JP2015009235A - 精密積層フィルター - Google Patents

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Abstract

【課題】 積層技術に基づくフィルター製品の問題を解決し、低圧損の濾過特性を備えたフィルター製品の提供を目的として、ここにその改善を成し得たものである。
また別の目的は、その低圧損化によって小型化を図るとともに、濾過装置としてのコストダウンを齎し得る精密フィルターを提供する。
【解決手段】 粗大空孔を持つ筒状の多孔質支持体と、該支持体の一方の表面上に積層配置される微細粒子の濾過層を備え、該濾過層は、その構成する前記微細粒子を所定流体に懸濁した懸濁液を前記支持体の裏面側からの減圧吸引で積層形成される複合成形品でなり、
前記支持体と濾過層の間に、両者の多孔質構造の空孔径の差を緩和する為の中位空孔径を備えた中間層を更に介在したことを特徴とする精密積層フィルター。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば半導体製造や液晶パネル、太陽電池製造装置などの超精密領域で使用される種々の高純度ガス流体を対象として、そのガス中に含まれる微細不純物粒子をよりクリーンに除却可能な気体用精密フィルターに関する。
半導体素子の製造過程で使用されるプロセスガスやバルクガスは、近年の超緻密集積用に適応するように、そのガス流体中の微小粒子を極限状態にまで完全に除却する高純度化が求められ、そのレベル化は例えば0.01μm程度の粒子をTTPレベル以上の精度が必要となり、これまでに様々なフィルター部材が開発されてきた。
本出願人は、こうした要求に適合するハイレベルのフィルター技術として、例えば特許文献1では、所定形状に成形した多孔質の成形支持体の表面上に、より微細な空孔をなす濾過層を形成する技術について、予め該濾過層を形成する為の微細粒子を懸濁した懸濁液中に前記支持体を入れて、その一面側を減圧吸引することで、反対側の面上に前記微細粒子の層を堆積させた後、焼結して一体化することを容易にし、濾過処理に伴う圧力損失(「圧損」ともいう)を抑制して非常に精密かつ均一性にすぐれた積層構造のフィルター濾材を提案している。
また特許文献2及び3は、前記特許文献1のフィルター部材の濾過特性、濾過効率の向上の為に、所定容積当たりにおける濾過面積の増大を図るものとして、特許文献2は、筒状のフィルター部材を対象に、その一方の周面に、軸の長手方向に沿って伸びる所定高さの山部と谷部を順次形成したプリーツ型にすることで、その濾過面積の増大を図ること、また特許文献3は、このようなプリーツ型を更に改良するものとして、その2点以上を所定のハウジング内に対抗配置することで多表面化した高効率用のフィルター部材を提案している。
特許第2857494号公報 特許第3177512号公報 特開2010−142785号公報
このように、特許文献1及び2は、前記特殊用途の高純度ガス流体の濾過においては、多孔質構造の比較的粗大な空孔を持つ支持体の片面に、より微細な空孔特性の濾過層をその裏面側からの減圧吸引という特殊方法で成形し、焼結一体化することで、濾過層を実質的に単独には取扱い困難な極めてその厚さを減じるとともに、圧損を抑えかつ均質で高精度の濾過特性をもたらすものとしてきた。
特に、このような高純度ガスを対象とする微小不純物の除却方法は、従来の一般的な被処理流体の濾過方法とされている、例えば濾材が持つ所定空孔径の空孔内でそれより粗大な粒子を捕獲する物理的濾過方法(さえぎり)とは異なり、該不純物粒子が極めて微細な状態ではガス分子のブラウン運動の影響によって空孔の流路内壁面に接触、その際の分子間力によって吸着(拡散吸着)し除却されるものとされている。そのため、流通空孔径より微細な不純物粒子が容易に除却できる利点がある。
しかしながら、前記先行特許文献による減圧吸引によって、粗大空孔の表面に微細な濾過層を形成する場合、特にその形状が複雑表面を持つものであったり、あるいは長尺品などのように、その全体を通じて吸引圧力が均一に作用しにくい形状品では、得られる濾過層に差が生じやすく、濾過層の形成厚さが異なることが確認されている。
すなわち、前記文献2では、支持体の山部と谷部とではその厚さが異なり、通気量が多い谷部では厚い濾過層が形成され、逆に厚さが大の山部では形成される濾過層は薄くなるもので、同様のことは、例えば長尺筒状のフィルター製品において、その一方の開口から吸引する際に、その開口近くでは強く吸引できるものの、先端側では吸引圧力の作用が少なくなって形成厚さのムラを生じさせる原因になっている。
そのため、その製造段階ではこうした影響を抑えるように、例えば吸引圧力を抑制したり、仮に成形厚さにムラがあってもそれによって濾過特性が影響されないように一定厚さ以上に厚膜にするなどの対応が行われ、それに伴って圧力損失の上昇をもたらすものとなっている。
本願発明者は、こうした積層技術に基づくフィルター製品の問題を解決し、低圧損の濾過特性を備えたフィルター製品の提供を目的として、ここにその改善を成し得たものである。
また別の目的は、その低圧損化によって小型化を図るとともに、濾過装置としてのコストダウンを齎し得る精密フィルターを提供することにある。
すなわち本願請求項1に係る発明は、
粗大空孔を持つ筒状の多孔質支持体と、該支持体の一方の表面上に積層配置される微細粒子の濾過層を備え、該濾過層は、その構成する前記微細粒子を所定流体に懸濁した懸濁液を前記支持体の裏面側からの減圧吸引で積層形成される複合成形品でなり、
前記支持体と濾過層の間に、両者の多孔質構造の空孔径の差を減じる中位空孔径を備えた中間層を更に介在したことを特徴とする精密積層フィルターである。
また請求項2に係る発明は、前記濾過層の形成厚さのバラツキが、その全体を通じて30%以下に均質化された焼結成形品であること、請求項3の発明は、前記支持体は、その内周又は外周のいずれか表面が、その円周方向に沿って、軸方向に延びる山部と谷部を順次形成した凹凸形状のプリーツを備え、該プリーツに沿って前記中間層及び濾過層が各々形成されたものであること、請求項4の発明は、前記中間層及び/又は濾過層は、これを構成する各粒子が、所定の平均直径(d)とその粒子の平均長さ(L)とのアスペクト比(L/d)が 2〜10 の短繊維によって、3次元構造の微細空孔を備えるものであることを各々特徴とする。
更に、請求項5の発明は、前記精密フィルターは、前記支持体の表面上に、前記中間層を構成する前記粒子を懸濁した懸濁液の減圧吸引で形成される一次複合体を前記支持体として、更にその表面上に、前記濾過層用の微細粒子を懸濁した懸濁液を減圧吸引することで構成される、二次成形法で得られるものであり、請求項6の発明は、前記濾過層の部分的な構成厚さの差は、前記中間層の構成厚さの差の1/5以下に均質化したものであること、請求項7の発明は、その用途として、ガス流体中に含まれる0.0025μm以上の微小不純物を10以上の高純度レベルに濾過処理するためのものであることを各々特徴とする前記精密積層フィルターである。
こうして、本願請求項1の発明に係る前記精密積層フィルターによれば、中位空孔径を持つ前記中間層を介在させることで、従来、支持体やフィルター形状によって生じていた減圧吸引の圧力差を減じ、形成される濾過層の形成厚さにムラが生じることを抑えることができ。
そのため、例えば前記支持体に用いる使用粒子についてもより大きいものが使用でき、また濾過層も必要最小限に薄箔化できることから、低圧損のフィルター製品が提供できる。
また、請求項2乃至6の発明によれば、その効果がより促進されたフィルターが可能となる。
本発明に係る筒状フィルター部材を用いた濾過装置の断面図を示す。 他の形態を示す濾過装置の平面図である。 該筒状フィルター部材の積層構造を示す要部の拡大図である。 プリーツの山部と谷部の状態を示す拡大図であり。 中間層を設けない場合の谷部[図4A]と山部[図4B]の顕微鏡写真である。 中間層を設けた実施例品の谷部[図5A]と山部[図5B]の顕微鏡写真である。 中間層を設けた他の実施例品の谷部[図6A]と山部[図6B]の顕微鏡写真である。
以下、本発明の一実施形態をその図面とともに説明する。
本形態は、フィルター1が例えば半導体の製造過程で使用されるプロセスガスを被処理流体として、そのガス中に含まれる微小不純物、例えば0.0025μm以上の不純物を10レベル(TTP)で除却可能なフィルターモジュールとして用いられる場合を示す。図1Aに示すように、フィルターモジュールは、その両端に被処理流量が流入・排出の為の導入口10A及び導出口10Bとともに、フィルター1を格納する所定形状のハウジング容器10Cを備え、フィルター1は、図1Bに例示するように、全体として例えば筒状をなす複数本をセットすることで、大流量処理に適応する濾過装置としている。
この形態でフィルター1は、例えば外径10〜50mm程度で30〜500mm程度の所定長さを持ち、その中央通路の一方側を封止し、他方側を開口状態にすることで、所定特性の多孔質濾材1Aで囲まれた濾過室1Bを備えるカップ状の筒状フィルターとしている。そして、その開口側の端面は、例えば溶接やロウ付け、乃至螺入などの固着手段によってリーク発生がなく、前記ハウジング容器10C内の装着部材10Dに取り付けられることで濾過装置が構成される。
この状態で、被処理流体は前記導入口10Aから供給され、各フィルター部材1の濾過室1Bから濾材1Aを通り、濾過処理された清浄ガスのみが導出口10Bから取り出され、次工程に送られる。
前記フィルター1は、本形態では、例えば図1Aに見るようにその内方側には使用濾過圧に耐え得る必要強度を有し、また比較的粗大空孔特性の多孔質構造体でなる支持体2と、該支持体2のいずれか外周面を覆い、実質的に所定の濾過精度をもたらす微細空孔を備える濾過層3と、更に該濾過層3と前記支持体2との間に配置される中位的な空孔特性を持つ中間層4を備える例えば3層構造による例を示し、また前記支持体2は、その外表面側に所定間隔で配置したプリーツ2を設けた例を示している。
プリーツ2は、その円周方向に沿って、筒状フィルター1の軸方向に延びる所定高さの山部2aと谷部2bを順次設けることで、フィルターに凹凸形状を形成するもので、これによって前記中間層4及び濾過層3は、各々濾過面積をより増大させるものとしている。プリーツ2は、同図のようにその長手軸方向に連続して伸びるものだけでなく、例えばその直径をジャバラ状に変化させることで形成したもの、更には点状態の非連続突起を設けたものなど、任意に設定されるものを含む。
また、その大きさもここでは何ら制限するものではなく、図2の形態では、例えは高さ(H)0.5〜10mm、幅(W)0.5〜10mmの間隔でその全長にわたって伸びた前記山部2aと、谷部2bを順次繰り返し成形し、前記中間層4及び濾過層3にもほぼ同様の凹凸面が形成されている。こうした凹凸形状によって、その実質濾過面は、例えば前記山部2aと谷部2bとの中間高さ位置を結んで描かれる見掛け上の表面積に比して3倍以上の増大をもたらすことができ、単位容積当たりにおける濾過面積を飛躍的に高め、濾過効率を向上したフィルターが提供される。
そうした構成で、フィルター1は、構造体として十分な機械的強度をもたらすための前記支持体と、これに積層される前記中間層4及び濾過層3が強固に焼結され、複合成形品をなす。その場合、中間層4及び濾過層3は各々単一層のみには限らず、例えば中間層4を順次空孔径を変化させた多層構造で構成したり、前記濾過層3の表面に更に表面保護の為の保護層を積層を設けることも好ましい。またこのような多層構造品の場合、前記濾過層とはその多層構造の中で最も微細空孔を備える層をいい、また中間層は粗大空孔を持つ支持層との間にあって、その空孔径が両者部材の空孔径の間に相当するものを含むものとする。したがって、理想的には前記支持体から濾過層にわたって、各層の空孔径が比例勾配ないし放物線状に変化するように構成するのが好ましいが、意図的にあるいは別の目的の為に、その一部において異なる空孔径の異層を設けたものも、その対象とする。
支持体2は、例えば平均粒子径が30〜300μm程度の粗大粉末によるものの他、同様に比較的太径の繊維材料の集合で成形される多孔質構造体が採用され、前者粉末としてはアトマイズ粉末が好適する。また、その空孔径は例えば30〜300μm、空隙率 50〜55 %で、構成厚さはその目的や使用条件、製品形状に応じて任意に設定し得る。
支持体2は、これによってフィルターとしての必要強度を確保するベース部材であるのと同時に、これを一次側に配置して濾過処理する場合は、被処理流体中に含まれる比較的粗大な不純物粒子を予め除却するプレフィルター用として利用される。
なお、フィルター1の筒型形状については、前記説明のような断面円形形状のものだけでなく、例えば楕円形状や半円形状、四角形状のような非円筒形状のものを含むことから、支持体2もそれに応じて所定の断面形状と寸法、特性を有するように成形される。
次に、前記濾過層3及び中間層4を説明すれば、これら各層は前記支持体2より微細化した微小空孔を持つ多孔質層で構成され、本形態で中間層4は、前記説明のように外側の濾過層3に向かって小さくなるように、前記支持体の空孔径より小さく、濾過層3の空孔径より大に設定している。
また濾過層3は、実質的にそのフィルター製品としての濾過精度を保証するもので、層中の最も微細な空孔を備えるものとされる。また、ガス流体中に含まれる0.0025μm以上の微小不純物を10以上の高純度レベルに濾過処理するためのものである場合、例えば2.5μm以下の微小濾過径と、例えば0.03mm以上の所定厚さを有するものが推奨される。
これに好適する粒子として、例えば平均直径(d)が2〜10μmでかつその粒子の平均長さ(L)との比率、アスペクト比(L/d)が 2〜10 の直針状の金属短繊維や、同程度の粒径を持つ微細なアトマイズ粉末が採用され得る。
特に前記短繊維によるものでは、それによる空孔が3次元の立体空孔をもたらし、微細空孔でありながらも空孔率を高めることができるものとして、低圧損化を図ることができる。そのため、その空孔径を前記2.5μm以下にまで微細にしても被処理流体の十分な流通が得られることから、その構成厚さをより減じることが可能となる。
これは、本願発明が対象とするガス流体の高純度濾過用途で、その濾過現象がブラウン運動する分子状の微粒子が吸着することで分離濾過される用法に好適するものの、その構成厚さが極端に薄いものでは、該微粒子が濾材に吸着するのに十分な接触機会が得られず、少なくとも0.01mm以上の厚さを備えることが好ましい。しかし、その厚さを2mmを超えるように厚くしても、その濾過精度は飽和してしまい、かえって緻密濾過層の増大に伴って圧損上昇をもたらすということが懸念されるため、より好ましくは0.05〜0.8mm、更に好ましくは0.08〜0.3mmに設定される。
また、前記各空孔径の計測は、例えばその任意横断面の観察において、その層内で隣接する構成粒子の各離間距離を各々画像回析で求めた平均値によるものの他、例えばバブルポイント圧によるもの、水銀圧入法によるものなど、種々方法で求めることができ、その測定は任意に選択した数ケ所で求め平均化した平均値を用いることができる。
次に、前記中間層4についても、前記と同様に金属製の微細粒子によって構成することができ、その粒子として前記金属短繊維やアトマイズド粒子などの利用が好ましい。また、その粒子径は、ここでは前記支持体より小さく、濾過層より大きい中位的な空孔径を備える必要があることから、使用する粒子の粒径についても、それに習って、前記濾過層の粒子径より粗大で、かつ支持体より小さいものが採択される。その範囲に設定する理由は、該粒子径が必要以上に大きな例えば粉末状のようなものでは、その表面上に更に、濾過層の微細粒子を後述する減圧吸引法で形成しようとしても、該粒子は容易にその層内を通り抜けやすく、本願発明が目的とする、ろ過層の均一形成が得られ難い。逆に微細すぎる粒子では、圧損の上昇をもたらすことになる。したがって、そのようなものでは本願発明の主旨に沿わず、より好ましくは例えば5〜10μm程度の粒径のものが選択される。
また、中間層4の構成厚さについても、前記支持体の場合と同様に、その介在によって濾材全体としての圧損上昇を招くことから可能な範囲で薄く形成することが好ましく、例えば前記濾過層3の構成厚さより薄い、例えば10〜200μmの範囲が推奨される。
これら、前記支持体2、濾過層3及び中間層4は、最終的に例えば焼結によって冶金学的に結合一体化されることから、用いる材料については、その用途や被処理流体の種類、使用条件などに応じて例えば、ステンレス鋼、ニッケル又はニッケル合金、チタン及びチタン合金など同種の金属材料が採用されるが、必要ならば各層毎に異種の材料構成にすることもできる。
図5,6などの顕微鏡写真に見られるように、本発明の精密フィルターは、前記支持体の表面状態に沿って隙間なく中間層、濾過層が形成され、また濾過層3の成形厚さムラを極力抑えるように、前記中間層4で通気特性の安定化を図るものとしている。これにより、濾過層の構成厚さのムラを30%以下に抑制でき、さらに必要ならば、この中間層を更に多層構造にすることで、減圧吸引における吸引圧力差の影響を解消し、例えば完全に均一な濾過層厚さを得ることができる。また、本発明では、空孔径が隣接する支持体と濾過層との中間的な中間層を配置されるため、前記濾過層を前記懸濁液での減圧吸引によって形成する場合に、前記支持体に用いる粉末材料により粗大粉末が用いることができ、その分圧力損失を低減することができる点でも、本発明の効果は優れるものである。
このような多層構造の精密フィルターは、例えば次の方法で得ることができる。
推奨される積層方法としては、例えばベースの前記多孔質支持体の表面上に、予め中間層を形成する所定粒子を懸濁した懸濁液中で減圧吸引することで、支持体表面に該粒子を所定厚さに堆積させ、これを一端焼結して一次複合体とし、これを再度支持体として、前記と同様に濾過層用の微細粒子を懸濁した懸濁液中で減圧吸引することで多層構造体の二次複合体とする、二段成形法で達成可能である。
その際、各懸濁粒子が前記短繊維状のものでは、該短繊維が自由な方向性をもって積層するため、3次元的な立体空孔が得られ、空孔率を高めた多孔質構造体として空孔均質性にすぐれ、形成厚さを減じた多孔質層が提供され得る。そのため、通常の球形状粒子による場合に比して、圧損上昇を防ぎ、また全体厚さを減じたフィルター濾材が提供可能となる。
また前記中間層4は、その濾過処理時には前記粗大空孔の支持体2と所定の微細空孔を持つ濾過層3との大幅な空孔差を解消する緩衝部材として機能し、一方、前記減圧吸引成形法で濾過層の微細粒子を積層する際には、前記粗大空孔を持つ支持体の空孔内に、濾過層の微細粒子が必要以上に深く侵入して折角の粗大空孔が閉塞されることを防止する遮蔽部材としても機能する。また、このような中間層4を介在させることで、前記支持体2についてもより大きな粉末材料を用いることができ、それに伴う圧損低下が可能となるメリットもある。
また前記関係から、支持体2が前記プリーツを形成した凹凸形状のものにあっても、その減圧吸引に伴い形成される前記中間層4と濾過層3についての前記山部2a及び谷部2bとの関係で、その構成厚さは山部<谷部であるが、各層の山部と谷部の構成厚さの差では、濾過層の該差は中間層側の差より少ないことを特徴の一つにする。すなわち、本発明は中間層を介した多層化構造によって、次式で求められる全体を通じて、任意測定位置における濾過層の構成厚さの差のバラツキ程度を30%以下にすることができ、最終的に濾過精度を保証する濾過層の構成厚さの均一化を齎す利点があり、その効果は次の実施例で検証されている。
バラツキ(%)= 濾過層厚さ/(中間層+濾過層)×100
実施例品1として、平均粒径96μm(粒度範囲70〜150μm)のステンレス製アトマイズド粉末を用い、これを所定の成形型内に充填して、外径30mm、厚さ5mm、長さ200mmの寸法を持つ多孔質構造体に加圧焼結し、長尺の筒状カップ型の支持体を得た。使用粉末は複雑不定形状のもので、その平均粒径はこれを分級するメッシュの開口径で示される。
得られた支持体は、空隙率 52%で平均空孔径 96μmの空孔特性を有し、一方側の開口を塞いだカップ型のもので、またその外表面には、その全長にわたって伸びる高さ2mm、幅2mmのプリーツを全面に設けたもので、これによって、支持体の実質的な周長は、該プリーツの半分の高さを結んだ見掛け上の周長の 2倍に増大することができた。
また比較の為に、従来使用されてきた細粒ステンレス製アトマイズド粉末の濾過特性をより高めるために、前記実施例品1と同様に粗大アトマイズド粉末(平均粒径56μm(粒度範囲45〜75μm))を用いた。
その成形性は、各実施例品とも良好であり、またその通気特性を 通気 試験機(型番: 特注の ため不明 型,レスカ(株)製)で測定したところ、実施例品1:0.006MPa,実施例品2:0.014MPaの結果で、実施例品1は粗大粉末を用いたことから、より低い通気圧力が得られた。
なおその試験は、N2ガスを用いて100SLMの条件で供給し、その測定用成形品を通過した時の排出側圧力(2次圧)を測定したもので、上記結果はこれを5回測定した平均値で示している。この結果から、実施例品1は、その通気圧力が小さいことから圧力損失が低いことが確認された。
次に、この2つの支持体に対して、表1に記載のようにステンレス鋼短繊維及びアトマイズト粒子を準備して、各々水中に一定濃度で懸濁させた懸濁液の中に前記支持体を浸漬して、その支持体の内部を真空ポンプで減圧することで懸濁粒子を各支持体の表面上に堆積させることで、中間層及び濾過層を備える複合成形品を試作した。
なお、実施例品については、その成形品を前記支持体として更にその表面に、前記吸引成形による濾過層形成した二次複合品とするものである。
その結果は表1に示され、またその状態の一例が図4に示されている。
図4〜図6は、本発明に基づいて、前記プリーツを備える支持体を用いた場合の谷部と山部に形成された中間層の有無による濾過層の形成厚さの変化を示すもので、図4a,4bは中間層を設けた場合のプリーツの谷部と山部における濾過層の形成厚さの変化を示すものであり、図5,6は中間層を設けた場合の同様に谷部と山部の状態を示すものである。
これら結果に見られるように、本実施例品によるフィルターは、いずれも中間的な空孔径を持つ中間層の介在によって、その表面上に形成される濾過層の厚さの程度差が非常に小さく、実質的に中間層がその変化を吸収しており、その程度差は20%e以下に抑制されていることがわかる。
これに対して、図4のように中間層を持たない従来型のフィルターでは、支持体の山部と谷部との厚さの差を直接濾過層が受けるため、形成される濾過層の山部と谷部との形成厚さが2倍以上に異なる厚さであり、本発明による中間層が及ぼす影響が大きいことがわかる。
その原因として、比較例品では、プリーツにおいてその山部と谷部とでは、その両者間の寸法的距離の違いから、仮に一定圧力で減圧しても懸濁粒子を吸引する吸引力は、通気抵抗の低い谷部側に集中しより優先的に積層することによるものである。その作用を緩和するために、空孔径の小さい前記中間層を配置することで該作用面における吸引圧力がやや平均化することによるものと考えられる。
産業上の利用分野
本発明による精密フィルターは、積層構造体として空孔精度が中間的な中間層の介在によって、表面の微細濾過層の厚さ形成が、支持体の構造に関係なく均一化でき、高精度が求められる半導体等に使用される高純度ガスをはじめ、種々の特殊ガスの濾過に好適に採用できるものである。

Claims (7)

  1. 粗大空孔を持つ筒状の多孔質支持体と、該支持体の一方の表面上に積層配置される微細粒子の濾過層を備え、該濾過層は、その構成する前記微細粒子を所定流体に懸濁した懸濁液を前記支持体の裏面側からの減圧吸引で積層形成される複合成形品でなり、
    前記支持体と濾過層の間に、両者の多孔質構造の空孔径の差を減じる中位空孔径を備えた中間層を更に介在したことを特徴とする精密積層フィルター。
  2. 前記濾過層の形成厚さのバラツキが、その全体を通じて30%以下に均質化された焼結成形品である請求項1に記載の精密積層フィルター。
  3. 前記支持体は、その内周又は外周のいずれか表面が、その円周方向に沿って、軸方向に延びる山部と谷部を順次形成した凹凸形状のプリーツを備え、該プリーツに沿って前記中間層及び濾過層が各々形成されたものである請求項1又は2に記載の精密積層フィルター。
  4. 前記中間層及び/又は濾過層は、これを構成する各粒子が、所定の平均直径(d)とその粒子の平均長さ(L)とのアスペクト比(L/d)が 2〜10 の短繊維によって、3次元構造の微細空孔を備えるものである請求項1〜3のいずれかに記載の精密積層フィルター。
  5. 前記精密フィルターは、前記支持体の表面上に、前記中間層を構成する前記粒子を懸濁した懸濁液の減圧吸引で形成される一次複合体を前記支持体として、更にその表面上に、前記濾過層用の微細粒子を懸濁した懸濁液を減圧吸引することで構成される、二次成形法で得られるものである請求項1〜4のいずれかに記載の精密積層フィルター。
  6. 前記濾過層の部分的な構成厚さの差は、前記中間層の構成厚さの差の1/5以下に均質化したものであることを特徴とする、請求項5に記載の精密積層フィルター。
  7. ガス流体中に含まれる0.0025μm以上の微小不純物を10以上の高純度レベルに濾過処理するためのものである、請求項1〜6のいずれかに記載の高純度ガス用の精密積層フィルター。
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