JP6105269B2 - 体積抵抗率の低いフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、カーボンナノチューブを用いたフィルムに関し、当該フィルムは例えば電子写真複写機等の画像形成装置において、中間転写ベルト、最終転写ベルトに好適に使用することができる。
電子写真複写機用の画像形成装置において、フィルムが担持体の転写ベルトに使用されている。導電性を発現するためにカーボンブラックなどの導電性を有する充填材或いは導電性を有する金属繊維、酸化金属化合物を多量に添加したり、低分子量の帯電防止剤を添加される。
そして、特許文献1や2では、熱可塑性樹脂からなるフィルム自体に、カーボンナノチューブを含有させることが提案されている。
しかしながら、カーボンナノチューブを含有させることで体積抵抗率は下げられるものの、延伸や成形加工などの処理が加わると、カーボンナノチューブのネットワークが崩れるのか、急激に体積抵抗率が上昇してしまう問題があることを見出した。
特開2003−082202号公報 特開2004−339316号公報
本発明は、上記の通り、延伸や成形加工などの処理が施されても、体積抵抗率を低く維持することができ、しかも環境変化に対する体積抵抗率の変化も小さいフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決しようと鋭意研究したところ、カーボンナノチューブとアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩とを特定の割合で併用したとき、驚くべきことに延伸や成形加工などの処理が施されても、体積抵抗率を低く維持することができ、しかも環境変化に対する体積抵抗率の変化も小さいフィルムが得られることを見出し、本発明に到達した。
かくして本発明によれば、カーボンナノチューブ(A)を1〜5質量%、およびアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる金属塩(B)を1〜7質量%含有する熱可塑性樹脂組成物からなり、熱可塑性樹脂が、ポリエステルおよびポリフェニレンサルファイドからなる群より選ばれる少なくとも一種で、該金属塩(B)が、リチウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種で30〜150℃における体積抵抗率がいずれも10 10 Ω/cm以下であるフィルムが提供される。
また、本発明によれば、本発明の好ましい態様として、カーボンナノチューブが、平均繊維径15〜150nmの範囲で、平均繊維長が3〜6μmの範囲であること、該熱可塑性樹脂の融点が200℃以上であること、少なくとも一軸方向に配向されていること、そして電子写真複写機のベルトに用いることの少なくともいずれか一つを具備するフィルムも提供される。
以下本発明を詳細に説明する。
<熱可塑性樹脂>
本発明における熱可塑性樹脂は、ポリエステル、ポリスルホン、ポリアミド、ポリエーテル、ポリケトン、ポリアクリル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリオレフィン、ポリフルオロポリマー、ポリウレタン、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレン硫黄、ポリ塩化ビニール、ポリエーテルイミド、テトラフルオロエチレン、ポリエーテルケトンが挙げられ、これらは共重合であっても、またこれらを混合物の状態で用いてもよい。これらの中でも、延伸によって高度の分子配向を発現しやすいことから結晶性を有する熱可塑性樹脂が好ましく、特に融点が200℃以上の熱可塑性樹脂が好ましい。そのような観点から、具体的な熱可塑性樹脂としては、ポリエステルが好ましく、さらにポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが好ましく、特に高度の延伸倍率で延伸することができ、しかも優れた機械的特性を付与しやすいポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが好ましい。
<カーボンナノチューブ>
本発明のフィルムは、カーボンナノチューブを含有する。カーボンナノチューブとは、平均繊維径が1〜1000nm程度、平均繊維長が0.1〜1000μm程度、L/Dが100〜10000程度という、大きなアスペクト比を有する径の細長い炭素からなるチューブ状の炭素であり、種々の方法により製造される。
カーボンナノチューブの製法としては、アーク放電法、レーザー蒸着法、触媒化学気相成長法(CVD法)などが知られており、特に限定されないが、その中でも、CVD法、特に、熱CVD法が気相で連続生産できるため、工程がスムーズに進むので好ましい。その場合、600℃から1200℃の高温で触媒と炭素源を接触させる方法で触媒を連続的に供給すれば連続的にカーボンナノチューブを回収することができる。具体的なカーボンナノチューブとしては、Hyperion社製のGraphite fibril、昭和電工(株)製のVapor Grown Carbon Fiber、さらにはASISH社製のPyrograf III などがある。
カーボンナノチューブを熱可塑性樹脂に分散させる方法は特に限定されない。また分散性を高めるために、カーボンナノチューブの表面を修飾してもよい。例えば、カーボンナノチューブ外表面に少なくとも1種類以上の官能基を有するカーボンナノチューブが例示される。官能基の種類は特に限定されないが、例えば、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、スルホン基、エーテル基、などを挙げることができる。カーボンナノチューブを表面修飾する方法として、例えば、プラズマ処理が好ましく例示される。
<アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩>
本発明におけるアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる金属塩(B)とは、陽イオンと陰イオンに解離可能な塩である。ここで、陽イオンと陰イオンに解離可能な塩とは、プロピレンカーボネート(PC)/ジメチルカーボネート(DME)系混合溶媒(体積分率1/2)中、25℃で0.1mol/lの塩濃度で測定した導電率が2.3mS/cm以上、さらに3.5mS/cm以上であることが好ましい。この導電率は解離したイオンの濃度とその移動度に比例するものである。なお、上記導電率は大きい程、好ましいが、実際に存在する塩の導電率の上限は4.5mS/cm程度である。
本発明における該金属塩(B)としては、リチウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
このような金属塩としては、リチウムを例にとって説明すると、CFSOLi、CSOLi、(CFSONLi、(CSONLi、(CSO)(CFSO)NLi、(FSO)(CFSO)NLi、(C17SO)(CFSO)NLi、(CFCHOSONLi、(CFCFCHOSONLi、(HCFCFCHOSONLi、((CFCHOSONLi、(CFSOCLi、(CFCHOSOCLi、LiPF等がある。
上記した導電率の高い塩を用いると、少量の添加で非常に低い電気抵抗値を得ることが出来るが、他方で、このような導電率の高い塩を用いた場合、環境変化、具体的には温度によって、体積抵抗率の変化が大きいという問題がある。
また、上記陽イオンと陰イオンに解離可能な塩として、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が好適に用いられる。この様な塩は、フルオロ基、スルホニル基等の官能基が電子吸引性を有するため、陰イオンがより安定化され、イオンがより高い解離度を示す。これにより、少量の添加で、非常に低い電気抵抗値を得ることが出来る。
上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンは、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドイオン、フルオロアルキルスルホン酸イオンからなる群の内の少なくとも1つから選ばれたイオンであることが好ましい。
上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩の陽イオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属塩のいずれかの陽イオンであることが好ましい。アルカリ金属は、特に、イオン化エネルギーが小さいため安定な陽イオンを形成しやすく、特にリチウムが好ましい。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明における熱可塑性樹脂組成物は、前述の熱可塑性樹脂とカーボンナノチューブ(A)と金属塩(B)とを有する。カーボンナノチューブ(A)の含有量は、熱可塑性樹脂組成物の質量を基準としたとき、体積抵抗率を低く抑えつつ、後述のフィルムに製膜する際の工程安定性の点から、1〜5質量%の範囲であることが必要であり、1〜3質量%、さらに1〜2.5質量%の範囲であることが好ましい。また、金属塩(B)の含有量は、熱可塑性樹脂組成物の質量を基準としたとき、体積抵抗率を低く抑えつつ、後述のフィルムに製膜する際の工程安定性の点から、1〜7質量%の範囲であることが必要であり、1.5〜4質量%、さらに2〜3質量%の範囲であることが好ましい。
ところで、本発明の特徴の一つは、上記カーボンナノチューブ(A)と金属塩(B)とを併用したことで、延伸や成形などの処理を施してもカーボンナノチューブの問題であった体積抵抗率の上昇を抑え、また、金属塩単体では環境変化により体積抵抗率が大きく変わるのに、それも抑えられたことにある。そのため、これらカーボンナノチューブ(A)と金属塩(B)とは、両者が単に付加的に体積抵抗率を下げたのではなく、カーボンナノチューブ(A)のネットワークの崩壊を金属塩(B)が補いつつ、金属塩(B)の環境変化に対する体積抵抗率の変化を一部崩壊していながらも残存するカーボンナノチューブ(A)のネットワークが補填するような相乗的効果により、体積抵抗率を下げていると言える。
そのような観点から、カーボンナノチューブ(A)と金属塩(B)との質量比は、5:2〜1:3の範囲、さらに5:4〜5:6の範囲であることが好ましい。
これらカーボンナノチューブ(A)や金属塩(B)の熱可塑性樹脂への配合方法は特に制限されず、熱可塑性樹脂の重合時に添加する方法や、熱可塑性樹脂に二軸混練押し出し機などで練り込む方法など、それ自体公知の方法を採用できる。また、種々の組成を熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムを容易に製造でき、カーボンナノチューブ(A)や金属塩(B)の分散性を高めやすいことから、それぞれ高濃度で含有するマスターポリマーを作成し、それらを所望の含有量となるように希釈する熱可塑性樹脂と溶融混練する方法が好ましい。
具体的な熱可塑性樹脂組成物の混練方法としては、ヘンシェルやタンブラー、マゼラーなどの一般的な攪拌機を用いて混合した後、二軸押出機や単軸押出機にて混練押出する方法、バンバリーミキサーにて溶融混練する方法などの方法を用いることが可能である。
また、本発明における熱可塑性樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、例えば、樹脂の流動特性、目的とするフィルムの物性、加工性を損なわない範囲でタルク、マイカ、シリカやアルミナ、チタン酸カリウムウィスカー、酸化カルシウム等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸カルシウム、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ等の無機充填材を添加することが出来る。また、有機粒子、無機粒子およびワックスなどの滑剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、カップリング剤、難燃剤、三酸化アンチモンなどの難燃助剤、耐熱安定剤を配合することも可能である。
<フィルム>
本発明のフィルムは、上記熱可塑性樹脂組成物からなる。熱可塑性樹脂からフィルムを製造する方法は特に限定されず、単軸の押出機を使用し、Tダイよりフィルムを押出する方法、インフレーション法によりフィルムを得る方法など選択出来る。なお、熱可塑性樹脂に対して高濃度にカーボンナノチューブ(A)や金属塩(B)を添加したペレットを予め作製しておき、これをフィルムとする時に所望の濃度となるように熱可塑性樹脂を追加し、これをフィルムの原料とすることも可能である。
本発明のフィルムは、未延伸フィルムでも、一軸配向フィルムでも、二軸配向フィルムであってもよい。特に所望とする方向に機械的特性を高く具備させられることから、製膜方向や幅方向に延伸した一軸配向フィルムや製膜方向と幅方向の両方向に延伸した二軸配向フィルムが好ましい。しかも、本発明によれば、このような延伸を施しても、体積抵抗率を低く維持できるという効果も奏される。また、本発明のフィルムは、必要に応じて、熱処理、成形、表面処理、ラミネート、コーティング、印刷、エンボス加工、エッチングなどの任意の加工を行ってもよい。
さらに、本発明のフィルムは、単層フィルムに限らず、カーボンナノチューブ(A)や金属塩(B)の濃度が異なる熱可塑性樹脂組成物からなる層と積層フィルムであってもよいし、他のポリマー層、例えば、カーボンナノチューブ(A)や金属塩(B)を含有しない熱可塑性樹脂組成物との積層や、熱可塑性樹脂の種類が異なる層を直接、あるいは接着剤などの層を介して積層したもであってもよい。すなわち、積層フィルムの場合、本発明のフィルムが少なくとも1層を有していればよい。そのとき、本発明の効果の点からは、表面層に本発明のフィルムが積層されていることが好ましい。
つぎに、本発明のフィルムの製造方法について、二軸配向フィルムを例にとって説明する。なお、未延伸フィルムや一軸配向フィルムは、それぞれ延伸工程の全てまたは一部を省略すればよい。
まず、カーボンナノチューブ(A)や金属塩(B)を含有する熱可塑性樹脂組成物をシート状に溶融押出させて冷却固化させた後、この冷却固化されたシート状物を、長手方向に1.2〜10倍、幅方向に1.2〜10倍の倍率で延伸して二軸配向させればよい。
より好ましい延伸条件は、延伸方向の機械的特性を高めつつ、カーボンナノチューブのネットワークの崩壊を抑える観点から、長手方向に1.5〜6倍、幅方向に1.5〜6倍の倍率であり、さらに好ましい条件は、長手方向に1.7〜4倍、幅方向に1.7〜4倍の倍率である。また、延伸温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)に対して、同じかそれ以上の温度で熱可塑性樹脂の融点(Tm)よりも10℃以上低い温度であればよく、それぞれ所望とする機械的特性に応じて、選択すればよい。ちなみに、延伸温度を高くするほどネットワークの崩壊は小さくなり、他方延伸温度を低くするほど機械的特性などは同じ延伸倍率なら高くしやすい。また、延伸工程後、熱処理工程前に、必要に応じて、さらに長手方向および幅方向のうちの少なくとも一方向に対してさらに延伸してもよい。その延伸条件としては、先の延伸工程の温度よりも高い温度で、左記の延伸工程の倍率よりも低い延伸倍率で行うのが好ましい。
上記延伸の形式としては、長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行う方法などの一方向ずつの延伸を組み合わせた逐次二軸延伸法や、長手方向と幅方向を同時に延伸する同時二軸延伸法、さらに、逐次二軸延伸法と同時二軸延伸法を組み合わせた方法などが包含される。
より好ましい延伸を施す場合の延伸温度は、未延伸フィルムに対して延伸を施す場合は、(熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg℃))〜(Tg+120)℃に保つことが好ましく、(Tg+10)℃〜(Tg+80)℃がより好ましい。 延伸温度がTg℃未満では、延伸による配向が進みすぎて高倍率まで延伸しにくくなる。
ところで、本発明におけるフィルムは、延伸後などさらに、緊張下または幅方向に弛緩しながら熱処理を施してもよい。この場合の熱処理温度は、例えばポリエステル150℃〜250℃、好ましくは、170〜230℃、さらに好ましくは180〜220℃で、時間は0.2〜30秒の範囲で行うのが好ましい。さらに、熱処理温度からの冷却過程で、好ましくは100〜220℃の温度範囲で長手および幅方向に、好ましくは幅方向に対して1〜6%の範囲で弛緩処理を行うことも好ましい。この弛緩処理は1段でもよいし、多段で行ってもよく、温度分布の変化を設けてもよい。
このような処理をした後、フィルムを室温まで、必要ならば、長手および幅方向に弛緩処理を施しながら、フィルムを冷やして巻き取ればよい。
本発明のフィルムは、温度に依存することなく極めて低い体積抵抗率を有することから、帯電すると問題になる各種用途に好適に用いることができ、特に冒頭で述べた電子写真複写機等の画像形成装置において、中間転写ベルト、最終転写ベルトに好適に使用出来る。
なお、本発明のフィルムの厚みは、用いる用途に応じて適宜選択すればよく、例えば前述の電子写真複写機等の画像形成装置における中間転写ベルトや最終転写ベルトに用いる場合、50〜70μmの範囲が好ましい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。
(1)体積抵抗率
アドバンテスト R8340Aデジタル超高抵抗/微少電流計を使用し、印加電圧100Vにて30〜150℃における体積抵抗率を、サンプルを変えて3回測定を行い、それらの平均値を各温度での体積抵抗率(Ω/cm)とした。そして、最も体積抵抗率の高かった温度をMax温度、最も体積抵抗率の低かった温度をMin温度とし、Max温度、Min温度および100℃での体積抵抗率を表1に示した。
(2)カーボンナノチューブの平均繊維径(nm)と平均繊維長(μm)
平均繊維径および平均繊維長は透過電子顕微鏡(TEM)で観察し、それぞれ100個のナノカーボンを測定し、それらを平均して求める。
(3)製膜性
各実施例および比較例の条件で、恒温槽を備えたバッチ型延伸機で延伸を10回行い、以下の基準で評価した。
○:10回連続で破断などなく製膜できた。
△:10回中、破断が1〜3回あった。
×:10回中、破断が4回以上あった。
[実施例1]
固有粘度0.62dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートをペレット1として用意した。また、ペレット1とカーボンナノチューブ(昭和電工株式会社製、商品名:VGCF−X、表1ではCNT−1と称する。)を質量比90:10で、タンブラーにて均一混合の後、300℃で二軸押出機を用いて混練し、ペレタイザーによりストランドを切断してペレット2を作成した。また、ペレット1とリチウム金属塩(リチウム=ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド((CFSONLi、表1ではLi塩と称する。)を質量比90:10で、タンブラーにて均一混合の後、300℃で二軸押出機を用いて混練し、ペレタイザーによりストランドを切断してペレット3を作成した。
そして、ペレット1とペレット2とペレット3を、それぞれ42:25:33で単軸押出機にて再び300℃で溶融混練し、ダイにより冷却ドラムに押し出して未延伸シートを作成した。
この未延伸シートを、温度140℃で、それぞれ製膜方向に3倍(縦延伸倍率)および幅方向に3倍(横延伸倍率)で同時二軸延伸し、その後230℃で熱固定して、厚み50μmの二軸配向フィルムを作成した。得られた二軸配向フィルムの特性を表1に示す。
[実施例2−7および比較例1−6]
表1に示す通り、延伸倍率、カーボンナノチューブ量および金属塩量を変更したほかは同様な操作を繰り返した。なお、カーボンナノチューブ量および金属塩量はペレット1、2および3の割合で変更し、延伸倍率を変更したものは、未延伸シートの厚みを調整して、得られる二軸配向フィルムの厚みが50μmになるようにした。得られた二軸配向フィルムの特性を表1に示す。
なお、比較例5と6は、破断が多く、体積抵抗率の測定は行わなかった。
[実施例8]
実施例1において、カーボンナノチューブを、昭和電工株式会社製、商品名:VGCF−H(表1ではCNT−2と称する。)に変更し、カーボンナノチューブ量および金属塩量を変更したほかは同様な操作を繰り返した。なお、カーボンナノチューブ量および金属塩量はペレットの混合割合で変更した。得られた二軸配向フィルムの特性を表1に示す。
[実施例9]
実施例1において、金属塩をマグネシウム金属塩(マグネシウム=ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド((CFSONMg、表1ではMg塩と称する。)に変更し、カーボンナノチューブ量および金属塩量を変更したほかは同様な操作を繰り返した。なお、カーボンナノチューブ量および金属塩量はペレットの混合割合で変更した。得られた二軸配向フィルムの特性を表1に示す。
[実施例10]
表1に示す通り、縦延伸を行わない横延伸倍率4倍の横一軸延伸に変更したほかは同様な操作を繰り返した。なお、未延伸シートの厚みを調整して、得られる二軸配向フィルムの厚みが50μmになるようにした。得られた二軸配向フィルムの特性を表1に示す。
[実施例11]
固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレートをペレット4として用意した。また、ペレット4とカーボンナノチューブ(昭和電工株式会社製、商品名:VGCF−X)を質量比90:10で、タンブラーにて均一混合の後、280℃で二軸押出機を用いて混練し、ペレタイザーによりストランドを切断してペレット5を作成した。また、ペレット4とリチウム金属塩(リチウム=ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド((CFSONLi)を質量比90:10で、タンブラーにて均一混合の後、280℃で二軸押出機を用いて混練し、ペレタイザーによりストランドを切断してペレット6を作成した。
そして、ペレット4とペレット5とペレット6を、それぞれ単軸押出機にて再び280℃で溶融混練し、ダイにより冷却ドラムに押し出して未延伸シートを作成した。
この未延伸シートを、温度90℃で、それぞれ製膜方向に3倍(縦延伸倍率)および幅方向に3倍(横延伸倍率)で同時二軸延伸し、その後210℃で熱固定して、厚み50μmの二軸配向フィルムを作成した。得られた二軸配向フィルムの特性を表1に示す。
[実施例12]
50Lオートクレーブ(SUS316製)に水硫化ナトリウム(NaSH)56.25モル、水酸化ナトリウム54.8モル、酢酸ナトリウム16モル、およびN−メチルピロリドン(NMP)170モルを仕込む。次に、窒素ガス気流下に攪拌しながら内温を220℃まで昇温させ脱水を行った。脱水終了後、系を170℃まで冷却した後、55モルのp−ジクロロベンゼン(p−DCB)と0.055モルの1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)を2.5LのNMPとともに添加し、窒素気流下に系を2.0kg/cm2まで加圧封入した。235℃にて1時間、さらに270℃にて2〜5時間攪拌下にて加熱後、系を室温まで冷却、得られたポリマーのスラリーを水200モル中に投入し、70℃で30分間攪拌後、ポリマーを分離する。このポリマーをさらに約70℃のイオン交換水(ポリマー重量の9倍)で攪拌しながら5回洗浄後、約70℃の酢酸リチウムの5重量%水溶液にて窒素気流下にて約1時間攪拌した。さらに、約70℃のイオン交換水で3回洗浄後、分離し、120℃、0.8〜1torrの雰囲気下で20時間乾燥することによって白色のポリフェニレンサルファイド粉末が得られた。
次に、このポリフェニレンサルファイド粉末を市販の窒素ガス雰囲気下20〜90℃のNMP(ポリフェニレンサルファイドポリマー重量の3倍量)にて5分間〜1時間の攪拌処理を1〜5回行った。このポリフェニレンサルファイド粉末をさらに約70℃のイオン交換水で4回洗浄した後分離し、上記のようにして乾燥することによって白色のポリフェニレンサルファイド粉末を得た。このポリフェニレンサルファイド粉末の300℃における溶融粘度は5000ポイズであった。
このポリフェニレンサルファイド粉末とカーボンナノチューブ(昭和電工株式会社製、商品名:VGCF−X)とリチウム金属塩(リチウム=ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド((CFSONLi)とを表1に示す割合となるようにタンブラーにて均一混合の後、330℃で二軸押出機を用いて混練し、ペレタイザーによりストランドを切断してペレットを作成した。このペレットを、さらに回転式真空乾燥機で150℃、3mmHgの減圧下で3時間処理して結晶化ペレットとした。
そして、結晶化ペレットで単軸押出機にて330℃で再び溶融混練し、ダイにより冷却ドラムに押し出して未延伸シートを作成した。
この未延伸シートを、温度95℃で製膜方向に3倍に延伸した後、さらに温度100℃で幅方向に3倍の延伸倍率で二軸延伸し、その後230℃で熱固定して、厚み50μmの二軸配向フィルムを作成した。得られた二軸配向フィルムの特性を表1に示す。
Figure 0006105269
表1中の、CNT−1はカーボンナノチューブ(昭和電工株式会社製、商品名:VGCF−X)、CNT−2はカーボンナノチューブ(昭和電工株式会社製、商品名:VGCF−H)、Li塩はリチウム金属塩(リチウム=ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(CFSONLi)、Mg塩はマグネシウム金属塩(マグネシウム=ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(CFSONMg)を意味する。
本発明のフィルムは、環境の温度に左右されずに、低い体積抵抗率を有することから、例えば電子写真複写機等の画像形成装置において、中間転写ベルト、最終転写ベルトに好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. カーボンナノチューブ(A)を1〜5質量%、およびアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる金属塩(B)を1〜7質量%含有する熱可塑性樹脂組成物からなり、熱可塑性樹脂が、ポリエステルおよびポリフェニレンサルファイドからなる群より選ばれる少なくとも一種で、該金属塩(B)が、リチウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種で30〜150℃における体積抵抗率がいずれも1010Ω/cm以下であるフィルム。
  2. カーボンナノチューブが、平均繊維径15〜150nmの範囲で、平均繊維長が3〜6μmの範囲である請求項1に記載のフィルム。
  3. 熱可塑性樹脂の融点が200℃以上である請求項1または2のいずれかに記載のフィルム。
  4. 少なくとも一軸方向に配向されている請求項1〜のいずれかに記載のフィルム。
  5. 電子写真複写機のベルトに用いる請求項1〜のいずれかに記載のフィルム。
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