JP2019169385A - 自己融着絶縁電線及びコイル - Google Patents

自己融着絶縁電線及びコイル Download PDF

Info

Publication number
JP2019169385A
JP2019169385A JP2018057015A JP2018057015A JP2019169385A JP 2019169385 A JP2019169385 A JP 2019169385A JP 2018057015 A JP2018057015 A JP 2018057015A JP 2018057015 A JP2018057015 A JP 2018057015A JP 2019169385 A JP2019169385 A JP 2019169385A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
self
layer
fusion
coil
insulation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018057015A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7166769B2 (ja
Inventor
鈴香 中野
Suzuka Nakano
鈴香 中野
皆瀬 十三夫
Tomio Minase
十三夫 皆瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Totoku Electric Co Ltd
Original Assignee
Totoku Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Totoku Electric Co Ltd filed Critical Totoku Electric Co Ltd
Priority to JP2018057015A priority Critical patent/JP7166769B2/ja
Publication of JP2019169385A publication Critical patent/JP2019169385A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7166769B2 publication Critical patent/JP7166769B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】主に車載用DC−DCコンバータに載せるコイル等に使用され、絶縁層にピンホールや亀裂等が発生し難く、コイル巻線後においても絶縁耐圧性能を維持できる、自己融着性能を備えたコイル巻線用の絶縁電線及びコイルを提供する。【解決手段】中心導体1と、中心導体1の外周に、片面に融着層2bを有する絶縁樹脂テープ2がラップ巻きされてなる絶縁層2aとを有し、融着層2bが最外層となるように設けられているようにして上記課題を解決した。この融着層2bは、熱可塑性樹脂組成物又は熱可塑性樹脂を主体とした樹脂組成物からなる融着塗料を塗布形成してなるものであり、一定の温度において熱可塑性を保って前記絶縁樹脂テープ同士を仮接着し、特定の温度以上で架橋反応が起こって自己融着絶縁電線同士を接着する。【選択図】図1

Description

本発明は、自己融着絶縁電線及びコイルに関し、さらに詳しくは、主に車載用DC−DCコンバータに載せるコイル等に使用され、絶縁層にピンホールや亀裂等が発生し難く、コイル巻線後においても絶縁耐圧性能を維持できる、自己融着性能を備えたコイル巻線用の絶縁電線、及びその自己融着絶縁電線で製造したコイルに関する。
コイル巻線用の絶縁電線として、自己融着性能を備えた絶縁電線(以下「自己融着絶縁電線」という。)が種々提案されている。自己融着絶縁電線は、一般的に、導体上に絶縁層と融着層が順に設けられているものであり、その製造方法としては、例えば下記特許文献1〜3に示す方法が挙げられる。
特許文献1には、導体である芯線上に絶縁材料を塗布・焼付し、その上に自己融着層形成用塗料を塗布・焼付けて融着層を設けた自己融着絶縁電線が提案されている。特許文献2には、導体線上に、絶縁層が押出被覆により形成され、該絶縁層上に融着層が押出被覆により形成されてなるコイル線が提案されている。特許文献3には、絶縁層が被覆された導体の素線又は集合線からなる芯材の外周に、融点の高い樹脂で構成された絶縁層が押出し成形により設けられ、さらにその外周に融点の低い樹脂で構成された溶着層がテープ巻き又は押出し成形により設けられている。
特開2007−18838号公報 特開2012−109061号公報 特開2010−135157号公報
特許文献1のように、焼付けで設けられた絶縁層はピンホールが発生し易く、そうした絶縁層を備えた自己融着絶縁電線は、コイル巻線した後にクレージング等による絶縁耐圧性能が劣化するおそれがある。また、特許文献2のように、絶縁層上に押出し成形で融着層を形成するには、その下の絶縁層の強度が必要であり、少なくとも50μm以上の厚さが必要となって仕上がり線径が太くなり、巻線したコイルが大型化してしまう。そのため、誘導加熱用のコイル線のような線径の太いもの(2.5mm程度)には使えるが、小型コイルや細径が要求されるものには不向きである。また、特許文献3のように、押出し成形した絶縁層上にテープ状の融着層を設ける場合は、コイルとした後の融着力を高めるために、絶縁層と融着層との密着力を高めるための工夫が必要であり、製造コストが嵩むという難点がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、主に車載用DC−DCコンバータに載せるコイル等に使用され、絶縁層にピンホールや亀裂等が発生し難く、コイル巻線後においても絶縁耐圧性能を維持できる、自己融着性能を備えたコイル巻線用の自己融着絶縁電線、及びその自己融着絶縁電線で製造したコイルを提供することにある。
本発明に係る自己融着絶縁電線は、中心導体と、前記中心導体の外周に、片面に融着層を有する絶縁樹脂テープがラップ巻きされてなる絶縁層と、を有し、前記融着層は、最外層となるように設けられていることを特徴とする。
この発明によれば、絶縁層が絶縁樹脂テープで構成されているので、従来の焼き付け被膜と比べてピンホールや亀裂等の発生がない又は著しく少なく、コイル巻線後の耐電圧性能を向上することができ、その後も維持することができる。また、押出し成形された絶縁層に比べて絶縁層の厚さを薄くすることができ、細径化やコイルの小型化に寄与できる。また、融着層が最外層となるように設けられているので、絶縁樹脂テープ同士はその融着層により接着され、ばらけない。また、絶縁樹脂テープの片面に設けられた融着層は中心導体側に位置していないので、中心導体側に位置する絶縁層が中心導体に接着せず、端末処理時に絶縁層を機械剥離し易い。
本発明に係る自己融着絶縁電線において、前記融着層は、熱可塑性樹脂組成物又は熱可塑性樹脂を主体とした樹脂組成物からなる融着塗料を塗布形成してなるものであり、一定の温度において熱可塑性を保って前記絶縁樹脂テープ同士を仮接着することができ、特定の温度以上で架橋反応が起こって自己融着絶縁電線同士を接着することができる。
この発明によれば、一定の温度にすることにより絶縁樹脂テープ同士を仮接着して自己融着絶縁電線として形状を保つことができるとともに、コイル巻線後に特定の温度以上にすることにより架橋反応が起こって自己融着絶縁電線同士を接着することができ、巻線後のコイル形状を維持することができる。なお、コイル巻線時には電線の絶縁層に負荷がかかって絶縁層にピンホールや亀裂等が発生し易くなるが、この発明によれば、特定の温度以上にして架橋反応を起こして融着する過程で融着層が一旦柔らかくなるので、絶縁樹脂テープ同士の接着が緩くなり、絶縁層にかかる負荷が緩和される。その結果、巻線時の絶縁層のピンホールや亀裂等が発生し難くなる。
本発明に係る自己融着絶縁電線において、前記絶縁樹脂テープが、1/2以上のラップ巻きがされている。
この発明によれば、絶縁樹脂テープが1/2以上のラップ巻きがされるので、絶縁層を厚くすることもでき、耐電圧等の性能を向上することができる。
本発明に係るコイルは、上記本発明に係る自己融着絶縁電線を用いたコイルであって、自己融着絶縁電線同士が融着層によって接着されており、前記自己融着絶縁電線を構成する中心導体と絶縁層とが接着していない易端末処理構造を有する。
本発明によれば、絶縁層にピンホールや亀裂等が発生し難く、コイル巻線後においても絶縁耐圧性能を維持できる、自己融着性能を備えたコイル巻線用の絶縁電線を提供することができる。こうした絶縁電線は、主に車載用DC−DCコンバータに載せるコイル等に好ましく使用することができる。
本発明に係る自己融着絶縁電線の一例を示す模式的な断面図である。 図1に示す自己融着絶縁電線の平面図である。
以下、本発明に係る自己融着絶縁電線及びコイルについて図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は図示の実施形態に限定されるものではない。
[自己融着絶縁電線]
本発明に係る自己融着絶縁電線10は、図1及び図2に示すように、自己融着性能を備えた絶縁電線であり、中心導体1と、中心導体1の外周に、片面に融着層2bを有する絶縁樹脂テープ2がラップ巻きされてなる絶縁層2aとを有している。この場合において、融着層2bは、最外層となるように設けられている。
こうした自己融着絶縁電線10は、絶縁層2aが絶縁樹脂テープ2で構成されているので、従来の焼き付け被膜と比べてピンホールや亀裂等の発生がない又は著しく少なく、コイル巻線後の耐電圧性能を向上することができ、その後も維持することができる。また、押出し成形された絶縁層に比べて絶縁層の厚さを薄くすることができ、細径化やコイルの小型化に寄与できる。また、融着層2bが最外層となるように設けられているので、絶縁樹脂テープ同士2,2はその融着層2bにより接着され、ばらけない。また、絶縁樹脂テープ2の片面に設けられた融着層2bは中心導体側に位置していないので、中心導体側に位置する絶縁層2aが中心導体1に接着せず、端末処理時に絶縁層2aを機械剥離し易い。この絶縁電線10は、回転電機の巻線に好適であり、捲回されることによって電線間が密接した状態となる高密度環境で使用され得る。
自己融着絶縁電線の構成要素を詳しく説明する。
(中心導体)
中心導体1は、導電材料であればよいが、はんだ付け可能な導電性の導体であることが好ましい。例えば、銅又は銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金、銅クラッドアルミニウム等の複合材料、又は、それらにはんだ付け性の良い他の金属がめっきされたものであってもよい。
銅線としては、タフピッチ銅、無酸素銅及び脱酸銅のいずれを材質としたものでもよく、軟銅線及び硬銅線のいずれでもよい。アルミニウム線としては、硬アルミニウム線、半硬アルミニウム線等のいずれでもよい。また、合金線としては、銅−錫合金、銅−銀合金、銅−亜鉛合金、銅−クロム合金、銅−ジルコニウム合金、アルミニウム−銅合金、アルミニウム−銀合金、アルミニウム−亜鉛合金、アルミニウム−鉄合金、イ号アルミニウム合金(Aldrey Aluminium)等を挙げることができる。なお、導体自体がはんだ付けできない場合には、はんだ付け性の良い金属をめっき等によって設けることが好ましい。はんだ付け性の良い金属としては、錫、はんだ、ニッケル、金、銀、銅、パラジウム、アルミニウム又はそれらの1種若しくは2種以上の合金を挙げることができる。
中心導体1の線径は特に限定されず、用いるコイルの用途に応じた線径であればよい。例えば断面が円形の丸線の場合には、0.1〜2.0mmの範囲内であればよい。また、中心導体1の形状も特に限定されないが、断面が円形状の丸線及び断面が矩形状の平角線のいずれでもよい。また、一本の芯線で形成される単線及び複数本の芯線が撚り合わされて形成される撚り線(集合撚りや同心撚り等)のいずれでもよい。
(絶縁層)
絶縁層2aは、図1に示すように、中心導体1の外周に設けられている。好ましくは、他の層を介さないで直接設けられている。こうした絶縁層2aは、片面に融着層2bが形成された絶縁樹脂テープ2を中心導体1の外周にラップ巻きすることで設けられている。絶縁樹脂テープ2をラップ巻きして一部重ね合わせる際には、片面に設けられた融着層2bが中心導体1の反対側になるようにし、融着層2bが外側(すなわち最外層)となるように設けている。その結果、中心導体の外周に他の層を介さないで直接設けられた絶縁層2aは、中心導体1に接着せず、端末処理時に絶縁層を機械剥離し易い。
絶縁層2aの材質は、一般的なコイル用絶縁電線に適用されている樹脂であればよく、特に限定されない。本発明では、絶縁樹脂テープ2を巻いて絶縁層2aを構成することから、絶縁層2aは絶縁樹脂テープ2の基材材質として利用されている樹脂であることが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、フッ素化樹脂共重合体(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂:PFA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、等を挙げることができる。これらの中から、耐熱性や耐薬品性等の所望の特性に合わせて任意に選択すればよい。また、これらの樹脂は通常は単層であるが、目的に応じて2層以上としてもよい。
絶縁層2aの厚さは、適用されるコイル用の絶縁電線として必要な絶縁耐圧を確保できるだけの厚さであれば特に限定されないが、一例としては、4〜15μmの範囲内を挙げることができる。
(融着層)
融着層2bは、図1及び図2に示すように、絶縁層2a上に設けられている。そして、自己融着絶縁電線10においては、最外層として設けられている。こうした融着層2bは、片面に融着層2bが形成された絶縁樹脂テープ2を中心導体1の外周にラップ巻きすることで設けられ、絶縁樹脂テープ2の中心導体側とは反対側の面に最外層として位置している。自己融着絶縁電線10の外周側に融着層2bが配置されていることにより、絶縁電線10の製造時にはラップ巻きされた絶縁樹脂テープ2を仮接着するように作用できるとともに、コイル製造時には絶縁電線同士を接着するように作用する。
融着層2bの材質は、熱可塑性樹脂組成物又は熱可塑性樹脂を主体とした樹脂組成物であり、一定の温度において熱可塑性を保って絶縁樹脂テープ同士2,2を仮接着することができ、特定の温度以上で架橋反応が起こって自己融着絶縁電線同士10,10を接着することができる性質を有するものであることが好ましい。こうした性質を有することにより、絶縁樹脂テープ同士2,2を仮接着して自己融着絶縁電線10として形状を保つことができるとともに、コイル巻線後に特定の温度以上にすることにより架橋反応が起こって自己融着絶縁電線同士10,10を接着することができ、巻線後のコイル形状を維持することができる。なお、コイル巻線時には自己融着絶縁電線10の絶縁層2aに負荷がかかって絶縁層2aにピンホールや亀裂等が発生し易くなるが、この発明によれば、特定の温度以上にして架橋反応を起こして融着する過程で融着層2bが一旦柔らかくなるので、絶縁樹脂テープ同士2,2の仮接着状態が緩くなり、絶縁層2aにかかる負荷が緩和されるので、巻線時の絶縁層2aのピンホールや亀裂等が発生し難くなる。
上記性質を有する融着層2bの材質としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルイミド樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらのうち、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。融着層2bを形成する融着層形成用樹脂組成物には、架橋剤や溶剤が含まれる。また、必要に応じて各種の添加剤が含まれる。それらの架橋剤、溶剤及び添加剤は特に限定されず、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルイミド樹脂等の種類とその要求特性(上記性質)に応じた各種の架橋剤、溶剤及び添加剤が必要に応じて用いられる。なお、通常は、熱硬化性樹脂、架橋剤及び溶剤等を含む市販の熱硬化性樹脂層用塗料を入手し、その熱硬化性樹脂層用塗料で形成した融着層2bが、上記性質を有するか否かで本発明を構成する融着層2bに適した組成物であるか否かを判断し、その性質を有する融着層2bを得ることができる熱硬化性樹脂層用塗料を採用する。
上記性質のうち、「一定の温度において熱可塑性を保って絶縁樹脂テープ同士を仮接着する」及び「特定の温度以上で架橋反応が起こって自己融着絶縁電線同士を接着する」について、融着層形成用樹脂組成物としてポリエステル系熱硬化型樹脂を用いた場合には、例えば、80〜130℃程度でやや硬化して仮接着でき、160〜200℃程度で硬化して自己融着絶縁電線同士を固定できる。また、他の熱硬化性樹脂として、「一定の温度」が50〜70℃程度で、「特定の温度」が90〜150℃程度のもの(例えば、エポキシ系熱硬化性樹脂、TOMOEGAWA製、エレファンCS)がある。こうした性質は、熱硬化性樹脂の種類や架橋剤の種類によって任意に樹脂設計することができる。
なお、そうした性質については、熱天秤を用いて測定した加熱減量曲線でおおよそ評価することができる。例えば、樹脂の硬化挙動は加熱重量減率を硬化度としてみることによって解析することができる。こうした評価により、「一定の温度」と「特定の温度」を任意に設計することができ、その温度差が例えば80℃〜120℃の大きいものとしたり、0℃〜50℃程度の小さいものとしたりすることができる。
融着層2bは、絶縁樹脂テープ2上に融着層形成用樹脂組成物を塗布して均等に形成される。融着層2bの厚さは特に限定されないが、あまり厚くなると自己融着絶縁電線10の外径が増してしまうので、例えば、1〜10μmの範囲内であることが好ましい。
(絶縁樹脂テープ及びテープ巻き)
絶縁樹脂テープ2の厚さは、上記した絶縁層2aと融着層2bとの合計厚さとなり、特に限定されないが、通常、4〜15μmの範囲内であることが好ましい。また、絶縁樹脂テープ2の幅も特に限定されないが、ラップ巻きを考慮し、中心導体1の直径の2〜12倍の幅であることが好ましく、通常、0.2〜24mm以下の範囲であることが好ましい。
絶縁樹脂テープ2のテープ巻きは、図2に示すように、樹脂テープの一部を重なり合わせたラップ巻きで中心導体1の外周に巻くことが望ましい。こうしたラップ巻きとすることにより、絶縁樹脂テープ2上の融着層2bが積層して、絶縁樹脂テープ同士を仮接着させることができる。
ラップ巻きについては、絶縁樹脂テープ2が一部重ね合わされるように、1/2以上のラップ巻きとすることが好ましい。こうすることで、絶縁層2aを厚くすることもでき、耐電圧等の性能を向上することができる。なお、ラップ巻きの上限は、細径化の観点から、2/3とすることができる。
(自己融着絶縁電線)
こうして構成された自己融着絶縁電線10は、その直径が0.1〜2.2mm程度の範囲内とすることが好ましく、主に車載用DC−DCコンバータに載せるコイル等のように、高い絶縁耐圧が要求されるコイルに好ましく使用することができる。
[コイル]
本発明に係るコイルは、上記した本発明に係る自己融着絶縁電線10を用いたコイルであって、自己融着絶縁電線同士10,10が融着層2bによって接着されており、自己融着絶縁電線10を構成する中心導体1と絶縁層2aとが接着していない易端末処理構造を有することに特徴がある。コイルとしては、主に車載用DC−DCコンバータに載せるコイル等のように、高い絶縁耐圧が要求されるコイルを挙げることができる。
コイル巻線やフォーミングを行うと、巻き線した自己融着絶縁電線10に負荷がかかって絶縁層2aにピンホールや亀裂等が発生し易くなるが、この発明によれば、特定の温度以上にして架橋反応を起こして融着する過程で融着層2bが一旦柔らかくなるので、絶縁樹脂テープ同士2,2の仮接着状態が緩くなり、絶縁層2aにかかる負荷が緩和されるので、巻線時の絶縁層2aのピンホールや亀裂等が発生し難くなる。このため、絶縁性能が低下しない。また、絶縁樹脂テープ2の片面に設けられた融着層2bは中心導体側に位置していないので、中心導体側に位置する絶縁層2aが中心導体1に接着せず、端末処理時に絶縁層2aを機械剥離し易い。この絶縁電線10は、回転電機の巻線に好適であり、捲回されることによって電線間が密接した状態となる高密度環境で使用され得る。
以下、実施例により本発明をさらに詳しくて説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
[実施例1]
中心導体1として、直径1.00mmの軟銅線を準備した。絶縁樹脂テープ2として、片面にポリエステル系熱硬化型樹脂で塗布形成した厚さ10μmの融着層2bを有するポリエチレンナフタレートテープ(厚さ9μm)を準備した。融着層2bが外側(中心導体1の反対側)になるようにして、絶縁樹脂テープ2の一部を1/2ラップ巻きで中心導体1の外周に巻付けて、実施例1の自己融着絶縁電線を得た。得られた自己融着絶縁電線10の外径は1.07mmであった。なお、1/2ラップ巻きでは、絶縁樹脂テープ2の重なり枚数は2重になっている。
次に、その自己融着絶縁電線10を180℃の加熱炉中に20秒間走行させて加熱した。ここでの加熱により、絶縁樹脂テープが有する融着層2bは、加熱によって熱融解して絶縁樹脂テープ同士を仮接着する。この段階では冷却されて固化し始めて仮接着状態になっているが完全には接着固化していない。
[実施例2]
2/3ラップ巻きで中心導体1の外周に巻付けた他は、実施例1と同様にして実施例2の自己融着絶縁電線10を作製した。得られた自己融着絶縁電線10の外径は1.11mmであった。なお、2/3ラップ巻きでは、絶縁樹脂テープ2の重なり枚数は3重になっている。
[比較例1]
絶縁樹脂テープは使用せず、中心導体1上にアミドイミド樹脂を焼き付け形成して厚さ30μmの絶縁層を形成し、その後、ポリエステル系熱硬化型樹脂を塗布形成して厚さ11.5μmの融着層を形成し、外径1.09mmの自己融着絶縁電線を作製した。こうして比較例1の自己融着絶縁電線を得た。
[コイル作製]
実施例1,2及び比較例1で得られた自己融着絶縁電線を用いてコイルを作製した。コイルは、フォーミングマシンにより、空芯の螺旋状一層巻き形状のヘリカルコイルを形成した。その際、熱風融着方式で、加熱硬化処理(180℃、5分)を行った。また、熱プレス融着方式でも、熱プレス硬化処理(180℃、5分)を行った。
[融着強度試験]
実施例1の自己融着絶縁電線を用いて10dヘリカルコイル(導体の約10倍径)を作製して、80〜200℃で5分無荷重にて熱処理を行った。比較対照として、比較例1の自己融着絶縁電線を用いて同様のヘリカルコイルを作製し、200℃で10分熱処理を行った。これらのコイルを用いて、オートグラフ(株式会社島津製作所製、AG−1)にて融着強度を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2019169385
表1に結果より、160〜200℃で融着させた実施例1の自己融着絶縁電線で作製したコイルは、ほぼ一定の融着強度を示し、比較例1の自己融着絶縁電線で作製したコイルと大差がなかった。実施例1の自己融着絶縁電線で作製したコイルについて、180℃で融着させたコイルが最も高い融着強度を示した。一方、80℃で融着させたコイルは簡単に自己融着絶縁電線同士が離れてしまう程、融着強度が低かった。
[線間耐圧試験]
上記した加熱硬化処理(180℃、5分)を行う前(加熱前)のものと、行った後(加熱後)のものについて、線間耐圧試験を行った。線間耐圧試験は、実施例1,2及び比較例1で得た自己融着絶縁電線について、その両端の被膜(絶縁層2a及び融着層2b)を除去した長さ約700mmの直線状の試験片を用い、これを2個撚りした。500V/sの昇圧速度で試験電圧を導体間に印加し、絶縁破壊電圧を測定して行った。測定は、JIS C 3216(巻線試験方法)に基づいて、耐圧試験機(菊水電子工業株式会社製)で測定した。その結果を表2に示す。表2に示すように、重なり枚数が2重の実施例1よりも3重の実施例2の方が絶縁破壊電圧は高かった。また、アミドイミド樹脂からなる絶縁層を有する比較例1の自己融着絶縁電線の絶縁破壊電圧も高かった。
表2には、絶縁耐圧試験結果とともに、融着強度試験結果、ピンホール試験(試料長:1m)によるピンホールの発生の有無、クレージングの発生の有無、加水分解性についても併せて示した。このうち、融着強度試験は、上記のように測定した結果であり、ピンホール試験結果は、JIS C 3216−5に準拠して測定した結果であり、クレージングの発生確認は、5%伸長させた後、JIS C 3216−5に準拠して測定した結果であり、加水分解性は、密閉容器に試験片と水とを共存させ、加熱(恒温槽100℃、24時間)した後の絶縁破壊電圧の残率(加熱前と加熱後の絶縁破壊電圧の差)により評価した結果である。なお、加水分解性での「○」は残率が90%を超える場合であり、「×」は残率が90%以下の場合であり、「○」が良好であることを意味している。
Figure 2019169385
[評価]
表2に示すように、比較例1の自己融着絶縁電線はピンホール及びクレージングの発生する可能性が高い。一方、実施例1,2の自己融着絶縁電線では、いずれも良好な結果が得られたことから、本発明に係る自己融着絶縁電線10は、絶縁層にピンホールや亀裂等が発生し難く、コイル巻線後においても絶縁耐圧性能を維持できていることが確認できた。
1 中心導体
2a 絶縁層
2b 融着層
2 絶縁樹脂テープ
10 自己融着絶縁電線

Claims (4)

  1. 中心導体と、前記中心導体の外周に、片面に融着層を有する絶縁樹脂テープがラップ巻きされてなる絶縁層と、を有し、前記融着層は、最外層となるように設けられている、ことを特徴とする自己融着絶縁電線。
  2. 前記融着層は、熱可塑性樹脂組成物又は熱可塑性樹脂を主体とした樹脂組成物からなる融着塗料を塗布形成してなるものであり、一定の温度において熱可塑性を保って前記絶縁樹脂テープ同士を仮接着し、特定の温度以上で架橋反応が起こって自己融着絶縁電線同士を接着する、請求項1に記載の自己融着絶縁電線。
  3. 前記絶縁樹脂テープが、1/2以上のラップ巻きがされている、請求項1又は2に記載の自己融着絶縁電線。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の自己融着絶縁電線を用いたコイルであって、自己融着絶縁電線同士が融着層によって接着されており、前記自己融着絶縁電線を構成する中心導体と絶縁層とが接着していない易端末処理構造を有する、ことを特徴とするコイル。
JP2018057015A 2018-03-23 2018-03-23 自己融着絶縁電線、その製造方法及びコイル Active JP7166769B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018057015A JP7166769B2 (ja) 2018-03-23 2018-03-23 自己融着絶縁電線、その製造方法及びコイル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018057015A JP7166769B2 (ja) 2018-03-23 2018-03-23 自己融着絶縁電線、その製造方法及びコイル

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019169385A true JP2019169385A (ja) 2019-10-03
JP7166769B2 JP7166769B2 (ja) 2022-11-08

Family

ID=68107563

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018057015A Active JP7166769B2 (ja) 2018-03-23 2018-03-23 自己融着絶縁電線、その製造方法及びコイル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7166769B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07235221A (ja) * 1994-02-22 1995-09-05 Hitachi Cable Ltd 転位電線
WO2015121999A1 (ja) * 2014-02-17 2015-08-20 株式会社日立製作所 絶縁電線、回転電機及び絶縁電線の製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07235221A (ja) * 1994-02-22 1995-09-05 Hitachi Cable Ltd 転位電線
WO2015121999A1 (ja) * 2014-02-17 2015-08-20 株式会社日立製作所 絶縁電線、回転電機及び絶縁電線の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7166769B2 (ja) 2022-11-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI550648B (zh) Insulated wires and manufacturing methods using such coils and insulated wires
JP4762474B2 (ja) 多層絶縁電線及びそれを用いた変圧器
JPWO2015033821A1 (ja) 平角電線およびその製造方法並びに電気機器
EP1545159B1 (en) Induction heating coil
JP2014154511A (ja) 絶縁電線およびその製造方法
JP2001508588A (ja) 絶縁電気導体
JP6355304B2 (ja) はんだ付け可能な絶縁電線及びその製造方法
JP2014103045A (ja) 絶縁電線及びその製造方法
JP6846882B2 (ja) 扁平絶縁電線及びその製造方法
JP7166769B2 (ja) 自己融着絶縁電線、その製造方法及びコイル
JP2017054754A (ja) 絶縁電線およびその製造方法
US4274895A (en) Method of manufacturing a flexible electric cable which has a tinned stranded conductor on which an insulation is applied at a high temperature
JP2008066024A (ja) 極細同軸ケーブル
WO2022074900A1 (ja) 融着性絶縁電線及び自己融着コイル
JP2015138626A (ja) 絶縁電線とその製造方法、及び電気機器のコイルとその製造方法
JP2008004275A (ja) 2芯平行同軸ケーブル
JP2006210203A (ja) 同軸ケーブル及びその製造方法
JP5256008B2 (ja) 誘導加熱調理器
JP2017157491A (ja) 絶縁電線及びその製造方法
WO2021210668A1 (ja) 耐熱絶縁電線
JP3040034U (ja) 細径同軸ケーブル
JP7123578B2 (ja) 高周波コイル用絶縁電線
JPH06290649A (ja) 耐熱電線
WO2023210058A1 (ja) 絶縁電線及びそれを用いたコイル並びに絶縁電線の製造方法
JP4824905B2 (ja) 最外層テープギャップ巻き電線

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210216

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211025

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211109

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20220111

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220308

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220726

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220914

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221025

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221026

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7166769

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350