JP6107094B2 - 着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機el表示装置 - Google Patents

着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機el表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機EL表示装置に存する。
近年、カラーフィルタは、液晶表示素子(LCD)用途においてモニターのみならずテレビへと用途が拡大する傾向にある。この用途拡大及び省エネルギー化の時代の流れに伴い、カラーフィルタには、色度、コントラストなどにおいて高度の色特性が要求されている。また、イメージセンサ(固体撮像素子)用途のカラーフィルタにおいても、同様に色むらの低減、色分解能の向上など色特性の高いものが求められるようになっており、また、高精細化も望まれている。
上述のように、近年、カラーフィルタの高色再現性要求が高まる中、着色樹脂組成物は高顔料濃度の傾向にある。しかしながら、高顔料濃度とした着色樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィー法により着色パターンを形成する場合、顔料が紫外線の透過を妨げたり吸収したりするために露光不足が著しく、露光の際に充分な深部硬化性が得られない傾向がある。その結果、現像工程においてアンダーカットが生じ易く、断面形状が逆テーパー状である着色パターンとなり、ITOなどの導電性膜を形成する際に、断線などの問題が生じる。
この問題を解決する為に、例えば特許文献1では、特定の重合性化合物を含有する着色樹脂組成物を用いることについて開示されている。
しかしながら、特許文献1では、現像液に対する溶解時間が長くなってしまい、溶解時間が長くなることにより製造上の歩留まりが低下し易いとの問題があった。
一方、溶解時間を短くするために、例えば、特許文献2では、3級アミン構造を有する光重合開始剤と、1つ以上の酸性官能基と3つ以上の光硬化性官能基を有する光硬化性化合物とを用いることについて開示されている。
特開2009−288313号公報 特開2004−287230号公報
しかしながら、特許文献2に記載の着色樹脂組成物では、今度は逆に、テーパー形状による断線などの問題が生じてしまう場合があることを見出した。
つまり、上記の様な従来技術では、高顔料濃度である着色樹脂組成物において、テーパー形状による断線抑制、つまり、断面形状を順テーパーとすることと、現像液に対する溶解性を向上させることは、トレードオフの関係であり、両立が困難であった。
そこで本発明は、トレードオフの関係にあり、従来両立が困難であった、得られる画素の断面形状が順テーパーであり、且つ現像液に対する溶解性が高い着色樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明はまた、上記着色樹脂組成物を用いて形成される画素を有するカラーフィルタ、並びに高品質の液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供することを課題とする。
本発明者等は、鋭意検討を行った結果、(C)バインダー樹脂が特定の不飽和基含有樹脂を含み、且つ(D)重合性モノマーが酸基含有モノマーを含む着色樹脂組成物であれば、上記課題を解決しうることを見出して、本発明に到達した。
即ち、本発明は、以下の構成を有する。
(1)(A)顔料、(B)溶剤、(C)バインダー樹脂及び(D)重合性モノマーを含有し、該(C)バインダー樹脂が、少なくとも下記(C−1)及び(C−3)を共重合させて得られる共重合体に、(C−4)及び(C−5)を付加させて得られる不飽和基含有樹脂(以下、「特定不飽和基含有樹脂」と称する場合がある)を含み、且つ(D)重合性モノマーが酸基含有モノマーを含むことを特徴とする着色樹脂組成物。
(C−1);一分子中に不飽和結合とエポキシ基とを有する化合物
(C−3);前記の(C−1)と共重合可能な不飽和結合を有する化合物
(C−4);不飽和カルボン酸
(C−5);多塩基酸無水物
(2)前記共重合体が、(C−1)、(C−3)及び下記(C−2)を共重合させて得られる共重合体であることを特徴とする、前記(1)に記載の着色樹脂組成物。
(C−2);一分子中にトリシクロデカン骨格およびジシクロペンタジエン骨格からなる群から選ばれる少なくとも1種の骨格と、不飽和結合とを有する化合物。
(3)前記酸基含有モノマーの酸価が10mg−KOH/g以上、150mg−KOH/g以下であることを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載の着色樹脂組成物。
(4)(C−4)不飽和カルボン酸が、メタアクリル酸であることを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
(5)着色樹脂組成物中の重合体固形分の含有量Pと着色樹脂組成物中のモノマー固形分の含有量Mとの比、P/M比が、0.5以上、4.5以下であることを特徴とする、前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
(6)前記(A)顔料を、全固形分中28重量%以上、45重量%以下で含むことを特徴とする、前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
(7)前記(A)顔料が、臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を含むことを特徴とする、前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
(8)更に、(E)光重合開始成分及び熱重合開始成分のうち少なくとも1つを含有することを特徴とする、前記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
(9)前記(1)〜(8)のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有することを特徴とする、カラーフィルタ。
(10)前記(9)に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする、液晶表示装置。(11)前記(9)に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする、有機EL表示装置。
本発明の着色樹脂組成物を用いて形成された画素は、断面形状が順テーパーであり、ITOなどの導電性膜を形成した際に、断線などの問題が生じ難く、且つ現像液に対する溶解時間が短いため、溶解時間による製造上の歩留まりが低下し易い。
つまり、本発明の着色樹脂組成物は、従来トレードオフの関係にあった、得られる画素の断面形状が順テーパーであることと、現像液に対する溶解性が高いこととを両立しうるものである。
また、本発明の着色樹脂組成物を用いて形成された画素を含むカラーフィルタ、並びに該カラーフィルタを含む液晶表示装置及び有機EL表示装置は高品質である。
本発明のカラーフィルタを有する有機EL素子の一例を示す断面概略図である。 現像後の画素における断面形状の代表的な顕微鏡写真である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の記載は本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
なお、本発明において「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味するものとする。
また「全固形分」とは、後記する溶剤成分以外の本発明の着色樹脂組成物の全成分を意味するものとする。
本発明における「色材」とは、「染料」と「顔料」の双方を意味するものとする
更に、「芳香族環」とは、「芳香族炭化水素環」及び「芳香族複素環」の双方を意味するものとする。
又、「C.I.ピグメントグリーン」等の用語は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
<着色樹脂組成物>
本発明の着色樹脂組成物は、(A)顔料、(B)溶剤、(C)バインダー樹脂及び(D)重合性モノマーを含有し、該(C)バインダー樹脂が特定不飽和基含有樹脂を含み、且つ(D)重合性モノマーが、酸基含有モノマーを含む。また、必要に応じて、(E)光重合開始成分及び/又は熱重合開始成分、及びその他の任意成分を含有する。
まず、(C)バインダー樹脂について詳説する。
[(C)バインダー樹脂]
本発明の着色樹脂組成物は、(C)バインダー樹脂が、少なくとも下記(C−1)及び(C−3)を共重合させて得られる共重合体に、(C−4)及び(C−5)を付加させて得られる不飽和基含有樹脂を含む。
(C−1);一分子中に不飽和結合とエポキシ基とを有する化合物
(C−3);前記の(C−1)と共重合可能な不飽和結合を有する化合物
(C−4);不飽和カルボン酸
(C−5);多塩基酸無水物
前記(C−1)一分子中に不飽和結合とエポキシ基を有する化合物としては、具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。好ましくは、グリシジル(メタ)アクリレートである。これらはそれぞれ単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。
前記の(C−1)と共重合可能な不飽和結合を有する化合物(C−3)としては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよびアミノエチル(メタ)アクリレートのような不飽和カルボン酸の無置換または置換アルキルエステル;
シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、シクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキセニル(メタ)アクリレート、シクロヘプテニル(メタ)アク
リレート、シクロオクテニル(メタ)アクリレート、メンタジエニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ピナニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルネニル(メタ)アクリレート、ピネニル(メタ)アクリレートのような不飽和カルボン酸の脂環式基を含むエステル化合物;
オリゴエチレングリコールモノアルキル(メタ)アクリレートのようなグリコール類のモノ飽和カルボン酸エステル化合物;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレートのような不飽和カルボン酸の芳香環を含むエステル化合物;
スチレン、α−メチルスチレンおよびビニルトルエンのような芳香族ビニル化合物;
酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルのようなカルボン酸ビニルエステル;
(メタ)アクリロニトリルおよびα−クロロアクリロニトリルのようなシアン化ビニル化合物;
N−フェニルマレイミドのようなマレイミド化合物などが挙げられる。
これらは、それぞれ単独で、または両者を組み合わせて用いることができる。
尚、本発明における共重合体(少なくとも(C−1)及び(C−3)を共重合させて得られる共重合体)は、(C−1)、(C−3)及び(C−2):一分子中にトリシクロデカン骨格およびジシクロペンタジエン骨格からなる群から選ばれる少なくとも1種の骨格と、不飽和結合とを有する化合物を共重合させて得られる共重合体であることが、得られる画素の強度を向上させる点で好ましい。
(C−2)として、具体的には、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、または両者を組み合わせて用いることができる。
(式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。)
前記の不飽和カルボン酸(C−4)としては、具体的には、アクリル酸又はメタアクリル酸が好ましい。アクリル酸およびメタクリル酸は、それぞれ単独で、または両者を組み合わせて用いることができる。また、これらのアクリル酸やメタクリル酸に加えて、その他の酸を用いることができる。その他の酸としては、具体的に、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸など、他の不飽和カルボン酸から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸を併用することもできる。また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基およびカルボキシル基を含有するモノマーを併用することもできる。
前記の多塩基酸無水物(C−5)としては、バインダー樹脂にアルカリ現像性を付与するために使用される。具体的には、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の多塩基酸無水物が挙げられる。好ましくは、テトラヒドロ無水フタル酸または無水コハク酸である。これらはそれぞれ
単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明における(C−1)〜(C−3)を共重合させて得られる共重合体において、(C−1)〜(C−3)のそれぞれから導かれる構成成分の比率が、前記の共重合体を構成する構成成分の合計モル数に対してモル分率で、以下の範囲にあることが好ましい。
(C−1)から導かれる構成単位;2〜98モル%
(C−2)から導かれる構成単位;2〜90モル%
(C−3)から導かれる構成単位;2〜65モル%
また、前記の構成成分の比率が以下の範囲であると、より好ましい。
(C−1)から導かれる構成単位;40〜80モル%
(C−2)から導かれる構成単位;5〜40モル%
(C−3)から導かれる構成単位;5〜30モル%
また、さらに、次に、前記の共重合体に(C−4)および(C−5)を付加して樹脂に現像液への溶解性および光/熱硬化性を付与する。
(C−4)の付加量は、(C−1)〜(C−3)を重合させて得られた樹脂中のエポキシ基1.0当量に対して、0.5〜1.0当量、好ましくは0.7〜1.0当量である。
(C−4)の組成比が上記範囲内にあると、十分な光硬化性や熱硬化性が得られ、感度や信頼性に優れるので好ましい。
( C−5)の付加量は、(C−4)を反応させた際に生成した水酸基の量に対してモル分率で、50〜100%、好ましくは60〜100%である。
(C−5)の組成比が上記の範囲内の場合、アルカリ現像液への溶解性に優れ、残渣が発生しにくいので好ましい。
特定不飽和基含有樹脂におけるGPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常4,000以上、好ましくは4,500以上、更に好ましくは5,000以上、また通常100,000以下、好ましくは20,000以下、更に好ましくは15,000以下である。
上記範囲内であると、現像時に膜減りが生じにくく、また現像時に非画素部分の抜け性が良好であるため好ましい。
特定不飽和基含有樹脂の分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1.5〜6.0であることが好ましく、2.0〜4.0であることがより好ましい。分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が、1.5〜6.0であると、現像性に優れるので好ましい。
(その他の樹脂)
本発明の着色樹脂組成物は、特定不飽和基含有樹脂以外に、その他のバインダー樹脂を含有していてもよく、例えば特開平7−207211号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−140144号公報、特開平11−174224号公報、特開2000−56118号公報、特開2003−233179号公報などの各公報等に記載される高分子化合物を使用することができる。
(含有量)
本発明の着色樹脂組成物に用いられる(C)バインダー樹脂は、着色樹脂組成物中の全固形分に対して、通常5〜90重量%、好ましくは10〜70重量%の範囲で含有される。
上記範囲内であると、現像液への溶解性が十分であり、非画素部分の基板上に現像残渣が発生しにくく、また現像時に露光部の画素部分の膜減りが生じにくく、非画素部分の抜け性が良好な傾向にあり、好ましい。
尚、本発明においては、(C)バインダー樹脂として含まれる樹脂の全てが、特定不飽和基含有樹脂であることが好ましく、つまりは、特定不飽和基含有樹脂を上記範囲内で含有することが好ましい。
[(D)重合性モノマー]
本発明の着色樹脂組成物は、(D)重合性モノマーに酸基含有モノマーを含む。
(D)重合性モノマーは、重合可能な低分子化合物で、好ましくはエチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合物」と言う場合がある。)である。
即ち、本発明における酸基含有モノマーは、重合可能な低分子化合物で、且つ酸基を含有していればよく、酸基を含有するエチレン性化合物であることが好ましい。
着色樹脂組成物に含まれるその他の成分、特に特定不飽和基含有樹脂との相溶性が良好である点で、酸基はカルボキシル基であることが好ましい。
つまり、酸基含有モノマーは、カルボキシル基及びエチレン性二重結合を含む低分子化合物であることが好ましい。
酸基含有モノマーとしては、例えば、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル化合物が挙げられる。
脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基を二塩基酸無水物で変性してカルボキシル基を導入した化合物、また3つ以上の光硬化性官能基を有する芳香族化合物を濃硫酸や発煙硫酸で変性することによりスルホン酸基を導入した化合物等が挙げられる。
該光硬化性官能基としては、アクリロイロ基であることが好ましく、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールである化合物であることが特に好ましい。
また導入する酸基はアルカリ現像性が良好である点から、カルボキシル基が好ましい。特に好ましい酸基含有モノマーとして、1分子内に1つ以上の酸性基と3つ以上の光硬化性官能基を有するペンタエリスリトール、またはジペンタエリスリトールにアクリル酸と無水コハク酸または無水フタル酸、無水トリメリット酸を付加させたもの、ジペンタエリスリトールにアクリル酸と無水コハク酸または無水フタル酸、無水トリメリット酸を付加させたもの、などが挙げられる。
中でも、現像液に対する溶解性と光硬化性のバランスをとりやすい点で、付加する無水酸は無水コハク酸、または無水フタル酸が好ましい。
酸基含有モノマーとしては、下記式(2)で表される化合物(以下、「化合物(2)」と称する場合がある)又は下記式(3)で表される化合物(以下、「化合物(3)」と称する場合がある)であることが好ましい。
(化合物(2)について)
(上記式(2)中、
は、直接結合、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい
複素環基又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基を表す。
は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。
11及びR12は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4アルキル基を表す。但し、R11及びR12は、互いに結合して環を形成していてもよい。
尚、一分子中に、複数の−CR1112−が含まれる場合、各々、同じでもよく、また異なっていてもよい。
lは、1〜12の整数を、
nは、0〜12の整数を、
mは、1〜3の整数を表す。)
(Xについて)
は、直接結合、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基を表す。
における炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってよく、その炭素数が通常1以上、また、通常8以下、好ましくは5以下のものアルキレン基が挙げられる。
具体例としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、2−プロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、tert−ブチレン基、シクロヘキシレン基等が挙げられる。
における複素環基は、ヘテロ原子として窒素原子、硫黄原子及び酸素原子の少なくとも一つを含む環であればよく、芳香族環基及び非芳香族環基の双方を意味する。
における複素環基としては、単環であっても縮合環であってもよく、環を形成する炭素数が3〜10であれば特に制限はない。また、複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。
該複素環としては、例えば、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンズイソオキサゾール環、ベンズイソチアゾール環、ベンズイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環、チアゾール環、オキサゾール環、チアジアゾール環、フタルイミド環、ピペリジン環、ピロリジン環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、インドリン環、イソインドリン環、ピペリジン環等が挙げられる。
における芳香族炭化水素環基としては、単環であっても縮合環であってもよく、環を形成する炭素数が5〜18であれば特に制限はないが、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環など基が挙げられる。
尚、本発明における遊離原子価については、「有機化学・生化学命名法 上」(南江堂、1992年5月20日発行、平山健三、平山和雄訳著、11−12頁)の記載に基づくものである。
は、合成が容易である等の点から、芳香族炭化水素環であることが好ましく、特に
、ベンゼン環であることが好ましい。
における炭化水素基、複素環基及び芳香族炭化水素環基が有していてもよい置換基としては、例えば、下記(置換基群W)のものが挙げられる。
(置換基群W)
フッ素原子、塩素原子、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、フェニル基、メシチル基、トリル基、ナフチル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2〜9のアルキルカルボキシル基、スルホン酸アミド基、炭素数2〜9のスルホンアルキルアミド基、炭素数2〜9のアルキルカルボニル基、フェネチル基、ヒドロキシエチル基、アセチルアミド基、炭素数1〜4のアルキル基が結合してなるジアルキルアミノエチル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜8のトリアルキルシリル基、ニトロ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基。
(Rについて)
は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。
架橋反応が起こり易い点で、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
におけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、上記(置換基群W)のものが挙げられる。
(R11及びR12について)
11及びR12は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4アルキル基を表す。また、R11及びR12は、互いに結合して環を形成していてもよい。
尚、一分子中に複数の−CR1112−が含まれる場合、R11及びR12は、各々、同じでもよく、また異なっていてもよいが、化合物の合成が容易である点で、複数含まれる−CR1112−は、同じである方が好ましい。
(l及びnについて)
lは、1〜12の整数、nは、0〜12の整数を表す。
合成が容易である点で、lは、好ましくは1〜5、更に好ましくは1〜2である。
またnは、合成が容易である点で、好ましくは2〜5、更に好ましくは2である。
尚、一分子中に、l及びnが複数含まれる場合、各々、同じでもよく、また異なっていてもよい。
(mについて)
mは、1〜3の整数を表す。
中でも、アルカリ現像液への溶解性、及び得られる画素の硬化性が良好である点で、mは1又は2であることが好ましく、特に1であることが好ましい。
(分子量)
化合物(2)の分子量は、通常400以上、好ましくは500以上、また通常2000以下、好ましくは1800以下である。
上記範囲内であると、化合物の製造が容易である点で好ましい。
(化合物(3)について)
(上記式(3)中、
及びR、R31及びR32、R41及びR42、R51及びR52、並びにR61及びR62は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4アルキル基を表す。
但し、R31及びR32、R41及びR42、R51及びR52、並びにR61及びR62は、各々独立に、互いに結合して環を形成していてもよい。
尚、一分子中に、複数含まれる−CR3132−、−CR4142−、−CR5152−、−CR6162−、R及びRは、各々、同じでもよく、また異なっていてもよい。
a及びbは、各々独立に、1〜3の整数を表し、
〜lは、各々独立に、1〜12の整数を表し、
〜nは、各々独立に、0〜12の整数を表す。)
(R及びR、R31及びR32、R41及びR42、R51及びR52、並びにR61及びR62について)
及びRは、前記化合物(2)におけるRと同義である。好ましい態様も同様である。
31及びR32、R41及びR42、R51及びR52、並びにR61及びR62は、化合物(2)におけるR11及びR12と同義である。好ましい態様も同様である。
(l〜l及びn〜nについて)
〜lは、化合物(2)におけるlと同義である。好ましい態様も同様である。
また、n〜nは、化合物(2)におけるnと同義である。好ましい態様も同様である。
(a及びbについて)
a及びbは、各々独立に、1〜3の整数を表す。
a及びbは、好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。
尚、a及びbは、同じでもよく、また異なっていてもよい。
(分子量)
本発明のおける化合物(3)の分子量は、通常400以上、好ましくは500以上、また通常1000以下、好ましくは800以下である。
上記範囲内であると、化合物の合成が容易である点で好ましい。
以下に、酸基含有モノマーの好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(具体例)
これらの単量体は1種を単独で用いてもよいが、製造上、単一の化合物を得ることは難しいことから、2種以上の混合物を使用してもよい。
酸基含有モノマーが混合物である場合の酸価は、通常10mg−KOH/g以上、好ましくは15mg−KOH/g以上、更に好ましくは20mg−KOH/g以上、また通常150mg−KOH/g以下、好ましくは110mg−KOH/g以下、更に好ましくは100mg−KOH/g以下である。
上記範囲内であると、現像液に対する溶解性と光硬化性のバランスをとりやすく好ましい。
(その他のモノマー)
本発明の着色樹脂組成物は、(D)重合性モノマーに、酸基含有モノマー以外のその他のモノマーを含んでいてもよい。
その他のモノマーとしては、重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、などが挙げられる。
(含有量)
本発明の着色樹脂組成物における(D)重合性モノマーの含有量は、全固形分中、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは8重量%以上であり、また、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、更に好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下である。
また、本発明の着色樹脂組成物における酸基含有モノマーの含有量は、全(D)重合性モノマー中、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上である。
尚、(D)重合性モノマーの全量が、酸基含有モノマーであることが好ましく、上限は100重量%以下である。
(P/M比)
本発明の着色樹脂組成物におけるP/M比は、通常0.5以上、好ましくは1.0以上、また通常5.0以下、好ましくは4.5以下である。
上記範囲内であると、アルカリ現像溶解性と硬化性、断面形状のバランスがとりやすく、好ましい。
尚、Pは着色樹脂組成物中の重合体の含有量、Mは着色樹脂組成物中のモノマーの含有量を表す。
[(A)顔料]
本発明の着色樹脂組成物は、(A)顔料として、通常、赤色顔料、緑色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料等各種の色の顔料を使用することができる。
各種顔料の化学構造としては、例えばアゾ系、キナクリドン系、フタロシアニン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料が挙げられる。これらの他に種々の無機顔料等も利用可能である。
上記の中でも特にフタロシアニン系顔料を用いた場合、顔料濃度が高くなりやすく、アルカリ現像液に対する溶解時間の調整が難しくなる為、本発明の効果が得られやすい。特にハロゲン化金属フタロシアニン顔料を用いた場合その傾向が強く、本発明の効果が顕著に得られる。
通常の金属フタロシアニンは1分子中に16個の水素原子を有しており、これらの水素原子を臭素原子又は塩素原子で置換したのがハロゲン化金属フタロシアニンであり、本発明で好ましく使用されるのは臭素化金属フタロシアニン顔料である。
中でも1分子中に臭素原子を平均13個以上含有する臭素化金属フタロシアニンが、極めて高い透過率を示し、カラーフィルタの緑色画素を形成するのに適している点から好ましい。更には、1分子中に臭素原子を13〜16個有し、且つ1分子中に塩素を含まないか又は平均3個以下有する臭素化亜鉛フタロシアニンが好ましく、特に1分子中に臭素原子を平均14〜16個有し、且つ1分子中に塩素原子を含まないか又は平均2個以下有する臭素化金属フタロシアニンが好ましい。臭素化金属フタロシアニンとしては、好ましくは臭素化銅フタロシアニン及び臭素化亜鉛フタロシアニンが上げられる。臭素化銅フタロシアニンとしては、好ましくはC.I.ピグメントグリーン36である。また、臭素化亜鉛フタロシアニンとしては、好ましくは、C.I.ピグメントグリーン58である。
また、その他の緑色顔料の具体例をピグメントナンバーで示すと、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、45、48、50、51、54、55等を挙げることができる。
更に、本発明に使用できる緑色顔料以外の顔料の具体例をピグメントナンバーで示すが、これら例示によって限定されるものではない。
先ず赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、254等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、242、254等である。
青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79などを挙げることができる。
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208、及び下記<顔料Y>で定義される顔料(以下、「顔料Y」と称する)が挙げられる。
<顔料Y>
下記構造式で表されるアゾバルビツール酸のニッケルとの1:1錯体又はその互換異性体に、他の化合物が挿入されてなる化合物。
また、前記他の化合物としては、下記式(I−1)で表される化合物などが挙げられる。
これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、154、155、180、185、及び顔料Y等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントイエロー138、139及び顔料Y等である。
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、23等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23等である。
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントオレンジ38、71等である。
又、後述するように着色樹脂組成物を調製してカラーフィルタの樹脂ブラックマトリックスを形成してもよく、その場合には、黒色顔料を使用することができる。尚、黒色顔料は、単独で使用してもよく、赤色、緑色、青色等の顔料を混合して使用してもよい。又、無機顔料であっても有機顔料であってもよい。
また、本発明における顔料は、C.I.(カラーインデックス)ピグメントレッド58であることが本発明の効果が得られ易い点で、特に好ましい。
又、本発明に使用可能な無機顔料として、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラ、酸化クロム等が挙げられる。
尚、上記各種の顔料は、複数種を併用することもできる。例えば、色度の調整のために、(A)顔料として、赤色顔料と黄色顔料とを併用したり、緑色顔料と黄色顔料とを併用したりすることができる。
又、本発明に係る(A)顔料は、その平均一次粒径が、通常100nm以下、好ましく
は80nm以下、より好ましくは20nm以上70nm以下である。本発明は、高度に微粒化された顔料を含む組成物の場合に特に有効であるため、平均一次粒径20nm以上60nm以下である顔料を含む場合が特に好ましい。
使用する(A)顔料の平均一次粒径を上記範囲とすることにより、消偏特性を良好に保ち、高いコントラストや透過率などを実現し、又、分散安定性が良好で、耐熱性や耐光性にも優れた着色樹脂組成物を得ることができる。
尚、顔料の一次粒径は次の方法で求めることができる。
先ず、顔料をクロロホルム中に超音波分散し、コロジオン膜貼り付けメッシュ上に滴下して、乾燥させ、透過電子顕微鏡(TEM)観察により、顔料の一次粒子像を得る。但し、有機顔料の場合は、個々の顔料粒子の粒径を、同じ面積となる円の直径に換算した面積円相当径として、複数個(通常200〜300個程度)の顔料粒子についてそれぞれ粒径を求める。得られた一次粒径の値を用い、下式の計算式の通り個数平均値を計算し平均粒径を求める。
こうして得られた(A)顔料は、単独で使用してもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で1種又は2種以上の顔料を混合して用いることができる。
本発明の着色樹脂組成物における(A)顔料の含有量は、固形分全量に対し、通常60重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは45重量%以下であり、又、通常10重量%以上、好ましくは20重量%以上、より好ましくは28重量%以上である。
(A)顔料の含有量を上記範囲とすることにより、色濃度に対する膜厚が大きくなり過ぎず、液晶セル化の際のギャップ制御等に悪影響を及ぼすことなく、且つ十分な画像形成性が得られるうえ、顔料の分散状態も維持され、凝集や沈降が生じにくく、結果として、増粘や輝度・コントラストの低下などといった問題を解消することができる。
[(B)溶剤]
(B)溶剤は、着色樹脂組成物に含まれる各成分を溶解または分散させ、粘度を調節する機能を有する。該(B)溶剤としては、着色樹脂組成物を構成する各成分を溶解または分散させることができるものであればよく、沸点が100〜200℃の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120〜170℃の沸点をもつものである。
このような溶剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−モノt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンのような1価または多価アルコール類;
n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状または環状エステル類;
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類:
これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記溶剤中、前記(A)顔料の分散性が良好である点で、グリコールモノアルキルエーテル類が好ましい。中でも、特に着色樹脂組成物中の各種構成成分の溶解性の点からプロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。
また、着色樹脂組成物の塗布性及び表面張力などのバランスがよく、組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、溶剤としてさらにグリコールアルキルエーテルアセテート類を混合して使用することがより好ましい。
尚、着色樹脂組成物の粘度が適当であり、保存安定性が良好である点で、グリコールモノアルキルエーテル類の使用量は、全(B)溶剤中、5〜50重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。
また、最近の大型基板等に対応したスリットコート方式への適性という観点からは、1
50℃以上の沸点をもつ溶剤を併用することも好ましい。この場合、このような高沸点溶剤の含有量は、(B)溶剤全体に対して3〜50重量%が好ましく、5〜40重量%がより好ましく、5〜30重量%が特に好ましい。
上記範囲内であると、スリットノズル先端で顔料などが析出・固化することによる異物欠陥が起き難く、また乾燥速度が適度である為、後述するカラーフィルタ製造工程における、減圧乾燥プロセスのタクト不良や、プリベークのピン跡などが起き難い。
なお、沸点150℃以上の溶剤は、グリコールアルキルエーテルアセテート類であっても、またグリコールアルキルエーテル類であってもよく、この場合は、沸点150℃以上の溶剤を別途含有させなくてもかまわない。
本発明の着色樹脂組成物において、(B)溶剤の含有量に特に制限はないが、通常99重量%以下、また通常75重量%以上、好ましくは80重量%以上、更に好ましくは82重量%以上である。
上記範囲内であると、塗布に適した粘性であり、塗布膜を形成するのに適当である点で好ましい。
[分散剤]
本発明における分散剤は、顔料が分散し、安定を保つことができれば特に種類を問わない。例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系や両性等の分散剤を使用することができるが、ポリマー分散剤が好ましい。具体的には、変性アクリル系共重合体、アクリル系共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、高分子共重合体のアルキルアンモニウム塩又はリン酸エステル塩、カチオン性櫛型グラフトポリマー等を挙げることができる。これら分散剤の中で、変性アクリル系共重合体、ポリウレタン、カチオン性櫛型グラフトポリマーが好ましい。特に変性アクリル系共重合体が好ましく、この中でも親溶剤性を有するAブロック及び窒素原子を含む官能基を有するBブロックからなるブロック共重合体からなり、そのアミン価が80mg−KOH/g以上150mg−KOH/g以下(有効固形分換算)であるものが特に好ましい。 より好ましくは100〜140mg−KOH/gであ
る。
上記範囲内であると、顔料表面への吸着力が十分で、分散安定性が良好である。
中でも、特開2009−025813号公報に記載の(メタ)アクリル系ブロック共重合体が好ましい。 アクリル系ブロック共重合体は、(A)顔料を極めて効率よく分散
できる。これは、分子配列が制御されていることにより、分散剤が顔料に吸着する際に障害となる構造が少ないためと推察される。
又、本発明において、アクリル系ブロック共重合体は、Aブロック及びBブロックからなるABブロック、及び/又はABAブロック共重合体であることが好ましい。
前記アクリル系ブロック共重合体を構成するBブロックは、アミノ基を有し、アミノ基は、好ましくは−NR7172(但し、R71及びR72は、各々独立に、置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。)で表わされ、これを含む部分構造として好ましいものは、例えば下記式で表される。
(但し、R71及びR72は、上記のR71及びR72と同義であり、R73は炭素数1以上のアルキレン基であり、R74は水素原子又はメチル基を表す。)
中でも、R71及びR72はメチル基が好ましく、R73はメチレン基、またはエチレン基が好ましく、R74はメチル基であるのが好ましい。このような化合物として下記式で表される部分構造が挙げられる。
上記の如きアミノ基を含有する部分構造は、1つのBブロック中に2種以上含有されていてもよい。その場合、2種以上のアミノ基含有部分構造は、該Bブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、アミノ基を含有しない部分構造が、Bブロック中に一部含まれていてもよく、そのような部分構造の例としては、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。
一方、本発明において、分散剤のAブロックは、親溶剤性であり、上述したBブロックを構成するモノマーと共重合しうるモノマーから成るものであれば、特に制限は無い。
Aブロックとしては、例えば、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、(メタ)アクリル酸塩系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、グリシジルエーテル系モノマー等のコモノマーを共重合させたポリマー構造が挙げられる。
本発明における分散剤は、上述するようなAブロックとBブロックとからなるABブロック又はABAブロック共重合型高分子化合物である。中でもABブロック共重合体が好ましい。このようなブロック共重合体は、例えばリビング重合法にて調製される。
リビング重合法にはアニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法、ラジカルリビング重合法がある。具体的には、例えば特開2007−270147号公報に記載の方法が挙げられる。
なお、分散剤のアミン価(有効固形分換算)は、分散剤試料中の溶剤を除いた固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表し、次の方法により測定する。100mLのビーカーに分散剤試料の0.5〜1.5gを精秤し、50mLの酢酸で溶解する。pH電極を備えた自動滴定装置を使って、この溶液を0.1mol/L HClO酢酸溶液にて中和滴定する。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点とし次式によりアミン価を求める。
アミン価[mg−KOH/g]=(561×V)/(W×S)
(但し、W:分散剤試料秤取量[g]、V:滴定終点での滴定量[mL]、S:分散剤試料の固形分濃度[wt%]を表す。)
また、このブロック共重合体の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、低い方が好ましく、通常50mg−KOH/g以下、好ましくは40以下、より好ましくは30以下である。
顔料の平均一次粒径が小さい場合、比表面積が増大し単位面積当たりの分散剤吸着量が少なくなる。この場合、前記共重合体からなる分散剤は、他の分散剤よりも効果が大きく好適に用いられる。
本発明における分散剤は、着色樹脂組成物中の(A)顔料全量に対し、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、また通常200重量%以下、更に好ましくは100重量%以下である。
本発明の着色樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、その他の分散剤を含んでいてもよい。その他の分散剤としては、例えば、例えば特開2006−343648号公報に記載のものが挙げられる。
[分散助剤]
本発明の着色樹脂組成物は、更に分散助剤を含有していてもよい。ここでいう分散助剤は、顔料誘導体であってもよく、顔料誘導体としては、例えば特開2001−220520号公報、特開2001−271004号公報、特開2002−179976号公報、特開2007−113000号公報、及び特開2007−186681号公報等に記載の各種化合物等を使用することができる。
尚、本発明の着色樹脂組成物における分散助剤の含有量は、全(A)顔料に対して、通常0.1重量%以上、又、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。
上記範囲内であると、分散助剤としての効果が有効に得られ、分散性及び分散安定性が良好である点で好ましい。
[分散樹脂]
本発明の着色樹脂組成物は、前述の(C)バインダー樹脂から選ばれた樹脂の一部又は全部を下記の分散樹脂として含有していてもよい。
具体的には、後述する[着色樹脂組成物の調製方法]において、前述の分散剤等の成分とともに、(C)バインダー樹脂を含有させることにより、該(C)バインダー樹脂が、分散剤との相乗効果で(A)顔料の分散安定性に寄与する。結果として分散剤の添加量を減らせる可能性があるため好ましい。又、現像性が向上し、基板の非画素部に未溶解物が残存せず、画素の基板への密着性が向上する、といった効果も奏するため好ましい。
このように、分散処理工程に使用される(C)バインダー樹脂を、分散樹脂と称することがある。分散樹脂は、顔料分散液中の顔料全量に対して0〜200重量%程度使用することが好ましく、10〜100重量%程度使用することがより好ましい。
分散樹脂としては、前述の各種(C)バインダー樹脂を使用することができる。
分散樹脂の酸価は0.5mg−KOH/g以上が好ましく、1mg−KOH/g以上がより好ましく、5mg−KOH/g以上が最も好ましく、また300mg−KOH/g以下が好ましく、200mg−KOH/g以下がより好ましく、150mg−KOH/g以下が最も好ましい。酸価を上記の範囲に制御することにより、アルカリ現像性が良好となり、合成上等においても、取り扱いやすくなる。
又、分散樹脂のGPCにて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、1000以上が好ましく、1500以上がより好ましく、2000以上が最も好ましく、また200000以下が好ましく、50000以下がより好ましく、30000以下が最も好ましい。分子量を上記の範囲に制御することにより、アルカリ現像性が良好となり、又、分散安定性が低下するのを防ぐこともできる。
[(E)光重合開始成分及び熱重合開始成分]
本発明の着色樹脂組成物は、塗膜を硬化させる目的で、(E)光重合開始成分及び熱重合開始成分のうち少なくとも一つを含むことが好ましい。ただし、硬化の方法はこれらの開始剤によるもの以外でもよい。
特に、本発明の着色樹脂組成物が、(C)成分としてエチレン性二重結合を有する樹脂を含む場合や、(D)成分としてエチレン性化合物を含む場合には、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する光重合開始成分及び/又は熱によって重合活性ラジカルを発生する熱重合開始成分を含有することが好ましい。なお、本発明において光重合開始成分としての(E)成分とは、光重合開始剤(以下、任意に「(E1)成分」とも称する)に重合加速剤(以下、任意に「(E2)成分」とも称する)、増感色素(以下、任意に「(E3)成分」とも称する)などの付加剤が併用されている混合物を意味する。
[(E)光重合開始成分]
本発明における(E)光重合開始成分は、通常、(E1)光重合開始剤、及び必要に応じて添加される(E2)重合加速剤及び(E3)増感色素等の付加剤との混合物として用いられ、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
光重合開始成分を構成する(E1)光重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報等に記載のチタノセン誘導体類;特開平10−300922号、特開平11−174224号、特開2000−56118号各公報等に記載されるヘキサアリールビイミダゾール誘導体類;特開平10−39503号公報等に記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体類、ハロメチル−s−トリアジン誘導体類、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン誘導体類;特開2000−80068号公報等に記載のオキシムエステル系誘導体類等が挙げられる。
具体的には、例えば国際公開第2009/107734号パンフレット等に記載の光重合開始剤等が挙げられる。
これら光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類、ビイミダゾール誘導体類、アセトフェノン誘導体類、及びチオキサントン誘導体類がより好ましい。
また、オキシムエステル系誘導体類としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(o−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕,1−(o−
アセチルオキシム)、及び下記式(XI)で表される化合物等が挙げられる。
(式(XI)中、R101は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜25のアルケニル基、炭素数3〜20のヘテロアリール基または炭素数4〜25のヘテロアリールアルキル基を示し、これらはいずれも置換基を有していてもよい。あるいは、R101はXまたはZと結合し、環を形成していてもよい。
102は、炭素数2〜20のアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数4〜8のシクロアルカノイル基、炭素数7〜20のアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜20のヘテロアリール基、炭素数3〜20のヘテロアリーロイル基または炭素数2〜20のアルキルアミノカルボニル基を示し、これらはいずれも置換基を有していてもよい。
Xは、置換基を有していてもよい、2個以上の環が縮合してなる、2価の芳香族炭化水素環基及び/または芳香族複素基を示す。
Zは、置換基を有していてもよい芳香族環基を示す。)
なお、前記式(XI)で表される化合物の中でも、Xが置換基を有していてもよいカルバゾール環である化合物が好ましく、具体的には下記式(XII)で表される化合物などが挙げられ、中でも下記式(XIII)で表される化合物が特に好ましい。
(式中、R101、R102及びZは、前記式(XI)におけると同義である。R103〜R109は各々独立に水素原子または任意の置換基を示す。)
(式中、R101aは、炭素数1〜3のアルキル基、または下記式(XIIIa)で表される基を示す。
(式中、R103及びR104は各々独立に、水素原子、フェニル基またはN−アセチル−N−アセトキシアミノ基を示す。
*は、結合部位を表す。)
102aは、炭素数2〜4のアルカノイル基を示し、Xaは、窒素原子が1〜4のアル
キル基で置換されていてもよい3,6−カルバゾリル基を示す。Zaは、アルキル基で置
換されていてもよいフェニル基またはモルホリノ基で置換されていてもよいナフチル基を示す。)
その他に、ベンゾインアルキルエーテル類、アントラキノン誘導体類;2−メチル−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン等のアセトフェノン誘導体類、2−エチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体類、安息香酸エステル誘導体類、アクリジン誘導体類、フェナジン誘導体類、アンスロン誘導体類等も挙げられる。
これら光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、チオキサントン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類がより好ましい。特に、オキシムエステル系誘導体類が好ましい。
必要に応じて用いられる(E2)重合加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物;脂肪族多官能メルカプト化合物等のメルカプト化合物類等が挙げられる。
これらの(E1)光重合開始剤及び(E2)重合加速剤は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、必要に応じて感応感度を高める目的で、(E3)増感色素が用いられる。増感色素は、画像露光光源の波長に応じて、適切なものが用いられるが、例えば特開平4−221958号、特開平4−219756号各公報等に記載のキサンテン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の複素環を有するクマリン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の3−ケトクマリン系色素;特開平6−19240号公報等に記載のピロメテン系色素;特開昭47−2528号、特開昭54−155292号、特公昭45−37377号、特開昭48−84183号、特開昭52−112681号、特開昭58−15503号、特開昭60−88005号、特開昭59−56403号、特開平2−69号、特開昭57−168088号、特開平5−107761号、特開平5−210240号、特開平4−288818号各公報等に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等が挙げられる。
(E3)増感色素もまた1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の着色樹脂組成物において、これらの(E)光重合開始成分の含有量は、全固形
分中、通常0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下の範囲である。
上記範囲内であると、露光光線に対する感度が良好で、また未露光部分の現像液に対する溶解性も良好で、現像不良などを誘起し難い点で好ましい。
((E)熱重合開始成分)
本発明の着色樹脂組成物に含有されていてもよい(E)熱重合開始成分の具体例としては、アゾ系化合物、有機過酸化物及び過酸化水素等が挙げられる。これらのうち、アゾ系化合物が好適に用いられる。より具体的には、例えば国際公開第2009/107734号等に記載の熱重合開始成分を用いることができる。
これらの熱重合開始成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[(F)連鎖移動剤]
本発明の着色樹脂組成物は、より本発明の効果が得られ易い点で、(F)連鎖移動剤を含有していることが好ましい。
本発明における(F)連鎖移動剤とは、発生したラジカルを受け取り、該ラジカルを他の化合物に受け渡す化合物をいう。
本発明の着色樹脂組成物は、(F)連鎖移動剤として下記式(4)で表される化合物を含有する。
(上記式(4)中、pは2〜4の整数を表す。
は、水素原子、または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
は、直接結合、2〜4級炭素原子、2〜4価の複素環基または2〜4価の芳香族炭化水素環基を表す。
一分子中に含まれる複数の
は、同じでもよく、また異なっていてもよい。)
(Rについて)
は、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
前記アルキル基としては、炭素数が通常1〜8であり、特に好ましくは、1又は2である。
としては、化合物の反応性が高く、得られる膜の表面硬化性が高くなるという点で、水素原子であることが好ましい。
尚、Rにおけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、前記(置換基群Z)の項に記載のものが挙げられる。
(置換基群Z)
フッ素原子、塩素原子、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、フェニル基、メシチル基、トリル基、ナフチル基、アセチルオキシ基、炭素数2〜9のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素数2〜9のアルキルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、スルファモイル基、炭素数1〜8のアルキルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、炭素数1〜8のアルキルスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、フェネチル基、ヒドロキシエチル基、アセチルアミノ基、炭素数1〜4のアルキル基が結合してなるジアルキルアミノエチル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜8のトリアルキルシリル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、炭素数1〜8のアルキルスルファニル基。
(Xについて)
は、直接結合、2〜4級炭素原子、2〜4価の芳香族炭化水素環基又は2〜4価の複素環基を表す。
における芳香族炭化水素環基及び複素環基としては、前記(化合物(2)について)(Xについて)の項で記載のものが挙げられる。好ましい態様も同様である。
においては、化合物(4)の保存安定性が良好な点で、2〜4級炭素原子であることが好ましく、4級炭素原子であることが特に好ましい。
尚、Xにおける炭素原子、複素環基及び芳香族炭化水素環基は、下記構造式(以下、「スルファニル基含有構造」と称する場合がある)以外で表される置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記(置換基群Z)の項に記載のものが挙げられる。
本発明においては、上記スルファニル基含有構造のみを置換基としているのが好ましく、Xにおける炭素原子、複素環基及び芳香族炭化水素環基の級数は、pと同じであることが好ましい。
(pについて)
pは、2〜4の整数を表す。
化合物(4)において、反応部位であるスルファニル基が多くなって、化合物の反応性が高くなり、得られる画素の硬化性が十分である点で、4であることが特に好ましい。
以下に、本発明における化合物(4)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[具体例]
スルファニル基含有構造を2つ有する化合物:1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、ジチオエリスリトール、1,2−ベンゼンジチオール、1,2−ベンゼンジメタンチオール、1,3−ベンゼンジチオール、3,4−ジメルカプトトルエン、4−クロロ−1,3−ベンゼンジチオール、2−ヘキシルアミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、2−ジエチル
アミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、2−シクロヘキシルアミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3−メルカプトプロポキシフェニルプロパン等、
スルファニル基含有構造を3つ有する化合物:トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、1,2,6−ヘキサントリオールトリチオグリコレート等、
スルファニル基含有構造を4つ有する化合物:ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)等、
が挙げられる。
(含有量について)
本発明における(F)連鎖移動剤の含有量は、着色樹脂組成物の固形分中、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、更に好ましくは1.5重量%以上、また通常10重量%以下、好ましくは8重量%以下、更に好ましくは6重量%以下である。
上記範囲内であると、得られる着色樹脂組成物の硬化性が十分であり、且つ、着色樹脂組成物の保存安定性に優れ、得られる画素の輝度に影響し難い点で好ましい。
尚、本発明の着色樹脂組成物は、化合物(4)以外の連鎖移動剤を含有していてもよく、その場合、連鎖移動剤の合計含有量が上記範囲内となるように含有すればよい。
但し、連鎖移動剤として、化合物(4)のみを含有することが特に好ましく、化合物(4)を上記範囲内で含有することが好ましい。
[その他の任意成分]
本発明の着色樹脂組成物は、前記各成分の外に、界面活性剤、有機カルボン酸及び/又は有機カルボン酸無水物、熱硬化性化合物、可塑剤、熱重合防止剤、保存安定剤、表面保護剤、密着向上剤、現像改良剤等を含有していてもよい。これら任意成分としては、例えば特開2007−113000号公報記載の各種化合物を使用することができる。
[着色樹脂組成物の調製方法]
本発明において、着色樹脂組成物は、適宜の方法により調製することができるが、例えば、前記(A)顔料、特定不飽和基含有樹脂を含む(C)バインダー樹脂及び酸基含有モノマーを含む(D)重合性モノマーを、(B)溶剤及び必要に応じて用いられる任意成分と共に混合することで調製できる。
また、好ましくは、(A)顔料を(B)溶剤中、分散剤及び必要に応じて添加する分散助剤の存在下で、場合により(C)バインダー樹脂の一部と共に、例えば、ペイントシェイカー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して顔料分散液を調製する。該顔料分散液に、特定不飽和基含有樹脂を含む(C)バインダー樹脂、及び酸基含有モノマーを含む(D)重合性モノマー、必要に応じて、(E)光重合開始成分及び/又は熱重合開始成分、及びその他の成分などを添加し、混合することにより調製する方法を挙げることができる。
[着色樹脂組成物の応用]
本発明の着色樹脂組成物は、通常、すべての構成成分が溶剤中に溶解或いは分散された状態である。このような着色樹脂組成物が基板上へ供給され、カラーフィルタや液晶表示装置、有機EL表示装置などの構成部材が形成される。
以下、本発明の着色樹脂組成物の応用例として、カラーフィルタの画素としての応用、およびそれらを用いた液晶表示装置(パネル)および有機EL表示装置について、説明する。
<カラーフィルタ>
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色樹脂組成物から形成された画素を有するものである。
以下に、本発明のカラーフィルタを形成する方法について説明する。
カラーフィルタの画素は、様々な方法で形成することができる。ここでは光重合性の着色樹脂組成物を使用してフォトリソグラフィー法にて形成する場合を例に説明するが、製造方法はこれに限定されるものではない。
まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するようにブラックマトリックスを形成し、この基板上に、本発明の着色樹脂組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶剤を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去し、その後ポストベークすることにより、赤色、緑色、青色の各画素パターンを形成して、カラーフィルタを作製することができる。
画素を形成する際に使用される基板としては、透明で適度な強度を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、熱硬化性樹脂、各種ガラスなどが挙げられる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤やウレタン系樹脂などによる薄膜形成処理、コロナ放電処理やオゾン処理などの表面処理等、適宜前処理を施してもよい。
着色樹脂組成物を基板に塗布する際には、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、スリット・アンド・スピン法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法等が挙げられる。中でも、スリット・アンド・スピン法、及びダイコート法が好ましい。
塗布膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.2〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは0.8〜5.0μmである。
上記範囲内であると、パターン現像や液晶セル化工程でのギャップ調整が容易であり、また所望の色発現がし易い点で好ましい。
露光の際に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用することができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
画像露光に使用される、波長190〜450nmの放射線を用いるための光源は、特に限定されるものではないが、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源;アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルターを利用することもできる。
放射線の露光量は、10〜10,000J/mが好ましい。
また、前記アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸水素カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸二水素カリウム、水酸化アンモニウム等の無機アルカリ性化合物;モノ−・ジ−・又はトリ−エタノール
アミン、モノ−・ジ−・又はトリ−メチルアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−エチルアミン、モノ−・又はジ−イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−イソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等の有機アルカリ性化合物等の水溶液が好ましい。
前記アルカリ現像液には、例えばイソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。現像条件は、室温(23℃)で5〜300秒が好ましい。
現像処理の条件には特に制限はないが、現像温度は通常10℃以上、中でも15℃以上、更には20℃以上、また、通常50℃以下、中でも45℃以下、更には40℃以下の範囲が好ましい。
現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。
このようにして作製されたカラーフィルタを液晶表示装置に使用する場合には、このままの状態で画像上にITO等の透明電極を形成して、カラーディスプレイ、液晶表示装置等の部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミド等のトップコート層を設けることもできる。また、一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)等の用途においては、透明電極を形成しないこともある。また、垂直配向型駆動方式(MVAモード)では、リブを形成することもある。また、ビーズ散布型スペーサに代わり、フォトリソグラフィー法による柱構造(フォトスペーサー)を形成することもある。
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、上述の本発明のカラーフィルタを用いたものである。本発明の液晶表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明のカラーフィルタを用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日刊工業新聞社、1989年9月29日発行、日本学術振興会第142委員会著)に記載の方法で、本発明の液晶表示装置を形成することができる。
<有機EL表示装置>
本発明のカラーフィルタを有する有機EL表示装置を作成する場合、例えば図1に示すように、透明支持基板10上に、本発明の着色樹脂組成物により画素20が形成された青色カラーフィルタ上に有機保護層30及び無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって多色の有機EL素子を作製する。
有機発光体500の積層方法としては、カラーフィルタ上面へ透明陽極50、正孔注入層51、正孔輸送層52、発光層53、電子注入層54、及び陰極55を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体500を無機酸化膜40上に貼り合わせる方法などが挙げられる。このようにして作製された有機EL素子100は、パッシブ駆動方式の有機EL表示装置にもアクティブ駆動方式の有機EL表示装置にも適用可能である。
次に、合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[1]樹脂の合成
<合成例1:樹脂P−1の合成>
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート400重量部を仕込み、窒素置換したあと、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。
一方、モノマー槽中にジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート30重量部、メタクリル酸60重量部、メタクリル酸シクロヘキシル110重量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート5.2重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40重量部を仕込み、連鎖移動剤槽にn−ドデシルメルカプタン4.2重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート27重量部を仕込み、反応槽の温度が85℃に安定してからモノマー槽および連鎖移動剤槽から滴下を開始し、重合を開始させた。温度を85℃に保ちながら滴下をそれぞれ135分かけて行い、滴下が終了して60分後に昇温を開始して反応槽を110℃にした。
3時間、110℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、メタクリル酸グリシジル39.6重量部、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.4重量部、トリエチルアミン0.8重量部を仕込み、そのまま110℃で9時間反応させた。
室温まで冷却し、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量12000、酸価90mg−KOH/gの樹脂P−1を得た。
<合成例2:樹脂P−2の合成>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン10重量部、グリシジルメタクリレート85.2重量部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレートFA−513M(日立化成社製)66重量部を滴下し、次いで2.2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル9.00重量部を3時間かけて滴下し、更に90℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸43.2重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部およびハイドロキノン0.12重量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)68.5重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、100℃3.5時間反応させ、固形分濃度40%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え調整した。こうして得られた樹脂P−2のGPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは約5500、酸価92mg−KOH/gであった。
<合成例3:樹脂P−3の合成>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン10重量部、グリシジルメタクリレート85.2重量部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレートFA−513M(日立化成社製)66重量部を滴下し、次いで2.2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル8.47重量部を3時間かけて滴下し、更に100℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気置換に変え、メタアクリル酸51.7重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部およびハイドロキノン0.12重量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。その後、無水コハク酸27.0重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、100℃3.5時間反応させ、固形分濃度40%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え調整した。こうして得られた樹脂P−3のG
PCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは約5500、酸価80mg−KOH/gであった。
<合成例4:樹脂P−4の合成>
トリシクロデカン骨格を有するモノアクリレートFA−513M(日立化成社製)93.6重量部、メタクリル酸36.4重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150重量部に溶解し、窒素雰囲気下でアゾビスイソブチロニトリル1.25重量部を加え、80℃で7時間反応させた。その後窒素バブリングを止めて100℃に昇温し1時間攪拌した。これにテトラエチルアンモニウムクロライドを0.124gを加え、80℃で攪拌、溶解させ、さらにメタクリル酸グリシジル23.4g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート23.90gを混合した溶液を1時間かけて滴下し、さらに固形分濃度40%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加え調整した。こうして得られた樹脂P−4のGPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は約8000、酸価100mg−KOH/gであった。
<合成例5:樹脂P−5の合成>
樹脂P−4のメタクリル酸をアクリル酸にして同様に合成し、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は約8000、酸価100mg−KOH/gの樹脂P−5を得た。
<合成例6:樹脂P−6の合成>
合成例3において、樹脂P−3の無水コハク酸27.0重量部をテトラヒドロ無水フタル酸(THPA)68.5重量部に代え、同様に反応させ、GPCで測定したポリスチレン換算で重量平均分子量Mwは約5500、酸価約80mg−KOH/gの樹脂P−6を得た。
<合成例7:樹脂P−7の合成>
合成例2において、樹脂P−2のテトラヒドロ無水フタル酸(THPA)68.5重量部を無水コハク酸27.0重量部に代え、同様に反応させ、GPCで測定したポリスチレン換算で重量平均分子量Mwは約5500、酸価約90mg−KOH/gの樹脂P−7を得た。
[2]顔料分散液の調製プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート74重量
部、C.I.ピグメントグリーン58を6.5重量部、顔料Yを6.5重量部、アクリル系分散剤LPN6919(ビッグケミー社製)を固形分量換算3.25重量部、上記合成例1で合成した樹脂P−1を固形分量換算3.25重量部を混合し、攪拌機で3時間攪拌して固形分濃度が20重量%のミルベースを調製した。この混合液100重量部と径0.5mmのジルコニアビーズ300重量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて顔料分散液を調製した。
[3]着色樹脂組成物の調製
前記「[2]顔料分散液の調製」で調製した顔料分散液に、下記表1に示す組成となるように、バインダー樹脂、重合性モノマー、光重合開始成分、及びその他の成分として界面活性剤を混合攪拌し、固形分濃度が20重量%になるように溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を加えて、着色樹脂組成物を得た。
尚、最後に5μmの駒型フィルターによって濾過し、異物を取り除いた。
表1中の各化合物は、各々以下の通りである。
M−520:カルボキシル基含有5官能アクリレート、酸価25mg−KOH/g、M−520(東亞合成社製)
M−510:カルボキシル基含有3官能アクリレート、酸価95mg−KOH/g、M−
510(東亞合成社製)
モノマー混合物A:DPHAと下記構造式で表される化合物との混合物(酸価:35mg−KOH/g)
CBX−1N:(2,2,2−トリスアクリロイロキシメチルエチルフタル酸)酸価85mg−KOH/g(新中村化学工業社製)
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製)
OXE−02:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾールー3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(BASF社製)
Irgacure907:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モル
フォリノプロパン−1−オン(BASF社製)
PET−P:ペンタエリスリトール−テトラキス(3−メルカプトプロピオナート)(淀化学社製)
メガファックF475:フッ素系界面活性剤(DIC社製)
[4]評価方法
[4−1]着色樹脂組成物の溶解時間の測定
クロムが蒸着されたガラス基板に、表1に記載の着色樹脂組成物をそれぞれスピンコート塗布し、80℃のホットプレートにて3分間プリベークを行った。塗布回転数はポストベーク後、色座標y=0.594となるように調整した。これを0.04重量%水酸化カリウム水溶液を用いて、現像液温度23℃、圧力0.25MPaでスプレー現像したときに、未露光部の着色樹脂組成物が現像液へ完全に溶解し、基板が露出した時間を、その着色樹脂組成物の溶解時間とした。
結果を表2に纏めた。
[4−2]断面形状の測定
カラーフィルタ用パターンマスクを使用し、[4−1]と同様に表1に記載の着色樹脂組成物をガラス基板(AN100)に塗布、プリベークを行い、次に、高圧水銀灯により60mj/cmで露光した。その後、0.04重量%水酸化カリウム水溶液を使用し、現像液温度23℃で0.25MPa圧で40秒間スプレー現像した。基板は現像後、十分な水でリンスした後、クリーンエアで乾燥した。次いで、230℃のオーブンにて30分間ポストベークを行った。着色樹脂組成物の膜厚は2.0μmであった。このようにして得られたパターンの位置を変えて、それぞれの断面形状を電子顕微鏡で10000倍にて観察した。
結果を表2に纏めた。
尚、断面形状に関する評価は、下記の通りであり、各々、図2に記載の形状である。
◎:超順テーパー
○:順テーパー
△:ほぼ垂直
×:逆テーパー
[5]結果
表2に示すが如く、本発明の着色樹脂組成物を用いて形成された画素は、現像液に対する溶解性が短く、且つ、断面形状が順テーパーである。
その為、本発明の着色樹脂組成物を用いて形成された画素は、断面が順テーパーであることより、ITOなどの導電性膜を形成した際に、断線などの問題が生じ難く、且つ現像
液に対する溶解時間が短いため、溶解時間による製造上の歩留まりが高い。
つまりは、トレードオフの関係にあり、従来両立が困難であった、得られる画素の断面形状が順テーパーで且つ、現像液に対する溶解時間が短い着色樹脂組成物である。
これより、本発明の着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有するカラーフィルタ、並びに該カラーフィルタを有する液晶表示装置及び有機EL表示装置は高品質である。
100 有機EL素子
20 画素
30 有機保護層
40 無機酸化膜
500 有機発光体
51 正孔注入層
54 電子注入層

Claims (10)

  1. (A)顔料、(B)溶剤、(C)バインダー樹脂及び(D)重合性モノマーを含有し、
    該(C)バインダー樹脂が、少なくとも下記(C−1)及び(C−3)を共重合させて得られる共重合体に、(C−4)及び(C−5)を付加させて得られる不飽和基含有樹脂を含み、
    且つ(D)重合性モノマーが酸基含有モノマーを含むことを特徴とする、着色樹脂組成物。
    (C−1);一分子中に不飽和結合とエポキシ基とを有する化合物
    (C−3);前記の(C−1)と共重合可能な不飽和結合を有する化合物
    (C−4);メタクリル
    (C−5);多塩基酸無水物
  2. 前記共重合体が、(C−1)、(C−3)及び下記(C−2)を共重合させて得られる共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の着色樹脂組成物。
    (C−2);一分子中にトリシクロデカン骨格およびジシクロペンタジエン骨格からなる群から選ばれる少なくとも1種の骨格と、不飽和結合とを有する化合物
  3. 前記酸基含有モノマーの酸価が10mg−KOH/g以上、150mg−KOH/g以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の着色樹脂組成物。
  4. 着色樹脂組成物中の重合体固形分の含有量Pと着色樹脂組成物中のモノマー固形分の含有量Mとの比、P/M比が、0.5以上、4.5以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
  5. 前記(A)顔料を、全固形分中28重量%以上、45重量%以下で含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
  6. 前記(A)顔料が、臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
  7. 更に、(E)光重合開始成分及び熱重合開始成分のうち少なくとも1つを含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有する
    ことを特徴とする、カラーフィルタ。
  9. 請求項に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする、液晶表示装置。
  10. 請求項に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする、有機EL表示装置。
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