JP6117668B2 - ピラー構造 - Google Patents

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本発明は、自動車のフロントガラス両端部に設けられるピラーの構造に関し、特にフロントガラスの排水性を向上するとともにワイパ反転位置に雪塊が成長することを抑制したものに関する。
自動車等の車両のフロントガラスには、ゴム製のブレードによって雨水や雪等を払拭するワイパ装置が設けられる。
ワイパ装置は、ワイパモータによって駆動され回転軸回りに揺動するワイパアームの先端部にブレードを取付けて構成されている。
ここで、ブレードの一方の反転位置が、フロントガラスの側端部に沿って設けられたAピラーの近傍に配置されている場合、ブレードによって払拭された雪がAピラーに沿った雪塊として成長する場合がある。
この雪塊が過度に成長すると、視界の妨げになるとともに、ブレードの動作を阻害することになる。
このようなワイパ装置に関する従来技術として、例えば特許文献1には、霜、雪、氷等の払拭効率を高めるため、主ブレードに隣接してガラスから当接離反するよう可動する副ブレードを設けることが記載されている。
また、特許文献2には、ブレードの弾性反力を利用して、ガラス面に土、埃等を掻き上げ、吐き出すようにしたことが記載されている。
また、特許文献3には、ブレードの上部からピラー側にかけて庇状のカバーを設定し、レバーアッセンブリへの雪の付着を抑制することが記載されている。
また、特許文献4、5には、ピラーとフロントガラスとの境界部に、所定の斜面を有するピラーカバー(モールディング)を設定することが記載されている。
特許第3964895号 特開2006−151164号公報 特開2006−232078号公報 実開昭63− 64516号公報 実開平 4− 70550号公報
近年、雨天時等のフロントガラスの排水性を向上させるため、Aピラーからフロントガラスの側部に庇状に張り出したピラーカバーを設けて、ピラーカバーの内部に水を導入して排水することが提案されている。
しかし、このような庇状のピラーカバーを設けた場合、降雪時には庇状の部分に雪が溜まることによって雪塊が成長しやすくなり、特許文献1乃至3に記載されたような技術をもってしても、雪塊の成長を抑制することは困難である。
また、特許文献4、5のようにピラーカバーに斜面を形成した場合には、このような斜面を設けない場合に対してワイパの反転位置がガラス中央側となるため、拭き残しによる視界悪化が懸念され、また、ピラーカバーの排水性の確保にも問題が生じる。

本発明の課題は、フロントガラスの排水性を向上するとともにワイパ反転位置に雪塊が成長することを抑制したピラー構造を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1に係る発明は、車両のフロントガラスの側端部に沿って延在するピラーと、前記ピラーの車外側に取り付けられるピラーカバーと、前記ピラーと前記ピラーカバーとの間に設けられ前記ピラーの長手方向に沿って延在する空間部とを備えるピラー構造であって、前記ピラーカバーは、車幅方向内側に突き出して形成され、前記フロントガラスの側端部における表面よりも車両前方側へ張り出して配置された庇状部と、一方の端部が前記庇状部の突端部よりも車幅方向内側において前記フロントガラスの表面部に隣接して設けられかつ他方の端部が前記庇状部の車幅方向内側の端部に接続され、前記フロントガラスに対して傾斜して配置された端縁部を有し、前記ピラーの長手方向に沿って分散して配置された複数のリブとを有することを特徴とするピラー構造である。
これによれば、フロントガラスからリブの端縁部を介してピラーカバーの表面まで連続した滑り面が構成され、ピラーに沿って雪塊が形成された場合であっても、雪塊はリブの端縁部に沿って滑ってピラーカバーに乗り上がるように移動し、フロントガラスから除去されるため、視界は確保される。
また、ワイパによって払拭された水等はリブの間隔からピラーカバーとピラーとの間の空間部に流入して排水されるため、フロントガラスの排水性も向上することができる。
請求項2に係る発明は、前記リブの端縁部が前記フロントガラスの表面に対してなす角度が45°以下であることを特徴とする請求項1に記載のピラー構造である。
請求項3に係る発明は、前記リブは、前記ピラーカバーと隣接する領域におけるワイパ装置のブレードの進行方向と実質的に沿って延在することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のピラー構造である。
これらの各発明によれば、雪塊を効率よく除去することができ、また、水の流れを妨げることがないので、上述した効果をよりいっそう高めることができる。
以上説明したように、本発明によれば、フロントガラスの排水性を向上するとともにワイパ反転位置に雪塊が成長することを抑制したピラー構造を提供することができる。
本発明を適用したピラー構造の実施例を有する車両の車体前半部の模式的側面図である。 図1のII部矢視断面図であって、Aピラー部の基本断面を示す図である。 Aピラー部におけるリブが設けられる箇所の断面を示す図である。
本発明は、フロントガラスの排水性を向上するとともにワイパ反転位置に雪塊が成長することを抑制したピラー構造を提供する課題を、フロントガラスの表面からAピラーカバーの表面へ雪塊を案内する斜面状の端面を有するリブを、Aピラーカバーの長手方向に分散して複数配置することによって解決した。
以下、本発明を適用したピラー構造の実施例について説明する。
図1は、実施例のピラー構造を有する車両の車体前半部の模式的側面図である。
図2は、図1のII部矢視断面図であって、Aピラー部の基本断面を示す図である。
車両1は、キャビン2の前部にエンジンルーム3を有する、いわゆる2ボックス又は3ボックス型の乗用車である。
キャビン2は、フロントガラス10、Aピラー20、ルーフ30、フロントドア40、Aピラーカバー100、ワイパアーム200等を備えている。
フロントガラス10は、キャビン2の前部に設けられている。
フロントガラス10は、正面から見た平面形が実質的に矩形状に形成されるとともに、車幅方向における中央部が前方側に張り出すよう2次元曲面状に湾曲して形成されている。
フロントガラス10は、2枚のガラスを中間層となる樹脂フィルムを挟んで接着した合わせガラスとなっている。
フロントガラス10の下端部は、エンジンルーム3上部のフード後端部に隣接して配置されている。
Aピラー20は、フロントガラス10の左右側端部に沿って配置された柱状の部材である。
フロントガラス10の側端部は、Aピラー20に接着材Bによって固定されている。
Aピラー20は、上端部が下端部に対して後退するように後傾して配置されている。
図2に示すように、Aピラー20は、第1インナパネル21、第2インナパネル22、アウタパネル23、インナトリム24等を有して構成されている。
第1インナパネル21、第2インナパネル22、アウタパネル23は、それぞれ例えば鋼板をプレス加工して形成されている。
第1インナパネル21、第2インナパネル22は、中空閉断面を形成するようモナカ状に閉じ合わされ、Aピラー20の本体部を構成する部材である。
第1インナパネル21と第2インナパネル22とは、フロントガラス10の側端部における裏面(車室内側の面)近傍、及び、ドアサッシュ43と隣接する箇所にそれぞれ設けられたフランジ部を、スポット溶接等によって接合されている。
アウタパネル23は、第1インナパネル21の外表面にほぼ沿って配置されたパネルである。
アウタパネル23の外側には、後述するAピラーカバー100が設けられる。
インナトリム24は、例えばPP等の樹脂系材料によって形成された内装部材であって、第2インナパネル22の車室内側の面部を被覆するとともに、衝突時における乗員頭部保護を図るものである。
ルーフ30は、キャビン2の天井を構成する部分であって、枠体状のフレーム上にルーフパネルを接合するとともに、下面部にルーフトリムを設けて構成されている。
ルーフ30は、フロントガラス10の上端部から車両後方側へ延びて配置されている。
フロントドア40は、キャビン2の前半部における側部に設けられ乗員が乗降する扉である。
フロントドア40は、前端部に設けられたヒンジ回りに揺動して開閉される。
フロントドア40は、本体部41、ドアガラス42、サッシュ43等を有して構成されている。
本体部41は、窓肩部よりも下側の領域であって、例えば鋼板をプレス成型して形成されたアウタパネル、インナパネルを接合することによって中空に形成されている。
本体部41の内部には、図示しないドアビームや、ドアガラス42の昇降機構、ロック機構等が設けられている。
ドアガラス42は、本体部41の上方に突き出して配置されるとともに、本体部41の内部に引き込まれることによって昇降可能となっている。
ドアガラス42は、全閉時(上昇時)において、前端部がAピラー20に沿って配置されるとともに、上端部がルーフ30の側端部に沿って配置されている。
サッシュ43は、上昇時におけるドアガラス42の前端部、上端部、後端部に沿って配置され、ドアガラス42の端部を保持する枠状の部材である。
サッシュ43は、例えば鋼板をロール成形することによって形成されている。
また、図2に示すように、サッシュ43とドアガラス42の端部との間、及び、サッシュ43とAピラー20との間には、雨水等の浸入を防止するゴム製のシール材であるウェザーストリップ44,45,46が設けられている。
Aピラーカバー100は、Aピラー20の車室外側の面部を実質的に全面的に覆うように配置された外装部材である。
Aピラーカバー100は、例えばPP等の樹脂系材料をインジェクション成形することによって形成されている。
図2等に示すように、Aピラーカバー100は、本体部110、庇状部120、隔壁部130等を一体に形成している。
本体部110は、Aピラー20のアウタパネル23の車室外側の面部にほぼ沿って配置された面部である。
本体部110は、車室外側が凸となるように湾曲して形成されるとともに、Aピラー20のアウタパネル23とは間隔を隔てて対向して配置されている。
本体部110とAピラー20との間には、空間部S2が形成される。
空間部S2は、Aピラー20の長手方向にわたって連通している。
本体部110の車幅方向外側(車両後方側)の端部には、Aピラー20側に突出した突出面部111が形成されている。
突出面部111の突端部は、Aピラー20のアウタパネル23に実質的に当接している。
突出面部111は、フロントドア40を閉じた際におけるサッシュ43の上部に隣接して配置され、ウェザーストリップ45のリップ部が当接するようになっている。
庇状部120は、本体部110の車幅方向内側(車両前方側)の端部に設けられ、突端部がフロントガラス10側端部の表面側にラップするように配置された面部である。
庇状部120の突端部は、フロントガラス10の表面に対して車両前方側に張り出すようにして配置され、フロントガラス10の表面と間隔を隔てて対向している。
隔壁部130は、本体部110の内面(Aピラー20と対向する面)から突出して形成された面部である。隔壁部130の先端部131は、車幅方向内側へ突出するよう他部に対して屈曲して形成されている。
先端部131は、Aピラー20のアウタパネル23と隣接するとともに、フロントガラス10の側端部に対して車室内側に配置されている。
上記構成によって、フロントガラス10の側端部近傍には、庇状部120、隔壁部130及びその先端部131によって仕切られた空間部S1が形成される。
空間部S1はAピラー20の長手方向にわたって延在している。
ワイパアーム200は、フロントガラス10の表面を払拭するワイパ装置に設けられ、フロントガラス10の下部に設けられた中心軸回りに揺動し、ブレードが扇形の払拭領域を払拭するよう往復するものである。
ワイパアーム200は、ブレード210を備えている。
ブレード210は、例えばゴム等の弾性を有する材料で形成され、フロントガラス10の表面と当接して水等を払拭するリップ部を備えている。
ブレード210がAピラー20側へ進行して雨水等を搬送した場合、フロントガラス10の表面上を車幅方向外側へ流れる水Wは庇状部120に案内されて、空間部S1内に流入し、空間部S1内を自重によって流下し、排水される。
また、実施例においては、Aピラーカバー100の庇状部120には、以下説明するリブ121が設けられている。
リブ121は、庇状部120のAピラー20側の面部(内面部)から突出して形成されている。
リブ121は、例えば、厚さが1mm程度の平板状に形成されている。
リブ121の車幅方向外側の端部は、隔壁部130に接続されている。
リブ121の車幅方向内側の端部は、庇状部120の突端部よりも車幅方向内側に突出して配置されている。
リブ121の車幅方向内側の端縁部121aは、実質的にストレートに形成されている。
端縁部121aの車幅方向内側の端部は、フロントガラス10の表面と実質的に当接している。
端縁部121aの車幅方向外側の端部は、庇状部120の突端部と接続されている。
端縁部121aは、フロントガラス10の表面に沿って形成される雪塊Sを、Aピラーカバー100の外表面側に案内する滑り面を構成している。
端縁部121aがフロントガラス10の表面に対してなす角度は、例えば、45°以下であることが好ましい。
また、リブ121の延在する方向(車幅方向内側の端部と車幅方向外側の端部とを結んだ方向)は、Aピラー20の近傍におけるブレード210の進行方向とほぼ沿って配置されている。
このような配置によって、雪塊Sを効率よく滑らせてフロントガラス10から除去することが可能となり、また、雨天時等には雨水等の水Wの空間部S1への流入を妨げることがない。
リブ121は、例えば50mm程度の間隔で、Aピラー20の長手方向に沿って複数配列される。
以上説明したように、本実施例によれば、フロントガラス10からリブ121の端縁部121aを介してAピラーカバー100の表面まで連続した滑り面が構成され、Aピラー20に沿って雪塊Sが形成された場合であっても、雪塊はリブ121の端縁部121aに沿って滑ってAピラーカバー100に乗り上がるように移動し、フロントガラス10から除去されるため、視界は確保される。
また、ワイパのブレード210によって払拭された水等はリブ121の間隔からAピラーカバー100とAピラー20との間の空間部S1に流入して排水されるため、フロントガラス10の排水性も向上することができる。
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
例えば、ピラー及びピラーカバーの形状、構造、材質、製法、部品の分割等は適宜変更することが可能である。
また、リブの枚数、配置、形状、角度などは適宜変更することが可能である。
1 車両 2 キャビン
3 エンジンルーム 10 フロントガラス
20 Aピラー 21 第1インナパネル
22 第2インナパネル 23 アウタパネル
24 インナトリム 30 ルーフ
40 フロントドア 41 本体部
42 ドアガラス 43 サッシュ
44〜46 ウェザーストリップ
100 Aピラーカバー 110 本体部
111 突出面部 120 庇状部
121 リブ 121a 端縁部
130 隔壁部 131 先端部
200 ワイパアーム 210 ブレード

Claims (3)

  1. 車両のフロントガラスの側端部に沿って延在するピラーと、
    前記ピラーの車外側に取り付けられるピラーカバーと、
    前記ピラーと前記ピラーカバーとの間に設けられ前記ピラーの長手方向に沿って延在する空間部と
    を備えるピラー構造であって、
    前記ピラーカバーは、
    車幅方向内側に突き出して形成され、前記フロントガラスの側端部における表面よりも車両前方側へ張り出して配置された庇状部と、
    一方の端部が前記庇状部の突端部よりも車幅方向内側において前記フロントガラスの表面部に隣接して設けられかつ他方の端部が前記庇状部の車幅方向内側の端部に接続され、前記フロントガラスに対して傾斜して配置された端縁部を有し、前記ピラーの長手方向に沿って分散して配置された複数のリブとを有すること
    を特徴とするピラー構造。
  2. 前記リブの端縁部が前記フロントガラスの表面に対してなす角度が45°以下であること
    を特徴とする請求項1に記載のピラー構造。
  3. 前記リブは、前記ピラーカバーと隣接する領域におけるワイパ装置のブレードの進行方向と実質的に沿って延在すること
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のピラー構造。
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