導体
製造ガスの濾過処理用として広範囲に使用されている
が、特にフォトマスクの加工技術であるエキシマレーザ
ーにおいては、腐食性の強いF2 ガスが用いられ、しか
もレーザ本体内部でのガス圧も高まる傾向がある。しか
も、この技術によるダスト除去方法は、レーザーチャン
バー内のガスを高速に回転させるとともに、電子シャワ
ーによってダストを負に帯電させ、静電気による吸着で
除去しようとするものであって、用いるフィルターに
は、その実施に適する耐食性と長期にわたる濾過寿命を
備え、かつ圧力損失の小さい特性のものが望まれてい
る。
【0011】本発明は、かかる課題をも解決しうる積層
金属濾材とその製造方法並びに該濾材によるフィルター
の提供を目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願請求項1に記載の発
明は、多孔性の金属支持体と、該支持体の平均空孔径よ
り微細な空孔を持つ濾過層とを焼結によって一体にして
なる積層金属濾材であって、濾材の前記支持体は、多孔
性金属の帯体を多層に重ね合わせるとともに該帯体の幅
が厚さ方向となる板状とし、かつその成形面上に前記濾
過層を固着することによって、濾過層と前記帯体とが面
方向で交差する方向に向けて配置したことを特徴とする
積層金属濾材である。
【0013】本願請求項4に記載の発明は、所定幅を持
つ多孔性金属の帯体を多層に重ね合わせるとともに、該
帯体の幅を厚さ方向とする板状の金属支持体を得る段階
と、該支持体の平均空孔径より微細な空孔を持つ濾過層
を前記支持体の成形面上に重ね合わす段階と、支持体と
前記濾過層とを焼結、好ましくは加圧焼結によって一体
化する段階とを含むことを特徴とする積層金属濾材の製
造方法である。
【0014】本願請求項6に記載の発明は、多孔性の金
属支持体と、該支持体の平均空孔径より微細な空孔を持
つ濾過層とを焼結によって一体にした積層金属濾過によ
るフィルターエレメントであって、前記支持体は多孔性
金属の帯体を多層に重ね合わせるとともに該帯体の幅が
厚さ方向となる板状であり、かつその成形面上に前記濾
過層を固着することによって、濾過層と前記帯体とが面
方向で交差する方向に配置した積層金属濾材でなり、さ
らに該濾材の複数を重ねて隣接する外周(又は内周)同
士を結合することにより、濾材で囲まれた内部に濾過室
を形成したことを特徴とするフィルターエレメントであ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の概ねを述べると、図1に
示すように、積層金属濾材1を、濾過層2と支持体3と
で構成するとともに、支持体3として、多孔性金属の帯
体3Aを多層に重ね合わせることによってその帯体3A
の幅Wが厚さ方向となる板状とし、その成形面4上に前
記濾過層2を添着することによって、前記濾過層2と帯
体3Aとが面方向で交差する方向に向けて配置したこと
を特徴としている。
【0016】このような構成において積層濾材1は、そ
の単体では濾過圧に耐えない程度の薄さの濾過層2を用
いつつも、それと一体化される前記支持体3によって全
体的な強度維持を果たすことができる。
【0017】前記支持体3を、多孔性金属であるの帯体
3Aを多層に重ね合わせ、前記帯体の幅Wが厚さ方向、
側面が上下の成形面4となる板状にする。この為、この
支持体に濾過圧が加わる場合にあっても、その濾過圧は
前記帯体が方向性を持って配置されていることによっ
て、全体として十分な梁強度を持たせることができ、変
形や破損などの問題を防ぐ。
【0018】また、この帯体3Aとして例えば金属繊維
Fの不織布焼結体を用いた場合には、同図1の側面状態
からも理解されるように各金属繊維Fは実質的に帯体3
Aと同一平面、すなわち支持体3の支持面に対して垂直
方向に分布することとなり、前記耐圧強度はさらに向上
する。しかも金属繊維でなる不織布焼結体は、他の支持
体、例えば粉末焼結体などの場合に比して柔軟で、しか
も空孔率を大きくでき圧力損失を押えるとともに、軽量
であるという利点もある。
【0019】したがってこのような構成を持たせること
により、帯体3A自体が有する比較的粗い空隙と、所定
の強度(例えば耐圧性)を合わせ持つ支持体とすること
ができる。
【0020】また積層金属濾材1では、前記帯体3Aと
濾過層2とは面方向で異なる方向、すなわち交差する方
向に向いて配置される為、例えば各帯体3A間には、比
較的大きな面間隙間を形成させることもでき、この隙間
によって被処理流体の流過抵抗をさらに抑えて、円滑な
排出を可能にできる。
【0021】このように本発明の積層金属濾材1は、所
定の濾過精度を持って薄く形成し、単体では濾過圧に耐
え得ない厚さの濾過層の使用を可能にしてコストダウン
に貢献するとともに、特殊構造の支持体を採用したこと
により、機械的強度を高め、かつ流下抵抗を抑えて圧力
損失を軽減できる利点がある。この為、濾過層表面にお
いて仮に目詰まりなどが生じた場合にあっても、例えば
逆洗によって容易に再生できる。
【0022】また、本発明による濾材の用途が、例えば
半導体製造ガスなどの腐食性の強い被処理流体用として
用いる場合は、例えば、ステンレス鋼やニッケル又はニ
ッケル合金、チタン又はチタン合金など耐食性に優れた
材料を選択すべきであり、特にニッケルは、エキシマレ
ーザー用などで使用される弗素系ガスなどの為の濾材と
して有効である。
【0023】またこれら金属繊維不織布の焼結体を帯体
3Aとして用いる場合の利点としてさらに次の点が挙げ
られる。 優れた耐食性を備えること。 小さい幅の帯体であっても、強度が大きく、後加工
や成形後の保形性に優れる。 柔軟性、弾力性に優れ、屈曲などに対して切れにく
い。
【0024】こうした利点を活用し、例えばこの帯体を
同軸上に巻回積層することによって円盤板状の支持体に
成形する際にも、常に所定の張力を加えながらしかも形
状保持できる程度の密度に巻くことができる。なお、帯
体としてこのような金属繊維を用いる場合の好ましい例
としては、繊維径10〜80μmで、空隙率60〜95
%程度に焼結した金属繊維不織布により、幅1〜5mm
(好ましくは1〜3mm)にスリットした連続テープが用
いられる。本例の場合、スリットした面を成形面とい
う。
【0025】なおこれまでの説明は、主として円盤状に
成形した支持体について説明してきたが、その形状につ
いては特に制限するものではなく、角形や楕円形などに
任意に選択できる他、例えば錐形のようなロート状に形
成し、焼結一体化したものであってもよい。又渦巻きの
巻付け状の他、折り返し反復状に重ねることによっても
形成できる。
【0026】つぎに、このような支持体3の成形面4上
に添着される濾過層2について説明する。
【0027】濾過層2は、積層濾材1の濾過特性を実質
的に保証する部分に相当し、当然、前記支持体3よりも
微細な空孔を形成することとなるが、その具体的特性や
種類、成形方法については任意に選定できる。しかし、
その材質については前記支持体と同種のものとするのが
好ましい。
【0028】また例えば前記半導体ガスなどの濾過に適
するものとしては、特許第2857494号の中で提案
しているような、繊維径0.5〜15μm、アスペクト
比(L/d)2〜15程度の金属短繊維を液中に懸濁さ
せ、これを該支持体を介して吸引成形することで堆積さ
せることが好ましい。特にこのような短繊維は、自在方
向で堆積され、結果的に立体空孔を形成できる利点があ
り、高精度かつ高空孔率の濾過層を可能にする。
【0029】また、前記支持体3として、空孔が極端に
大きく微細粒子2Aが支持体3内部に侵入したり通過し
たりするものを用いる場合にあっては、やや中間的な空
孔を持つ中間層5を前記形成面4との間に介在させるこ
ともできる。図2は、この中間層5を介在させた場合の
例として、積層濾材1の切断側面(図1のA−A、切断
側面)方向から見た状態を拡大した断面写真(50倍)
による断面図の一例である。
【0030】この図において、その片面側には最も微細
な粒子でなる濾過層2が比較的薄く形成され、一方その
下方にはやや大きく分布している支持層3が見られる。
また前記濾過層2と支持層3との間には濾過層方向に分
布している中間層5も認められる。なお図2では金属繊
維として中空繊維を用いている。
【0031】なお、本発明では濾過層の成形厚さについ
ては特に限定しないが、濾過精度が0.01μmと繊細
でかつ圧損を抑制したものとする為には、少なくとも
0.1mm、好ましくは0.3mm程度は必要であり、一
方、その上限についても2mm以下、好ましくは1mm以下
とするのがよい。
【0032】また濾過層2を構成する微細粒子として
は、通常の球形粉体なども単体で、あるいは前記短繊維
と混合して用いうる他、その形成方法についても、前記
吸引成形法に代えて例えば懸濁液をそのまま塗布し乾燥
させることで形成したり、あるいは他の部材、例えばハ
イメッシュや織布などの布状品などをそのままあるいは
適宜他の部材と組み合わせて用いるのもよい。
【0033】こうして得られた濾過層2と前記支持体3
とは、最終的に積層され焼結(好ましくは加圧焼結)に
よって一体にすることで、本発明の積層金属濾材1とな
るが、本発明では、必要に応じて支持体3の他面側にも
前記濾過層のような多孔薄膜を添設させてもよい。また
その用途としては、ガスや液体など種々流体の濾過に使
用できるが、特に低圧損で耐圧性が求められる用途に有
効である。
【0034】次に、このような積層金属濾材の製造方法
について説明する。図3は、前記支持体として例えば円
盤状の支持体を得ようとする場合を示し、広幅の焼結シ
ートSを切断具10によって一定幅Wに切断し、この切
断された帯体3Aを所定張力を加えながら各巻取軸11
に渦巻き状のコイルに巻取ることによって多層に重ね合
わせた成形板を得る方法を示している。したがってこの
場合の帯体3Aの切断幅Wは支持体3での厚さを構成す
る円板状となる。なお前後、上下に位置ずれさせた巻取
軸11が複数(n)本であるときには、帯体3Aの切断
巾Wの(n−1)倍幅以下の厚さのフランジ12を設け
うる。
【0035】本発明ではこのような方法で支持体を直接
製造できることにより、従来のような複雑で高価な個別
金型を用いる必要がなく、またこれまで金型から取り出
す際の仮成形品において多々発生していた縁部の欠落な
どの問題も防止できる。
【0036】さらに、この場合に得られる支持体は、そ
のままで所定寸法のものとなることから、不必要部分を
切除することなどの後加工が不要になり、材料ロスを減
少させるとともに、成形後の形状手直しなども必要に応
じて行うことができるなどの利点がある。
【0037】なおこのような支持体3と濾過層2との焼
結については、使用する材料や得る特性などにより任意
に設定されるものであり、その方法や条件などについて
はこれまでの類似製品で行われてきた技術に基づき任意
に設定される。例えば材料がステンレス鋼やニッケルな
どの材料を用いる場合には、予め所定圧力で加圧成形し
た後、温度800〜1300℃程度の無酸化雰囲気中で
行われる。
【0038】さらに本発明によるフィルターエレメント
は、前記積層金属濾材を複数重ね、隣接する外周(また
は内周)部を結合することにより、濾材で囲まれる内部
に濾過室を形成するものとしている。
【0039】図4はドーナツ型とした前記積層金属濾材
1の複数枚を重ね合わせ、隣接する濾材の内周部と外周
部とを交互の結合13A、13Bにより例えば溶接によ
り結合することによってジャバラ状に連続結合したフィ
ルター14とし、さらにその右端には取付金具16を設
けている。このような構成にすることで、濾材内部には
濾過室15が形成される。なおジャバラの一端は閉じて
もよく、又濾過室15の内部に保形用の介在物(図示せ
ず)を設けるのもよい。
【0040】また濾材1、1同士の前記結合を溶接で行
う場合、多孔質の濾材は毛細管現象によって広範囲に熔
融されやすく、その分、空孔閉塞して濾過面積を減少さ
せる危険性があり、また熱収縮に伴う収縮ワレなどが発
生する恐れもある。こうした問題を防ぐ為の手段とし
て、リング体17との共付け溶接により方法を合わせて
提案する。溶接方法としては例えば電子ビーム溶接など
熔融面積の小さい方法が選定される。
【0041】図5は、この方法による溶接部を拡大する
ものであり、図4のジャバラ状フィルターの内周側の部
分を示している。リング体17は、濾材1と同様の金属
でなる機械加工されたムクなものであって、その外径は
濾材1が嵌合する程度にされており、その両面側におい
て、該リング体17と濾材1の濾過層2とはリークなく
共付け溶接された溶接部Yが形成される。
【0042】図4に示すフィルターは、このように内周
側のみを先に溶接結合した数組を用意し、次いでこれを
ジャバラ状に並べるとともにその接合外周部を同様に溶
接することで組み立てられる。この形状のフィルター
は、単位容積当たりの濾過面積を大幅アップさせること
ができ、材料費や製造コストの低減も可能となる。
【0043】また、溶接以外の結合方法としては、例え
ばロウ付けや、実開昭55−9265号などが示すよう
な挟圧部材で押圧させる方法などが可能である。
【0044】
【実施例】以下、本発明の実施例として、前記したジャ
バラ状のフィルターエレメントについてさらに説明す
る。前記エキシマレーザーで求められるような耐食性を
備えたフィルターとする為に、積層濾材をニッケルで構
成したフィルターエレメントについて、その製造方法と
ともに説明する。
【0045】(支持体の作成)支持体は、特開平4−1
1058号の方法により得た繊維径20μm、空孔率9
7%、厚さ2mmの長尺ニッケルシートであり、このシー
トは、脱炭処理によってニッケル純度99.98%とし
た中空状のニッケル繊維が平面的にランダムに分布し、
各繊維同士は接触する部分で結合され不織布である。
【0046】そしてこのニッケルシートは、図3の切断
装置により幅2mmの帯体に切断され、さらに所定張力を
かけて外径70mmに巻取り成形板とした。この成形板
は、可撓性と強度に優れ、またその表面も比較的粗雑で
ある前記ニッケル繊維の帯体を用いたことから比較的密
に巻回することができ、十分な摩擦保形性を備えたもの
であった。この為、幅2mmの成形板でありながらも取り
扱いなどによる形崩れなどの問題は生じなかった。
【0047】(濾過層の形成)このように構成した支持
体に対し、その成型面上に均一な濾過層を設ける為に、
本例では、繊維径4μm長さ0.5mmにカットされたニ
ッケル短繊維を用いるとともに、これを純水中に懸濁し
吸引によって形成する方法を用いることとした。その為
の中間層として比較的微細な空孔を持つ厚さ0.3mmの
ニッケル繊維焼結シートを用い、これを介して前記短繊
維を吸引することで、合計厚さ0.5mmの薄膜に成形し
たものである。
【0048】次にこうして得た中間層と濾過層を含む薄
膜は、前記支持体の成形面上に載置するとともに所定温
度での加圧焼結を行い、図2に示すような3層構造の積
層濾材としたものであって、濾過精度は0.3μmを有
するものとなった。
【0049】(試験1) 濾材の流量特性試験結果 この積層濾材について流量特性を評価するために、試験
は、前記で得た積層濾材を実施濾材Aとし、また、特性
比較の為の従来濾材Bとしては、これまでエキシマレー
ザー用として用いられてきたニッケル繊維4μmを目付
1000g/m2(厚さ0.6mm)に成形した不織布焼
結体(濾過制度0.3μm)について行なった。
【0050】測定の方法は、これら濾材をメタルケース
内にセットし、図6に示すように、実施濾材A、Bであ
る試験片1Aをケースに配しかつデジタル巻圧計20を
バイパス路に設けた。21はマスフローメータである。
試験ラインに接続して種々流量のN2ガスを流した時の
一次側と二次側との圧力損失を測定したものであって、
有効濾過面積は10cm2 としている。
【0051】この測定結果は図7に示しており、それに
よれば実施濾材Aは低流量から大流量にわたって圧力損
失の上昇率が極めて小さく、例えば50SLMの大流量
を長した場合の比較濾材Bでは6.5KPa(0.06
6kgf/cm2 )の圧力損失となったのに対し、実施濾材
Aでは4KPa(0.041kgf/cm2 )と約30%も
減少させることができた。
【0052】このことから、本実施例による積層濾材は
広い範囲の流量に対して有効であることが確認された。
【0053】(試験2)つぎに濾材の濾過寿命について
試験した。試験は、前記試験ラインにおいて、試験ダス
トとしてACFTD粉(商品名)0.2gを含有させた
ガス流体を30SLM下で流した場合の経過時間に伴う
圧力損失の変化を調べたものである。
【0054】図8にその結果を示している。この結果か
ら、実施濾材Aは濾過時間が増しても圧力損失の増加は
ほとんどなく極めて安定していることが解る。これに対
し、従来の濾材である比較濾材Bでは、試験当初におい
てすでに約2倍の増加が見られ、以後も大きく増加し5
分経過時点では約8倍の開きとなった。このことは、支
持体層がプレフィルター層として働く結果と考えられ
る。
【0055】このことから、実施濾材Aは長期にわたっ
て安定的に使用でき、寿命向上したものであることが確
認できた。
【0056】(フィルターエレメントの製作)本発明に
よるフィルターエレメントとして、本例では前記実施濾
材Aを内径20mm、外径70mmとする円盤状成形板と
し、この11枚を図4に示すように重ね合わせて、その
内周部と外周部とを交互に結合することでジャバラ状に
組立てたものである。
【0057】なお、この場合の結合方法としては溶接で
行なうこととし、まず溶接部となる濾材の内・外周部を
予め高密度に圧密して溶接時の熱伸縮を抑制する方法を
用いた。組み立てにあたっては、この成形濾材2枚を対
向させて重ね合わせ、その内周部に図5を示すリング体
を嵌入れた上でこのリング体と濾過層とを電子ビーム溶
接により共付け溶接した。
【0058】実施フィルターはこうして得た5組を重
ね、さらに隣接する外周部を同様に溶接することで一体
化し、有効濾過面積は約400cm2 とするものであっ
た。
【0059】これに対する比較フィルターとしては、前
記説明した比較濾材Bのシートにより外径60φのヒダ
付きにした筒形フィルターであって、このフィルターの
有効濾過面積は1300cm2 となった。
【0060】(試験3)そこで、この2つのフィルター
の濾過寿命を前記と同様に測定し、図9にその結果を示
している(試験条件200SLM)。この結果でも、本
発明による実施フィルターの濾過面積は比較フィルター
に比べて1/3と小さいにも拘わらず初期圧損はほとん
ど差は見られておらず、コンパクト化できることを示し
ている。さらに実施フィルターは、濾過開始2分後には
すでに186mmAqで安定しているのに対し、比較フィ
ルターでは安定するまでに5分近くも要するとともに、
その値も270mmAqと高いものであった。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、積層濾
材の支持体として、多孔性金属の帯体を重ね合わせると
ともに、その幅が厚さ方向となる板状に成形したものを
用い、その方向を濾過層と面方向で交差する方向にした
ことから、支持体としてすぐれた耐圧性を持たせること
ができる。
【0062】また本発明の積層濾材では、流量の増加に
よっても圧損の上昇を低く抑えることができることか
ら、高流量の濾過処理に適するものである。
【0063】一方、本発明の製造方法によれば、従来の
ような金型で成形した仮成形体を取り出す際に多々発生
していたワレや部分欠損が防げるとともに、成形後に若
干の形状手直しなどを行うこともできるなど、比較的容
易かつ安価に実施できる。
【0064】またフィルターエレメントについても、微
細な濾過層によって確実に被包されたものであって、小
型軽量で小スペース化を図るとともに、大流量の濾過処
理に対しても圧損を低く抑えることができ、長期に亘っ
て安定的に使用できるものであり、ガスや各種液体など
に対して広く使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】積層濾材の部分拡大斜視図である。
【図2】積層濾材の断面を拡大して示す拡大断面図であ
る。
【図3】帯体の製造方法を示す工程図である。
【図4】フィルターエレメントの断面図である。
【図5】積層濾材同士の内周溶接部を示す拡大図であ
る。
【図6】流量試験の方法を示す模式図である。
【図7】供試メディアの流量試験の結果を示すグラフで
ある。
【図8】捕獲粒子による圧損試験の結果を示すグラフで
ある。
【図9】ACDFTE粉の圧損経時試験の結果を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
1 積層濾材 2 濾過層 3 支持体 3A 帯体 4 成形面 5 中間層 14 フィルターエレメント 17 リング体

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多孔性の金属支持体と、該支持体の平均空
    孔径より微細な空孔を持つ濾過層とを焼結によって一体
    にしてなる積層金属濾材であって、濾材の前記支持体
    は、多孔性金属の帯体を多層に重ね合わせるとともに該
    帯体の幅が厚さ方向となる板状とし、かつその成形面上
    に前記濾過層を固着することによって、濾過層と前記帯
    体とが面方向で交差する方向に向けて配置したことを特
    徴とする積層金属濾材。
  2. 【請求項2】前記多孔性金属の帯体は、ステンレス鋼、
    ニッケルまたはニッケル合金、チタンまたはチタン合金
    のいずれかから選択される金属繊維の焼結体である請求
    項1に記載の積層金属濾材。
  3. 【請求項3】前記支持体は、前記帯体を同軸上に多層に
    巻回することによって円盤状に形成したものである請求
    項2に記載の積層金属濾材。
  4. 【請求項4】所定幅を持つ多孔性金属の帯体を多層に重
    ね合わせるとともに、該帯体の幅を厚さ方向とする板状
    の金属支持体を得る段階と、該支持体の平均空孔径より
    微細な空孔を持つ濾過層を前記支持体の成形面上に重ね
    合わす段階と、支持体と前記濾過層とを焼結、好ましく
    は加圧焼結によって一体化する段階とを含むことを特徴
    とする積層金属濾材の製造方法。
  5. 【請求項5】前記金属支持体は、ステンレス鋼、ニッケ
    ルまたはニッケル合金、チタンまたはチタン合金のいず
    れかより選択された金属繊維の焼結帯体を同軸上に多層
    に巻回することで形成されたものである請求項4に記載
    の積層金属濾材の製造方法。
  6. 【請求項6】多孔性の金属支持体と、該支持体の平均空
    孔径より微細な空孔を持つ濾過層とを焼結によって一体
    にした積層金属濾過によるフィルターエレメントであっ
    て、前記支持体は多孔性金属の帯体を多層に重ね合わせ
    るとともに該帯体の幅が厚さ方向となる板状であり、か
    つその成形面上に前記濾過層を固着することによって、
    濾過層と前記帯体とが面方向で交差する方向に配置した
    積層金属濾材でなり、さらに該濾材の複数を重ねて隣接
    する外周(又は内周)同士を結合することにより、濾材
    で囲まれた内部に濾過室を形成したことを特徴とするフ
    ィルターエレメント。
  7. 【請求項7】前記隣接濾材の結合は、該濾材間に配置し
    たリング体との共付け溶接によって行われたものである
    請求項6に記載のフィルターエレメント。
JP2000136174A 2000-05-09 2000-05-09 積層金属濾材とその製造方法、並びに該濾材によるフィルターエレメント Pending JP2001314716A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103357881A (zh) * 2013-07-22 2013-10-23 王东伟 一种多层金属网与金属粉末复合过滤管、滤芯的生产方法
JP2015009235A (ja) * 2013-06-28 2015-01-19 日本精線株式会社 精密積層フィルター
CN106553908A (zh) * 2015-09-28 2017-04-05 石家庄波特无机膜分离设备有限公司 一种高强度管道充气器
WO2017169809A1 (ja) * 2016-03-30 2017-10-05 日本ゼオン株式会社 フィルターおよびその製造方法、並びに、ドライエッチング用装置およびドライエッチング方法

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