JP6116131B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1では、像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体上に転写後、像担持体上に残留したトナー(転写残トナー)を回収する像担持体クリーニング手段を設けない方式(像担持体クリーナレス方式)の画像形成装置が提案されている。この方式によれば、転写残トナーは現像手段に回収されるため、像担持体上にクリーニング手段を設けなくとも像担持体上のクリーニングを行うことができる。よって、回収トナーを保持する専用の空間等が不必要になり、現像装置や画像形成装置全体の小型化ひいては省部材による低コスト化が可能となる。
ただし、像担持体クリーナレス方式の画像形成装置では、画像形成動作やトナーを用いた各種画像安定化制御を繰り返す内に、帯電手段へトナーが付着・蓄積するという課題があった。これは、転写残トナー中の正規帯電極性と逆極性に帯電したトナーが、帯電手段に印加される電圧と像担持体表面電位との電位差により帯電手段に付着することで発生する。その結果、帯電手段の帯電能力が変化して像担持体表面を均一に帯電できなくなり、画像濃度変動が発生してしまうことが懸念される。
これに対して、帯電手段に付着したトナーを清掃する方法が多数提案されている。例えば、特許文献2では、所定のタイミングで接触帯電手段の清掃工程を設け、クリーニング手段が付設された転写体と接触帯電手段との間に電位勾配を形成し、接触帯電手段に付着したトナーを電位差によりクリーニング手段が付設された転写体に集める。そして、集めたトナーを転写体上に設けられたクリーニング手段により回収している。このように、所定のタイミングで随時帯電手段の清掃を行うことで、帯電手段のトナー付着による帯電能力変動を抑制することができる。
それに対し、2次転写手段へのトナー付着を抑制する方法として、様々な方法が提案されている。例えば、特許文献3では、2次転写部に記録材がないときには、2次転写部を通過するトナーと同極性の電圧を2次転写手段に印加して、静電気力によりトナーを2次転写手段に付着させないようにしている。また、特許文献4では、2次転写部に記録材がないときに中間転写体と2次転写手段とを離間して、物理的にトナーを2次転写手段に付着させないようにしている。これらのように、静電的あるいは物理的に2次転写手段へのトナー付着を抑制することで、記録材の裏汚れ等の発生を抑制することができる。
この画像形成装置では、低抵抗の中間転写体を備え、給電手段としての2次転写手段から供給される電流が中間転写体の周方向に流れることで、中間転写体の全周が略一定の電位となる。斯かる構成においては、中間転写体と各色の像担持体表面との電位差により、各1次転写部で1次転写が行われる。この方式によると、各1次転写部に給電手段を備える必要がなく、また、関連部材・配線の省略が行えることから、画像形成装置の省電源化や小型化、引いては低コスト化につながる。
しかしながら、2次転写手段から供給される電流により全周が略一定の電位となる中間転写体を備えた像担持体クリーナレス方式の画像形成装置では、次のようなことが懸念される。即ち、帯電手段に付着したトナーを清掃する工程において、中間転写体上に集められたトナーが2次転写部を通過する際に、従来の方法では2次転写手段へのトナー付着を抑制することができないことが懸念される。
これは、2次転写手段から供給される電流により中間転写体の電位が与えられ、各1次転写部において1次転写が行われるためである。即ち、2次転写部を通過するトナーと同極性の電圧を2次転写手段に印加したり、中間転写体と2次転写手段とを離間したりすると、中間転写体の電位が変化して1次転写が行えなくなる。よって、従来の方法では、帯電手段に付着したトナーを清掃する工程において、2次転写手段へのトナー付着を低減しつつ帯電手段の清掃を行うことはできない。
像担持体と、前記像担持体に当接して前記像担持体を帯電させる帯電手段と、前記像担持体にトナー像を現像する現像手段と、導電性を有し、無端状で回転可能な中間転写体と、前記中間転写体に当接して2次転写部を形成し、前記中間転写体に1次転写されたトナー像を前記2次転写部において記録材に2次転写する2次転写部材と、前記2次転写部材に電圧を印加する電圧印加手段と、前記中間転写体に付着しているトナーを回収する回収手段と、を備え、前記現像手段が前記像担持体に付着しているトナーを回収可能な画像形成装置であって、
前記2次転写部材は前記中間転写体の外周面に接触し、前記電圧印加手段からトナーの正規帯電極性とは逆極性の転写電圧が印加された前記2次転写部材から前記中間転写体を介して前記像担持体に電流が流れることにより前記像担持体から前記中間転写体にトナー像が1次転写され、
前記帯電手段に付着しているトナーを、前記像担持体を介して前記中間転写体に移動させ、前記中間転写体に移動したトナーを前記回収手段によって回収する回収工程を実行する場合、前記電圧印加手段は、前記転写電圧と逆極性であり、且つ、基準電圧よりも低い電圧を前記2次転写部材に印加し、前記基準電圧は、前記電圧印加手段から前記2次転写部材に電圧を印加した際に、前記中間転写体の回転方向に関して前記像担持体と前記中間転写体が接触する領域の上流側において、前記像担持体と前記中間転写体の間で放電が開始する電圧であることを特徴とする。
本発明は、電子写真方式を用いて記録材(記録媒体)に画像形成を行う画像形成装置に関するものである。画像形成装置としては、複写機、プリンタ(レーザビームプリンタ、LEDプリンタ等)、ファクシミリ装置、ワードプロセッサ、及びこれらの複合機(マルチファンクションプリンタ)等を挙げることができる。そして本発明は、特に、像担持体のクリーニング手段を持たない所謂像担持体クリーナレス方式を用いた画像形成装置に関するものである。
まず、本発明を適用可能な画像形成装置の一実施例として、電子写真画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
図1は、実施例1の画像形成装置100の概略構成を示す断面図である。画像形成装置100は、インライン方式、中間転写方式を採用したフルカラーレーザビームプリンタであり、画像情報に従って、記録材(例えば、記録用紙、プラスチックシート、布等)にフルカラー画像を形成することができる。また、画像情報は、画像形成装置本体に接続された画像読み取り装置、或いは画像形成装置本体に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器から、画像形成装置本体に入力される。
なお、本実施例では、第1〜第4の画像形成部の構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。従って、以下の説明では、特に区別を要しない場合、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために符号に与えた添え字Y,M,C,Kは省略して、総括的に説明する。
感光ドラム1は、アルミニウム製のドラム基体(不図示)上に機能性膜である下引き層、キャリア発生層、キャリア移送層を順にコーティングした感光体層を有している。そし
て、駆動モータ(不図示)の駆動力により、画像形成動作等に応じて所定の周速度で図示矢印a方向(時計方向)に回転駆動される。本実施例では、感光ドラム1は直径24mmの負帯電性の有機感光ドラムを用いており、周速240mm/secで回転駆動される。
感光ドラム1の周囲には、帯電ローラ2、露光装置3及び現像装置4が配置されている。
ここで、現像ローラ12は、感光ドラム1に接離可能に設けられている。即ち、現像装置4と画像形成装置100本体は、現像ローラ12と感光ドラム1の当接離間(現像離間)状態を制御する機構(不図示)を備えており、画像形成動作等に応じて現像ローラ12と感光ドラム1を当接させ、動作が停止するときには離間させている。
ここで、単位質量あたりのトナー帯電量と単位面積あたりのトナー量は、現像ローラ12上のトナーを、内部にフィルタをもつ吸引式ファラデーゲージで吸引捕集して、ファラデーゲージで測定された電荷とトナーの捕集面積、フィルタの質量増加から求めた。つまり、単位質量あたりのトナー帯電量は、ファラデーゲージで測定された電荷をフィルタの質量増加で除して求め、単位面積あたりのトナー量は、フィルタの質量増加を捕集面積で除して求めた。
が20nm程度の酸化ケイ素粒子をトナー重量の1.5%程度トナー表面に均一に付着させている。ここで、トナーの体積平均粒径は、ベックマン・コールター株式会社製のレーザ回折式粒度分布測定器LS−230で測定した体積平均粒径である。ただし、本実施例では懸濁重合法で製造したトナーを用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、粉砕法や、乳化重合法等の他の重合法を用いて製造されたトナーであってもよい。また、本実施例では、現像装置4Y,4M,4C,4Kには、それぞれイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーが収容されている。
即ち、本実施例では、現像装置4は感光ドラム1の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーを、感光ドラム1表面の露光により電荷が減衰した部分(露光部)に付着させる、所謂反転現像を行う。これにより、感光ドラム1上(像担持体上)の静電潜像が現像されて、トナー像が形成される。
そして、外周面において全ての感光ドラム1に当接し、駆動モータ(不図示)が接続された駆動ローラ51の駆動によって、図示矢印b方向(反時計方向)に所定の速度で循環移動(回転)する。本実施例では、中間転写ベルト5は、感光ドラム1の周速度と同じ240mm/secで循環移動(回転)する。
中間転写ベルト5の内周面側には、各感光ドラム1に対向するように、1次転写手段としての4個の1次転写ローラ8が並設されている。1次転写ローラ8は、中間転写ベルト5を感光ドラム1に向けて押圧し、中間転写ベルト5と感光ドラム1とが接触する1次転写部N1にニップ(1次転写ニップ)を形成する。また、中間転写ベルト5の外周面側において2次転写対向ローラ52に対向する位置には、2次転写手段を構成する2次転写部材としての2次転写ローラ9が中間転写ベルト5に当接するように配置されている。
2次転写ローラ9は、中間転写ベルト5を介して2次転写対向ローラ52に圧接し、中間転写ベルト5と2次転写ローラ9とが接触する2次転写部N2にニップ(2次転写ニップ)を形成する。そして、2次転写ローラ9には、2次転写バイアス電源6から、所定の直流電圧が印加される。さらに、中間転写ベルト5の外周面側においてテンションローラ53に対向する位置には、回収手段(中間転写体清掃手段)としての中間転写ベルトクリーニング装置11が設けられている。ここで、2次転写バイアス電源6は、2次転写ロー
ラ9に電圧を印加すると共に、2次転写ローラ9に電圧を印加することで2次転写ローラ9に当接している中間転写ベルト5に電圧を印加する電圧印加手段に相当する。また、2次転写ローラ9と2次転写バイアス電源6は、2次転写手段を構成する。
本実施例では、中間転写ベルト5は、厚さが100μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂にカーボンブラックを分散させた基材上(外周面側)に、厚さが0.5〜3.0μmで高抵抗のアクリル樹脂の表層を設けたベルトを使用している。また、本実施例の中間転写ベルト5の抵抗値は110kΩであった。
本実施例における中間転写ベルト5は低抵抗であるため、株式会社三菱化学アナリテック製の抵抗率計ハイレスタUP及び測定電極としてハイレスタUP専用プローブURSプローブを用いて、印加電圧100Vで測定したところ測定レンジ外であった。
そのため、中間転写ベルト5の抵抗値は、図2に示すように本実施例における画像形成装置100を用いて測定した。図2(a)は、感光ドラム1Yの位置で、中間転写ベルト5の抵抗値を測定する場合について説明するための概略図であり、図2(b)は、感光ドラム1Kの位置で、中間転写ベルト5の抵抗値を測定する場合について説明するための概略図である。
抵抗値=印加電圧/検出された電流値
本実施例では、2次転写部N2からアルミドラム1YMの1次転写部N1までの距離が、中間転写ベルト5の上側経路で420mm、下側経路で370mmであった。この方法により測定した中間転写ベルト5の周方向抵抗値が110kΩである。また、図2(b)に示すように、アルミドラムの配置を変えてアルミドラム1KMの位置で測定した場合も、中間転写ベルト5の周方向抵抗値はほぼ同じ値であった。このとき、2次転写部N2からアルミドラム1KMの1次転写部N1までの距離は、中間転写ベルト5の上側経路で710mm、下側経路で80mmであった。
このように、本実施例における中間転写ベルト5は、2次転写バイアス電源6により電圧が印加されることで(2次転写バイアス電源6により供給される電流により)、全周にわたって一定の電位となるように構成されている。
2次転写対向ローラ52は、2次転写ニップを形成するために、同じく表層に体積抵抗率が105Ωcm以下の導電性ゴム層を有している。また、2次転写対向ローラ52は、中間転写ベルト5に従動回転する。
テンションローラ53は、金属ローラからなり、総圧約60Nの張力を中間転写ベルト5に付与し、中間転写ベルト5に従動回転する。
抗値の抵抗素子を介して接地されている。本実施例では、全て抵抗値1GΩの抵抗素子を介して接地されている。ただし、本実施例では、各ローラに接続する抵抗素子の抵抗値を1GΩとしたが、これに限定されるものではない。また、本実施例では、各ローラは全て同じ抵抗値の抵抗素子を介して接地したが、これに限定されるものではなく、各ローラに接続している抵抗素子の抵抗値が異なってもよい。また、本実施例では、各ローラに抵抗素子を接続したが、これに限定されるものではなく、例えば、所定の降伏電圧を有するツェナーダイオード等を介して接地してもよい。
2次転写部N2では、中間転写ベルト5の表面電位(200V)と2次転写ローラ9に印加される電圧(2000V)との差により、負帯電トナーが中間転写ベルト5上から2次転写ローラ9に移動する方向の電界が形成される。この電界により、中間転写ベルト5上のトナー像が記録材P上に転写される。
また、2次転写部N2において記録材Pの搬送方向下流側には、定着ローラと加圧ローラとを有する定着手段としての定着装置10が設けられている。
そして、2次転写バイアス電源6から2次転写ローラ9に電圧が印加されることで、中間転写ベルト5上のトナー像は、2次転写部N2において電界の作用により記録材P上に転写(2次転写)される。トナー像が転写された記録材Pは、定着装置10に搬送される。そして、定着ローラと加圧ローラとの接触部に形成されるニップ(定着ニップ)において、記録材Pに熱及び圧力が加えられ、トナー像が記録材P上に定着される。その後、記録材Pは画像形成装置100の外部に排出される。
即ち、非露光部においては、電界の向きが負帯電トナーを感光ドラム1上から現像ローラ12上に移動させる方向であるため、感光ドラム1上の1次転写残トナーが現像ローラ12上に移動して現像装置4内に回収される。
一方、露光部においては、電界の向きが負帯電トナーを現像ローラ12上から感光ドラム1上に移動させる方向であるため、現像ローラ12上の負帯電トナーが感光ドラム1上に移動して感光ドラム1上の静電潜像を現像する。このとき、感光ドラム1上の1次転写残トナーも静電潜像の現像に使用される。このように、現像装置4は、感光ドラム1に形成された静電潜像をトナー像に現像すると共に感光ドラム1に付着しているトナーを回収可能に構成されている。
なお、画像形成装置100は、単独又はいくつかの(全てではない)所望の画像形成部のみを用いて、単独またはマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
1次転写部N1における転写の影響等により、1次転写残トナーは正規帯電極性と逆極
性(本実施例では正極性)に帯電したトナーを一定の割合で含んでいる。そのため、1次転写残トナーが感光ドラム1の回転に伴い帯電ローラ2との接触部を通る際に、帯電ローラ2に印加される電圧と感光ドラム1の表面電位との差により形成される電界で、1次転写残トナー中の正帯電トナーが帯電ローラ2上に移動する。帯電ローラ2表面へのトナー付着は、1次転写残トナーが感光ドラム1の回転に伴い帯電ローラ2との接触部を通る度に発生するので、画像形成動作等を繰り返す内に帯電ローラ2表面にトナーが蓄積していく。
本実施例における帯電ローラ2の清掃動作は、感光ドラム1と中間転写ベルト5とを介して帯電ローラ2と2次転写ローラ9との間に、画像形成動作時とは逆方向の電界が形成されることで行われる。ここで、駆動ローラ51、2次転写対向ローラ52、テンションローラ53に接続されている抵抗素子は、この電界を形成する役割を有している。
帯電ローラ2上のトナーは正帯電しており、帯電ローラ2表面に静電的に付着している。そこで、帯電ローラ2と感光ドラム1との間の電界を画像形成動作時とは逆方向にすることで、帯電ローラ2表面に付着したトナーを除去することができる。このとき、帯電ローラ2に印加される電圧は、帯電ローラ2と感光ドラム1との間の放電開始電圧をVaVとすると、感光ドラム1の表面電位に対してトナーの正規帯電極性と逆極性側に100V以上VaV以下であることが好ましい。これは、100V未満の場合には、正帯電トナーを帯電ローラ2上から感光ドラム1上に移動させるのに十分な強さの電界が形成されないためである。一方、VaVを超える場合には、帯電ローラ2と感光ドラム1との間で放電が発生し、帯電ローラ2上の正帯電トナーの一部が負帯電トナーに変わって感光ドラム1上に移動できなくなるためである。
図において、画像形成動作の終了に従い、まず現像ローラ12が感光ドラム1表面から離間される。そして、中間転写ベルト5上の最終トナー像の後端が2次転写部N2を通過した直後の時間t0において、2次転写ローラ9に印加する電圧を2000Vから−1200Vに切り替える。
ここで、中間転写ベルト5の電位は、2次転写ローラ9から2次転写ニップを介して供給される電流により与えられる。よって、2次転写ローラ9に印加する電圧を切り替えることで、中間転写ベルト5の表面電位が200Vから−960V程度に変化する。
1次転写部N1では、感光ドラム1の表面電位(−500V)と中間転写ベルト5の表面電位(−960V)との差により、正帯電トナーが感光ドラム1上から中間転写ベルト5上に移動する方向の電界が形成される。この電界により、感光ドラム1上の正帯電トナーが中間転写ベルト5上に移動する。
中間転写ベルト5の表面電位は、感光ドラム1の表面電位に対してトナーの正規帯電極性と同極性側で、かつ1次転写性が良好となる値であることが好ましい。
以上の工程により、帯電ローラ2表面に付着したトナーを除去することができる。
これは、上記の時間より短いと、各画像形成部の1次転写部N1や2次転写部N2における電界の方向が変化してしまうためである。その場合には、中間転写ベルト5上に移動した正帯電トナーが、中間転写ベルト5の循環移動方向下流側の1次転写部N1や2次転写部N2において、電界により感光ドラム1上や2次転写ローラ9上に移動してしまう。本実施例では、帯電ローラ2の清掃工程の時間(時間t0から時間t1までの間隔)を7secとした。
なお、本実施例における感光ドラム1の表面電位の暗減衰速度は1.3V/sec程度であり、帯電ローラ2の清掃工程においては影響をほぼ無視できる程度であった。
図4は、本実施例における帯電ローラ2の清掃工程において2次転写ローラ9に印加される電圧と、中間転写ベルト5の電位及び感光ドラム1の表面電位との関係を示すグラフ図である。図5は、帯電ローラ2の清掃工程において、2次転写ローラ9に所定の電圧を印加したときの電流経路について説明するための概略図である。図5(a)は、2次転写ローラ9に印加される電圧が−1300V(本実施例における基準電圧)以下の場合について説明するための図である。図5(b)は、2次転写ローラ9に印加される電圧が−1300Vを超える場合について説明するための図である。
ここで、中間転写ベルト5の電位及び感光ドラム1の表面電位は、第3の画像形成部SCの位置で、トレック社製の表面電位計Model344を用いて中間転写ベルト5表面及び感光ドラム1表面をそれぞれ測定した値である。また、本実施例では、中間転写ベルト5及び感光ドラム1の表面電位は、2次転写ローラ9に所定の電圧が印加されてから1sec後に1sec間の測定を行ったときの平均値を用いている。
架ローラ、抵抗値1GΩの抵抗素子を通ってアースに電流が流れる(図5(a)参照)。そして、各部材の電気抵抗や接触抵抗等に応じて分担電圧が決まり、中間転写ベルト5の電位が与えられる。このとき、2次転写ローラ9と中間転写ベルト5との間には、接触抵抗に応じた電位差が生じる。この電位差により、2次転写部N2には、正帯電トナーが中間転写ベルト5上から2次転写ローラ9上に移動する方向の電界が形成される。
この放電電流により、中間転写ベルト5の電圧降下が生じて中間転写ベルト5の電位が低くなる。よって、2次転写ローラ9と中間転写ベルト5との間の接触抵抗に応じた電位差は、放電が発生しないときに比べて急激に大きくなる。つまり、2次転写部N2において形成される電界が強くなり、中間転写ベルト5上から2次転写ローラ9上に移動する正帯電トナーの量が多くなる。
それにより、放電電流による中間転写ベルト5の電圧降下をなくし、2次転写ローラ9と中間転写ベルト5との間の電位差を小さくしている。よって、2次転写部N2において中間転写ベルト5上から2次転写ローラ9上に移動する正帯電トナーの量が少なくなる。本実施例では、2次転写ローラ9に印加する電圧を−1200Vとした。
ここで、本実施例では、正規帯電極性が負極性である感光ドラム1やトナーを用いたが、これに限定されるものではなく、正規帯電極性が正極性である感光ドラム1やトナーを用いてもよい。その場合には、必要に応じて帯電ローラ2や現像装置4を始めとする各部材に印加する電圧の極性を変えるものとする。
以下に、比較例1について説明する。
本比較例は、基本的には実施例1に準ずるが、次の点が異なる。本比較例では、帯電ローラ2の清掃工程において2次転写ローラ9に印加する電圧を、感光ドラム1と中間転写ベルト5との間の電位差の絶対値がVbVを超える値にしている。本比較例では、2次転写ローラ9に印加する電圧を−1600Vとした。このとき、中間転写ベルト5の表面電位は−1100V程度であった。
実施例1と比較例1の構成について、帯電ローラ2の清掃工程における帯電ローラ2の清掃効果と2次転写ローラ9へのトナー付着の評価を行った。ここで、評価は全て23℃、50%RH環境下で行った。以下、各評価について個別に説明する。
本評価では、まず画像比率100%のA4サイズの全面黒画像を20枚連続的に印刷する。その後、帯電ローラ2の清掃動作を行い、帯電ローラ2の清掃動作前後の帯電ローラ2上のトナー量変化を評価した。
具体的には、帯電ローラ2上のトナーをポリエステルテープにて採取した後、そのテー
プ濃度をグレタグマクベス社製の分光濃度計X−Rite504で5点測定し、その平均値をDtとした。そして、ポリエステルテープ自体の反射濃度の5点平均値DrとDtとの差(Dt−Dr)を求め、これを帯電ローラ2上のトナー濃度とした。また、これを帯電ローラ2の清掃動作前後について求め、帯電ローラ2の清掃動作前後の帯電ローラ2上のトナー濃度をそれぞれDp、Daとした。そして、以下の式より帯電ローラ2上のトナー除去率を算出した。
トナー除去率(%)=(1−Da/Dp)×100
また、帯電ローラ2の清掃効果の評価基準は、以下に示すとおりである。
○:帯電ローラ2上のトナー除去率が90%以上
×:帯電ローラ2上のトナー除去率が90%未満
本評価では、まず画像比率100%のA4サイズの全面黒画像を20枚連続的に印刷する。その後、帯電ローラ2の清掃動作を行い、中間転写ベルト5上の正帯電トナーが2次転写部N2を通過する際の、2次転写部N2前後の中間転写ベルト5上のトナー量変化を評価した。
具体的には、(A)と同様の方法で、2次転写部N2前後の中間転写ベルト5上のトナー濃度を求め、それぞれDp2、Da2とした。そして、以下の式より2次転写ローラ9へのトナー付着率を算出した。
トナー付着率(%)=(1−Da2/Dp2)×100
まず、表1に示すように、帯電ローラ2の清掃効果は実施例1、比較例1ともに良好であった。これは、実施例1、比較例1ともに帯電ローラ2と感光ドラム1との間の電位差が十分大きく、帯電ローラ2上に蓄積した正帯電トナーを帯電ローラ2上から感光ドラム1上に移動させるために十分な電界が形成されているためである。
また、帯電ローラ2の清掃動作後の感光ドラム1上を目視により観察したところ、実施例1、比較例1ともに感光ドラム1上はほとんどトナーがない状態であった。これらのことから、どちらの場合にも、帯電ローラ2上に蓄積した正帯電トナーは、帯電ローラ2上から感光ドラム1を介して中間転写ベルト5上にほぼ全て移動していることがわかる。
それによって、2次転写部N2における2次転写ローラ9と中間転写ベルト5との間の電位差が大きくなり、中間転写ベルト5上から2次転写ローラ9上に移動する正帯電トナーの量が多くなる。即ち、記録材の裏汚れ等が発生しやすくなる。
これにより、感光ドラム1と中間転写ベルト5の間で発生する放電による中間転写ベルト5の電圧降下をなくし、2次転写部N2における2次転写ローラ9と中間転写ベルト5の間の電位差を小さくして、2次転写ローラ9へのトナー付着を低減することができる。よって、帯電ローラ2の清掃工程において、2次転写ローラ9へのトナー付着を低減しつつ帯電ローラ2の清掃を行うことが可能となる。
Claims (9)
- 像担持体と、前記像担持体に当接して前記像担持体を帯電させる帯電手段と、前記像担持体にトナー像を現像する現像手段と、導電性を有し、無端状で回転可能な中間転写体と、前記中間転写体に当接して2次転写部を形成し、前記中間転写体に1次転写されたトナー像を前記2次転写部において記録材に2次転写する2次転写部材と、前記2次転写部材に電圧を印加する電圧印加手段と、前記中間転写体に付着しているトナーを回収する回収手段と、を備え、前記現像手段が前記像担持体に付着しているトナーを回収可能な画像形成装置であって、
前記2次転写部材は前記中間転写体の外周面に接触し、前記電圧印加手段からトナーの正規帯電極性とは逆極性の転写電圧が印加された前記2次転写部材から前記中間転写体を介して前記像担持体に電流が流れることにより前記像担持体から前記中間転写体にトナー像が1次転写され、
前記帯電手段に付着しているトナーを、前記像担持体を介して前記中間転写体に移動させ、前記中間転写体に移動したトナーを前記回収手段によって回収する回収工程を実行する場合、前記電圧印加手段は、前記転写電圧と逆極性であり、且つ、基準電圧よりも低い電圧を前記2次転写部材に印加し、
前記基準電圧は、前記電圧印加手段から前記2次転写部材に電圧を印加した際に、前記中間転写体の回転方向に関して前記像担持体と前記中間転写体が接触する領域の上流側において、前記像担持体と前記中間転写体の間で放電が開始する電圧であることを特徴とする画像形成装置。 - 前記現像手段は前記像担持体に対して接離可能であって、前記回収工程を実行する際に、前記現像手段を前記像担持体から離間させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記回収工程を実行する際に、前記帯電手段に印加する電圧を切り替えることで、前記帯電手段に付着した前記正規帯電極性とは逆極性のトナーを前記像担持体に移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 前記電圧印加手段から前記2次転写部材に前記転写電圧を印加することにより、前記像
担持体から前記中間転写体にトナー像を1次転写しつつ、前記中間転写体から記録材にトナー像を2次転写することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記中間転写体を介して前記2次転写部材に対向する対向部材を備え、前記対向部材には抵抗素子が接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記中間転写体は中間転写ベルトであり、前記中間転写ベルトを張架する張架部材を備え、前記張架部材に抵抗素子が接続されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記中間転写体を介して前記2次転写部材に対向する対向部材を備え、前記対向部材にツェナーダイオードが接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記中間転写体は中間転写ベルトであり、前記中間転写ベルトを張架する張架部材を備え、前記張架部材に前記ツェナーダイオードが接続されていることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
- 前記回収工程を実行する場合、前記電圧印加手段は、前記転写電圧と逆極性であり、且つ、前記基準電圧よりも低い電圧を前記2次転写部材に印加することで、前記像担持体と前記中間転写体との間に形成される電位差を、前記像担持体と前記中間転写体との放電開始電圧よりも低くすることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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