JP6108368B2 - 絶縁電線及びそれを用いた回転電機 - Google Patents

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Description

本発明は、絶縁電線及びそれを用いた回転電機に関する。
現在、家庭用電気機器、産業用電気機器、船舶、鉄道、電気自動車等に用いられる駆動用モータ等の回転電機のさらなる小型化や高出力化が進められている。
回転電機の小型化や高出力化を図るためには、回転電機の巻線の高密度化や占積率の向上を要するが、巻線の高密度化に際しては、巻線の自己発熱や、近接した巻線間の部分放電によってもたらされる絶縁破壊を防止することが必要である。
また、駆動用モータへの適用が拡大しているインバータ制御においても、スイッチングにより発生するサージ電圧が、部分放電と同様に絶縁破壊をもたらすため問題となっている。
そのため、巻線とされる絶縁電線に用いられる絶縁樹脂には、より優れた耐熱性及び耐電圧性(以下、耐圧性という。)が求められている。
そこで、特許文献1には、部分放電発生電圧が高く、熱老化後の絶縁性能保持性等に優れた絶縁ワイヤを提供する技術として、導体の外周に、少なくとも1層のエナメル焼き付け層と、その外側に少なくとも1層の押出被覆樹脂層を有し、前記エナメル焼き付け層と前記押出被覆樹脂層との間に接着層を有し、該接着層を媒体として、エナメル焼き付け層と押出被覆樹脂層との接着力を強化させたワイヤであって、該エナメル焼き付け層と該押出被覆樹脂層と該接着剤層の厚さの合計が60μm以上であり、前記エナメル焼き付け層の厚さが50μm以下であり、前記押出被覆樹脂層が、300℃における溶融粘度が100Pa・s以上であるポリフェニレンスルフィドポリマーと、熱可塑性エラストマーを2〜8質量%と、酸化防止剤とを含有し、25℃における引張弾性率が2500MPa以上であり、250℃における引張弾性率が10MPa以上であるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる耐インバータサージ絶縁ワイヤが開示されている。
特開2010−055964号公報
絶縁電線の耐熱性は、導体の外周を耐熱性に優れた樹脂材料で被覆することにより確保することができる。
しかしながら、絶縁電線には、一般に、耐熱性のみならず、耐圧性、機械的強度、化学的安定性、耐水・耐湿性等の種々の特性が要求される。特に、巻線の耐圧性を確保するためには、導体を一定程度以上の膜厚で被覆する必要がある。
そのため、耐熱性に優れ、且つ耐圧性を有する巻線を製造する場合には、巻線を被覆する耐熱性の樹脂材料で十分な膜厚を形成する必要が生じ、材料コストの増大を招くという問題がある。
例えば、特許文献1に開示される絶縁ワイヤは、導体の外周に形成されている、エナメル焼き付け層と、接着層と、押出被覆樹脂層とが、いずれもエンジニアリングプラスチックからなり(第15頁第22行〜第16頁第2行、実施例1〜5参照)、材料費が高価な絶縁ワイヤとされている。また、エナメル層については、従来用いられているものを使用することができるとされている(第8頁第25〜32行、[0034]参照)が、この場合に絶縁ワイヤの耐熱性が確保できるかは明らかではない。
さらに、特許文献1に開示されるように塗布、焼付による方法で、十分な膜厚を形成するためには、工程を多数回繰り返す必要があり、製造コストが高くなるという問題がある。
したがって、本発明の課題は、低コストで製造することができ、且つ耐熱性及び耐圧性に優れた絶縁電線及びそれを用いた回転電機を提供することにある。
前記課題を解決するために本発明に係る絶縁電線は、導体と、前記導体を被覆し、複数の樹脂層が積層されてなる樹脂積層体と、を備え、前記樹脂積層体における最外層の樹脂層は、前記複数の樹脂層を形成する樹脂の中で耐熱性が最大の樹脂で構成され、前記樹脂積層体の膜厚が、50μm以上、且つ、前記耐熱性が最大の樹脂の膜厚が、前記樹脂積層体の膜厚の2分の1未満であり、前記複数の樹脂層のうちの少なくとも1層が、熱可塑性樹脂のフェノキシ樹脂で構成され、前記フェノキシ樹脂で構成された樹脂層は、ビスマレイミド化合物によって架橋されていることを特徴とする。
また、本発明に係る回転電機は、前記絶縁電線を備えることを特徴とする。
本発明によれば、低コストで製造することができ、且つ耐熱性及び耐圧性に優れた絶縁電線及びそれを用いた回転電機を提供することができる。
参考例1に係る絶縁電線の断面模式図である。 比較例1に係る絶縁電線の断面模式図である。 参考例2に係る絶縁電線の断面模式図である。 比較例2に係る絶縁電線の断面模式図である。 参考例3に係る絶縁電線の断面模式図である。 比較例3に係る絶縁電線の断面模式図である。
以下に本発明の一実施形態に係る絶縁電線及びそれを用いた回転電機について詳細に説明する。
本実施形態に係る絶縁電線は、主に、導体と、樹脂積層体とを備えてなる。
この絶縁電線は、回転電機の巻線に好適であり、捲回されることによって電線間が密接した状態となる高密度環境で使用され得る絶縁電線である。
本実施形態に係る導体は、一般的な絶縁電線の芯線と同様の線条の導体であり、銅線、アルミ線、これらの合金線等で形成される。
銅線としては、タフピッチ銅、無酸素銅及び脱酸銅のいずれを材質としたものでもよく、軟銅線及び硬銅線のいずれでもよい。また、錫、ニッケル、銀、アルミニウム等が表面にめっきされためっき銅線であってもよい。
アルミ線としては、硬アルミ線、半硬アルミ線等のいずれでもよい。
また、合金線としては、銅−錫合金、銅−銀合金、銅−亜鉛合金、銅−クロム合金、銅−ジルコニウム合金、アルミニウム−銅合金、アルミニウム−銀合金、アルミニウム−亜鉛合金、アルミニウム−鉄合金、イ号アルミ合金(Aldrey Aluminium)等が挙げられる。
本実施形態に係る導体の形状としては、断面が円形状の丸線、及び断面が矩形状の平角線のいずれでもよい。また、一本の導体で形成される単線及び複数本の導体が撚り合わされて形成される撚り線のいずれでもよい。
本実施形態に係る樹脂積層体は、絶縁樹脂により形成される樹脂層が複数積層されてなり、導体の外周を全周に亘って被覆する絶縁性皮膜をなしている。
各樹脂層を形成する絶縁樹脂としては、結晶性の熱可塑性樹脂、非結晶性の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれも用いることができ、熱可塑性樹脂としては、汎用プラスチック、エンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックに分類される樹脂のいずれかを用いることができる。
なお、本明細書において、エンジニアリングプラスチックは、100℃以上における環境下で長期間使用できる耐熱性を有し、引張強さが49MPa以上であり、曲げ弾性率が1.9GPa以上である性質を有するプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックは、さらに、150℃以上における環境下で長期間使用できる耐熱性を有するプラスチックを意味する。
汎用プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリブチラール、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
また、エンジニアリングプラスチックとしては、ポリカーボネート、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン等が挙げられる。
また、スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリメチルペンテン、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド11、ポリアミド12、シンジオタクチックポリスチレン、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等)等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル等が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂積層体は、最外層となる樹脂層が、樹脂積層体をなす複数の樹脂層の中で耐熱性が最も高い絶縁樹脂によって形成される樹脂層となっている。換言すると、樹脂積層体をなす複数の樹脂層のうち、最外層よりも導体側に位置する内層は、相対的に耐熱性が低い任意の絶縁樹脂によって形成される。
最外層となる樹脂層を形成する絶縁樹脂としては、特に耐熱性が優れているポリテトラフルオロエチレン、ポリアミドイミド、ポリイミドが好ましい。したがって、最外層よりも導体側に位置する内層を形成する絶縁樹脂としては、これらより耐熱性が低い絶縁樹脂が用いられる。
本発明者らは、絶縁電線の耐熱性が、主に、樹脂積層体の最外層の耐熱性に依存していることを熱分析に基づいて確認した。この性質に基づくと、樹脂積層体の最外層を、耐熱性が最も高い絶縁樹脂で形成することによって絶縁電線の耐熱性を確保しつつ、最外層よりも導体側に位置する内層を、相対的に耐熱性が低い任意の絶縁樹脂によって形成しても耐熱性に優れた絶縁電線が得られることになる。したがって、例えば、最外層の樹脂層をスーパーエンジニアリングプラスチックによって形成し、それより導体側に位置する内層を、エンジニアリングプラスチック又は汎用プラスチックによって形成することで、或いは、最外層の樹脂層をエンジニアリングプラスチックによって形成し、それより導体側に位置する内層を、汎用プラスチックによって形成することで耐熱性に優れた絶縁電線を得ることができる。
絶縁樹脂の原料費は、一般には、樹脂の機能性が優れているほど高価となる傾向があり、耐熱性についても同様である。したがって、樹脂積層体において最外層よりも導体側に位置する内層を、より低廉な絶縁樹脂で形成することにより、絶縁電線の耐熱性を損なうことなく材料コストを抑えることができる。
絶縁樹脂の耐熱性の優劣を評価する上で、前記した汎用プラスチック、エンジニアリングプラスチック及びスーパーエンジニアリングプラスチックの分類は、一定程度の指標となり得る。しかしながら、絶縁樹脂種の耐熱性は、一般には、正確な順位が確立されているわけではない。そこで、本実施形態に係る樹脂積層体の形成に用いる絶縁樹脂については、より具体的には、その耐熱性を耐熱指数で順位付けることによって各絶縁樹脂について優劣を比較し、最外層の樹脂層とその他の内層のそれぞれをなす絶縁樹脂種を選択するものとする。
ここで、本明細書において、耐熱指数とは、小澤法による分解反応の速度論的解析(小澤丈夫、「非定温速度論(1)単一素過程の場合」、熱測定、日本熱測定学会、2004年6月30日、Vol.31、No.3、p.125−132参照)の手法にしたがって、樹脂の熱分析に基づいて算出される指数であって、樹脂組成物を定温で保持して、重量が5質量%減少するのに2万時間を要する保持温度を意味するものとする。
熱分析の方法としては、複数の昇温速度でスキャンして、重量が5質量%減少するときの温度を計測する方法(Friedman−小澤法)がある。この方法では、各昇温速度に対して、計測した重量が所定量(例えば、5質量%)減少するときの温度をプロットすることにより、重量の減少に関わる絶縁樹脂の分解反応の活性化エネルギを導出することができる。
また、2種類以上の異なる保持温度において、重量が5質量%減少するまでの時間を計測する方法(小澤−Flynn−Wall法)がある。この方法では、各保持温度に対して、計測した重量が(例えば、5質量%)減少するまでの時間をプロットすることにより、重量の減少に関わる絶縁樹脂の分解反応の活性化エネルギを導出することができる。
これらいずれかの方法で導出された活性化エネルギの値から耐熱指数を算出することができる。
なお、前記刊行物に示されるように、算出される耐熱指数は、樹脂組成物の耐熱寿命が構造変化のみによって決まり、構造変化がただ一つの反応で進行しているとの仮定のもとで算出される値である。したがって、同種の絶縁樹脂種同士であっても、一方に分解反応の活性化エネルギを低下させる酸化防止剤等の添加剤が含まれており、前記したプロットが線型性を有している場合には、それぞれ異なる耐熱指数が算出され、同種の絶縁樹脂種同士の耐熱性に優劣が生じ得る。本発明においては、このような同種の絶縁樹脂種が積層される場合であっても、耐熱指数に基づく耐熱性の優劣にしたがって樹脂積層体が形成される場合が発明の技術的範囲に含まれる。
分解反応の活性化エネルギを低下させる添加剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等を用いることができる。
具体的には、フェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、3,9−ビス[2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等、硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾール等、リン系酸化防止剤としては、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等、アミン系酸化防止剤としては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、N,N'−ジメチル−2−ナフチルアミン、N,N,N',N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン等が例として挙げられる。
本実施形態に係る樹脂積層体の膜厚は、50μm以上とすることが好ましい。
樹脂積層体の膜厚が50μm以上であれば、絶縁電線同士が密接する程度の高密度な状態において絶縁電線の耐圧性を確保することができる。
本実施形態に係る樹脂積層体において最外層となる樹脂層の膜厚は、樹脂積層体全体の膜厚の2分の1未満とすることが好ましい。換言すると、最外層よりも導体側に位置する内層の膜厚の合計は、樹脂積層体全体の膜厚の2分の1以上とすることが好ましい。
樹脂積層体における各樹脂層の膜厚がこのような関係にあれば、所定の膜厚が要求される樹脂積層体の大部分を任意の絶縁樹脂によって形成することができ、耐圧性を確保しつつ絶縁電線の材料コストを抑えることができる。
本実施形態に係る樹脂積層体において最外層よりも導体側に位置する内層は、熱可塑性樹脂により形成されることが好ましい。
前記のとおり、本実施形態に係る樹脂積層体においては、最外層よりも導体側に位置する内層を任意の絶縁樹脂としても、絶縁電線の耐熱性が確保される。したがって、最外層よりも導体側に位置する内層の樹脂種として、加熱溶融する熱可塑性樹脂を選択することによって、押出成形によって内層を形成することができる。そして、押出成形によれば、絶縁電線の耐圧性を確保するのに要する膜厚を、一工程で形成することができるため、ワニスの塗布及び焼付を繰り返す場合と比較して製造コストを抑えることができる。
樹脂積層体において、外層側の樹脂層を形成する際には、塗布焼付又は押出成形に伴う加熱によって内層側の樹脂層が流動しないことが必要である。
したがって、内層側の樹脂層が結晶性の熱可塑性樹脂である場合には、塗布焼付又は押出成形の加熱温度は、結晶性の熱可塑性樹脂の融点未満であることが好ましい。また、内層側の樹脂層が非結晶性の熱可塑性樹脂である場合には、塗布焼付又は押出成形の加熱温度は、非結晶性の熱可塑性樹脂のガラス転移温度未満であることが好ましい。
これに対して、最外層については、形成する膜厚に応じて塗布及び焼付、又は押出成形のいずれの方法を用いてもよい。
また、本実施形態に係る樹脂積層体において最外層よりも導体側に位置する内層は、潜在性の熱硬化性樹脂と架橋剤とにより形成してもよい。これによって、当該樹脂層の押出成形時においては、未架橋の状態で押出成形による成形性を確保しつつ、外層側の他の層の形成時においては、樹脂を架橋させることで加熱により流動しない状態とすることができる。
潜在性の熱硬化性樹脂としては、求核性の反応基や電子供与性の反応基を有する樹脂が挙げられ、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールE、ビスフェノールS等のビスフェノールとエピハロヒドリンとを重合させて得られるフェノキシ樹脂や、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のノボラックをエポキシ化したノボラック型、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス({3,4−エポキシシクロヘキシル}メチル)アジペート等の環状脂肪族型、1,6−ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル等のナフタレン型、長鎖脂肪酸二量体のジグリシジルエステル等の長鎖脂肪族型等に分類される他のエポキシ樹脂等が挙げられる。
また、架橋剤としては、押出成形における加熱温度においては不活性でありながら、押出成形後のさらなる加熱によって架橋反応活性を顕すことができるブロックイソシアネート又はビスマレイミド化合物を用いることができる。
ブロックイソシアネートとしては、潜在性の熱硬化性樹脂と重合可能な反応基とを有するイソシアネート、及び、複数のイソシアネート基を有するポリイソシアネートのいずれをブロック剤で保護した化合物であってもよい。
前者のブロックイソシアネートとしては、例えば、メタクリル酸−2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル「カレンズMOI−BM」(昭和電工株式会社製)、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート「カレンズMOI−BP」(昭和電工株式会社製)等が挙げられ、後者のブロックイソシアネートとしては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネートや、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート等の脂環族イソシアネート等をブロック剤で保護したものが挙げられる。
ビスマレイミド化合物としては、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド「BMI−1000」(大和化成工業株式会社製)、ポリフェニルメタンマレイミド「BMI−2000」(大和化成工業株式会社製)、m−フェニレンビスマレイミド「BMI−3000」(大和化成工業株式会社製)、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド「BMI−4000」(大和化成工業株式会社製)、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド「BMI−5000」、「BMI−5100」(大和化成工業株式会社製)、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド「BMI−7000」(大和化成工業株式会社製)等を用いることができる。
次に、本実施形態に係る絶縁電線の製造方法について説明する。
本実施形態に係る絶縁電線の製造方法は、一般的な絶縁電線の製造方法に準じて行われる。すなわち、熱可塑性樹脂を用いた押出成形による方法や、熱硬化性樹脂のワニスの塗布焼付による方法を用いることによって、樹脂積層体をなす各樹脂層が形成される。
例えば、熱可塑性樹脂を用いた押出成形は、所望の電線形状に応じた口金を有するクロスヘッドダイ等の押出成形機を用いて行われる。
樹脂層を形成する絶縁樹脂材料は、押出成形機のホッパに投入され、シリンダに供給されて、ガラス転移温度以上の温度まで加熱されて溶融状態とされる。その後、加熱されて溶融した絶縁樹脂材料は、シリンダ内に備えられるスクリュで混練されながらクロスヘッドに供給される。
このクロスヘッドには、線条の導体芯線が通過させられている。導体芯線は、ダイスを通過させることにより所定の線径まで徐々に引き落とす伸線加工によって得られるものである。導体芯線の外周には、クロスヘッドを通過する際に、溶融した絶縁樹脂材料が被覆され、樹脂積層体をなす樹脂層が形成される。その後、導体芯線は、サイザーを通過して線径が調整され、必要に応じて冷却されて、より外層側の樹脂層の被覆が行われる。
ワニスの塗布焼付による方法では、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の溶剤に熱硬化性樹脂や各種添加剤を溶解させたワニスを導体芯線に塗布する。
そして、ワニスが塗布された導体芯線を加熱炉内を通過させることによって焼付を行うことで、溶剤が揮発し、樹脂積層体をなす樹脂層が形成される。その後、導体芯線は、必要に応じて冷却されて、より外層側の樹脂層の被覆が行われる。
樹脂積層体の形成においては、複数の樹脂層同士の界面の密着性を向上させるために、形成する樹脂層を積層する内層側の樹脂層を表面処理して濡れ性を向上させることが好ましい。濡れ性を向上させる表面処理としては、紫外線照射処理、プラズマ処理等が挙げられる。
本実施形態に係る回転電機は、ロータ、ステータ、出力軸等の一般的なモータの構成要素を備えると共に、前記した実施形態に係る絶縁電線を備えている。
絶縁電線は、ステータが有するステータコアに巻線として捲回される。
本実施形態に係る回転電機は、耐熱性及び耐圧性に優れた絶縁電線を備えることにより、例えば、家庭用電気機器、産業用電気機器、船舶、鉄道、電気自動車等における動力発生装置や発電装置として好適であり、特に小型又は高出力の回転電機においても、熱、部分放電、サージ電圧等によって絶縁破壊を生じ難い性質を有するものである。
次に、本発明の実施例を示して具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
参考例1]
導体に2層の樹脂層が積層されてなる絶縁電線を製造した。
導体としては、直径1mmの銅製の丸線を用いた。
また、樹脂積層体における内層は、ポリフェニレンサルファイド「トープレンT−1」(トープレン株式会社製)で形成し、外層は、熱硬化性ポリイミドワニス「サンエバーSE−150」(日産化学工業株式会社製)で形成した。
はじめに、直径1mmの丸線の外周に、押出成形によりポリフェニレンサルファイドの樹脂層(内層)を形成した。なお、樹脂層(内層)の膜厚は、0.2mmとした。
続いて、この樹脂層(内層)の外周に、熱硬化性ポリイミドを塗布し、室温で仮乾燥させた。
そして、恒温槽において240℃で2時間焼成して、ポリイミドの樹脂層(外層)を形成し、絶縁電線とした。なお、形成された樹脂層(外層)の膜厚は、約0.02mmであった。
図1は、参考例1に係る絶縁電線の断面模式図である。
製造された参考例1に係る絶縁電線1において、導体10は、断面が円形状の芯線をなしており、ポリフェニレンサルファイドの樹脂層(内層)20A及びポリイミドの樹脂層(外層)20Bの2層の樹脂層が積層されてなる樹脂積層体(20A,20B)は、導体10の全周を被覆している。
次に、参考例1に係る絶縁電線の耐熱性を確認した。
製造された絶縁電線を200℃、220℃及び240℃の恒温槽内に静置し、5質量%の重量が減少する重量減少時間をそれぞれ計測した。
計測された各温度における重量減少時間をプロットすることにより、熱分解反応の活性化エネルギを算出し、5質量%の重量が減少するのに2万時間を要する温度を耐熱指数として求めた。
その結果、参考例1に係る絶縁電線の耐熱指数は、220℃であった。
[比較例1]
導体に1層の樹脂層が積層されてなる比較例に係る絶縁電線を製造した。
導体としては、直径1mmの銅製の丸線を用いた。
また、樹脂層は、ポリフェニレンサルファイド「トープレンT−1」(トープレン株式会社製)で形成した。
直径1mmの丸線の外周に、押出成形によりポリフェニレンサルファイドの樹脂層を形成し、比較例1に係る絶縁電線とした。なお、樹脂層の膜厚は、0.2mmとした。
図2は、比較例1に係る絶縁電線の断面模式図である。
製造された比較例1に係る絶縁電線2において、導体10は、断面が円形状の芯線をなしており、ポリフェニレンサルファイドの樹脂層20は、導体10の全周を被覆している。
次に、前記の計測と同様にして、比較例1に係る絶縁電線の耐熱性を確認した。
その結果、比較例1に係る絶縁電線の耐熱指数は、180℃であった。
以上の参考例1及び比較例1の耐熱指数の結果から、絶縁電線の耐熱性が、樹脂積層体の最外層の樹脂層の耐熱性に依存していることが確認された。また、耐熱性を発現する上で、最外層の樹脂層の膜厚の影響は小さいことが示唆された。
参考例2]
導体に3層の樹脂層が積層されてなる絶縁電線を製造した。
導体としては、直径1mmの銅製の丸線を用いた。
また、樹脂積層体における内層は、熱硬化性ポリイミドワニス「サンエバーSE−150」(日産化学工業株式会社製)で形成し、中層は、ポリフェニレンサルファイド「トープレンT−1」(トープレン株式会社製)で形成し、外層は、熱硬化性ポリイミドワニス「サンエバーSE−150」(日産化学工業株式会社製)で形成した。
はじめに、直径1mmの丸線の外周に、熱硬化性ポリイミドを塗布し、室温で仮乾燥させた。
そして、恒温槽において300℃で1時間焼成して、ポリイミドの樹脂層(内層)を形成した。なお、形成された樹脂層(内層)の膜厚は、約0.01mmであった。
続いて、この樹脂層(内層)の外周に、押出成形によりポリフェニレンサルファイドの樹脂層(中層)を形成した。なお、樹脂層(中層)の膜厚は、0.2mmとした。
続いて、この樹脂層(中層)の外周に、熱硬化性ポリイミドを塗布し、室温で仮乾燥させた。
そして、恒温槽において240℃で2時間焼成して、ポリイミドの樹脂層(外層)を形成し、絶縁電線とした。なお、形成された樹脂層(外層)の膜厚は、約0.02mmであった。
図3は、参考例2に係る絶縁電線の断面模式図である。
製造された参考例2に係る絶縁電線3において、導体10は、断面が円形状の芯線をなしており、ポリイミドの樹脂層(内層)20A、ポリフェニレンサルファイドの樹脂層(中層)20C及びポリイミドの樹脂層(外層)20Bの3層の樹脂層が積層されてなる樹脂積層体(20A,20B,20C)は、導体10の全周を被覆している。
次に、参考例2に係る絶縁電線の耐熱性を確認した。
製造された樹脂積層体を200℃、220℃及び240℃の恒温槽内に静置し、5質量%の重量が減少する重量減少時間をそれぞれ計測した。
計測された各温度における重量減少時間をプロットすることにより、熱分解反応の活性化エネルギを算出し、5質量%の重量が減少するのに2万時間を要する温度を耐熱指数として求めた。
その結果、参考例2に係る絶縁電線の耐熱指数は、220℃であった。
[比較例2]
導体に2層の樹脂層が積層されてなる比較例に係る絶縁電線を製造した。
導体としては、直径1mmの銅製の丸線を用いた。
また、樹脂積層体における内層は、熱硬化性ポリイミドワニス「サンエバーSE−150」(日産化学工業株式会社製)で形成し、外層は、ポリフェニレンサルファイド「トープレンT−1」(トープレン株式会社製)で形成した。
はじめに、直径1mmの丸線の外周に、熱硬化性ポリイミドを塗布し、室温で仮乾燥させた。
そして、恒温槽において300℃で1時間焼成して、ポリイミドの樹脂層(内層)を形成した。なお、形成された樹脂層(内層)の膜厚は、約0.01mmであった。
続いて、この樹脂層(内層)の外周に、押出成形によりポリフェニレンサルファイドの樹脂層(外層)を形成し、比較例2に係る絶縁電線とした。なお、樹脂層(外層)の膜厚は、0.2mmとした。
図4は、比較例2に係る絶縁電線の断面模式図である。
製造された比較例2に係る絶縁電線4において、導体10は、断面が円形状の芯線をなしており、ポリイミドの樹脂層(内層)20A及びポリフェニレンサルファイドの樹脂層(外層)20Bの2層の樹脂層が積層されてなる樹脂積層体(20A,20B)は、導体10の全周を被覆している。
次に、前記の計測と同様にして、比較例2に係る絶縁電線の耐熱性を確認した。
その結果、比較例2に係る絶縁電線の耐熱指数は、150℃であった。
以上の参考例1、参考例2及び比較例2の耐熱指数の結果から、絶縁電線の耐熱性が、樹脂積層体の最外層の樹脂層の耐熱性に依存していることが確認された。また、耐熱性を発現する上で、最外層より導体側にある樹脂層の影響は小さいことが示唆された。
参考例3]
導体に2層の樹脂層が積層されてなる絶縁電線を製造した。
導体としては、1mm×2mmの銅製の平角線を用いた。
また、樹脂積層体における内層は、ポリビニルブチラールワニス「エスレック KS−10」(積水化学工業株式会社製)を用いて形成し、外層は、酸化防止剤としてペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](♯P0932:東京化成工業株式会社製)を溶解したポリビニルブチラールワニスを用いて形成した。
はじめに、1mm×2mmの平角線の外周に、ポリビニルブチラールを塗布し、室温で仮乾燥させた後、恒温槽において150℃で2時間焼成して、ポリビニルブチラールの樹脂層を形成した。
そして、この塗布と焼成の操作を繰り返して、膜厚が約0.2mmである樹脂層(内層)を形成した。
続いて、この樹脂層(内層)の外周に、酸化防止剤として2質量%となるペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](♯P0932:東京化成工業株式会社製)を溶解したポリビニルブチラールを塗布し、室温で仮乾燥させた後、恒温槽において150℃で2時間焼成して、ポリビニルブチラールの樹脂層(外層)を形成し、絶縁電線とした。なお、形成された樹脂層(外層)の膜厚は、約0.02mmであった。
図5は、参考例3に係る絶縁電線の断面模式図である。
製造された参考例3に係る絶縁電線5において、導体10は、断面が矩形状の芯線をなしており、ポリビニルブチラールの樹脂層20A及び酸化防止剤を含むポリビニルブチラールの樹脂層20Bの2層の樹脂層が積層されてなる樹脂積層体(20A,20B)は、導体10の全周を被覆している。
次に、参考例3に係る絶縁電線の耐熱性を確認した。
製造された樹脂積層体を140℃、160℃及び180℃の恒温槽内に静置し、5質量%の重量が減少する重量減少時間をそれぞれ計測した。
計測された各温度における重量減少時間をプロットすることにより、熱分解反応の活性化エネルギを算出し、5質量%の重量が減少するのに2万時間を要する温度を耐熱指数として求めた。
その結果、参考例3に係る絶縁電線の耐熱指数は、160℃であった。
[比較例3]
導体に1層の樹脂層が積層されてなる比較例に係る絶縁電線を製造した。
導体としては、1mm×2mmの銅製の平角線を用いた。
また、樹脂層は、ポリビニルブチラールワニス「エスレック KS−10」(積水化学工業株式会社製)を用いて形成した。
はじめに、1mm×2mmの平角線の外周に、ポリビニルブチラールを塗布し、室温で仮乾燥させた後、恒温槽において150℃で2時間焼成して、ポリビニルブチラールの樹脂層を形成した。
そして、この塗布と焼成の操作を繰り返して、膜厚が約0.2mmである樹脂層を形成し、比較例3に係る絶縁電線とした。
図6は、比較例3に係る絶縁電線の断面模式図である。
製造された比較例3に係る絶縁電線6において、導体10は、断面が矩形状の芯線をなしており、ポリビニルブチラールの樹脂層20は、導体10の全周を被覆している。
次に、前記の計測と同様にして、比較例3に係る絶縁電線の耐熱性を確認した。
その結果、比較例3に係る絶縁電線の耐熱指数は、130℃であった。
以上の参考例3及び比較例3の耐熱指数の結果から、絶縁電線の耐熱性が、酸化防止剤の添加により向上することが確認された。
実施例1
導体に2層の樹脂層が積層されてなる絶縁電線を製造した。
導体としては、直径1mmの銅製の丸線を用いた。
また、樹脂積層体における内層は、架橋剤としてビスマレイミド化合物である3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド「BMI−5100」(大和化成工業株式会社製)を含有させたフェノキシ樹脂「YP−55」(東都化成株式会社製)で形成し、外層は、熱硬化性ポリイミドワニス「サンエバーSE−150」(日産化学工業株式会社製)で形成した。
はじめに、直径1mmの丸線の外周に、押出成形により架橋剤として20質量%となる3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミドを含有させたフェノキシ樹脂の樹脂層(内層)を形成した。なお、樹脂層(内層)の膜厚は、0.2mmとした。
そして、恒温槽において200℃で加熱することで、架橋反応により熱硬化させた。
続いて、この樹脂層(内層)の外周に、熱硬化性ポリイミドを塗布し、室温で仮乾燥させた。
そして、恒温槽において200℃で2時間焼成して、ポリイミドの樹脂層(外層)を形成し、絶縁電線とした。なお、形成された樹脂層(外層)の膜厚は、約0.02mmであった。
次に、実施例1に係る絶縁電線の耐熱性を確認した。
製造された樹脂積層体を180℃、200℃及び220℃の恒温槽内に静置し、5質量%の重量が減少する重量減少時間をそれぞれ計測した。
計測された各温度における重量減少時間をプロットすることにより、熱分解反応の活性化エネルギを算出し、5質量%の重量が減少するのに2万時間を要する温度を耐熱指数として求めた。
その結果、実施例1に係る絶縁電線の耐熱指数は、190℃であった。
[比較例4]
導体に1層の樹脂層が積層されてなる比較例に係る絶縁電線を製造した。
導体としては、直径1mmの銅製の丸線を用いた。
また、樹脂層は、架橋剤としてビスマレイミド化合物である3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド「BMI−5100」(大和化成工業株式会社製)を含有させたフェノキシ樹脂「YP−55」(東都化成株式会社製)で形成した。
はじめに、直径1mmの丸線の外周に、押出成形により架橋剤として20質量%となる3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミドを含有させたフェノキシ樹脂の樹脂層を形成した。なお、樹脂層の膜厚は、0.2mmとした。
そして、恒温槽において200℃で加熱することで、架橋反応により熱硬化させ、比較例4に係る絶縁電線とした。
次に、前記の計測と同様にして、比較例4に係る絶縁電線の耐熱性を確認した。
その結果、比較例4に係る絶縁電線の耐熱指数は、150℃であった。
以上の実施例1及び比較例4の耐熱指数の結果から、押出成形によって製造される絶縁電線の耐熱性についても、樹脂積層体の最外層の樹脂層の耐熱性に依存していることが確認された。
参考例4
導体に2層の樹脂層が積層されてなる絶縁電線を製造した。
導体としては、直径1mmの銅製の丸線を用いた。
また、樹脂積層体における内層は、架橋剤としてイソシアネート化合物である2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート「カレンズMOI−BP」(昭和電工株式会社製)を含有させたフェノキシ樹脂「YP−55」(東都化成株式会社製)で形成し、外層は、熱硬化性ポリイミドワニス「サンエバーSE−150」(日産化学工業株式会社製)で形成した。
はじめに、直径1mmの丸線の外周に、押出成形により架橋剤として20質量%となる2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレートを含有させたフェノキシ樹脂の樹脂層(内層)を形成した。なお、樹脂層(内層)の膜厚は、0.2mmとした。
そして、恒温槽において150℃で加熱することで、架橋反応により熱硬化させた。
続いて、この樹脂層(内層)の外周に、熱硬化性ポリイミドを塗布し、室温で仮乾燥させた。
そして、恒温槽において220℃で2時間焼成して、ポリイミドの樹脂層(外層)を形成し、絶縁電線とした。なお、形成された樹脂層(外層)の膜厚は、約0.02mmであった。
次に、参考例4に係る絶縁電線の耐熱性を確認した。
製造された樹脂積層体を180℃、200℃及び220℃の恒温槽内に静置し、5質量%の重量が減少する重量減少時間をそれぞれ計測した。
計測された各温度における重量減少時間をプロットすることにより、熱分解反応の活性化エネルギを算出し、5質量%の重量が減少するのに2万時間を要する温度を耐熱指数として求めた。
その結果、参考例4に係る絶縁電線の耐熱指数は、190℃であった。
[比較例5]
導体に1層の樹脂層が積層されてなる絶縁電線を製造した。
導体としては、直径1mmの銅製の丸線を用いた。
また、樹脂層は、架橋剤としてイソシアネート化合物である2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート「カレンズMOI−BP」(昭和電工株式会社製)を含有させたフェノキシ樹脂「YP−55」(東都化成株式会社製)で形成した。
はじめに、直径1mmの丸線の外周に、押出成形により架橋剤として20質量%となる2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレートを含有させたフェノキシ樹脂の樹脂層を形成した。なお、樹脂層の膜厚は、0.2mmとした。
そして、恒温槽において150℃で加熱することで、架橋反応により熱硬化させ、比較例5に係る絶縁電線とした。
次に、前記の計測と同様にして、比較例5に係る絶縁電線の耐熱性を確認した。
その結果、比較例5に係る絶縁電線の耐熱指数は、150℃であった。
以上の参考例4及び比較例5の耐熱指数の結果から、押出成形によって製造される他の絶縁電線の耐熱性についても、樹脂積層体の最外層の樹脂層の耐熱性に依存していることが確認された。
参考例5
導体に2層の樹脂層が積層されてなる絶縁電線を製造した。
導体としては、直径1mmの銅製の丸線を用いた。
また、樹脂積層体における内層は、架橋剤としてイソシアネート化合物である2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート「カレンズMOI−BP」(昭和電工株式会社製)を含有させたフェノキシ樹脂「YP−55」(東都化成株式会社製)で形成し、外層は、このフェノキシ樹脂を溶解させた熱硬化性ポリイミドワニス「サンエバーSE−150」(日産化学工業株式会社製)で形成した。
はじめに、直径1mmの丸線の外周に、押出成形により架橋剤として20質量%となる2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレートを含有させたフェノキシ樹脂の樹脂層(内層)を形成した。なお、樹脂層(内層)の膜厚は、0.2mmとした。
そして、恒温槽において150℃で加熱することで、架橋反応により熱硬化させた。
続いて、この樹脂層(内層)の外周に、20質量%となるフェノキシ樹脂を溶解させた熱硬化性ポリイミドを塗布し、室温で仮乾燥させた。
そして、恒温槽において220℃で2時間焼成して、ポリイミドの樹脂層(外層)を形成し、絶縁電線とした。なお、形成された樹脂層(外層)の膜厚は、約0.03mmであった。
次に、参考例5に係る絶縁電線の耐熱性を確認した。
製造された樹脂積層体を180℃、200℃及び220℃の恒温槽内に静置し、5質量%の重量が減少する重量減少時間をそれぞれ計測した。
計測された各温度における重量減少時間をプロットすることにより、熱分解反応の活性化エネルギを算出し、5質量%の重量が減少するのに2万時間を要する温度を耐熱指数として求めた。
その結果、参考例5に係る絶縁電線の耐熱指数は、180℃であった。
以上の比較例5及び参考例5の耐熱指数の結果から、押出成形によって製造される絶縁電線の耐熱性についても、樹脂積層体の最外層の樹脂層の耐熱性に依存していることが確認された。
1,2,3,4 丸線(絶縁電線)
5,6 平角線(絶縁電線)
10 導体
20,20A,20B,20C 樹脂層

Claims (4)

  1. 導体と、
    前記導体を被覆し、複数の樹脂層が積層されてなる樹脂積層体と、
    を備え、
    前記樹脂積層体における最外層の樹脂層は、前記複数の樹脂層を形成する樹脂の中で耐熱性が最大の樹脂で構成され、
    前記樹脂積層体の膜厚が、50μm以上、且つ、前記耐熱性が最大の樹脂の膜厚が、前記樹脂積層体の膜厚の2分の1未満であり、
    前記複数の樹脂層のうちの少なくとも1層が、熱可塑性樹脂のフェノキシ樹脂で構成され
    前記フェノキシ樹脂で構成された樹脂層は、ビスマレイミド化合物によって架橋されていることを特徴とする絶縁電線。
  2. 前記耐熱性が最大の樹脂は、ポリイミドであることを特徴とする請求項に記載の絶縁電線。
  3. 前記複数の樹脂層をポリイミド最外層とフェノキシ樹脂内層との2層で構成することを特徴とする請求項に記載の絶縁電線。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の絶縁電線を備えることを特徴とする回転電機。
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