JP2017157491A - 絶縁電線及びその製造方法 - Google Patents

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新太郎 武田
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Abstract

【課題】絶縁性及び耐熱性が高く、樹脂ワニスに対する濡れ性が良好な絶縁電線を提供する。【解決手段】絶縁電線1は、導体10と、該導体10の外表面に形成された第1絶縁層11と、該第1絶縁層11の外表面に形成された第2絶縁層12と、を備える。第1絶縁層11は、ポリフェニレンサルファイド又はポリエーテルエーテルケトンからなる層厚が100μm以上の熱可塑性樹脂層である。第2絶縁層12は、ガラス転位温度が室温以上で融点が130℃以上かつ第1絶縁層11を構成する熱可塑性樹脂の融点以下の熱可塑性樹脂層である。室温における第1絶縁層11と第2絶縁層12の剪断接着強度は、0.9N/mm2以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁電線及びその製造方法に関する。
従来からモータや変圧器などの電気機器におけるコイルに用いられる絶縁電線が知られている。絶縁電線は、一般的に、用途及び形状に合致した断面形状に成形された導体の外周に単層又は複数層の絶縁被覆が形成された構造を有している。
一例として、ポリフェニレンサルファイド(PPS)と、PPSよりも高い融点を有する熱可塑性樹脂とを含有するポリマアロイを含む押出成型用樹脂組成物からなる絶縁層を導体の外周上に備える絶縁電線が開示されている(下記特許文献1を参照)。特許文献1に記載された絶縁電線は、前記絶縁層を備えることで、高い部分放電開始電圧を示すことができる。
また、導体の外周に、少なくとも1層のエナメル焼き付け層と、その外側に少なくとも1層の押出被覆層を有する絶縁ワイヤが開示されている(下記特許文献2を参照)。特許文献2の絶縁ワイヤは、エナメル焼き付け層と押出被覆樹脂層の厚さの合計が60μm以上であることを特徴としている。特許文献2では、押出被覆樹脂層に用いる樹脂として、PPSやポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が例示されている。
特開2014―136738号公報 特開2005―203334号公報
例えば、電気機器のコイルに用いられる絶縁電線は、エポキシや不飽和ポリエステルなどの熱硬化性の樹脂ワニスを用いた固着処理が施される。PPSやPEEK等のスーパーエンジニアリングプラスチックは、高い絶縁性及び耐熱性を有する反面、化学的に安定で他の化学物質との親和性が低い。
そのため、絶縁電線の最外層にPPSやPEEKからなる絶縁層を備える場合、樹脂ワニスに対する濡れ性が低下し、コイルの固着処理が不十分となり、電気機器の信頼性が低下する虞がある。また、PPSやPEEKからなる絶縁層をその他の熱可塑性樹脂からなる絶縁層によって被覆すると、絶縁層間の剪断接着強度が低下して、絶縁電線の絶縁性及び耐熱性を低下させる虞がある。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、絶縁性及び耐熱性が高く、樹脂ワニスに対する濡れ性が良好な絶縁電線及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明の絶縁電線は、導体と、該導体の外表面に形成された第1絶縁層と、該第1絶縁層の外表面に形成された第2絶縁層と、を備える絶縁電線であって、前記第1絶縁層は、ポリフェニレンサルファイド又はポリエーテルエーテルケトンからなる層厚が100μm以上の熱可塑性樹脂層であり、前記第2絶縁層は、ガラス転位温度が室温以上で、融点が130℃以上かつ前記第1絶縁層を構成する熱可塑性樹脂の融点以下の熱可塑性樹脂層であり、室温における前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との剪断接着強度が0.9N/mm以上であることを特徴とする。
本発明によれば、絶縁性及び耐熱性が高く、樹脂ワニスに対する濡れ性が良好な絶縁電線及びその製造方法を提供することできる。
本発明の一実施形態に係る絶縁電線の断面図。 本発明の一実施形態に係る絶縁電線の断面図。 図1又は図2に示す絶縁電線の第1絶縁層の層厚と部分放電開始電圧及びその変化率との関係の一例を示すグラフ。 本実施形態の絶縁電線の製造方法を示すフロー図。 図4に示す第1成形工程を説明する模式図。 図4に示す第2成形工程及びプラズマ処理工程を説明する模式図。 ストラッカ法による絶縁電線の評価サンプル片の斜視図。
以下、図面を参照して本発明の絶縁電線及びその製造方法の実施形態を説明する。以下では、まず絶縁電線について説明し、次に絶縁電線の製造方法について説明する。
(絶縁電線)
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る絶縁電線1の断面図である。
本実施形態の絶縁電線1は、導体10と、該導体10の外表面に形成された第1絶縁層11と、該第1絶縁層11の外表面に形成された第2絶縁層12と、を備えている。第1絶縁層11は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)からなる層厚が100μm以上の熱可塑性樹脂層である。第2絶縁層12は、ガラス転位温度が室温以上で融点が130℃以上かつ第1絶縁層11を構成する熱可塑性樹脂の融点以下の熱可塑性樹脂層である。本実施形態の絶縁電線1は、室温における第1絶縁層11と第2絶縁層12の剪断接着強度が0.9N/mm以上であることを最大の特徴としている。以下、本実施形態の絶縁電線1の構成について詳細に説明する。
絶縁電線1の導体10は、絶縁電線1の芯線であり、例えば、断面形状が円形の丸線、断面形状が矩形の平角線、単線、又は、撚り線等を用いることができる。導体10の材質は、例えば、銅又はアルミニウム等の金属、銅合金又はアルミニウム合金を用いることができる。
導体10として銅線を用いる場合、例えば、タフピッチ銅、無酸素銅、又は脱酸銅からなる銅線を用いることができ、軟銅線若しくは硬銅線、又は、表面に錫、ニッケル、銀、アルミニウム等がめっきされためっき銅線等を用いることができる。また、導体10としてアルミニウムを用いる場合、例えば、硬アルミニウム線又は半硬アルミニウム線を用いることができる。また、導体10として合金線を用いる場合、例えば、銅−錫合金、銅−銀合金、銅−亜鉛合金、銅−クロム合金、銅−ジルコニウム合金、アルミニウム−銅合金、アルミニウム−銀合金、アルミニウム−亜鉛合金、アルミニウム−鉄合金、又は、イ号アルミ合金(Aldrey Aluminium)からなる合金線を用いることができる。
第1絶縁層11は、PPS又はPEEKからなっている。ここで、第1絶縁層11がPPS又はPEEKからなるとは、第1絶縁層11の材質が概ね100%の比率でPPS又はPEEKであることを含むが、PPS又はPEEK以外の材料を含むことを排除するものではない。すなわち、第1絶縁層11を構成する熱可塑性樹脂は、PPS又はPEEKの他に、融点が第2絶縁層12を構成する熱可塑性樹脂の融点以上となる条件で、その他の材料を含むことができる。PPSとしては、例えば、東レ社製のトレリナT1881を用いることができる。PPSの融点は、例えば、概ね280℃程度であり、PEEKの融点は、例えば、概ね340℃程度である。
換言すると、第1絶縁層11は、PPS若しくはPEEK、又は、これらのいずれか一方を主体として他の材料を含む樹脂組成物によって構成することができる。第1絶縁層11を構成する樹脂組成物は、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、シリコーン樹脂からなる群から選択される一種以上の樹脂を含むことができる。また、第1絶縁層11を構成する樹脂組成物は、例えば、無機フィラーを含むことができる。また、第1絶縁層11は、低誘電率化に寄与する中空構造を有してもよい。
また、第1絶縁層11は、PPS又はPEEKからなる複数の絶縁層を有してもよい。例えば、第1絶縁層11は、最内層に導体10に対する接着性の高い絶縁層を有し、最外層に第2絶縁層12に対する接着性の高い絶縁層を有することができる。また、第1絶縁層11は、最内層の絶縁層と最外層の絶縁層との間の中間層に、最内層の絶縁層及び最外層の絶縁層との接着性に優れた絶縁層を有することができる。
第1絶縁層11の層厚は、100μm以上であれば特に限定されないが、生産性やコスト等の観点から、200μm以下であることが好ましい。
第2絶縁層12は、ガラス転位温度が室温以上で融点が130℃以上かつ第1絶縁層11を構成する熱可塑性樹脂の融点以下の熱可塑性樹脂層である。より具体的には、第2絶縁層12は、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂からなる群から選択される一以上の熱可塑性樹脂からなることができる。
ここで、第2絶縁層12が前記した一以上の熱可塑性樹脂からなるとは、第2絶縁層12の材質が概ね100%の比率で前記した一以上の樹脂であることを含むが、前記した一以上の樹脂がその他の材料を含むことを排除するものではない。すなわち、第2絶縁層12を構成する熱可塑性樹脂は、前記した一以上の樹脂の他に、その他の樹脂や無機フィラー等を含むことができる。
より具体的には、第2絶縁層12の素材として、例えば、新日鉄住金化学社製のYP−70やZX−1356−2等、ビスフェノールAエポキシとビスフェノールFエポキシからなる共重合体を用いることができる。また、第2絶縁層12の素材として、例えば、新日鉄住金化学社製のYP−50及びFX−316等、ビスフェノールAフェノキシ樹脂及びビスフェノールFフェノキシ樹脂を用いることができる。また、第2絶縁層12の素材として、例えば、東レ社製のトレコン1401X06等のポリブチレンテレフタラートや、ポリエチレンテレフタラート等のポリエステル樹脂を用いることができる。
第2絶縁層12に含有させる無機フィラーは、板状又は鱗片状であることが望ましく、例えば、マイカ、ガラスフレーク、水酸化アルミニウム等の無機フィラーを用いることができる。より具体的には、板状又は鱗片状の無機フィラーとして、例えば、日本板硝子社製のガラスフレークや、ヤマグチマイカ社製のマイカ等を用いることができる。第2絶縁層12に対する無機フィラーの添加量は、第2絶縁層12に必要な加工性や絶縁性を確保できる範囲であれば特に限定されないが、実用上は、概ね10重量部以上かつ30重量部以下が目安となる。
なお、絶縁電線1の樹脂ワニスに対する濡れ性を向上させる観点から、第2絶縁層12の外表面の水接触角は、75°以下であることが好ましい。第2絶縁層12の外表面の水接触角は、例えば、θ/2法を用いた一般的な接触角計によって測定することができる。より具体的には、絶縁電線1を平角線にしたり、平坦なサンプルの表面に第2絶縁層12を形成したりして、第2絶縁層12の外表面を平坦な面とする。そして、第2絶縁層12の外表面を水平にして、重力を無視できる程度の微小な水滴を滴下し、水滴を水平方向から観察する。そして、水滴の半径rと高さhを求め、下記の式(1)によって接触角θを求めることができる。
θ=2tan−1(h/r) …(1)
第2絶縁層12の層厚は、絶縁電線1に必要な絶縁性を確保することができる範囲であれば特に限定されないが、絶縁電線1の耐傷性や製造性の観点から、例えば2μm以上かつ50μm以下であることが望ましい。
絶縁電線1は、室温における第1絶縁層11と第2絶縁層12の剪断接着強度が0.9N/mm以上とされている。第1絶縁層11と第2絶縁層12の剪断接着強度は、例えば、JIS C 2103:2013の付属書JCに規定された常温での固着力(ストラッカ法)に基づく試験方法によって求めることができる。なお、常温、すなわち試験温度は、例えばJIS Z 8703で規定された常温とすることができる。例えば、第1絶縁層11の外表面をプラズマ処理が施されたプラズマ処理面とすることで、第1絶縁層11と第2絶縁層12の剪断接着強度を0.9N/mm以上にすることができる。
以下、本実施形態の絶縁電線1の作用について説明する。
本実施形態の絶縁電線1は、例えばモータや変圧器などの電気機器におけるコイルの巻線として用いることができる。例えば、コイルの巻線加工時には、絶縁電線1に張力や曲げ応力が作用し、導体10を被覆する第1絶縁層11と第2絶縁層12との間に剪断応力が作用する。
ここで、本実施形態の絶縁電線1は、室温における第1絶縁層11と第2絶縁層12の剪断接着強度が0.9N/mm以上とされている。これにより、例えばコイルの巻線加工時に、絶縁電線1に作用する張力や曲げ応力によって導体10を被覆する第1絶縁層11と第2絶縁層12とが剥離することが防止される。したがって、絶縁電線1に作用する張力や曲げ応力に対する耐性が向上し、絶縁電線1の絶縁性能及び耐熱性能の低下を防止できる。
さらに、本実施形態の絶縁電線1は、第2絶縁層12のガラス転位温度が室温以上である。したがって、例えば室温で絶縁電線1を巻線加工するとき等に、第2絶縁層12の剛性を確保して耐傷性が低下するのを防止することができ、絶縁電線1の信頼性を向上させることができる。
また、絶縁電線1を例えば電気機器のコイルの巻線として用いる場合には、通常、巻線加工の後にコイルの絶縁電線1の隙間にワニスを含浸させてコイルを電気機器等に固着する固着処理が行われる。ワニスとしては、一般に、フェノール系、エポキシ系、シリコーン系等の合成樹脂が用いられる。
さらに、本実施形態の絶縁電線1において、第2絶縁層12の外表面の水接触角が75°以下である場合には、絶縁電線1のワニスに対する濡れ性が良好になり、特に一般的な固着ワニスである不飽和ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂との接着性が良好になる。したがって、ワニスによる絶縁電線1の固着処理をより確実に行うことができ、コイルの耐振動性、耐衝撃性、防塵性、耐水性、耐熱性、耐腐食性等を向上させ、絶縁電線1を使用する電気機器の信頼性を向上させることができる。
より具体的には、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂からなる群から選択される一以上の熱可塑性樹脂からなる第2絶縁層12を用いることで、上述のように、絶縁電線1のワニスに対する濡れ性を向上させることができる。また、第2絶縁層12の絶縁性を確保し、例えばコイルの部分放電を抑制することができる。
また、本実施形態の絶縁電線1は、第1絶縁層11がPPS又はPEEKからなる層厚が100μm以上の熱可塑性樹脂層であることから、通常のエナメル線と比較して、高い絶縁性と高い耐熱性を発揮することができる。
図3は、第1絶縁層11の層厚と、部分放電開始電圧(PDIV)及びその変化率(ΔPDIV)との関係の一例を示すグラフである。図3において、黒塗りの菱形の点は、PDIVのデータであり、白抜きの四角の点は、ΔPDIVのデータを示している。絶縁電線1の絶縁層の厚さをl、絶縁層の誘電率をεとすると、PDIVは、(2×l/ε)0.46に比例することが知られている。図3は、PPSからなる第1絶縁層11の層厚を変化させ、PPSの誘電率を用いてPDIV及びΔPDIVを算出した結果である。
図3に示すように、第1絶縁層11の層厚の増加に伴ってPDIVは増大する。第1絶縁層11の層厚が100μmより小さい範囲では、ΔPDIVが大きいため、第1絶縁層11の層厚の成形誤差によるPDIVへの影響が大きくなる。一方、第1絶縁層11の層厚が100μm以上であれば、ΔPDIVが小さくなるため、第1絶縁層11の層厚の成形誤差によるPDIVへの影響が小さくなる。したがって、絶縁電線1の第1絶縁層11の層厚を100μm以上にすることで、絶縁電線1のPDIVを十分に大きくかつ安定させることができる。
さらに、本実施形態の絶縁電線1は、第2絶縁層12の融点が130℃以上であることから、例えばモータ等の電気機器に使用される場合の第2絶縁層12の耐熱性を十分に確保することができる。したがって、絶縁電線1の耐熱寿命を十分に確保することが可能になる。
また、本実施形態の絶縁電線1は、第2絶縁層12の融点が、第1絶縁層11を構成する熱可塑性樹脂の融点以下の熱可塑性樹脂層である。これにより、例えば押出成形によって導体10の外表面に第1絶縁層11を形成した後に、さらに第1絶縁層11の外表面に第2絶縁層12を形成することができる。したがって、絶縁電線1の生産性を向上させることができる。
また、本実施形態の絶縁電線1において、第2絶縁層12が無機フィラーを含む場合には、例えば絶縁電線1が電気機器のコイルに用いられた場合に、部分放電に対する耐性を向上させることができる。部分放電は、コイル間に高い電圧が加わり、ある電圧を超えたときに絶縁電線1の表面間で発生する微小な放電である。この部分放電が発生し続けると、絶縁電線1の絶縁被膜が侵食されるが、第2絶縁層12が無機フィラーを含むことで、部分放電による第2絶縁層12の浸食が抑制される。
以上説明したように、本実施形態の絶縁電線1は、導体10の外表面に絶縁性及び耐熱性に優れたPPS又はPEEKからなる第1絶縁層11を備え、最外層にワニス等に対する濡れ性に優れた第2絶縁層12を備えている。そして、第1絶縁層11と第2絶縁層12の剪断接着強度が0.9N/mm以上にされている。したがって、本実施形態の絶縁電線1によれば、絶縁性及び耐熱性が高く、樹脂ワニスに対する濡れ性が良好な絶縁電線1を提供することができる。
(絶縁電線の製造方法)
次に、本発明の本実施形態に係る絶縁電線1の製造方法について説明する。
図4は、本実施形態の絶縁電線1の製造方法を示すフロー図である。本実施形態の絶縁電線1の製造方法は、前述のように、導体10と、該導体10の外表面に形成された第1絶縁層11と、該第1絶縁層11の外表面に形成された第2絶縁層12と、を備える絶縁電線1の製造方法である。本実施形態の絶縁電線1の製造方法は、主に、第1成形工程S1と、第2成形工程S2と、プラズマ処理工程SPを有している。
図5は、第1成形工程S1を説明する模式図である。第1成形工程S1では、導体10の外表面にPPS又はPEEKからなる層厚が100μm以上の熱可塑性樹脂層である第1絶縁層11を押出成形によって形成する。より具体的には、まず、導体10を不図示の引取機によって送りながら加熱炉101に通して予備加熱し、予備加熱された導体10を押出機102に導入する。
なお、導体10の外表面と第1絶縁層11との接着性を向上させるために、導体10の外表面に対して、例えばシランカップリング剤等の有機金属化合物による表面処理を施してもよい。
また、押出機102のホッパーにペレット状のPPS又はPEEKを投入する。ペレット状のPPS又はPEEKに替えて、又は、ペレット状のPPS又はPEEKとともに、押出機のホッパーにPPS又はPEEKを主体として予め調製された樹脂組成物を投入してもよい。また、押出機102のホッパーに、第1絶縁層11に含有させる各種の樹脂材料や無機フィラー等を投入してもよい。樹脂組成物に混合する樹脂材料は、第1絶縁層11の耐熱性、絶縁性、及び導体10との接着性を損なわず、第2絶縁層12を構成する熱可塑性樹脂の融点以上の融点を有する限り、特に制限はない。
押出機102のホッパーに投入された熱可塑性樹脂やその他の材料は、シリンダに供給され、シリンダ内で加熱されて軟化又は溶融した熱可塑性樹脂とともに混練され、クロスヘッドに供給される。クロスヘッドに供給された第1絶縁層11の材料は、導体10の外表面を被覆し、導体10とともに押出機102から押し出される。これにより、押出機102を通過した導体10の外表面には、押出機102のシリンダ内で加熱及び混練された第1絶縁層11の材料の層11aが形成される。
押出機102を通過した導体10とその外表面の第1絶縁層11の材料の層11aは、結晶化のための電気炉103を通過し、図示を省略する冷却装置の水槽内で冷却される。これにより、導体10の外表面に第1絶縁層11が形成される。この第1絶縁層11は、PPS若しくはPEEK、又はその樹脂組成物からなるので、押出成形によって導体10の外表面に厚膜成形が可能であり、通常のエナメル線の絶縁層と比較して、絶縁性と耐熱性に優れている。なお、複数の絶縁層による第1絶縁層11の形成は、例えば、導体10を複数回に亘って押出機102に通過させること、複数台の押出機102に連続的に通過させること、多層押出が可能なクロスヘッド構造を持つ押出機に通過させること、などによって行うことができる。
図6は、第2成形工程S2及びプラズマ処理工程SPを説明する模式図である。第2成形工程S2では、第1絶縁層11の外表面にガラス転位温度が室温以上で融点が130℃以上かつ第1絶縁層11を構成する熱可塑性樹脂の融点以下の熱可塑性樹脂層である第2絶縁層12を形成する。より具体的には、まず、外表面に第1絶縁層11が形成された導体10を引取機によって送りながら、押出機104に導入する。
そして、第1成形工程S1と同様に、押出機104のホッパーにペレット状の第2絶縁層12の材料を投入する。また、押出機104のホッパーに、第2絶縁層12に含有させる各種の樹脂材料や無機フィラー等を投入してもよい。押出機104のホッパーに投入された熱可塑性樹脂やその他の材料は、第1成形工程S1と同様に加熱及び混練され、クロスヘッドに供給される。
押出機104のクロスヘッドに供給された第2絶縁層12の材料は、導体10の外表面に形成された第1絶縁層11を被覆し、導体10とともに押出機104から押し出される。これにより、押出機104を通過した導体10の第1絶縁層11の外表面には、第2絶縁層12の材料の層12aが形成される。押出機104を通過した導体10の第1絶縁層11の外表面の第2絶縁層12の材料の層12aは、図示を省略する冷却装置の水槽内で冷却される。
これにより、導体10と、該導体10の外表面に形成された第1絶縁層11と、該第1絶縁層11の外表面に形成された第2絶縁層12と、を備える絶縁電線1が製造される。なお、第2成形工程S2における第2絶縁層12の形成方法は、押出成形に限定されず、例えば、第2絶縁層12の材料を任意の溶剤に溶かしたワニスを第1絶縁層11の外表面に塗布し、乾燥させることによって形成してもよい。
ここで、本実施形態の絶縁電線1の製造方法は、第1成形工程S1の後、第2成形工程S2の前に、プラズマ処理工程SPを有している。プラズマ処理工程SPでは、導体10の外表面に形成された第1絶縁層11の外表面にプラズマ処理を行って、室温における第1絶縁層11と第2絶縁層12の剪断接着強度を0.9N/mm以上にする。
より具体的には、第1成形工程S1によって導体10の外表面に形成された第1絶縁層11を挟むように、大気圧プラズマ装置のノズル105が設置される。ノズル105からはプラズマPが照射され、第1絶縁層11の表面の改質が行われる。本実施形態においては、外表面に第1絶縁層11が形成された導体10を挟むように設置された二つのノズル105が例示されているが、ノズル105の配置は特に限定されない。例えば、導体10に沿って複数のノズル105を設置してもよい。また、ノズル105の断面形状は、円状でも矩形でもよい。さらに、プラズマに用いるガスは、圧縮空気や窒素ガス、酸素ガスを用いても良く、照射時間やノズル105と導体10との間の距離、導体10の押出速度を調整することで、室温における第1絶縁層11と第2絶縁層12の剪断接着強度を0.9N/mm以上にすることが可能になる。
このように、第1成形工程S1の後で、第2成形工程S2の前のプラズマ処理工程SPにおいて、第1絶縁層11の外表面をプラズマ処理が施されたプラズマ処理面に加工することで、第2成形工程S2において、第1絶縁層11のプラズマ処理面に第2絶縁層12を形成することができる。これにより、第1絶縁層11と第2絶縁層12との接着性を向上させ、室温における第1絶縁層11と第2絶縁層12の剪断接着強度を0.9N/mm以上にすることができる。
また、第1絶縁層11の外表面を強酸などで酸化したり、化学的なカップリング処理を施したりする場合と比較して、処理後の外表面の汚染や加工時の傷の発生の危険性を大幅に低減することができる。
以上説明したように、本実施形態の絶縁電線1の製造方法は、導体10の外表面に絶縁性及び耐熱性に優れたPPS又はPEEKからなる第1絶縁層11を形成し、最外層にワニス等に対する濡れ性に優れた第2絶縁層12を形成することができる。そして、第1絶縁層11と第2絶縁層12の剪断接着強度を0.9N/mm以上にすることができる。
したがって、本実施形態の絶縁電線1の製造方法によれば、絶縁性及び耐熱性が高く、樹脂ワニスに対する濡れ性が良好な絶縁電線1を提供することができる。本実施形態に係る絶縁電線1の用途は、特に制限されないが、例えば、家庭用電気機器、産業用電気機器、船舶、鉄道、電気自動車等に備えられる駆動用回転電機のステータコア等に捲回される巻線として用いることができる。
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
以下、本発明の絶縁電線及びその製造方法の実施例と比較例について説明する。
[実施例1]
まず、前述の実施形態において説明した製造方法に従って絶縁電線を製造した。具体的には、まず、導体として1.52mm×3.19mmの平角銅線を用意し、第1絶縁層の材料として、PPS材料(東レ社製トレリナT1881)を用意し、第2絶縁層の材料として、フェノキシ樹脂材料(新日鉄住金化学社製YP−70)を用意した。
次に、加熱炉によって300℃に予備加熱した導体を押出機に導入し、押出機のホッパーにPPS材料を投入して、導体の外表面にPPS材料層を形成した。このとき、押出機のシリンダ供給速度と導体の送り速度を調整して、第1絶縁層の層厚が100μmとなるように設定し、成形公差をプラスに設定した。そして、導体の外表面に形成されたPPS材料層の結晶化を促すために、PPS材料のガラス転移点(約90℃)を融点(280℃)の中間の温度まで冷却し、同様の温度に設定した電気炉内を通過させた後、冷却装置の水槽に通過させて冷却し、導体の外表面にPPSからなる第1絶縁層を形成した。
次に、導体の外表面に形成された第1絶縁層の外表面に大気圧プラズマ処理を施した。大気圧プラズマ装置に接続された一対のプラズマ照射ノズルは、第1絶縁層に被覆された導体を介して相対するように設置し、第1絶縁層の一方の面とその反対側の面が、直接、プラズマに暴露されるようにした。プラズマに用いるガスとして圧縮空気を用い、ノズル−導体間距離は10mm、導体の押出速度は2mm/秒とした。
次に、プラズマ処理工程を経た第1絶縁層に被覆された導体を押出機に導入し、押出機のホッパーにフェノキシ樹脂材料を投入して、プラズマ処理が施された第1絶縁層の外表面にフェノキシ樹脂材料層を形成した。このとき、このとき、押出機のシリンダ供給速度と導体の送り速度を調整して、第2絶縁層の層厚が50μm以下になるように設定し、成形公差をプラスに設定した。そして、導体を被覆する第1絶縁層の外表面に形成されたフェノキシ樹脂材料層を、冷却装置の水槽に通過させて冷却し、第1絶縁層の外表面にフェノキシ樹脂からなる第2絶縁層を形成して、実施例1の絶縁電線を得た。
実施例1の絶縁電線は、第1絶縁層の層厚が約110μmであり、第2絶縁層の層厚が約40μmであった。
次に、コイルの巻線加工を模擬した以下の手順によって、実施例1の絶縁電線の表面の耐傷性、第1絶縁層と第2絶縁層との接着性、並びに、ワニスに対する濡れ性及び固着性を検証した。具体的には、まず、絶縁電線のボビンから、補助用のSUS製の口金を通しながら絶縁電線を軽く引き出し、絶縁電線を伸張させて概ね平坦になるようにした。
ここで、絶縁電線の第2絶縁層には、口金を通るときの擦れによる線状の傷が確認されたが、第1絶縁層が露出することはなかった。また、絶縁電線を伸張させたときの第1絶縁層と第2絶縁層の接着性は良好であった。
また、絶縁電線の第2絶縁層の外表面をエチルアルコールで洗浄して油膜等を除去した後、θ/2法を用いた一般的な接触角計によって水接触角を測定した。絶縁電線の第2絶縁層の水接触角は、概ね60°であった。
その後、絶縁電線を40cmの長さに切断し、さらにオートグラフを用いて5%伸張させた後、10cmの長さに切断して、JIS C 2103:2013の付属書JCに規定された常温での固着力(ストラッカ法)を参考にして評価サンプル片を作製した。そして、JIS C 2103:2013に記載された電気絶縁用ワニス試験方法を参考にして絶縁電線のワニスに対する固着性を検証した。
図7は、絶縁電線1の評価サンプル片TSの斜視図である。この評価サンプル片TSを、ソマール社製の酸無水物硬化の二液型のエポキシ樹脂K8840に浸漬し、所定の硬化条件(160℃、1時間)で硬化させた。このとき、評価サンプル片TSは、エポキシ樹脂に対する濡れ性が良好で、絶縁電線1の隙間へのエポキシ樹脂の含浸は良好であった。
その後、評価サンプル片TSの絶縁電線1の両端を、オートグラフのクランプでつかみ、5mm/分の速度で引っ張り、絶縁電線1の接着が破壊される最大の引っ張り強度を測定したところ、最大の引っ張り強度は約1000Nであった。このとき、第1絶縁層が導体の外表面から剥離したが、第1絶縁層と第2絶縁層とは良好な接着状態を維持した。
次に、実施例1の絶縁電線の第1絶縁層と第2絶縁層との接着性を以下の手順によって評価した。具体的には、前述の評価サンプル片TSと同様に絶縁電線を伸長及び切断して評価サンプル片を作成した。ただし、図7に示す前述の評価サンプル片TSと異なり、ワイヤWの代わりに、カプトン(商標)粘着テープによって絶縁電線1がずれないように仮止めした。
作成した評価サンプル片を、図7に示す上下方向から加圧しながら、150℃の温度で15分間に亘って加熱し、評価サンプル片の絶縁電線を融着させた。その後、加圧を開放して冷却した評価サンプル片の両端の絶縁電線を、オートグラフのクランプでつかみ、5mm/分の速度で引っ張り、絶縁電線の接着が破壊される最大引張強度を測定した。
実施例1の絶縁電線の最大引張強度は、約990Nであった。評価サンプル片における絶縁電線同士の接触面積を導体の接触面積(1.52mm×3.19mm×100mm×2)として規格化して、第1絶縁層と第2絶縁層の剪断接着強度を得た。実施例1の絶縁電線の第1絶縁層と第2絶縁層の剪断接着強度は、1.0N/mmであった。
以下の表1に、実施例1の絶縁電線の第1絶縁層の材質、層厚、融点、及びプラズマ処理の有無、並びに、第2絶縁層の材質、層厚、融点、及びガラス転位温度Tg、並びに、水接触角度、最大引張強度、及び剪断接着強度を示す。
Figure 2017157491
[実施例2]
前述の実施例1の絶縁電線と同様に実施例2の絶縁電線を製造して実施例1の絶縁電線と同様の評価を行った。なお、実施例2の絶縁電線では、第1成形工程において第1絶縁層を2層形成した。導体の外表面に形成された第1絶縁層の第1層の材料は、95重量部のPPS(東レ社製トレリナT1881)と5重量部のPEI(ポリエステルイミド、SABIC社製ウルテムレジン1000)を用いた。第1層の外表面に形成された第1絶縁層の第2層の材料は、PPS(東レ社製トレリナT1881)を用いた。
表1に、実施例2の絶縁電線の第1絶縁層の材質、層厚、融点、及びプラズマ処理の有無、並びに、第2絶縁層の材質、層厚、融点、及びガラス転位温度Tg、並びに、水接触角度、最大引張強度、及び剪断接着強度を示す。実施例2の絶縁電線の水接触角は約60°であり、ワニスに対する濡れ性及び耐傷性が良好であった。また、最大引張強度は約1100N、剪断接着強度は1.0N/mmであり、ワニスに対する接着性、及び第1絶縁層と第2絶縁層の接着性も良好であった。
[実施例3]
前述の実施例1の絶縁電線と同様に実施例3の絶縁電線を製造して実施例1と同様の評価を行った。なお、実施例3の絶縁電線では、第2成形工程において第2絶縁層の材料としてポリアミド樹脂(ユニチカ社製ナイロン6のA1025SR)を用いた。
表1に、実施例3の絶縁電線の第1絶縁層の材質、層厚、融点、及びプラズマ処理の有無、並びに、第2絶縁層の材質、層厚、融点、及びガラス転位温度Tg、並びに、水接触角度、最大引張強度、及び剪断接着強度を示す。実施例3の絶縁電線の水接触角は約70°であり、ワニスに対する濡れ性及び耐傷性が良好であった。また、最大引張強度は約1000N、剪断接着強度は0.98N/mmであり、ワニスに対する接着性、及び第1絶縁層と第2絶縁層の接着性も良好であった。
[比較例1]
前述の実施例1の絶縁電線と同様に第1成形工程を行って層厚50μmの第1絶縁層を形成し、第2絶縁層を有しない比較例1の絶縁電線を製造して実施例1の絶縁電線と同様の評価を行った。
表1に、比較例1の絶縁電線の第1絶縁層の材質、層厚、融点、及びプラズマ処理の有無、並びに、水接触角、最大引張強度及び剪断接着強度を示す。比較例1の絶縁電線の水接触角は約85°であり、実施例1から実施例3の絶縁電線と比較してワニスに対する濡れ性が低下した。また、最大引張強度は約800Nであり、実施例1から実施例3の絶縁電線と比較してワニスに対する接着性が低下した。
[比較例2]
第1成形工程で第1絶縁層の層厚を50μmとし、プラズマ処理工程を省略した以外は、前述の実施例1の絶縁電線と同様に比較例2の絶縁電線を製造して実施例1と同様の評価を行った。
表1に、比較例2の絶縁電線の第1絶縁層の材質、層厚、融点、及びプラズマ処理の有無、並びに、第2絶縁層の材質、層厚、融点、及びガラス転位温度Tg、並びに、水接触角度、最大引張強度及び剪断接着強度を示す。比較例2の絶縁電線の水接触角は約60°であり、ワニスに対する濡れ性は良好であった。また、剪断接着強度は0.8N/mmであり、実施例1から実施例3の絶縁電線と比較して第1絶縁層と第2絶縁層の接着性が低下した。そのため、ボビンから絶縁電線を引き出すときや、その後の伸張において、第1絶縁層と第2絶縁層が剥離してしまい、絶縁電線として使用は困難であった。
[比較例3]
プラズマ処理を行った以外は比較例1の絶縁電線と同様に比較例3の絶縁電線を製造して実施例1の絶縁電線と同様の評価を行った。
表1に、比較例3の絶縁電線の第1絶縁層の材質、層厚、融点、及びプラズマ処理の有無、並びに、水接触角、最大引張強度及び剪断接着強度を示す。比較例3の絶縁電線の水接触角は約50°であったが、耐傷性が低下して傷が発生し、傷が発生した部分ではエポキシ樹脂が弾かれるなどしてワニスに対する濡れ性が低下した。最大引張強度は800N〜900Nであり、実施例1から実施例3の絶縁電線と比較してワニスに対する接着性が低下し、場所によって容易に剥離した。これにより、比較例3の絶縁電線では、ワニスに対する濡れ性の向上が達成できないことが確認された。
以上の結果から、本発明に係る実施例の絶縁電線及びその製造方法によれば、比較例の絶縁電線及びその製造方法と比較して、絶縁性及び耐熱性が高く、樹脂ワニスに対する濡れ性が良好な絶縁電線を提供することができることが確認された。
1 絶縁電線
10 導体
11 第1絶縁層
12 第2絶縁層
S1 第1成形工程
S2 第2成形工程
SP プラズマ処理工程

Claims (5)

  1. 導体と、該導体の外表面に形成された第1絶縁層と、該第1絶縁層の外表面に形成された第2絶縁層と、を備える絶縁電線であって、
    前記第1絶縁層は、ポリフェニレンサルファイド又はポリエーテルエーテルケトンからなる層厚が100μm以上の熱可塑性樹脂層であり、
    前記第2絶縁層は、ガラス転位温度が室温以上で融点が130℃以上かつ前記第1絶縁層を構成する熱可塑性樹脂の融点以下の熱可塑性樹脂層であり、
    室温における前記第1絶縁層と前記第2絶縁層の剪断接着強度が0.9N/mm以上であることを特徴とする絶縁電線。
  2. 前記第2絶縁層の外表面の水接触角は、75°以下であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁電線。
  3. 前記第2絶縁層は、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂からなる群から選択される一以上の熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の絶縁電線。
  4. 前記第2絶縁層は、無機フィラーを含むことを特徴とする請求項1に記載の絶縁電線。
  5. 導体と、該導体の外表面に形成された第1絶縁層と、該第1絶縁層の外表面に形成された第2絶縁層と、を備える絶縁電線の製造方法であって、
    前記導体の外表面にポリフェニレンサルファイド又はポリエーテルエーテルケトンからなる層厚が100μm以上の熱可塑性樹脂層である前記第1絶縁層を押出成形によって形成する第1成形工程と、
    前記第1絶縁層の外表面にガラス転位温度が室温以上で融点が130℃以上かつ前記第1絶縁層を構成する熱可塑性樹脂の融点以下の熱可塑性樹脂層である前記第2絶縁層を形成する第2成形工程と、
    前記第1成形工程の後、前記第2成形工程の前に、前記第1絶縁層の外表面にプラズマ処理を行って室温における前記第1絶縁層と前記第2絶縁層の剪断接着強度を0.9N/mm以上にするプラズマ処理工程と、を有することを特徴とする絶縁電線の製造方法。
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