JP3077991B2 - 絶縁電線 - Google Patents

絶縁電線

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JP3077991B2 JP02115468A JP11546890A JP3077991B2 JP 3077991 B2 JP3077991 B2 JP 3077991B2 JP 02115468 A JP02115468 A JP 02115468A JP 11546890 A JP11546890 A JP 11546890A JP 3077991 B2 JP3077991 B2 JP 3077991B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、特に耐湿熱性、耐冷媒性に優れた絶縁電
線に関する。
〔従来の技術〕
冷蔵庫、冷凍機等の冷媒圧縮機用モータは、フロン−
11、フロン−12、フロン−22などの冷媒の雰囲気下で運
転される。このため、このモータの巻線には、耐冷媒性
が要求されるとともに冷媒と併用される冷凍機油に対す
る耐久性も要求される。
このような要求を満す絶縁電線としては、従来ポリイ
ミド線、ポリアミドイミド線、ポリエステルイミド線、
ポリエステルアミドイミド線などが用いられる。
ところで、近時地球環境保全の点からフロン−11、フ
ロン−12の使用が削減、廃止の方向で進んでおり、その
代替の冷媒としてフロン−134aが有力とされている。こ
のフロン−134aと併用される冷凍機油としては、ポリア
ルキレングリコール系油が候補となってるが、ポリアル
キレングリコール系油は吸水性が大きく、約1〜2%の
水分を吸収する。
よって、代替冷媒フロン−134aとポリアルキレングリ
コール系油との併用系における絶縁電線には、耐冷媒性
と耐湿熱性が併せて、要求されることになる。
このような観点から、ポリイミド線、ポリアミドイミ
ド線は耐冷媒性、耐湿熱性はともに優れているが、高価
である難点がある。また、ポリエステルイミド線、ポリ
エステルアミドイミド線は、ともに分子内にエステル結
合を有するため加水分解されやくす、耐湿熱性に劣る欠
点がある。
一方、従来耐湿熱性が良好とされているポリアミドイ
ミド/ポリエステルイミド線も、ポリエステルイミドが
上述のように加水分解性を有しているため、含有水分量
が多くなるフロン−134a/ポリアルキレングリコール系
油系では、やはり耐湿熱性が不足する問題がある。
〔発明が解決しようとする課題〕
よって、この発明の課題は、新しいフロン−134a/ポ
リアルキレングリコール系冷凍機油系においても十分な
耐冷媒性、耐湿熱性を発揮する絶縁電線を提供すること
にある。
〔課題を解決するための手段〕
かかる課題は、分子量が6万〜7万のエポキシ樹脂10
0重量部にアルキルエーテル化メラミン樹脂5〜10重量
部、二官能イソシアネート3〜10重量部、フェノール樹
脂5〜10重量部を配合した樹脂組成物からなる絶縁層を
設け、この絶縁層上に熱硬化ホルマール樹脂またはポリ
アミドイミドからなる保護層を設けることで解決され
る。
以下、この発明を詳しく説明する。
第1図は、この発明の絶縁電線の例を示すもので、図
中符号1は導体である。この導体1の外周には、絶縁層
2が被覆され、この絶縁層2上には保護層3がさらに被
覆されて、絶縁電線とされている。
絶縁層2は、エポキシ樹脂100重量部にアルキルエー
テル化メラミン樹脂5〜10重量部、二官能イソシアネー
ト3〜10重量部、フェノール樹脂5〜10重量部を配合し
た樹脂組成物から構成されている。
ここでのエポキシ樹脂は、第2図で示される構造式
(但し、式中R1は、−OHまたはCnH2nOHを表し、mは整
数である。)を有するもので、ビスフェノールAとエピ
クロルヒドリンとの反応生成物であり、分子内にエステ
ル結合を持たず、平均分子量が6万ないし7万前後のも
のが用いられる。平均分子量が6万未満では絶縁層2の
可撓性が不足して実用性に欠ける。
また、アルキルエーテル化メラミン樹脂としては、第
3図に示される構造式(但し、式中R2は、−H,−CH2OH,
−CH2OCH3,−CH2OC2H5,−CH2OC3H7,−CH2OC4H9のいずれ
かである。)を有するアルキルエーテル化メラミンとホ
ルムアルデヒドとの縮合生成物で、平均分子量が450〜5
00程度のものが用いられる。このアルキルエーテル化メ
ラミン樹脂は、エポキシ樹脂の架橋剤として機能するも
ので、エポキシ樹脂100重量部に対して5〜10重量部の
範囲で添加される。添加量が5重量部未満では絶縁層2
の耐熱性、耐湿熱性が十分に得られず、10重量部を越え
ると可撓性が低下する。
二官能イソシアネートとしては、分子内にイソシアネ
ート基を2個以上もつ化合物、例えばトリレンジイソシ
アネート(TDI)、ジフェニルメタン4,4′−ジイソシア
ネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネートや、
これらのジイソシアネートをフェノールやアミドなどで
安定化した安定化ジイソシアネートなどが用いられる。
この二官能イソシアネートは、エポキシ樹脂の架橋剤と
して機能し、エポキシ樹脂100重量部に対して3〜10重
量部添加される。添加量が3重量部未満では、絶縁層2
の耐熱性、耐湿熱性が不足し、10重量部を越えると可撓
性を失って不都合となる。
さらに、ここでのフェノール樹脂としては、通常のフ
ェノールとホルムアルデヒドとの縮合生成物が用いられ
る。フェノール樹脂は、絶縁層2の耐熱性を高めるため
のもので、エポキシ樹脂100重量部に対して5〜10重量
部添加される。添加量が5重量部未満では耐熱性向上効
果がほとんど得られず、10重量部を越えると、可撓性が
低下して好ましくない。
このようなエポキシ樹脂、アルキルエーテル化メラミ
ン樹脂、二官能イソシアネートおよびフェノール樹脂か
らなる樹脂組成物は、シクロヘキサノン、ソルベントナ
フサなどの溶剤に溶解されて樹脂分10〜40重量%のワニ
スとされ、導体1上に常法により塗布、焼付けされて絶
縁層2とされる。
絶縁層2の厚さは、通常10〜100μmの範囲とされる
が、特にこの範囲に限定されるものではない。
また、保護層3としては、熱硬化ホルマール樹脂ある
いはポリアミドイミドからなるものが用いられる。
ここでの熱硬化ホルマール樹脂とは、ポリビニルホル
マール樹脂をベースポリマーとし、これに硬化剤として
メラミン樹脂、イソシアネート樹脂、フェノール樹脂を
配合した樹脂組成物からなるものである。
このような熱硬化ホルマール樹脂あるいはポリアミド
イミドからなる保護層3は、これらの樹脂組成物をシク
ロヘキサノン、ソルベレトナフサなどの溶剤に溶解して
樹脂分10〜40重量%のワニスとし、絶縁層2上に常法に
より塗布、焼き付けすることによって形成される。この
保護層3の厚さは、通常10〜100μm程度とされる。
保護層3として、熱硬化ホルマール樹脂を用いたもの
では、耐摩耗性が良好となり、機械的強度も高いものと
なる。またポリアミドイミドを用いたものでは、耐熱性
がより高いものとなる。
また、絶縁層2と保護層3の膜厚の比を0.5:1〜20:1
とすることが好ましい。保護層3の膜厚がこれよりも薄
いと保護機能が不足し、これよりも厚いとコスト高とな
って不都合となる。
このような絶縁電線にあっては、耐熱性、耐湿熱性、
耐冷媒性、耐油性に富むものとなり、特にフロン−134a
/ポリアルキレングリコール系冷凍機油混合系において
も、すぐれた耐冷媒性、耐湿熱性を発揮する。
以下、具体例を示して、本発明の作用効果を明確にす
る。
(参考例) 第1表に示す配合の組成物をシクロヘキサノンに溶解
し、樹脂分20重量%のワニスを作成し、これを径1mmの
導体上に塗布、焼き付けし、厚さ40μmの絶縁層を形成
した。
この絶縁電線について、可撓性、往復摩耗、熱軟化温
度、T20000Hr、耐湿熱性について試験し、その絶縁層の
特性を検討した。その結果を第2表に示す。
可撓性、往復摩耗、熱軟化温度の測定は、JIS−C−3
003に基づいて行い、T20000Hrの測定はIEC Pub172に基
いて行った。また、耐湿熱性は、水分1.0体積%の雰囲
気下、温度150℃で過熱劣化させたのち、絶縁破壊電圧
(BDV)を測定し、初期値の50%となる日数で表わし
た。
第2表の結果から明らかなように、この絶縁電線の絶
縁層は、耐熱性、耐湿熱性、耐摩耗性、可撓性にすぐれ
ていることがわかる。
(実施例) 参考例におけるNo1〜5の絶縁電線の絶縁層(ただ
し、厚さは11μmとした。)上にさらに熱硬化ホルマー
ル樹脂からなる厚さ9μmの保護層を形成したものと、
同じくNo1〜5の絶縁電線の絶縁層(厚さ11μm)上に
さらにポリアミドイミドからなる厚さ9μmの保護層を
形成したものをそれぞれ製造し、これら絶縁電線につい
て耐冷媒試験、湿熱劣化試験を行った。結果を第3表
(保護層が熱硬化ホルマール樹脂からなるもの)および
第4表(保護層がポリアミドイミドからなるもの)に示
す。
なお、ここでの熱硬化ホルマール樹脂からなる保護層
の形成は、市販のホルマールワニス、「TVE−5452」
(東芝ケミカル(株)製)を塗布、焼付して行った。ま
た、ポリアミドイミドからなる保護層の形成は、市販の
ポリアミドイミドワニス(「HI−405−28」日立化成
(株)製)を塗布、焼付して行った。
また、耐冷媒試験は、フロン−134aに150℃で7日間
浸漬するもの(I)およびフロン−134a/ポリアルキレ
ングリコール系冷凍機油の混合物に水分を1.6重量%混
合させた混合液中に150℃で7日間浸漬するもの(II)
の2種で行い、湿熱劣化試験は、1体積%の水分量にお
いて150℃、24時気中劣化後の絶縁破壊電圧で表わし
た。
また、可撓性は、絶縁電線を自己径巻き付けし、得ら
れたヘリカルコイル9個に対する被膜にクラックが発生
したヘリカルコイルの個数の比で表した。JIS−C−300
3 8.1(2)に準ずる。
第3、4表の結果から明らかなように、本発明の絶縁
電線は、特に耐冷媒性、耐湿熱性に優れ、新しいフロン
−134aやこれとポリアルキレングリコール系冷凍機油と
の併用系においても十分使用に耐えられることがわか
る。
〔発明の効果〕
以上説明したように、この発明の絶縁電線は分子量が
6万〜7万のエポキシ樹脂100重量部にアルキルエーテ
ル化メラミン樹脂5〜10重量部、二官能イソシアネート
3〜10重量部、フェノール樹脂5〜10重量部を配合した
樹脂組成物からなる絶縁層と熱硬化ホルマール樹脂また
はポリアミドイミドからなる保護層を有するものである
ので、優れた耐熱性、耐冷媒性、耐湿熱性、機械的特性
等を有し、特にフロン−134a/ポリアルキレングリコー
ル系冷凍油の併用系においても高い信頼性でもって使用
できる。また、保護層として熱硬化ホルマール樹脂を用
いたものではさらに耐摩耗性が良好となり、機械的強度
も高いものとなる。さらに、保護層としてポリアミドイ
ミドを用いたものでは耐熱性がより高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の絶縁電線の例を示す概略断面図、
第2図および第3図はこの発明で用いられるエポキシ樹
脂およびアルキルエーテル化メラミンの構造を示す化学
構造式である。 1……導体、2……絶縁層、3……保護層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 花岡 和夫 東京都江東区木場1丁目5番1号 藤倉 電線株式会社内 (72)発明者 茶畑 末治 東京都江東区木場1丁目5番1号 藤倉 電線株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−82375(JP,A) 特開 昭61−39407(JP,A) 特開 昭58−16411(JP,A) 特開 昭64−19609(JP,A) 特開 昭62−135569(JP,A) 特開 昭62−195056(JP,A) 実開 昭59−79915(JP,U) ・新保正樹編「エポキシ樹脂ハンドブ ック」日刊工業新聞社 昭和62年12月25 日発行、第31〜32頁 ・社団法人高分子学会編「高分子材料 便覧」コロナ社、昭和48年2月20日発 行、▲I▼.基礎編第16〜17頁、資料編 第14頁

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分子量が6万〜7万のエポキシ樹脂100重
    量部にアルキルエーテル化メラミン樹脂5〜10重量部、
    二官能イソシアネート3〜10重量部、フェノール樹脂5
    〜10重量部を配合した樹脂組成物からなる絶縁層と、こ
    の絶縁層上に設けられた熱硬化ホルマール樹脂からなる
    保護層を有する絶縁電線。
  2. 【請求項2】分子量が6万〜7万のエポキシ樹脂100重
    量部にアルキルエーテル化メラミン樹脂5〜10重量部、
    二官能イソシアネート3〜10重量部、フェノール樹脂5
    〜10重量部を配合した樹脂組成物からなる絶縁層と、こ
    の絶縁層上に設けられたポリアミドイミドからなる保護
    層を有する絶縁電線。
  3. 【請求項3】前記絶縁層と前記保護層との膜厚比が0.5:
    1〜20:1である請求項(1)または(2)記載の絶縁電
    線。
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CN101785070B (zh) * 2008-04-03 2015-07-22 住友电工运泰克株式会社 绝缘电线以及使用了该绝缘电线的线圈和发动机
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