JP6108497B1 - 耐食性に優れたステンレス鋼管 - Google Patents

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Abstract

【課題】海塩粒子の影響を受けるウォーターフロント環境でも、早期に発銹することのない、耐食性に優れたステンレス鋼管及びその製造方法を提供すること。【解決手段】長手一方向の研磨目をフェライト系ステンレス鋼管の表面に有し、孔食電位が0.6V以上であり、60度光沢度が75以下であり、組成が、C:0.020質量%以下、Si:0.40質量%以下、Mn:0.40質量%以下、Cr:25.00〜32.00質量%、Mo:1.00〜4.00質量%、P:0.030質量%以下、S:0.020質量%以下、Ni:0.50質量%以下、N:0.020質量%以下を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、耐孔食指数(PI=Cr質量%+3Mo質量%)が30以上である、耐食性に優れたステンレス鋼管。【選択図】図4

Description

本発明は、耐食性に優れたステンレス鋼管に関する。
ステンレス鋼は、耐候性、加工性、溶接性等に優れることから、屋根材、壁材、建築部材等の建材用途で多用されている。また、ステンレス鋼管は、意匠性にも優れるため、表面研磨されて手摺、フェンス、パイプシャッター等の用途で使用されている。
このステンレス鋼管の一般的、工業的な研磨は、まず研磨前素管の疵等の除去のために、疵取り研磨を行い、次に仕上げ研磨および光沢研磨等を行っている。この研磨作業における粗研磨、仕上げ研磨では、フラップホイールや研磨ベルト等を使用した乾式研磨が行われている。さらに、上記工程後、所望の表面を得るためにバフ研磨による湿式研磨を行う場合がある。
従来より、ステンレス鋼は、素材として優れた耐候性を有しているものの、研磨仕上げの状態によっては、本来素材がもつ耐候性を発揮せず、著しく発銹を生じる場合があり、ステンレス鋼の耐候性の安定性(信頼性)をなくす要因の一つとなっている。例えば、屋外の手摺等へ施工した後、1ヶ月程度の短期間で発銹する場合がある。
発銹については、ステンレス鋼管の研磨後の表面に残存している酸化皮膜や研磨目が起点になっていると考えられている。残存する酸化皮膜とは、研磨時の発熱に起因して生成された皮膜であり、酸化皮膜の直下にはCr欠乏層が形成されている。このため、酸化皮膜が残存していると、該酸化皮膜及びその直下のCr欠乏層を起点として発銹が進行し、耐食性が劣化しやすくなる。また、研磨によってステンレス鋼管表面に刻まれた疵である研磨目についても、研磨目の凹部が深いほど、フラップホイール研磨等で生成した酸化皮膜がバフ研磨で除去され難くなって残存する可能性が高くなり、その研磨目の凹部が発銹起点になることから、発銹が進行し、耐食性が劣化しやすくなる。
特許文献1では、屋外環境においても短期間で発銹が生じることのない表面研磨状態にして、長期にわたって光沢性、耐候性を維持できるステンレス鋼管を提案している。
特許文献1に記載の発明は、最終研磨後の表面粗さがRy0.6μm以下で、残存する酸化皮膜の面積率が7.0%以下のステンレス鋼管である。すなわち、最終研磨後の表面粗さをRy0.6μm以下とすることによって、研磨目の凹部に残存する酸化皮膜を少なくしようとしている。また、残存する酸化皮膜の面積率が7.0%以下とすることによって、該酸化皮膜及びその直下のCr欠乏層を起点とした発銹の進行及び耐食性の劣化を抑制しようとしている。
しかしながら、特許文献1の実施例を参照すると、耐候性合格品における残存酸化皮膜面積率は3.1〜6.8%であり、酸化皮膜は残存している。このため、残存した酸化皮膜及びその直下のCr欠乏層を起点として発銹が進行し耐食性が劣化し得るという問題は、依然として残っている。
特許文献2には、フッ酸及び硝酸の混合液にステンレス鋼管を浸漬し、ステンレス鋼表面の酸化スケールやスケール層直下のCr欠乏層を溶解することが記載されている。
特開2003−56755号公報 特開2000−17469号公報
近年、都市再開発などに伴い建築需要が増加しており、ウォーターフロント環境における建築需要が増加している。ウォーターフロント環境においては、大気中に含まれるエアロゾル粒子の一種であって、海水に由来する塩分からなる微粒子である海塩粒子の影響を建築部材が受けやすいという問題がある。このため、より高い耐食性を有する建築部材のニーズが高まっている。特許文献1では、耐候性に優れるステンレス鋼管の鋼種の一つとして、SUS304を挙げている。しかしながら、海塩粒子の影響を受けるウォーターフロント環境では、SUS304は早期に発銹してしまい、メンテナンスが必要になるという問題がある。
また、高い耐食性に加え、防眩性に優れた建築部材へのニーズがある。防眩性を付与する手段として、ステンレス鋼管表面の長手一方向を研磨する研磨手段があるが、長手一方向の研磨目を付与するために湿式研磨を行おうとすると、ステンレス鋼管が滑って安定して搬送できず、均一に研磨できないという問題がある。このため、乾式研磨を行わざるを得ず、研磨後のステンレス鋼管表面に酸化皮膜などが生じやすいという問題がある。特許文献2では、ステンレス鋼管を酸洗することによって、鋼管表面の酸化皮膜などを除去することを記載している。しかしながら、研磨後のステンレス鋼管を酸洗する処理工程は、製造コストの増加につながる。このため、酸洗処理をしなくても早期の発銹を抑制できるステンレス鋼管が求められている。
本発明は、上述した課題を解決し、海塩粒子の影響を受けるウォーターフロント環境でも、早期に発銹することのない、耐食性に優れたステンレス鋼管を提供することを目的とする。
本発明者らは、特許文献1に記載のステンレス鋼管について検討を行った。特許文献1の実施例においては、フラップホイールによる乾式研磨を行っている。このため、乾式研磨であるフラップホイール研磨時にステンレス鋼管表面が高温となり酸化被膜が発生すること、乾式研磨による高い研削抵抗によって刻まれた疵である研磨目とともに、表面欠陥が生じていること、を突き止めた。ここでいう表面欠陥とは、鋼管表面を研磨する時に研磨材や研磨紙が連続して鋼管表面に接触し、表面の金属が部分的に剥がされ、素地部分に被さった「バリ」や「かぶさり」と呼称されている。表面欠陥は、短冊状や笹の葉状のように金属がめくれている部分を含み、素地に接着している部分における一方の端部から剥がれの先端における他方の端部までの最大長さが5μm以上の欠陥である。当該表面欠陥はステンレス鋼管の表面素地部分と微小な隙間を形成することから、腐食を生じやすく、鋼管の耐食性低下の要因となる。
上述のように、着色を有する酸化皮膜や表面欠陥が存在すると、ステンレス鋼管は発銹しやすくなり、酸洗処理で酸化皮膜や表面欠陥を除去しようとすることが、通常の当業者が行う解決手段である。しかしながら、本発明者らは、着色を有する酸化皮膜や表面欠陥が存在し腐食しやすいステンレス鋼管であって、研磨後に酸洗処理をしなくとも、海塩粒子の影響を受けるウォーターフロント環境で早期に発銹することのない、耐食性に優れたステンレス鋼管を検討し、本発明を見出したものである。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(2)の耐食性に優れたステンレス鋼管を提供する。
(1)長手一方向の研磨目をフェライト系ステンレス鋼管の表面に有し、孔食電位が0.6V以上であり、60度光沢度が75以下であり、組成が、C:0.020質量%以下、Si:0.40質量%以下、Mn:0.40質量%以下、Cr:25.00〜32.00質量%、Mo:1.00〜4.00質量%、P:0.030質量%以下、S:0.020質量%以下、Ni:0.50質量%以下、N:0.020質量%以下を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、耐孔食指数(PI=Cr質量%+3Mo質量%)が30以上である、耐食性に優れたステンレス鋼管。
本発明のステンレス鋼管は、長手一方向の研磨目をフェライト系ステンレス鋼管の表面に有することから意匠性に優れ、60度光沢度が75以下であるため防眩性にも優れる。また、着色を有する酸化皮膜がステンレス鋼管表面上に存在し、表面欠陥が存在していても、所定の組成を有し、耐孔食指数(PI)が30以上と高いことから、酸化皮膜及びその直下のCr欠乏層を起点とする発銹が抑制された、孔食電位が0.6V以上の耐食性に優れたステンレス鋼管である。
(2)さらに、Nb:0.1〜1.0質量%、Ti:0.05〜0.3質量%、Al:0.01〜0.5質量%のうち、1種又は2種以上を含む、(1)に記載のステンレス鋼管。
本発明によれば、海塩粒子の影響を受けるウォーターフロント環境でも、早期に発銹することのない、耐食性に優れたステンレス鋼管を提供することができる。
ステンレス鋼管の表面を光学顕微鏡で拡大した写真であり、(a)表面欠陥が抑制された表面と、(b)表面欠陥が生じた表面である。 (a)ステンレス鋼管の表面欠陥を示す拡大写真と、(b)孔食電位の測定結果を示すグラフである。 (a)ステンレス鋼管の表面欠陥が抑制された表面を示す拡大写真と、(b)孔食電位の測定結果を示すグラフである。 本発明のステンレス鋼管の表面を光学顕微鏡で拡大した写真である。 実施例1の孔食電位の測定結果を示すグラフである。 実施例1のCCT試験後の外観を示す写真である。
以下に本発明を実施するための形態について説明する。なお、本発明は当該実施形態によって限定的に解釈されるものではない。
(ステンレス鋼管)
本発明のステンレス鋼管は、長手一方向の研磨目をフェライト系ステンレス鋼管の表面に有し、孔食電位が0.6V以上であり、60度光沢度が75以下であり、組成が、C:0.020質量%以下、Si:0.40質量%以下、Mn:0.40質量%以下、Cr:25.00〜32.00質量%、Mo:1.00〜4.00質量%、P:0.030質量%以下、S:0.020質量%以下、Ni:0.50質量%以下、N:0.020質量%以下を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、耐孔食指数(PI=Cr質量%+3Mo質量%)が30以上である、耐食性に優れたステンレス鋼管である。
本発明において、ステンレス鋼管は表面に凹凸や光沢を付与するために表面の研磨仕上げが行われたものである。これにより、ステンレス鋼管は研磨目を備え、意匠性や防眩性に優れたステンレス鋼管となる。研磨目とは、研磨によってステンレス鋼管表面に刻まれた疵である。本発明において、研磨目は長手一方向の研磨目を含む。長手一方向の研磨目を有するステンレス鋼管は、防眩性に優れる。長手一方向の研磨仕上げとしては、湿式研磨が困難であることから、従来よりフラップホイール等による乾式研磨が行われているが、乾式研磨を行うとステンレス鋼管の表面が高温となり、着色を有する酸化皮膜が形成される。また、研磨後の表面の研磨目は、研磨目の凹部が深いほど、フラップホイール研磨等で生成した酸化皮膜が残存する可能性が高くなり、その研磨目の凹部が発銹起点になって、発銹が進行し、耐食性が劣化しやすくなる。本発明において、着色を有する酸化皮膜が存在するとは、ステンレス鋼管の表面の任意の10点を光学顕微鏡で400倍の倍率で観察したときに、着色を有するシミ状物質である酸化皮膜が50μm四方において面積比率で10%以上存在している場合をいう。ここで、着色は特定に限定されず、ステンレス鋼管の金属素地や金属光沢と目視で区別できる色であればよい。着色として代表的な色は、茶褐色である。
また、研磨仕上げとしてフラップホイール等による乾式研磨を行うと、ステンレス鋼管表面に研磨材や研磨紙が連続して接触し、表面の金属が部分的に剥がされ素地部分に被さったバリやかぶさりである表面欠陥が生じる。該表面欠陥は、ステンレス鋼管の表面素地部分と微小な隙間が生じることから、隙間腐食の要因となる。図1は、ステンレス鋼管の表面を光学顕微鏡で拡大した写真であり、(a)表面欠陥が抑制された表面と、(b)表面欠陥が生じた表面である。図1(a)のステンレス鋼管表面は、研磨目を有しているが表面欠陥は抑制されている。一方、図1(b)のステンレス鋼管表面を乾式研磨したものであり、囲み部分1〜9は、表面の金属が部分的に剥がされ素地部分に被さった表面欠陥を示している。本発明において、表面欠陥は、素地に接着している部分における一方の端部から剥がれの先端における他方の端部までの最大長さが5μm以上の大きさを有するものをいう。また、光学顕微鏡を用いて研磨されたステンレス鋼管表面の任意の10点における100μm×100μm(0.01mm)の範囲を200倍に拡大し観察した場合に、測定した表面欠陥の数の平均が6個以上の場合を、本発明における表面欠陥が抑制されていない状態とする。なお、表面欠陥の最大の長さ部分に上限はないが、測定する際の基準として上限を50μmとしてもよい。
当業者の技術常識からすると、発銹の進行や耐食性の劣化を抑制するためには、研磨されたステンレス鋼管表面に、上述した着色を有する酸化皮膜が存在せず、図1(a)のようにバリやかぶさりである表面欠陥も存在しないことが好ましいと考え、酸化皮膜等を除去するために酸洗処理を用いてきた。しかしながら、本発明のステンレス鋼管においては、着色を有する酸化皮膜が存在してもよく、表面欠陥が抑制されていなくてもよく、酸洗処理を行わずに、発銹の進行や耐食性の劣化を抑制できる鋼管であることを特徴とする。なお、表面欠陥及び酸化皮膜を抑制する手段として、ヘアライン加工した鋼板を鋼管とすることも考えられるが、鋼管としての強度が十分ではない場合がある。
本発明のステンレス鋼管は、組成が、C:0.020質量%以下、Si:0.40質量%以下、Mn:0.40質量%以下、Cr:25.00〜32.00質量%、Mo:1.00〜4.00質量%、P:0.030質量%以下、S:0.020質量%以下、Ni:0.50質量%以下、N:0.020質量%以下を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、耐孔食指数(PI=Cr質量%+3Mo質量%)が30以上である。該組成を備え、耐孔食指数(PI)が30以上の本発明のフェライト系ステンレス鋼管は、孔食電位が0.6V以上と高く、耐食性に優れることから、耐孔食指数が19と低いSUS304が海塩粒子の影響を受けるウォーターフロント環境では早期に発銹するのに対して、発銹を抑制することができる。また、研磨によって生じた、着色を有する酸化皮膜や表面欠陥が存在していても、発銹を抑制することができる。
本発明のステンレス鋼管は、さらに、Nb:0.1〜1.0質量%、Ti:0.05〜0.3質量%、Al:0.01〜0.5質量%のうち、1種又は2種以上を含むことが好ましい。Nb,Ti及び/又はAlを所定量含有することによって、耐食性がさらに向上する傾向にある。
以下、ステンレス鋼管の成分限定理由について説明する。
Cは、鋼の強度を得るために有用な元素であるが、多量に含むと耐食性を低下させる傾向にある。Cの含有量は、0.015質量%以下が好ましく、0.010質量%以下がより好ましい。
Siは、製鋼工程における脱酸剤及び熱源として有用な元素であるが、多量に含むと鋼を硬化させる傾向にある。Siの含有量は、0.35質量%以下が好ましく、0.30質量%以下がより好ましい。
Mnは、製鋼工程における脱酸として有用な元素であるが、多量に含むとオーステナイト相を形成する傾向にある。Mnの含有量は、0.35質量%以下が好ましく、0.30質量%以下がより好ましい。
Crは、耐食性を確保するために有用な元素であるが、多量に含むと高コストだけでなく加工性が低下する傾向にある。Crの含有量は、25.00〜31.50質量%が好ましく、25.00〜31.00質量%がより好ましい。
Moは、Crの存在下でステンレス鋼の耐食性を向上させるために有用な元素であるが、多量に含むと高コストだけでなく加工性が低下する傾向にある。Moの含有量は、1.50〜4.00質量%が好ましく、1.80〜3.80質量%がより好ましい。
Pは、耐食性を低下させる傾向にある。Pの含有量は、0.025質量%以下が好ましく、0.020質量%以下がより好ましい。
Sは、耐食性を低下させる傾向にある。Sの含有量は、0.015質量%以下が好ましく、0.010質量%以下がより好ましい。
Niは、腐食の進行を抑制する効果やフェライト系ステンレス鋼管の靱性改善に有効である点で好ましいが、多すぎるとオーステナイト相の生成やコスト高の原因となる。Niの含有量は、0.45質量%以下が好ましく、0.40質量%以下がより好ましい。
Nは、Cと同様に多量に含むと耐食性を低下させる傾向にある。Nの含有量は、0.015質量%以下が好ましく、0.010質量%以下がより好ましい。
Nbは、C、Nとの親和力が強くフェライト系ステンレス鋼管の粒界腐食を抑制する点で好ましいが、多量のNb含有は靱性を阻害する傾向にある。Nbの含有量は、0.1〜0.9質量%がより好ましく、0.1〜0.8質量%がさらに好ましい。
Tiは、C、Nとの親和力が強くフェライト系ステンレス鋼管の粒界腐食を抑制する点で好ましいが、多量のTi含有は鋼の表面品質を低下させる傾向にある。Tiの含有量は、0.05〜0.25質量%がより好ましく、0.05〜0.2質量%がさらに好ましい。
Alは、脱酸剤として精錬や鋳造に有効な元素であるが、過剰に添加すると表面品質を劣化させるとともに、鋼の溶接性や低温靭性を低下させる。Alの含有量は、0.01〜0.45質量%がより好ましく、0.01〜0.4質量%がさらに好ましい。
図2及び図3は、表面欠陥と孔食電位を示す図であり、図2(a)はステンレス鋼管の表面欠陥を示す拡大写真、図3(a)はステンレス鋼管の表面欠陥が抑制された表面を示す拡大写真であり、図2(b)及び図3(b)は、図2(a)及び図3(a)のステンレス鋼管の孔食電位の測定結果を示すグラフである。図2、図3のステンレス鋼管は、耐孔食指数(PI)が24程度と、本発明の耐孔食指数(PI)よりも低いステンレス鋼管である。図2(a)では表面欠陥を有しており、その孔食電位は図2(b)に示すように約0.3V程度と低い値である。また、図3(a)では表面欠陥が抑制されているが、その孔食電位は図3(b)に示すように約0.5V程度と低い値である。これに対し、本発明のステンレス鋼管は、孔食電位が0.6V以上と高く、耐食性に優れる。このため、着色を有する酸化皮膜や表面欠陥が存在していても、発銹の進行や耐食性の劣化を抑制することができる。孔食電位はより好ましくは0.65V以上であり、さらに好ましくは0.7V以上である。
ステンレス鋼の孔食電位測定方法は、JIS G 0577に準拠し、B法を用いる。B法は、3.5質量%塩化ナトリウム水溶液中における動電位法による孔食電位測定法である。該塩化ナトリウム水溶液のpHは7とし、温度は30℃とする。また、電位掃引速度は20mV/分とする。
本発明におけるステンレス鋼管表面の表面粗さRaは、0.1〜1.0μmであることが好ましく、0.2〜0.5μmであることがより好ましい。表面粗さRaが0.1μm未満であると、防眩性に劣り、さらに研磨目残りが維持されにくく意匠性を確保しにくい傾向にある。
本発明におけるステンレス鋼管表面の光沢度は、60度光沢度が75以下であることが好ましい。より好ましくは60以下である。光沢度は、JIS Z 8741に準拠して測定されたものであり、例えば光沢計によって測定できる。具体的には、光沢度測定時に試料面に規定された入射角で規定の開き角の光束を入射し、反射方向に反射する規定の開き角の光束を受光器で測る。60度光沢度とは、規定された入射角が60度の場合の光沢度である。60度光沢度が75以下であることによって、ステンレス鋼管表面は好ましい防眩性を有する。
ステンレス鋼管の造管、形状修正を行い、装飾用研磨仕上げを行った。ステンレス鋼管は以下の2種類を用いた。組成(質量%)及び寸法は以下のとおりである。
鋼種1(SUS447J1) Cr:30%、Mo:2%、Ti:0.15%、Nb:0.15%、Al:0.09%、残部Fe
鋼種2(SUS445J1) Cr:22%、Mo:1.05%、Ti:0.2%、Nb:0.2%、Al:0.09%、残部Fe
鋼種3(SUS304) Cr:18%、Ni:8%、Si:0.6%、Mn:0.8%、残部Fe
寸法:直径34mm×厚み1.5mm×長さ4000mm。
研磨は、4つのフラップホイール(#80、#80、#80、#150)が鋼管表面の長手方向を研磨する(長手方向の研磨目付与)ように並んだラインで行い、乾式研磨を行った。なお、「#80」等はメッシュ粒度を示す。
(研磨条件)
ライン速度:1.8m/min
管の回転数:380rpm
ホイール回転数:1500rpm
ホイール直径:400mm
研磨を行った後、一部のステンレス鋼管のみ酸洗処理を表1のとおり行った(比較例3、参考例1)。実施例1〜3、比較例1、2については酸洗処理を行わなかった。
(表面欠陥)
光学顕微鏡を用いて、実施例1〜3及び比較例1〜3、参考例1のステンレス鋼管表面の100μm×100μmの範囲を200倍に拡大して観察し、表面欠陥の数を測定した(表1参照)。
(酸化皮膜)
実施例1〜3及び比較例1〜3、参考例1のステンレス鋼管の表面を光学顕微鏡で400倍の倍率で観察し、茶褐色のシミ状物質である酸化皮膜が50μm四方において面積比率でどの程度存在しているかを算出した。残存酸化皮膜の面積比率10%未満である場合は、着色を有する酸化皮膜が存在しないとして「なし」と評価し、面積比率10%以上の場合は着色を有する酸化皮膜が存在するとして「あり」と評価した(表1参照)。
(孔食電位)
実施例1〜3及び比較例1〜3、参考例1のステンレス鋼管の孔食電位を測定した。具体的には、JIS G 0577に準拠し、B法(3.5%(質量分率)塩化ナトリウム水溶液試験方法)を用い、3.5質量%塩化ナトリウム水溶液中における動電位法を用いた。該塩化ナトリウム水溶液のpHは7とし、温度は30℃とした。また、電位掃引速度は20mV/分とした(表1参照)。
(研磨目残り)
研磨目残りを評価するために、実施例1〜3及び比較例1〜3、参考例1のステンレス鋼管の表面粗度Raを測定し、Ra≧0.1μmの場合には、研磨目が残り意匠性に優れるため「○」と評価した。一方、Ra<0.1μmの場合には、研磨目の残りが少なく意匠性に優れないため「×」と評価した。表面粗度Raは、JIS B 0601に準拠し測定し、接触式の表面粗度計を用いた(表1参照)。
(光沢度)
JIS Z 8741に準拠して、実施例1〜3及び比較例1〜3、参考例1のステンレス鋼管表面の60度光沢度を、光沢計を用いて測定した。60度光沢度が75以下の場合を「○」、75より大きい場合を「×」と評価した(表1参照)。
(耐食性試験)
実施例1〜3及び比較例1〜3、参考例1のステンレス鋼管について、以下の条件で耐食性試験(塩乾湿複合サイクル試験(CCT試験))を行った。
条件:(1)塩水噴霧 (35℃、5%NaCl、15分)
(2)乾燥 (60℃、30%RH、60分)
(3)湿潤 (50℃、95%RH、3時間)
上記条件(1)〜(3)を1サイクルとして、30サイクル繰り返した。
評価:試験後の発銹面積が、鋼管表面全体の5%以内のときに耐食性が良好として「○」と評価し、5%より大きい場合は耐食性が不良として「×」と評価した(表1参照)。
表1に示すとおり、実施例1のステンレス鋼管は、研磨目をステンレス鋼管の表面に有し、表面欠陥が15個と多く(図4参照)、着色を有する酸化皮膜も表面上に存在しているが、電位1.0Vでも孔食は発生しなかった(図5参照)。また、実施例1のステンレス鋼管は、CCT試験によっても発銹は抑制されており(図6参照)、耐食性に優れていることを実証した。また、実施例2及び3のステンレス鋼管についても、実施例1と同様に、電位1.0Vでも孔食は発生せず、CCT試験によっても発銹は抑制された。
1〜9・・・表面欠陥
20・・・実施例1のステンレス鋼管

Claims (2)

  1. 長手一方向の研磨目をフェライト系ステンレス鋼管の表面に有し、
    孔食電位が0.6V以上であり、
    60度光沢度が75以下であり、
    前記表面には、素地に接着している部分における一方の端部から剥がれの先端における他方の端部までの最大長さが5μm以上の大きさを有する表面欠陥が含まれており、
    前記表面の任意の10点における100μm×100μmの範囲を200倍に拡大し観察した場合に、測定した前記表面欠陥の数の平均が6個以上であり、
    組成が、C:0.020質量%以下、Si:0.40質量%以下、Mn:0.40質量%以下、Cr:25.00〜32.00質量%、Mo:1.00〜4.00質量%、P:0.030質量%以下、S:0.020質量%以下、Ni:0.50質量%以下、N:0.020質量%以下を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、耐孔食指数(PI=Cr質量%+3Mo質量%)が30以上である、耐食性に優れたステンレス鋼管。
  2. さらに、Nb:0.1〜1.0質量%、Ti:0.05〜0.3質量%、Al:0.01〜0.5質量%のうち、1種又は2種以上を含む、請求項1に記載のステンレス鋼管。
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